説明

医薬品又は検体用収納容器、及び医薬品又は検体収納容器用透明ラベル

【課題】 本発明は、レーザーを用いて所望の表示を明確に表すことができる医薬品又は検体用収納容器を提供することを課題とする。
【解決手段】 医薬品又は検体を入れる透明な容器本体2の外面に、レーザーによって発色する透明ラベル4が装着されている医薬品又は検体用収納容器。この透明ラベル4は、容器本体2の回りに巻き付けられ、接着剤42を介して容器本体2に接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や検体を入れるための収納容器、及び該収納容器に装着される収納容器用透明ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注射液などの医薬品や血液などの検体を入れる医療用収納容器として、プレフィルドシリンジ、アンプル、バイアルビン、真空採血管などが知られている。
プレフィルドシリンジは、予め医薬品が封入された注射器である。
アンプルは、医薬品が封入され、使用に際して一部分を分断して開口部を形成することで医薬品を取り出すことができる容器である。
バイアルビンは、医薬品が封入され、使用に際して注射針などを刺して医薬品を吸い出すことができる容器である。
真空採血管は、血管に連通する注射針を貫通させることにより、血液を吸い出すことができる容器である。
【0003】
上記医薬品又は検体用収納容器は、ガラス製又は合成樹脂製のものが用いられている。
ところで、医薬品又は検体用収納容器には、収納した医薬品又は検体の種類、各種コード、目盛りなどの所望の表示が表される。これらの表示は、容器の外面に直接インクジェットプリンタなどによって印刷することも可能であるが、微細な表示を印刷することが困難である。従って、従来、医薬品又は検体用収納容器に表示を施す場合には、微細な表示を高精度に表すことができるレーザー彫刻(レーザー光線を照射し、熱的・化学的な反応を利用して、容器外面に文字や図形を彫り込む方法)が一般に用いられている。
【0004】
しかしながら、上記医薬品又は検体用収納容器は、収納した医薬品などを外部から視認するため、透明な容器が用いられており、かかる容器にレーザーマーキングによる表示を施しても、その表示が見えにくいという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、レーザーを用いて所望の表示を明確に表すことができる医薬品又は検体用収納容器及び該容器に装着される医薬品又は検体収納容器用ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者らは、レーザー光によって発色する発色剤を樹脂組成物に混合し、この組成物にて容器を成形することを検討したが、医療用の容器に於いては、容器自体に発色剤を混合すると、発色剤が溶出などして、医薬品又は検体を汚染する虞があるため好ましくない。
そこで、本発明の第1の手段は、医薬品又は検体を入れる透明な容器本体の外面に、レーザーによって発色する透明ラベルが装着されている医薬品又は検体用収納容器を提供する。
【0007】
上記医薬品又は検体用収納容器は、レーザー光によって発色する透明ラベルが装着されているので、該透明ラベルにレーザー光を照射することにより、レーザー光を照射した部分が発色し、これにより所望の表示を表すことができる。この表示は、透明ラベルに発色して表されているので、明確に視認することができる。
また、透明ラベルは、レーザー光による表示が表されない部分に於いて、透明であるため、例えば、透明ラベルが容器本体の周囲全体に装着されている場合であっても、透明ラベルを介して医薬品などを外部から視認することができる領域を広く確保できる。
【0008】
さらに、本発明の第2の手段は、透明な基材に、レーザー光によって発色する透明な発色層を有する医薬品又は検体収納容器用透明ラベルを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る医薬品又は検体用収納容器は、レーザーを用いて透明ラベルに所望の表示を明確に表すことができる。従って、医療機関などは、自身保有するレーザー装置を利用して、医薬品又は検体の種類、各種コード、目盛りなどの所望の表示を医薬品又は検体用収納容器に明確に表すことができる。
また、医薬品又は検体用収納容器に装着された透明ラベルは、所望の表示が表されない部分に於いて透明であるため、医薬品などを外部から視認することができる領域を広く確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1に於いて、11は、円筒状の胴部21内に血液を入れる収納部22が形成された一方側開口型の透明な容器本体2と、この開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体3と、を備える真空採血管を示し、この容器本体2の外面には、レーザー光の照射によって発色しうる透明ラベル4が装着されている。
【0011】
具体的には、容器本体2は、一方側が開口された細長い有底管状に形成されており、公知の合成樹脂にて形成されている。
容器本体2の材質は、収納部22内を容器本体2を介して外部から明瞭に視認できる程度の透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン系、ポリカーボネート系などの1種単独、又は2種以上の混合物などの透明な合成樹脂を用いることができ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系の樹脂が用いられる。
容器本体2を構成する樹脂組成物には、添加剤の溶出による血液への混入を防止する点から、可塑剤、安定剤、充填材、着色剤、滑剤などの添加剤が実質的に含まれていない、又はこれら添加剤の添加量が少量とされている。
この容器本体2の開口部に栓体3が嵌着されることで、容器本体2内の収納部22は、真空状に保たれている。
【0012】
次に、透明ラベル4について説明する。
透明ラベル4は、透明なラベル基材41と、該基材41の裏面に設けられた接着剤又は粘着剤からなる接着層42と、を備え、前記ラベル基材41は、レーザー光の照射によって発色する発色層を兼ねている。
【0013】
ラベル基材41は、収納部22内をラベル4を介して外部から明瞭に視認できる程度の透明性を有するものであれば特に限定されず、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種単独、又は2種以上の混合物などを製膜した透明な合成樹脂製フィルムを用いることができる。また、2種以上の透明なフィルムが積層された積層フィルムでもよい。中でも、透明性に優れ且つレーザー光照射時の耐熱性にも優れていることから、ポリエステル系樹脂を製膜したフィルムを用いることが好ましい。尚、透明ラベル4は、ブリードによる血液への添加剤の混入問題は生じ難いので、必要に応じて、上記樹脂組成物に各種添加剤を適宜混合することができる。
【0014】
ラベル基材41の厚みは、概ね20μm程度以上のものが好ましく、特に、レーザーエネルギーを効率良く吸収でき且つレーザー光照射時の発熱によって破損などを生じ難いことから、概ね35μm以上のものがより好ましい。一方、ラベル基材41の厚みの上限は、特に限定されず、一般的には100μm以下、好ましくは80μm以下である。
【0015】
このラベル基材41は、レーザー光を照射することによってその部分が発色しうる層を兼ねている。かかる発色層を兼ねるラベル基材41は、上記樹脂組成物に、レーザー光を照射することにより発色する発色剤を添加し、製膜することによって形成されている。
発色剤としては、レーザー照射前は透明であって、例えばレーザー照射後に発色剤自身又は発色剤の作用によって樹脂成分が変色するものが好ましく用いられる。このような発色剤としては、例えば、レーザー光の照射によって化学反応して発色する発色剤、炭化することで発色する発色剤、発泡することで発色する発色剤などが挙げられる。
化学反応で発色する発色剤としては、ロイコ染料などの発色染料と顕色剤との混合物や、発熱によって有色に変化する銅、鉄などの金属酸化物などが挙げられる。
炭化することで発色する発色剤としては、レーザー光の波長を吸収してその周辺の樹脂成分を炭化する光吸収剤(例えばシアニン系色素、アントラキノン系色素など)などが挙げられ、該炭化による場合には、レーザー光照射部分が黒褐色を呈する。
発泡することで発色する発色剤としては、グラファイトなどのレーザー光の照射によってガス化しうるものなどが挙げられ、該発泡による場合には、レーザー光照射部分が白濁色を呈する。
【0016】
さらに、本実施形態に於いては、容器本体2のガスバリア性を高め、更に、容器本体2に良好に密着できることから、ラベル基材41は、ガスバリア性及び熱収縮性を有するものを用いることが好ましい。
該ラベル基材41を構成する熱収縮性フィルムは、発色剤を含む上記樹脂組成物を公知の製法で製膜し延伸処理することにより得ることができる。延伸処理は、通常、70〜110℃程度の温度で、縦方向(容器本体2に装着した際、容器本体2の周方向。以下同様)に2.0〜8.0倍、好ましくは3.0〜7.0倍程度延伸することにより行われる。さらに、幅方向(容器本体2に装着した際、容器本体2の縦方向。以下同様)にも、例えば1.5倍以下の低倍率で延伸処理を行ってもよい。得られたフィルムは、一軸延伸フィルム又は主延伸方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムとなる。
尚、後述するように、透明ラベル4として、予め筒状に成形された筒状態様の熱収縮性のラベルを用いる場合には、その製造上、ラベル基材41の幅方向が容器本体2の周方向となるように、ラベル基材41を筒状成形する。従って、筒状態様のラベル4に用いられるラベル基材41は、幅方向(容器本体2に装着した際、容器本体2の周方向)に上記延伸処理が施される。つまり、巻付態様のラベルと筒状態様のラベルでは、その製造上、用いられるラベル基材の主たる延伸方向(熱収縮方向)が異なる点を除いて、同様のものを用いることができる。
【0017】
上記熱収縮性フィルムの熱収縮率としては、容器本体2に密着可能な程度に熱収縮可能なものであれば特に限定されないが、通常、縦方向(筒状態様に用いる場合には、幅方向。以下同様)に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)が約30%以上、好ましくは約40%以上のものが例示される。また、熱収縮性フィルムは幅方向に若干熱収縮してもよく、かかるフィルムの幅方向に於ける熱収縮率(90℃温水中に10秒間浸漬)は、約−3〜15%程度のものが例示される。
但し、熱収縮率(%)=[{(縦方向(又は幅方向)の元の長さ)−(縦方向(又は幅方向)の浸漬後の長さ)}/(縦方向(又は幅方向)の元の長さ)]×100。
【0018】
更に、ラベル基材41を構成するガスバリア性のフィルムは、上記熱収縮性フィルムの透明性を損ねずにガスバリア性が付与されたもの、例えば、熱収縮性フィルムに酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどを蒸着した蒸着フィルム、熱収縮性フィルムにポリ塩化ビニリデンやエチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性を有する合成樹脂製フィルムを積層した積層フィルム、熱収縮性フィルムに前記ガスバリア性を有する合成樹脂をコーティングした塗工フィルムなどを用いることができる。これらガスバリア処理は、ラベル基材41の裏面側に施される。
【0019】
次に、ラベル基材41の裏面に設けられた透明な接着層42は、容器本体2の外面に接着可能で且つ透明なものであれば特に限定されず、加熱することによって接着性を発揮する感熱性接着剤、紫外線又は電子線などの光線を照射することで接着性を発揮する紫外線硬化型接着剤又は電子線硬化型接着剤、溶剤型接着剤などの各種接着剤や、感圧型粘着剤、加熱することによって粘着性を発揮する感熱性粘着剤、紫外線を照射することで粘着性を発揮する紫外線硬化型粘着剤などの各種粘着剤を用いることができる。中でも、透明ラベル4が長尺状に繋がった透明ラベル原反をロール状に巻き取ることができ且つ使用時に接着性又は粘着性を発揮できることから、感熱性接着剤又は感熱性粘着剤を用いることが好ましい。尚、粘着剤を用いる場合には、ラベル4は、離型紙に積層して提供される。
【0020】
感熱性接着剤又は粘着剤としては、例えば、溶融押出にて塗工されるホットメルト型接着剤又は粘着剤、パートコート型感熱接着剤又は粘着剤などを適宜用いることができる。中でも、特に透明性に優れていることから、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン共重合体を20〜60重量%、及びオレフィンゴムなどのゴム成分を20〜60重量%、及び粘着付与剤を10〜30重量%、及び各種添加剤を混合してなるホットメルト型接着剤又は粘着剤を用いることが好ましい。
【0021】
上記透明ラベル4は、例えば感熱性接着剤からなる接着層42を加熱することで該接着剤を接着可能な状態にした後、図2(a)に示すように、透明ラベル4の一側端部4a裏面を容器本体2の胴部21の縦方向に沿って貼着される。この状態で、該透明ラベル4を引っ張りながら容器本体2を回転させることにより、透明ラベル4を容器本体2の胴部21の周りに巻き付け、同図(b)に示すように、透明ラベル4の他側端部4bの裏面を一側端部4aの表面に重ね合わせて両面を接着する(この重ね合わせ接着部分は、一般にオーバーラップ部5と呼ばれる)。その後、所定温度(例えば80〜100℃程度)に加熱することにより、図1(a)、(b)に示すように、透明ラベル4が容器本体2に装着された真空採血管1を得ることができる。
従って、透明ラベル4は、容器本体2の胴部21の周囲全体に装着され、その前端部4cが栓体3の端部に接し、且つ後端部4dがドーム状の底面の一部を覆うように、容器本体2の外面に貼付されている。
【0022】
上記真空採血管11は、透明ラベル4の表面に、レーザー装置を用いて、所望の表示を施して使用される。かかる表示は、特に限定されず、採取した血液の患者IDなどの各種コード、採血日、採血実施者、採血量の指標となる目盛り、真空採血管の商品名などの所望の表示を施すことができる。レーザーの種類も特に限定されず、YAGレーザー、グリーンレーザー、YVO4レーザー、炭酸ガスレーザーなどを用いて表示を施すことができる。中でも、透明な樹脂への吸収性が優れていることから、炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。もっとも、ラベル基材41が、ポリエチレンやポリプロピレンから形成されている場合には、YAGレーザーが好ましい。
本発明によれば、真空採血管11に、レーザー光によって発色する透明ラベル4が装着されているので、該ラベル4を介して、真空採血管11に所望の表示を明確に表すことができる。
また、この透明ラベル4は、レーザー光による所望の表示が表されない部分に於いては透明であるため、これが装着された真空採血管11は、外部から収納部22内を視認できる領域が広く確保されている。
【0023】
上記真空採血管11は、容器本体2の胴部21全体がガスバリア性を有する透明ラベル4によって気密状に覆われているので、酸素や窒素などが容器本体2を通過し、収納部22内に侵入することを防止できる。
また、透明ラベル4の裏面全体には、接着層42がベタ状に設けられ、更に、該透明ラベル4が、容器本体2に巻付けて装着されるので、熱収縮後の透明ラベル4と容器本体2の胴部21との間に、空気が残存し難い。従って、ガスバリアー性に優れている上、残存空気の存在による透明ラベル4の浮き上がりが生じないので、レーザー装置による表示形成の際、表示の歪みを防止できる。
【0024】
次に、本実施形態の変形例を示す。以下、主として上記実施形態と異なる構成及び作用効果について説明し、同様の構成などについては、その説明を省略し、図番を援用することがある(以下の第2実施形態〜第5実施形態に於いても同様)。
上記実施形態では、基材ラベル41自体に発色層が設けられているが、例えば、図3(a)に示すように、透明なラベル基材41と、該ラベル基材41の裏面に設けられた透明な発色層43と、該発色層43の裏面に設けられた透明な接着層42と、を有する層構成の透明ラベル4でも良いし、或いは、図3(b)に示すように、透明なラベル基材41と、該ラベル基材の表面に設けられた透明な発色層43と、該発色層43の表面に設けられた透明な保護層44と、ラベル基材41の裏面に設けられた接着層42と、を有する層構成の透明ラベル4でもよい。
この発色層43は、上記発色剤を適当なバインダー樹脂に混合した層からなり、ラベル基材41にコーティングによって塗工する、或いはフィルム状に製膜した後、ラベル基材41にラミネートすることにより設けられる。尚、保護層44は、耐熱性を有する合成樹脂製フィルム又は樹脂コーティング層によって形成することができる。
これら変形例に係る透明ラベル4も、レーザー光の照射によって発色層42を発色させ、所望の表示を明確に表すことができる。
【0025】
また、上記実施形態では、透明ラベル4は、ラベル基材41にガスバリア性が付与されているが、例えば、図3に示すような層構成の場合、発色層43や保護層44にガスバリア性を付与してもよい。また、本発明の透明ラベル4は、ガスバリア性が付与されていないものでもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、透明ラベル4は、容器本体2の胴部21に巻付けた後、熱収縮させる巻付け態様のラベルからなるが、例えば、予め筒状に成形され、これを容器本体2に嵌挿した後熱収縮させる筒状態様のラベルでもよい。この場合、上述のように、ラベル基材41は、幅方向に主延伸されたものが用いられる。
さらに、本発明の透明ラベル4は、その前端部4cが栓体3に接し、且つ後端部4dが底面の一部を覆うように容器本体2に装着されているが、巻付け態様及び筒状態様の透明ラベル4が、容器本体2の胴部21の縦方向中途部分のみに装着されているものでもよい。
また、透明ラベル4は、これら巻付け態様及び筒状態様のように容器本体2の胴部21の周囲を被覆するものに限られず、例えば、図4に示すように、所定形状(例えば矩形状など)に形成され、容器本体2の胴部21の一部分に貼付される態様でもよい。このように容器本体2の一部分に貼付される態様の場合には、ラベル基材41は、非熱収縮のものが用いられる。
尚、巻付け態様の透明ラベル4であっても、容器本体2の縮径部分(例えばドーム状の底面)にまで装着しない場合には、非熱収縮性のものを用いることもできる。
【0027】
また、上記実施形態では、透明ラベル4の裏面全体に接着層42が設けられているが、例えば、裏面の一部分に接着層42が設けられていてもよい。尚、筒状態様の透明ラベル4の場合には、熱収縮によって容器本体2に密着させることが可能なので、接着剤又は粘着剤を全く設けない態様も可能である。
尚、ラベル基材41として、自己伸縮性(ストレッチ性)を有するものを用いて透明ラベル4を構成することもできる。
【0028】
(第2実施形態)
第2実施形態は、透明ラベルが貼付されたプレフィルドシリンジ(医薬品用収納容器)に関する。
図5に於いて、プレフィルドシリンジ12は、後方に掛止部26が突設され、且つ筒状胴部21の前方閉塞面23に医薬品注出口となる注射針装着部24が形成された合成樹脂製の容器本体2と、容器本体2の後方開口部25に挿入されたプランジャー栓部6と、注射針装着部24に取り付けられたゴム製の栓体3と、容器本体2内の収納部22に封入された医薬品と、を備えている。
容器本体2は、収納する医薬品(注射薬)を透視するため、第1実施形態と同様に、透明な合成樹脂成形品によって形成されている。
【0029】
この容器本体2の外面には、第1実施形態で示した透明ラベル4が装着されている。具体的には、透明ラベル4は、容器本体2の胴部21の周囲全体に装着され、透明ラベル4の前端部4cが栓体3の端部に接し、且つ後端部4dが掛止部26に接して貼付されている。この透明ラベル4は、熱収縮性を有するラベルであって、巻付け態様でも筒状態様でも構わない。
【0030】
本実施形態に係るプレフィルドシリンジ12も、上記第1実施形態と同様に、レーザー光を用いて透明ラベル4に所望の表示を明確に表すことができる。また、透明ラベル4のうち所望の表示が表されない部分に於いては透明であるため、透明ラベル4を介して収納部22内を視認できる領域を広く確保できる。
さらに、透明ラベル4は、接着層42がベタ状に設けられ、且つ容器本体2の周囲全体に熱収縮装着されるので、残存空気の存在による透明ラベル4の浮き上がりが生じず、レーザー光による表示を良好に形成することができる。
また、透明ラベル4のガスバリア性により、医薬品の劣化を防止できる。
【0031】
尚、本実施形態に於ける透明ラベル4についても上記第1実施形態の変形例で示した各例と同様に、透明ラベル4の層構成、ガスバリア性や熱収縮性の有無、容器本体2の胴部21の一部分に貼付する態様などに変形することができる。
【0032】
(第3実施形態)
第3実施形態は、透明ラベルが貼付されたアンプル(医薬品用収納容器)に関する。
図6に於いて、アンプル13は、医薬品を封入する収納部22の形成された密閉型の容器本体2と、容器本体2の一部分に形成された切断用の縊れ部27と、容器本体2内の収納部22に封入された医薬品と、を備えている。
容器本体2は、第1実施形態と同様に透明な合成樹脂によって形成されている。
この容器本体2の外面には、第1実施形態で示した透明ラベル4が貼付されている。具体的には、透明ラベル4は、容器本体2の胴部21の周囲全体に装着され、その前端部4cが縊れ部27の近傍に位置し、且つ後端部4dが底面の一部を覆うように、容器本体2の外面に貼付されている。この透明ラベル4は、熱収縮性を有するラベルであって、巻付け態様でも筒状態様でも構わない。
【0033】
上記アンプル13についても、上記第1実施形態と同様に、レーザー光を用いて透明ラベル4に所望の表示を明確に表すことができる。また、透明ラベル4を介して収納部22内を視認できる領域を広く確保できる。さらに、透明ラベル4の浮き上がりを防止して、レーザー光による表示を良好に形成することができ、又、透明ラベル4のガスバリア性により、医薬品の劣化を防止できる。
【0034】
尚、本実施形態に於ける透明ラベル4についても上記第1実施形態の変形例で示した各例と同様に、透明ラベル4の層構成、ガスバリア性や熱収縮性の有無、容器本体2の胴部21の一部分に貼付する態様などに変形することができる。
【0035】
(第4実施形態)
第4実施形態は、透明ラベルが貼付されたバイアルビン(医薬品用収納容器)に関する。
図7に於いて、バイアルビン14は、医薬品を入れる収納部22が形成された上面開口型の容器本体2と、この開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体3と、この収納部22内に封入された医薬品と、を備えている。
容器本体2は、第1実施形態と同様に、透明な合成樹脂によって形成されている。
この容器本体2の外面には、第1実施形態で示した透明ラベル4が貼付されている。具体的には、透明ラベル4は、容器本体2の胴部21の周囲全体に装着され、その前端部4cが栓体5の端部に接着し、且つ後端部4dが底面の一部を覆うように、容器本体2の外面に貼付されている。
【0036】
上記バイアルビン14についても、上記第1実施形態と同様に、レーザー光を用いて透明ラベル4に所望の表示を明確に表すことができる。また、透明ラベル4を介して収納部22内を視認できる領域を広く確保できる。さらに、透明ラベル4の浮き上がりを防止して、レーザー光による表示を良好に形成することができ、又、透明ラベル4のガスバリア性により、医薬品の劣化を防止できる。
【0037】
尚、本実施形態に於ける透明ラベル4についても上記第1実施形態の変形例で示した各例と同様に、透明ラベル4の層構成、ガスバリア性や熱収縮性の有無、容器本体2の胴部21の一部分に貼付する態様などに変形することができる。
【0038】
(第5実施形態)
上記第1〜第4実施形態に示す医薬品又は検体用収納容器(医療用収納容器)に於いて、透明ラベル4が貼付される容器本体2は、合成樹脂製のものを例示したが、透明なものであればその材質は特に限定されず、例えば、透明なガラス製のものでもよい。
【0039】
また、上記第1実施形態では、検体用収納容器として真空採血管11を、第2〜第4実施形態では医薬品用収納容器としてプレフィルドシリンジ12、アンプル13、バイアルビン14をそれぞれ例示しているが、本発明の透明ラベル4が装着される医薬品用又は検体用収納容器は、これら例示のものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る真空採血管を縦方向に於いて切断した状態を示す断面図、(b)は、A−A線断面図、(c)は、巻付け態様の透明ラベルを示す斜視図。
【図2】透明ラベルを容器本体に巻付け装着する過程を示す側面図。
【図3】(a)、(b)は、変形例に係る透明ラベルを縦方向に於いて切断した状態を示す断面図。
【図4】(a)は、透明ラベルが装着された真空採血管の変形例を示す側面図、(b)は、B−B線断面図。
【図5】第2実施形態に係るプレフィルドシリンジを縦方向に於いて切断した状態を示す断面図。
【図6】第3実施形態に係るアンプルを縦方向に於いて切断した状態を示す断面図。
【図7】第4実施形態に係るバイアルビンを縦方向に於いて切断した状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0041】
11…真空採血管、12…プレフィルドシリンジ、13…アンプル、14…バイアルビン、2…容器本体、21…胴部、22…収納部、3…栓体、4…透明ラベル、4a…透明ラベルの一側端部、4b…透明ラベルの他側端部、4c…透明ラベルの前端部、4d…透明ラベルの後端部、41…ラベル基材、42…接着層、43…発色層、44…保護層、5…オーバーラップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品又は検体を入れる透明な容器本体の外面に、レーザー光によって発色する透明ラベルが装着されていることを特徴とする医薬品又は検体用収納容器。
【請求項2】
透明な基材に、レーザー光によって発色する透明な発色層を有することを特徴とする医薬品又は検体収納容器用透明ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−54485(P2007−54485A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245768(P2005−245768)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】