医薬品容器中に液体を導入するための装置
穿孔可能なクロージャを有する、バイアル等の医薬品容器中へ液体を導入するための装置であって、ボアに沿って流動する液体を流れ方向と平行な成分を有する方向に導くために方向付けられた、針の側壁(13)を貫通する少なくとも1つのオリフィス(15)を有し、その外面に通気溝(24)を有する中空針(10)を含む。針の好ましい構成と、それを作製するための方法とが開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針先によって穿孔し、それによってバイアル中へ流動性の薬剤量を導入可能であるような弾性クロージャを有する医薬品バイアルに充填するのに用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は、米国特許出願公開第2002/0023409号明細書で知られており、針によって残された開いたままの穿孔箇所はレーザービームを用いてヒートシールしている。
【0003】
このための針も知られているが、そのような針の問題は、バイアル内で流体が針から出るときに最適化された流体の流れパターンを得ることである。さらなる問題は、公知である針の先端、及び側面のオリフィスが、穿孔する間に、バイアル中に導入される薬剤を汚染したり針を通る流れを阻害もしくは詰まらせたりする可能性があるクロージャ材料の粒子を形成するようにバイアルクロージャを切り裂き得ることである。
【0004】
流体が出るための側面のオリフィスを有する、中空で先端が尖った針については数多くの開示がある。例えば、米国特許第5,478,328号明細書及び米国特許第6,221,056号明細書には、側面のオリフィスが、針のボアに沿って流動する流体を導き、オリフィスを進んで外へ、すなわち針が向けられた方向に導くような形状とされた針が開示されている。そこで開示されている針を、バイアルの充填操作において使用することについては開示されもしくは提案されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、他のものに共通するこれらの問題に対応し、改良された針に基づく改良されたバイアルの充填装置を提供することである。本発明の他の目的及び利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、穿孔可能なクロージャを有する医薬品容器中へ液体を導入するための装置において、
前記クロージャを貫通するのに適した中空針であって、前記針は側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路は外面的には尖端部を終端とし、前記ボアは内部では閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有している、前記中空針と、
前記少なくとも1つのオリフィスが前記容器内にくる程度まで前記針を前記クロージャに穿孔させる手段と、
前記液体を前記ボアに沿って流動させる手段と、
容器及びクロージャから針を引き抜く手段と、
を含む前記装置が提供される。
【0007】
ボアに沿って流動する液体を流れ方向と平行な成分を有する方向に導くためのオリフィスの方向付けは 、ボアからオリフィスを通過して針の外側へ向かう流体の流れを下流方向の成分を有する方向へと導くように、側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する周面を有するオリフィスによって達成することができる。
【0008】
ここで「下流」という用語は、流体が導入される針の端部から尖端部への大まかな方向をいい、また「上流」とは反対の方向をいう。
【0009】
ボアの周面をそのように配置する利点は、オリフィスを通じて出る流体が、下流方向に対し実質的に垂直に出るのではなく、下流方向へ導かれることである。
【0010】
好ましくは、管路は円筒状であり、2つのオリフィスが、それらの中心が180°離れて、すなわち管路の直径について向かい合う側面上にある。
【0011】
好ましくは、オリフィスは管路の長手方向に細長く、例えば楕円である。
【0012】
好ましくは、一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積と大体等しいか±20%であり、その結果ボアからオリフィスを通って外への流体の流れは抑制されない。
【0013】
好ましくは、オリフィスは、上流方向へ向かって収束するように傾斜する上流側周面を側壁を貫通して有している。好ましくは、オリフィスは、上流方向へ向かって収束するように傾斜する下流側周面を側壁を貫通して有している。上流側及び下流側周面の両方が上流方向に収束するように傾斜する場合は、それらは互いに平行に傾斜することができる。好ましくは、オリフィスの上流側、及び存在する場合は下流側の周面についての、上流方向へ向かって収束する角度は、上流方向に対して10〜60°の角度、より好ましくは約30°の角度である。
【0014】
好ましくは、オリフィスの周囲は、鋭くするよりむしろ丸くして、バイアルの弾性クロージャを通過するときにオリフィスの鋭いエッジによってクロージャが切り取られ、その結果クロージャ材料の粒子が形成される可能性を低減する。
【0015】
好ましくは、ボア内部の閉鎖端部は、上流方向へ向かって収束する表面を有している。
【0016】
好ましくは、これらの表面は、尾根を上流方向に向け、閉鎖端部の表面の間により好ましくは鋭い刃先がある稜線形状で、上流方向へ向かって収束している。好ましくは、収束の角度は、オリフィスの周面の一以上が収束する角度と同じである。
【0017】
好ましくは、2つのオリフィスがある場合、ボア内部の閉鎖端部のこれらの収束する表面によって形成される稜線は、2つのオリフィス間の軸に垂直な尾根の線に揃っている。稜線のこれらの表面の傾斜した配置は、好ましくはオリフィスの上流側周面の傾斜と同じ、すなわち上記の角度にあり、好ましくはオリフィスの周面となだらかに結合する。
【0018】
好ましくは、ボア内部の閉鎖端部の収束する表面、例えばそのように形成した稜線の尾根は、上流方向に少なくともオリフィスの上流側周面のところまで伸びている。稜線は、好ましくはいわゆる「鞍」形状の表面の一部である。
【0019】
そのような収束する内表面、特にこの稜線の利点は、オリフィスから出る流体の流れがそれによって下流方向に案内され、そして例えば鞍形状の表面であるそのような稜線が、粒子や他の汚染物質をその上に静止させる平らな表面を提供しないことにある。
【0020】
尖端部は3つの面を備えたピラミッド状とすることができる。そのようなピラミッドの頂点は、 30〜60°の角度とすることができる。好ましくは、尖端部は、適切には先端で15〜30°、好ましくは20〜25°の錐角 を有する円錐形状である。円錐形状のピラミッド形状に対する利点は、円錐形状はそれがクロージャを穿孔したときにエラストマー材料に与える損傷が少ないことであり、一方ピラミッドでは、ピラミッドの断面である、多角形、例えば三角形の頂点から放射状に広がるカットによって、大きな「星」形状の穿孔穴を残す可能性がある。そのような円錐形状により、クロージャを穿孔した際にクロージャ材料の粒子を生じさせないことが可能である。
【0021】
従って、本発明の装置のための針の特に好ましい形状は、
側壁によって画定され且つ内部にボアがある円筒状管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流れるようになっており、前記管路は外面的には円錐状の尖端部を終端とし、前記ボアは内部では閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、
前記少なくとも1つのオリフィスが、上流方向に対して10〜60°の角度で側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する上流側及び下流側周面を有し、
前記一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積の±20%であり、
そして前記ボア内部の閉鎖端部が、上流方向へ向かって収束する表面を有するものである。
【0022】
好ましくは、管路の尖端部は、管路の下流側開口端部へ差し込み可能な別体のプラグ部分として設けられている。従って、そのようなプラグ部分は、管路のボアの下流側開口端部へ挿入可能な雄プラグ端を有し、前記プラグ部分はこの雄プラグ端の長手方向の反対側に尖端部を有し、前記プラグ端は上述した稜線の形状とすることができる。そのようなプラグ端は、管路のボアに溶接することができる。
【0023】
管路はまた、その外面上に一以上の通気溝を設けて、流体が容器中へ導入されるときにバイアル等の容器内の空気を逃がすようにしている。適切には、そのような溝は管路の長手軸に平行、例えば上流−下流方向に平行な方向に伸びていて良い。そのような溝の長さは、針がクロージャをその意図する程度まで完全に穿孔したときに、溝の一方の末端が容器内にあり他方の末端が容器の外へ露出するような、十分な長さとすることが必要である。一以上のそのような通気溝であって良く、好ましくは二以上の通気溝であって良い。通気の効率はバイアルの充填速度に影響を与える可能性があり、また4つの溝がより大きい容積のバイアルに充填するのに優れている可能性があることが分かっている。針を、例えばバイアルの弾性クロージャに穿孔するため用いる場合、エラストマーが通気溝をふさぐ傾向があることが分かっている。これは、針の軸を横に切り取った、エラストマーにより簡単には完全にふさがらないような鋭い角部を有する形状の溝によって回避し得ることが分かっている。例えば、その溝は長方形の形状を有することができる。複数の溝は、管路の外周周りに規則的に間隔を空けておくことができる。別の配置では、4つの溝を2つの組として配置しており、それぞれの組は管路の直径について向かい合う側面上に配置され、それぞれの組の溝は、その組の溝の間が20〜50°、例えば40±5°の角度で間隔が空いている。溝は、例えば管路壁の厚さの約50%の深さ、例えば0.2mmの深さを有することができ、また0.2〜0.4mmの幅を有することができる。溝の末端では、クロージャを通して針を挿入し又は取り外す際にクロージャのエラストマーの粒子が切り取られるのを避けるために、鋭い段差によるよりもむしろ、溝を管路の外形状に徐々に適合させることが好ましい。通気溝についてのこれらの配置を有する針は新規であると考えられる。
【0024】
上記のように、ボアから出る流体の流れを下流方向へ案内すると、流体が上流方向へ噴射されて通気溝に入る可能性を低減するというさらなる利点がある。
【0025】
上述のような管路及びプラグ部分は、当技術分野で一般に用いられるようなステンレス鋼等の金属製とすることができる。典型的には、管路は約2〜3mmの外径を有することができ、ボアは側壁厚さを典型的には0.3〜0.5mmとして1〜2mmの内径を有することができる。
【0026】
容器は、適切には穿孔可能な弾性クロージャを有する医薬品バイアルとすることができる。適切なバイアルは、例えば国際公開第04/018317号パンフレットに開示されている。そのようなバイアルは、例えば、その上下軸に対し横に広がる上面及び下面を持っているフランジ形状の縁部を境界とする、上方に向いた開口部を有しており、またその開口部と密閉式に係合するような形とされ、バイアルの内部に面する下側表面と、反対側の、バイアルの外方に面する上側表面とを持ち、バイアルの開口部へ針を挿入することによって穿孔可能であるような弾性クロージャ部分を有しており、そして、バイアルの開口部の縁部周りのフランジと、そのようなフランジ部の下方へ向いた面の下部にあるクランプ部分のスナップ部の弾力的なスナップ式係合によって係合し、クロージャ部分の上側表面に圧力を加えて開口部と密接した関係にクロージャ部分を保持するクランプ部分を有している。
【0027】
針でクロージャに穿孔する手段は、針を保持し、例えばバイアル等の容器を支持し、それらを共に針の長手軸に沿って相対的に移動させる手段を含むことができる。例えば、容器はその最上部にクロージャを有して支持されるバイアルであることができ、また針は容器の上方に保持されてクロージャに向かって下方に移動することができる。適切には、バイアル等の容器は、針ホルダーの下のコンベヤー上に支持することができる。容器及びクロージャから針を引き抜く手段は、同じ手段からなるが、相互に逆の動きで動作する。容器、特にバイアルを支持する手段には、針の引き抜き力に対して容器を抑える手段が組み込まれるべきである。適切な手段は、例えば国際公開第04/026735号パンフレットに開示されている。例えば、バイアルは、その開口部の反対側に、バイアルスタンドへ嵌合する底を有することができ、この手段はスタンドを支えてバイアルとスタンドとの連結体を引き抜き力に抗って下に保持することができる。
【0028】
ボアに沿って液体を流動させる手段は、供給される液体に接続する従来の計量ポンプから構成することができる。そのようなポンプは、容器中へ計量された量の液体を送達するように動作することができ、オリフィスが容器内にある間のみ液体が送達されるように制御することができる。別の態様においては、本発明は、上述のような中空針を作製するための方法であって、以下のステップ、
(1)側壁によって画定され且つ内部にボアがあり、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記ボアが開口端部を有するような管路を備えるステップと、
(2)前記開口端部に対するプラグ部分であって、長手軸を有し、前記ボアの前記開口端部と長手方向に結合するように構成され、端面と反対端とを有する前記プラグ部分を備えるステップと、
(3)前記ボアに対し前記プラグ部分を長手方向に結合させるステップと、
(4)上流方向へ向かって収束する方向に前記側壁を貫通して少なくとも1つのオリフィスを切り開き、前記プラグ部分の前記端面を前記上流方向へ向かって収束する側表面に形成するステップと、
(5)ステップ(1)〜(4)のいずれかの前もしくは後に、前記プラグ部分の前記反対端を尖端部に形成するステップと、
を含む前記方法を提供するものである。
【0029】
好ましくは 、ステップ(3)の前に、前記プラグ部分の前記端面が、長手方向と垂直に前記端面を横切って伸びる底辺部を備えた谷形状、好ましくは「V」もしくは「U」断面の谷形状へと形成、例えば切り取られる。
【0030】
ステップ(4)において、前記オリフィスが、前記谷の前記底辺部の線と平行な方向からドリルによって切り開かれる。このような好ましい方法で切り開くことにより、上記した鞍形状の、ボアの閉鎖端部の面を形成することができる。
【0031】
そのように作製した針の好ましい特徴は、上述の通りである。
【0032】
例えば、ステップ(3)において、プラグ部分は、ボア内の所定の位置で、管路の側壁に対して溶接、例えばレーザー溶接することができる。好ましくは、上記のように作製した後に、針の外面を研磨、例えば電解研磨してバリを除去するが、穿孔の際に針とバイアルクロージャとの間が高い摩擦となるような滑らかな面は形成しないようにする。
【0033】
通気溝は、上記の針の作製工程における任意の段階で管路の外面に形成することができる。通気溝は、管路の外面へ徐々に突き通るようなフライス工具を用いて形成することができる。
【0034】
別の態様において、本発明は、穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって上述のような針の尖端部を前記容器の内部へ挿入するステップと、
(2)前記針のボアに沿って流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)容器から針を引き抜くステップと、
を含む前記方法を提供するものである。
【0035】
例えば、容器は穿孔可能なクロージャを有する医薬品バイアルとすることができ、流体は液状製剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
添付の図面を参照してほんの一例により本発明を説明する。
【0037】
図1は、本発明の針の尖端部を通る縦断面図を示す。
【0038】
図2は、図1の針を作製する工程を連続的に示す。
【0039】
図1に、針10(全体)における、尖端部11近傍の端部を示す。針10は、側壁13で画定された外径2.4mmの円形断面からなるステンレス製の円筒状管路12を有し、内部に円形断面の内径1.65mmのボア14があり、側壁13の厚さは0.38mmである。管路12は、ボア14に沿って矢印で示す流れ方向へ流体(図示せず)が流動するようになっている。
【0040】
管路は、外面的には、錐角がその頂点で約20〜45°である円錐形状の尖端部11で終わっている。そのような円錐形状は、尖端部が弾性クロージャに穿孔した時にエラストマー材料の粒子を形成する可能性があるような鋭い刃先を避けるものである。
【0041】
側壁13を貫通して2つのオリフィス15があり、ボア14に沿って流動する流体の出口になっている。これらのオリフィスは、180°離れて、すなわちボア14の向かい合う側面に対角的(直径上反対側)に配置されている。各オリフィス15は、上流−下流方向に対して平行に細長い楕円形状である。それぞれのオリフィス15は、側壁13を貫通して上流側周面15Aとまた下流側周面15Bとを有しており、上流方向に対して約30°の角度(A)で、すなわち上流側周面15Aと平行に上流方向へ向かって収束している。
【0042】
上流側周面15Aのエッジ15Cは、針が通されるクロージャの材料をエッジ15Cが切削する可能性を低減するために丸くなっている。2つのオリフィス15、すなわちボア14の内面を外挿したところでの2つのオリフィスの合計した断面積は、ボア14の断面積と大体等しくなっている。
【0043】
ボア14は、輪郭が描かれた閉鎖端部16を終端とする。このボアの閉鎖端部16は、上流方向へ向かって収束し、鋭い稜線18で交わるような表面17を有している。稜線18の線の方向は、2つのオリフィス15の間の軸に対して直角、すなわちオリフィス15が配置される直径に対して90°の直径に揃っている。その結果、傾斜した表面17を横切る直径は、オリフィス15を通る直径と同じである。図1に見られるように、稜線18の側表面17の傾斜した配置は、オリフィス15の下流側周面15Bの傾斜と同じであり、従って表面17はオリフィス15の下流側周面15Bとなだらかに結合する。稜線18は、オリフィスの上流側周面15Aを過ぎて上流方向に伸びている。
【0044】
尖端部11は、ボアの下流側開口端部21へ差し込むことができる、別体のプラグ部分20として設けられている。プラグ部分20は、管路12のボア14の下流側開口端部21へ挿入可能な雄プラグ端22を有し、また反対側に尖端部11を含む尖端部位23を有している。雄プラグ端22には、傾斜した側表面17を備えた上述の稜線18が形成されている。
【0045】
管路12にはまた、図2に見られるように、外面上に2つの、それぞれ深さが約0.2mmである対角線上の通気溝24が設けられている。それぞれの溝24の長手方向の末端部24Aは、鋭い段差によるよりもむしろ、管路12の外形状に徐々に適合している。
【0046】
ボア14に沿って流動する流体が、オリフィス15を通じて出る際に、流体ガイド面15A、15B、17の配向効果のため、下流方向の成分を有する方向に導かれることは明らかであろう。
【0047】
図1Aに、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での断面図を示す。図2でより明確に見られる2つの通気溝24は、管路12の外周回りに180°離れて位置しているのが分かる。図1Bは、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での別の断面図を示す。図2でより明確に見られる2つの通気溝24は、管路12の外周回りに180°離れて位置しているのが分かる。管路12の鋼壁の厚さは約0.38mmである。2つの通気溝24はそれぞれ約0.4mmの幅と約0.2mmの深さを有している。図1Cは、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線でのさらに別の断面図を示す。4つの通気溝24が、管路12の直径を横切って180°離れて位置する2つの組の状態で配置されていることが分かる。各組の溝24は、管路12の外周回りに約40°離れて間隔を空けられている。管路12の鋼壁の厚さは約0.40mmであり、管路の直径は2.4mmである。4つの通気溝24はそれぞれ約0.2mmの幅と約0.2mmの深さを有している。図1B及び1Cにおいて、溝24の側面と管路12の外面との間の縁部は、針でクロージャに穿孔するときクロージャの粒子が切り取られるのを避けるために、約0.05mmでアールが付けられている。
【0048】
図2に、図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【0049】
図2Aに、上記の工程のうちのステップ(2)を示す。管路のボア14の開口端部に対するプラグ部分30が示されている。プラグ部分30は鉛直方向の長手軸に沿って細長い。一方の端部31は、管路のボアの開口端部21と長手方向に嵌り合うように構成された、すなわちボア14の開口端部21の内径に対応する外径である雄プラグに形成され、その結果、端部31は開口端部21に密接に嵌合している。反対端32はピラミッド状の尖端部に形成される。プラグ部分30の端面31は、長手方向に垂直なB−B方向へ端面31を横切って伸びる底辺部を備えて、「V」断面である谷33の形状に切り取られている。プラグ部分30の一部の周りに尖端部32に近接して張り出し合口部34があり、部分30がボア14に入り得る範囲を限定している。
【0050】
図2Bに見られるように、プラグ部分30は、管路12の開口端部に嵌められている。すなわちステップ(3)である。
【0051】
図2Cはステップ(4)を示している。2つのオリフィス15は、対角線上の位置で、管路12の側壁13を貫通して上流方向へ向かって収束する方向へドリルで開けられる。谷33の底辺部のB−B線は、2つのオリフィス15と交わる管路の直径に対し平行に揃っている。オリフィス15の下流側周面15Bが見えている。
【0052】
図2Dは、丸いエッジ15Cを形成するための、工具35を用いたオリフィス15の上流側周面15Aの丸み付けを示す。
【0053】
図2Eは、側壁13を貫通するオリフィス15の穴あけにより、どのようにしてプラグ部分20のプラグ端22の端面16を、上流方向に向かって収束し稜線18を形成する側周面17に形成するかを分解図で示す。それらは、全体的に「鞍」形状面の一部を形成し、すなわち上流−下流方向に対して傾斜し、ほぼ側周面17の面に垂直な面である表面19を有している。
【0054】
図3は、図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。図3Aに見られるように、医薬品バイアル31には、クロージャ32が露出する中央のアパーチャ34を有するクランプ部分33によりバイアル31の口と閉じた関係で所定の位置に保持される、穿孔可能な弾性クロージャ32が設けられている。バイアル31の内部、及びアパーチャ34の内側に露出されたクロージャ32の一部は、予め滅菌されている。
【0055】
図1及び2を参照して示され且つ述べられたタイプの中空針35は、バイアル31の上方で、その尖端部を下向きに、アパーチャ34を通ってクロージャ32に向けて支持される。針35は、適当な手段(図示せず)によりバイアル31に対して上下方向に往復運動可能なホルダー36によって支持される。ホルダー36はまた、針35を、ライン37を経て液体のソース(図示せず)に接続する。
【0056】
バイアル31は、バイアル31をコンベヤー(図示せず)上に押さえ付けることが可能な基部38により底が保持されている。それによって、バイアル31は針35の真下に移動して、図示の関係になることができる。
【0057】
図3Bに見られるように、針35は、ホルダー36の対応する下方向の動きによって下向きに移動し、その結果、針35は、図1及び2において15で示すオリフィスがバイアル31内にくるようにクロージャ32を穿孔し貫通する。
【0058】
図3Cに見られるように、液体39はライン37に沿って針35の管路12(図1及び2に見られるような)を通して流され、オリフィス15を経てバイアル31中へ出る。オリフィス15の向きが、液体39を、針35から、流れ方向と平行な成分を有する、すなわち図3Cで見られるような下方向の成分を有する方向に流れるように導く。液体39の流動は、針35の長手軸に対してゼロでなく垂直でもない方向にのが分かる。この方向に流動すると、液体39は、クロージャ32の下側及びバイアル31の内部の上方領域から離れてバイアル31の底へ向かって導かれる。図2において24で示す、針35の外面の通気溝は、針35が図3Cに見られるようにその意図された程度まで完全にクロージャ32を穿孔したときに、溝24の一方の末端がバイアル31内にあり、他方の末端がバイアルの外側に露出されて、310で示すようにバイアル31内の空気が溝24を経て逃げることができるような、十分な長さを有している。
【0059】
図3Dに見られるように、ホルダー36及び針35の上方向への動きにより、針35がバイアル31及びクロージャ32から引き抜かれている。バイアル31は、基部38に付ける保持手段(図示せず)により押さえ付けても良い。開いたままの穿孔穴311はヒートシールすることができる。
【0060】
図3A〜3Dに示した全動作は、好ましくは滅菌空気の下降層流(図示せず)下で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の針の尖端部を通る縦断面図を示す。
【図1A】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での断面図を示す。
【図1B】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での別の断面図を示す。
【図1C】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線でのさらに別の断面図を示す。
【図2A】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2B】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2C】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2D】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2E】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図3A】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3B】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3C】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3D】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【符号の説明】
【0062】
10 針
11 尖端部
12 管路
13 側壁
14 ボア
15 オリフィス
15A 上流側周面
15B 下流側周面
15C エッジ
16 閉鎖端部
17 側表面
18 稜線
20 プラグ部分
24 溝
30 プラグ部分
31 バイアル
32 クロージャ
35 針
36 ホルダー
37 ライン
39 液体
【技術分野】
【0001】
本発明は、針先によって穿孔し、それによってバイアル中へ流動性の薬剤量を導入可能であるような弾性クロージャを有する医薬品バイアルに充填するのに用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は、米国特許出願公開第2002/0023409号明細書で知られており、針によって残された開いたままの穿孔箇所はレーザービームを用いてヒートシールしている。
【0003】
このための針も知られているが、そのような針の問題は、バイアル内で流体が針から出るときに最適化された流体の流れパターンを得ることである。さらなる問題は、公知である針の先端、及び側面のオリフィスが、穿孔する間に、バイアル中に導入される薬剤を汚染したり針を通る流れを阻害もしくは詰まらせたりする可能性があるクロージャ材料の粒子を形成するようにバイアルクロージャを切り裂き得ることである。
【0004】
流体が出るための側面のオリフィスを有する、中空で先端が尖った針については数多くの開示がある。例えば、米国特許第5,478,328号明細書及び米国特許第6,221,056号明細書には、側面のオリフィスが、針のボアに沿って流動する流体を導き、オリフィスを進んで外へ、すなわち針が向けられた方向に導くような形状とされた針が開示されている。そこで開示されている針を、バイアルの充填操作において使用することについては開示されもしくは提案されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、他のものに共通するこれらの問題に対応し、改良された針に基づく改良されたバイアルの充填装置を提供することである。本発明の他の目的及び利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、穿孔可能なクロージャを有する医薬品容器中へ液体を導入するための装置において、
前記クロージャを貫通するのに適した中空針であって、前記針は側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路は外面的には尖端部を終端とし、前記ボアは内部では閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有している、前記中空針と、
前記少なくとも1つのオリフィスが前記容器内にくる程度まで前記針を前記クロージャに穿孔させる手段と、
前記液体を前記ボアに沿って流動させる手段と、
容器及びクロージャから針を引き抜く手段と、
を含む前記装置が提供される。
【0007】
ボアに沿って流動する液体を流れ方向と平行な成分を有する方向に導くためのオリフィスの方向付けは 、ボアからオリフィスを通過して針の外側へ向かう流体の流れを下流方向の成分を有する方向へと導くように、側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する周面を有するオリフィスによって達成することができる。
【0008】
ここで「下流」という用語は、流体が導入される針の端部から尖端部への大まかな方向をいい、また「上流」とは反対の方向をいう。
【0009】
ボアの周面をそのように配置する利点は、オリフィスを通じて出る流体が、下流方向に対し実質的に垂直に出るのではなく、下流方向へ導かれることである。
【0010】
好ましくは、管路は円筒状であり、2つのオリフィスが、それらの中心が180°離れて、すなわち管路の直径について向かい合う側面上にある。
【0011】
好ましくは、オリフィスは管路の長手方向に細長く、例えば楕円である。
【0012】
好ましくは、一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積と大体等しいか±20%であり、その結果ボアからオリフィスを通って外への流体の流れは抑制されない。
【0013】
好ましくは、オリフィスは、上流方向へ向かって収束するように傾斜する上流側周面を側壁を貫通して有している。好ましくは、オリフィスは、上流方向へ向かって収束するように傾斜する下流側周面を側壁を貫通して有している。上流側及び下流側周面の両方が上流方向に収束するように傾斜する場合は、それらは互いに平行に傾斜することができる。好ましくは、オリフィスの上流側、及び存在する場合は下流側の周面についての、上流方向へ向かって収束する角度は、上流方向に対して10〜60°の角度、より好ましくは約30°の角度である。
【0014】
好ましくは、オリフィスの周囲は、鋭くするよりむしろ丸くして、バイアルの弾性クロージャを通過するときにオリフィスの鋭いエッジによってクロージャが切り取られ、その結果クロージャ材料の粒子が形成される可能性を低減する。
【0015】
好ましくは、ボア内部の閉鎖端部は、上流方向へ向かって収束する表面を有している。
【0016】
好ましくは、これらの表面は、尾根を上流方向に向け、閉鎖端部の表面の間により好ましくは鋭い刃先がある稜線形状で、上流方向へ向かって収束している。好ましくは、収束の角度は、オリフィスの周面の一以上が収束する角度と同じである。
【0017】
好ましくは、2つのオリフィスがある場合、ボア内部の閉鎖端部のこれらの収束する表面によって形成される稜線は、2つのオリフィス間の軸に垂直な尾根の線に揃っている。稜線のこれらの表面の傾斜した配置は、好ましくはオリフィスの上流側周面の傾斜と同じ、すなわち上記の角度にあり、好ましくはオリフィスの周面となだらかに結合する。
【0018】
好ましくは、ボア内部の閉鎖端部の収束する表面、例えばそのように形成した稜線の尾根は、上流方向に少なくともオリフィスの上流側周面のところまで伸びている。稜線は、好ましくはいわゆる「鞍」形状の表面の一部である。
【0019】
そのような収束する内表面、特にこの稜線の利点は、オリフィスから出る流体の流れがそれによって下流方向に案内され、そして例えば鞍形状の表面であるそのような稜線が、粒子や他の汚染物質をその上に静止させる平らな表面を提供しないことにある。
【0020】
尖端部は3つの面を備えたピラミッド状とすることができる。そのようなピラミッドの頂点は、 30〜60°の角度とすることができる。好ましくは、尖端部は、適切には先端で15〜30°、好ましくは20〜25°の錐角 を有する円錐形状である。円錐形状のピラミッド形状に対する利点は、円錐形状はそれがクロージャを穿孔したときにエラストマー材料に与える損傷が少ないことであり、一方ピラミッドでは、ピラミッドの断面である、多角形、例えば三角形の頂点から放射状に広がるカットによって、大きな「星」形状の穿孔穴を残す可能性がある。そのような円錐形状により、クロージャを穿孔した際にクロージャ材料の粒子を生じさせないことが可能である。
【0021】
従って、本発明の装置のための針の特に好ましい形状は、
側壁によって画定され且つ内部にボアがある円筒状管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流れるようになっており、前記管路は外面的には円錐状の尖端部を終端とし、前記ボアは内部では閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、
前記少なくとも1つのオリフィスが、上流方向に対して10〜60°の角度で側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する上流側及び下流側周面を有し、
前記一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積の±20%であり、
そして前記ボア内部の閉鎖端部が、上流方向へ向かって収束する表面を有するものである。
【0022】
好ましくは、管路の尖端部は、管路の下流側開口端部へ差し込み可能な別体のプラグ部分として設けられている。従って、そのようなプラグ部分は、管路のボアの下流側開口端部へ挿入可能な雄プラグ端を有し、前記プラグ部分はこの雄プラグ端の長手方向の反対側に尖端部を有し、前記プラグ端は上述した稜線の形状とすることができる。そのようなプラグ端は、管路のボアに溶接することができる。
【0023】
管路はまた、その外面上に一以上の通気溝を設けて、流体が容器中へ導入されるときにバイアル等の容器内の空気を逃がすようにしている。適切には、そのような溝は管路の長手軸に平行、例えば上流−下流方向に平行な方向に伸びていて良い。そのような溝の長さは、針がクロージャをその意図する程度まで完全に穿孔したときに、溝の一方の末端が容器内にあり他方の末端が容器の外へ露出するような、十分な長さとすることが必要である。一以上のそのような通気溝であって良く、好ましくは二以上の通気溝であって良い。通気の効率はバイアルの充填速度に影響を与える可能性があり、また4つの溝がより大きい容積のバイアルに充填するのに優れている可能性があることが分かっている。針を、例えばバイアルの弾性クロージャに穿孔するため用いる場合、エラストマーが通気溝をふさぐ傾向があることが分かっている。これは、針の軸を横に切り取った、エラストマーにより簡単には完全にふさがらないような鋭い角部を有する形状の溝によって回避し得ることが分かっている。例えば、その溝は長方形の形状を有することができる。複数の溝は、管路の外周周りに規則的に間隔を空けておくことができる。別の配置では、4つの溝を2つの組として配置しており、それぞれの組は管路の直径について向かい合う側面上に配置され、それぞれの組の溝は、その組の溝の間が20〜50°、例えば40±5°の角度で間隔が空いている。溝は、例えば管路壁の厚さの約50%の深さ、例えば0.2mmの深さを有することができ、また0.2〜0.4mmの幅を有することができる。溝の末端では、クロージャを通して針を挿入し又は取り外す際にクロージャのエラストマーの粒子が切り取られるのを避けるために、鋭い段差によるよりもむしろ、溝を管路の外形状に徐々に適合させることが好ましい。通気溝についてのこれらの配置を有する針は新規であると考えられる。
【0024】
上記のように、ボアから出る流体の流れを下流方向へ案内すると、流体が上流方向へ噴射されて通気溝に入る可能性を低減するというさらなる利点がある。
【0025】
上述のような管路及びプラグ部分は、当技術分野で一般に用いられるようなステンレス鋼等の金属製とすることができる。典型的には、管路は約2〜3mmの外径を有することができ、ボアは側壁厚さを典型的には0.3〜0.5mmとして1〜2mmの内径を有することができる。
【0026】
容器は、適切には穿孔可能な弾性クロージャを有する医薬品バイアルとすることができる。適切なバイアルは、例えば国際公開第04/018317号パンフレットに開示されている。そのようなバイアルは、例えば、その上下軸に対し横に広がる上面及び下面を持っているフランジ形状の縁部を境界とする、上方に向いた開口部を有しており、またその開口部と密閉式に係合するような形とされ、バイアルの内部に面する下側表面と、反対側の、バイアルの外方に面する上側表面とを持ち、バイアルの開口部へ針を挿入することによって穿孔可能であるような弾性クロージャ部分を有しており、そして、バイアルの開口部の縁部周りのフランジと、そのようなフランジ部の下方へ向いた面の下部にあるクランプ部分のスナップ部の弾力的なスナップ式係合によって係合し、クロージャ部分の上側表面に圧力を加えて開口部と密接した関係にクロージャ部分を保持するクランプ部分を有している。
【0027】
針でクロージャに穿孔する手段は、針を保持し、例えばバイアル等の容器を支持し、それらを共に針の長手軸に沿って相対的に移動させる手段を含むことができる。例えば、容器はその最上部にクロージャを有して支持されるバイアルであることができ、また針は容器の上方に保持されてクロージャに向かって下方に移動することができる。適切には、バイアル等の容器は、針ホルダーの下のコンベヤー上に支持することができる。容器及びクロージャから針を引き抜く手段は、同じ手段からなるが、相互に逆の動きで動作する。容器、特にバイアルを支持する手段には、針の引き抜き力に対して容器を抑える手段が組み込まれるべきである。適切な手段は、例えば国際公開第04/026735号パンフレットに開示されている。例えば、バイアルは、その開口部の反対側に、バイアルスタンドへ嵌合する底を有することができ、この手段はスタンドを支えてバイアルとスタンドとの連結体を引き抜き力に抗って下に保持することができる。
【0028】
ボアに沿って液体を流動させる手段は、供給される液体に接続する従来の計量ポンプから構成することができる。そのようなポンプは、容器中へ計量された量の液体を送達するように動作することができ、オリフィスが容器内にある間のみ液体が送達されるように制御することができる。別の態様においては、本発明は、上述のような中空針を作製するための方法であって、以下のステップ、
(1)側壁によって画定され且つ内部にボアがあり、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記ボアが開口端部を有するような管路を備えるステップと、
(2)前記開口端部に対するプラグ部分であって、長手軸を有し、前記ボアの前記開口端部と長手方向に結合するように構成され、端面と反対端とを有する前記プラグ部分を備えるステップと、
(3)前記ボアに対し前記プラグ部分を長手方向に結合させるステップと、
(4)上流方向へ向かって収束する方向に前記側壁を貫通して少なくとも1つのオリフィスを切り開き、前記プラグ部分の前記端面を前記上流方向へ向かって収束する側表面に形成するステップと、
(5)ステップ(1)〜(4)のいずれかの前もしくは後に、前記プラグ部分の前記反対端を尖端部に形成するステップと、
を含む前記方法を提供するものである。
【0029】
好ましくは 、ステップ(3)の前に、前記プラグ部分の前記端面が、長手方向と垂直に前記端面を横切って伸びる底辺部を備えた谷形状、好ましくは「V」もしくは「U」断面の谷形状へと形成、例えば切り取られる。
【0030】
ステップ(4)において、前記オリフィスが、前記谷の前記底辺部の線と平行な方向からドリルによって切り開かれる。このような好ましい方法で切り開くことにより、上記した鞍形状の、ボアの閉鎖端部の面を形成することができる。
【0031】
そのように作製した針の好ましい特徴は、上述の通りである。
【0032】
例えば、ステップ(3)において、プラグ部分は、ボア内の所定の位置で、管路の側壁に対して溶接、例えばレーザー溶接することができる。好ましくは、上記のように作製した後に、針の外面を研磨、例えば電解研磨してバリを除去するが、穿孔の際に針とバイアルクロージャとの間が高い摩擦となるような滑らかな面は形成しないようにする。
【0033】
通気溝は、上記の針の作製工程における任意の段階で管路の外面に形成することができる。通気溝は、管路の外面へ徐々に突き通るようなフライス工具を用いて形成することができる。
【0034】
別の態様において、本発明は、穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって上述のような針の尖端部を前記容器の内部へ挿入するステップと、
(2)前記針のボアに沿って流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)容器から針を引き抜くステップと、
を含む前記方法を提供するものである。
【0035】
例えば、容器は穿孔可能なクロージャを有する医薬品バイアルとすることができ、流体は液状製剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
添付の図面を参照してほんの一例により本発明を説明する。
【0037】
図1は、本発明の針の尖端部を通る縦断面図を示す。
【0038】
図2は、図1の針を作製する工程を連続的に示す。
【0039】
図1に、針10(全体)における、尖端部11近傍の端部を示す。針10は、側壁13で画定された外径2.4mmの円形断面からなるステンレス製の円筒状管路12を有し、内部に円形断面の内径1.65mmのボア14があり、側壁13の厚さは0.38mmである。管路12は、ボア14に沿って矢印で示す流れ方向へ流体(図示せず)が流動するようになっている。
【0040】
管路は、外面的には、錐角がその頂点で約20〜45°である円錐形状の尖端部11で終わっている。そのような円錐形状は、尖端部が弾性クロージャに穿孔した時にエラストマー材料の粒子を形成する可能性があるような鋭い刃先を避けるものである。
【0041】
側壁13を貫通して2つのオリフィス15があり、ボア14に沿って流動する流体の出口になっている。これらのオリフィスは、180°離れて、すなわちボア14の向かい合う側面に対角的(直径上反対側)に配置されている。各オリフィス15は、上流−下流方向に対して平行に細長い楕円形状である。それぞれのオリフィス15は、側壁13を貫通して上流側周面15Aとまた下流側周面15Bとを有しており、上流方向に対して約30°の角度(A)で、すなわち上流側周面15Aと平行に上流方向へ向かって収束している。
【0042】
上流側周面15Aのエッジ15Cは、針が通されるクロージャの材料をエッジ15Cが切削する可能性を低減するために丸くなっている。2つのオリフィス15、すなわちボア14の内面を外挿したところでの2つのオリフィスの合計した断面積は、ボア14の断面積と大体等しくなっている。
【0043】
ボア14は、輪郭が描かれた閉鎖端部16を終端とする。このボアの閉鎖端部16は、上流方向へ向かって収束し、鋭い稜線18で交わるような表面17を有している。稜線18の線の方向は、2つのオリフィス15の間の軸に対して直角、すなわちオリフィス15が配置される直径に対して90°の直径に揃っている。その結果、傾斜した表面17を横切る直径は、オリフィス15を通る直径と同じである。図1に見られるように、稜線18の側表面17の傾斜した配置は、オリフィス15の下流側周面15Bの傾斜と同じであり、従って表面17はオリフィス15の下流側周面15Bとなだらかに結合する。稜線18は、オリフィスの上流側周面15Aを過ぎて上流方向に伸びている。
【0044】
尖端部11は、ボアの下流側開口端部21へ差し込むことができる、別体のプラグ部分20として設けられている。プラグ部分20は、管路12のボア14の下流側開口端部21へ挿入可能な雄プラグ端22を有し、また反対側に尖端部11を含む尖端部位23を有している。雄プラグ端22には、傾斜した側表面17を備えた上述の稜線18が形成されている。
【0045】
管路12にはまた、図2に見られるように、外面上に2つの、それぞれ深さが約0.2mmである対角線上の通気溝24が設けられている。それぞれの溝24の長手方向の末端部24Aは、鋭い段差によるよりもむしろ、管路12の外形状に徐々に適合している。
【0046】
ボア14に沿って流動する流体が、オリフィス15を通じて出る際に、流体ガイド面15A、15B、17の配向効果のため、下流方向の成分を有する方向に導かれることは明らかであろう。
【0047】
図1Aに、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での断面図を示す。図2でより明確に見られる2つの通気溝24は、管路12の外周回りに180°離れて位置しているのが分かる。図1Bは、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での別の断面図を示す。図2でより明確に見られる2つの通気溝24は、管路12の外周回りに180°離れて位置しているのが分かる。管路12の鋼壁の厚さは約0.38mmである。2つの通気溝24はそれぞれ約0.4mmの幅と約0.2mmの深さを有している。図1Cは、図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線でのさらに別の断面図を示す。4つの通気溝24が、管路12の直径を横切って180°離れて位置する2つの組の状態で配置されていることが分かる。各組の溝24は、管路12の外周回りに約40°離れて間隔を空けられている。管路12の鋼壁の厚さは約0.40mmであり、管路の直径は2.4mmである。4つの通気溝24はそれぞれ約0.2mmの幅と約0.2mmの深さを有している。図1B及び1Cにおいて、溝24の側面と管路12の外面との間の縁部は、針でクロージャに穿孔するときクロージャの粒子が切り取られるのを避けるために、約0.05mmでアールが付けられている。
【0048】
図2に、図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【0049】
図2Aに、上記の工程のうちのステップ(2)を示す。管路のボア14の開口端部に対するプラグ部分30が示されている。プラグ部分30は鉛直方向の長手軸に沿って細長い。一方の端部31は、管路のボアの開口端部21と長手方向に嵌り合うように構成された、すなわちボア14の開口端部21の内径に対応する外径である雄プラグに形成され、その結果、端部31は開口端部21に密接に嵌合している。反対端32はピラミッド状の尖端部に形成される。プラグ部分30の端面31は、長手方向に垂直なB−B方向へ端面31を横切って伸びる底辺部を備えて、「V」断面である谷33の形状に切り取られている。プラグ部分30の一部の周りに尖端部32に近接して張り出し合口部34があり、部分30がボア14に入り得る範囲を限定している。
【0050】
図2Bに見られるように、プラグ部分30は、管路12の開口端部に嵌められている。すなわちステップ(3)である。
【0051】
図2Cはステップ(4)を示している。2つのオリフィス15は、対角線上の位置で、管路12の側壁13を貫通して上流方向へ向かって収束する方向へドリルで開けられる。谷33の底辺部のB−B線は、2つのオリフィス15と交わる管路の直径に対し平行に揃っている。オリフィス15の下流側周面15Bが見えている。
【0052】
図2Dは、丸いエッジ15Cを形成するための、工具35を用いたオリフィス15の上流側周面15Aの丸み付けを示す。
【0053】
図2Eは、側壁13を貫通するオリフィス15の穴あけにより、どのようにしてプラグ部分20のプラグ端22の端面16を、上流方向に向かって収束し稜線18を形成する側周面17に形成するかを分解図で示す。それらは、全体的に「鞍」形状面の一部を形成し、すなわち上流−下流方向に対して傾斜し、ほぼ側周面17の面に垂直な面である表面19を有している。
【0054】
図3は、図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。図3Aに見られるように、医薬品バイアル31には、クロージャ32が露出する中央のアパーチャ34を有するクランプ部分33によりバイアル31の口と閉じた関係で所定の位置に保持される、穿孔可能な弾性クロージャ32が設けられている。バイアル31の内部、及びアパーチャ34の内側に露出されたクロージャ32の一部は、予め滅菌されている。
【0055】
図1及び2を参照して示され且つ述べられたタイプの中空針35は、バイアル31の上方で、その尖端部を下向きに、アパーチャ34を通ってクロージャ32に向けて支持される。針35は、適当な手段(図示せず)によりバイアル31に対して上下方向に往復運動可能なホルダー36によって支持される。ホルダー36はまた、針35を、ライン37を経て液体のソース(図示せず)に接続する。
【0056】
バイアル31は、バイアル31をコンベヤー(図示せず)上に押さえ付けることが可能な基部38により底が保持されている。それによって、バイアル31は針35の真下に移動して、図示の関係になることができる。
【0057】
図3Bに見られるように、針35は、ホルダー36の対応する下方向の動きによって下向きに移動し、その結果、針35は、図1及び2において15で示すオリフィスがバイアル31内にくるようにクロージャ32を穿孔し貫通する。
【0058】
図3Cに見られるように、液体39はライン37に沿って針35の管路12(図1及び2に見られるような)を通して流され、オリフィス15を経てバイアル31中へ出る。オリフィス15の向きが、液体39を、針35から、流れ方向と平行な成分を有する、すなわち図3Cで見られるような下方向の成分を有する方向に流れるように導く。液体39の流動は、針35の長手軸に対してゼロでなく垂直でもない方向にのが分かる。この方向に流動すると、液体39は、クロージャ32の下側及びバイアル31の内部の上方領域から離れてバイアル31の底へ向かって導かれる。図2において24で示す、針35の外面の通気溝は、針35が図3Cに見られるようにその意図された程度まで完全にクロージャ32を穿孔したときに、溝24の一方の末端がバイアル31内にあり、他方の末端がバイアルの外側に露出されて、310で示すようにバイアル31内の空気が溝24を経て逃げることができるような、十分な長さを有している。
【0059】
図3Dに見られるように、ホルダー36及び針35の上方向への動きにより、針35がバイアル31及びクロージャ32から引き抜かれている。バイアル31は、基部38に付ける保持手段(図示せず)により押さえ付けても良い。開いたままの穿孔穴311はヒートシールすることができる。
【0060】
図3A〜3Dに示した全動作は、好ましくは滅菌空気の下降層流(図示せず)下で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の針の尖端部を通る縦断面図を示す。
【図1A】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での断面図を示す。
【図1B】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線での別の断面図を示す。
【図1C】図1の針10の管路12を通る、図1のA−A線でのさらに別の断面図を示す。
【図2A】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2B】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2C】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2D】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図2E】図1の針を作製するための工程を連続的に示す。
【図3A】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3B】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3C】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【図3D】図1の針がどのようにして本発明の装置で用いられるかを示す。
【符号の説明】
【0062】
10 針
11 尖端部
12 管路
13 側壁
14 ボア
15 オリフィス
15A 上流側周面
15B 下流側周面
15C エッジ
16 閉鎖端部
17 側表面
18 稜線
20 プラグ部分
24 溝
30 プラグ部分
31 バイアル
32 クロージャ
35 針
36 ホルダー
37 ライン
39 液体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔可能なクロージャを有する医薬品容器中に液体を導入するための装置において、
前記クロージャを貫通するのに適した中空針であって、前記針は側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有している、前記中空針と、
前記少なくとも1つのオリフィスが前記容器内にくる程度まで前記針を前記クロージャに穿孔させる手段と、
前記液体を前記ボアに沿って流動させる手段と、
容器及びクロージャから針を引き抜く手段と、
を含む前記装置。
【請求項2】
前記針を保持する手段及び前記容器を支持する手段と、それらを共に前記針の長手軸に沿って相対的に移動させる手段とを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記容器がその最上部にクロージャを有して支持されたバイアルであり、前記針が前記容器の上方に保持され前記クロージャに向かって下方に移動する、請求項3記載の装置。
【請求項4】
前記容器が針ホルダーの下のコンベヤー上に支持される、請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
前記容器及びクロージャから針を引き抜く手段が、前記針を保持する手段及び前記容器を支持する手段を含み、相互に逆の動きで動作する、請求項2、3、又は4記載の装置。
【請求項6】
前記容器を支持する手段が、前記針の引き抜き力に対して前記容器を抑える手段を含む、請求項2、3、4、又は5記載の装置。
【請求項7】
側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有する中空針であって、前記管路の前記尖端部が、前記管路の下流側開口端部へ差し込み可能な別体のプラグ部分として設けられている、前記中空針。
【請求項8】
側壁によって画定され且つ内部にボアがある円筒状管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、
前記少なくとも1つのオリフィスが、上流方向に対して10〜60°の角度で側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する上流側及び下流側周面を有し、
前記一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積の±20%であり、
そして前記ボア内部の閉鎖端部が、上流方向へ向かって収束する表面を有する、請求項3記載の針。
【請求項9】
請求項2又は3記載の中空針を作製するための方法であって、以下のステップ、
(1)側壁によって画定され且つ内部にボアがあり、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記ボアが開口端部を有するような管路を備えるステップと、
(2)前記開口端部に対するプラグ部分であって、長手軸を有し、前記ボアの前記開口端部と長手方向に嵌り合うように構成され、端面と反対端とを有する前記プラグ部分を備えるステップと、
(3)前記ボアに対し前記プラグ部分を長手方向に嵌合させるステップと、
(4)上流方向へ向かって収束する方向に前記側壁を貫通して少なくとも1つのオリフィスを切り開き、前記プラグ部分の前記端面を前記上流方向へ向かって収束する側表面に形成するステップと、
(5)ステップ(1)〜(4)のいずれかの前もしくは後に、前記プラグ部分の前記反対端を尖端部に形成するステップと、
を含む前記方法。
【請求項10】
ステップ(3)の前に、前記プラグ部分の前記端面が、長手方向と垂直に前記端面を横切って伸びる底辺部を備えた谷形状に形成される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ステップ(4)において、前記オリフィスが、前記谷の前記底辺部の線と平行な方向からドリルによって切り開かれる、請求項5記載の方法。
【請求項12】
穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、請求項1〜6のいずれか1記載の装置の使用を含み、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって前記容器の内部へ前記針の尖端部を挿入するステップと、
(2)前記針の前記ボアに沿って前記流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)前記容器から前記針を引き抜くステップと、
を行う前記方法。
【請求項13】
穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって請求項7又は8に記載したような針の尖端部を前記容器の内部へ挿入するステップと、
(2)前記針の前記ボアに沿って前記流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)容器から針を引き抜くステップと、
を含む前記方法。
【請求項14】
前記容器が穿孔可能なクロージャを有する医薬品バイアルである、請求項13記載の方法。
【請求項1】
穿孔可能なクロージャを有する医薬品容器中に液体を導入するための装置において、
前記クロージャを貫通するのに適した中空針であって、前記針は側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有している、前記中空針と、
前記少なくとも1つのオリフィスが前記容器内にくる程度まで前記針を前記クロージャに穿孔させる手段と、
前記液体を前記ボアに沿って流動させる手段と、
容器及びクロージャから針を引き抜く手段と、
を含む前記装置。
【請求項2】
前記針を保持する手段及び前記容器を支持する手段と、それらを共に前記針の長手軸に沿って相対的に移動させる手段とを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記容器がその最上部にクロージャを有して支持されたバイアルであり、前記針が前記容器の上方に保持され前記クロージャに向かって下方に移動する、請求項3記載の装置。
【請求項4】
前記容器が針ホルダーの下のコンベヤー上に支持される、請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
前記容器及びクロージャから針を引き抜く手段が、前記針を保持する手段及び前記容器を支持する手段を含み、相互に逆の動きで動作する、請求項2、3、又は4記載の装置。
【請求項6】
前記容器を支持する手段が、前記針の引き抜き力に対して前記容器を抑える手段を含む、請求項2、3、4、又は5記載の装置。
【請求項7】
側壁によって画定され且つ内部にボアがある管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記少なくとも1つのオリフィスは前記ボアに沿って流動する液体を前記流れ方向と平行な成分を持つ方向に導くために方向付けられ、前記管路はその外面に少なくとも1つの通気溝を有する中空針であって、前記管路の前記尖端部が、前記管路の下流側開口端部へ差し込み可能な別体のプラグ部分として設けられている、前記中空針。
【請求項8】
側壁によって画定され且つ内部にボアがある円筒状管路を有し、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記管路の外面は尖端部を終端とし、前記ボアの内部は閉鎖端部を終端とし、前記ボアに沿って流動する流体が出るための、前記側壁を貫通する少なくとも1つのオリフィスを有し、
前記少なくとも1つのオリフィスが、上流方向に対して10〜60°の角度で側壁を貫通して上流方向へ向かって収束する上流側及び下流側周面を有し、
前記一以上のオリフィスの合計した断面積は、管路のボアの断面積の±20%であり、
そして前記ボア内部の閉鎖端部が、上流方向へ向かって収束する表面を有する、請求項3記載の針。
【請求項9】
請求項2又は3記載の中空針を作製するための方法であって、以下のステップ、
(1)側壁によって画定され且つ内部にボアがあり、前記ボアに沿って流れ方向に流体が流動するようになっており、前記ボアが開口端部を有するような管路を備えるステップと、
(2)前記開口端部に対するプラグ部分であって、長手軸を有し、前記ボアの前記開口端部と長手方向に嵌り合うように構成され、端面と反対端とを有する前記プラグ部分を備えるステップと、
(3)前記ボアに対し前記プラグ部分を長手方向に嵌合させるステップと、
(4)上流方向へ向かって収束する方向に前記側壁を貫通して少なくとも1つのオリフィスを切り開き、前記プラグ部分の前記端面を前記上流方向へ向かって収束する側表面に形成するステップと、
(5)ステップ(1)〜(4)のいずれかの前もしくは後に、前記プラグ部分の前記反対端を尖端部に形成するステップと、
を含む前記方法。
【請求項10】
ステップ(3)の前に、前記プラグ部分の前記端面が、長手方向と垂直に前記端面を横切って伸びる底辺部を備えた谷形状に形成される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ステップ(4)において、前記オリフィスが、前記谷の前記底辺部の線と平行な方向からドリルによって切り開かれる、請求項5記載の方法。
【請求項12】
穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、請求項1〜6のいずれか1記載の装置の使用を含み、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって前記容器の内部へ前記針の尖端部を挿入するステップと、
(2)前記針の前記ボアに沿って前記流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)前記容器から前記針を引き抜くステップと、
を行う前記方法。
【請求項13】
穿孔可能な容器中へ流体を導入するための方法であって、以下のステップ、
(1)前記容器に穿孔することによって請求項7又は8に記載したような針の尖端部を前記容器の内部へ挿入するステップと、
(2)前記針の前記ボアに沿って前記流れ方向に流体を流動させるステップと、
(3)前記流体を前記一以上のオリフィスを通じて前記針から出し、それによって前記容器へ入れるステップと、その後に、
(4)容器から針を引き抜くステップと、
を含む前記方法。
【請求項14】
前記容器が穿孔可能なクロージャを有する医薬品バイアルである、請求項13記載の方法。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【公表番号】特表2006−524525(P2006−524525A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505307(P2006−505307)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004501
【国際公開番号】WO2004/096114
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(397062700)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (37)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004501
【国際公開番号】WO2004/096114
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(397062700)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (37)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]