説明

半導体装置の製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置の製造方法について図3乃至図5を参照して説明する。図3は従来例による透過型光結合装置(以下、単に光結合装置と記す)の斜視図である。図3に示すように、従来の光結合装置は発光素子1及び該発光素子1からの光を受光する受光素子2を互いに対抗するようにハウジング3に収納している。
【0003】図4は従来例による光結合装置のハウジング部の斜視図である。図4に示すように、ハウジング3の表面には光結合装置の機種名、社名、製造ロット番号、デートコード等のコード4を印字している。
【0004】図5は他の従来例による光結合装置のハウジング部の斜視図である。この場合は、コード4をハウジング3の側面に印字している。
【0005】このコード4の印字方法は、従来以下の2通りの方法によって行なっていた。
1.ハウジング3の成形金型に予め、コード4を印字するための成形金型彫刻による凹凸文字を形成しておくことによって、ハウジング3の成形時に前記凹凸文字をハウジング3表面に刻み込む。
【0006】2.ハウジング3の成形後に、ハウジング3に対してゴム印、レーザーマーカー、インクジェットマーカー、ホットスタンプ等によって印刷を行なう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の金型彫刻にて凹凸文字をハウジング3に刻み方法は、機種及びデートコードを変更する場合、新たに金型彫刻部を造り金型組み替えを行う必要が有り、金型彫刻部作成費用が必要となる上、金型組み替えにもかなりの時間を要する為、同一成形金型での少量、多品種生産には向かないという問題点があった。
【0008】また、成形後の加工による印刷方法は、後工程による加工費と印刷設備が必要となり、コストが高くなるという問題点があった。
【0009】そこで本発明の目的は、印字が容易で、且つコード変更の際に金型組み換え等の手間を要さず同一成形金型による少量、多品種生産対応の可能な半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明は、樹脂注入口を備えた固定金型と、該固定金型に対応する可動金型を嵌合後、前述固定金型に樹脂を注入、成形する半導体装置の製造方法において、前記固定金型及び前記可動金型間に、前記固定金型側に文字、記号等を印刷したフィルムを介挿し、前記固定金型への樹脂注入、成形時の樹脂熱によって前記文字、記号等を前記成形時の樹脂表面に熱転写することを特徴とする。
【0011】
【作用】樹脂注入口を備えた固定金型と、該固定金型に対応する可動金型を嵌合後、前記固定金型に樹脂を注入、成形する半導体装置の製造方法において、前記固定金型及び前記可動金型間に、前記固定金型側に文字、記号等を印刷したフィルムを介挿し、前記固定金型への樹脂注入、成形時の樹脂熱によって前記文字、記号等を前記成形時の樹脂表面に熱転写するので、従来の金型彫刻によって文字を刻む方法に比べると印字の工程が簡略化されており、さらに、文字、記号等の変更の都度、金型組み替えを行なう必要がないので同一成形金型での少量、多品種生産ができる。
【0012】また、従来の成形後にゴム印、レーザーマーカー等によって印字する方法と比べても本発明による方法は、より簡略化されておりコストダウンできる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例について、図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施例による光結合装置の製造方法を説明するための側面図である。
【0014】図2は後述する本実施例の印字フィルムの平面図である。
【0015】本実施例による光結合装置のハウジング部の製造方法は、図1に示すように、樹脂注入口5を備えた固定金型6と、固定金型6に対応する可動金型7との間に図2に示すような印字フィルム8を介挿している。
【0016】この印字フィルム8の材料としては、例えばポリエステルフィルムを使用し、この印字フィルム8上に、予め、成形品に印字しようとする製品機種名、社名、デートコード文字、記号等のコード9を反転印刷しておく。この印字フィルム8を両金型に介挿する際、文字、記号等のコード9を反転印刷した面を固定金型6側に向けるようにする。
【0017】なお、図中8’は印字フィルム巻き取り用のロールである。
【0018】以上のような状態で、固定金型6に対し可動金型7を嵌合し、樹脂注入口5より樹脂(図示せず)を注入、成形する。
【0019】この際、注入する樹脂の樹脂熱によって、印字フィルム8の文字、記号等のコード9が樹脂表面に熱転写される。
【0020】このようにして、図4に示す従来例と同様、ハウジング3上に印字のされた光結合装置を得ることができる。
【0021】以上のような方法によれば、従来の金型彫刻によって文字を刻む方法に比べると印字の工程が簡略化されており、また金型組み替えを行なう必要もないので、同一成形金型での少量、多品種生産ができる。
【0022】また、従来の成形後にゴム印、レーザーマーカー等によって印字する方法と比べても本発明による方法はより簡略化されており、コストダウンできる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、樹脂注入口を備えた固定金型と、該固定金型対応する可動金型を嵌合後、前記固定金型に樹脂を注入、成形する半導体装置の製造方法において、前記固定金型及び前記可動金型間に、前記固定金型側に文字、記号等を印刷したフィルムを介挿し、前記固定金型への樹脂注入、成形時の樹脂熱によって前記文字、記号等を前記成形時の樹脂表面に熱転写するので、印字工程を非常に簡略化でき、コストダウンを図れる。
【0024】また、文字、記号等の変更の都度、金型組み替えを行なう必要がないので、同一成形金型での少量、多品種生産ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による光結合装置の製造方法を説明するための側面図である。
【図2】本発明の一実施例による印字フィルムの平面図である。
【図3】従来例による光結合装置の斜視図である。
【図4】従来例による光結合装置のハウジング部の斜視図である。
【図5】他の従来例による光結合装置のハウジング部の斜視図である。
【符号の説明】
5 樹脂注入口
6 固定金型
7 可動金型
8 フィルム
9 コード(文字、記号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂注入口を備えた固定金型と、該固定金型に対応する可動金型を嵌合後、前記固定金型に樹脂を注入、成形する半導体装置の製造方法において、前記固定金型及び前記可動金型間に、前記固定金型側に文字、記号等を印刷したフィルムを介挿し、前記固定金型への樹脂注入、成形時の樹脂熱によって前記文字、記号等を前記成形時の樹脂表面に熱転写することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2659868号
【登録日】平成9年(1997)6月6日
【発行日】平成9年(1997)9月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−85671
【出願日】平成3年(1991)4月18日
【公開番号】特開平4−318948
【公開日】平成4年(1992)11月10日
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)