医療輸液ライン用バルブコネクター
医療輸液ライン用のバルブコネクターにおいて、使用時における安全性、機能性及び多様性の向上を図る。医療輸液ライン用のバルブコネクターであって、入口端部(4)と出口端部(6,7)とを有する筒状本体(1)と、内側中空ピン(2)と、中間の弾性シール部材(3)と、を備えている。弾性シール部材(3)は、切り溝(15)を有する弾性頭部(13)と、中空ピン(2)に対して径方向に隣接する弾性中空要素(14)と、を備えている。中空ピン(2)は閉塞末端部(9)を有し、該閉塞末端部(9)は、液導入器(S)を入口端部(4)に挿入した時に、切り溝(15)と交差することなしに、弾性頭部(13)の開口形態を確立できる形状に形成され、前記開口形態となることにより切り溝(15)を開き、この切り溝(15)を介して、入口端部(4)を中空ピン(2)の横孔(12)を介して出口端部(6,7)に連通する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液用の導入器により液が導入される医療輸液ライン用のバルブコネクターに関し、典型的な例として、ニードルレス型シリンジシに嵌合するルアー又はルアーロックユニオン嵌合部に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブコネクターは、たとえば、米国特許第5242342号明細書、米国特許第567346号明細書、米国特許第6706022号明細書、米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書によって知られた技術である。
【0003】
特に、米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書の請求項1の前文には、内部空間を有する筒状本体と、液導入器に接続するための入口端部と、出口端部と、を有するバルブコネクターが記載されている。筒状本体の内部空間には軸方向に沿って中空ピンが配置されており、この中空ピンは、筒状本体の入口端部から軸方向に間隔をおくと共に入口端部に向けられた閉塞末端端部を有している。また、中空ピンは、筒状本体の出口端部に連通すると共に、少なくとも、前記閉塞端部から間隔おいた部位に横孔を有しており、この横孔により筒状本体の内部空間に連通可能となっている。さらに、バルブコネクターは、弾性シール部材を有しており、この弾性シール部材には、切り溝を有する弾性頭部が設けられている。この弾性頭部は、通常、閉塞状態(又は非作動状態)において、筒状本体の入口端部内に配置され、かつ、切り溝は閉塞している。弾性頭部は、中空ピンの閉塞末端部に対して移動可能となっており、入口端部に導入器を挿入した時に、弾性変形により開口形態(作動状態)に為ると切り溝を開くようになっている。さらに、弾性シール部材は、頭部に連結された弾性中空要素を備えており、この弾性中空要素は、筒状本体と中空ピンとの間に配設され、その出口端部に対して筒状本体の内部空間を絶縁している。前記弾性中空要素は、前記頭部を閉塞状態に維持するように押圧する弾性押圧手段を有すると共に、頭部が閉塞状態の時に、筒状本体の内部空間に関連する前記少なくとも一つの横孔を閉塞する接触内周面を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のバルブコネクターを用いることは、使用される患者の生命に拘わる重要な場合が多いので、バルブコネクターは、一連の基本的な要求に適合するものでなくてはならない。
【0005】
第1に、弾性部材の頭部によって形成される筒状本体の入口端部の閉塞物は、バルブコネクターの再開口及び再閉塞の後であっても、全バクテリアを阻止できるように、実質的に、堅固でなくてはならない。
【0006】
第2に、導入器の挿入時及び引抜き時においてコネクターの入口端部と出口端部との間の連通路を開くと共に再度閉じる操作は、故障による最小限の危険性をも伴うことなく、全体として、簡単で、かつ、再操作可能でなくてはならない。上記故障とは、バルブコネクターに接続される患者に危険性を与えるような故障である。これらの理由により、バルブコネクターに備えられる機械的な可動部品の数は、できる限り少なくする必要がある。
【0007】
第3に、これらのバルブコネクターは、閉塞又は非作用状態において、バルブコネクター内で発生する如何なる過剰な圧力に対しても耐える強度を有する必要があり、かつ、正圧及び負圧に対しても効果的なシール作用を維持できる構造で有る必要がある。
【0008】
最後に、これらのバルブコネクターは、典型的に、殺菌剤を染み込ませた小塊物により、入口端部側から簡単に洗浄及び殺菌でできるもでなければならない。
【0009】
前記米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書に記載されたバルブコネクターにおいては、導入器の接続時に、筒状本体の入口端部と出口端部との間の連通路を中空ピンの一つ又は複数の横孔を介して開く操作は、中空ピンの末端部が弾性頭部の切り溝に交差することにより、実行される。弾性部材の中空要素は、波形又はベロー型の壁を有しているので、中空要素の軸方向の圧縮により、アコーディオン方式でその形状が変形するが、中空要素の軸方向の圧縮により、弾性頭部は中空ピンに沿って横孔の下方位置までスライドし、これにより、前記横孔が導入器からの流体に直接晒されることになる。
【0010】
このような従来構造は、バルブコネクターの閉塞状態において、中空ピンの横孔を密封する操作は、単に、弾性部材の中空要素の径方向の弾性力のみによって為されている。導入器に閉塞末端部が係合しているバルブコネクターの開口時には、中空ピンの末端部が弾性頭部の切り溝と交差するが、このような交差があると、公知のバルブコネクターと共に使用できる導入器の最小直径が制限され、故障の危険性が大きくなる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、その目的は、基本的に、以下の特徴の組合せによって達成される。
【0012】
中空ピンの末端部は、弾性シール部材の弾性頭部が切り溝と交差することなく、開口形態に変化しうる形状に形成されており、
筒状本体は、弾性頭部が閉塞状態に位置している時に、弾性シール部材の中空要素の接触内周面を、積極的に中空ピンに押し付けており、
前記弾性頭部が閉塞状態の位置から開口形態の位置に移動した時に、弾性シール部材の中空要素の接触内周面も移動し、前記中空ピンの少なくとも一つの横孔と筒状本体の入口端部とを、前記切り溝を介して連通させる。
【0013】
上記構成によると、前記従来のバルブコネクターの課題が解消されると共に、使用時における安全性、機能性及び多様性が大幅に向上する。
【0014】
好ましくは、バルブコネクターの筒状本体は、円錐面を有する内壁部を備えることができ、前記円錐面は、弾性頭部の非変形密封状態において、弾性シール部材の中空要素の外周面に形成された補完的円錐面を備えた部分と対照となり、接触している。これにより、中空ピンの外周面に弾性シール部材の中空要素の内周面を接触させる径方向の押圧成分が生じ、中空ピンの少なくとも一つの横孔を、効果的に、かつ、堅固に閉塞する。このような構成により、前記弾性頭部の非変形密封状態において、弾性シール部材の中空要素が、軸方向の予荷重の作用に抗して前記頭部を押圧する作用を、向上させることができる。
【0015】
本発明の別の有利な特徴によると、弾性シール部材の中空要素は、非波形で、略筒状に形成された部材により構成される。
【0016】
本発明の第1の実施の形態において、弾性シール部材の中空要素は、前記非変形密封状態において、中空ピンの少なくとも一つの横孔に接触するように形成されている。この場合、中空ピンは、少なくとも前記一つの孔の部位において、外周環状喉部又は首部が形成されている。
【0017】
現在、好ましい実施の形態と考えられる変形例において、弾性シール部材の中空要素の接触内周面は、前記非変形密封状態において、前記少なくとも一つの横孔と前記末端部との間に対応する中空ピンの領域に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、図1及び図2により説明する。本発明による医療輸液ライン用バルブコネクターは、主構成として、外側筒状本体1と、該筒状本体1の内部空間に軸芯方向に配置された内側中空ピン2と、中間の弾性シール部材3とを備えている。通常は、筒状本体1及び内側中空ピン2は樹脂成形部材でできており、一方、弾性シール部材3は、シリコンゴム等の弾性部材でできている。
【0019】
外側筒状本体1は、雌型ルアーロック接続具として機能するように形成された入口端部4を有しており、該入口端部4は、一般的な従来の接続方式に適合し、液導入器の雄型ルアー又はルアーロック接続部材に接続される。前記液導入器として、たとえば、ニードルレスシリンジを用いることができ、その一部は、図3及び図4に符号Sで示している。入口端部4の環状内周面は符号5で示しており、この環状内周面5は、ほんのわずかに円錐状(テーパー状)に形成することができるが、製造等の簡便性を考慮して、円筒状としてもよい。
【0020】
外側筒状本体1の他端部又は出口端部は、雄型ルアーロック接続具として機能するように形成されており、外周面がわずかに円錐状に形成された中央筒状差込み口6と、内周にねじが形成された外側被覆部7と、を備えている。図2に示す実施の形態では、外側被覆部7は筒状本体1と一体に形成されており、一方、中央差込み口6は、図8及び図9に示すように、内側中空ピン2と一体に形成されている。内側中空ピン2と差込み口6との結合部には環状フランジ8が設けられており、該環状フランジ8は、筒状本体1内のねじが形成されている外側被覆部7に略隣接した箇所に、密封状態で嵌合している。図10及び図11は変形例を示しており、該変形例において、中央差し込み口6及び外側被覆部7は中空ピン2と一体に形成され、さらに、筒状本体1内に嵌合する環状フランジ8も中空ピン2と一体に形成されている。
【0021】
中空ピン2は、バルブコネクターの出口端部6,7とは反対側の端部に閉塞末端部9を有しており、この閉塞末端部9は、入口端部4側に向けられると共に入口端部4から軸方向に短い間隔をおいて位置している。中空ピンの自由端部に貫通状の末端部を形成した構造は従来知られているが、このような従来構造と異なり、本実施形態の閉塞末端部9は、軸方向及び径方向にクラウン状に突出する複数の突出部10を有しており、各突出部10は、突出部10間に軸方向及び径方向の流体通路11を形成するように、互いに所定角度をおいて配設されている。図8,9、10及び図11には、前記流体通路11を明確に示している。また、図7にも、流体通路11を明確に示している。図7の構造は、図8及び図9に示すような形態の出口端部6,7の代わりに、図10及び図11に示す形態の出口部6,7を備えており、それ以外は図2の構造と同様である。なお、図7では、弾性シール部材3は、図面の簡略化のために省略されている。
【0022】
入口端部4側に向いている突出部10の端面部10aは、好ましくは平坦面状又はわずかに丸みを有する湾曲面状に形成される。
【0023】
中空ピン2には、閉塞末端部9から短い間隔をおいた部位に、一つ又は複数の径方向の横孔12が形成されており、この横孔12により、入口端部4を、中空ピン2の内部空間を介して出口端部6,7に連通する。
【0024】
図12及び図13は弾性シール部材3を詳細かつ明確に示しており、弾性シール部材3は、製造等の簡便性を考慮して、弾性頭部13と弾性中空要素14とが、一体成形部材として構成されている。
【0025】
弾性頭部13には、予め加工された軸方向の切り溝15が形成されており、この切り溝15は弾性頭部13の弾性力によって閉じられており、これにより入口端部4内での非変形の弾性頭部13を閉塞状態に保っている。この閉塞状態において、抗バクテリア保護バリアがバルブコネクターの内部と外部との間で形成され、衛生面での効果的な清浄作用を保証することができる。製造の簡便性を考慮して、上記抗バクテリア保護バリアは、消毒剤を浸透させた詰め物(小塊)によって構成される。
【0026】
弾性頭部13は円錐台部16を介して弾性中空要素14に結合されており、前記円錐台部16の大径側の基端部には、環状の載置肩部17が形成されている。この肩部17は、図2の非変形密封封状態において、筒状本体1に形成された円錐面を有する内側環状肩部18に面している。
【0027】
前記弾性中空要素14には、弾性頭部13側とは反対側の端部にリップ端部19が形成されており、このリップ端部19は、中空ピン2の外周面に対し環状フランジ8部分において密封状態で閉じている。弾性中空要素14の一般的な形状は、(先行技術文献米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書の場合のように)波形又は蛇腹形に形成することもできるが、製造の簡便性及び簡素化を考慮して、円形断面を有する筒形(図5に詳細に記載)又は楕円形(図6に詳細に記載)に形成することもでき、さらに、多角形状に形成することも可能である。如何なる形状を採用する場合においても、弾性中空要素14は、わずかに円錐形に形成された外周面21を有する厚肉部20を備えており、この厚肉部20は、以下に詳しく述べるように、筒状本体1の内周壁に相互捕捉的に形成されたわずかに円錐形の内周面22と協働して作用する。
【0028】
弾性中空要素14の厚肉部20の内周面は符号23で示されており、入口端部4内に弾性頭部13が非変形閉塞状態で嵌合している状態において、前記内周面23は中空ピン2と接触するように配置され、横孔12を密封状態に閉じている。これにより、弾性頭部13と、閉塞末端部9と、該閉塞末端部9を囲む弾性シール部材3の内面領域と、で形成されるチャンバー24を、出口端部6,7から隔離している。内周面23により横孔12を密封状態に閉じる構成は、本発明の特定の請求項の内容に従い、内周面23が中空ピン2に対して周方向及び径方向に接触することにより、確立されるが、その確立は、弾性中空要素14に予めかけられた軸方向の弾性荷重の作用により生じる円錐面21及び22間の相互作用により、最終的に達成される。
【0029】
閉塞状態を示す図2において、弾性頭部13は、非変形閉塞状態で入口端部4内に挿入されており、この時、切り溝15も閉塞されている。弾性中空要素14に軸方向の予荷重がかかっているので、筒状本体1の円錐面22を有する内側部分には、くさび作用による径方向内方への押圧分力が生じ、この径方向の押圧分力により、前記中空要素14が中空ピン2の横孔12を密封状態に塞いでいる。このようにして、バルブコネクターの入口端部4と出口端部6,7との間の連通経路は、二箇所で遮蔽されている。すなわち、一箇所は、非変形状態の弾性頭部13が入口端部(嵌合部)4を閉塞することにより遮蔽されており、他の箇所は、弾性中空要素14の厚肉部20で横孔12を閉塞することにより、遮蔽されている。
【0030】
図3に示すように、ニードルレスシリンジSが入口端部(嵌合部)4内に挿入され、弾性頭部13に密封状態で圧接された時には、弾性中空要素14が軸方向に圧縮あるいは挫屈することにより、弾性頭部13はコネクターの内方へと軸方向に押圧される。それと同時に、中空弾性要素14の厚肉部20は、中空ピン3に沿って軸方向の出口端部6,7側へスライドし、これにより、横孔12が開き、横孔12はチャンバー24に連通する。
【0031】
環状内周面5は、変形しないように、かつ、シリンジSの円錐状表面が密封状態で嵌合するように設計されており、円筒形又は僅かに円錐状に形成されている。
【0032】
入口端部(嵌合部)4において、ルアーロック接続が完全ロックされるまで、ニードルレスシリンジSを挿入し続けると、バルブコネクターは図4に示すような状態となる。すなわち、弾性中空要素14に対してさらに軸方向の荷重をかけることにより、弾性頭部13は、筒状本体1の内部に向けて閉塞末端部9に対面するまで近づき、閉塞末端部9の突出部10に当接する。このように突出部10に弾性頭部13が当接することにより、弾性頭部13は弾性変形し、たとえば、径方向の外方に拡張し、切り溝15が開口する。このようにして、入口端部(嵌合部)4、又はニードルレスシリンジSは、チャンバー24、閉塞末端部9の流体通路11、横孔12及び中空ピン2の内部空間を介して、出口端部6,7に連通する。
【0033】
ニードルレスシリンジSを入口端部(嵌合部)4から抜き取る時は、弾性シール部材3の弾性中空要素14の弾性復元力により、図2に示す密封状態に復元する。密封状態に復元した時には、弾性頭部13は、入口端部(嵌合部)4内に非変形状態で嵌合する状態に戻り、横孔12は弾性中空要素14の厚肉部20によって、再び閉塞される。
【0034】
図14〜図16は、本発明によるバルブコネクターの変形例であり、それぞれ前記図2〜図4で説明した状態と対応した状態を示している。この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。
【0035】
詳細に説明すれば、この変形例は、中空ピン2の外周面の横孔12の部位に、軸方向に一定の長さを有する環状の小径の喉部又は首部25が形成されており、該首部25は、入口端部(嵌合部)4内に弾性頭部13が非変形閉塞状態と嵌合している時に、弾性シール部材3の弾性中空要素14の厚肉部20に係合している。この変形例においてもまた、シリンジSを入口端部(嵌合部)4内に挿入し、弾性中空要素14を軸方向に圧縮することにより、厚肉部分20を中空ピン2に沿って軸方向の出口端部6,7側へ向けて徐々にスライドさせ、横孔12を開口する。そして、閉塞末端部9の突出部10に弾性頭部13が当接することにより、弾性頭部13が弾性変形し、切り溝15が開き、それにより、入口端部(嵌合部)4と出口端部(嵌合部)6,7との間は、開口した切り溝15,チャンバー24,流体通路11,横孔12及び中ピン2の内部空間を介して、流体流通可能に連通する。
【0036】
図17は、図14の密封状態において、弾性中空要素14の厚肉部20によって横孔12を密封状態に閉塞している構造を詳細に示している。
【0037】
図18及び図19は、本発明によるバルブコネクターの別の変形例であり、前記図2〜図4で説明した状態とそれぞれ対応した状態を示している。この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。弾性シール部材3の弾性中空要素14の厚肉部20は、直接ではなく、間接的に、中空ピン2の横孔12を密封状態に閉塞している。すなわち、環状の首部25の表面を閉塞する代わりに、厚肉部20は、円錐面26が形成された部分を有しており、密封状態において、前記円錐面26は、補完的形状の外周円錐面27に液密状態で圧接しており、これにより、環状首部25の接合部としての役目を果たしている。この場合、上記密封接触は、弾性中空要素14の軸方向の予荷重と、弾性中空要素14の外周円錐面21に圧接する筒状本体1の内部円錐面22によって発生する軸方向及び径方向の両方の押圧成分によって確保されている。この変形例において、以下、説明するように、弾性頭部13の内周面は、複数の溝30を有するクラウン状に形成されており、これにより、弾性頭部13の開口状態において、シリンジSから流入する流体を、中空ピン2の末端部9の突出部10によって形成された径方向の流体通路11を経て、横孔12(図21を見よ)に流す流体通路を構成している。
【0038】
図21及び図22は、現在、好ましいと考えられる変形例を示しており、この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。中空ピン2の外周円錐面27と連携作用を行う弾性中空要素14の内周円錐面26は、弾性中空要素14の内側環状突出部28に形成されている。
【0039】
この変形例は、前述のように、現在、好ましいと考えられる例であるが、その理由は、コネクターの閉塞状態において、中空ピン2の外周円錐面27に接触する内側環状突出部28の隣接面は、たとえ使用時に、コネクター内が真空又は過圧状態になったとしても、強く圧接された状態に保たれる。
【0040】
上記説明した全ての実施の形態において、中空ピン2には、追加の横孔29を備えることができ、この横孔29は、前記横孔12より出口端部6,7側へ軸方向に間隔をおいて配置されると共に、弾性中空要素14の厚肉部20と前記弾性中空要素14のリップ端部19との間に位置している。したがって、シリンジSの挿入作業中、横孔12が開口すると、チャンバー31内に溜まっていた空気は自由に排出され、弾性中空要素14内の作動が邪魔されることはない。さらに、バルブコネクターの使用終了時において、ニードルレスシリンジSを取り外すことにより、弾性頭部13は入口端部(嵌合部)4内に非変形閉塞状態で嵌合する状態に復元されると共に、横孔12も元の開口状態に復元し、使用中にチャンバー31内に流入した如何なる液体も、前記追加の横孔29から外に排出され、注入された薬剤の全てを、簡単に、完全に排出することができる。最後に、出口端部6,7からの如何なる液圧も、チャンバー31内に吸収することができ、一方、互いに補完し合う円錐面26,27の密封特性を向上させることができる。
【0041】
追加の横孔29の通路部分の内径は、横孔12の通路部分と関連して、上記説明した効果が得られるよう、適切に修正される。
【0042】
勿論、細部の構成及び実施の形態は、特許請求の範囲に記載した本発明から外れる事のない範囲において、前記説明及び図面に記載した内容とは別に、各種変形例を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による医療輸液ライン用バルブコネクターの概略側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を、第1の状態で示す概略軸方向断面図である。
【図3】バルブコネクターの作用状態を示す図2と同様の概略軸方向断面図である。
【図4】バルブコネクターの作用状態であって、前記図3の状態とは異なる状態を示す図2と同様の概略軸方向断面図である。
【図5】図2のV-V断面図である。
【図6】図5の変形例を示す断面図である。
【図7】コネクターの一構成部品を省略すると共に、図2の状態から30°回転した状態を示す図2と同様の断面図である。
【図8】第1の実施の形態によるバルブコネクターの一構成部品の立面図である。
【図9】図8の斜視図である。
【図10】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【図11】図11の斜視図である。
【図12】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【図13】図12の斜視図である。
【図14】バルブコネクターの変形例を、第1の作用状態で示す図2と同様の軸方向断面図である。
【図15】バルブコネクターの作用状態を示す図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図16】バルブコネクターの作用状態であって、前記図15の状態とは異なる状態を示す図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図17】図14の拡大詳細図である。
【図18】本発明によるバルブコネクターの第2の変形例を示す図2及び図14と同様の概略軸方向断面の部分図である。
【図19】図18の拡大図である。
【図20】本発明によるバルブコネクターの第3の変形例であって、閉じ状態を表している図2及び図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図21】開状態のバルブコネクターを示す図20と同様の概略軸方向断面図である。
【図22】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液用の導入器により液が導入される医療輸液ライン用のバルブコネクターに関し、典型的な例として、ニードルレス型シリンジシに嵌合するルアー又はルアーロックユニオン嵌合部に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブコネクターは、たとえば、米国特許第5242342号明細書、米国特許第567346号明細書、米国特許第6706022号明細書、米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書によって知られた技術である。
【0003】
特に、米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書の請求項1の前文には、内部空間を有する筒状本体と、液導入器に接続するための入口端部と、出口端部と、を有するバルブコネクターが記載されている。筒状本体の内部空間には軸方向に沿って中空ピンが配置されており、この中空ピンは、筒状本体の入口端部から軸方向に間隔をおくと共に入口端部に向けられた閉塞末端端部を有している。また、中空ピンは、筒状本体の出口端部に連通すると共に、少なくとも、前記閉塞端部から間隔おいた部位に横孔を有しており、この横孔により筒状本体の内部空間に連通可能となっている。さらに、バルブコネクターは、弾性シール部材を有しており、この弾性シール部材には、切り溝を有する弾性頭部が設けられている。この弾性頭部は、通常、閉塞状態(又は非作動状態)において、筒状本体の入口端部内に配置され、かつ、切り溝は閉塞している。弾性頭部は、中空ピンの閉塞末端部に対して移動可能となっており、入口端部に導入器を挿入した時に、弾性変形により開口形態(作動状態)に為ると切り溝を開くようになっている。さらに、弾性シール部材は、頭部に連結された弾性中空要素を備えており、この弾性中空要素は、筒状本体と中空ピンとの間に配設され、その出口端部に対して筒状本体の内部空間を絶縁している。前記弾性中空要素は、前記頭部を閉塞状態に維持するように押圧する弾性押圧手段を有すると共に、頭部が閉塞状態の時に、筒状本体の内部空間に関連する前記少なくとも一つの横孔を閉塞する接触内周面を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のバルブコネクターを用いることは、使用される患者の生命に拘わる重要な場合が多いので、バルブコネクターは、一連の基本的な要求に適合するものでなくてはならない。
【0005】
第1に、弾性部材の頭部によって形成される筒状本体の入口端部の閉塞物は、バルブコネクターの再開口及び再閉塞の後であっても、全バクテリアを阻止できるように、実質的に、堅固でなくてはならない。
【0006】
第2に、導入器の挿入時及び引抜き時においてコネクターの入口端部と出口端部との間の連通路を開くと共に再度閉じる操作は、故障による最小限の危険性をも伴うことなく、全体として、簡単で、かつ、再操作可能でなくてはならない。上記故障とは、バルブコネクターに接続される患者に危険性を与えるような故障である。これらの理由により、バルブコネクターに備えられる機械的な可動部品の数は、できる限り少なくする必要がある。
【0007】
第3に、これらのバルブコネクターは、閉塞又は非作用状態において、バルブコネクター内で発生する如何なる過剰な圧力に対しても耐える強度を有する必要があり、かつ、正圧及び負圧に対しても効果的なシール作用を維持できる構造で有る必要がある。
【0008】
最後に、これらのバルブコネクターは、典型的に、殺菌剤を染み込ませた小塊物により、入口端部側から簡単に洗浄及び殺菌でできるもでなければならない。
【0009】
前記米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書に記載されたバルブコネクターにおいては、導入器の接続時に、筒状本体の入口端部と出口端部との間の連通路を中空ピンの一つ又は複数の横孔を介して開く操作は、中空ピンの末端部が弾性頭部の切り溝に交差することにより、実行される。弾性部材の中空要素は、波形又はベロー型の壁を有しているので、中空要素の軸方向の圧縮により、アコーディオン方式でその形状が変形するが、中空要素の軸方向の圧縮により、弾性頭部は中空ピンに沿って横孔の下方位置までスライドし、これにより、前記横孔が導入器からの流体に直接晒されることになる。
【0010】
このような従来構造は、バルブコネクターの閉塞状態において、中空ピンの横孔を密封する操作は、単に、弾性部材の中空要素の径方向の弾性力のみによって為されている。導入器に閉塞末端部が係合しているバルブコネクターの開口時には、中空ピンの末端部が弾性頭部の切り溝と交差するが、このような交差があると、公知のバルブコネクターと共に使用できる導入器の最小直径が制限され、故障の危険性が大きくなる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、その目的は、基本的に、以下の特徴の組合せによって達成される。
【0012】
中空ピンの末端部は、弾性シール部材の弾性頭部が切り溝と交差することなく、開口形態に変化しうる形状に形成されており、
筒状本体は、弾性頭部が閉塞状態に位置している時に、弾性シール部材の中空要素の接触内周面を、積極的に中空ピンに押し付けており、
前記弾性頭部が閉塞状態の位置から開口形態の位置に移動した時に、弾性シール部材の中空要素の接触内周面も移動し、前記中空ピンの少なくとも一つの横孔と筒状本体の入口端部とを、前記切り溝を介して連通させる。
【0013】
上記構成によると、前記従来のバルブコネクターの課題が解消されると共に、使用時における安全性、機能性及び多様性が大幅に向上する。
【0014】
好ましくは、バルブコネクターの筒状本体は、円錐面を有する内壁部を備えることができ、前記円錐面は、弾性頭部の非変形密封状態において、弾性シール部材の中空要素の外周面に形成された補完的円錐面を備えた部分と対照となり、接触している。これにより、中空ピンの外周面に弾性シール部材の中空要素の内周面を接触させる径方向の押圧成分が生じ、中空ピンの少なくとも一つの横孔を、効果的に、かつ、堅固に閉塞する。このような構成により、前記弾性頭部の非変形密封状態において、弾性シール部材の中空要素が、軸方向の予荷重の作用に抗して前記頭部を押圧する作用を、向上させることができる。
【0015】
本発明の別の有利な特徴によると、弾性シール部材の中空要素は、非波形で、略筒状に形成された部材により構成される。
【0016】
本発明の第1の実施の形態において、弾性シール部材の中空要素は、前記非変形密封状態において、中空ピンの少なくとも一つの横孔に接触するように形成されている。この場合、中空ピンは、少なくとも前記一つの孔の部位において、外周環状喉部又は首部が形成されている。
【0017】
現在、好ましい実施の形態と考えられる変形例において、弾性シール部材の中空要素の接触内周面は、前記非変形密封状態において、前記少なくとも一つの横孔と前記末端部との間に対応する中空ピンの領域に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、図1及び図2により説明する。本発明による医療輸液ライン用バルブコネクターは、主構成として、外側筒状本体1と、該筒状本体1の内部空間に軸芯方向に配置された内側中空ピン2と、中間の弾性シール部材3とを備えている。通常は、筒状本体1及び内側中空ピン2は樹脂成形部材でできており、一方、弾性シール部材3は、シリコンゴム等の弾性部材でできている。
【0019】
外側筒状本体1は、雌型ルアーロック接続具として機能するように形成された入口端部4を有しており、該入口端部4は、一般的な従来の接続方式に適合し、液導入器の雄型ルアー又はルアーロック接続部材に接続される。前記液導入器として、たとえば、ニードルレスシリンジを用いることができ、その一部は、図3及び図4に符号Sで示している。入口端部4の環状内周面は符号5で示しており、この環状内周面5は、ほんのわずかに円錐状(テーパー状)に形成することができるが、製造等の簡便性を考慮して、円筒状としてもよい。
【0020】
外側筒状本体1の他端部又は出口端部は、雄型ルアーロック接続具として機能するように形成されており、外周面がわずかに円錐状に形成された中央筒状差込み口6と、内周にねじが形成された外側被覆部7と、を備えている。図2に示す実施の形態では、外側被覆部7は筒状本体1と一体に形成されており、一方、中央差込み口6は、図8及び図9に示すように、内側中空ピン2と一体に形成されている。内側中空ピン2と差込み口6との結合部には環状フランジ8が設けられており、該環状フランジ8は、筒状本体1内のねじが形成されている外側被覆部7に略隣接した箇所に、密封状態で嵌合している。図10及び図11は変形例を示しており、該変形例において、中央差し込み口6及び外側被覆部7は中空ピン2と一体に形成され、さらに、筒状本体1内に嵌合する環状フランジ8も中空ピン2と一体に形成されている。
【0021】
中空ピン2は、バルブコネクターの出口端部6,7とは反対側の端部に閉塞末端部9を有しており、この閉塞末端部9は、入口端部4側に向けられると共に入口端部4から軸方向に短い間隔をおいて位置している。中空ピンの自由端部に貫通状の末端部を形成した構造は従来知られているが、このような従来構造と異なり、本実施形態の閉塞末端部9は、軸方向及び径方向にクラウン状に突出する複数の突出部10を有しており、各突出部10は、突出部10間に軸方向及び径方向の流体通路11を形成するように、互いに所定角度をおいて配設されている。図8,9、10及び図11には、前記流体通路11を明確に示している。また、図7にも、流体通路11を明確に示している。図7の構造は、図8及び図9に示すような形態の出口端部6,7の代わりに、図10及び図11に示す形態の出口部6,7を備えており、それ以外は図2の構造と同様である。なお、図7では、弾性シール部材3は、図面の簡略化のために省略されている。
【0022】
入口端部4側に向いている突出部10の端面部10aは、好ましくは平坦面状又はわずかに丸みを有する湾曲面状に形成される。
【0023】
中空ピン2には、閉塞末端部9から短い間隔をおいた部位に、一つ又は複数の径方向の横孔12が形成されており、この横孔12により、入口端部4を、中空ピン2の内部空間を介して出口端部6,7に連通する。
【0024】
図12及び図13は弾性シール部材3を詳細かつ明確に示しており、弾性シール部材3は、製造等の簡便性を考慮して、弾性頭部13と弾性中空要素14とが、一体成形部材として構成されている。
【0025】
弾性頭部13には、予め加工された軸方向の切り溝15が形成されており、この切り溝15は弾性頭部13の弾性力によって閉じられており、これにより入口端部4内での非変形の弾性頭部13を閉塞状態に保っている。この閉塞状態において、抗バクテリア保護バリアがバルブコネクターの内部と外部との間で形成され、衛生面での効果的な清浄作用を保証することができる。製造の簡便性を考慮して、上記抗バクテリア保護バリアは、消毒剤を浸透させた詰め物(小塊)によって構成される。
【0026】
弾性頭部13は円錐台部16を介して弾性中空要素14に結合されており、前記円錐台部16の大径側の基端部には、環状の載置肩部17が形成されている。この肩部17は、図2の非変形密封封状態において、筒状本体1に形成された円錐面を有する内側環状肩部18に面している。
【0027】
前記弾性中空要素14には、弾性頭部13側とは反対側の端部にリップ端部19が形成されており、このリップ端部19は、中空ピン2の外周面に対し環状フランジ8部分において密封状態で閉じている。弾性中空要素14の一般的な形状は、(先行技術文献米国特許第5700248号明細書及び米国特許第6682509号明細書の場合のように)波形又は蛇腹形に形成することもできるが、製造の簡便性及び簡素化を考慮して、円形断面を有する筒形(図5に詳細に記載)又は楕円形(図6に詳細に記載)に形成することもでき、さらに、多角形状に形成することも可能である。如何なる形状を採用する場合においても、弾性中空要素14は、わずかに円錐形に形成された外周面21を有する厚肉部20を備えており、この厚肉部20は、以下に詳しく述べるように、筒状本体1の内周壁に相互捕捉的に形成されたわずかに円錐形の内周面22と協働して作用する。
【0028】
弾性中空要素14の厚肉部20の内周面は符号23で示されており、入口端部4内に弾性頭部13が非変形閉塞状態で嵌合している状態において、前記内周面23は中空ピン2と接触するように配置され、横孔12を密封状態に閉じている。これにより、弾性頭部13と、閉塞末端部9と、該閉塞末端部9を囲む弾性シール部材3の内面領域と、で形成されるチャンバー24を、出口端部6,7から隔離している。内周面23により横孔12を密封状態に閉じる構成は、本発明の特定の請求項の内容に従い、内周面23が中空ピン2に対して周方向及び径方向に接触することにより、確立されるが、その確立は、弾性中空要素14に予めかけられた軸方向の弾性荷重の作用により生じる円錐面21及び22間の相互作用により、最終的に達成される。
【0029】
閉塞状態を示す図2において、弾性頭部13は、非変形閉塞状態で入口端部4内に挿入されており、この時、切り溝15も閉塞されている。弾性中空要素14に軸方向の予荷重がかかっているので、筒状本体1の円錐面22を有する内側部分には、くさび作用による径方向内方への押圧分力が生じ、この径方向の押圧分力により、前記中空要素14が中空ピン2の横孔12を密封状態に塞いでいる。このようにして、バルブコネクターの入口端部4と出口端部6,7との間の連通経路は、二箇所で遮蔽されている。すなわち、一箇所は、非変形状態の弾性頭部13が入口端部(嵌合部)4を閉塞することにより遮蔽されており、他の箇所は、弾性中空要素14の厚肉部20で横孔12を閉塞することにより、遮蔽されている。
【0030】
図3に示すように、ニードルレスシリンジSが入口端部(嵌合部)4内に挿入され、弾性頭部13に密封状態で圧接された時には、弾性中空要素14が軸方向に圧縮あるいは挫屈することにより、弾性頭部13はコネクターの内方へと軸方向に押圧される。それと同時に、中空弾性要素14の厚肉部20は、中空ピン3に沿って軸方向の出口端部6,7側へスライドし、これにより、横孔12が開き、横孔12はチャンバー24に連通する。
【0031】
環状内周面5は、変形しないように、かつ、シリンジSの円錐状表面が密封状態で嵌合するように設計されており、円筒形又は僅かに円錐状に形成されている。
【0032】
入口端部(嵌合部)4において、ルアーロック接続が完全ロックされるまで、ニードルレスシリンジSを挿入し続けると、バルブコネクターは図4に示すような状態となる。すなわち、弾性中空要素14に対してさらに軸方向の荷重をかけることにより、弾性頭部13は、筒状本体1の内部に向けて閉塞末端部9に対面するまで近づき、閉塞末端部9の突出部10に当接する。このように突出部10に弾性頭部13が当接することにより、弾性頭部13は弾性変形し、たとえば、径方向の外方に拡張し、切り溝15が開口する。このようにして、入口端部(嵌合部)4、又はニードルレスシリンジSは、チャンバー24、閉塞末端部9の流体通路11、横孔12及び中空ピン2の内部空間を介して、出口端部6,7に連通する。
【0033】
ニードルレスシリンジSを入口端部(嵌合部)4から抜き取る時は、弾性シール部材3の弾性中空要素14の弾性復元力により、図2に示す密封状態に復元する。密封状態に復元した時には、弾性頭部13は、入口端部(嵌合部)4内に非変形状態で嵌合する状態に戻り、横孔12は弾性中空要素14の厚肉部20によって、再び閉塞される。
【0034】
図14〜図16は、本発明によるバルブコネクターの変形例であり、それぞれ前記図2〜図4で説明した状態と対応した状態を示している。この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。
【0035】
詳細に説明すれば、この変形例は、中空ピン2の外周面の横孔12の部位に、軸方向に一定の長さを有する環状の小径の喉部又は首部25が形成されており、該首部25は、入口端部(嵌合部)4内に弾性頭部13が非変形閉塞状態と嵌合している時に、弾性シール部材3の弾性中空要素14の厚肉部20に係合している。この変形例においてもまた、シリンジSを入口端部(嵌合部)4内に挿入し、弾性中空要素14を軸方向に圧縮することにより、厚肉部分20を中空ピン2に沿って軸方向の出口端部6,7側へ向けて徐々にスライドさせ、横孔12を開口する。そして、閉塞末端部9の突出部10に弾性頭部13が当接することにより、弾性頭部13が弾性変形し、切り溝15が開き、それにより、入口端部(嵌合部)4と出口端部(嵌合部)6,7との間は、開口した切り溝15,チャンバー24,流体通路11,横孔12及び中ピン2の内部空間を介して、流体流通可能に連通する。
【0036】
図17は、図14の密封状態において、弾性中空要素14の厚肉部20によって横孔12を密封状態に閉塞している構造を詳細に示している。
【0037】
図18及び図19は、本発明によるバルブコネクターの別の変形例であり、前記図2〜図4で説明した状態とそれぞれ対応した状態を示している。この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。弾性シール部材3の弾性中空要素14の厚肉部20は、直接ではなく、間接的に、中空ピン2の横孔12を密封状態に閉塞している。すなわち、環状の首部25の表面を閉塞する代わりに、厚肉部20は、円錐面26が形成された部分を有しており、密封状態において、前記円錐面26は、補完的形状の外周円錐面27に液密状態で圧接しており、これにより、環状首部25の接合部としての役目を果たしている。この場合、上記密封接触は、弾性中空要素14の軸方向の予荷重と、弾性中空要素14の外周円錐面21に圧接する筒状本体1の内部円錐面22によって発生する軸方向及び径方向の両方の押圧成分によって確保されている。この変形例において、以下、説明するように、弾性頭部13の内周面は、複数の溝30を有するクラウン状に形成されており、これにより、弾性頭部13の開口状態において、シリンジSから流入する流体を、中空ピン2の末端部9の突出部10によって形成された径方向の流体通路11を経て、横孔12(図21を見よ)に流す流体通路を構成している。
【0038】
図21及び図22は、現在、好ましいと考えられる変形例を示しており、この変形例において、既に説明した部品等を同じ又は類似する部品等には、同じ符号(番号)を付している。中空ピン2の外周円錐面27と連携作用を行う弾性中空要素14の内周円錐面26は、弾性中空要素14の内側環状突出部28に形成されている。
【0039】
この変形例は、前述のように、現在、好ましいと考えられる例であるが、その理由は、コネクターの閉塞状態において、中空ピン2の外周円錐面27に接触する内側環状突出部28の隣接面は、たとえ使用時に、コネクター内が真空又は過圧状態になったとしても、強く圧接された状態に保たれる。
【0040】
上記説明した全ての実施の形態において、中空ピン2には、追加の横孔29を備えることができ、この横孔29は、前記横孔12より出口端部6,7側へ軸方向に間隔をおいて配置されると共に、弾性中空要素14の厚肉部20と前記弾性中空要素14のリップ端部19との間に位置している。したがって、シリンジSの挿入作業中、横孔12が開口すると、チャンバー31内に溜まっていた空気は自由に排出され、弾性中空要素14内の作動が邪魔されることはない。さらに、バルブコネクターの使用終了時において、ニードルレスシリンジSを取り外すことにより、弾性頭部13は入口端部(嵌合部)4内に非変形閉塞状態で嵌合する状態に復元されると共に、横孔12も元の開口状態に復元し、使用中にチャンバー31内に流入した如何なる液体も、前記追加の横孔29から外に排出され、注入された薬剤の全てを、簡単に、完全に排出することができる。最後に、出口端部6,7からの如何なる液圧も、チャンバー31内に吸収することができ、一方、互いに補完し合う円錐面26,27の密封特性を向上させることができる。
【0041】
追加の横孔29の通路部分の内径は、横孔12の通路部分と関連して、上記説明した効果が得られるよう、適切に修正される。
【0042】
勿論、細部の構成及び実施の形態は、特許請求の範囲に記載した本発明から外れる事のない範囲において、前記説明及び図面に記載した内容とは別に、各種変形例を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による医療輸液ライン用バルブコネクターの概略側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を、第1の状態で示す概略軸方向断面図である。
【図3】バルブコネクターの作用状態を示す図2と同様の概略軸方向断面図である。
【図4】バルブコネクターの作用状態であって、前記図3の状態とは異なる状態を示す図2と同様の概略軸方向断面図である。
【図5】図2のV-V断面図である。
【図6】図5の変形例を示す断面図である。
【図7】コネクターの一構成部品を省略すると共に、図2の状態から30°回転した状態を示す図2と同様の断面図である。
【図8】第1の実施の形態によるバルブコネクターの一構成部品の立面図である。
【図9】図8の斜視図である。
【図10】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【図11】図11の斜視図である。
【図12】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【図13】図12の斜視図である。
【図14】バルブコネクターの変形例を、第1の作用状態で示す図2と同様の軸方向断面図である。
【図15】バルブコネクターの作用状態を示す図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図16】バルブコネクターの作用状態であって、前記図15の状態とは異なる状態を示す図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図17】図14の拡大詳細図である。
【図18】本発明によるバルブコネクターの第2の変形例を示す図2及び図14と同様の概略軸方向断面の部分図である。
【図19】図18の拡大図である。
【図20】本発明によるバルブコネクターの第3の変形例であって、閉じ状態を表している図2及び図14と同様の概略軸方向断面図である。
【図21】開状態のバルブコネクターを示す図20と同様の概略軸方向断面図である。
【図22】第2の実施の形態における図8と同様の部品の立面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液導入器(S)によって液が導入される医療輸液ライン用バルブコネクターであって、
内部空間と、導入器(S)に接続可能な入口端部(4)と、出口端部(6,7)と、を有する筒状本体(1)と、
該筒状本体(1)の内部空間内に軸方向に配置された中空ピン(2)と、
弾性頭部(13)及び弾性中空要素(14)を有する弾性シール部材(3)と、を備え、
前記中空ピン(2)は、入口端部(4)から軸方向に間隔をおくと共に前記入口端部(4)に向けられた閉塞末端端部(9)を有し、かつ、筒状本体(1)の出口端部(6,7)に連通すると共に閉塞末端部(9)から間隔をおいた部位に、筒状本体(1)の内部空間に連通するための少なくとも一つの横孔(12)を有しており、
前記弾性頭部(13)は、予め刻まれた切り溝(15)有し、通常は、切り溝(15)が閉じた状態で筒状本体(1)の入口端部(4)内に閉塞状態で配置されると共に、中空ピン(2)の閉塞末端部(9)に対して軸方向に移動可能となっており、しかも、弾性頭部(13)は、入口端部(4)内に導入器(S)が挿入されることによって、前記切り溝(15)が開口する弾性変形開口形態に変形するように、閉塞末端部(9)と相互作用するように構成され、
前記弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)に結合されると共に、出口端部(6,7)を筒状本体(1)の内部空間から隔離するように、筒状本体(1)と中空ピン(2)との間に配置され、さらに、弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)を閉塞状態に維持する弾性押圧手段を有すると共に、中空ピン(2)に接触する内周面(23;26)を有し、該内周面(23,26)は、弾性頭部(13)が非変形密封状態の時に筒状本体(1)の内部空間から前記少なくとも一つの横孔(12)を隔離するように構成されている、医療輸液ライン用のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の閉塞末端部(9)は、前記切り溝(15)と交差することなしに、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)を前記開口形態に変形するように形成され、
前記弾性頭部(13)が閉塞状態から開口形態の位置に移動することにより、前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23;26)が開き、中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)と筒状本体(1)の入口端部(4)とを、前記切り溝(15)を介して連通させるように構成されている、
ことを特徴とする医療輸液ライン用バルブコネクター。
【請求項2】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)は、円錐面(22)が形成された内周壁を有しており、該円錐面(22)は、前記弾性頭部(13)が前記閉塞状態に位置している時には、弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)に形成された補完的な円錐面(21)を有する部分に接触している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項3】
請求項2記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の補完的な円錐面(21)を有する部分は、弾性頭部(13)が前記閉塞状態の時には、弾性中空要素(14)の軸方向の予荷重の作用により、中空ピン(2)に押圧されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項4】
請求項3記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)に近接した部位に拘束用の外周肩部(17)を有しており、弾性頭部(13)の非変形状態において、前記外周肩部(17)は、筒状本体(1)の入口端部(4)に隣接して形成された補完的な内周肩部(18)に面している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項5】
請求項4記載のバルブコネクターにおいて、
前記拘束用の外周肩部(17)及び補完的な内周肩部(18)は、円錐形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項6】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の閉塞末端部(9)には、複数の軸方向の突出部(10)が互いに角度的な間隔をおいて形成されており、各突出部(10)間は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に面する流体通路として形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項7】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記突出部(10)は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に接触可能な略平坦状の端面部(10a)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項8】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記突出部(10)は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に接触可能な略湾曲状に端面部(10a)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項9】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性頭部(13)の内周面に、軸方向の流体通路(30)が形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項10】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、非波形で筒状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項11】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、円形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項12】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、楕円形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項13】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、多角形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項14】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23)は、閉塞状態における中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)に対し、径方向に対面する形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項15】
請求項14記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の外周には、前記少なくとも一つの横孔(12)の部位に、環状の喉部又は首部が形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項16】
請求項14記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、前記接触内周面(23)を画定する環状の厚肉部(20)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項17】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23)は、前記少なくとも一つの横孔(12)と閉塞末端部(9)との間に介在する中空ピン(2)の領域(27)に対応する形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項18】
請求項17記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)は、円錐面(27)が形成された環状の肩部を有し、弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面は、上記環状の肩部の外周円錐面(27)と補完する円錐面(26)を有する内周環状突出部(28)によって構成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項19】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)の入口端部(4)は、筒状の内周面(5)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項20】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)の出口端部(4)は、雄型ルアーロック接続要素(5,7)から構成されており、雄型ルアーロック接続要素(5,7)は、少なくとも一部分において、前記中空ピン(2)と一体に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項21】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)は、前記少なくとも一つの横孔(12)より筒状本体(1)の軸方向の出口端部(6,7)側の部位に、少なくとも一つの追加の横孔(29)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項22】
請求項1〜請求項21に記載のバルブコネクターの筒状本体(1)の前記入口端部(4)に前記液導入器(S)を接続し、該液導入器(S)からバルブコネクターへ液を移送する方法において、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の軸方向の圧縮によって、前記弾性頭部(13)を、前記閉塞状態の位置から中空ピン(2)の閉塞末端部(9)側に向けて移動させ、それと共に、前記接触内周面(23,26)を中空ピン(2)に沿って軸方向に移動させ、前記少なくとも一つの横孔(12)と前記弾性中空要素(14)の内部とを連通し、開口する段階と、
中空ピン(2)の閉塞末端部(9)に向けて弾性頭部(13)を押し付けることにより、閉塞端部(9)に切り溝(15)が交差することなく切り溝(15)を開くと共に、前記導入器(S)と前記中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)との間を連通する、弾性変形形態に弾性頭部(13)を変形させる段階と、
を有している方法。
【請求項1】
液導入器(S)によって液が導入される医療輸液ライン用バルブコネクターであって、
内部空間と、導入器(S)に接続可能な入口端部(4)と、出口端部(6,7)と、を有する筒状本体(1)と、
該筒状本体(1)の内部空間内に軸方向に配置された中空ピン(2)と、
弾性頭部(13)及び弾性中空要素(14)を有する弾性シール部材(3)と、を備え、
前記中空ピン(2)は、入口端部(4)から軸方向に間隔をおくと共に前記入口端部(4)に向けられた閉塞末端端部(9)を有し、かつ、筒状本体(1)の出口端部(6,7)に連通すると共に閉塞末端部(9)から間隔をおいた部位に、筒状本体(1)の内部空間に連通するための少なくとも一つの横孔(12)を有しており、
前記弾性頭部(13)は、予め刻まれた切り溝(15)有し、通常は、切り溝(15)が閉じた状態で筒状本体(1)の入口端部(4)内に閉塞状態で配置されると共に、中空ピン(2)の閉塞末端部(9)に対して軸方向に移動可能となっており、しかも、弾性頭部(13)は、入口端部(4)内に導入器(S)が挿入されることによって、前記切り溝(15)が開口する弾性変形開口形態に変形するように、閉塞末端部(9)と相互作用するように構成され、
前記弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)に結合されると共に、出口端部(6,7)を筒状本体(1)の内部空間から隔離するように、筒状本体(1)と中空ピン(2)との間に配置され、さらに、弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)を閉塞状態に維持する弾性押圧手段を有すると共に、中空ピン(2)に接触する内周面(23;26)を有し、該内周面(23,26)は、弾性頭部(13)が非変形密封状態の時に筒状本体(1)の内部空間から前記少なくとも一つの横孔(12)を隔離するように構成されている、医療輸液ライン用のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の閉塞末端部(9)は、前記切り溝(15)と交差することなしに、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)を前記開口形態に変形するように形成され、
前記弾性頭部(13)が閉塞状態から開口形態の位置に移動することにより、前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23;26)が開き、中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)と筒状本体(1)の入口端部(4)とを、前記切り溝(15)を介して連通させるように構成されている、
ことを特徴とする医療輸液ライン用バルブコネクター。
【請求項2】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)は、円錐面(22)が形成された内周壁を有しており、該円錐面(22)は、前記弾性頭部(13)が前記閉塞状態に位置している時には、弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)に形成された補完的な円錐面(21)を有する部分に接触している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項3】
請求項2記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の補完的な円錐面(21)を有する部分は、弾性頭部(13)が前記閉塞状態の時には、弾性中空要素(14)の軸方向の予荷重の作用により、中空ピン(2)に押圧されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項4】
請求項3記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、弾性頭部(13)に近接した部位に拘束用の外周肩部(17)を有しており、弾性頭部(13)の非変形状態において、前記外周肩部(17)は、筒状本体(1)の入口端部(4)に隣接して形成された補完的な内周肩部(18)に面している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項5】
請求項4記載のバルブコネクターにおいて、
前記拘束用の外周肩部(17)及び補完的な内周肩部(18)は、円錐形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項6】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の閉塞末端部(9)には、複数の軸方向の突出部(10)が互いに角度的な間隔をおいて形成されており、各突出部(10)間は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に面する流体通路として形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項7】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記突出部(10)は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に接触可能な略平坦状の端面部(10a)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項8】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記突出部(10)は、弾性シール部材(3)の弾性頭部(13)に接触可能な略湾曲状に端面部(10a)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項9】
請求項6記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性頭部(13)の内周面に、軸方向の流体通路(30)が形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項10】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、非波形で筒状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項11】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、円形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項12】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、楕円形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項13】
請求項10記載のバルブコネクターにおいて、
前記非波形で筒状の弾性中空要素(14)は、多角形断面を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項14】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23)は、閉塞状態における中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)に対し、径方向に対面する形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項15】
請求項14記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)の外周には、前記少なくとも一つの横孔(12)の部位に、環状の喉部又は首部が形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項16】
請求項14記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)は、前記接触内周面(23)を画定する環状の厚肉部(20)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項17】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面(23)は、前記少なくとも一つの横孔(12)と閉塞末端部(9)との間に介在する中空ピン(2)の領域(27)に対応する形状に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項18】
請求項17記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)は、円錐面(27)が形成された環状の肩部を有し、弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の接触内周面は、上記環状の肩部の外周円錐面(27)と補完する円錐面(26)を有する内周環状突出部(28)によって構成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項19】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)の入口端部(4)は、筒状の内周面(5)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項20】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記筒状本体(1)の出口端部(4)は、雄型ルアーロック接続要素(5,7)から構成されており、雄型ルアーロック接続要素(5,7)は、少なくとも一部分において、前記中空ピン(2)と一体に形成されている、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項21】
請求項1記載のバルブコネクターにおいて、
前記中空ピン(2)は、前記少なくとも一つの横孔(12)より筒状本体(1)の軸方向の出口端部(6,7)側の部位に、少なくとも一つの追加の横孔(29)を有している、
ことを特徴とするバルブコネクター。
【請求項22】
請求項1〜請求項21に記載のバルブコネクターの筒状本体(1)の前記入口端部(4)に前記液導入器(S)を接続し、該液導入器(S)からバルブコネクターへ液を移送する方法において、
前記弾性シール部材(3)の弾性中空要素(14)の軸方向の圧縮によって、前記弾性頭部(13)を、前記閉塞状態の位置から中空ピン(2)の閉塞末端部(9)側に向けて移動させ、それと共に、前記接触内周面(23,26)を中空ピン(2)に沿って軸方向に移動させ、前記少なくとも一つの横孔(12)と前記弾性中空要素(14)の内部とを連通し、開口する段階と、
中空ピン(2)の閉塞末端部(9)に向けて弾性頭部(13)を押し付けることにより、閉塞端部(9)に切り溝(15)が交差することなく切り溝(15)を開くと共に、前記導入器(S)と前記中空ピン(2)の少なくとも一つの横孔(12)との間を連通する、弾性変形形態に弾性頭部(13)を変形させる段階と、
を有している方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−508016(P2008−508016A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523169(P2007−523169)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002206
【国際公開番号】WO2006/013433
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507028619)インドゥストリー・ボルラ・ソシエタ・ペル・アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】Industrie Borla S.p.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002206
【国際公開番号】WO2006/013433
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507028619)インドゥストリー・ボルラ・ソシエタ・ペル・アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】Industrie Borla S.p.A.
【Fターム(参考)】
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