説明

半導体チップのチップIDマーキング方法及びマーキング装置

【課題】 半導体チップのチップIDのマーキングにおいて、半導体チップの表面に凹凸がある場合でも、所定の形状にチップIDをマーキングでき、チップレベルのトレーサビリティーに適用できるマーキング方法及び装置を提供する。
【解決手段】 半導体チップの製造工程で、ウエハ工程中および/またはダイシング工程後であってもウエハ形状で配列している工程までに固有のチップIDを半導体チップにマーキングする半導体チップのチップIDマーキング方法において、
半導体チップのチップIDのマーキングが複数回の材料塗布でおこなわれる事を特徴とする半導体チップのチップIDマーキングする方法および装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体チップのチップIDマーキング方法及びマーキング装置に関する。特に、ウエハ状態の時点から各半導体チップのチップIDを各半導体チップにマーキングすることによってチップレベルのトレーサビリティーに適用できるマーキング方法及びマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップの製造工程ではウエハカセットへのIDマーキング又は、ウエハへのIDマーキングによって生産管理及び品質管理が行われていた。そのため、管理できる生産情報、品質情報はウエハカセット単位又は、ウエハ単位迄であった。
【0003】
半導体チップに固有のIDをマーキングする事によって、生産時の歩留まり向上のためにウエハ内のチップ位置による問題点の改善等に利用できる。また、半導体チップ出荷後においての不具合発生時にチップIDを検出する事によって、製造情報の解析や不良品の絞り込みにも利用することができる。
【0004】
チップIDのマーキング方法には、特開2000−252176号等に開示されているレーザによるマーキング方法や、特開平7−307257号等に開示されている、ヒューズやメモリセルによる電気的なID付加方法が知られている。
【0005】
しかし、これらの方法を摘要するためには半導体チップの回路部内にIDエリアやヒューズまたはメモリセルの為のエリアを設ける必要があり、チップにIDマーキングする場所を確保することによる物理的チップサイズの拡大化、あるいはIDマーキングサイズを小さくする為にIDドットの微細化やマーキング装置の精度向上による技術的困難さや装置のコスト高の要因となっていた。
【0006】
チップIDには、特開2002−280276号に開示されている様に、プローブテストの結果から良品のチップにのみにIDをマーキングする方法があった。しかし、不良品のレベルを識別する事ができず、不良品の不具合の原因解析やその後の工程の検査結果との比較ができなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−252176号
【特許文献2】特開平07−307257号
【特許文献3】特開2002−280276号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体チップの表面に段差がある場合、ID材料がその段差の部分に流れ込んだり、IDドットの形状が崩れたりし、そのIDドットの形状を保つことができず、チップIDの視認性が良好ではなかった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、コスト的に有利なIDサイズを確保できるマーキング方法及びマーキング装置を提供する事に加え、半導体チップの表面に段差がある場合でも、ID材料がその段差の部分に流れ込んだり、IDドットの形状が崩れることなく、IDドットの形状を保つことができるチップIDのマーキング方法及び装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1及び請求項11に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、ウエハ工程中および/またはダイシング工程後であってもウエハ形状に配列姿が残っている状態までに半導体チップにチップIDをマーキングする事と、
半導体チップのチップIDのマーキングが複数回の材料塗布でおこなわれる事を特徴とする。ここで述べるチップIDとは、各チップ固有に設定された情報であり、ウエハの識別やウエハ面内のチップ位置情報も含む識別情報を意味する。
【0011】
さらに、半導体チップの表面に段差がある場合、IDドットを一層塗布とした場合、ID材料がその段差の部分に流れ込んだり、IDドットの形状が崩れる場合があるが、IDドットを複数回重ねて塗布することで、そのIDドットの形状を保ち、チップIDの視認性が良好になるという利点がある。
【0012】
請求項2及び請求項12に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、各半導体チップの表面保護膜上にチップIDをマーキングする事を特徴とする。
【0013】
請求項3及び請求項13に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、各半導体チップの表面に少なくとも一辺が500マイクロメートル以上のチップIDをマーキングする事を特徴とする。
【0014】
従来のIDマーキングで用いられていた、「電気的」な方法、例えば、ヒューズやメモリでIDを付加する方法では、回路内にその領域が必要であり、製品によってはヒューズやメモリが無く、前記の方式が用いられない場合もあった。本出願の発明の様に、半導体チップの表面保護膜上にチップIDをマーキングする場合は、チップサイズは製品機能として必要な回路部のみを要し、製品となる半導体チップの表面保護膜上にチップの全面サイズを用いてIDマーキングをすることができる。当該出願の発明の方式であれば、半導体チップサイズ全面にマーキングするため、IDサイズの一辺を500〜1000マイクロメートル程度にまで拡大してマーキングすることができ、マーキング装置の過度な高精度化が不要となり、コストダウンが望める。
【0015】
上記の発明により、従来の方法の様にIDマーキングを追記する部分の場所確保のためにチップサイズが大きくなり、要求されるIDサイズ全体を小さくするという、マーキング装置の高精度化に費用と労力をかけるなどの欠点を回避できる。
【0016】
請求項4及び請求項14に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、各半導体チップの表面にベース部材を塗布した後、チップIDをマーキングする事を特徴とする。
【0017】
請求項5及び請求項15に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、各半導体チップの表面にベース部材を塗布する事で、チップ表面の段差部を吸収し、チップ表面を平坦にする事を特徴とする。
【0018】
請求項6及び請求項16に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、半導体チップの表面にベース部材を塗布する事で、チップIDとチップIDの塗布面のコントラストを強調する事を特徴とする。
【0019】
半導体チップ内の回路や素子の構成によって、半導体チップの表面の色が大きく変化している物がある。そのような半導体チップの表面にチップIDを塗布すると、チップIDの塗布面の色の変化とIDドットの色のコントラストを見分ける必要が生じ、IDドットに使用できるID材料の色が限定されたり、塗布したチップIDの読み取り時に照明の工夫が必要になったりしていた欠点を回避することができる。
【0020】
上記の問題点を解決するために、塗布面の変化を隠す様に、例えば、チップ表面色よりも濃い色のベース部材を塗布し、その上にベース部材よりも薄い色のチップIDのID材料を使うことで、チップIDの読み取りを容易且つ確実にすることができる。
【0021】
請求項7及び請求項17に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、半導体チップの表面にベース部材を塗布する事で、チップID塗布面の濡れ性を調整し、IDドットの大きさを調整することにより、チップIDの大きさを調整する事を特徴とする。
【0022】
濡れ性については、半導体チップの表面に直接チップIDのIDドットを塗布すると、直径が250ミクロンメートルに濡れ広がる場合であっても、チップ表面に撥水コートを塗布することで、直径が50マイクロメートルまでIDドットを小さくすることができるなど、チップIDのIDドットの大きさを調整することができる。
【0023】
請求項8及び請求項18に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、半導体チップの表面にX線を透過しにくい材料を使用してチップIDをマーキングする事を特徴とする。
【0024】
上記の様に、X線を透過しにくい材料を使用してチップIDをマーキングする事によって、組立後のチップであっても非破壊でチップIDを検出することができ、確実且つ迅速にチップレベルでのトレーサビリティーが可能となる。
【0025】
チップの生産過程において、X線を透過しやすいチップIDのID材料を使用した場合、パッケージング工程後はチップIDが見えなくなりチップIDを確認する手段が無くなる。この場合、チップIDの情報はパッケージング工程前に読み取り機で読取りを行い、チップID情報を記憶装置に格納するなどして、パッケージング工程後のパッケージ表面へのパッケージIDマーキング工程まで情報の伝達が必要となる。
【0026】
該情報の伝達は生産ラインが正常に動作しておれば問題ないが、異常の発生などで、整列している生産中の半導体チップの数が変動した場合、どのチップがどのチップID情報だったかという関係が不明確になってしまう。従い、確実なトレーサビリティーができなくなる問題点が考えられる。
【0027】
従い、X線を透過し難いID材料を使用した場合は、パッケージング工程後のパッケージ表面にパッケージIDをマーキングする直前にX線でチップ表面のチップIDを読取り、そのチップID、又は、チップID情報と関連のあるIDを直ちにパッケージ表面にパッケージIDとしてマーキングする事ができる。さらに、パッケージ表面へのパッケージIDマーキング後であっても確認のために、X線でチップIDを確認する事も可能となる。それによって、確実なトレーサビリティーが可能となる。
【0028】
請求項9及び請求項19に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、チップIDのマーキングが半導体チップに非接触のマーキングである事を特徴とする。
【0029】
非接触でのマーキングであれば、チップIDの塗布面と塗布ヘッドの高さ方向(Z方向)の間隔を厳密に補正することなく、当該記載方法に限らないが、例えば、インクジェット方式や非接触ディスペンサ方式など間隔調整がラフで良い塗布方法も採用することができ、高さ方向の調整機構などの装置の簡易化が図れる。また、塗布ヘッドの高さ方向(Z方向)の動作が不要となり、塗布速度の高速化が図れる。
【0030】
請求項10及び請求項20に記載の様に、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、チップIDのマーキングをインクジェットによりマーキングする事を特徴とする。
【0031】
非接触でのマーキングについては、特に上記の様な効果が得られるが、特にその方法の中でも、インクジェット方式を用いることが優れている。例えば、数から数十kHzでIDドットを連続塗布することができ、塗布対象の半導体ウエハを数十mm/secから数百mm/secで高速走行塗布する事が可能になる。また、チップIDの塗布面と塗布ヘッドの高さ方向(Z方向)の間隔を0.5〜1.0mm程度と大きく、且つ、間隔に±0.1mm程度の変動があっても塗布への影響がない。
【発明の効果】
【0032】
本発明のマーキング方法及びマーキング装置はウエハ形状で配列している工程までにチップIDをマーキングすることで、半導体チップの生産工程時やチップ出荷後の不具合発生時であってもチップIDを検出する事によって、ウエハやウエハ内チップ座標までトレースする事ができる。
【0033】
さらに、チップIDを構成するIDドットを複数回重ねて塗布するので、そのIDドットの形状を保ち、チップIDの視認性が良好になる。。
【0034】
また、回路部に関係なく表面保護膜上にチップIDをマーキングする事でチップの微細化にも対応でき、マーキング装置のコストも安くできる。さらに、X線を透過しにくい材料を使用してチップIDをマーキングする事によって、組立後のチップであっても非破壊でチップIDを検出するこができ、確実で迅速なチップレベルのトレーサビリティーが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】半導体ウエハ内にウエハ形状で配列している半導体チップを示す図である。
【図2】半導体製造工程とチップIDの関係を示す図である。
【図3】半導体チップとチップIDの関係であって、従来方法と本発明の方法を示す図である。
【図4】ベース部材が無い場合の半導体チップの断面を示す図である。
【図5】ベース部材が有る場合の半導体チップの断面を示す図である。
【図6】複数回の材料塗布でチップIDをマーキングする場合の半導体チップの断面を示す図である。
【図7】インクジェットでチップIDのIDドットを走行塗布している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付の図面に示す実施例に基づいて、本発明のマーキング方法及びマーキング装置を詳細に説明する。
【0037】
図1は半導体ウエハ内にウエハ形状で配列している半導体チップを示す図である。図に示すように半導体ウエハ1にはウエハ固有のIDであるウエハID2がマーキングされており、半導体チップ3は規則的にウエハ面内に配列している。各半導体チップ3にはそれぞれ固有のチップID4がマーキングされる。
【0038】
図2は半導体製造工程とチップID4の関係を示す図である。図に示すようにウエハ工程100で、例えばウエハ検査のプローブ電気テスト101が実施された場合、該ウエハの検査結果111は該ウエハのウエハID2のIDとともにデータベース110に格納される。ウエハ工程で実施されるその他の検査や工程情報は同様にウエハID2のIDとともにデータベースに格納される。
【0039】
ウエハ工程100中であって、ダイシング104工程であっても半導体ウエハ1形状に配列している工程までにチップIDマーキング103を実施する。その際、チップID4と半導体ウエハ1面内の座標やウエハID2などの関連情報をID情報113としてデータベース110に格納される。又は、半導体ウエハ1面内の座標やウエハID2などの関連情報をチップID4のIDに含ませることもできる。
【0040】
ダイシング104工程後で半導体チップ3が個片になり、チップ検査105が実施された場合、該チップの検査結果115は該チップのチップID4のIDとともにデータベース110に格納される。又は、該チップの検査結果115はデータベース110に格納する代わりに、チップID4のIDに含ませることもできる。
【0041】
また、本発明に係る半導体チップのチップIDマーキング方法及び装置では、各半導体チップのチップIDに通常のチップ識別情報だけでなく、チップIDマーキングよりも前工程の検査結果の情報を含める事を特徴とすることもできる。
【0042】
これにより、不良品や良品のレベルの識別がチップIDの読取りを行うだけで可能となり、不具合の原因解析や特性別の出荷などを迅速に行うことができる。
【0043】
このように全ての検査や工程情報とウエハID2、チップID4がデータベース110に集まる事で、情報が途切れる事無く、チップレベルでのトレーサビリティーが可能となる。例えば、チップ出荷後に不具合が発生した場合であっても、チップID4を検出する事ができれば、データベース110と照合する事で、どのウエハのどの座標にあったチップであるか、製造時のウエハ検査結果111はどうか、チップ検査結果115はどうか、と云うように追って解析することができる。
【0044】
図3は半導体チップとチップIDの関係であって、従来方法15、本発明の方法16を示す図である。従来方法15では半導体チップ3の回路部6内にレーザによるマーキング方法等でIDをマーキングしていた。そのため、回路部6と同様にチップID4の大きさがチップの大きさに影響を与え、チップサイズの増加、又はIDサイズを縮小化する場合に、平行して、IDドットの微細化やマーキング装置の精度向上を施さなければならず、技術的にも煩雑さが増し、それに基づきコスト高となっていた。
【0045】
一方、本願発明の方法16では半導体チップ3の回路部6を保護している表面保護膜5の上面にチップID4をマーキングする。このことによって、回路部6のサイズや配置に左右されることなく、半導体チップ3の表面保護膜5上にチップ全面の大きさとなるチップID4をマーキングするので、チップの微細化にも対応でき、マーキング装置の製造コストも安くできる。
【0046】
図4はベース部材9が無い場合の半導体チップの断面を示す図である。図に示すように半導体チップ3の回路部6に段差部10がある場合を示し、表面保護膜5の上面にIDドット7を塗布すると段差部分に塗布部材が流れ込んだり、ドット形状が崩れ異常なIDドット8の様になる場合があった。また、半導体チップ3の回路部6に色の変化(回路部6に対し異色回路部66)がある場合、IDドット7と透明に近い表面保護膜5を介して見える回路部6と色の異なる異色回路部66のコントラストが悪くなる場合が生じた。
【0047】
而して、図5にベース部材9が有る場合の半導体チップの断面を示す。図5に示すように半導体チップ3の表面の回路部6に段差部10や色の変化(回路部6に対し色の異なる異色回路部66)がある場合、表面保護膜5の上にベース部材9を塗布した後、IDドット7を塗布することによってチップIDがマーキングされる。この事によって、IDドットの塗布面を平坦にする事ができ、IDドット7のドット形状を保ち、IDドット7と塗布面となるベース部材9のコントラストを強調し、チップID4の視認性を良好にすることができた。
【0048】
また、ベース部材9をチップID4の塗布面の濡れ性を調整できる材料にすることで、IDドット7の大きさを調整し、チップID4の大きさを調整する事ができた。
【0049】
また、図6は複数回の材料塗布でチップID4をマーキングする場合の半導体チップの断面を示す図である。図6に示すように半導体チップ3の表面に段差部10がある場合、IDドット7の1層目を塗布する場合、段差部分に塗布部材が流れ込んだりすることにより、ドット形状が崩れる場合があるが、IDドット7の2層目やIDドット7の3層目を塗布する場合のようにIDドット7を複数回重ねて塗布することで、該IDドット7は図に示す様に積層された塗布層からなる形状を保ち、チップID4の視認性を良好にすることができた。
【0050】
さらに、図7は、半導体チップのチップIDマーキングがチップに非接触のマーキングである場合の例であるが、非接触のディスペンサーやインクジェットなどの方式が用いられるが、本願では、インクジェットを用いた例を図で示している。
【実施例1】
【0051】
図4、図5に対応する実施例は、同一のID部材を塗布した場合でも、図4のベース部材9が無い場合はチップ表面の段差部10に塗布部材が流れ込んだり、IDドット7の形状が崩れる場合があり、IDドット7を塗布したチップID4を2次元コードリーダで読取る事ができなかった。また、図4の様にベース部材9が無い場合はIDドット7の直径が300〜200マイクロメートルと大きくなったが、図5の様に撥水効果のあるベース部材9を塗布する事でIDドット7の直径を100〜50マイクロメートルまで微細化することができた。
【0052】
図6に対応する実施例は、IDドット7を1回塗布したチップID4は、2次元コードリーダで読取る事ができなかったが、2回又は3回塗布したチップID4は2次元コードリーダで読取る事ができた。
【0053】
図7に対応する実施例は、図の様に、半導体ウエハ上に配列した半導体チップ3は、Z軸方向24に示す上下方向に高さ調整するとともに、インクジェットヘッド21に相対してウエハの走行方向23方向へ走行させるものである。インクジェットヘッド21のノズルから半導体チップ3の位置に応じてチップID4のIDドット7として、ID材料22を順次吐き出し、チップID4をマーキングする。
【0054】
図7では、表面保護膜5上に直接IDドット7を塗布しているが、図5に示す様に、ベース部材9を使用する場合は、ベース部材9表面にID材料22を同様に塗布しマーキングする。
【0055】
非接触でのマーキングなので、チップID4の塗布面と図7に図示する様に、インクジェットヘッド21の高さ方向(Z軸方向24)の間隔を厳密に補正することが不要となり、塗布速度の高速化が図れた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は半導体チップのIDマーキング方法及びマーキング装置に関する発明であり、特に、ウエハ状態の時点から各半導体チップのチップIDを各半導体チップにマーキングすることによって半導体チップレベルのトレーサビリティーを可能とするマーキング方法及びマーキング装置に関する。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体ウエハ
2 ウエハID
3 半導体チップ
4 チップID
5 表面保護膜
6 回路部
66 異色回路部
7 IDドット
8 異常なIDドット
9 ベース部材
10 段差部
12 組立後チップ
21 インクジェットヘッド
22 ID材料
23 ウエハの走行方向
24 Z軸方向
100 ウエハ工程
101 ウエハ検査
102 ウエハ最終検査
103 チップIDマーキング
104 ダイシング
105 チップ検査
110 データベース
111 ウエハ検査結果
113 ID情報
115 チップ検査結果
120 チップ組立工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの製造工程で、ウエハ工程中および/またはダイシング工程後であってもウエハ形状で配列している工程までに固有のチップIDを半導体チップにマーキングする半導体チップのチップIDマーキング方法において、
半導体チップのチップIDのマーキングが複数回の材料塗布でおこなわれる事を特徴とする半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項2】
半導体チップの表面保護膜上に半導体チップのチップIDをマーキングする事を特徴とする請求項1に記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項3】
半導体チップ表面に少なくとも一辺が500マイクロメートル以上の寸法のチップIDをマーキングする事を特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項4】
半導体チップ表面にベース部材を塗布した後、チップIDをマーキングする事を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項5】
前記ベース部材が半導体チップ表面の段差を吸収し、半導体チップの表面を平坦にする事を特徴とする請求項4に記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項6】
前記ベース部材が半導体チップのチップIDとチップIDの塗布面のコントラストを強調する事を特徴とする請求項4に記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項7】
前記ベース部材が半導体チップのチップIDの塗布面の濡れ性を調整し、半導体チップのチップIDマーキングの大きさを調整する事を特徴とする請求項4に記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項8】
半導体チップ表面にチップIDマーキングが材料を塗布することでおこなわれるにおいて、X線を透過しにくい材料を使用してチップIDマーキングをする事を特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項9】
半導体チップのチップIDマーキングがチップに非接触のマーキングである事を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項10】
半導体チップのチップIDマーキングがインクジェットによりおこなわれる事を特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング方法。
【請求項11】
半導体チップの製造工程で、ウエハ工程中および/またはダイシング工程後であってもウエハ形状で配列している工程までに固有のチップIDを半導体チップにマーキング半導体チップのチップIDマーキング装置であって、
半導体チップのチップIDのマーキングが複数回の材料塗布でおこなわれる事を特徴とする半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項12】
半導体チップの表面保護膜上に半導体チップのチップIDをマーキングする事を特徴とする請求項11に記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項13】
半導体チップ表面に少なくとも一辺が500マイクロメートル以上の寸法のチップIDをマーキングする事を特徴とする請求項11または請求項12に記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項14】
半導体チップ表面にベース部材を塗布した後、チップIDをマーキングする事を特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項15】
前記ベース部材が半導体チップ表面の段差を吸収し、半導体チップの表面を平坦にする事を特徴とする請求項14に記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項16】
前記ベース部材が半導体チップのチップIDとチップIDの塗布面のコントラストを強調する事を特徴とする請求項14に記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項17】
前記ベース部材が半導体チップのチップIDの塗布面の濡れ性を調整し、半導体チップのチップIDマーキングの大きさを調整する事を特徴とする請求項14に記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項18】
半導体チップ表面にチップIDマーキングが材料を塗布することでおこなわれるにおいて
、X線を透過しにくい材料を使用してチップIDをマーキングする事を特徴とする請求項
11から請求項17のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項19】
半導体チップのチップIDマーキングがチップに非接触のマーキングである事を特徴とする請求項11から請求項18のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング装置。
【請求項20】
半導体チップのチップIDマーキングがインクジェットによりおこなわれる事を特徴とす
る請求項11から請求項19のいずれかに記載の半導体チップのチップIDマーキング装
置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212914(P2012−212914A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139411(P2012−139411)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2007−275325(P2007−275325)の分割
【原出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)