説明

半導体光源点灯回路

【課題】光源に電力を供給する光源制御回路を複数設けた場合でも、光源の異常検出のための信号線の数を低減する。
【解決手段】半導体光源点灯回路2は、第1LED102に電力を供給する第1光源制御回路100と、第2LED202に電力を供給する第2光源制御回路200と、を備える。第1光源制御回路100は、第1出力電圧V1が所定の第1通常動作範囲内にある場合、矩形波信号を異常検出信号線12に生成する。第2光源制御回路200は、第2出力電圧V2が所定の第2通常動作範囲内にある場合、異常検出信号線12において不参照状態となり、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲から外れた場合、矩形波信号をマスクするよう動作する。エンジンコントロールユニット10は異常検出信号線12から矩形波信号を受ける場合第1、第2光源制御回路100、200を通常動作させ、そうでない場合所定の異常対応処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の光源制御回路を備える半導体光源点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、前照灯などの車両用灯具に、従来のフィラメントを有するハロゲンランプに代えてより長寿命で低消費電力のLED(Light Emitting Diode)が利用されている。LEDの発光の度合いすなわち明るさはLEDに流す電流の大きさに依存するので、LEDを光源として利用する場合にはLEDに流れる電流を調節するための点灯回路が必要となる。そのような点灯回路は通常エラーアンプを有し、LEDに流れる電流が一定となるようにフィードバック制御する。
【0003】
通常、点灯回路には、LEDに断線、短絡、地絡などのなんらかの異常が発生した場合にそれを検出する機能が備わっている(例えば、特許文献1参照)。点灯回路はLEDの異常を検出すると、車両のより総合的な制御を行うエンジンコントロールユニットなどの制御装置に異常検出用信号を送信する。そのような異常検出用信号は、点灯回路とエンジンコントロールユニットとの間の信号線を介して伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−254099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用灯具の光源としてLEDを利用する場合、LEDのアレイの形で車両用灯具に搭載することが多い。また、LEDの点灯/消灯や輝度などをアレイのなかでも各LEDで独立に変えることができるよう、複数の点灯回路を設けることがある。この場合、基本的には各点灯回路から異常検出用信号が出力されるのであるが、受ける側のエンジンコントロールユニットには、異常検出用信号を受けるためのポートが点灯回路の数だけ備わっていないことが多い。すなわち、点灯回路を複数設けた場合に、異常検出の観点でエンジンコントロールユニット側の対応が困難となりうる。
【0006】
このような課題はLEDなどの半導体光源に限らず、放電灯などの他の光源についても生じうる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源に電力を供給する光源制御回路を複数設けた場合でも、光源の異常検出のための信号線の数を低減できる半導体光源点灯回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、半導体光源点灯回路に関する。この半導体光源点灯回路は、第1光源に電力を供給する第1光源制御回路と、第2光源に電力を供給する第2光源制御回路と、を備える。第1光源制御回路は、第1光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが所定の第1通常動作範囲内にある場合、正常であることを示す正常信号を検出信号線に生成する。第2光源制御回路は、第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが所定の第2通常動作範囲内にある場合、検出信号線において不参照状態となり、第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが第2通常動作範囲から外れた場合、正常信号をマスクするよう動作する。検出信号線は制御装置と接続され、その制御装置は検出信号線から正常信号を受ける場合第1光源制御回路および第2光源制御回路を通常動作させ、そうでない場合所定の異常対応処理を行う。
【0009】
この態様によると、制御装置は検出信号線の状態に基づいて異常対応処理を行うか否かを決めることができる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光源に電力を供給する光源制御回路を複数設けた場合でも、光源の異常検出のための信号線の数を低減できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体光源点灯回路の構成を示す回路図である。
【図2】第2の実施の形態に係る半導体光源点灯回路の構成を示す回路図である。
【図3】変形例に係る半導体光源点灯回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体光源点灯回路2の構成を示す回路図である。半導体光源点灯回路2は第1光源制御回路100と第2光源制御回路200とを備える。第1光源制御回路100、第2光源制御回路200はそれぞれ、車載バッテリ(不図示)からバッテリ電圧Vbat受け、第1LED102、第2LED202に電力を供給する。特に第1光源制御回路100、第2光源制御回路200はそれぞれ、第1LED102、第2LED202に駆動電流を供給することで第1LED102、第2LED202を点灯させる。第1LED102、第2LED202はそれぞれ、ひとつ以上の車載用のLEDであってもよく、複数のLEDである場合は直列に接続されていてもよい。半導体光源点灯回路2、第1LED102および第2LED202は、ヘッドライトなどの車両用灯具に搭載される。
【0016】
第1光源制御回路100および第2光源制御回路200はいずれもひとつの異常検出信号線12と接続される。異常検出信号線12はエンジンコントロールユニット(ECU)10と接続される。エンジンコントロールユニット10は、自動車の電気的な制御を総合的に行うためのマイクロコントローラである。特に、エンジンコントロールユニット10は、
(1)異常検出信号線12から電位が時間的に変化する信号すなわち矩形波信号を受ける場合は第1LED102、第2LED202共に正常な点灯状態にあると判定し、
(2)異常検出信号線12が所定の期間以上アサートされるすなわちハイレベルとなる場合は第2LED202は正常な点灯状態にあるが第1LED102には異常が発生していると判定し、
(3)異常検出信号線12が所定の期間以上ネゲートされるすなわちローレベルとなる場合は第2LED202に異常が発生していると判定する。
なお、異常検出信号線12にはエンジンコントロールユニット10の内部で数V程度の電源電圧が印加されている。
【0017】
エンジンコントロールユニット10は、(1)のように第1LED102、第2LED202共に正常な点灯状態にあると判定された場合、第1光源制御回路100および第2光源制御回路200を通常動作させる。
【0018】
エンジンコントロールユニット10は、(2)や(3)のように第1LED102または第2LED202もしくはその両方に異常が発生していると判定されると、所定の異常対応処理を行う。異常対応処理として、例えばエンジンコントロールユニット10は、車両のフロントパネル(不図示)に警告を表示させることで、ドライバーに知らせてもよい。あるいはまた、エンジンコントロールユニット10は異常が発生しているLEDに対応する光源制御回路または半導体光源点灯回路2全体を停止させてもよい。エンジンコントロールユニット10は停止させるべき光源制御回路へのバッテリ電圧Vbatの供給を遮断してもよいし、DC/DCコンバータのスイッチング素子のオンオフを止めてもよい。
【0019】
第1光源制御回路100は、第1LED102に供給される電力に関する電気的なパラメータすなわち第1LED102のアノードに印加される第1出力電圧V1が、所定の第1通常動作範囲ΔV1内にある場合、第1LED102の点灯状態が正常であることを示す正常信号すなわち矩形波信号を異常検出信号線12に生成する。第1光源制御回路100は、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合であって第2光源制御回路200が異常検出信号線12において不参照状態となっている場合は、正常信号とは異なる異常信号すなわち実質的にハイレベルに固定された信号を異常検出信号線12に生成する。
【0020】
第2光源制御回路200の不参照状態は、異常検出信号線12の信号の状態に第2光源制御回路200が関与しない状態であってもよく、あるいはまた異常検出信号線12の信号の状態が第1光源制御回路100によってのみ制御される状態であってもよい。特に本実施の形態では、第2光源制御回路200の不参照状態は異常検出信号線12に対するハイインピーダンス状態である。
【0021】
第2光源制御回路200は、第2LED202に供給される電力に関する電気的なパラメータすなわち第2LED202のアノードに印加される第2出力電圧V2が、所定の第2通常動作範囲ΔV2内にある場合、異常検出信号線12に対してハイインピーダンス状態となる。第2光源制御回路200は、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2から外れた場合、第1光源制御回路100の状態によらずに異常検出信号線12の電位をローレベルに実質的に固定するよう動作する。すなわち、第2光源制御回路200は、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2から外れた場合であって第1光源制御回路100が異常検出信号線12に矩形波信号を生成する状態にある場合は、その矩形波信号をマスクするよう動作する。
【0022】
第1光源制御回路100と第2光源制御回路200とは同等の構成を有するが、異常検出信号線12への接続のされ方が異なる。第1光源制御回路100(第2光源制御回路200)は、バッテリ電圧Vbatが印加される第1バッテリ端子170(第2バッテリ端子270)と、接地されることで接地電位となる第1接地端子172(第2接地端子272)と、第1異常出力端子174(第2異常出力端子274)と、第1異常入力端子176(第2異常入力端子276)と、を備える。
【0023】
第1異常出力端子174(第2異常出力端子274)は、第1出力電圧V1(第2出力電圧V2)が第1通常動作範囲ΔV1(第2通常動作範囲ΔV2)内にある場合、矩形波信号を出力し、第1出力電圧V1(第2出力電圧V2)が第1通常動作範囲ΔV1(第2通常動作範囲ΔV2)から外れた場合、ハイインピーダンス状態となる。
第1異常入力端子176(第2異常入力端子276)は、第1出力電圧V1(第2出力電圧V2)が第1通常動作範囲ΔV1(第2通常動作範囲ΔV2)から外れた場合、電位がローレベルに実質的に固定され、第1出力電圧V1(第2出力電圧V2)が第1通常動作範囲ΔV1(第2通常動作範囲ΔV2)内にある場合、ハイインピーダンス状態となる。
第1異常出力端子174と第2異常入力端子276とが結線され異常検出信号線12を形成する。
【0024】
第1光源制御回路100は、第1異常検出回路104と、第1DC/DCコンバータ106と、第1制御IC108と、第1パルス生成回路110と、第1異常出力回路112と、第1異常入力回路114と、を含む。
【0025】
第1DC/DCコンバータ106は第1バッテリ端子170および第1接地端子172と接続され、第1バッテリ端子170に印加されるバッテリ電圧Vbatを昇圧して出力する昇圧形のスイッチングレギュレータである。第1DC/DCコンバータ106の出力電圧は第1アノード側出力端子182に印加される。第1アノード側出力端子182は第1LED102のアノードと接続されている。第1LED102のカソードは第1カソード側出力端子180と接続され、その第1カソード側出力端子180は第1光源制御回路100内で第1バッテリ端子170と接続される。したがって、第1LED102のアノードに印加される第1出力電圧V1は第1DC/DCコンバータ106の出力電圧であり、第1LED102のカソードに印加される電圧はバッテリ電圧Vbatである。
【0026】
第1制御IC108は、第1LED102に流れる駆動電流を略一定に保つよう第1DC/DCコンバータ106を制御する。例えば第1制御IC108は、第1DC/DCコンバータ106のスイッチング素子(不図示)のオンオフを制御する第1信号S1のデューティ比を、駆動電流が所定の目標値に近づくよう調整する。
また、第1制御IC108は、第1異常検出回路104から第1出力電圧V1の大きさを示す第2信号S2を受け、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合、第3信号S3の電位をローレベルに実質的に固定する。
【0027】
第1LED102が内部で断線した場合、負荷が非常に大きいオープン状態と同様の状態となるので、第1出力電圧V1は上昇する。また、第1LED102の例えばアノード側で地絡が発生した場合や第1LED102で短絡が発生した場合、第1出力電圧V1は低下する。第1異常検出回路104は第1出力電圧V1を監視し、第1出力電圧V1に上記のような上昇や低下が見られた場合、第1異常出力端子174をハイインピーダンス状態にすると共に第1異常入力端子176の電位をローレベルに実質的に固定する。
【0028】
第1異常検出回路104は、分圧回路116と、第1抵抗118と、第1スイッチング素子120と、第2抵抗122と、第3抵抗124と、第4抵抗126と、第1演算増幅器128と、第2スイッチング素子130と、第1ダイオード132と、第5抵抗134と、第6抵抗136と、を有する。
【0029】
分圧回路116は第1出力電圧V1を所定の分圧比で分圧した電圧を有する信号を第2信号S2として出力する。第1スイッチング素子120はpnp型バイポーラトランジスタであり、そのエミッタは第1抵抗118を介して第1アノード側出力端子182と接続され、そのコレクタは第2抵抗122を介して第1接地端子172と接続される。第1スイッチング素子120のベースは第1カソード側出力端子180と接続される。通常の点灯状態では第1出力電圧V1>バッテリ電圧Vbatなので、第1スイッチング素子120はオンされる。しかしながら、第1LED102の短絡や地絡などにより第1出力電圧V1が低下してバッテリ電圧Vbatに近づくと第1スイッチング素子120はオフされる。
【0030】
第1演算増幅器128の非反転入力端子には第1スイッチング素子120のコレクタの電圧が、反転入力端子には電源電圧を第3抵抗124と第4抵抗126とで分圧した分圧電圧が、それぞれ印加される。この分圧電圧は、通常の点灯状態における第1出力電圧V1を第1抵抗118と第2抵抗122とで分圧した電圧よりも低い電圧に設定される。第1演算増幅器128は、第1スイッチング素子120がオフされると第3信号S3の電位をローレベルに実質的に固定する。
すなわち、第3信号S3は、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合または第1スイッチング素子120がオフされた場合にローレベルとなり、そのいずれでもない場合にハイレベルとなる。
【0031】
第2スイッチング素子130はpnp型バイポーラトランジスタであり、そのエミッタには電源電圧が印加され、そのコレクタは第1ダイオード132のアノードおよび第6抵抗136の一端と接続される。第2スイッチング素子130のベースには第3信号S3が入力される。第1ダイオード132のカソードは第5抵抗134の一端と接続される。
第5抵抗134の他端に現れる第4信号S4および第6抵抗136の他端に現れる第5信号S5は、第3信号S3がローレベルのときハイレベルとなる。
【0032】
第1パルス生成回路110は第4信号S4がハイレベルでないときは発振器として動作するが、第4信号S4がハイレベルとなると発振器としての動作を停止する。第1パルス生成回路110の出力信号である第6信号S6は、第4信号S4がハイレベルのときローレベルとなり、そうでないとき所定の周波数を有する矩形波となる信号である。この周波数は例えば4Hz、デューティ比は50%である。
【0033】
第1パルス生成回路110は公知の非安定マルチバイブレータと同様の構成を有する。第1パルス生成回路110の振動の周波数を定める第1キャパシタ138の一端は接地され、他端は演算増幅器と接続されると共に第5抵抗134の他端とも接続される。これにより、第4信号S4がハイレベルのとき、第1キャパシタ138は常に充電された状態となり、第1パルス生成回路110の出力である第6信号S6はローレベルに固定される。第2スイッチング素子130がオフされると第4信号S4は第1キャパシタ138の状態に影響を与えなくなり、第1パルス生成回路110は独立した発振器として矩形波を出力する。
【0034】
第1異常出力回路112は、第3スイッチング素子140と、第7抵抗142と、第2キャパシタ144と、を有する。第3スイッチング素子140はnpn型バイポーラトランジスタであり、そのエミッタは接地され、コレクタは第7抵抗142の一端と接続される。第3スイッチング素子140のベースには第6信号S6が入力される。第7抵抗142の他端は第2キャパシタ144の一端および第1異常出力端子174と接続される。第2キャパシタ144の他端は接地される。
【0035】
第2異常入力端子276がハイインピーダンス状態であり、かつ第6信号S6が矩形波信号である場合、異常検出信号線12には第6信号S6とは逆位相の矩形波信号が生成される。第6信号S6がローレベルに固定される場合、第3スイッチング素子140はオフされたままとなるので、第1異常出力端子174はハイインピーダンス状態となる。
【0036】
第1異常入力回路114は、第4スイッチング素子146と、第8抵抗148と、第2ダイオード150と、第3キャパシタ152と、を有する。第4スイッチング素子146はnpn型バイポーラトランジスタであり、そのエミッタは接地され、そのコレクタは第8抵抗148の一端と接続される。第4スイッチング素子146のベースには第5信号S5が入力される。第8抵抗148の他端は第2ダイオード150のカソードと接続される。第2ダイオード150のアノードは第3キャパシタ152の一端および第1異常入力端子176と接続される。第3キャパシタ152の他端は接地される。
【0037】
第5信号S5がハイレベルに固定される場合、第4スイッチング素子146はオンされたままとなるので、第1異常入力端子176の電位はローレベルに固定される。第5信号S5がハイレベルに固定されない場合、第4スイッチング素子146は原則オフされ、第1異常入力端子176はハイインピーダンス状態となる。
【0038】
第2光源制御回路200は、第2異常検出回路204と、第2DC/DCコンバータ206と、第2制御IC208と、第2パルス生成回路210と、第2異常出力回路212と、第2異常入力回路214と、を含む。第2異常検出回路204は第1異常検出回路104と、第2DC/DCコンバータ206は第1DC/DCコンバータ106と、第2制御IC208は第1制御IC108と、第2パルス生成回路210は第1パルス生成回路110と、第2異常出力回路212は第1異常出力回路112と、第2異常入力回路214は第1異常入力回路114と、それぞれ対応する。
【0039】
下記の表は、第1出力電圧V1および第2出力電圧V2の状態によって第1異常出力端子174および第2異常入力端子276の状態がどのようになり、その結果異常検出信号線12にどのような信号が現れるかを示す。
【表1】

【0040】
本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2によると、複数のLED102、202を複数の光源制御回路100、200で制御する場合に、LED102、202の異常を1本の異常検出信号線12でエンジンコントロールユニット10に知らせることができる。エンジンコントロールユニットが1つの光源制御回路と接続されることを前提に設計されている場合、通常、そのエンジンコントロールユニットはLEDの異常の有無を示す信号を受け付けるポートを1つしか有していない。そこで本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2によると、そのようにポートを1つしか有していないエンジンコントロールユニットでも、複数の光源制御回路を、異常監視も含めて制御することが可能となる。これにより、光源制御回路の数を増やした場合に使用可能なエンジンコントロールユニットの幅が広がる。また、LEDの異常の有無を示す信号を受け付けるポートを光源制御回路ごとに設けるようエンジンコントロールユニットを再設計する必要がなくなる。
【0041】
また、本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2では、第1LED102、第2LED202のどちらに異常が生じているかで異常検出信号線12の電位が異なる。したがって、異常検出信号線12の電位を検出することで異常が生じているLEDを特定することができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2では、第1光源制御回路100と第2光源制御回路200とは同様に構成される。したがって、それらの構成が異なる場合と比較して、半導体光源点灯回路2の製造コストを低減できる。
【0043】
ロービーム機能とハイビーム機能とを備える車両用前照灯では多くの場合、ロービームの光源に異常があるとそれをドライバーに警告するよう要求されている。したがって、第1LED102、第2LED202がいずれもロービームの光源として使用される場合に、本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2は適している。しかしながら、無論、第1LED102、第2LED202がいずれもハイビームの光源として使用される場合や、昼間点灯用光源(DRL、Daytime Running Lamps)として使用される場合にも、本実施の形態に係る半導体光源点灯回路2を使用することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、光源制御回路の不参照状態は異常検出信号線12に対するハイインピーダンス状態である場合について説明した。第2の実施の形態では、光源制御回路の不参照状態は、光源制御回路内に設けられた異常検出信号線と接地との間の抵抗がバイパスされていない状態である。
【0045】
図2は、第2の実施の形態に係る半導体光源点灯回路4の構成を示す回路図である。半導体光源点灯回路4は第3光源制御回路300と第4光源制御回路400とを備える。第3光源制御回路300、第4光源制御回路400はそれぞれ、車載バッテリ(不図示)からバッテリ電圧Vbat受け、第1LED102、第2LED202に電力を供給する。
【0046】
第3光源制御回路300および第4光源制御回路400はいずれもひとつの異常検出信号線16と接続される。異常検出信号線16はエンジンコントロールユニット14と接続される。異常検出信号線16はエンジンコントロールユニット14の内部でプルアップ抵抗18を介して電源電圧端子と接続されている。エンジンコントロールユニット14は、
(1)異常検出信号線16の電位がローレベル以外である場合は第1LED102、第2LED202共に正常な点灯状態にあると判定し、
(2)異常検出信号線16の電位がローレベルとなっている場合は、第1LED102および第2LED202のうちの少なくともひとつに異常が発生していると判定する。
【0047】
第3光源制御回路300は、第3異常検出回路304と、第1DC/DCコンバータ106と、第1制御IC108と、第3異常出力回路312と、を含む。
第3異常検出回路304は、分圧回路116と、第1抵抗118と、第1スイッチング素子120と、第2抵抗122と、第3抵抗124と、第4抵抗126と、第1演算増幅器128と、第2スイッチング素子130と、を有する。第2スイッチング素子130のコレクタから第7信号S7が出力される。第7信号S7は、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合または第1スイッチング素子120がオフされた場合にハイレベルとなり、そのいずれでもない場合にローレベルとなる。
【0048】
第3異常出力回路312は、第4キャパシタ314と、第3ダイオード316と、第9抵抗318と、第5スイッチング素子320と、第6スイッチング素子322と、を有する。第4キャパシタ314の一端は接地され、他端は第3異常出力端子324および第3ダイオード316のアノードと接続される。第3ダイオード316のカソードは第9抵抗318の一端と接続される。第5スイッチング素子320はn型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、そのドレインは第9抵抗318の他端と接続され、そのソースは接地される。第5スイッチング素子320のゲートは第1バッテリ端子170と接続される。第6スイッチング素子322はnpn型バイポーラトランジスタであり、そのコレクタは第3ダイオード316のカソードと接続され、そのエミッタは接地される。第6スイッチング素子322のベースには第7信号S7が入力される。
【0049】
第1バッテリ端子170にバッテリ電圧Vbatが印加されると、第5スイッチング素子320はオンされ、第9抵抗318の他端は接地される。第7信号S7がローレベルのとき、第6スイッチング素子322はオフされ、第3異常出力端子324は第9抵抗318を介して接地と接続される。第7信号S7がハイレベルのとき、第6スイッチング素子322はオンされ、第3異常出力端子324は接地される。すなわち、第9抵抗318はバイパスされる。
【0050】
第4光源制御回路400は、第4異常検出回路404と、第2DC/DCコンバータ206と、第2制御IC208と、第4異常出力回路412と、を含む。第4異常検出回路404は第3異常検出回路304と、第4異常出力回路412は第3異常出力回路312と、それぞれ対応する。
第3異常出力端子324と第4異常出力端子424とが結線され異常検出信号線16を形成する。
【0051】
電源電圧をVccと表記し、プルアップ抵抗18、第9抵抗318、第9抵抗318に対応する第4異常出力回路412内の第10抵抗418、の各抵抗値を全て等しいとしてRと表記する。第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1内にあり、かつ、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2内にある場合、異常検出信号線16の電位は、第9抵抗318と第10抵抗418との並列接続による合成抵抗とプルアップ抵抗18とで電源電圧Vccを分圧した分圧電圧(Vcc/3)となる。第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合、または、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2から外れた場合、異常検出信号線16の電位はローレベルに実質的に固定される。
【0052】
本実施の形態に係る半導体光源点灯回路4によると、LED102、202の異常を1本の異常検出信号線16でエンジンコントロールユニット14に知らせることができる点および第3光源制御回路300と第4光源制御回路400とを同様に構成できる点で、第1の実施の形態に係る半導体光源点灯回路2と同様の作用効果を得ることができる。加えて、本実施の形態に係る半導体光源点灯回路4では、異常検出信号線16自身が断線した場合、電源電圧の分圧比が変わって異常検出信号線16の電位が変化する。したがって、エンジンコントロールユニット14はそのような分圧電圧の変化を検出することにより、異常検出信号線16自身の断線を検出することができる。
【0053】
以上、実施の形態に係る半導体光源点灯回路について説明した。これらの実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
第1および第2の実施の形態では、電気的パラメータとしてLEDのアノードに印加される電圧が採用される場合について説明したが、電気的パラメータはこれに限られず、LEDを流れる駆動電流などの他のパラメータであってもよい。
【0055】
第1の実施の形態では、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合であって第2光源制御回路200が異常検出信号線12において不参照状態となっている場合は、異常検出信号線12の電位はハイレベルに実質的に固定され、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2から外れた場合であって第1光源制御回路100が異常検出信号線12に矩形波信号を生成する状態にある場合は、異常検出信号線12の電位はローレベルに実質的に固定される場合について説明したが、これに限られず、例えば、第1出力電圧V1が第1通常動作範囲ΔV1から外れた場合であって第2光源制御回路200が異常検出信号線12において不参照状態となっている場合と、第2出力電圧V2が第2通常動作範囲ΔV2から外れた場合であって第1光源制御回路100が異常検出信号線12に矩形波信号を生成する状態にある場合と、で異常検出信号線12の電位が異なっていればよい。この場合でも、エンジンコントロールユニット10は、異常検出信号線12の電位によってどのLEDに異常が発生しているかを判定することができる。
【0056】
第1および第2の実施の形態では異常検出信号線で2つの光源制御回路を直接結線する場合について説明したが、これに限られず、例えば論理回路を使用してもよい。
図3は、変形例に係る半導体光源点灯回路6の構成を示す回路図である。半導体光源点灯回路6は第5光源制御回路500と第6光源制御回路600とORゲート20とを備える。第5光源制御回路500の第5異常出力端子574は、第5光源制御回路500が電力を供給する第3LED502の点灯状態が正常と判定される場合、矩形波信号を出力し、そうでない場合、電位がハイレベルに実質的に固定される。第6光源制御回路600の第6異常出力端子674は、第6光源制御回路600が電力を供給する第4LED602の点灯状態が正常と判定される場合、電位がローレベルに実質的に固定され、そうでない場合、電位がハイレベルに実質的に固定される。ORゲート20の一方の入力端子は第5異常出力端子574と、他方の入力端子は第6異常出力端子674と、それぞれ接続される。ORゲート20の出力端子はエンジンコントロールユニット22と接続される。ORゲート20の出力端子に現れる信号は、第3LED502の点灯状態が正常と判定され、かつ、第4LED602の点灯状態が正常と判定される場合、矩形波信号となり、それ以外の場合、ハイレベルに実質的に固定される。エンジンコントロールユニット22は、ORゲート20の出力端子から受け取る信号が矩形波信号かそうでないかを判定することにより、LEDの異常の有無を判定できる。
【符号の説明】
【0057】
2 半導体光源点灯回路、 10 エンジンコントロールユニット、 12 異常検出信号線、 100 第1光源制御回路、 200 第2光源制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源に電力を供給する第1光源制御回路と、
第2光源に電力を供給する第2光源制御回路と、を備え、
前記第1光源制御回路は、前記第1光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが所定の第1通常動作範囲内にある場合、正常であることを示す正常信号を検出信号線に生成し、
前記第2光源制御回路は、前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが所定の第2通常動作範囲内にある場合、前記検出信号線において不参照状態となり、前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第2通常動作範囲から外れた場合、正常信号をマスクするよう動作し、
前記検出信号線は制御装置と接続され、その制御装置は前記検出信号線から正常信号を受ける場合前記第1光源制御回路および前記第2光源制御回路を通常動作させ、そうでない場合所定の異常対応処理を行うことを特徴とする半導体光源点灯回路。
【請求項2】
前記第1光源制御回路は、前記第1光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第1通常動作範囲から外れた場合であって前記第2光源制御回路が前記検出信号線において不参照状態となっている場合は、正常信号とは異なる異常信号を前記検出信号線に生成することを特徴とする請求項1に記載の半導体光源点灯回路。
【請求項3】
異常信号の電位は実質的に固定され、
前記第2光源制御回路は、前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第2通常動作範囲から外れた場合であって前記第1光源制御回路が前記検出信号線に正常信号を生成する状態にある場合は、前記検出信号線の電位を異常信号の電位とは異なる電位に実質的に固定するよう動作することを特徴とする請求項2に記載の半導体光源点灯回路。
【請求項4】
前記第1光源制御回路は、
前記第1光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第1通常動作範囲内にある場合、正常信号を出力する第1接続端子と、
前記第1光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第1通常動作範囲から外れた場合、電位が実質的に固定される第2接続端子と、を含み、
前記第2光源制御回路は、
前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第2通常動作範囲内にある場合、正常信号を出力する第3接続端子と、
前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第2通常動作範囲から外れた場合、電位が実質的に固定される第4接続端子と、を含み、
前記第1接続端子と前記第4接続端子とが結線され前記検出信号線を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体光源点灯回路。
【請求項5】
正常信号は電位が時間的に変化する信号であり、
前記第2光源制御回路の不参照状態は、前記検出信号線に対するハイインピーダンス状態であり、
前記第2光源制御回路は、前記第2光源に供給される電力に関する電気的なパラメータが前記第2通常動作範囲から外れた場合、前記検出信号線の電位を実質的に固定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体光源点灯回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109939(P2013−109939A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253600(P2011−253600)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】