説明

半導体モジュールの収容容器

【課題】突起部及びフレキシブルケーブルを有し大きさ及び形状が異なる半導体モジュールを高密度に同一形状の容器に収容することができる収容容器を提供する。
【解決手段】収容容器20上面に、突起部2を収容しかつモジュール本体1を収容固定する凹部23が壁面22aに形成された溝21を有する。半導体モジュール10はフレキシブルケーブル3をU字型に屈曲させて溝21内に収容される。半導体モジュール10を、U字の一部が重なるように密に収容することができる。また、モジュール本体1はフレキシブルケーブル3により付勢されて押止固定されるから、モジュール本体1及びフレキシブルケーブル3の形状、大きさが異なっても同じ収容容器に収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突起部、又は突起部及びフレキシブルケーブルを具えた半導体モジュールの保管、搬送に用いられる収容容器に関する。
【0002】
携帯端末に搭載されるカメラには、CMOSセンサやCCDセンサを収容するモジュール本体からレンズ鏡胴が突出した形状の半導体モジュール、さらにモジュール本体から引き出されたフレキシブルケーブル(フラットケーブル)を具えた半導体モジュールが使用されている。
【0003】
これらの半導体モジュールは、レンズ鏡胴等の突起部あるいはフレキシブルケーブルを保護するために収容容器に収容されて輸送及び保管に供される。しかし、半導体モジュールの外形は必要に応じて頻繁に設計変更がなされる。とくに、フレキシブルケーブルは、その形状、長さが必要に応じて頻繁に設計変更される。このため、外形が変更された半導体モジュールを、変更前の半導体モジュールを収容した収容容器と同一容器に、かつ高い収容効率を維持しつつ保管することができる半導体モジュールの収容容器が渇望されている。
【背景技術】
【0004】
図17は半導体モジュール斜視図であり、CMOSセンサを収容したカメラ用半導体モジュールを表している。図17(a)を参照して、半導体モジュール10は、CMOSセンサを収容する板状のモジュール本体1と、その主面1aに突出するレンズ鏡胴からなる突起部2とを有し、さらにモジュール本体1の主面1aの対向面1bに接続されたフレキシブルケーブル3を具える。また、対向面1bに画像処理のためのIC(集積回路)5を具えることもある。このフレキシブルケーブル3は平面ケーブルであり、剛性、弾性及び平面形状が異なる種々のものがある。例えば、図17(b)を参照して、フレキシブルケーブル3がそのケーブルの面内で折曲した平面形状を有してもよい。また、図17(a)に示す半導体モジュール10から、フレキシブルケーブル3を除去したもの、即ち、突起部2を具えたモジュール本体1からなる半導体モジュール(さらにIC等が付加されてもよい)も使用される。
【0005】
この突起部2は通常、光学系の機構部を有するため、保管、輸送時に機械的衝撃から保護する必要がある。従来の半導体モジュールの収容容器は、モジュール本体と嵌合するポケットが形成されたトレイを用い、ポケットへモジュール本体を収容し固定していた。(例えば特許文献1参照。)。かかる場合、ポケットを深くして機構部を保護する。(例えば特許文献2参照。)。
【0006】
図18は従来の半導体モジュール収容容器を説明する図であり、図18(a)及び(b)はそれぞれ直線状に延在するフレキシブルケーブル3を具えた半導体モジュール10の収容容器の平面図及びAa−Ab断面図を、図18(c)は折曲したフレキシブルケーブル3を具えた半導体モジュール10の収容容器の平面図を、図18(d)及び(e)はそれぞれフレキシブルケーブルを有しない半導体モジュール10の収容容器の平面図及びBa−Bb断面図を表している。
【0007】
図18(a)及び(b)を参照して、積み重ね可能なトレイ101の上面に、モジュール本体1が緩嵌するポケット102が一列に設けられ、その列に隣接してフレキシブルケーブル3を収容する窪み103が設けられている。この窪み103はフレキシブルケーブルの長さに略等しく形成され、収容された半導体モジュール10が輸送中にガタつかないようにしている。このようなポケット102の列及び窪み103は、さらに行方向に複数並べて設けられる。半導体モジュール10は、突起部2を上向きにしてポケット102及び窪み103に収容され、上面に積み重ねたトレイ又は蓋板によりスポンジ等の部材を介して押圧され固定される。
【0008】
折曲したフレキシブルケーブル3の場合は、図18(c)を参照して、ポケット102を間隔を設けて列設し、隣接する半導体モジュール10のフレキシブルケーブル3が重ならないようにしている。
【0009】
さらに、図18(d)及び(e)を参照して、フレキシブルケーブル3を具えない半導体モジュール10の場合は、モジュール本体1が緩嵌するポケット102の内側に、突起部2を収容するキャビテイ104を設けることにより、突起部2に外力が加わることを回避している。
【特許文献1】特開平8−244877号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】特開2003−112772号公報(第3頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した従来の半導体モジュールの収容容器は、モジュール本体と緩嵌するポケット及びフレキシブルケーブルの長さ及び形状に合った窪みが設けられており、モジュール本体の形状又はフレキシブルケーブルの長さ若しくは形状の異なる半導体モジュールは収容することができない。そのため、各半導体モジュール毎に、新たな収容容器を金型から改めて設計、制作しなければならず多大な費用が必要とされていた。
【0011】
また、フレキシブルケーブルに合わせた広い面積の窪みが必要であり、さらに半導体モジュールを平面に配置するため、収容密度が低いという問題があった。
【0012】
本発明は、本体及びフレキシブルケーブルの形状等が変更された半導体モジュールであっても、変更前と同じ容器に収容することができかつ高密度に収容することができる半導体モジュールの収容容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の構成では、半導体モジュールの収容容器の上面に溝が設けられている。この溝は、フレキシブルケーブルをU字型に曲げた半導体モジュールを、モジュール主面を溝の壁面に対向させてこの溝内に収容可能とする。このとき、U字の中心線(図1の縦方向に延在する。)が溝の延在方向を向き、U字の両側直線部が溝の壁面に沿うように収容される。
【0014】
溝の一方の壁面(モジュール主面が対向する壁面)には、モジュール本体を収容し固定するための凹部が形成されている。凹部にはさらに突起部を逃がすための突起収容部が設けられている。溝の他方の壁面には、U字に屈曲されたフレキシブルケーブルを固定し、フレキシブルケーブルを介してモジュール本体を上記一方の壁面方向へ付勢するための固定手段が設けられている。この付勢により、モジュール本体は凹部へ押圧され固定される。
【0015】
本構成では、モジュール本体とともに、フレキシブルケーブルをU字型に屈曲させて溝に埋め込むように収容するので、モジュール本体の形状、或いはフレキシブルケーブルの長さ及び形状が異なる半導体モジュールを同じ収容容器に収容することができる。また、モジュール本体はU字型に屈曲させたフレキシブルケーブルより生ずる付勢により凹部へ押圧され固定されるので、凹部をモジュール本体と緩嵌する形状にしなくてもモジュール本体は固定される。従って、凹部を大きく形成することで、多様な形状のモジュール本体を収容することができる。なお、フレキシブルケーブルは溝の延在方向にも付勢するので、この付勢を用いて溝の延在方向の凹部の一辺にモジュール本体を押止し固定してもよい。さらに、本構成では、U字型が一部重なるように半導体モジュールを収容することができるので、平面的に収容する従来の収容容器と比較して収容密度を高くすることができる。
【0016】
本発明の第二の構成では、収容容器の上面に溝が形成されている。半導体モジュールは、この溝にモジュール本体及びフレキシブルケーブルを差し込むように収容される。溝の壁面には、モジュール本体を収容するための凹部が溝に沿って複数形成されている。凹部にはさらに突起部を逃がすための突起収容部が設けられている。半導体モジュールは、凹部にモジュール本体が溝の壁面に沿うように挿入され、溝内にフレキシブルケーブルが溝に沿って延在するように挿入されて収容される。そして、この溝は、モジュール本体と隣接する半導体モジュールのフレキシブルケーブルを重ねて溝内に収容するに十分な溝幅を有している。
【0017】
この構成の収容容器は、半導体モジュールを溝に沿ってほぼ垂直に収容するから収容に必要な面積(収容容器の上面の面積)が小さい。さらに、モジュール本体と隣接するフレキシブルケーブルとを重ねて収容できるので、隣接する半導体モジュールの間隔をフレキシブルケーブルの長さより狭くすることができる。このため、高密度の収容が可能となる。また、フレキシブルケーブルの形状、長さが異なっていても、モジュール本体が凹部に収容できる限り、同一の収容容器に収容することができる。本構成の凹部は、溝の中にモジュール本体を支持できればよくモジュール本体と緩嵌する必要は必ずしもないので、形状、大きさの異なるモジュール本体を容易に収容できる。このため、形状の異なる半導体モジュールを同一収容容器に容易に収容することができる。さらにまた本構成は、短くて若しくは剛性が大きくてU字に屈曲できない又は弾性が小さくてU字に屈曲させて付勢することができないフレキシブルケーブルを具えた半導体モジュールについても適用できる。
【0018】
本発明の第三の構成では、モジュール本体を保持する保持部が設けられた細長の台部と、その台部を蓋する蓋部とから構成された本体収容筒が用いられる。この本体収容筒は、台部と蓋部とからなる筒状をなし、モジュール本体及び突起部を収容する。このとき、フレキシブルケーブルは、本体収容筒の側面から筒の外側に延在する。
【0019】
半導体モジュールが収容された本体収容筒は、トレイ上面に互いに平行に着脱自在に固定されて保管、搬送に供される。このとき、トレイ上面と本体収容筒との間に隙間を形成するように本体収容筒を固定する。そして、隣接する本体収容筒から延在するフレキシブルケーブルを、この隙間を通してトレイ上面に延在させる。一つの隙間に複数のフレキシブルケーブルを重ねて通過させることもできる。この構成では、フレキシブルケーブルの長さや形状に拘わらず、本体収容筒を近接して配置することができるので高い収容密度を得ることができる。また、フレキシブルケーブルの長さや形状が異なる半導体モジュールを同一の本体収容筒及びトレイに収容することができる。
【0020】
なお、半導体モジュールは、モジュール主面を上方に向けて保持部に収容されることが好ましい。このとき、フレキシブルケーブルが本体収容筒の下端近くから導出されるので、フレキシブルケーブルを短距離でトレイ上面まで接近させることができる。従って、隣接する本体収容筒相互の間隔を短くすることができ、収容密度を高くすることができる。
【0021】
また、本体収容筒をトレイ上面に密接して着脱自在に固定することもできる。この場合、本体収容筒の隣り合う間隔がフレキシブルケーブルの長さより長くする必要がある。
そのため、本体収容筒を一定間隔で固定可能なトレイを用い、必要な間隔を保持できる位置にのみ本体収容筒を固定する。即ち、本体収容筒の固定位置のなかから飛び飛びに選択された固定位置に本体収容筒を固定する。勿論、フレキシブルケーブルが短くて隣接する固定位置に届かないときは、飛び飛びに固定する必要はない。
【0022】
本発明の第四の構成では、一側面にスリットが開設された筒状の本体収容筒を用いる。半導体モジュールは、モジュール本体の主面と主面に対向する対向面をスリットの両端面に滑合させて、突起部が本体収容筒の内部に収容されるように本体収容筒の筒先端から挿入される。このとき、モジュール本体はスリットの両端面により支持される。また、スリットから本体収容筒の外側に突出するモジュール本体の部分からフレキシブルケーブルが延在する。この本体収容筒は、さらに筒状の外筒の内部に収容される。この外筒は、本体収容筒から外側に延在するフレキシブルケーブルをも収容できる断面形状を有する。従って、フレキシブルケーブルは外筒により保護され、突起部は本体収容筒により保護される。
【0023】
本構成では、モジュール本体の厚さ(主面と対向面の距離)が同一ならば、モジュール本体の幅(長辺間距離)が異なっていても同一本体収容筒に収容することができる。長さ(短辺間距離)も、スリットで支持できる範囲の相違であれば収容できる。また、モジュール本体を密接させて収容できるから高い収容密度を得ることができる。
【0024】
本発明の第五の構成は、フレキシブルケーブルを具えていない半導体モジュールの収容容器に関する。本構成では、スリットが開設された筒状の本体収容筒を用いる。本体収容筒はモジュール本体と緩嵌して、本体収容筒の筒先端から挿入されたモジュール本体を収容する。このとき、突起部はスリットから本体収容筒の外に突出する。この本体収容筒は、さらに筒状の外筒の内部に収容される。この外筒は、本体収容筒から外側に突出する突起部を収容できる断面形状を有する。従って、突起部は外筒により保護され、モジュール本体は本体収容筒により保護される。
【0025】
本構成では、モジュール本体の幅は本体収容筒との緩嵌に関与しないので、任意の幅のモジュール本体を有する半導体モジュールを同一収容容器に収容することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、本体又はフレキシブルケーブルの寸法又は形状が異なる半導体モジュールを同一収容容器に高密度で収容することができる。このため、保管及び搬送の費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(1)第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態を説明する図であり、図1(b)は半導体モジュールの収容容器の平面図及び図1(a)は図1(b)中Ca−Cb断面図を表している。収容容器20は積層可能な板状(トレイ状)をなし、この収容容器20の上面20aには、複数の互いに平行な溝21が形成されている。溝21の一方の壁面22aには凹部23及び突起収容部24が形成され、他方の壁面22bには固定手段25が形成されている。収容容器20は、さらに溝21が設けられていない帯状の部分(両側及び溝21の間に図1の縦方向に延在する部分)を連結する外枠26を有する。この外枠26は、溝21が設けられていない部分の上面20aを架橋して、底板とともに収容容器20を補強する。かかる収容容器20は、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂をエンボス加工による成形で、又は他の成形方法例えばモールド成形により製造することができる。
【0028】
半導体モジュール10は、モジュール本体1及び突起部2をそれぞれ凹部23及び突起収容部24に収容され、溝21の延在方法に延在するフレキシブルケーブル3をU字に屈曲させて解放端(モジュール本体と逆の先端)が他方の壁面22bに接するようにして溝21内に収容される。
【0029】
図2は本発明の第1実施形態の斜視図であり、凹部23近傍の溝21を拡大して表している。図2を参照して、溝21は収容容器20の上面20aにほぼ垂直に形成され、その壁面に凹部23が設けられている。凹部23は、上面20aが広い逆台形の窪みからなり、逆台形の平面図形を構成する凹部23の面は壁面22aに平行な基準面23aを形成する。この基準面23aは、モジュール本体1の位置決めに利用される。また、逆台形の斜面を構成する凹部23の2つの斜面23bは、後述するようにモジュール本体1の壁面22a面内の位置決めに利用される。また、凹部23が形成された壁面22aに溝21を挟んで対向する壁面22bには、壁面22bから突起する鋸歯状の固定手段25が設けられている。
【0030】
図3は本発明の第1実施形態を説明する斜視図であり、図2に示す凹部23に半導体モジュール10を収容した状態を表している。U字に曲げられたフレキシブルケーブル3の先端(端子板4が設けられている先端)は壁面22bから鋸歯状に突起する固定手段25に当接して溝21の延在方向の位置決めがなされる。さらに、フレキシブルケーブル3のこの先端近傍は壁面22bに押止され、その結果、モジュール本体1はU字に曲げられたフレキシブルケーブル3の弾性により壁面22a方向へ付勢される。付勢されたモジュール本体1は、凹部23の基準面23aに押圧されて位置決めされる。さらに、モジュール本体1は下方へ落下して凹部23の2つの斜面23bに当接して停止し上下位置が定まる。なお、突起収容部24は各種形状の突起部2を緩く収容できる大きさと形状を有する。
【0031】
図4は本発明の第1実施形態の部分側面図、図5は本発明の第1実施形態の部分平面図であり、いずれも半導体モジュール10を凹部23へ収容した状態を表している。また、図6は本発明の第1実施形態の部分水平断面図であり、図4のモジュール本体の中心を通る水平断面を表している。図4及び図5を参照して、モジュール本体1は、その主面1aが収容容器20の壁面の基準面23aに押圧され、さらにモジュール本体1の下端両角が2つの斜面23bに当接して位置決めされる。この基準面23aは突起収容部24の両側に設けられており、図6を参照して、モジュール本体1の下部では主面1aの両端部分が基準面23aに押圧されるので、位置決めが安定になされる。
【0032】
上述した本発明の第1実施形態において、モジュール本体1が当接する斜面23bを1面のみとすることもできる。即ち、モジュール本体1をU字に曲げられたフレキシブルケーブル3により溝21の延在方向にも付勢して、付勢方向の斜面23bにモジュール本体1を押止して位置決めする。このとき、斜面23bを、収容容器20の上面20aに垂直な面とすることもできる。このモジュール本体1を溝21の延在方向に押止して位置決めする収容容器では、溝21の延在方向の位置決めは一方の斜面23bで決まるから、凹部23の幅(斜面23b間距離)を大きくすることができ大きな形状のモジュール本体1をも収容することができる。
【0033】
また、フレキシブルケーブル3の先端を固定する固定手段として、壁面22bに突出する鋸歯状突起の他、壁面22bに形成された鋸歯状窪み、壁面から突出する点状若しくは線状の突起、或いは大きな摩擦係数を有するように加工された壁面22b等の固定手段を用いることができる。
(2)第2実施形態
図7は本発明の第2実施形態の平面図、図8は本発明の第2実施形態の斜視図であり、半導体モジュール10が収容された収容容器20Bを表している。
【0034】
図7及び図8を参照して、本実施形態の収容容器は、その上面20aに左右に溝幅が拡大された拡大部21aを一定間隔ごとに設けた溝21が形成されている。各々の拡大部21aの間の壁面22aには、第1実施形態例と同様の凹部23及び突起収容部24が形成されている。ただし、第1実施形態で凹部23の両側面が斜面23bであったのを、上面20aに垂直な面からなる側面23cとしている。なお、拡大部21aは、そこへ指を入れて半導体モジュール10の収容、抜去の作業を容易にするために設けられる。
【0035】
半導体モジュール10は、収容容器20Bの上面20aから溝21に挿入されて、モジュール本体1及び突起部2がそれぞれ凹部23及び突起収容部24に収容され、直線状に延在するフレキシブルケーブルが溝21に挿入される状態で収容される。モジュール本体1は、モジュール主面1aが基準面23aに対向し、モジュール本体1の下向きになる側面が溝21の底面に接するように溝21に沿って凹部23内に載置される。従って、モジュール本体1は、凹部23に遊挿されるだけで、底面に接する他は特に位置決めされない。溝21の幅は、モジュール本体1が凹部23から抜け出ないようにモジュール本体1の厚さ(モジュール主面1aと対向面1bの距離)より狭くする。一方、モジュール本体1の対向面1bとその対向面1bに対向する壁面22bとの間には、隣接する半導体モジュールのフレキシブルケーブル3が緩挿できる隙間を生ずる程の溝幅が必要である。なお、一つのモジュール本体1と壁面22bとの間に複数のフレキシブルケーブル3が緩挿されてもよく、この場合の溝21の最大幅は複数フレキシブルケーブル3が挿入された状態でモジュール本体1が凹部23から抜け出ない幅とする。
【0036】
なお、溝21が、モジュール本体1の厚さ又はこれにフレキシブルケーブル3の厚さを加えた厚さよりも溝幅を広くし、モジュール本体1と溝21の壁面22bとの間に詰め物を挿入してモジュール本体1の抜去を防止してもよい。この構造では溝幅を広くすることができるので、多様な形状の半導体モジュール10を収容でき、また収容、取り出しの操作が容易である。さらに、本実施形態における凹部23の側面を斜面として、モジュール本体1の溝21の延在方向の位置を決めることもできる。また、溝21をV字型の溝として、モジュール本体1の上下位置を決めてもよい。
【0037】
本発明の第2実施形態では、半導体モジュールをほぼ垂直に溝21に差し込むように、かつ短い隣接距離で収容することができるから、収容密度を非常に高くすることができる。また、モジュール本体1又はフレキシブルケーブル3の大きさ及び形状が異なっていても、容易に同一の収容容器に収容することができる。
(3)第3実施形態
本発明の第3実施形態は、フレキシブルケーブル3を具えた半導体モジュール10の収容容器に関し、モジュール本体1を収容する本体収容筒を用いる。図9は本発明の第3実施形態の本体収容筒斜視図であり、本体収容筒を表している。
【0038】
図9を参照して、本体収容筒30は台部31と蓋部35とを具える。台部31は、細長の板状を呈し、長手方向に一列に保持部32が形成されている。保持部32は、台部31の側面方向へ解放された凹状の窪みからなり、モジュール本体1が緩嵌される。半導体モジュール10は、突起部2を上方に向けモジュール本体1を保持部32に緩嵌して保持され、フレキシブルケーブル3は台部31側面から外側に延在する。このように、突起部2を上方に向けてフレキシブルケーブル3を下方から引き出す。これにより、後述するようにフレキシブルケーブル3を短距離でトレイ上面43に接近させ、本体収容筒30の固定間隔を短くすることができる。勿論、必要ならば突起部2を下方にすることもできる。
【0039】
この台部31を蓋する蓋部35が、台部31の上辺を回転軸34として回動自在に取り付けられる。この蓋部35は、台部31を蓋して筒状の本体収容筒30となる。蓋部35の一側面に、フレキシブルケーブル3を通す開口37が形成されている。蓋部35の内面に、突起部2を保護するための柔軟な詰め物36、たとえばスポンジが置かれる。
【0040】
図10は本発明の第3実施形態の斜視図であり、トレイ上に本体収容筒30を固定した様子を表している。本第3実施形態のトレイ40は、トレイ上面43が外枠41に対して窪んだ盆状をなし、外枠41上部に本体収容筒30を着脱自在に嵌合して固定する溝からなる固定部42が形成されている。この固定部42の底はトレイ上面43より高い。本体収容筒30は、その両端が対向する外枠41に形成された対をなす固定部42に嵌合され、その底面とトレイ上面43との間に隙間44をあけて橋架される。
【0041】
本体収容筒30に収容された半導体モジュール10から本体収容筒30の側面外側に引き出されたフレキシブルケーブル3は、トレイ上面43を延在し、さらに隣接する本体収容筒30の下の隙間44を通過してさらにトレイ上面43に延在する。フレキシブルケーブル3が長い場合、最隣接及びより遠くの本体収容筒30から引き出された複数のフレキシブルケーブルが重なって隙間44に延在してもよく、逆に短い場合は隣接する本体収容筒30まで延在していなくてもよい。
【0042】
本実施形態では、モジュール本体1が保持部32に収容される限り、フレキシブルケーブル3の形状及び大きさが異なっても、例えば図17(a)に示す直線状のフレキシブルケーブル3であっても図17(b)に示す折曲したフレキシブルケーブル3であっても同一の本体収容筒30を用いて同一のトレイ40に収容することができる。また、折曲したフレキシブルケーブル3を具えた半導体モジュール10であっても、フレキシブルケーブル3を重ねて収容するので、隣接する保持部32に収容することができ高い収容密度を実現することができる。
【0043】
図11及び図12は、それぞれ本発明の第3実施形態の断面図及び本発明の第3実施形態の側面図であり、本体収容筒30を固定したトレイ40を積み重ねた状態を表している。なお、図11の垂直断面位置は、図10の直線Da−Db位置に相当している。
【0044】
図12を参照して、3個のトレイ40が、外枠の上面と押さえ45(外枠の一部からなる)の下面を接して積み重ねられている。下段及び中段のトレイ40の固定部42に、本体収容筒30が嵌合されている。本体収容筒30の上部両角は、上側の押さえ45により押止される。
【0045】
図11を参照して、本体収容筒30は、トレイ上面43との間に隙間44をあけて固定され、図面中左隣の本体収容筒30から引き出されたフレキシブルケーブル3がその隙間44を通過してトレイ上面43に延在している。トレイ40下面に土手状に突出する押さえ45は、その底面がトレイ上面43に近接してフレキシブルケーブル3の上下方向の振動を防止する。
【0046】
このようにトレイ40を10段に積み重ねた(最上段は蓋板としてもよい)積層体をアルミニュウム箔でラミネートして内装箱に収容する。この内装箱を4個一組として外装箱に収容して搬送に供する。
【0047】
本実施形態では、突起部2を含むモジュール本体1を筒状の本体収容筒30内に収容するから突起部2への外力を避けることができる。また、複数の半導体モジュール10を一体として取り扱うことができるので、収容、取り出し作業が容易になる。
(4)第4実施形態
図13は本発明の第4実施形態の本体収容筒斜視図、図14は本発明の第4実施形態の断面図である。本実施形態の本体収容筒50は、側面にスリット51が開設された例えば断面矩形の筒からなる。スリット51の幅は、モジュール本体が本体収容筒50の一端から滑らかに挿入されるように、モジュール本体1の厚さ(主面1aと対向面1b間距離)より僅かに大きくされる。スリット51に滑らかに挿入されたモジュール本体1は、主面1a及び対向面1bがスリット51の上下面に挟まれて支持される。このとき、突起部2は完全に本体収容筒50の内部に収容されて保護される。モジュール本体1は、この本体収容筒50内に互いに密着して一列に収容される。
【0048】
図14を参照して、本体収容筒50は、緩く嵌合する外筒55内に挿入、固定されて収容される。外筒55は筒状をなし、側方に本体収容筒50を固定すると同時に、他の側方にフレキシブルケーブル3を完全に収容する空間を有する。このため、本実施形態の収容容器は、とくに剛性が大きくかつ短いフレキシブルケーブル3を有する半導体モジュールの収容に適している。
【0049】
本実施形態によれば、モジュール本体1の厚さが同一であれば、モジュール本体の幅及び長さが異なっていても、また、フレキシブルケーブル3の長さが異なっていても同一の本体収容筒50及び外筒55を使用することができる。
(5)第5実施形態
本発明の第5実施形態はフレキシブルケーブルを有しない半導体モジュールの収容容器に関する。図15は本発明の第5実施形態の斜視図であり半導体モジュールの収容容器を表している。また、図16は本発明の第5実施形態の断面図であり、図16(a)は図15に示す収容容器の断面を、図16(b)は変形例の収容容器の断面を表している。
【0050】
本実施形態の本体収容筒60は、図15を参照して、上面にスリット61が開設された例えば断面矩形の筒状を呈する。本体収容筒60の内面はモジュール本体と緩く嵌合し、モジュール本体1は本体収容筒60の一端からその内部に滑らかに挿入される。スリット61は突起部2を逃がすに十分な幅を有している。半導体モジュール10は、本体収容筒60の一端から本体収容筒60の内部に次々に滑入され、互いに一片を密接させて収容される。従って、高い収容密度が得られる。
【0051】
図15及び図16(a)を参照して、本体収容筒60は、さらに筒状の外筒65内へ緩嵌されて固定される。外筒65は、本体収容筒60のスリット61を貫通して突出する突起部2を完全に収容できる大きさを有し、突起部を覆い保護する。外筒65の内側面には間板66が突出しており、この間板66と外筒65内面により構成される空間に本体収容筒60は緩嵌して収容される。従って、本体収容筒60は常に外筒65の下側に保持されるので、突起部2への外力は外筒65により完全に遮られる。
【0052】
上記の第5実施形態では、モジュール本体1の位置を規定する間板66を外筒65内部に設けた。図16(b)を参照して、第5実施形態の変形例では、本体収容筒60の上面(スリット開口面)を間板66として利用し、本体収容筒60の両側面を上方に延在して外筒65に緩嵌させる。この変形例では、外筒65を矩形断面にできるから、製造が容易になる。
【0053】
上述した本明細書には、以下の付記に記載された発明が開示されている。
(付記1)フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該収容容器に形成された複数の溝と、
該溝の一方の壁面に形成された凹部と、
該凹部に形成された収容部と、
該溝の他方の壁面に形成された該フレキシブルケーブルの終端部を固定する固定手段とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記2)フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該収容容器に形成された複数の溝と、
該溝の一方の壁面に形成された凹部と、
該凹部に形成された収容部とを有し、
該フレキシブルケーブルは対向する溝の壁面間に収納されることを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記3)フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該収容容器に形成された複数の溝と、
該半導体モジュールのモジュール本体を収容する、該溝の一方の壁面に形成された複数の凹部と、
該凹部に形成された収容部とを有し、
該溝が、該凹部に収容された該モジュール本体と隣接する該凹部に収容された該モジュール本体から引き出された該フレキシブルケーブルとが、該溝内で溝幅方向に重ねて収容されることを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記4)モジュール本体の主面から突出する突起部及び該モジュール本体から該主面に平行に引き出されたフレキシブルケーブルを具えた半導体モジュールの収容容器において、
細長の台部と、
該台部の上面長手方向に一列に設けられ、該主面を該台部の底面に平行にかつ該フレキシブルケーブルを該台部の幅方向に該台部の外側に延在させて該モジュール本体を保持する保持部と、
該モジュール本体及び該突起部を収容するように該台を蓋して、筒状の本体収納筒を構成する蓋部とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記5)付記3記載の半導体モジュールの収容容器を、上面に、平行に並べて着脱自在に固定するトレイを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記6)フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該半導体モジュールの本体部を収納し、該フレキシブルケーブルを延在する開口が設けられた本体収納筒と、
複数の該本体収納筒を平行に固定するトレー部とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記7)フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該半導体モジュールの本体部を収納し、該フレキシブルケーブルを延在するスリットが設けられた本体収納筒と、
複数の該本体収納筒及び該本体収納筒より延在するフレキシブルケーブルを一括して収納する外筒とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
(付記8)突起部を有する半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
複数の該半導体モジュールを収納し、該突起部を貫通するスリットが設けられた本体収納筒と、
該本体収納筒及び該突起部を一括して収納する外筒とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の収容容器は、突起部又はフレキシブルケーブルを有する半導体モジュール、例えばCMOSカメラモジュールの保管搬送の収容容器として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態を説明する図
【図2】本発明の第1実施形態の斜視図
【図3】本発明の第1実施形態を説明する斜視図
【図4】本発明の第1実施形態の部分側面図
【図5】本発明の第1実施形態の部分平面図
【図6】本発明の第1実施形態の部分水平断面図
【図7】本発明の第2実施形態の平面図
【図8】本発明の第2実施形態の斜視図
【図9】本発明の第3実施形態の本体収容筒斜視図
【図10】本発明の第3実施形態の斜視図
【図11】本発明の第3実施形態の断面図
【図12】本発明の第3実施形態の側面図
【図13】本発明の第4実施形態の本体収容筒斜視図
【図14】本発明の第4実施形態の断面図
【図15】本発明の第5実施形態の斜視図
【図16】本発明の第5実施形態の断面図
【図17】半導体モジュール斜視図
【図18】従来の半導体モジュール収容容器説明図
【符号の説明】
【0056】
1 モジュール本体
1a 主面
1b 対向面
2 突起部
3 フレキシブルケーブル
4 端子板
5 IC(集積回路)
10、11 半導体モジュール
20、20B 収容容器
20a 上面
21 溝
21a 拡大部
22a、22b 壁面
23 凹部
23a 基準面
23b 斜面
23c 側面
24 突起収容部
25 固定手段
26 外枠
30、50、60 本体収容筒
31 台部
32 保持部
34 回転軸
35 蓋部
36 詰め物
37 開口
40 トレイ
41 外枠
42 固定部
43 トレイ上面
44 隙間
45 押え
51、61 スリット
55、65 外筒
66 間板
101 トレイ
102 ポケット
103 窪み
104 キャビテイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該収容容器に形成された複数の溝と、
該溝の一方の壁面に形成された凹部と、
該凹部に形成された収容部と、
該溝の他方の壁面に形成された該フレキシブルケーブルの終端部を固定する固定手段とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
【請求項2】
フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該収容容器に形成された複数の溝と、
該溝の一方の壁面に形成された凹部と、
該凹部に形成された収容部とを有し、
該フレキシブルケーブルは対向する溝の壁面間に収納されることを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
【請求項3】
フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該半導体モジュールの本体部を収納し、該フレキシブルケーブルを延在する開口が設けられた本体収納筒と、
複数の該本体収納筒を平行に固定するトレー部とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
【請求項4】
フレキシブルケーブルを備えた半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
該半導体モジュールの本体部を収納し、該フレキシブルケーブルを延在するスリットが設けられた本体収納筒と、
複数の該本体収納筒及び該本体収納筒より延在するフレキシブルケーブルを一括して収納する外筒とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。
【請求項5】
突起部を有する半導体モジュールを収納する半導体モジュールの収容容器であって、
複数の該半導体モジュールを収納し、該突起部を貫通するスリットが設けられた本体収納筒と、
該本体収納筒及び該突起部を一括して収納する外筒とを有することを特徴とする半導体モジュールの収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−44711(P2006−44711A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225903(P2004−225903)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】