説明

医療用物品及び不混和性材料を用いる製造方法

感圧接着剤層を含む医療用物品(例えば、創傷用ドレッシング)、並びに水蒸気透過率を増加させる不混和性材料を用いて医療用物品を製造する方法、が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は医療用物品に関し、より具体的には、皮膚及び創傷上で使用するための創傷用ドレッシング及び医療用テープに関する。創傷用ドレッシング及びテープは、様々な皮膚タイプへの接着、並びに、滲出液が少量の創傷、滲出液が多量の創傷、又は発汗性の患者のいずれの場合でも、様々な量の水分の存在下での有効性の保持が必要であり得る。これらの状況の全てで、創傷用ドレッシング又は創傷用テープは、存在する動的な水分濃度に応答し、適切な装着時間を保証し得ることが望ましい。水分に対する透過性が改善するための医療用物品の改質が既知であり、例えば、透過性フィルム表面上に接着剤を選択的コーティング又はパターンコーティングすること、あるいは水分透過性がより高い新しい接着剤を創出することが挙げられる。選択的な接着剤コーティングの例としては、感圧接着剤(PSA)を有する連続的なポリマー薄膜が挙げられ、PSAは、フィルム表面の40〜75%が接着剤を含有しないように、ポリマー薄膜の片面を選択的にコーティングされている。水分は好ましくは接着剤の存在しない領域を透過する。
【0002】
パターンコーティング又は選択的コーティングが医療用物品の水分透過率をより高いものにする一方で、ある種の状況下では、パターンコーティングされた接着剤は周縁部の接着性が乏しい場合があり、周縁部の剥離が生じる恐れがある。接着剤をパターンコーティングする際に使用される方法及び装置は、連続的なフィルム様式で接着剤をコーティングするために使用される方法及び装置に比べ、より高価でかつより複雑なものであり得る。加えて、方法及び装置は、特定の接着剤系について非常に特殊化されている場合があり、異なる接着剤系間で互換性のない場合がある。
【0003】
PSAコポリマーに添加物を添加するなどして接着剤特性を変化させる方法が既知である。可塑剤、保湿剤、無機塩、有機塩、又はマイクロコロイドを感圧接着剤に添加することで、通気性を向上させ、接着剤を医療用物品に適切なものにすることができる。このような化合物は、医療用物品の構成前に、接着剤中に完全に混合され及び/又は分散する。したがって、総じて接着剤組成物は、親水性材料を均一に分散又は混合することで、より水分に対して透過性の高いものになる。親水性材料が不均一に混合又は分散された接着剤は、多くの場合、接着剤全体の接着特性が特に高水分条件下で有意に変化する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、接着剤層のバルクに均一に分散しない水蒸気透過率(MVTR)改質材料を提供することにより、MVTRを改善することを目的とした、接着剤系の改質を提供する。好ましい実施形態では、MVTR改質材料は、接着剤層のバルクにほとんど分散せず、あるいは全く分散しない。接着剤をパターンコーティングする代わりに若しくはこれに加え、又は、様々な条件下で皮膚に適切に貼り付けることもできる元々MVTRが高い接着剤系を配合する代わりに若しくはこれらに加え、本発明の実施形態を行うことにより、高MVTR医療用物品が非常に様々なPSAについて得ることができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態では、本発明の感圧接着剤は、有利なことに、MVTR改質材料と組み合わせた流体と接触させる前に、一定の接着特性を保持する。本発明の実施形態は、接着剤層の別個の制御された位置において、透過性及び接着性の改質を可能にする。接着剤層全体を改質する必要はないので、例えば皮膚といった対象部位と接触している面上の接着剤層の一部が、保管又は使用時に接着剤が曝露される水分又は湿分レベルとは関係なく、一定の及び所望される接着特性を保持していてもよい。
【0006】
一実施形態では、本発明は、酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層であって、PSAがPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含む、PSA層、及び、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を含む医療用物品であって、MVTR改質材料は、PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して高分子塩を形成する、医療用物品(例えば、創傷用ドレッシング、医療用テープ、外科用ドレープなど)を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、接着剤は、PSA 1グラムあたり0.42ミリモル超の酸性官能基又は塩基性官能基を含有し、この官能基はMVTR改質材料により中和することができる。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり少なくとも0.69ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、0.84ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.3ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.80ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも2.08ミリモルのこれらの官能基を含有する。最も好ましい実施形態では、接着剤は、1.3ミリモル〜2.5ミリモルのこれらの官能基を含有する。
【0008】
好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり5.6ミリモル以下のこれらの官能基を含有すべきである。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり4.2ミリモル以下のこれらの官能基を含有し、更により好ましくは、PSA 1グラムあたり2.8ミリモル以下のこれらの官能基を含有する。
【0009】
特定の実施形態では、PSAは官能性ポリマーを含み、ポリマーはPSAの総重量に基づいて少なくとも6重量%の酸性官能性モノマー又は塩基性官能性モノマーから調製されている。特定の実施形態では、官能性ポリマーは(メタ)アクリレート(すなわち(メタ)アクリル)ポリマーである。
【0010】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は、MVTR改質材料で処理される表面積下で、MVTR改質材料の、酸性/塩基性官能基に対するモル比が、接着剤の容量あたり0.1:1〜100:1の範囲内になるように、PSA中の官能基に対するMVTR改質材料の量を含む。
【0011】
様々な構成の医療用物品が提供される。一実施形態では、MVTR改質材料はPSA層の表面上に配置されている。一部の実施形態では、MVTR改質材料は、PSA層の表面上にパターンコーティングすることができる。
【0012】
所望される場合、第一PSA層と同一であっても又は異なっていてもよい第二PSA層が含まれてもよく、この場合、MVTR改質材料はこれら2つのPSA層の間に配置されている。
【0013】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は足場部材を含む。特定の実施形態では、MVTR改質層が足場部材を含む。特定の好ましい実施形態では、MVTR改質材料は、PSA層と接触している足場部材内に組み込まれている。足場部材としては、MVTR改質材料のキャリアとして働くのに好適な様々な基材を挙げることができる。好ましい実施形態では、足場部材は不織布である。
【0014】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品はバッキング(すなわちバッキング層)を含み、MVTR改質材料はPSA層とバッキングの間に配置されている。特定の実施形態では、MVTR改質材料はPSA層とバッキングの両方と接触している。
【0015】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品はpH変換層を含み、MVTR改質材料はPSA層とpH変換層の間に配置されている。特定の実施形態では、pH変換層は、ポリアクリル酸、クエン酸、乳酸、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されたpH変換材料を含む。特定の実施形態では、MVTR改質材料は、PSA層とpH変換層の両方と接触している。
【0016】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は濾過層を含み、濾過層は、MVTR改質材料と流体供給源又は対象部位(例えば創傷)の間に配置されている。
【0017】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品、特に創傷用ドレッシングは、吸収層又はパッドを含み、吸収層はポリマーファブリック、ポリマーフォーム、又はこれらの組み合わせを含む。
【0018】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は、PSA層と接触しているキャリアフィルム、キャリアフィルムと接着剤層の間に配置された吸収性パッド、及び支持層とPSA層の間に配置されたバッキングを含む。
【0019】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は、酸性官能基を含むPSA層、及び塩基性であるMVTR改質材料を含む。このようなPSA層に対して、MVTR改質材料としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基が挙げられる。好ましくは、MVTR改質材料は、湿潤時MVTRを減少させるほどPSAポリマーを架橋するような多価カチオンではない。
【0020】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は、塩基性官能基を含むPSA層、及び酸性であるMVTR改質材料を含む。このようなPSA層に対して、MVTR改質材料としては、例えばアミン基と反応して高分子塩を形成することができる酸が挙げられる。
【0021】
特定の実施形態では、PSAとしてはゴム系接着剤(例えば粘着力付加天然ゴム、合成ゴム、及びスチレン−ブタジエンブロックコポリマー)、(メタ)アクリル(すなわち(メタ)アクリレート)、ポリ(α−オレフィン)、ポリウレタン、及びシリコーンが挙げられる。特定の実施形態では、PSAとしてはアミン接着剤が挙げられる(例えば、主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖の両方に、塩基性アミン基を有するポリマーが挙げられる)。特定の実施形態では、PSAとしては、カルボン酸基を有するポリマーが挙げられる。特定の実施形態では、PSA中の酸性基又は酸性基の一部は、粘着付与剤又は他の添加物を上述のポリマーと混合することで組み込むことができる。
【0022】
特定の実施形態では、本発明の医療用物品は、少なくとも1200g/m/24時間の湿潤時MVTRを持つ。特定の実施形態では、MVTR改質材料は、医療用物品の湿潤時MVTRを、MVTR改質材料を不含の同様の物品と比較して少なくとも20%向上させる(すなわち増加させる)。特定の実施形態では、MVTR改質材料は、医療用物品の乾燥時MVTRを、MVTR改質材料を不含の同様の物品と比較して少なくとも10%向上させる(すなわち増加させる)。
【0023】
特定の実施形態では、PSA層は、全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まない。
【0024】
一実施形態では、本発明は、第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、及びPSA層に近接したMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、PSAはPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの官能基を含み、MVTR改質層は、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を含み、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して、高分子塩を形成する、創傷用ドレッシングを提供する。特定の実施形態では、MVTR改質層はPSA層の少なくとも一部分と直接接触している。特定の実施形態では、MVTR改質層とPSA層の間には1つ以上の層が配置されている。
【0025】
一実施形態では、本発明は、第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及びPSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層を含む創傷用ドレッシングであって、PSA層は酸性官能基を含み、PSA層は、全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まず、MVTR改質材料は塩基性であり、PSA層と不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシングを提供する。好ましくは、PSA層は、PSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの官能基を含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分上に配置されたPSA層、バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及びPSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層を含む、創傷用ドレッシングであって、PSAが酸性官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーを含み、ポリマーがPSAの総重量に基づいて少なくとも6重量%の酸性官能性モノマーから調製され、MVTR改質材料は塩基性であり、PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシングを提供する。
【0027】
本発明は、医療用物品中の接着剤層のMVTRを増加させる方法も提供する。一実施形態では、方法は、酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層を提供すること、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び使用時に医療用物品が流体と接触する際に(例えば、患者の皮膚又は創傷に適用した場合に)MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置すること、を含み、PSAは、PSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの官能基を含み、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、MVTR改質材料、PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩が形成し、PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる。
【0028】
一実施形態では、方法は、酸性官能基を有するポリマー又は塩基性官能基を有するポリマーを含むPSA層を提供すること、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び使用時に医療用物品が流体と接触する際に、MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置すること、を含み、ポリマーはPSAの総重量に基づいて少なくとも合計6重量%の酸性官能性又は塩基性官能性モノマーから調製され、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、MVTR改質材料、PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩を形成し、PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる。
【0029】
方法の特定の実施形態では、MVTR改質材料をPSAに接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置することは、PSA層上にMVTR改質材料をコーティング(例えばパターンコーティング)することを含む。
【0030】
方法の特定の実施形態では、MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置することは、足場部材を提供すること、足場部材をMVTR改質材料でコーティングすること、及びコーティングした足場部材をPSA層の少なくとも一部分に接触させること、を含む。これは、PSA層上にMVTR改質材料を直接コーティングすることに加えて実施できる。
【0031】
透過性フィルム上に接着剤をパターンコーティングするか、あるいは親水性添加物をバルク内の接着剤に混合させる代わりに(あるいはそれに加え)MVTRを改質する手法は、本発明を医療用物品(医療用テープ、包帯、婦人用衛生パッド、おむつ、外科用ドレープ、及び様々な創傷用ドレッシングなど)に特に良好に適するものにする。実施者又は製造者は、接着剤層の所定の位置の水分透過性の程度を、効果的に制御して、患者の疾患の性質及び必要性に合わせて細かく調整することができる。本発明は、接着性と透過性の間で妥協する代わりに、これらの特性の両方を最適化させる。
【0032】
本明細書において、「流体」は、水、水蒸気、血清、創傷滲出液、汗、及びその他の液体又は蒸気組成物を意味する。
【0033】
本明細書において、「層(layer)」は単一の層(stratum)であり、表面に連続的にわたるものであってもあるいは不連続的にわたるものであってもよい。
【0034】
本明細書において、「吸収」は、材料が流体、特に体液を吸収できることを意味する。
【0035】
本明細書において、「高分子塩」は、イオン基を少なくとも1つ有するポリマーを意味する。
【0036】
本明細書において、「不混和性」又は「不適合性」は、材料が、接着剤層の断面のコア内0.25センチメートル(cm)まで浸透することができないことを意味する。不混和性を試験するためには、接着剤ポリマーの一部を0.25cm厚さ×2.5cm幅×10cm長さのストリップへと切り出すことができる。次いで、25℃及び20%〜50%相対湿度下で、24時間にわたりポリマーをMVTR改質材料に接触させて配置する。次いで、接着剤ストリップの断面を、切片の中央部でのMVTR改質材料の存在について解析する。不適合性又は不混和性のMVTR改質材料は、接着剤ポリマーをほんのわずかにしか浸透させず、仮に浸透していたとしても、接着剤層の断面0.25cmのコア(すなわち中央)には浸透しない。
【0037】
本明細書において、「医療用物品」は創傷用ドレッシング、外科用ドレープ、テープ、包帯、おむつ、婦人用衛生製品、及びこれらの組み合わせを意味する。好ましい医療用物品としては、テープ、創傷用ドレッシング、及び包帯が挙げられる。
【0038】
本明細書において、「酸性官能基を含むPSA」又は「酸性官能基を含むポリマー」、は、酸性基及び塩基性基がどちらも存在する場合、このようなPSA又はPSAに含まれるポリマーが酸性であるように、過剰な酸性基(例えば、カルボン酸基)を有するPSA、又はPSAに含まれるポリマーを意味する。
【0039】
本明細書において、「塩基性官能基を含むPSA」又は「塩基性官能基を含むポリマー」は、酸性基及び塩基性基がどちらも存在する場合、このようなPSA又はPSAに含まれるポリマーは塩基性であるように、過剰な塩基性基を有するPSA、又はPSAに含まれるポリマーを意味する。
【0040】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が説明文及び特許請求の範囲において現れる場合、限定的な意味を有するものではない。
【0041】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の又は他の状況下で、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0042】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば「1つの(an)」酸性官能基を含む接着剤ポリマーは、「1つ以上の」酸性官能基を含む接着剤ポリマーを意味するものと解釈することができる。同様にして、「1つの(a)」濾過層を含む医療用物品は、物品が「1つ以上の」濾過層を含むものと解釈することができる。
【0043】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が包含される。
【0044】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は種々の組み合わせにて使用することが可能である。いずれの場合にも、記載した一覧は、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明は図面を参照して更に説明されるが、対応する参照記号は複数の図面を通して対応する部分を示す。
【図1】本発明の一実施形態による創傷用ドレッシングの平面図。
【図2a】図1の創傷用ドレッシングの側面図。
【図2b】図1の創傷用ドレッシングの別の実施形態による創傷用ドレッシングの側面図。
【図3a】本発明の更なる実施形態による創傷用ドレッシングの側面図。
【図3b】本発明の更なる実施形態による創傷用ドレッシングの側面図。
【図4】本開示の更なる実施形態の創傷用ドレッシングの側面図。
【図5】本発明の更なる実施形態による創傷用ドレッシングの側面図。
【図6】本発明の一実施形態による医療用テープの側面図。
【図7】本開示の更なる実施形態の医療用テープの側面図。
【図8】本開示の更なる実施形態の医療用物品の側面図。
【図9】本発明の一実施形態による医療用物品の側面図。
【図10】本開示の更なる実施形態の創傷用ドレッシングの平面図。
【図11】図10の創傷用ドレッシングの断面図。
【0046】
MVTR改質材料は、創傷用ドレッシングの別個の部分に限定されるよう図に示す場合がある。しかしながら、このことは、特に注記のない限りMVTR改質材料の位置又は相対濃度を限定することを意図するものではない。記載される実施形態における層は、例示目的のみのためのものであり、相対的な厚み又は任意の構成要素の位置を定義することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、PSA層を有する医療用物品、及び水分をより多く透過させる医療用物品の製造方法を目的とする。異なるMVTR改質材料及び異なる濃度のMVTR改質材料の使用により、所望の接着特性及び水蒸気透過性を満たすようPSA層を改質することができる。例えば、本発明の、改質された創傷用ドレッシングは、ドレッシング内で位置に応じて変化する相対的に低い乾燥時MVTR及び相対的に高い湿潤時MVTRと、ドレッシング内で変化する接着特性を有し得る。これらのMVTR特性は、創傷周囲の皮膚を浸軟させることなく、ドレッシング下の創傷を多湿条件で治癒させ、かつドレッシングの最適な装着時間を延長させ、かつ取り外しを容易にする。
【0048】
本発明の一部の実施形態では、MVTR改質層は、PSA層中の酸性官能基又は塩基性官能基と相互作用するMVTR改質材料を含む。例えば、PSAが塩基性官能基を含む場合には、MVTR改質材料は酸性である。同様にして、PSAが酸性官能基を含む場合には、MVTR改質材料は塩基性である。MVTR改質材料は、PSA層の表面上又は付近に配置することができる。理論に束縛されるものではないが、医療用物品を患者の対象部位に配置した際に、流体によりMVTR改質材料がポリマーの酸性基/塩基性基と相互作用することで、PSA層のMVTRに増加が生じ得る。
【0049】
本明細書において、PSA層又は医療用物品の乾燥時MVTR(又は直立MVTR)は、カップ直立法を用い、40℃及び20%相対湿度でASTM E−96−80(米国材料試験協会)により測定する。湿潤時MVTR(又は反転MVTR)は、サンプル瓶を逆さにして水を試験サンプルに直接接触させることを除き、同様の方法により測定する。
【0050】
MVTRに影響を与える因子としては、限定するものではないが、PSA層の厚さ、PSA中の親水性成分の量、PSA層内の酸性/塩基性官能基濃度及びMVTR改質材料の量、バッキングフィルムの組成及び構造、接着剤のコーティング構造(すなわち連続、繊維性、フィルム、又はパターン)、医療用物品全体の構成(例えば、様々な層、フィルムなどの数及び配置)が挙げられる。
【0051】
接着剤の連続層を備える、同一の組成及び構成の未処理の医療用物品の乾燥時MVTRと比較した場合、本発明によるMVTR改質組成物で処理した医療用物品の乾燥時MVTRは、未処理の医療用物品よりも好ましくは少なくとも1.2倍(少なくとも20%)以上、好ましくは少なくとも3倍、更により好ましくは少なくとも5倍、更により好ましくは少なくとも10倍大きい。
【0052】
同一の組成及び構成の未処理の医療用物品の湿潤時MVTRと比較した場合、本発明によるMVTR改質組成物で処理した医療用物品の湿潤時MVTRは、未処理の医療用物品よりも好ましくは少なくとも1.2倍(少なくとも20%)以上、好ましくは少なくとも3倍、更により好ましくは少なくとも5倍、及び更により好ましくは少なくとも10倍大きい。処理した医療用物品は、好ましくは少なくとも1200g/m/24時間、より好ましくは少なくとも3000g/m/24時間、更により好ましくは少なくとも7500g/m/24時間、更により好ましくは少なくとも15000g/m/24時間の、湿潤時MVTRを有する。医療用物品は異なる領域では異なるMVTR値を含み得る。
【0053】
PSA層は、2つの材料間の酸塩基相互作用の結果としての界面相互作用に起因してMVTR改質材料により改質される。この酸塩基相互作用は、ルイス酸−塩基型相互作用である。ルイス酸−塩基相互作用は、一方の化学要素が電子受容体(酸)であり、もう一方が電子供与体(塩基)であることが求められる。電子供与体は、非共有の電子対を提供し、電子受容体はその追加された非共有電子対を取り込んで1つの軌道系を充足することができる。以下の一般式は、ルイス酸−塩基相互作用を説明する:
A(酸)+:B(塩基)→A:B(酸−塩基複合物)
物品が水又は水分などの流体と接触していない場合には、MVTR改質材料は、PSA層に不混和性であるか、又はPSA層と不適合性である。したがって、流体が出現するまでに、MVTR改質材料が接着剤と反応することがないことは明白である。流体の存在下で、MVTR改質材料が接着剤層と相互作用する際、ルイス酸−塩基反応が生じ、MVTR改質材料と接触している部分の接着剤が中和される。この中和及びイオン結合の生成が、接着剤層の別個の部分の極性を増加させることで、MVTRの増加が生じる。本質的に、これは、「必要に応じた」(例えば、対象部位に乾いた状態で適用し、流体と接触させる)MVTR改質を可能にするものである。あるいは、パッケージングする前に医療用物品に流体(例えば水)を添加することもできる。
【0054】
MVTR改質材料によるPSAの改質は、PSA及びMVTR改質材料のそれぞれの特定の官能基とは独立している。すなわち、PSA又はMVTR改質材料のいずれもが、酸性官能基又は塩基性官能基を含有し得る。例えば、接着剤層内の酸性官能化ポリマーは、塩基性MVTR改質材料と対になることができる。あるいは、接着剤層の塩基性官能化ポリマーは、酸性MVTR改質材料と対になることができる。
【0055】
本発明の一実施形態では、MVTR改質材料は無機塩基を含む。無機塩基の好適な例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの無機塩基の水和物、又はこれらの組み合わせである。好ましい実施形態では、MVTR改質材料は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、又はこれらの水和物である。必要に応じて、様々な組み合わせを使用することができる。好ましくは、MVTR改質材料は、湿潤時MVTRを減少させるほどPSAポリマーを架橋するような多価カチオンではない。特定の実施形態では、MVTR改質材料は、25℃にて50mg/Lを超える水溶性を有する。
【0056】
本発明の他の実施形態では、MVTR改質材料は有機塩基である。好適な有機塩基としては、限定するものではないが、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、及びポリ(N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート)などのアミノ官能基を含有しているその他のポリマーが挙げられる。好適な有機塩基は、PSAと不適合性であるか、又はPSAに不混和性のものであるべきである。
【0057】
一部の実施形態では、MVTR改質材料は酸性官能基を含有する。酸性MVTR改質材料は、無機又は有機酸であり得る。好適な無機酸の例としては、限定するものではないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。有機酸を使用することもできるが、その場合、塩基性官能基を有するPSAと混和性/適合性ではないギ酸などの化合物に限定すべきである。好ましくは、有機酸は単官能性である。
【0058】
MVTR改質材料に加えて、MVTR改質層は更に、MVTR又はその他の特性の改良も補助することができるが、PSA中の酸性官能基又は塩基性官能基とは明らかに反応しない、PSAと不適合性/不混和性のその他の材料を含んでもよい。例えば、好適な材料としては、塩化ナトリウム及び塩化カリウムが挙げられる。
【0059】
本発明においてPSAに好適なポリマーは、中和時にイオン性官能基を生じる、酸性官能基又は塩基性官能基を含有するポリマーである。更に又はあるいは、PSA中の酸性基、又は酸性基の一部は、酸性官能性粘着付与剤又はその他の酸性官能性添加物をPSAのポリマーと混合することで組み込むことができる。このような基は、PSAポリマーの一部又はその他の添加物の一部のいずれであっても、同一であっても又は異なっていてもよい。同様にして、PSA中の塩基性基又は塩基性基の一部は、粘着付与剤又はその他の添加物をPSAのポリマーと混合することで組み込むことができる。このような基は、PSAポリマーの一部又はその他の添加物の一部のいずれであっても、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0060】
本発明で使用するとき、「酸性官能性ポリマー」は、例えば、少なくとも1つの酸性モノマーと少なくとも1つの非酸性の共重合可能なモノマー(すなわち、塩基により滴定できないモノマー)とから誘導され得る、酸性官能基を含むポリマーである。あるいは、ポリマーは酸性官能基を含むよう化学的に改質することもできる。酸性ポリマーは、得られるポリマーが更に塩基で滴定できる場合に限り、ビニルモノマー及び塩基性モノマーなどの他の共重合可能なモノマーを場合により含み得る。したがって、通常は酸性ポリマーの調製には塩基性モノマーよりも多量の酸性モノマーが使用される。任意の1つのポリマー中の酸性官能基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0061】
「塩基性官能性ポリマー」は、少なくとも1つの塩基性モノマーと少なくとも1つの非塩基性の共重合性モノマー(すなわち、酸により滴定できないモノマー)とから誘導され得る、塩基性官能基を含むポリマーである。あるいは、ポリマーは塩基性官能基を含むよう化学的に改質することもできる。他のモノマー(例えば、酸性モノマー、ビニルモノマー、及び(メタ)アクリレートモノマー)も、塩基性コポリマーが塩基性を保持できる限り(すなわち、更に酸で滴定ができる)、塩基性モノマーと共重合することができる。同様に、塩基性官能性ポリマーは、アミン含有ポリマーであってもよく、この場合、アミン基は主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖の両方に存在する。任意の1つのポリマー中の塩基性官能基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0062】
感圧接着剤層に近接している、又は感圧接着剤層と接触しているMVTR改質層の表面積内に制限されるPSA容量として定義される、所定の処理領域に関し、接着剤全体にわたってMVTRを増加させるために必要とされるMVTR改質材料の濃度は、所定の処理領域を中和するために利用できる接着剤の酸性/塩基性官能基に対する、MVTR改質材料の塩基性/酸性官能基の相対モル量に基づく。好ましくは、MVTR改質材料の、処理される所定の容量(すなわち、処理される表面積下の容量)あたりの接着剤中の合計の酸性/塩基性官能基に対するモル比は、0.1:1〜100:1の範囲であるべきである。より好ましくは、この比は0.2:1〜50:1であり、更により好ましくは0.4:1〜25:1である。
【0063】
一部の実施形態では、接着剤は、PSA 1グラムあたり0.42ミリモル超の酸性官能基又は塩基性官能基を含有し、この官能基はMVTR改質材料により中和することができる。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり少なくとも0.69ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、0.84ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.3ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.80ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも2.08ミリモルのこれらの官能基を含有する。最も好ましい実施形態では、接着剤は、1.3ミリモル〜2.5ミリモルのこれらの官能基を含有する。
【0064】
好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり5.6ミリモル以下のこれらの官能基を含有すべきである。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり4.2ミリモル以下のこれらの官能基を含有し、更により好ましくは、PSA 1グラムあたり2.8ミリモル以下のこれらの官能基を含有する。
【0065】
本発明の一部の実施形態では、MVTR改質材料は、PSA層に直接接触している。MVTR改質材料は、表面上に直接配置することができ、あるいは、足場部材に組み込んでもよく、これらのいずれの環境でも、PSA層の表面と接触しているMVTR改質層が創出される。MVTR改質層はPSA層の一部にまたがり連続的に延びてよく、又は別個の位置に配置されてもよい。本発明の更なる実施形態では、対象部位とMVTR改質層の間に、あるいは、PSA層とMVTR改質層の間に、濾過層を配置することができる。本発明の他の実施形態では、pHを改質させるために、対象部位とMVTR改質層の間にpH変換層が配置されている。一部の実施形態では、本発明の医療用物品はバッキング層(すなわちバッキング)を含み得る。他の実施形態では、MVTR改質層は、第一PSA層と第二PSA層の間に配置することができる。
【0066】
本明細書に記載の方法は、水性(すなわち水)溶液を用いて、MVTR改質材料を基材(例えば、PSA層、足場部材など)上に配置することを伴う。当業者に既知の他の溶媒も使用できることが同様に想定される。同様にして当業者により認識され得るように、この方法はMVTR改質組成物をそのまま(すなわち溶媒を用いずに)使用することもできる。
【0067】
図1及び図2aを始めとして、本開示の一実施形態による創傷用ドレッシングが示されている。図1は、創傷用ドレッシングの平面図であり、図2は図1の創傷用ドレッシングの側面図である。創傷用ドレッシング10は、バッキング層12、バッキング層12の片面上のPSA層14、及びPSA層14に部分的に取り付けられたMVTR改質層16を包含する。MVTR改質層16は、PSA層14の周辺18まで完全に延びず、PSA層14の曝露表面20の部分はMVTR改質層16と接触しない。一部の実施形態では、MVTR改質層とPSA層が同一の広がりを持つように、MVTR改質層がPSA層の周辺まで延びることが同様に想到される。
【0068】
図1及び図2aに示される実施形態によると、MVTR改質層16は、足場部材22、及び足場部材22の表面に組み込まれた又は表面上に堆積されたMVTR改質材料24から構成される。足場部材に有用な例示的材料を、以下に詳述する。図2aに示されるように、MVTR改質層16は、PSA層14上の部分に上の層である。MVTR改質層16は、PSA層14の表面上の中央に位置してよく、又は任意の方向にオフセットされていてもよい。ドレッシング中央に対するMVTR改質層16の位置は、対象部位の性質及び位置、並びに改質接着剤層14の意図される適用法により決定され得る。所定の処理領域は、PSA層14の表面に接触している又は取り付けられた、MVTR改質層16の部分により画定される。この限定された接触領域と、反応基の相対モル濃度により、MVTR改質材料24によるPSA層14全体の改質を防止することができる。処理領域内に、対象とする改質を行うことで、流体と接触させる際にも皮膚に対する所望の接着性をPSA層14の部分に保持させることができる。
【0069】
MVTR改質材料は、所望の官能性を基材に加えるために、任意の好適な方法により、足場部材に浸透させることができ、又は足場部材上に堆積させることができる。図2aは、MVTR改質材料24を足場部材22に浸透させた前出の実施形態を示すものである。一実施形態では、足場部材は、MVTR改質材料をある濃度で含有している水溶液中で浸漬コーティングされる。足場部材を飽和させ、次いで水溶液を吸引する。次いで足場部材を乾燥させる。PSA層と接触させて配置する際に、足場部材がある程度の水分を保持していることも更に想到される。
【0070】
図2bは、MVTR改質材料24が足場部材22の表面上に堆積している別の実施形態を示す。このような実施形態では、MVTR改質材料は、足場部材22に不均一にコーティングされているないしは浸透している。一実施形態では、足場部材は、MVTR改質組成物をある濃度で含有している水溶液中で浸漬コーティングされる。足場部材を飽和させ、次いで水溶液を吸引する。前述の方法で使用される水溶液は、更に、乾燥時に容易に除去される、ある濃度のC1〜C4アルコールを含んでもよい。
【0071】
MVTR改質材料は足場部材の表面上に又は接着剤層に任意の数のパターン(限定するものではないが、別個のウェル、並行の列又は段、及び交差型メッシュネットワークが挙げられる)で配置することもできる。これらの同様の方法を使用して、MVTR改質材料をPSA層に直接適用することもできる。
【0072】
本発明の更なる実施形態では、MVTR改質材料の組み込みは、溶液、純粋な材料で表面をコーティングすることで、又はこれらを基材に含浸させることで、又は粒子をウェブに充填することで達成できる。これらのコーティング又は含浸方法としては、フラッドコーティング、スプレーコーティング、グラビアロールを用いるパターンコーティング、ナイフコーティング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、粉末コーティング、又はウェブの粒子充填が挙げられる。
【0073】
一度足場部材22にMVTR改質材料24を含浸させるか又は足場部材22をMVTR改質材料24でコーティングすると、変換、積層、コーティング及び/又はニードルタッキング(needle tacking)といった当業者に既知の方法により、MVTR改質層16をPSA層14に取り付けることができる。
【0074】
あるいは、又は更に、MVTR改質材料をPSA層及び/又はバッキング層に直接適用することもできる。例えば、MVTR改質材料をコーティングしたバッキング上に、PSAを直接積層又はコーティングすることもできる。アイランド型ドレッシングに関しては、MVTR改質材料を含有している個々のパッドをウェブから切り出し、回転反転又はその他の既知の反転方法を用い、接着剤をコーティングしたバッキング上に配置することもできる。多層製品に関しては、積層及び回転反転及び当業者に既知のその他の反転方法など、接着剤層にMVTR改質材料を取り付ける様々な方法がある。
【0075】
図3a及び3bは、本発明の追加の実施形態を示す。創傷用ドレッシング30は、接着剤層34及びMVTR改質層36に加えて濾過層32を更に含んでもよい。前出の実施形態のMVTR改質層16のように、MVTR改質層36は、足場部材38及びMVTR改質材料40を含む。最初は濾過層32にはMVTR改質材料は組み込んでいないが、使用時には、MVTR改質材料は濾過層32中に及び濾過層32を通って移動し得る。
【0076】
図3aに示される実施形態では、濾過層32は接着剤層34とMVTR改質層36の間に配置されている。したがって、MVTR改質層36と、MVTR改質材料40のバルクは、まず始めに対象部位に創傷用ドレッシングを配置する際には接着剤層34と接触していない。創傷又はその他の対象部位により流体が生じ及び滲出するにつれて、MVTR改質材料40は、流体と共に濾過層32を通過して接着剤層34に移動することができる。使用前に、環境湿度が少量のMVTR改質材料40を濾過層32内に移動させ得ることも同様に想到される。濾過層32は、創傷又は他の対象部位から生じる流体中に存在し得る分子を選択的に濾過させるために使用することもできる。上記濾過は、例えば、特別に設計された多孔により物理的に生じ得る。
【0077】
図3bは、MVTR改質層36の、対象部位に面する側(例えば創傷側)に濾過層32が配置されている、本発明の代替的な実施形態を示す。このような実施形態では、濾過層32は、MVTR改質材料40が、接着剤層34と相互作用する前に中和されること又は失活することを低減させるために提供される。濾過層32は、創傷又は他の対象部位から生じる流体中に存在し得る分子を選択的に濾過させるために使用することもできる。上記濾過は、例えば、特別に設計された多孔により物理的に生じ得る。図3aに示されるように、第2濾過層が、接着剤層34とMVTR改質層36の間に配置され得ることが同様に想到される。濾過層32は、あるいは又は更に、pH変換層にもなり得る。
【0078】
図4を参照すると、別の実施形態は、MVTR改質層36と対象部位の間に配置されているpH変換層42を包含する。pH変換層42は、pH変換材料46を含む。一部の実施形態では、pH変換材料46は、MVTR改質材料40のpKa又はpKbとは異なるpKa又はpKbを有する。pH変換材料としては、クエン酸、ポリアクリル酸、当業者に既知の他のpH変換材料、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。例えば、pH変換層42は、クエン酸を含んでもよく、MVTR改質材料は炭酸ナトリウムであってもよい。pH変換材料46を有するpH変換層42を医療用物品に包含させることで、流体が層を通過するにつれて流体の全体的なpHが変化することを減少させるための緩衝能を提供することができる。理論に束縛されるものではないが、この実施形態では、pH変換層42は、MVTR改質材料40が、逆に対象部位のpHを改質することを防止することもできる。図4には示されていないが、pH変換層42は、MVTR改質層の周辺を超えて延びてもよく、接着剤層34に取り付けられてもよい。
【0079】
濾過層32及び/又はpH変換層42は、足場部材38として同様の又は類似の材料を含んでもよい。濾過層32及び/又はpH変換層42は、異なる材料を含んでもよいが、好ましくはどちらか1層は吸水能を持つ。上記の様々な方法を用いて、pH変換材料46を第2足場部材44中に組み込んでもよく、又は第2足場部材44の表面上に堆積させてもよい。
【0080】
図5は、本発明の一実施形態による創傷用ドレッシングを示す。これまでに記載した他の実施形態とは異なり、創傷用ドレッシング50はMVTR改質層56を非連続的に包含する。図5に示されるように、MVTR改質層56は、接着剤層54の別個の部分の上の2つ以上の足場部材(58、60)から構成される。いずれの足場部材(58、60)にも、MVTR改質材料(62、64)を組み込むことができる。第1足場部材58に組み込まれているMVTR改質材料64は、第2足場部材60に組み込まれているMVTR改質材料62と同様であってよく、その結果、MVTR改質材料(62、64)に曝露された接着剤層54のMVTRは、本質的に同様である。同様に、2つのMVTR改質材料(62、64)が異なっている場合、あるいは異なる濃度で存在している場合も想到され、その結果、接着剤層54の部分は、異なるMVTR有し得る。
【0081】
本発明の構想は、外科用テープ又は類似する物品を創出するために用いることもできる。図6は、そのような実施形態を示す。外科用テープ68は、バッキング層70、及びバッキング層70の片面上の感圧接着剤層72を包含する。MVTR改質材料74は、上記の方法によりバッキング層70に組み込まれている。
【0082】
代替的な実施形態では、MVTR改質材料は、PSA層の表面上に直接付着、コーティング、又は堆積させることもできる。図7に示されるように、医療用物品80は、バッキング層82上に配置されたPSA層84を含む。MVTR改質層85は、MVTR改質材料86の別個の部分を含むが、対象部位に面する足場部材は含まない。あるいは又は更に、PSA層84はまた、PSA層84とバッキング層82の間の表面の別個の部分の上にMVTR改質材料86の区画を含んでもよい。図示されないが、この実施形態が、接着剤層84の対象部位に面する表面に取り付けられた、濾過層を含むことも想到される。
【0083】
MVTR改質材料86は、上記の様々な方法により(限定するものではないが、パターンコーティング、スプレーコーティング、及び粉末コーティングが挙げられる)、接着剤層84と接触させて配置することもできる。操作中、このMVTR改質方法により、足場部材を包含させることなく、水分透過性及び接着性を、選択的に及び局部的に改質することができる。
【0084】
図8は、MVTR改質層94がバッキング層92とPSA層96の間に配置されている、本開示の別の実施形態を示す。MVTR改質層94は、足場部材(図示せず)及びMVTR改質材料を含み得る。MVTR改質層94は、接着剤層96の表面全体に沿って延ばすことができる。PSA層96とバッキング層92を、MVTR改質層94の周辺を超えて延ばすこともできることが同様に想到される(図示されない)。
【0085】
バッキング層92を、MVTR改質層94上に直接押し出すこともできる。次いでMVTR改質層とバッキング層との構成体を、PSA層96上に直接積層することもできる。押出及び積層の例示的な方法は、例えば、欧州特許第1 255 575号に見出すことができる。
【0086】
本開示の更なる実施形態を図9に示す。創傷用ウィック(wound wick)100は、2つのPSA層(106、108)に操作可能に取り付けられた2つのバッキング層(102、104)を含み得る。PSA層106はPSA層108に積層ないしは取り付けることができ、その結果、バッキング層及びPSA層はMVTR改質層110を部分的に取り囲む。創傷用ウィック100は、MVTR改質層110の曝露部分112を特徴とする。
【0087】
本開示の更なる実施形態は、MVTR改質層、PSA層、及びバッキング層を含むキット(図示せず)である。MVTR改質層は、MVTR改質材料を含む足場部材を含み得る。PSA層は、バッキング層に積層ないしは取り付けることができる。PSA及びバッキングとは別個に足場部材を提供することもできる。好ましくは、足場部材は使用前にPSA層表面と接触しない。PSA層の表面上、バッキング層の表面上、あるいはいずれかに近接させて、任意の所望の位置に足場部材を配置することもできる。同様に、所望される場合には足場部材の形状及び/又は大きさは変更することができる。MVTR改質材料は、別個に(すなわち足場部材は存在させずに)提供することもできることが同様に想到され、その結果、MVTR改質材料は、実施者によりPSA層の表面上に直接堆積、コーティング、又は配置することができる。
【0088】
本発明の範囲を超えることなく、その他の要素を本発明の前述の実施形態に加えることもできる。例えば、対象部位とMVTR改質層の間に吸収層を配置することもできる。吸収層は、1層以上の詰め物(限定するものではないが、ポリマーフィルム、ゲル、アルギン酸塩、及びフォーム)を含むことができる。例示的な吸収性フォームは、米国特許第6,548,727号(Swenson)に記載されている。一実施形態では、吸収層は、3M Company(St.Paul,MN)から商品名TEGADERMで入手可能なフォーム系接着剤ドレッシングで使用される、フォームを含む。
【0089】
吸収層がパッドを含む一実施形態では、吸収性パッドは、バッキング層及びPSA層が吸収性パッド周辺を少なくとも一部分を実質的に超えて延び、典型的には吸収性パッドの全周を超えて延びることから、しばしば「アイランドパッド」と呼ばれる。例えば、吸収性パッドの直径は7.5cmであり得、同時にこのパッドのバッキングは直径12.5cmであり得る。
【0090】
バッキング層は、1mm以下の厚みを有する透明な弾性ポリマーフィルム(例えばウレタン)を含むことができる。この実施形態のバッキング層構成体は、構成体が支持層(下記に更にきさいされるものなど)又は吸収性パッドによって適切に支持されない箇所で、自身に折り重なることがないように、十分に剛性であるべきである。バッキング層部分は、0.012mm(12マイクロメートル)程度の薄さであり得る。
【0091】
更に本発明の実施形態は、例えば、熱封止結合により又は接着剤の使用によりバッキング層に少なくとも部分的に固定された支持層を含み得る。支持層により、創傷用ドレッシングを患者上により容易に配置することができる。好適な支持層の例は、米国特許第6,838,589号(Liedtke et al.)及び第5,738,642号(Heinecke et al.)、及び同時係属中の特許出願第11/463,853号(Holm et al.)に見出すことができる。
【0092】
本発明の特定の実施では、支持層は、図10に示すように、概してドレッシングの中央から放射状に伸びる複数の延長部を備える、実質的に放射状の配置を有する。支持層は、創傷ドレッシングの接着剤周囲に沿って延長部によって互いに分離した、接着剤バッキング層の交互になっている複数の非被覆部分を形成する。支持層は、ポリマーフィルムなどの材料の単一片であることができ、又は2つ以上の別個の片であることができる。
【0093】
本発明の医療用物品は、対面層(facing layer)を含み得る。任意選択的な対面層は、対面基材、及び対面層の対象部位に面する(例えば、創傷に面する)表面上の対面接着剤の層を含む。対面層は液体透過性であり、例えば創傷滲出液を透過させることができる。対面層は、創傷表面由来の滲出液を他の層に導くための、対面層を介して形成される開口部を含むことができる。開口部は、液体に対面層を通過させるのに十分に大きい、スリット、空隙、又は他の開口部として提供することもできる。
【0094】
場合により、医療用物品を患者に固定するのを補助するために、対面接着剤を含ませる。一実施形態では、対面接着剤は対面層と実質的に同一の広がりを持ち、すなわち、対面接着剤は対面層の創傷に面する表面全体を実質的に覆う。このような構成体では、好ましくは開口部は対面基材と対面接着剤の両方を通って延びるものであることが理解される。しかしながら、対面接着剤は、対面基材に提供されなくても、あるいは対面基材の部分のみに提供されてもよいことは理解されるであろう。例えば、対面接着剤は対面基材のおよそ周辺にストリップ状にコーティングされてよく、あるいは対面基材上にパターンコーティングされてもよい。対面層と対面接着剤とは、追加の要素を間に配置したバッキング層及びPSA層と同一の広がりを持ち得ることも更に想到される。
【0095】
本発明の医療用物品は、創傷用ドレッシングが使用可能になるまで接着剤層を保護するためのキャリアフィルムも含み得る。取り外しを容易にするため、キャリアフィルムは、支持層の端部上に突き出すタブを有してもよい。例えば、キャリアフィルムは医療用物品の、患者に適用される側の表面を覆う。使用者がドレッシングを適用準備するまでの間、キャリアフィルムは医療用物品に付着したままである。キャリアフィルムは、単一片若しくは複数片の剥離ライナであってもよく、ドレッシングを収容するパッケージ(図示なし)の一部であるか、又はそれに積層されるか、あるいは単にパッケージ内にドレッシングと共に同封されてもよい。キャリアフィルムは、創傷用ドレッシングを保管及び輸送する間、接着剤を清浄に保つ。
【0096】
キャリアフィルム、支持層、及び吸収層を組み込んでいる、例示的な創傷用ドレッシングを、図10及び11に示す。創傷用ドレッシング115は、第1及び第2主表面を備えるバッキング層118を含む。PSA層120はバッキング層の第2主表面に操作可能に取り付けられ、支持層116は第1主表面上に配置されている。MVTR改質層122は、PSA層120の一部分に操作可能に取り付けられる。吸収布124及び吸収性フォーム126を包含する吸収層を、MVTR改質層122の、PSA層120とは反対側の表面上に配置する。図示されるように、吸収性フォーム126はMVTR改質層122の周辺を超えて延びるものの、PSA層120の周辺までは延びない。吸収層がPSA層120と同一の広がりを持ち得ることも、同様に想到される。キャリアフィルム128は、吸収性フォーム126の、対象部位に面する側に配置され、かつ接着剤層120の周辺まで延びる。図示はしないが、キャリアフィルムはPSA層120に積層することもでき、その結果、吸収層及びMVTR改質層122をそれらの間にはさみ込むことができる。
【0097】
本発明の創傷用ドレッシングは、少なくとも2要素で提供(すなわちパッケージ化)できることも想到される図10及び11に示される要素から構成される一実施形態では、第1構成要素は、支持層、バッキング層、PSA層及びキャリアフィルムを含み得る。第2構成要素は、MVTR改質層と吸収層を含み得る。第1及び第2構成要素は別個にパッケージングないしは別個に提供することができ、この場合、少なくとも2つの構成要素を操作可能に取り付けるまでは、MVTR改質層のどの部分もPSA層と接触又は近接しない。pH変換層及び濾過層などの他の要素を、本発明の範囲から逸脱することなく、上記構成要素に包含させることができる。
【0098】
当業者が理解するように、本明細書において記載される創傷用ドレッシングの様々な実施形態の態様を加えるか、又は差し引くため、他の実施が適切である。例えば、バッキング層は、本発明から外れることなく、又は本明細書で使用される用語「フィルム」の意味から逸脱することなく、複数のフィルム若しくはコーティングであることができる。同様に、吸収性パッドは、フィルム、ウェブ、シートなどが挙げられる多数の副層を含み得る。また、他の材料の追加的な層及びフィルムを、本発明から逸脱することなく、本明細書に記載の材料の間に追加することができる。
【0099】
本発明に使用することのできる、様々な構成要素の更なる態様を以下に詳述する。
【0100】
支持層
支持層を使用する場合、支持層を形成するのに使用される材料は、患者への適用時にバッキング層に不適切にしわが寄るのを防ぐため、概して実質的にバッキング層よりも堅い。支持層は、当該技術分野において周知の低接着性コーティングを用い、又はこれらは用いずに、バッキング層に熱封止可能なものであり得る。広くは、支持層材料としては、ポリエチレン/ビニルアセテートコポリマーでコーティングされた紙、及びポリエステルフィルムを挙げることができるが、これらに限定されない。好適な支持層材料の一例は、ポリエチレン/ビニルアセテートコポリマーでコーティングされた、超カレンダー処理されたクラフト紙(例えばLoparex(Dixon,IL)から)である。
【0101】
支持層は、患者にドレッシングを適用した後に、支持層の部分を分離するのを補助する穿孔を包含することができる。穿孔の間隔及び形状は、適用されたドレッシングから支持層を取り除く際の、比較的容易な引き裂き性能を有する支持層を提供するために調節される。穿孔は、線状、角度付き、Y字形状、2つの角度付きオフセット、正弦波形状などの、許容された穿孔パターンのいずれに従って成形されてもよい。
【0102】
本発明に使用することができる、支持層構成体の例示的な実施形態は、米国特許第5,738,642号(Heinecke et al.)、及び同第6,838,589号(Liedtke et al)に更に記載される。
【0103】
バッキング層
本明細書ではバッキングとも呼ばれるバッキング層は、典型的には、液体不透過性で水蒸気透過性のポリマーフィルムを含むが、このフィルムとしては、好ましくは、液体不透過性で、水蒸気透過性のポリマーフィルムと組み合わせて使用される、様々な他の材料を挙げることができる。液体不透過性で、水蒸気透過性のポリマーフィルムは、適合性のある有機ポリマー材料であり、好ましくは多湿環境下で構造一体性を保持するものである。本明細書において、「適合性のある」フィルムは、身体部分の表面が動くのに伴ってフィルム表面が動く場合でさえ、身体表面とぴったりと一致するフィルムである。好適なフィルムは水蒸気を透過させるような組成及び厚みを有する。フィルムは、ドレッシングの下の創傷領域からの、水蒸気の損失を調整するのを補助する。フィルムはまた、バクテリア及び液体水又はその他の液体の両方に対するバリアとしても機能する。
【0104】
本発明において、バッキング層として使用される水蒸気透過性ポリマーフィルムは、様々な厚みを持つことができる。好ましくは、ポリマーフィルムは少なくとも厚さ10マイクロメートル(ミクロン)であり、より好ましくは少なくとも厚さ12マイクロメートルである。好ましくは、ポリマーフィルムは厚さ250マイクロメートル以下であり、より好ましくは厚さ75マイクロメートル以下である。更に、ポリマーフィルムは、所望の特性を持つように調整した1つ以上の層を含むことができる。これらの層は、例えば、本明細書に記載されるように、フィルム及び物品の特性の全てが満たされるならば、共押出することができ、及び/又は接着剤層により一緒に接着することもできる。
【0105】
好ましくは、本発明のバッキング層に使用するのに好適なフィルムは、異なる水蒸気透過性を有する。好ましくは、好適なフィルムは、フィルムの乾燥時MVTRが湿潤時MVTRよりも小さい。好ましくは、好適なフィルムは、少なくとも300g/m/24時間の乾燥時MVTRを有し、かつ少なくとも3000g/m/24時間の湿潤時MVTRを有する。好ましくは、フィルムは10,000g/m/24時間を超える湿潤時MVTRを有し、より好ましくは15,000g/m/24時間を超える湿潤時MVTRを有する。フィルムは、物品についての上記方法を用いて試験することができる。
【0106】
バッキング層の、液体不透過性で、水蒸気透過性のポリマーフィルムに好適な材料の例としては、合成有機ポリマーが挙げられ、限定するものではないが、B.F.Goodrich(Cleveland,OH)から市販の商品名ESTANEのポリウレタン(例えば、ESTANE 58237及びESTANE 58245);Elf Atochem(Philadelphia,PA)から市販の商品名PEBAXのポリエーテルアミドブロックコポリマー(例えば、PEBAX MV 1074);DuPont(Wilmington,DE)から市販の商品名HYTRELのポリエーテル−エステルブロックコポリマー;及びDSM Engineering Plastics(Evansville,IN)から市販の商品名ARNITEL VTの熱可塑性エラストマーが挙げられる。ポリマーフィルムは、1種以上のモノマー(例えば、コポリマー)、又はポリマー混合物(例えば、ブレンド)から製造することができる。好ましい材料は熱可塑性ポリマーであり、例えば熱に曝露した際に軟化し、かつ冷却すると元の状態に戻るポリマーである。特に好ましい材料は熱可塑性ポリウレタンである。
【0107】
本発明の医療用物品のバッキングは、例えば、不織布、織布、及びニットウェブ、多孔質フィルム(例えば、穿孔により提供される、マクロ多孔質構造体)、フォーム、紙、又はその他の既知のバッキングが挙げられる、その他の通気性材料を含むことができる。好ましいバッキングは、液体不透過性で、水蒸気透過性のポリマーフィルムと、水蒸気透過性不織布ウェブとの組み合わせを含む。この組み合わせは、構造一体性を強化し、ドレッシングの美観を改善するなどのその他の利点を有し得る。フィルム及びウェブのこれらの層は、同一の広がりを持っていても、持っていなくてもよい。好ましいこのような不織布ウェブは、溶融加工したポリウレタン(Morton International(Seabrook,NH)から商品名MORTHANE PS−440で入手可能なものなど)、又は水流交絡不織布ポリエステル又はレーヨン−ポリエステルウェブ(DuPont(Wilmington,DE)から商品名SONTARA 8010又はSONTARA 8411で入手可能なものなど)である。
【0108】
低接着性コーティング(低接着性バックサイズ又はLAB)を、バッキング層の、支持層と接触させることになる面上に提供することもできる。低接着性コーティングにより、他のテープ若しくはデバイスがドレッシング上に配置され、取り外されたとき、不必要なドレッシングの取り外しによってドレッシングを交換する必要性が低減され、リネン若しくは他の布地上でのドレッシングの表面摩擦が低減され、それによってドレッシングが偶発的に外れることに対する追加的な保護が提供される。本発明で使用するのに好適な低接着性バッキング材料に関する記載は、米国特許第5,531,855号及び第6,264,976号に見出すことができる。
【0109】
感圧接着剤
接着性にするために、様々なPSAを使用してバッキング層12上に接着剤層14を形成することができる。例えば、PSAは、良好な皮膚接着特性を提供するため、優れた適合性を提供するため、及び皮膚と創傷部位からの穏やかな剥離を提供するために、処方することができる。PSA層は例えば連続コーティング、不連続コーティング、パターンコーティング、又はメルトブローすることができる。
【0110】
PSAを識別する1つの周知手段は、ダルキスト(Dahlquist)基準である。この基準は、Handbook of PSA Technology(Donatas Satas(ED),2nd Edition,p.172,Van Nostrand Reinhold,New York,NY,1989)に記載されるように、PSAを、1×10−6cm/ダイン(1E−7Pa)を超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義する。あるいは、弾性率は一次近似まではクリープコンプライアンスの逆数であるため、PSAは1×10ダイン/cm(100kPa)未満のヤング率を有する接着剤として定義されてもよい。PSAを識別するための別の周知の技術は、それが室温で強烈でかつ永久的な粘着性であり、並びに指又は手の圧力を超える必要のない単なる接触だけで多様な異種表面にしっかりと接着し、並びにGlossary of Terms Used in the Pressure Sensitive Tape Industry(Pressure Sensitive Tape Council,1996年)に記載されるように、残留物を残すことなく滑らかな表面から取り外され得るということである。好適なPSAの他の好適な定義は、それが、好ましくは、25℃における弾性率対振動数のグラフにプロットしたときに以下の点によって定義される領域内の室温貯蔵弾性率を有することである:振動数約0.1ラジアン/秒(0.017Hz)においておよそ2×10〜4×10ダイン/cm(20〜40kPa)の弾性率範囲、及び周波数約100ラジアン/秒(17Hz)においておよそ2×10〜8×10ダイン/cm(200〜800kPa)の範囲(例えば、Handbook of PSA Technology(Donatas Satas Ed.2nd Edition,Van Nostrand Reinhold,New York,1989)の173頁の図8〜16を参照のこと)。PSAを識別するこれらの方法のいずれかを使用して、本発明の方法で使用するのに好適なPSAを識別することができる。
【0111】
本発明で有用なPSAの例としては、ゴム系接着剤(例えば、粘着力の高い天然ゴム、合成ゴム、及びスチレンブロックコポリマー)、(メタ)アクリル(すなわち(メタ)アクリレート)、ポリ(α−オレフィン)、ポリウレタン、及びシリコーンが挙げられる。主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖の両方にアミン基を有するアミン含有ポリマーも使用することができる。好適な例としてはポリ(エチレンイミン)が挙げられる。
【0112】
一部のポリマーは、所望の量の酸性官能基又は塩基性官能基を含むよう化学的に改質することもできる。あるいは、ポリマーは、酸性又は塩基性官能性モノマーから作製することができる。あるいは又は更に、PSAは、粘着付与剤、可塑剤、又はその他の接着剤などの、酸性又は塩基性官能性添加物を含むことができる。
【0113】
有用な天然ゴムPSAは、概して素練り天然ゴム、100部の天然ゴムあたり25部〜300部の1種以上の粘着付与樹脂、及び典型的には0.5〜2.0部の1種以上の酸化防止剤を含有する。天然ゴムは、薄青色のクレープグレードからより色の濃いリブ付きスモークシートまでのグレードであってよく、粘度調節ゴムグレードのCV−60、及びリブ付きスモークシートゴムグレードのSMR−5などの例が挙げられる。天然ゴムと共に使用される粘着付与樹脂としては、限定するものではないが、一般にウッドロジン及びその水素添加された誘導体、様々な軟化点のテルペン樹脂、及び石油系樹脂、が挙げられる。特別な目的のためにその他の材料を天然ゴム系接着剤に添加することもでき、添加物としては、可塑剤、顔料、及びPSAを部分的に加硫処理するための硬化剤を挙げることができる。酸性改質粘着付与剤の例としては、米国特許第5,120,781号に記載のような、酸性改質多価アルコールロジンエステル粘着付与剤が挙げられる。
【0114】
他の有用なPSAとしては、合成ゴム系のものが挙げられる。そのような接着剤は一般的にゴムのようなエラストマーであり、それらは自己粘着性であるか又は非粘着性で粘着付与剤を必要とするかのいずれかである。酸性改質粘着付与剤の例としては、米国特許第5,120,781号に記載のような、酸性改質多価アルコールロジンエステル粘着付与剤が挙げられる。自己粘着性の合成ゴム系PSAとしては、例えば、イソブチレンと3%未満のイソプレンとのコポリマーであるブチルゴム、イソプレンのホモポリマーであるポリイソブチレン、ポリブタジエン、又はスチレン/ブタジエンゴムが挙げられる。
【0115】
概して粘着付与剤を必要とする合成ゴム系PSAもまた、通常、溶融プロセスに容易なものである。合成ゴム系PSAはポリブタジエン又はスチレン/ブタジエンゴム、10部〜200部の粘着付与剤、及び概してゴム100部あたり0.5部〜2.0部の酸化防止剤を含む。合成ゴムの一例は、BF Goodrichから商品名AMERIPOL 101 IAで入手可能なスチレン/ブタジエンゴムである。有用な粘着付与剤としては、ロジン誘導体、ポリテルペン、C5脂肪族オレフィン誘導樹脂、及びC9芳香族/脂肪族オレフィン誘導樹脂が挙げられる。
【0116】
スチレンブロックコポリマー系PSAは、一般にA−B又はA−B−Aタイプのエラストマーを含有し、ここでAは可塑性ポリスチレンブロックを表し、Bはポリイソプレン、ポリブタジエン、又はポリ(エチレン/ブチレン)のゴム状ブロック及び樹脂を表す。ブロックコポリマー系PSAに有用な、様々なブロックコポリマーの例としては、直鎖、ラジカル、星形(star)、及びテーパ形状スチレンイソプレンブロックコポリマーが挙げられ、このようなブロックコポリマーは、Shell Chemical Co.から商品名KRATON D 1107P、KRATON G1657、KRATON G 1750X、及びKRATON D 1118Xで入手可能である。ポリスチレンブロックは、ブロックコポリマー系PSAを2相構造にさせる、球、円柱、又は平板形状のドメインを形成する傾向がある。ゴム相に関連する樹脂は一般にPSAにおいて粘着性を発現する。ゴム相に関連する樹脂の例としては、脂肪族オレフィン由来樹脂(例えば、Goodyearから商品名ESCOREZ 1300及びWINGTACKで入手可能なものなど);ロジンエステル(例えば、Hercules,Inc.から商品名FORAL及びSTAYBELITE Ester 10で入手可能なものなど);水添炭化水素(例えば、Exxonから商品名ESCOREZ 5000で入手可能なものなど);ポリテルペン(例えば、商品名PICCOLYTE Aで入手可能なものなど);及び石油又はテルペンチン(terpentine)供給源から誘導されるテルペンフェノール樹脂(例えば、Hercules,Inc.から商品名PICCOFYN A100で入手可能なものなど)が挙げられる。熱可塑性相と関連する樹脂は、PSAを硬化させる傾向がある。
【0117】
本発明の好ましいPSAでは、アクリレート及びメタクリレートのモノマー及びポリマーを使用することができ、本明細書において、これらのモノマー及びポリマーは総じて「(メタ)アクリレート」又は「(メタ)アクリル」モノマー及びポリマーと呼ぶ。(メタ)アクリレートポリマーはコポリマーであり、例えば、ビニル不飽和モノマーのような、(メタ)アクリレートモノマーではない他のモノマーと任意で組み合わせられ得る。このようなポリマーとそれらのモノマーは、ポリマー及び接着剤分野ではよく知られており、このモノマーとポリマーを調製する方法も同様である。このようなポリマーが粘着性を付与するのに有用であり得ること、及び本明細書中に記載されている接着剤の提供において、それらを使用することを当業者は理解しかつ認識するであろう。
【0118】
(メタ)アクリルPSAは、概して約−20℃以下のガラス転移温度を有し、100〜60重量パーセントのC4〜C12アルキルエステル成分(例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート、及びn−ブチルアクリレートなど)、及び0〜40重量パーセントの極性成分(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン及びスチレンマクロマーなど)を含み得る。
【0119】
(メタ)アクリルPSAを調製するのに好適な酸性モノマーとしては、カルボン酸官能基を含有するもの(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及び同様物など);スルホン酸官能基を含有するもの(例えば2−スルホエチルメタクリレートなど);及びホスホン酸官能基を含有するものが挙げられる。好ましい酸性モノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
【0120】
酸性コポリマーにおいて追加的に有用な酸性モノマーとしては、限定するものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和スルホン酸、エチレン系不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されたものが挙げられる。このような化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及び同様物、及びこれらの混合物から選択されたものが挙げられる。
【0121】
それらの入手可能性ゆえに、本発明の酸性モノマーは、典型的には、エチレン系不飽和カルボン酸である。更により強酸を所望の場合、酸性モノマーとしては、エチレン性不飽和スルホン酸及びエチレン性不飽和ホスホン酸が挙げられる。一般にスルホン酸及びホスホン酸によって塩基性ポリマーとのより強い相互作用が得られる。このより強い相互作用によって、接着剤の凝集力、並びに高温耐性及び耐溶剤性を格段に向上させることができる。
【0122】
(メタ)アクリルPSAを調製するのに好適な塩基性モノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノ−エチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びN−t−ブチルアミノエチルメタクリレートなどの、アミン官能基を含有しているものが挙げられる。好ましい塩基性モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートが挙げられる。
【0123】
(メタ)アクリルPSAは自己粘着性であってよく、粘着化されてもよい。(メタ)アクリルPSAに有用な粘着付与剤は、ロジンエステル(例えば、Hercules,Inc.から商品名FORAL 85で入手可能なものなど)、芳香族樹脂(例えば、Hercules,Inc.から商品名PICCOTEX LC−55WKで入手可能なものなど)、脂肪族樹脂(例えば、Hercules,Inc.から商品名PICCOTAC 95で入手可能なものなど)、及びテルペン樹脂(例えば、Arizona Chemical Co.から商品名PICCOLYTE A−115及びZONAREZ B−100で入手可能なものなど)である。水添ブチルゴム、顔料、及び硬化剤が挙げられる他の材料も、接着剤を部分的に加硫処理するなどの特別な目的のために加えることができる。酸性改質粘着付与剤の例としては、米国特許第5,120,781号に記載のような、酸性改質多価アルコールロジンエステル粘着付与剤が挙げられる。
【0124】
ポリ(α−オレフィン)系PSAは、ポリ(l−アルケン)系PSAとも呼ばれ、概して、米国特許第5,209,971号(Babu,etal.)に記載のような、グラフト化された放射活性化可能な官能基を有し得る、実質的に未架橋のポリマー又は未架橋のポリマーのいずれかを含有する。ポリ(α−オレフィン)ポリマーは、接着特性を改善するだけでなく、この用途に必要とされる、必須酸性又は塩基性官能基も提供する1つ以上の粘着付与材料を含むことができる。粘着付与材料は、典型的にはポリ(α−オレフィン)ポリマーと混和性の樹脂である。ポリ(α−オレフィン)ポリマー中の粘着性付与樹脂の合計量は、具体的な用途に応じ、ポリ(α−オレフィン)ポリマー100部あたり0〜150重量部の範囲である。有用な粘着付与樹脂としては、C5〜C9の不飽和炭化水素モノマー、ポリテルペン、合成ポリテルペン、及び同様物などの重合により誘導される樹脂が挙げられる。この種類のC5オレフィン部分に基づくこのような市販の樹脂の例としては、Goodyear Tire and Rubber Co.から商品名WINGTACKで入手可能のものが挙げられる。特別な目的のために、抗酸化剤、充填剤、顔料、及び放射線により活性化できる架橋剤などのその他の材料を添加することができる。
【0125】
他の有用なPSAの部類としては、ポリウレタンを挙げることができる。ポリウレタンは、ポリイソシアナートをポリアルコール(ポリオール)と反応させることで生成することができる。本明細書に記載のように、ポリイソシアナートは2つ以上のイソシアナート官能基を有する分子であり、ポリアルコールは2つ以上のヒドロキシル官能基を有する分子である。反応生成物は、ウレタン結合を含有するポリマーである。官能基はアルカン、エステル、エーテル、及びその他の成分であり得る。
【0126】
イソシアナートは、芳香族(例えば、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)又はトルエンジイソシアナート(TDI)など)、又は脂肪族(例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)又はイソホロンジイソシアナート(IPDI)など)として分類することができる。ポリマーイソシアナートの一例は、ポリマージフェニルメタンジイソシアナートであり、イソシアナート基を2個、3個、及び4個又はそれ以上有する分子のブレンドであり、平均官能基は2.7である。イソシアナートは、部分的にポリオールと反応させて、プレポリマーを形成することで、更に改質することができる。イソシアナートとヒドロキシル基の化学量論比が2:1を超える場合、類似するプレポリマーが形成される。化学量論比が2:1の場合に純粋なプレポリマーが形成される。イソシアナートの重要な特性としては、分子主鎖、NCO含量(%)、官能基、及び粘度が挙げられる。
【0127】
ポリオールは、短鎖又は低分子量グリコール鎖伸長剤、及び架橋剤(例えばエチレングリコール(EG)、1,4−ブタンジオール(BDO)、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン、及びトリメチロールプロパン(TMP)など)とは区別される。ポリオールは、塩基触媒によりプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)をヒドロキシル又はアミン含有開始剤上に付加するか、又はアジピン酸などの二酸をエチレングリコール又はジプロピレングリコール(DPG)などのグリコールによりポリエステルカチオン化することで形成される。開始剤、伸長剤、及びポリオールの分子量の選択は、物理的な状態及びポリウレタンポリマーの物理特性に大きな影響を与える。ポリオールの重要な特性としては、分子主鎖、開始剤、分子量、1級ヒドロキシル基の割合(%)、官能基、及び粘度が挙げられる。好適なポリウレタン接着剤の例としては、米国特許第7,160,976号(Luhmann et al.)、同第6,642,304号(Hansen et.al.)、及び同第6,518,359号(Clemens et al.)に見出されるものを挙げることができる。
【0128】
シリコーン系PSAは2つの主要な構成成分、すなわちポリマー又はガム、及び粘着性付与樹脂を含む。ポリマーは典型的には、高分子量のポリジメチルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサンであり、ポリマー鎖の末端に残留シラノール官能基(SiOH)を含有するものであるか、又はポリジオルガノシロキサンの軟セグメントと尿素末端の硬セグメントとを含むブロックコポリマーである。粘着付与樹脂は一般的にトリメチルシロキシ(OSiMe)基で末端キャップされ、更に特定の残留シラノール官能基を有する3次元シリケート構造である。粘着付与樹脂の例としては、General Electric Co.,Silicone Resins Division(waterford,NY)のSR545、及びShin−Etsu Silicone of America,Inc.(Torrance,CA)のMQD−32−2が挙げられる。シリコーン系PSAの典型的な製造方法は、米国特許第2,736,721号(Dexter)に記載される。シリコーン尿素ブロックコポリマー系PSAの製造方法は、米国特許第5,214,119号(Leir et al.)に記載される。
【0129】
一部の実施形態では、接着剤は、PSA 1グラムあたり0.42ミリモル超の酸性又は塩基性官能基を含有し、この官能基はMVTR改質材料により中和することができる。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり少なくとも0.69ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、0.84ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.3ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも1.80ミリモルのこれらの官能基を含有する。更により好ましくは、接着剤は、少なくとも2.08ミリモルのこれらの官能基を含有する。最も好ましい実施形態では、接着剤は、1.3ミリモル〜2.5ミリモルのこれらの官能基を含有する。
【0130】
好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり5.6ミリモル以下のこれらの官能基を含有すべきである。より好ましくは、接着剤は、PSA 1グラムあたり4.2ミリモル以下のこれらの官能基を含有し、更により好ましくは、PSA 1グラムあたり2.8ミリモル以下のこれらの官能基を含有する。
【0131】
PSAが酸性モノマーから形成されたポリマーを含有する一部の実施形態では、対応する重量パーセントが考慮され得る。好ましくは、PSAは、MVTR改質材料により中和できる酸性/塩基性官能基を含有する接着剤ポリマー中に、3重量パーセント超のモノマー単位を含有する。より好ましくは、PSAは、これらの官能化されたモノマー単位を少なくとも6重量パーセント含有する。更により好ましくは、PSAは、これらの官能化されたモノマー単位を少なくとも9重量パーセント含有する。更により好ましくは、PSAは、これらの官能化されたモノマー単位を少なくとも10重量パーセント含有する。更により好ましくは、PSAは、これらの官能化されたモノマー単位を少なくとも12重量パーセント含有する。
【0132】
好ましくは、PSAは、官能化されたモノマー単位を40重量パーセント以下で含有すべきである。より好ましくは、PSAは、PSAを調製するのに使用されるポリマーに用いられるモノマーの総重量に基づいて、30重量パーセント以下、更により好ましくは25重量パーセント以下、最も好ましくは20重量パーセント以下の官能化されたモノマー単位を含有する。好ましくは、このような値を(メタ)アクリレートポリマーに適用する。
【0133】
特定の実施形態では、PSAは、更なる親水性ポリマー成分を含み得る。PSAのこれらの親水性ポリマー成分は、接着剤の特性に対して粘着性を高めるないしは影響を与えるために接着剤に使用され得る可塑剤又はその他の接着剤とは区別される。親水性ポリマー成分は、PSA中の接着剤モノマーと反応性であっても、非反応性であってもよい。親水性ポリマーが非反応性である場合(すなわちポリマー鎖に組み込まれていない場合)、親水性ポリマー成分の分子量は1000を超える。より好ましくは、分子量は2000を超える。
【0134】
接着剤中に存在する場合、親水性ポリマー成分は、概してPSAの総重量に基づいて30重量パーセント以下の量で存在する。親水性ポリマー成分を含む接着剤では、PSA中の酸性又は塩基性官能基の濃度は、PSAを包含する医療用物品にMVTR改質材料が組み込まれている場合には、MVTRを有意に増加させるために、酸性又は塩基性官能基の質量濃度が同様であり親水性ポリマー成分を含まないPSAと比較して、より低いものにする必要がある。例えば、10重量パーセントの酸性官能基と10重量パーセントの更なる親水性成分とを有するPSAは、適切なMVTR改質材料に曝露させた場合に、10重量パーセントの酸性官能基のみを有しかつ更なる親水性成分は含まないPSAと比較して、MVTRが大幅に増加し得る。PSA中の反応基(例えば、酸性官能基)と、親水性ポリマー成分とを組み合わせた重量パーセントは、PSAの好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、及び最も好ましくは少なくとも24重量%である。例えば、接着剤が酸性基を6%含有する場合、親水性成分は、少なくとも9重量%、より好ましくは少なくとも14重量%、最も好ましくは少なくとも18重量%で存在すべきである。接着剤の基が12重量%のアクリル酸を含有する場合、親水性成分は、PSAの少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも8重量%、最も好ましくは少なくとも12重量%で存在すべきである。
【0135】
特定の実施形態では、PSA中の疎水性ポリマーとPSA中の親水性ポリマー成分の比は好ましくは少なくとも1.5:1である。より好ましくは少なくとも1.9:1であり、更により好ましくは2.3:1である。最も好ましい実施形態では、6:1未満である。
【0136】
特定の実施形態では、例示的な非反応性の親水性ポリマー成分としては、1つ以上のポリ(アルキレンオキシド)コポリマーが挙げられる。ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、PSAモノマー(例えば、(メタ)アクリレートモノマー又は他の酸性モノマー)と、又はPSAモノマーから形成されるコポリマーと組み合わせることができる。ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、概して共重合させたアクリレートモノマーとポリ(アルキレンオキシド)コポリマーとを相分離させる程移動することはない。「相分離(phase separation)」又は「相分離する(phase separate)」により、目に見える結晶化又は液体領域が接着剤溶液又はバルク接着剤中に現れないことを意味する。
【0137】
好ましい実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーには、共重合したアルキレンオキシドモノマーが少なくとも2つ含まれ、そのうちの少なくとも1つは親水性であり、そのうちの少なくとも1つは疎水性である。好ましいコポリマーは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドから形成される。これらのコポリマーは、ランダム型、交互型、又はブロック型であり得る。好ましくは、これらのコポリマーは、疎水性部分及び親水性分を含有するブロックコポリマーである。特に有用なポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、約1000〜約15,000、好ましくは約3000〜約12,000の重量平均分子量を有する。
【0138】
好ましいポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは好ましくは水100部あたり少なくとも約10部の適切な水溶解度を有し、好ましくは約3〜約15、より好ましくは約5〜約12のHLB(親水性親油性バランス)を有する界面活性剤特性を呈する。有用なポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、約90:10〜約10:90、より好ましくは、約80:20〜約30:70の、親水性モノマー(例えば、エチレンオキシド)と疎水性モノマー(例えば、プロピレンオキシド)の比を有する。
【0139】
ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーを作るために使用できるモノマーとしては、エチレンオキシド及び親水性成分として関連するグリコール及びプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、及び同様物、及び疎水性成分として関連するグリコールが挙げられる。ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、低級アルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、芳香族基、又はその他の非反応性基で末端化され得る。
【0140】
有用なポリ(アルキレンオキシド)コポリマーの例としては、限定するものではないが、BASF(Mt.Olive,N.J.)から入手可能な商品名TETRONIC(プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを親水性末端ブロックを有するエチレンジアミンに連続的に付加することで得られるテトラ官能性ブロックコポリマー)及びTETRONIC R(プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを疎水性末端ブロックを有するエチレンジアミンに連続的に付加することで得られるテトラ官能性ブロックコポリマー);BASFから入手可能なPLURONIC(ポリ(エチレンオキシド)末端ブロック及びポリ(プロピレンオキシド)中央ブロックを有するトリブロックコポリマー)及びPLURONIC R(ポリ(プロピレンオキシド)末端ブロック及びポリ(エチレンオキシド)中央ブロックを有するトリブロックコポリマー);Union Carbide(Danbury,Conn)から入手可能なUCON Fluid(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー)などの、(アルキレンオキシド)コポリマーが挙げられる。同様に、様々なポリ(アルキレンオキシド)コポリマーの組み合わせを使用することができる。好ましい非反応性の親水性ポリマー成分は、BASF(Germany)から商品名PLURONICで入手可能な、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールとのブロックコポリマーである。
【0141】
好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、接着剤組成物(例えば、共重合させた(メタ)アクリレート/親水性酸性コモノマー及びポリ(アルキレンオキシド)コポリマー)の総重量に基づいて、少なくとも約5重量パーセント(重量%)の量で使用することができる。より好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、少なくとも約10重量%、及び最も好ましくは少なくとも約15重量%の量で使用される。好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーは、約30重量%以下の量で使用することができる。必要とされるポリ(アルキレンオキシド)コポリマーの量は、重合性混合物に使用される(メタ)アクリレートと親水性酸性コモノマーの種類及び比率と、接着剤組成物に使用される、ポリ(アルキレンオキシド)コポリマーの種類及び分子量に応じて決まる。
【0142】
他の実施形態では、例示的な反応性の親水性ポリマー成分としては、PSAモノマーと共重合させることのできるビニル基を有する親水性マクロ分子モノマーが挙げられる。親水性マクロ分子モノマーは、必要とされる親水性をモノマーに付与する、複数の親水性部位を含有する。親水性マクロ分子モノマーは、一般式Iにより表わすことができる。
【0143】
X−Y−Z
式中、XはPSAモノマーと共重合させることのできるビニル基であり、Yは二価結合基であり、Zは一価の重合性部分であり、すなわち2つ以上のモノマー単位を含有し、感圧接着剤ターポリマーを形成するために採用されるフリーラジカルによる開始される共重合条件下で本質的に不活性なポリエーテルを含む。
【0144】
好ましいX基は一般式IIのものである:
【0145】
【化1】

【0146】
式中、Rは水素原子又はメチル基である。
【0147】
好ましいY基は
【0148】
【化2】

【0149】
基である(すなわち二価のカルボニル基である)。
【0150】
好ましいZ部分は、一般式IIIの一価のポリエーテルである。
【0151】
【化3】

【0152】
式中、Rは水素、低級アルキル、フェニル、又は置換フェニルであり、Wは2〜約250個のアルコキシ単位の繰り返しを含有しており、かつポリ(エチレンオキシド)ラジカル、ポリ(プロピレンオキシド)ラジカル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーのラジカル、及びポリ(テトラメチレンオキシド)ラジカルからなる群から選択された二価ポリ(低級アルキレンオキシド)基である。好ましい親水性マクロモノマーでは、式IIIの一価ポリエーテルは、W部分に含有される末端酸素原子を介してカルボニル基に共有結合する(すなわち式中、Yは二価カルボニルである)。
【0153】
様々な親水性マクロ分子モノマーが市販されている。例えば、好適であることが見出されている市販のモノマーは、Sartomer Company(West Chester,PA)から商品名「SR−256」で入手可能な2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート:Monomer−Polymer & Dajac Laboratories,Inc.(Trevose,PA)から商品名「No.8816」で入手可能なメトキシポリ(エチレンオキシド)アクリレート;Polysciences,Inc.(Warrington,PA)から商品名「No.16664」、「No.16665」及び「No.16666」で入手可能な、それぞれ200ダルトン,400ダルトン,及び1000ダルトンのメトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート;Polysciences,Inc.(Warrington,PA)から商品名「No.16712」で入手可能なヒドロキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレートである。
【0154】
その他の好ましい親水性マクロ分子モノマーは、市販の開始材料及び例えば米国特許第4,871,812号に記載のような従来の方法を用いて調製することができる。
【0155】
概して、親水性マクロ分子モノマーは、ターポリマー中の全てのモノマーの合計重量の約5〜30重量%の量で存在する。モノマーの好ましい量は、ターポリマー中の全てのモノマーの合計重量に基づき、約10〜20重量%である。
【0156】
PSA中に含まれる好ましいポリマーは(メタ)アクリレートポリマーである。特に有用な接着剤組成物としては、65:15:20の、2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸コポリマーと、商品名PLURONICの非反応性のポリアルキレンオキシドコポリマーとをブレンドしたものが挙げられる。その他の好適な例としては、90:10のイソ−オクチルアクリレート:アクリル酸コポリマー、70:15:15のイソオクチルアクリレート:エチレンオキシドアクリレート:アクリル酸ターポリマー、及び25:69:6の2−エチルヘキシルアクリレート:ブチルアクリレート:アクリル酸ターポリマーが挙げられる。有用な接着剤は、皮膚に適合性があり、創傷用ドレッシングに有用な任意のものであリ得る。例えば、米国再発行特許第24,906号(Ulrich)、米国特許第5,849,325号(Heinecke,et al.)、及び同第4,871,812号(Lucast,et.al.)(水系及び溶媒系接着剤);同第4,833,179号(Young,et al.)(ホットメルト接着剤);同第5,908,693号(Delgado,et al.)(マイクロスフェア接着剤);同第6,171,985号及び同第6,083,856号(いずれもJoseph,et al.)(低傷害性の繊維性接着剤);並びに米国特許第6,198,016号(Lucast,et al.)、同第6,518,343号(Lucast,et al.)、及び同第6,441,082号(Gieselman)(濡れている皮膚用の接着剤)に開示されるようなものである。また、米国特許第4,310,509号及び同第4,323,557号に記載されるように、薬剤又は抗菌剤を接着剤に含むことも想到される。
【0157】
足場部材
使用される場合、足場部材22は、例えば図2に示されるように不織布材料を含み得る。好適な不織布材料としては、限定するものではないが、いずれもAhlstrom Green Bay(Green Bay,WI)から入手可能なものであるテンセル/ポリエステル不織布、及びリコセル−レーヨン/ポリエステル不織布が挙げられる。他の好適な不織布としては、ユニチカ株式会社(日本)から入手可能な綿製のスパンレース不織布が挙げられる。他の実施形態では、足場部材22はNational Nonwovens Co.(East Hampton,MA)から入手可能なTMED011不織布である。足場部材22としては、織布、編布、フォーム、多孔質フィルム、ゲル、親水コロイド、セルロース材料、カルボキシルメチルセルロース、アルギン酸塩、及び水膨潤性又は吸水性接着剤が挙げられる。好ましい実施形態では、足場部材22は吸水性である。
【0158】
濾過層
使用される場合、濾過層32は、例えば図3bに示されるように1つ以上の不織布層を含み得る。好適な不織布材料としては、限定するものではないが、いずれもAhlstrom Green Bay(Green Bay,WI)から入手可能なものであるテンセル/ポリエステル不織布、及びリコセル−レーヨン/ポリエステル不織布が挙げられる。他の好適な不織布としては、ユニチカ株式会社(日本)から入手可能な綿製のスパンレース不織布が挙げられる。他の実施形態では、濾過層32はNational Nonwovens Co.(East Hampton,MA)から入手可能なTMED011不織布である。また、濾過層は、織布、編布、フォーム、多孔質フィルム、ゲル、親水コロイド、セルロース材料、アルギン酸塩、多孔質接着剤(疎水性又は親水性)、及び水膨潤性又は吸水性接着剤から構成され得る。
【0159】
濾過を目的として選択される濾過層の好適な例としては、濾膜、濾過材料、不織布、織布、ゲル及びフォームが挙げられる。
【0160】
吸収層
使用される場合、吸収層は、限定するものではないが、織布若しくは不織布の綿又はレーヨンが挙げられる、様々な材料のいずれかで製造され得る。吸収層は、任意に、抗菌剤、経皮薬剤送達のための薬剤、患者の体内のホルモン又は他の物質をモニターする化学指示薬などを包含する、多数の物質を含有させるのに有用である。
【0161】
吸収層は親水コロイド組成物を含んでもよく、これには米国特許第5,622,711号及び同第5,633,010号に記載の親水コロイド組成物が挙げられる。また、吸収材料は、ポリマーゲル、フォーム、コラーゲン、カルボキシメチルセルロース繊維、アルギン酸塩、不織布、又は織布材料が挙げられる、その他の合成及び天然材料から選択され得る。一部の実施形態では、吸収層は、ポリマー布、ポリマーフォーム、及びこれらの組み合わせを含み得る。例えば、ポリマー布は不織布であってよく、ポリマーフォームは、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能なTEGADERMフォーム接着剤ドレッシングで使用されるフォームであり得る。特定の実施形態では、ポリマーフォームはポリウレタンフォームである。
【0162】
対面層
使用される場合、対面層は、好ましくは柔らかく、可撓性で、適合性で、非刺激性で、かつ非感作性のものである。ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド又はポリエステル材料などの、多様なポリマーのいずれかを使用してよい。更に、表側層は、水蒸気透過性フィルム、穿孔フィルム、織布、不織布又はニットウェブあるいはスクリムの形態であってよい。
【0163】
対面層は、創傷又はその他の対象部位に面している濾過層表面上に積層された接着剤を含むこともできる。このような実施形態では、第2接着剤はアクリル酸、シリコーンゲル、ポリウレタン、又はゴム系接着剤であり得る。好適な対面層及び接着剤の例示的な実施形態は、例えば米国特許第7,612,248号(Burton et al.)に見出すことができる。また、対面層は、対象部位と反対側の表面上に、更に接着剤を含んでもよい。
【0164】
キャリアフィルム
本発明に使用するのに好適なキャリアフィルム(例えば、図11に示されるようなもの)は、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はこれらの材料のいずれかの複合物で作製され得る。フィルムは、好ましくは、フルオロケミカル又はシリコーンなどの離型剤でコーティングされている。例えば、米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーペルフルオロ化合物ライナを記載する。ライナは、シリコーンの剥離材料でコーティングされた、紙、ポリオレフィンフィルム、又はポリエステルフィルムである。市販の、シリコーンコーティングされた剥離紙の例は、Rexam Release(Bedford Park,Ill.)から入手可能なシリコーン剥離紙であるPOLYSLIK(商標)、及びLoparex Inc.(Willowbrook,Ill.)によって供給されるシリコーン剥離紙である。
【0165】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。特に断らない限り、部及び百分率は全て重量基準である。
【実施例】
【0166】
【表1】

試験方法
1.水蒸気透過率−直立(乾燥時)MVTR
A.フォーム構成要素を含有しなかったサンプルについて
直立MVTRは、ASTM E−96−80に従い、Payne cup法の変法を用いて測定した。直径3.8cmのサンプルを、それぞれ5.1cmの楕円形開口部を有する、2枚のホイル接着剤リングの、接着剤含有表面の間に配置した。各リングの穴を注意深く揃えた。指圧を用いて、平坦で、しわがなく、露出したサンプル内にくぼんだ領域がない、ホイル/サンプル/ホイル組立体を形成した。
【0167】
実施例において特に記載しない限り、0.02%(重量/重量)メチレンブルーUSP(ベーシックブルー9,C.I.52015)水溶液を2滴加えたおよそ50gの水道水を120mLのガラス瓶に充填した。瓶に、中央に直径3.8cmの穴を有するねじ式キャップと、中央におよそ3.6cmの穴を有する直径4.45cmのゴムワッシャとを取り付けた。ゴムワッシャを瓶の縁に配置し、ホイル/サンプル/ホイル組立体を、バッキング側を下にしてゴムワッシャの上に配置した。次いで、瓶の上のふたをゆるく閉めた。
【0168】
組立体を、40℃、相対湿度20%にて4時間チャンバ内に配置した。サンプルがふたと同じ高さになり(サンプルが飛び出さないようにする)、ゴムワッシャが適切な位置に配置されているように、4時間後にチャンバの内側でふたを締めた。
【0169】
ホイルサンプル組立体をチャンバから取り出し、開始乾燥重量W1についてすぐに0.01g単位で計量した。次いで組立体を少なくとも18時間(曝露時間T1)にわたってチャンバに戻した後、取り出し、最終乾燥重量W2についてすぐに0.01g単位で計量した。次いで、MVTR(24時間あたりの、サンプルの面積平方メートルあたりの透過水蒸気のグラム数)を下式を用いて計算することができる。
【0170】
直立(乾燥時)MVTR=(W1−W2)×(4.74×10)/T1
B.フォーム構成要素を含有したサンプルについて
試験サンプルの大きさが直径4.45cmであり、サンプルをホイル−接着リングの代わりに2枚のLEXAN(ポリ炭酸塩)ワッシャ(直径4.47cmであり、中央に2.54cmの穴を有する)ではさみ込んだことを除き、これらのサンプルのMVTR手順は上記の手順と同一であった。
【0171】
2.水蒸気透過率−反転(湿潤時)MVTR
以下の試験手順を用いて反転MVTRを測定した。直立MVTR手順について記載されるように、最終「乾燥時」重量(W2)を得た後、組立体を更に少なくとも18時間の曝露時間(T2)の間チャンバに戻した。瓶は、水道水が試験サンプルに直接接触するよう逆さにした。次いでサンプルをチャンバから取り出し、最終湿潤重量W3についてすぐに0.01g単位で計量した。反転湿潤MVTR(24時間あたりの、サンプルの面積平方メートルあたりの透過水蒸気のグラム数)を下式を用いて計算することができる。
【0172】
反転(湿潤時)MVTR=(W2−W3)×(4.74×10)/T2
以下の実施例の複数サンプルで、直立(乾燥時)及び反転(湿潤時)MVTRを測定した。平均結果を下に報告し、それに続いて複数サンプルの標準偏差(+/−)を報告する。
【0173】
3.対スチール接着性
ASTM D3330Mに従い、30.5cm/分及び180度剥離にて対スチール接着性試験を実施した。
【0174】
実施例1(比較)
40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルグレード240(SX−33)スパンレース不織布(Ahlstrom Green Bay,Green Bay,WI)を3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層させ、試験の前およそ30日間にわたってなじませた。サンプル由来の5つの標本を直立及び反転水蒸気透過率(MVTR)の両方について試験した。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1150+/−100g/m/24時間、及び2340+/−190g/m/24時間であった。
【0175】
実施例2(比較)
実施例1の不織布を、2.6%(重量/重量)の無水クエン酸ナトリウム水溶液で飽和させ、80℃にて30分にわたってラボスケールの強制空気オーブン(Memmert Universal Oven;Wisconsin Oven Company,East Troy,WI)で乾燥させた。不織布上の無水クエン酸ナトリウム水溶液コーティング重量は15g/mであった。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。試験前におよそ30日にわたってサンプルをなじませた。サンプル由来の5つの標本に関し、直立MVTR及び反転MVTRの平均値はそれぞれ1000+/−30g/m/24時間及び2350+/−90g/m/24時間であった。
【0176】
実施例3(比較)
綿100%スパンレース不織布(コットエース)を5.4%(重量/重量)クエン酸水溶液で飽和させ、85℃にておよそ30分にわたって乾燥させ、次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。試験前に3日にわたってサンプルをなじませた。4つの試験標本に関する、直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1180+/−60g/m/24時間及び1720+/−40g/m/24時間であった。
【0177】
(実施例4)
実施例1の不織布を0.15M水酸化ナトリウム水溶液で飽和させ、次いでドレッシングの接着剤面に積層させる前に75℃にて30分にわたってオーブンで乾燥させた。不織布上の水酸化ナトリウムコーティング重量は5g/mであると測定された。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。サンプル由来の4つの標本を、積層工程の2日後に、直立及び反転水蒸気透過率(MVTR)の両方について試験した。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1210+/−50g/m/24時間及び11400+/−1800g/m/24時間であった。
【0178】
(実施例5)
実施例1の不織布を0.30M水酸化ナトリウム水溶液で飽和させ、次いでドレッシングの接着剤面に積層させる前に75℃にて30分にわたってオーブンで乾燥させた。不織布上の水酸化ナトリウムコーティング重量は7g/mであると測定された。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。サンプル由来の4つの標本を、積層工程の2日後に、直立及び反転水蒸気透過率(MVTR)の両方について試験した。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1280+/−60g/m/24時間及び16900+/−740g/m/24時間であった。
【0179】
(実施例6)
実施例1の不織布を、13フィート/分(3.96メートル/分)の速度で4.0%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液により浸漬コーティングし、およそ105℃にて約5分にわたってパイロットスケールの強制空気オーブン中で乾燥させた。不織布上の炭酸ナトリウム一水和物コーティングの重量は16.3g/mであった。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。5つの試験標本に関し、直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1070+/−40g/m/24時間及び20800+/−980g/m/24時間であった。
【0180】
(実施例7)
綿100%スパンレース不織布(コットエース)を3.5%(重量/重量)重炭酸ナトリウム水溶液で飽和させ、乾くまで45℃のオーブンで乾燥させ、次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。試験前に3日にわたってサンプルをなじませた。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1340+/−100g/m/24時間及び19100+/−870g/m/24時間であった。
【0181】
(実施例8)
実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を5.3%(重量/重量)炭酸カリウム水溶液で飽和させ、次いで85℃にて40分にわたって乾燥させた。不織布上の炭酸カリウムコーティングの重量は46g/mであった。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。積層工程の4日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1390+/−40g/m/24時間及び20700+/−530g/m/24時間であった。
【0182】
(実施例9)
実施例1の40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を3.7%(重量/重量)炭酸カリウム水溶液で飽和させ、次いで75℃にて30分にわたって乾燥させた。不織布上の重炭酸カリウムコーティングの重量は24g/mであった。このコーティングした不織布を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。積層工程の5日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1650+/−20g/m/24時間及び20300+/−610g/m/24時間であった。
【0183】
(実施例10)
実施例1の40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を2.6%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させ、次いで80℃にて30分にわたってラボスケールの強制空気オーブン(Memmert Universal Oven;Wisconsin Oven Company,East Troy,WI)で乾燥させた。不織布上の炭酸ナトリウム一水和物コーティングの重量は8.3g/mであった。このコーティングした不織布を3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。ドレッシングの接着剤面に積層された、不織布のコーティング層の頂部に、未処理の不織布を2層配置した。積層工程の5日後にサンプル由来の4つの標本を試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1190+/−100g/m/24時間及び16700+/−1700g/m/24時間であった。
【0184】
(実施例11)
この実施例は、接着剤層と、被炭酸ナトリウム一水和物処理不織布層の間に、未処理の不織布を2層配置したことを除き、実施例10と同様に調製した。試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1240+/−280g/m/24時間及び9150+/−1280g/m/24時間であった。
【0185】
(実施例12)
この実施例は、2.6%(重量/重量)クエン酸水溶液で処理し、次いで80℃にて30分にわたって乾燥させた追加の不織布層を、被炭酸ナトリウム一水和物処理不織布層の頂部に配置したことを除き、実施例6と同様に調製した。被クエン酸処理不織布層の追加は、炭酸ナトリウム一水和物サンプルをドレッシングの接着剤面に積層した8日後に行った。不織布上のクエン酸コーティングの重量は18.5g/mであった。サンプル由来の5つの標本を、被クエン酸処理不織布層をサンプルに追加した24日後に試験した。試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1080+/−30g/m/24時間及び9880+/−2660g/m/24時間であった。
【0186】
(実施例13)
この実施例は、90612 3M TEGADERMフォーム接着剤ドレッシング(3M Company,St.Paul,MN)から、フォーム片がドレッシングの全ての他のパーツから制限を受けずに分離されるように、およそ7.5cm×7.5cmのフォームサンプルを切り出すことで調製した。次いでこのフォーム片の片面を5.5%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液でコーティングし、80℃にて40分にわたって乾燥させた。フォーム片上の炭酸ナトリウム一水和物のコーティング重量はおよそ19g/mであった。フォーム片のコーティング面を次いで3M TEGADERM 9548HPドレッシングの接着剤面に手で積層した。積層工程の5日後に4つの標本を試験した。試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ900+/−60g/m/24時間及び7840+/−1600g/m/24時間であった。
【0187】
(実施例14)
この実施例では、1%未満のポリエチルオキサゾリンを用い、米国特許第4,737,410号の実施例31に記載のように、紙ライナ上の70/15/15比のIOA/AA/EOA感圧接着剤の、厚さおよそ25マイクロメートルの層を使用した。米国特許第4,499,896号に記載のような方法を用いて、およそ25マイクロメートルのウレタンフィルム(ESTANE 58237樹脂;Lubrizol Corporation,Wickliffe,OH)を上記接着剤層上に押し出し、ライナ上に接着剤/フィルム積層体を形成した。オーブンで乾燥させる前に、実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を2.6%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させた。次いでこの飽和させた不織布を85℃にておよそ30分にわたって乾燥させた。不織布上の炭酸ナトリウム一水和物のコーティング重量は8g/mであった。5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1660+/−60g/m/24時間及び18800+/−860g/m/24時間であった。
【0188】
実施例15(比較)
この実施例では、実施例14の接着剤及び実施例14のウレタンフィルムを、実施例14に記載のように構成した。実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、任意のMVTR改質材料を加えずに、積層体の接着剤面に手で直接積層した。上記5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1150+/−30g/m/24時間及び2250+/−250g/m/24時間であった。
【0189】
実施例16(比較)
まず、実施例14の接着剤を、およそ20psig(1.4bar,0.14MPa)に設定したXRL 120ロールラミネータ(Western Magnum;El Segundo,CA)を用いて紙キャリア上の25マイクロメートルESTANE 58237フィルムに積層することで、サンプルを調製した。次いで接着剤の厚さを2倍にするため、接着剤の第二層をロールラミネータを用いて第1接着剤層に積層した。次いで実施例1で使用した未処理の不織布片を、試験の6日前に手で接着剤に積層した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ690+/−40g/m/24時間及び1170+/−210g/m/24時間であった。
【0190】
(実施例17)
不織布を2.6%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させたことを除き、実施例16と同様にサンプルを調製した。次いで、11g/mの乾燥コーティング重量にするために、この飽和不織布を85℃にておよそ30分にわたって乾燥させた。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1235+/−40g/m/24時間及び20700+/−500g/m/24時間であった。
【0191】
(実施例18)
1)不織布を、13フィート/分(3.96メートル/分)で、3%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で浸漬コーティングし、およそ105℃にて約5分にわたってパイロットスケールの強制空気オーブン中で乾燥させたこと;2)第2吸収不織布層(National Non−wovens;Easthampton,MA)を、被炭酸ナトリウム一水和物処理不織布層の頂部に配置したこと;及び3)次いで第3吸収層(3M TEGADERMフォーム接着剤ドレッシングで使用されているポリウレタンフォーム)を第2吸収不織布層の頂部に配置したこと、を除き、サンプルは実施例14と同様に調製した。被処理不織布上の炭酸ナトリウム一水和物コーティングの重量は12.6g/mであった。また、これらのサンプルに35.8〜41.4kGyのγ線照射を行った。組立の12日後及びγ線照射の8日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1200+/−60g/m/24時間及び16000+/−2800g/m/24時間であった。
【0192】
(実施例19)
MVTR試験に使用した試験溶液が、水道水の代わりに、リン酸緩衝生理食塩水と成体ウシ血清の90/10(重量/重量)混合物であったことを除き、実施例18と同様に実施例を調製し、試験した。リン酸緩衝生理食塩水はpH 7.4のP−3813(Sigma−Aldrich;St.Louis,MO)であった。ウシ血清はB9433(Sigma−Aldrich;St.Louis,MO)製品であった。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1080+/−130g/m/24時間及び11200+/−1200g/m/24時間であった。
【0193】
実施例20(比較)
米国特許第4,737,410号の実施例11に記載のように調製した、90/10(重量/重量)IOA/AA感圧接着剤の厚さおよそ18マイクロメートルの層を使用した。XRL 120ロールラミネータを用いて、接着剤を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。次いで、実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。不織布を接着剤に積層した6日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ820+/−10g/m/24時間及び1180+/−20g/m/24時間であった。
【0194】
(実施例21)
XRL 120ロールラミネータを用いて、厚さおよそ18マイクロメートルの90/10(重量/重量)IOA/AA感圧接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、炭酸ナトリウム一水和物で処理し、11g/mの乾燥コーティング重量にするために、85℃にておよそ30分にわたって乾燥させた。次いで不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。不織布を接着剤に積層した6日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ900+/−30g/m/24時間及び1440+/−50g/m/24時間であった。
【0195】
実施例22(比較)
次のようなモノマー及び比率:25/69/6の2−EHA/BA/AA(重量/重量/重量)を用いたことを除き、米国特許第4,737,410号に記載の方法で、ポリエステルライナ上に厚さ18マイクロメートルの感圧接着剤層を作製した。ロールラミネータを用いて、感圧接着剤を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。次いで、実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。不織布を接着剤に積層した6日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1500+/−30g/m/24時間及び2400+/−160g/m/24時間であった。
【0196】
(実施例23)
ロールラミネータを用いて、実施例22のPSAを、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、炭酸ナトリウム一水和物で処理し、11g/mの乾燥コーティング重量にするために、85℃にておよそ30分にわたって乾燥させた。次いで不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。不織布を接着剤に積層した6日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1570+/−80g/m/24時間及び2540+/−60g/m/24時間であった。
【0197】
実施例24(比較)
XRL 120ロールラミネータを用いて、グレードSX−473不織布(Ahlstrom,Greenbay,WI)を厚さおよそ38マイクロメートルの90/10(重量/重量)IOA/AA感圧接着剤層に積層した。不織布を接着剤に積層した8日後にサンプルを試験した。5つの試験標本の直立MVTRの平均は、1390+/−420g/m/24時間であった。試験中に標本に漏れが生じたため、反転MVTRは測定しなかった。
【0198】
(実施例25)
この実施例は、グレードSX−473不織布を3.4%重炭酸ナトリウム(重量/重量)水溶液で飽和させ、50℃にて90分にわたって、次いで35℃にて一晩にわたって乾燥させたことを除いて、実施例24と同様に調製した。重炭酸ナトリウムコーティングの重量はおよそ24g/mであった。この被処理不織布を実施例24の接着剤に積層した。不織布を接着剤に積層した8日後にサンプルを試験した。5つの試験標本の直立MVTRの平均は、1860+/−260g/m/24時間であった。
【0199】
実施例26(比較)
グレードSX−473不織布(Ahlstrom,Greenbay,WI)を厚さおよそ38マイクロメートルのPSA層(実施例22の25/69/6(重量/重量/重量)2−EHA/BA/AA)にロール積層した。不織布を接着剤に積層した8日後にサンプルを試験した。5つの試験標本の直立MVTRの平均は1390+/−420g/m/24時間であった。試験中に標本に漏れが生じたため、反転MVTRは測定しなかった。
【0200】
(実施例27)
このサンプルは、不織布を3.4%(重量/重量)重炭酸ナトリウム水溶液で飽和させ、50℃にて90分にわたって、次いで35℃にて一晩にわたって乾燥させたことを除いて、実施例26と同様に調製した。重炭酸ナトリウムコーティングの重量はおよそ24g/mであった。この被処理不織布を手で接着剤に積層した。5つの試験標本の直立MVTRの平均は1680+/−250g/m/24時間であった。
【0201】
実施例28(比較)
実施例14のライナ上の接着剤を、およそ40%接着剤が液滴で覆われるよう、スプレーボトルによりスプレーした滅菌水の液滴で処理し、次いでサンプルを実験室のオーブンで75℃にて35分にわたって乾燥させた。次いで、XRL 120ラミネータを用い、紙キャリア上の厚さ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムを、ライナ上の接着剤の被水処理面に積層した。接着剤/フィルム積層体のサンプルを、積層工程の6日後に試験した。5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ940+/−30g/m/24時間及び1600+/−490g/m/24時間であった。スチールに対する2.54cm幅サンプルの平均接着性を測定したところ、294+/−9g/cmであった。
【0202】
(実施例29)
このサンプルは、乾燥させる前に、シリンジにより、1.5%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液の液滴で、ライナ上の接着剤を処理したことを除き、実施例28と同様に調製した。各液滴の重量はおよそ80mgであった。5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1530+/−40g/m/24時間及び9460+/−950g/m/24時間であった。スチールに対する2.54cm幅サンプルの平均接着性を測定したところ、166+/−16g/cmであった。
【0203】
実施例30(比較)
この実施例では、XRL 120ラミネータを用いて、ポリエステルライナ上の厚さおよそ28マイクロメートルの90/10(重量/重量)IOA/AA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに積層した。実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、MVTR改質材料を加えずに、積層体の接着剤面に手で直接積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。サンプル組立の6日後に4つの標本を試験した。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ640+/−15g/m/24時間及び1090+/−30g/m/24時間であった。
【0204】
実施例31(比較)
接着剤の厚さがほんの18マイクロメートルだったことを除き、実施例30と同様にサンプルを調製した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ820+/−15g/m/24時間及び1180+/−20g/m/24時間であった。
【0205】
(実施例32)
(1)不織布を2.5%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させ、乾燥させた不織布の炭酸ナトリウム一水和物コーティングを11g/mにするために、85℃にておよそ30分にわたって乾燥させたこと;及び(2)接着剤の厚さがほんの18マイクロメートルだったことを除き、実施例30と同様にサンプルを調製した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ900+/−30g/m/24時間及び1440+/−50g/m/24時間であった。
【0206】
実施例33(比較)
このサンプルは、紙キャリア上のポリウレタンESTANE 58237フィルムを、実施例22のPSA(25/69/6の2−EHA/BA/AA(重量/重量/重量))の厚さ18マイクロメートルの層に積層したことを除き、実施例30と同様に(不織布をMVTR改質材料で処理せずに)調製した。サンプル組立の6日後に4つの標本を試験した。直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1500+/−30g/m/24時間及び2400+/−160g/m/24時間であった。
【0207】
(実施例34)
不織布を2.5%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させ、コーティング重量を11g/mにするために85℃にておよそ30分にわたって乾燥させたことを除き、実施例33と同様にサンプルを調製した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1570+/−80g/m/24時間及び2540+/−60g/m/24時間であった。
【0208】
実施例35(比較)
厚さおよそ22マイクロメートルの90/10(重量/重量)IOA/AA感圧接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。次いで、実施例1の未処理の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ920+/−10g/m/24時間及び1460+/−140g/m/24時間であった。
【0209】
(実施例36)
不織布を3%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させ、接着剤を積層する前に75℃にておよそ30分にわたって乾燥させたことを除き、実施例35と同様にサンプルを調製した。不織布上の炭酸ナトリウム一水和物コーティングの重量は11g/mであった。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1040+/−60g/m/24時間及び1570+/−100g/m/24時間であった。
【0210】
実施例37(比較)
次のモノマー及び比率:46.5/46/7.5の2−EHA/BA/AA(重量/重量/重量)を用いたことを除き、米国特許第4,737,410に記載の方法で作製した厚さおよそ22の感圧接着剤層を、紙キャリア上の、厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに積層した。次いで、実施例1の未処理の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1560+/−30g/m/24時間及び2470+/−110g/m/24時間であった。
【0211】
(実施例38)
不織布を3%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液で飽和させ、コーティング重量を11g/mにするために85℃にておよそ30分にわたって乾燥させたことを除き、実施例37と同様にサンプルを調製した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1590+/−10g/m/24時間及び2590+/−130g/m/24時間であった。
【0212】
実施例39(アミン接着剤についての比較)
2−EHA(90g)、アクリルアミド(4g)、ジメチルアミノエチルメタクリレート及びDMAEMA(6g)の酢酸エチル(122g)中混合物を、55℃にて16時間、続いて65℃にて8時間重合させ、アミン系接着剤を作製した。溶液として得られる接着剤を、剥離ライナ上にコーティングし、乾燥させ、厚さおよそ25マイクロメートルの接着剤層をライナ上に得た。次いで、この接着剤を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。次いで、試験の7日前に、実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ950+/−40g/m/24時間及び1520+/−210g/m/24時間であった。
【0213】
実施例40(MVTR改質材料及び塩基性接着剤についての比較ベース)
このサンプルは、不織布を、MVTR改質材料である炭酸ナトリウム一水和物で処理し、コーティング重量を12g/mにするために85℃にておよそ30分にわたって乾燥させたことを除き、実施例39と同様にサンプルを調製した。5つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ990+/−30g/m/24時間及び1590+/−300g/m/24時間であった。
【0214】
実施例41(比較)
実施例14の接着剤の、固形分33%の接着剤酢酸エチル溶液を剥離ライナ上にコーティングし、厚さ23マイクロメートルに乾燥させた。接着剤を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンESTANE 58237フィルムに加圧積層した。次いで、試験の少なくとも7日前に、実施例1の不織布、すなわち40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布を、接着剤/フィルム構成体の接着剤面に手で積層した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1300+/−30g/m/24時間及び1950+/−110g/m/24時間であった。スチールに対する2.54cm幅の5つの試験標本の平均接着性を測定したところ、540+/−5g/cmであった。
【0215】
実施例42(接着剤中のMVTR改質材料の分散体としての比較)
接着剤に存在する酸性基のおよそ20%が中和されるまで、20%(重量/重量)の炭酸ナトリウム一水和物水溶液の液滴を実施例41の接着剤溶液に加えた。得られた接着剤混合物はわずかに濁っていた。次いでこの接着剤混合物を用いてサンプルを調製し、実施例41に記載のように試験した。接着剤の厚さはおよそ26マイクロメートルであった。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1360+/−20g/m/24時間及び2030+/−60g/m/24時間であった。スチールに対する2.54cm幅の5つの試験標本の平均接着性を測定したところ、140+/−3g/cmであった。
【0216】
【表2−1】

【0217】
【表2−2】

【0218】
【表2−3】

2−EHA=2−エチルヘキシルアクリレート
AA=アクリル酸
BA=ブチルアクリレート
EOA=メトキシポリ(エチレンオキシド)アクリレートマクロマー
IOA=イソ−オクチルアクリレート
Na=ナトリウム
PEOX=ポリ(エチルオキサゾリン)
Pluronic 25R4=ポリ(エチレンポリプロピレン)コポリマージオール(BASF,Mount Olive,NJ)
PU=ポリウレタン
実施例43(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの85/15(重量/重量)IOA/AA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。次いで、40g/mの70/30(重量/重量)TENCEL/ポリエステルスパンレース不織布(Ahlstrom Green Bay,Green Bay,WI)を、接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ600+/−40g/m/24時間及び750+/−30g/m/24時間であった。
【0219】
(実施例44)
実施例43の不織布を、13フィート/分(3.96メートル/分)の速度で4.0%(重量/重量)炭酸ナトリウム一水和物水溶液により飽和させ、およそ105℃にて約5分にわたってパイロットスケールの強制空気オーブン中で乾燥させた。不織布上の炭酸ナトリウム一水和物コーティングの重量は16.3g/mであった。次いで、このコーティングした不織布を実施例43Cの接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層した。積層の7日後に標本を試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ720+/−100g/m/24時間及び1090+/−230g/m/24時間であった。
【0220】
実施例45(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの87.5/12.5(重量/重量)IOA/AA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。実施例44の未処理の不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ600+/−10g/m/24時間及び800+/−20g/m/24時間であった。
【0221】
(実施例46)
未処理の不織布の代わりに、実施例44の炭酸ナトリウムコーティングした不織布を、接着剤/フィルム積層体の87.5/12.5(重量/重量)IOA/AA接着剤面に、手で積層したことを除き、この実施例は実施例45と同様に調製し、試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ600+/−20g/m/24時間及び910+/−100g/m/24時間であった。
【0222】
実施例47(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの80/10/10(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。実施例44の未処理の不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1580+/−40g/m/24時間及び3070+/−130g/m/24時間であった。
【0223】
(実施例48)
未処理の不織布の代わりに、実施例44の炭酸ナトリウムコーティングした不織布を、接着剤/フィルム積層体の80/10/10(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤面に、手で積層したことを除き、この実施例は実施例47と同様に調製し、試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1440+/−110g/m/24時間及び3350+/−190g/m/24時間であった。
【0224】
実施例49(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの75/12.5/12.5(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。次いで、実施例44の未処理の不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1500+/−100g/m/24時間及び2870+/−240g/m/24時間であった。
【0225】
(実施例50)
未処理の不織布の代わりに、実施例44の炭酸ナトリウムコーティングした不織布を、接着剤/フィルム積層体の75/12.5/12.5(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤面に、手で積層したことを除き、この実施例は実施例49と同様に調製し、試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1450+/−80g/m/24時間及び11400+/−600g/m/24時間であった。
【0226】
実施例51(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの84/6/10(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。実施例44の未処理の不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1880+/−90g/m/24時間及び4250+/−260g/m/24時間であった。
【0227】
(実施例52)
未処理の不織布の代わりに、実施例44の炭酸ナトリウムコーティングした不織布を、接着剤/フィルム積層体の84/6/10(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤面に、手で積層したことを除き、この実施例は実施例51と同様に調製し、試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ1740+/−40g/m/24時間及び5400+/−1400g/m/24時間であった。
【0228】
実施例53(比較)
厚さおよそ25マイクロメートルの74/6/20(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤の層を、紙キャリア上の厚さおよそ25マイクロメートルのポリウレタンEstane 58237フィルムに加圧積層した。実施例44の未処理の不織布を接着剤/フィルム積層体の接着剤面に手で積層し、紙キャリアをサンプルのフィルム面から剥がした。不織布を接着剤に積層した7日後にサンプルを試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ2410+/−80g/m/24時間及び8350+/−510g/m/24時間であった。
【0229】
(実施例54)
未処理の不織布の代わりに、実施例44の炭酸ナトリウムコーティングした不織布を、接着剤/フィルム積層体の74/6/20(重量/重量/重量)IOA/AA/EOA接着剤面に、手で積層したことを除き、この実施例は実施例53と同様に調製し、試験した。4つの試験標本の直立MVTR及び反転MVTRの平均値は、それぞれ2190+/−50g/m/24時間及び10500+/−1780g/m/24時間であった。
【0230】
【表3】

AA=アクリル酸
IOA=イソ−オクチルアクリレート
EOA=メトキシポリ(エチレンオキシド)アクリレートマクロマー
実施形態
1.
酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層であって、PSA層がPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含む、PSA層、及びPSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料、を含む医療用物品であって、MVTVR改質材料はPSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時にPSAの官能基と反応して高分子塩を形成する、医療用物品。
【0231】
2.PSAが官能性ポリマーを含み、かつポリマーが、PSAの総重量に基づいて、少なくとも6重量%の酸性官能性モノマー又は塩基性官能性モノマーから調製されている、実施形態1に記載の医療用物品。
【0232】
3.PSAが、PSA 1グラムあたり、少なくとも1.8ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含有する、実施形態1に記載の医療用物品。
【0233】
4.PSAが、PSA 1グラムあたり、少なくとも4.2ミリモル超の酸性官能基又は塩基性官能基を含有する、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0234】
5.MVTR改質材料が、PSA層の表面上に配置されている、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0235】
6.MVTR改質材料が、PSA層の表面上にパターンコーティングされている、実施形態5に記載の医療用物品。
【0236】
7.更に第二PSA層を含み、MVTR改質材料が2つのPSA層の間に配置されている、実施形態5又は実施形態6に記載の医療用物品。
【0237】
8.MVTR改質材料が、PSA層と接触している足場部材内に組み込まれている、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0238】
9.医療用物品がバッキングを含み、かつMVTR改質材料がPSA層とバッキングの間に配置されている、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0239】
10.更にpH変換層を含み、MVTR改質材料がPSA層とpH変換層の間に配置されている、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0240】
11.pH変換層が、ポリアクリル酸、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたpH変換材料を含む、実施形態10に記載の医療用物品。
【0241】
12.更に濾過層を含み、濾過層がMVTR改質材料と対象部位の間に配置されている、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0242】
13.MVTR改質材料と官能基のモル比が0.1:1〜100:1である、実施形態1〜12のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0243】
14.創傷用ドレッシングである、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0244】
15.
PSA層と接触しているキャリアフィルム、キャリアフィルムと接着剤層の間に配置された吸収性パッド、及び支持層とPSA層の間に配置されたバッキングを更に含む、実施形態14に記載の医療用物品。
【0245】
16.PSA層が、酸性官能基を有するポリマーを含み、かつMVTR改質材料が塩基性である、実施形態1〜15のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0246】
17.MVTR改質材料が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された塩基を含む、実施形態16に記載の医療用物品。
【0247】
18.PSAが、ゴム系接着剤、(メタ)アクリル、ポリ(α−オレフィン)、ポリウレタン、シリコーン、及びこれらの組み合わせを含む、実施形態16又は実施形態17に記載の医療用物品。
【0248】
19.PSAが塩基性官能基を含み、かつMVTR改質材料が酸性である、実施形態1〜15のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0249】
20.PSAがアミンポリマーを含む、実施形態19に記載の医療用物品。
【0250】
21.MVTR改質材料が、アミン基と反応して高分子塩を形成できる酸性官能基を含む、実施形態19又は実施形態20に記載の医療用物品。
【0251】
22.少なくとも1200g/m/24時間の湿潤時MVTRを有する、実施形態1〜21のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0252】
23.MVTR改質材料が、医療用物品の湿潤時MVTRを、MVTR改質材料を不含の同様の医療用物品と比較して少なくとも20%向上させる、実施形態1〜22のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0253】
24.PSA層が、全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まない、実施形態1〜23のいずれか一項に記載の医療用物品。
【0254】
25.
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、及びPSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、PSA層はPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含み、MVTR改質層は、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を含み、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【0255】
26.MVTR改質層が足場部材を含む、実施形態25に記載の創傷用ドレッシング。
【0256】
27.MVTR改質層が不織布を含む、実施形態26に記載の創傷用ドレッシング。
【0257】
28.更に吸収層を含み、吸収層はポリマーファブリック、ポリマーフォーム、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態25〜27のいずれか一項に記載の創傷用ドレッシング。
【0258】
29.MVTR改質層が、PSA層の少なくとも一部分と直接接触している、実施形態25〜28のいずれか一項に記載の創傷用ドレッシング。
【0259】
30.MVTR改質層とPSA層の間に更に1つ以上の層を含む、実施形態25〜28のいずれか一項に記載の創傷用ドレッシング。
【0260】
31.前記PSAがカルボン酸基を含む、実施形態25〜30のいずれか一項に記載の創傷用ドレッシング。
【0261】
32.MVTR改質材料が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された塩基を含む、実施形態31に記載の創傷用ドレッシング。
【0262】
33.PSAが塩基性アミン基を含む、実施形態25〜30のいずれか一項に記載の創傷用ドレッシング。
【0263】
34.MVTR改質材料が、流体の存在下で、アミンと反応して高分子塩を形成できる酸を含む、実施形態33に記載の創傷用ドレッシング。
【0264】
35.
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及びPSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、PSA層は酸性官能基を含み、PSA層が全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まず、MVTR改質材料は塩基性であり、PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【0265】
36.PSAが、PSA 1グラムあたり、少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含有する、実施形態35に記載の創傷用ドレッシング。
【0266】
37.
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及びPSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、PSAが、酸性官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーを含み、ポリマーが、PSAの総重量に基づいて少なくとも6重量%の酸性官能性モノマーから調製され、MVTR改質材料が塩基性であり、PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時にポリマーの官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【0267】
38.医療用物品中の、接着剤層の水蒸気透過率を増加させる方法であって、酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層を提供すること、PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び使用時に医療用物品が流体と接触する際に、MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置することを含み、PSAは、PSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含み、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、MVTR改質材料、PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩を形成し、PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる、方法。
【0268】
39.医療用物品中の、接着剤層の水蒸気透過率を増加させる方法であって、酸性官能基を有するポリマー又は塩基性官能基を有するポリマーを含むPSA層を提供すること、PSAが酸性官能性ポリマーを含む場合には塩基性であり、PSAが塩基性官能性ポリマーを含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び使用時に医療用物品が流体と接触する際に、MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置すること、を含み、ポリマーはPSAの総重量に基づいて少なくとも6重量%の酸性官能性又は塩基性官能性モノマーから調製され、MVTR改質材料はPSAと不混和性であり、MVTR改質材料、PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩を形成し、PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる、方法。
【0269】
40.MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置することが、PSA層上にMVTR改質材料をコーティングすることを含む、実施形態38又は実施形態39に記載の方法。
【0270】
41.MVTR改質材料をPSAと接触させるような、医療用物品内の位置に、MVTR改質材料を配置することが、足場部材を提供すること、MVTR改質材料で足場部材をコーティングすること、及びコーティングした足場部材をPSA層の少なくとも一部分に接触させること、を含む、実施形態38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照することによって組み込まれている。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層であって、前記PSAがPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含む、PSA層、及び
前記PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、前記PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料、を含む医療用物品であって、
前記MVTR改質材料は前記PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に前記PSAの前記官能基と反応して高分子塩を形成する、医療用物品。
【請求項2】
前記PSAが官能性ポリマーを含み、かつ前記ポリマーが、前記PSAの総重量に基づいて、少なくとも6重量%の酸性官能性モノマー又は塩基性官能性モノマーから調製されている、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項3】
前記PSAが、PSA 1グラムあたり少なくとも1.8ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含む、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項4】
前記MVTR改質材料が、前記PSA層の表面上に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用物品。
【請求項5】
前記MVTR改質材料が、前記PSA層の表面上にパターンコーティングされている、請求項4に記載の医療用物品。
【請求項6】
更に第二PSA層を含み、前記MVTR改質材料が前記2つのPSA層の間に配置されている、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項7】
前記MVTR改質材料が、前記PSA層と接触している足場部材内に組み込まれている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用物品。
【請求項8】
前記医療用物品がバッキングを含み、かつ前記MVTR改質材料が前記PSA層と前記バッキングの間に配置されている、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項9】
更にpH変換層を含み、前記MVTR改質材料が、前記PSA層と前記pH変換層の間に配置され、前記pH変換層は、ポリアクリル酸、クエン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたpH変換材料を含む、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項10】
更に濾過層を含み、該濾過層が前記MVTR改質材料と対象部位の間に配置されている、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項11】
前記MVTR改質材料と前記官能基のモル比が0.1:1〜100:1である、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項12】
前記PSA層と接触しているキャリアフィルム、
前記キャリアフィルムと前記接着剤層の間に配置された吸収性パッド、及び
支持層と前記PSA層の間に配置されたバッキング、を更に含む、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項13】
前記PSA層が、酸性官能基を有するポリマーを含み、かつ前記MVTR改質材料が塩基性である、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項14】
前記MVTR改質材料が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された塩基を含む、請求項13に記載の医療用物品。
【請求項15】
前記PSAが、ゴム系接着剤、(メタ)アクリル、ポリ(α−オレフィン)、ポリウレタン、シリコーン、及びこれらの組み合わせを含む、請求項13又は14に記載の医療用物品。
【請求項16】
前記PSAが塩基性官能基を含み、かつ前記MVTR改質材料が酸性である、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項17】
前記PSAがアミンポリマーを含む、請求項19に記載の医療用物品。
【請求項18】
少なくとも1200g/m/24時間の湿潤時MVTRを有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の医療用物品。
【請求項19】
前記PSA層が、全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まない、請求項1に記載の医療用物品。
【請求項20】
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、
前記バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、及び
前記PSA層に近接したMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、前記PSAは酸性官能基又は塩基性官能基を含み、前記PSAはPSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含み、前記MVTR改質層は、前記PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、前記PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を含み、
前記MVTR改質材料は前記PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に前記官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【請求項21】
前記MVTR改質層が足場部材を含む、請求項20に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項22】
更に吸収層を含み、該吸収層はポリマーファブリック、ポリマーフォーム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項23】
前記MVTR改質層が、前記PSA層の少なくとも一部分と直接接触している、請求項20に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項24】
前記PSAがカルボン酸基を含む、請求項20に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項25】
前記MVTR改質材料が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化銀、水酸化亜鉛、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸銀、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、重炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された塩基を含む、請求項24に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項26】
前記PSAが塩基性アミン基を含む、請求項20に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項27】
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、
前記バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、
前記バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及び
前記PSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、前記PSA層は酸性官能基を含み、前記PSA層は、全体に均一に分散したMVTR改質材料を含まず、
前記MVTR改質材料は塩基性であり、前記PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に前記官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【請求項28】
前記PSAが、PSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基を含有する、請求項27に記載の創傷用ドレッシング。
【請求項29】
第1主表面と第2主表面とを有するバッキング、
前記バッキングの第1主表面の少なくとも一部分の上に配置されたPSA層、
前記バッキングの第2主表面に剥離可能に接着された支持層、及び
前記PSA層と接触したMVTR改質材料を含むMVTR改質層、を含む創傷用ドレッシングであって、
前記PSAが、酸性官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーを含み、前記ポリマーが、前記PSAの総重量に基づいて、少なくとも6重量%の酸性官能性モノマーから調製され、前記MVTR改質材料が塩基性であり、前記PSAと不混和性であり、かつ流体の存在下で接触時に前記ポリマーの前記官能基と反応して高分子塩を形成する、創傷用ドレッシング。
【請求項30】
医療用物品中の、接着剤層の水蒸気透過率を増加させる方法であって、
酸性官能基又は塩基性官能基を含むPSA層を提供すること、
前記PSAが酸性官能基を含む場合には塩基性であり、前記PSAが塩基性官能基を含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び
使用時に前記医療用物品が流体と接触する際に、前記MVTR改質材料を前記PSAと接触させるような、前記医療用物品内の位置に、前記MVTR改質材料を配置すること、を含み、
前記PSA層は、PSA 1グラムあたり少なくとも0.84ミリモルの酸性官能基又は塩基性官能基を含み、前記MVTR改質材料は前記PSAと不混和性であり、前記MVTR改質材料、前記PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩を形成し、前記PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる、方法。
【請求項31】
医療用物品中の、接着剤層の水蒸気透過率を増加させる方法であって、
酸性官能基を有するポリマー又は塩基性官能基を有するポリマーを含むPSA層を提供すること、
前記PSAが酸性官能性ポリマーを含む場合には塩基性であり、前記PSAが塩基性官能性ポリマーを含む場合には酸性である、MVTR改質材料を提供すること、及び
使用時に前記医療用物品が流体と接触する際に、前記MVTR改質材料を前記PSAと接触させるような、前記医療用物品内の位置に、前記MVTR改質材料を配置すること、を含み、
前記ポリマーは、前記PSAの総重量に基づいて少なくとも6重量%の前記酸性官能性又は塩基性官能性モノマーから調製され、前記MVTR改質材料は前記PSAと不混和性であり、前記MVTR改質材料、前記PSA、及び流体の間の接触が、酸塩基反応を生じさせて、高分子塩を形成し、前記PSA層の少なくとも一部分の水分透過性を増加させる、方法。
【請求項32】
前記MVTR改質材料を前記PSAと接触させるような、前記医療用物品内の位置に、前記MVTR改質材料を配置することが、
足場部材を提供すること、
前記MVTR改質材料で前記足場部材をコーティングすること、及び
前記コーティングした足場部材を前記PSA層の少なくとも一部分に接触させること、を含む、請求項30又は31に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−509969(P2013−509969A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538077(P2012−538077)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/055958
【国際公開番号】WO2011/057240
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】