半導体素子収納用パッケージの製造方法
【課題】絶縁板下面の電源導体と絶縁板上面のボンディングパッドとを、絶縁板の貫通穴内壁の接続導体により確実に接続することが可能な半導体素子収納用パッケージを提供すること。
【解決手段】配線導体10に対応する部分の無電解銅めっき層23を露出させる上面側のめっきレジスト24Rおよび電源導体11に対応する部分の無電解銅めっき層23を露出させる下面側のめっきレジスト25Rを形成した後、露出した無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層26および電解錫めっき層27を被着させ、次に貫通穴4aの内壁を上面から下面にかけて切削して切り欠きCを設け、それによりボンディングパッド9と電源導体11とを接続する接続導体12を左右に分断する。
【解決手段】配線導体10に対応する部分の無電解銅めっき層23を露出させる上面側のめっきレジスト24Rおよび電源導体11に対応する部分の無電解銅めっき層23を露出させる下面側のめっきレジスト25Rを形成した後、露出した無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層26および電解錫めっき層27を被着させ、次に貫通穴4aの内壁を上面から下面にかけて切削して切り欠きCを設け、それによりボンディングパッド9と電源導体11とを接続する接続導体12を左右に分断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に断面図で示すように、MPU等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージ20は、例えば中央部に半導体素子Sを収容するための空所1aを有する配線基板1と、この配線基板1の下面に空所1aの下面側を塞ぐように接合層2を介して接合されており、上面中央部に半導体素子Sが搭載される搭載部3aを有する銅等の金属材料から成る放熱板3とから主に構成されている。
【0003】
この半導体素子収納用パッケージ20においては、配線基板1は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る2枚の絶縁板4・5を同じくガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る接着層6を介して積層して成り、その上下面には保護用の絶縁樹脂層7・8が被着されている。
【0004】
絶縁板4は、その中央部に空所1aの一部を形成する貫通穴4aが形成されており、その上面における貫通穴4a周辺から外周部にかけては、半導体素子Sの各電極が電気的に接続される複数のボンディングパッド9を含む複数の配線導体10が被着されている。さらにその下面の略全面には半導体素子Sに接地電位を含む電源電位を供給するための複数の電源導体11が被着されており、貫通穴4aの内壁にはボンディングパッド9の一部と電源導体11とを接続する複数の接続導体12が被着されている。
【0005】
なお、これらの接続導体12は、図2に斜視図で示すように、貫通穴4a内壁に被着されためっき導体層を貫通穴4aの内壁とともに機械的な研削により部分的に除去して形成した切り欠きCにより左右に分断することで複数が形成されている。このように切り欠きCで分断された幅広のパターンで接続導体12を形成することにより各電源導体11とこれに対応するボンディングパッド9とを低いインダクタンスで接続している。
【0006】
他方、絶縁板5には、その中央部に貫通穴4aよりも大きな貫通穴5aが形成されているとともに上面に外部接続パッド13が被着されている。そして、これらの絶縁板4と5との積層体の外周部には、複数の貫通孔14が設けられており、貫通孔14の内壁には配線導体10や電源導体11と外部接続パッド13とを電気的に接続する貫通導体15が被着されている。
【0007】
そして、この半導体素子収納用パッケージ20によれば、放熱板3の搭載部3aに半導体素子Sを搭載するとともにこの半導体素子Sの各電極をボンディングパッド9にボンディングワイヤ16等の電気的接続手段を介して電気的に接続し、しかる後、外部接続パッド13に半田ボール等から成る外部接続部材17を接合するとともに空所1a内へ図示しない封止用樹脂をポッティングして半導体素子Sを気密に封止することにより製品としての半導体装置となる。
【0008】
従来、このような半導体素子収納用パッケージ20の絶縁板4において、その上下面および貫通穴4aの内壁に配線導体10や電源導体11や接続導体12を形成するには、まず、図15に部分断面要部斜視図で示すように、絶縁板4の上下面に銅箔32が被着された両面銅張り板31を準備するとともに、この両面銅張り板31に貫通穴4aを形成する。
【0009】
次に図16に示すように、上下の銅箔32の表面および貫通穴4a内壁の全面に無電解銅めっき層33を被着させる。
【0010】
次に図17に示すように、貫通孔4aの内壁をルーター加工により上面視で略半円状に研削して切り欠きCを形成し貫通孔4a内壁の無電解銅めっき層33を左右に分断する。
【0011】
次に図18に示すように、上下の銅箔32に被着させた無電解銅めっき層33上にめっきレジスト用の感光性のドライフィルムレジスト34・35を貫通穴4aを塞ぐようにして貼着する。
【0012】
次に図19に示すように、上面側のドライフィルムレジスト34を上面側から露光することによりドライフィルムレジスト34の無電解銅めっき層33上における配線導体10に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト34における白抜き部分)を感光させる。このとき、ドライフィルムレジスト34の感光部分が開口部4a内に50〜100μm程度突出するように露光する。
【0013】
次に図20に示すように、下面側のドライフィルムレジスト35を下面側から露光することによりドライフィルムレジスト35の無電解銅めっき層33上における電源導体11に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト35における白抜き部分)を感光させる。このとき、ドライフィルムレジスト35の感光部分が切り欠きC内に50〜100μm程度突出するように露光する。
【0014】
次に図21に示すように、ドライフィルムレジスト34・35を現像して未感光部を除去する。これにより、残ったドライフィルムレジスト34・35によりめっきレジスト34R・35Rが形成される。
【0015】
次に図22に示すように、めっきレジスト34R・35Rから露出する無電解銅めっき層33上に電解銅めっき層36を被着させる。
【0016】
次に図23に示すように、めっきレジスト34R・35Rから露出する電解銅めっき層36上に電解錫めっき層37を被着させる。
【0017】
次に図24に示すように、めっきレジスト34R・35Rを除去する。これによりめっきレジスト34R・35Rで覆われていた無電解銅めっき層33が露出する。
【0018】
次に図25に示すように、電解錫めっき層37をエッチングマスクとして使用することにより、電解錫めっき層37から露出する無電解銅めっき層33およびその下の銅箔32をエッチング除去する。
【0019】
最後に図26に示すように、電解錫めっき層37をエッチング除去することにより、絶縁板4の上下面および貫通穴4aの内壁にボンディングパッド9を含む配線導体10や電源導体11や接続導体12が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−261181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述した従来の方法によると、図19に示すように、上面側のドライフィルムレジスト34を上面側から露光することによりボンディングパッド9を含む配線導体10に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト34における白抜き部分)を感光させる際に、上面側からの光が感光部分を介して下面側のドライフィルムレジスト35に漏れて、切り欠きCを含む貫通穴4aの縁部近傍のドライフィルムレジスト35を弱く感光させてしまう。このように上面側からの露光の際に、下面側のドライフィルムレジスト35における貫通穴4aの縁部近傍が弱く感光されてしまうと、図20に示すように、下面側のドライフィルムレジスト35を下面側から露光することにより電源導体11に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト35における白抜き部分)を感光させる際に、この感光させる部分が切り欠きC内に50〜100μm突出していることから、この突出している部分と切り欠きCの縁部近傍の弱く感光された部分とが重畳して互いに結合してしまう。そして、図21に示すように、ドライフィルムレジスト34・35を現像して未感光部を除去すると、切り欠きCの下端縁近傍の弱く感光したドライフィルムレジスト35の一部がめっきレジスト35Rの切り欠きC内に突出した部分と結合した状態で細いひげ状の残渣Rとして除去されずに残ってしまうことがある。このようにめっきレジスト35Rの切り欠きC内に突出した部分と結合したひげ状のドライフィルムレジスト35の残渣Rが残ると、この残渣Rがその後の電解銅めっき層36の被着の際に電解銅めっき層36の正常な被着を妨げ、電源導体11や接続導体12に欠けや断線を引き起こしてしまい、その結果、電源導体11とボンディングパッド9とを接続導体12を介して正常に接続することができないことがあるという問題点を有していた。
【0022】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その課題は、絶縁板下面の電源導体や絶縁板の貫通穴内壁の接続導体に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板下面の電源導体と絶縁板上面のボンディングパッドとを、絶縁板の貫通穴内壁の接続導体により確実に接続することが可能な半導体素子収納用パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法は、半導体素子を収容するための空所となる貫通穴を有し、上面に複数のボンディングパッドを含む配線導体を有するとともに下面に複数の電源導体を有し、且つ前記貫通穴内壁に前記ボンディングパッドと前記電源導体とを接続する複数の接続導体を有する絶縁板を具備する半導体素子収納用パッケージの製造方法であって、前記貫通穴を有し、上下面に銅箔が被着された前記絶縁板を準備する工程と、上面側および下面側の前記銅箔の表面および前記貫通穴内壁に無電解銅めっき層を被着させる工程と、上面側および下面側の前記無電解銅めっき層の上に前記貫通穴を覆う感光性のドライフィルムレジストを積層する工程と、上面側の前記ドライフィルムレジストを上面側から露光し、該上面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記配線導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴の内側に第1の距離突出する部分を感光させる工程と、下面側の前記ドライフィルムレジストを下面側から露光し、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させる工程と、上面側および下面側の前記ドライフィルムレジストを現像して前記配線導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる上面側のめっきレジストおよび前記電源導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる下面側のめっきレジストを形成する工程と、上面側および下面側の前記めっきレジストから露出した前記無電解銅めっき層上に電解銅めっき層を被着させる工程と、前記電解銅めっき層上に電解錫めっき層を被着させる工程と、前記貫通穴の内壁を前記上面から下面にかけて前記第2の距離以上の深さで切削して切り欠きを設け、前記内壁に被着させた前記無電解銅めっき層およびその上の電解銅めっき層およびその上の電解錫めっき層を前記切り欠きにより左右に分断する工程と、前記電解錫めっき層から露出する前記無電解銅めっき層および前記銅箔をエッチングして前記電解錫めっき層の下に前記銅箔および前記無電解銅めっき層および前記電解銅めっき層より成る前記配線導体および前記電源導体と、前記無電解銅めっき層および電解銅めっき層から成る前記接続導体を形成する工程と、前記電解錫めっき層をエッチング除去する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法によれば、下面側のドライフィルムレジストを露光する際、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させることから、たとえ上面側のドライフィルムレジストを露光する際に、貫通穴の縁部近傍が弱く感光されたとしても、その部分と後から感光されためっきレジストの部分とが重畳して互いに結合することはなく、弱く感光された部分は現像により良好に除去される。したがって、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法によれば、絶縁板下面の電源導体や絶縁板の貫通穴内壁の接続導体に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板下面の電源導体と絶縁板上面のボンディングパッドとを、絶縁板の貫通穴内壁の接続導体により確実に接続することが可能な半導体素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、半導体素子収納用パッケージの一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す半導体素子収納用パッケージの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図4】図4は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図5】図5は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図6】図6は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図7】図7は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図8】図8は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図9】図9は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図10】図10は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図11】図11は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図12】図12は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図13】図13は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図14】図14は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図15】図15は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図16】図16は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図17】図17は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図18】図18は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図19】図19は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図20】図20は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図21】図21は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図22】図22は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図23】図23は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図24】図24は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図25】図25は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図26】図26は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態について、図1および図2に示した半導体素子収納用パッケージの絶縁板4において、その上下面および貫通穴4aの内壁にボンディングパッド9を含む配線導体10や電源導体11や接続導体12を形成する場合を例にとって説明する。
【0027】
まず、図3に部分断面要部斜視図で示すように、絶縁板4の上下面に銅箔22が被着された両面銅張り板21を準備するとともに、この両面銅張り板21に貫通穴4aを形成する。このような両面銅張り板21は、例えばガラスクロスに未硬化のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてなるシートに銅箔22を貼着するとともに、これを熱硬化させることによって形成され、貫通穴4aは、硬化した両面銅張り板21に切削加工を施すことにより形成される。絶縁板4の厚みは100〜1000μm程度であり、銅箔22の厚みは3〜30μm程度である。
【0028】
次に図4に示すように、上下の銅箔22の表面および貫通穴4a内壁の全面に無電解銅めっき層23を被着させる。無電解銅めっき層23は、厚みは0.1〜2.5μm程度であり、銅箔22の表面および貫通穴4a内壁に例えば塩化アンモニウム系酢酸パラジウムを含有するパラジウム活性液を使用してパラジウム触媒を付着させるとともに、その上に硫酸銅系の無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっきを施すことにより形成される。
【0029】
次に図5に示すように、上下の銅箔22の表面に被着させた無電解銅めっき層23上にめっきレジスト層用の感光性のドライフィルムレジスト24・25を貫通穴4aを塞ぐようにして貼着する。ドライフィルムレジスト24・25の厚みは20〜40μm程度である。
【0030】
次に図6に示すように、上面側のドライフィルムレジスト24を上面側から露光することによりドライフィルムレジスト24の無電解銅めっき層23上における配線導体10に対応する以外の部分および該部分から貫通穴4a内に50〜100μm突出する部分(ドライフィルムレジスト24における白抜き部分)を感光させる。このとき、感光部分における貫通孔4a内にはみ出した部分から露光の光が漏れて、貫通穴4aの縁部近傍の下面側のドライフィルムレジスト25を弱く感光させてしまう。なお、感光部分を貫通穴4aの内に50〜100μm突出させるのは、後述するように、この感光部分を現像処理により上面側のめっきレジスト層として残す場合に、そのめっきレジスト層により上面側の無電解銅めっき層23の所定部分を開口4aの縁まで確実に覆うためである。
【0031】
次に図7に示すように、下面側のドライフィルムレジスト25を下面側から露光することによりドライフィルムレジスト25の無電解銅めっき層23上における電源導体11に対応する以外の部分および該部分から貫通穴4aまでの間で貫通穴4aから50〜100μm引っ込んだ部分(ドライフィルムレジスト25における白抜き部分)を感光させる。このとき、下面側のドライフィルムレジスト25の感光部分は貫通孔4aから50〜100μm引っ込んでいるので、上面側からの露光の際にドライフィルムレジスト25における貫通穴4aの縁部近傍の弱く感光された部分と下面側からの感光部分とが重畳して結合することはない。
【0032】
次に図8に示すように、ドライフィルムレジスト24・25を現像して未感光部を除去する。これにより、残ったドライフィルムレジスト24・25によりめっきレジスト24R・25Rが形成される。このとき、上述したように、ドライフィルムレジスト25において上面側からの露光の際に弱く感光された部分と下面側からの露光により感光された部分とは結合せずに互いに独立した状態となっているので、上面側からの露光の際に弱く感光された部分は、現像により無電解銅めっき層23から良好に剥離除去されてひげ状の残渣として残ることがない。
【0033】
次に図9に示すように、ドライフィルムレジスト24・25から露出する無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層26を被着させる。電解銅めっき層26の厚みは5〜20μm程度である。このとき、めっきレジスト24・25にはひげ状の残渣がないことから、めっきレジスト24・25から露出する無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層を欠けや断線を発生させることなく良好に被着させることができる。
【0034】
次に図10に示すように、めっきレジスト24R・25Rから露出する電解銅めっき層26上に電解錫めっき層27を被着させる。電解錫めっき層27の厚みは1〜5μm程度である。
【0035】
次に図11に示すように、貫通孔4aの内壁をルーター加工により上面視で略半円状に研削して切り欠きCを形成し、貫通孔4a内壁の無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26および電解錫めっき層27を左右に分断する。このとき、切り欠きCの深さは下面側のめっきレジスト25Rに達するのに十分な100〜300μm程度とする。これにより、下面側の無電解銅めっき層23上に被着された電解銅めっき層26および電解錫めっき層27がめっきレジスト層25Rを境に左右に分断される。
【0036】
次に図12に示すように、めっきレジスト24R・25Rを除去する。これによりめっきレジスト24R・25Rで覆われていた無電解銅めっき層23が露出する。
【0037】
次に図13に示すように、電解錫めっき層27をエッチングマスクとして使用することにより、電解錫めっき層27から露出する無電解銅めっき層23および銅箔22をエッチング除去する。これにより、電解錫めっき層27の下に銅箔22および無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26から成る配線導体10および電源導体11と、無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26から成る接続導体12が形成される。
【0038】
最後に図14に示すように、電解錫めっき層27をエッチング除去することにより、絶縁板4の上下面および貫通穴4a内壁に配線導体10および電源導体11および接続導体12を露出させる。このとき配線導体10および電源導体11および接続導体12を形成する電解銅めっき層26は、ドライフィルムレジストの残渣の影響を受けることなく良好に被着されていることから、電源導体11および接続導体12に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板4下面の電源導体11と絶縁板4上面のボンディングパッド9とを、絶縁板4の貫通穴4a内壁の接続導体12により確実に接続することができる。
【符号の説明】
【0039】
4 絶縁板
4a 貫通穴
9 ボンディングパッド
10 配線導体
11 電源導体
12 接続導体
22 銅箔
23 無電解銅めっき層
24,25 ドライフィルムレジスト
24R,25R めっきレジスト
26 電解銅めっき層
27 電解錫めっき層
C 切り欠き
S 半導体素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に断面図で示すように、MPU等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージ20は、例えば中央部に半導体素子Sを収容するための空所1aを有する配線基板1と、この配線基板1の下面に空所1aの下面側を塞ぐように接合層2を介して接合されており、上面中央部に半導体素子Sが搭載される搭載部3aを有する銅等の金属材料から成る放熱板3とから主に構成されている。
【0003】
この半導体素子収納用パッケージ20においては、配線基板1は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る2枚の絶縁板4・5を同じくガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成る接着層6を介して積層して成り、その上下面には保護用の絶縁樹脂層7・8が被着されている。
【0004】
絶縁板4は、その中央部に空所1aの一部を形成する貫通穴4aが形成されており、その上面における貫通穴4a周辺から外周部にかけては、半導体素子Sの各電極が電気的に接続される複数のボンディングパッド9を含む複数の配線導体10が被着されている。さらにその下面の略全面には半導体素子Sに接地電位を含む電源電位を供給するための複数の電源導体11が被着されており、貫通穴4aの内壁にはボンディングパッド9の一部と電源導体11とを接続する複数の接続導体12が被着されている。
【0005】
なお、これらの接続導体12は、図2に斜視図で示すように、貫通穴4a内壁に被着されためっき導体層を貫通穴4aの内壁とともに機械的な研削により部分的に除去して形成した切り欠きCにより左右に分断することで複数が形成されている。このように切り欠きCで分断された幅広のパターンで接続導体12を形成することにより各電源導体11とこれに対応するボンディングパッド9とを低いインダクタンスで接続している。
【0006】
他方、絶縁板5には、その中央部に貫通穴4aよりも大きな貫通穴5aが形成されているとともに上面に外部接続パッド13が被着されている。そして、これらの絶縁板4と5との積層体の外周部には、複数の貫通孔14が設けられており、貫通孔14の内壁には配線導体10や電源導体11と外部接続パッド13とを電気的に接続する貫通導体15が被着されている。
【0007】
そして、この半導体素子収納用パッケージ20によれば、放熱板3の搭載部3aに半導体素子Sを搭載するとともにこの半導体素子Sの各電極をボンディングパッド9にボンディングワイヤ16等の電気的接続手段を介して電気的に接続し、しかる後、外部接続パッド13に半田ボール等から成る外部接続部材17を接合するとともに空所1a内へ図示しない封止用樹脂をポッティングして半導体素子Sを気密に封止することにより製品としての半導体装置となる。
【0008】
従来、このような半導体素子収納用パッケージ20の絶縁板4において、その上下面および貫通穴4aの内壁に配線導体10や電源導体11や接続導体12を形成するには、まず、図15に部分断面要部斜視図で示すように、絶縁板4の上下面に銅箔32が被着された両面銅張り板31を準備するとともに、この両面銅張り板31に貫通穴4aを形成する。
【0009】
次に図16に示すように、上下の銅箔32の表面および貫通穴4a内壁の全面に無電解銅めっき層33を被着させる。
【0010】
次に図17に示すように、貫通孔4aの内壁をルーター加工により上面視で略半円状に研削して切り欠きCを形成し貫通孔4a内壁の無電解銅めっき層33を左右に分断する。
【0011】
次に図18に示すように、上下の銅箔32に被着させた無電解銅めっき層33上にめっきレジスト用の感光性のドライフィルムレジスト34・35を貫通穴4aを塞ぐようにして貼着する。
【0012】
次に図19に示すように、上面側のドライフィルムレジスト34を上面側から露光することによりドライフィルムレジスト34の無電解銅めっき層33上における配線導体10に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト34における白抜き部分)を感光させる。このとき、ドライフィルムレジスト34の感光部分が開口部4a内に50〜100μm程度突出するように露光する。
【0013】
次に図20に示すように、下面側のドライフィルムレジスト35を下面側から露光することによりドライフィルムレジスト35の無電解銅めっき層33上における電源導体11に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト35における白抜き部分)を感光させる。このとき、ドライフィルムレジスト35の感光部分が切り欠きC内に50〜100μm程度突出するように露光する。
【0014】
次に図21に示すように、ドライフィルムレジスト34・35を現像して未感光部を除去する。これにより、残ったドライフィルムレジスト34・35によりめっきレジスト34R・35Rが形成される。
【0015】
次に図22に示すように、めっきレジスト34R・35Rから露出する無電解銅めっき層33上に電解銅めっき層36を被着させる。
【0016】
次に図23に示すように、めっきレジスト34R・35Rから露出する電解銅めっき層36上に電解錫めっき層37を被着させる。
【0017】
次に図24に示すように、めっきレジスト34R・35Rを除去する。これによりめっきレジスト34R・35Rで覆われていた無電解銅めっき層33が露出する。
【0018】
次に図25に示すように、電解錫めっき層37をエッチングマスクとして使用することにより、電解錫めっき層37から露出する無電解銅めっき層33およびその下の銅箔32をエッチング除去する。
【0019】
最後に図26に示すように、電解錫めっき層37をエッチング除去することにより、絶縁板4の上下面および貫通穴4aの内壁にボンディングパッド9を含む配線導体10や電源導体11や接続導体12が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−261181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述した従来の方法によると、図19に示すように、上面側のドライフィルムレジスト34を上面側から露光することによりボンディングパッド9を含む配線導体10に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト34における白抜き部分)を感光させる際に、上面側からの光が感光部分を介して下面側のドライフィルムレジスト35に漏れて、切り欠きCを含む貫通穴4aの縁部近傍のドライフィルムレジスト35を弱く感光させてしまう。このように上面側からの露光の際に、下面側のドライフィルムレジスト35における貫通穴4aの縁部近傍が弱く感光されてしまうと、図20に示すように、下面側のドライフィルムレジスト35を下面側から露光することにより電源導体11に対応する以外の部分(ドライフィルムレジスト35における白抜き部分)を感光させる際に、この感光させる部分が切り欠きC内に50〜100μm突出していることから、この突出している部分と切り欠きCの縁部近傍の弱く感光された部分とが重畳して互いに結合してしまう。そして、図21に示すように、ドライフィルムレジスト34・35を現像して未感光部を除去すると、切り欠きCの下端縁近傍の弱く感光したドライフィルムレジスト35の一部がめっきレジスト35Rの切り欠きC内に突出した部分と結合した状態で細いひげ状の残渣Rとして除去されずに残ってしまうことがある。このようにめっきレジスト35Rの切り欠きC内に突出した部分と結合したひげ状のドライフィルムレジスト35の残渣Rが残ると、この残渣Rがその後の電解銅めっき層36の被着の際に電解銅めっき層36の正常な被着を妨げ、電源導体11や接続導体12に欠けや断線を引き起こしてしまい、その結果、電源導体11とボンディングパッド9とを接続導体12を介して正常に接続することができないことがあるという問題点を有していた。
【0022】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その課題は、絶縁板下面の電源導体や絶縁板の貫通穴内壁の接続導体に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板下面の電源導体と絶縁板上面のボンディングパッドとを、絶縁板の貫通穴内壁の接続導体により確実に接続することが可能な半導体素子収納用パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法は、半導体素子を収容するための空所となる貫通穴を有し、上面に複数のボンディングパッドを含む配線導体を有するとともに下面に複数の電源導体を有し、且つ前記貫通穴内壁に前記ボンディングパッドと前記電源導体とを接続する複数の接続導体を有する絶縁板を具備する半導体素子収納用パッケージの製造方法であって、前記貫通穴を有し、上下面に銅箔が被着された前記絶縁板を準備する工程と、上面側および下面側の前記銅箔の表面および前記貫通穴内壁に無電解銅めっき層を被着させる工程と、上面側および下面側の前記無電解銅めっき層の上に前記貫通穴を覆う感光性のドライフィルムレジストを積層する工程と、上面側の前記ドライフィルムレジストを上面側から露光し、該上面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記配線導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴の内側に第1の距離突出する部分を感光させる工程と、下面側の前記ドライフィルムレジストを下面側から露光し、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させる工程と、上面側および下面側の前記ドライフィルムレジストを現像して前記配線導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる上面側のめっきレジストおよび前記電源導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる下面側のめっきレジストを形成する工程と、上面側および下面側の前記めっきレジストから露出した前記無電解銅めっき層上に電解銅めっき層を被着させる工程と、前記電解銅めっき層上に電解錫めっき層を被着させる工程と、前記貫通穴の内壁を前記上面から下面にかけて前記第2の距離以上の深さで切削して切り欠きを設け、前記内壁に被着させた前記無電解銅めっき層およびその上の電解銅めっき層およびその上の電解錫めっき層を前記切り欠きにより左右に分断する工程と、前記電解錫めっき層から露出する前記無電解銅めっき層および前記銅箔をエッチングして前記電解錫めっき層の下に前記銅箔および前記無電解銅めっき層および前記電解銅めっき層より成る前記配線導体および前記電源導体と、前記無電解銅めっき層および電解銅めっき層から成る前記接続導体を形成する工程と、前記電解錫めっき層をエッチング除去する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法によれば、下面側のドライフィルムレジストを露光する際、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させることから、たとえ上面側のドライフィルムレジストを露光する際に、貫通穴の縁部近傍が弱く感光されたとしても、その部分と後から感光されためっきレジストの部分とが重畳して互いに結合することはなく、弱く感光された部分は現像により良好に除去される。したがって、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法によれば、絶縁板下面の電源導体や絶縁板の貫通穴内壁の接続導体に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板下面の電源導体と絶縁板上面のボンディングパッドとを、絶縁板の貫通穴内壁の接続導体により確実に接続することが可能な半導体素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、半導体素子収納用パッケージの一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す半導体素子収納用パッケージの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図4】図4は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図5】図5は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図6】図6は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図7】図7は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図8】図8は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図9】図9は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図10】図10は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図11】図11は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図12】図12は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図13】図13は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図14】図14は、本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態の一例を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図15】図15は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図16】図16は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図17】図17は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図18】図18は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図19】図19は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図20】図20は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図21】図21は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図22】図22は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図23】図23は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図24】図24は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図25】図25は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【図26】図26は、従来の半導体素子収納用パッケージの製造方法を説明するための部分断面要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の半導体素子収納用パッケージの製造方法の実施形態について、図1および図2に示した半導体素子収納用パッケージの絶縁板4において、その上下面および貫通穴4aの内壁にボンディングパッド9を含む配線導体10や電源導体11や接続導体12を形成する場合を例にとって説明する。
【0027】
まず、図3に部分断面要部斜視図で示すように、絶縁板4の上下面に銅箔22が被着された両面銅張り板21を準備するとともに、この両面銅張り板21に貫通穴4aを形成する。このような両面銅張り板21は、例えばガラスクロスに未硬化のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させてなるシートに銅箔22を貼着するとともに、これを熱硬化させることによって形成され、貫通穴4aは、硬化した両面銅張り板21に切削加工を施すことにより形成される。絶縁板4の厚みは100〜1000μm程度であり、銅箔22の厚みは3〜30μm程度である。
【0028】
次に図4に示すように、上下の銅箔22の表面および貫通穴4a内壁の全面に無電解銅めっき層23を被着させる。無電解銅めっき層23は、厚みは0.1〜2.5μm程度であり、銅箔22の表面および貫通穴4a内壁に例えば塩化アンモニウム系酢酸パラジウムを含有するパラジウム活性液を使用してパラジウム触媒を付着させるとともに、その上に硫酸銅系の無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっきを施すことにより形成される。
【0029】
次に図5に示すように、上下の銅箔22の表面に被着させた無電解銅めっき層23上にめっきレジスト層用の感光性のドライフィルムレジスト24・25を貫通穴4aを塞ぐようにして貼着する。ドライフィルムレジスト24・25の厚みは20〜40μm程度である。
【0030】
次に図6に示すように、上面側のドライフィルムレジスト24を上面側から露光することによりドライフィルムレジスト24の無電解銅めっき層23上における配線導体10に対応する以外の部分および該部分から貫通穴4a内に50〜100μm突出する部分(ドライフィルムレジスト24における白抜き部分)を感光させる。このとき、感光部分における貫通孔4a内にはみ出した部分から露光の光が漏れて、貫通穴4aの縁部近傍の下面側のドライフィルムレジスト25を弱く感光させてしまう。なお、感光部分を貫通穴4aの内に50〜100μm突出させるのは、後述するように、この感光部分を現像処理により上面側のめっきレジスト層として残す場合に、そのめっきレジスト層により上面側の無電解銅めっき層23の所定部分を開口4aの縁まで確実に覆うためである。
【0031】
次に図7に示すように、下面側のドライフィルムレジスト25を下面側から露光することによりドライフィルムレジスト25の無電解銅めっき層23上における電源導体11に対応する以外の部分および該部分から貫通穴4aまでの間で貫通穴4aから50〜100μm引っ込んだ部分(ドライフィルムレジスト25における白抜き部分)を感光させる。このとき、下面側のドライフィルムレジスト25の感光部分は貫通孔4aから50〜100μm引っ込んでいるので、上面側からの露光の際にドライフィルムレジスト25における貫通穴4aの縁部近傍の弱く感光された部分と下面側からの感光部分とが重畳して結合することはない。
【0032】
次に図8に示すように、ドライフィルムレジスト24・25を現像して未感光部を除去する。これにより、残ったドライフィルムレジスト24・25によりめっきレジスト24R・25Rが形成される。このとき、上述したように、ドライフィルムレジスト25において上面側からの露光の際に弱く感光された部分と下面側からの露光により感光された部分とは結合せずに互いに独立した状態となっているので、上面側からの露光の際に弱く感光された部分は、現像により無電解銅めっき層23から良好に剥離除去されてひげ状の残渣として残ることがない。
【0033】
次に図9に示すように、ドライフィルムレジスト24・25から露出する無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層26を被着させる。電解銅めっき層26の厚みは5〜20μm程度である。このとき、めっきレジスト24・25にはひげ状の残渣がないことから、めっきレジスト24・25から露出する無電解銅めっき層23上に電解銅めっき層を欠けや断線を発生させることなく良好に被着させることができる。
【0034】
次に図10に示すように、めっきレジスト24R・25Rから露出する電解銅めっき層26上に電解錫めっき層27を被着させる。電解錫めっき層27の厚みは1〜5μm程度である。
【0035】
次に図11に示すように、貫通孔4aの内壁をルーター加工により上面視で略半円状に研削して切り欠きCを形成し、貫通孔4a内壁の無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26および電解錫めっき層27を左右に分断する。このとき、切り欠きCの深さは下面側のめっきレジスト25Rに達するのに十分な100〜300μm程度とする。これにより、下面側の無電解銅めっき層23上に被着された電解銅めっき層26および電解錫めっき層27がめっきレジスト層25Rを境に左右に分断される。
【0036】
次に図12に示すように、めっきレジスト24R・25Rを除去する。これによりめっきレジスト24R・25Rで覆われていた無電解銅めっき層23が露出する。
【0037】
次に図13に示すように、電解錫めっき層27をエッチングマスクとして使用することにより、電解錫めっき層27から露出する無電解銅めっき層23および銅箔22をエッチング除去する。これにより、電解錫めっき層27の下に銅箔22および無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26から成る配線導体10および電源導体11と、無電解銅めっき層23および電解銅めっき層26から成る接続導体12が形成される。
【0038】
最後に図14に示すように、電解錫めっき層27をエッチング除去することにより、絶縁板4の上下面および貫通穴4a内壁に配線導体10および電源導体11および接続導体12を露出させる。このとき配線導体10および電源導体11および接続導体12を形成する電解銅めっき層26は、ドライフィルムレジストの残渣の影響を受けることなく良好に被着されていることから、電源導体11および接続導体12に欠けや断線が発生することがなく、絶縁板4下面の電源導体11と絶縁板4上面のボンディングパッド9とを、絶縁板4の貫通穴4a内壁の接続導体12により確実に接続することができる。
【符号の説明】
【0039】
4 絶縁板
4a 貫通穴
9 ボンディングパッド
10 配線導体
11 電源導体
12 接続導体
22 銅箔
23 無電解銅めっき層
24,25 ドライフィルムレジスト
24R,25R めっきレジスト
26 電解銅めっき層
27 電解錫めっき層
C 切り欠き
S 半導体素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を収容するための空所となる貫通穴を有し、上面に複数のボンディングパッドを含む配線導体を有するとともに下面に複数の電源導体を有し、且つ前記貫通穴内壁に前記ボンディングパッドと前記電源導体とを接続する複数の接続導体を有する絶縁板を具備する半導体素子収納用パッケージの製造方法であって、前記貫通穴を有し、上下面に銅箔が被着された前記絶縁板を準備する工程と、上面側および下面側の前記銅箔の表面および前記貫通穴内壁に無電解銅めっき層を被着させる工程と、上面側および下面側の前記無電解銅めっき層の上に前記貫通穴を覆う感光性のドライフィルムレジストを積層する工程と、上面側の前記ドライフィルムレジストを上面側から露光し、該上面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記配線導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴の内側に第1の距離突出する部分を感光させる工程と、下面側の前記ドライフィルムレジストを下面側から露光し、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させる工程と、上面側および下面側の前記ドライフィルムレジストを現像して前記配線導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる上面側のめっきレジストおよび前記電源導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる下面側のめっきレジストを形成する工程と、上面側および下面側の前記めっきレジストから露出した前記無電解銅めっき層上に電解銅めっき層を被着させる工程と、前記電解銅めっき層上に電解錫めっき層を被着させる工程と、前記貫通穴の内壁を前記上面から下面にかけて前記第2の距離以上の深さで切削して切り欠きを設け、前記内壁に被着させた前記無電解銅めっき層およびその上の電解銅めっき層およびその上の電解錫めっき層を前記切り欠きにより左右に分断する工程と、前記電解錫めっき層から露出する前記無電解銅めっき層および前記銅箔をエッチングして前記電解錫めっき層の下に前記銅箔および前記無電解銅めっき層および前記電解銅めっき層より成る前記配線導体および前記電源導体と、前記無電解銅めっき層および電解銅めっき層から成る前記接続導体を形成する工程と、前記電解錫めっき層をエッチング除去する工程とを行なうことを特徴とする半導体素子収納用パッケージの製造方法。
【請求項1】
半導体素子を収容するための空所となる貫通穴を有し、上面に複数のボンディングパッドを含む配線導体を有するとともに下面に複数の電源導体を有し、且つ前記貫通穴内壁に前記ボンディングパッドと前記電源導体とを接続する複数の接続導体を有する絶縁板を具備する半導体素子収納用パッケージの製造方法であって、前記貫通穴を有し、上下面に銅箔が被着された前記絶縁板を準備する工程と、上面側および下面側の前記銅箔の表面および前記貫通穴内壁に無電解銅めっき層を被着させる工程と、上面側および下面側の前記無電解銅めっき層の上に前記貫通穴を覆う感光性のドライフィルムレジストを積層する工程と、上面側の前記ドライフィルムレジストを上面側から露光し、該上面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記配線導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴の内側に第1の距離突出する部分を感光させる工程と、下面側の前記ドライフィルムレジストを下面側から露光し、該下面側のドライフィルムレジストの前記無電解銅めっき層上における前記電源導体に対応する以外の部分および該部分から前記貫通穴までの間で前記貫通穴から第2の距離引っ込んだ部分を感光させる工程と、上面側および下面側の前記ドライフィルムレジストを現像して前記配線導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる上面側のめっきレジストおよび前記電源導体に対応する部分の前記無電解銅めっき層を露出させる下面側のめっきレジストを形成する工程と、上面側および下面側の前記めっきレジストから露出した前記無電解銅めっき層上に電解銅めっき層を被着させる工程と、前記電解銅めっき層上に電解錫めっき層を被着させる工程と、前記貫通穴の内壁を前記上面から下面にかけて前記第2の距離以上の深さで切削して切り欠きを設け、前記内壁に被着させた前記無電解銅めっき層およびその上の電解銅めっき層およびその上の電解錫めっき層を前記切り欠きにより左右に分断する工程と、前記電解錫めっき層から露出する前記無電解銅めっき層および前記銅箔をエッチングして前記電解錫めっき層の下に前記銅箔および前記無電解銅めっき層および前記電解銅めっき層より成る前記配線導体および前記電源導体と、前記無電解銅めっき層および電解銅めっき層から成る前記接続導体を形成する工程と、前記電解錫めっき層をエッチング除去する工程とを行なうことを特徴とする半導体素子収納用パッケージの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−233792(P2011−233792A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104636(P2010−104636)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
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