説明

半導体装置及び半導体装置の実装構造

【課題】耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置及び半導体装置の実装構造を実現する。
【解決手段】半導体装置1における一対の電源端子31、32のうち、電子流入側の電源端子31に、複数(例えば2つ)の半田端子B1(12)を電気的に接続するようにして、各半田端子B1(12)に回路基板20の接続ランド22を接合する。そして、回路基板20の接続ランド22から複数の半田端子B1(12)に向けて電子を注入することで、電子が接続ランド22から半田端子B1(12)に流れ込む際に、半田端子12中の原子(例えば、スズ原子)と衝突することを緩和することによって、半田端子12部分でのボイド(空隙)の発生を低減して、耐エレクトロマイグレーション性を向上させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、一般的にCSP(chip size package)と呼ばれるものがある。CSPでは、半導体基板の接続パッドが設けられた面に絶縁膜が設けられ、絶縁膜には接続パッドの中央部に対応する部分に開口部が設けられている。絶縁膜の表面には再配線が形成され、再配線の一端部は絶縁膜の開口部を介して接続パッドに接続される。再配線の他端部には柱状の電極が設けられ、再配線及び絶縁膜が封止膜により封止される。柱状電極は封止膜から露出し、柱状電極の表面に半田端子が設けられる。この半田端子を介して半導体装置は回路基板に接続される。
半導体装置が接続される回路基板には、端部に基板ランドを有する配線が設けられている。また、配線を覆うソルダーレジスト層が設けられ、ソルダーレジスト層には基板ランドを露出させる開口が設けられている。この開口の位置に半田端子を配置した状態でリフロー方式により半田付けがされることで、半導体装置が回路基板に実装される。
【0003】
半導体装置が回路基板に実装された構造体において、半田端子を介して、半導体装置の電源端子となる接続パッドと回路基板との間に高電流を流して使用する際、回路基板の配線側から半田端子に向かって流れた電子が半田端子中の原子(例えば、スズ原子)と衝突することが繰り返し起こる。そして、高電流を流して使用することが長期に亘る場合、電子との衝突に伴い原子などが移動することによって半田端子にボイド(空隙)が発生してしまうことがある。また、電子と原子の衝突により発生した熱によって回路基板の配線中の銅原子がはんだ中に拡散して、その配線にもボイド(空隙)が発生してしまうことがある。
このように、回路基板の配線側から半田端子に向かって流れた電子の衝突に起因して、回路基板の配線と半田端子の間にボイド(空隙)が発生するエレクトロマイグレーションによる接続不良が生じてしまうという問題があった。
近時、回路基板における配線の微細化が進んでおり、配線の薄型化に伴う耐エレクトロマイグレーション特性の低下が顕在化する傾向がある。
【0004】
これに対し、電源端子(接続パッド)に対応する柱状電極の径を太くすることにより、電子を流れ易くするようにして、電子の衝突を緩和し、耐エレクトロマイグレーション性の向上を図った技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−183870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においてレジストフィルムに形成した開口内に電解メッキによって柱状電極を成長させて形成する場合、柱状電極の径に応じて異なるサイズの開口内に形成される柱状電極の高さにばらつきが生じてしまうことがあった。
また、柱状電極の高さを揃えることができた場合でも、柱状電極の上端に形成した半田端子の形状は、径が異なる柱状電極毎に異なり、半田端子の高さが不均一になってしまうことがある。
半導体装置における半田端子の形状や高さが不均一であると、その半導体装置をリフロ
ー方式によって回路基板に実装した際に、高さが低かった半田端子の蝋接部分が構造的に弱くなってしまい、その部分が破断しやすく、断線など接続不良が発生してしまう恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置及び半導体装置の実装構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、
一方の面に少なくとも一対の接続パッドが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記一対の接続パッドの各々と電気的に接続された配線と、
前記配線と電気的に接続された半田端子と、
を備え、
前記一対の接続パッドは、前記半導体基板への電子流入側となる接続パッドと、前記半導体基板からの電子流出側となる接続パッドとを含み、前記電子流入側の接続パッドには、複数の半田端子が前記配線を介して電気的に接続されており、
電子流入側の前記複数の半田端子の数は、電子流出側の前記半田端子の数と異なることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る半導体装置の実装構造は、
上記の半導体装置と、
その半導体装置の前記半田端子に接続された接続ランドと、前記接続ランドを露出させる開口部が形成された絶縁層と、を有し、前記半導体装置における前記一対の接続パッド間に流す電流を、前記半田端子を通じて供給する被接続媒体と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐エレクトロマイグレーション性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】半導体装置を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った面の断面図である。
【図3】半導体装置を回路基板に実装した構造体を示す断面図である。
【図4】半導体装置を回路基板に実装した構造体における電子の流れを示す説明図(a)(b)である。
【図5】半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図6】図5の半導体装置を回路基板に実装した構造体における電子の流れを示す説明図である。
【図7】半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図8】図7の半導体装置を回路基板に実装した構造体における電子の流れを示す説明図である。
【図9】半導体装置の変形例であり、ポストレス構造の半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1は、半導体装置を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った面の断面図である。この半導体装置はチップサイズにパッケージしたものであって、いわゆるCSP(Chip Size Package)と呼ばれるものである。
【0014】
半導体装置1は、例えば図1、図2に示すように、半導体基板2の一方の面側に、接続パッド3、再配線7、柱状電極10、半田端子12等を有しており、その上面および側面が封止膜11で覆われたパッケージ構造を成している。
なお、接続パッド3のうち、図1中の下方右側の2つが一対の電源端子(31、32)として機能し、その他の接続パッド3が信号端子として機能する。
【0015】
半導体装置1は、例えば図1、図2に示すように、半導体基板2、接続パッド3、絶縁膜4、保護膜5、下地金属層8、上部金属層9、柱状電極10、封止膜11、半田端子12等を備えている。
【0016】
半導体基板2は、例えば、シリコン、GaAsなどの半導体材料からなり、その表層側に集積回路2aや内部配線2bが形成されている。集積回路2aと内部配線2bは電気的に接続している。
半導体基板2の表面には、例えば、アルミニウムなどの金属からなる複数の接続パッド3が、半導体基板2の周縁に沿って設けられている。この接続パッド3における一対の電源端子31、32は、半導体基板2の内部配線2bと電気的に接続している。
【0017】
半導体基板2の表面には、例えば、酸化シリコン等からなる絶縁膜4が設けられている。その絶縁膜4の表面には、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる保護膜5が設けられている。
絶縁膜4及び保護膜5には、接続パッド3の中央部を露出させる開口部4a、5aがそれぞれ設けられている。開口部4a、5aは、ウェットエッチングやレーザーエッチング等により形成することができる。
【0018】
保護膜5の表面には、例えば、銅等からなる下地金属層8が設けられている。下地金属層8は金属の単層であってもよく、互いに異なる金属を積層した複数の層であってもよい。下地金属層8は、200nm〜2000nmの厚さが好ましい。
下地金属層8の表面には、例えば、銅からなる上部金属層9が設けられている。上部金属層9は1μm〜10μmの厚さが好ましい。
この下地金属層8と上部金属層9の積層体が、再配線7として機能する。この再配線7は一部のものを除き、開口部4a、5aを通じて接続パッド3にそれぞれ接続されている。
【0019】
再配線7における上部金属層9上には、例えば、銅等からなる円柱形状の柱状電極10がそれぞれ設けられている。
各柱状電極10は、略四辺形状の半導体基板2において、接続パッド3で囲まれた中央領域に格子状に配列されている。各再配線7は一部のものを除き、それぞれに対応する互いに異なる接続パッド3と互いに異なる柱状電極10とを接続している。また、各再配線7は一部のものを除き、互いに電気的に絶縁されるように配列されている。
【0020】
再配線7(上部金属層9)及び保護膜5の表面には、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等からなる封止膜11が、その表面が柱状電極10の表面と略面一となることで柱状電極10の上面が露出されるように設けられている。この封止膜11は、柱状電極10をその側面から保護し、再配線7(下地金属層8及び上部金属層9)をその上面から保護する。
【0021】
柱状電極10の表面には、はんだ材料からなる略球形状の半田端子12が設けられている。半田端子12は、柱状電極10の円形の上面に配されて電気的に接続されている。
この半田端子12は、半導体装置1を後述する回路基板20に実装する際に、回路基板20の接続ランド22と接続するために設けられている。
【0022】
次に、この半導体装置1における一対の電源端子31、32と、この一対の電源端子31、32に接続する再配線7及び半田端子12について説明する。
【0023】
半導体装置1における一対の電源端子31、32は、半導体基板2への電子流入側となる電源端子31と、半導体基板2からの電子流出側となる電源端子32とからなる。
そして、電子流入側の電源端子31には、複数の半田端子12が再配線7を介して接続されるようになっており、本実施形態では、2つの半田端子12が電子流入側の電源端子31に電気的に接続されている。このように、電子流入側の複数の半田端子の数は、電子流出側の半田端子の数より多い。
【0024】
具体的には、図1、図2に示すように、電子流入側の電源端子31に2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されている。
複数の半田端子B1(12)の少なくとも1つであって、例えば、2つの半田端子B1(12)の一方(図中、右側の半田端子B1)は、その半田端子B1(12)に対応する一端71aから電子流入側の電源端子31に対応する他端71bに向かって延在した第1の再配線71(7)を介して電子流入側の電源端子31に直接的に接続されている。
また、複数の半田端子B1(12)の少なくとも1つであって、例えば、2つの半田端子B1(12)の他方(図中、左側の半田端子B1)は、その半田端子B1(12)側から第1の再配線71(7)の一端71a側に向かって延在して第1の再配線71(7)の一端71aに接続した第2の再配線72(7)を介して電子流入側の電源端子31に接続されている。
つまり、この半導体装置1において、複数(本実施形態では2つ)の半田端子B1(12)は、シリーズ(直列)に配線されており、各半田端子B1(12)が再配線7(71、72)を介して電子流入側の電源端子31に電気的に接続されている。
【0025】
なお、この半導体装置1において、電子流出側の電源端子32には1つの半田端子B2(12)が第3の再配線73(7)を介して電気的に接続されている。
【0026】
次に、半導体装置1を回路基板20に実装してなる、半導体装置の実装構造について説明する。
【0027】
回路基板20は、例えば、PCB(printed circuit board)基板であり、半導体装置1を実装して接続させる被接続媒体である。この回路基板20は、例えば、600μm〜1000μmの厚さを有するベース基板21上に複数の回路や配線が設けられている。
回路基板20は、例えば図3に示すように、ベース基板21上に、銅等からなる接続ランド22が設けられている。この接続ランド22は、回路基板20における回路や配線に接続されている。
また、回路基板20の配線及び接続ランド22等が設けられた面には、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を硬化してなるソルダーレジスト等の保護絶縁層23が設けられている。保護絶縁層23の厚さは、例えば30〜50μmである。
保護絶縁層23には、接続ランド22を露出させる開口部23aが設けられている。開口部23aは、ウェットエッチングやレーザーエッチング等により形成することができる。この開口部23aは、略球形状の半田端子12の形状に合わせて平面視円形状に形成されており、特に、保護絶縁層16の上面側(上側)の径が接続ランド22側(下側)の径より長くなっている。
【0028】
そして、半導体装置1は、図3に示すように、図示しないボンディング装置によって半田端子12が接続ランド22に接合されることによって、回路基板20と電気的に接続されている。その結果、半導体装置1の接続パッド3(一対の電源端子31、32)と回路基板20の接続ランド22とが、再配線7、柱状電極10、半田端子12を介して導通している。この回路基板20は、半導体装置1における一対の電源端子(31、32)間に流す電流であって、集積回路2aに流す電流を、半田端子12を通じて供給する。
【0029】
半導体装置1の回路基板20への実装は、フェイスダウン方式及びリフロー方式により行う。
例えば、まず、図示しないステージに回路基板20を載置する。そして、半導体装置1を、半田端子12が形成された面を下に向けた状態で回路基板20の上方に配する。
次に、半導体装置1の各半田端子12を、それぞれに対応する回路基板20の各接続ランド22に位置合わせするようアライメント調整をする。そして、半田端子12と接続ランド22とを接触させるように押圧し、この状態で接続ランド22に接している半田端子12の少なくとも一部を溶融させるように加熱して半田端子12を接続ランド22に十分な面積で密着させるようにする。その後、冷却して半田端子12を完全に固化することで接続ランド22への半田付けが終了し、半田端子12と接続ランド22が蝋接によって接合される。
このように、半導体装置1を回路基板20に実装することで、図3に示すような半導体装置1の実装構造(構造体)が得られる。
【0030】
次に、半導体装置1を回路基板20に実装した、半導体装置1の実装構造(構造体)における電流の流れ、電子の流れについて説明する。
【0031】
図3に示す半導体装置1の実装構造(構造体)において、回路基板20は、半田端子B2(12)から半田端子B1(12)に向かう電流を流して、半導体基板2の集積回路2aに電流を供給するようになっている。
つまり、この半導体装置1の実装構造(構造体)においては、図4(a)(b)に示すように、半田端子B1(12)から半田端子B2(12)に向かう方向に電子が流れる。
【0032】
そして、半導体装置1における電子流入側の電源端子31には、再配線7と柱状電極10を介して、2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されており、その2つの半田端子B1(12)にそれぞれ回路基板20の接続ランド22が接合しているので、回路基板20の2つの接続ランド22からそれぞれ半田端子12に向けて電子が注入される。
ここで、従来の半導体装置における電子流入側の電源端子(31)には1つの半田端子(12)が電気的に接続されているので、その従来の半導体装置に比べて、本実施形態の半導体装置1では、回路基板20から半導体装置1に注入される電子の流路の径が約2倍になっている。
その結果、本実施形態の半導体装置1の実装構造(構造体)では、従来の構造体よりも、回路基板20の接続ランド22から半田端子12に注入される電子が約2倍流れ易くなっており、接続ランド22から半田端子12に電子を比較的穏やかに注入することができる。そして、接続ランド22から半田端子12に注入される電子の流れを緩和することで、電子が接続ランド22から半田端子12に流れ込む際に、電子が半田端子12中の原子(例えば、スズ原子)と衝突することを約二分の一に緩和することができる。
こうして、電子が半田端子12中の原子(例えば、スズ原子)と衝突することを緩和することで、電子の衝突に起因する不具合(例えば、ボイド)の発生を抑えることができる。
【0033】
以上のように、半導体装置1における一対の電源端子31、32のうち、電子流入側の
電源端子31には、再配線7と柱状電極10を介して2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されており、その2つの半田端子B1(12)に接合された接続ランド22から半田端子12に向けて電子が注入されるようになっているので、従来の半導体装置に比べて、電子が接続ランド22から半田端子12に流れ込む際に、半田端子12中の原子(例えば、スズ原子)と衝突することを緩和することができる。
このように、電子流入側の電源端子31に接続する半田端子B1(12)の数を増やすことによって、電子が半田端子12中の原子と衝突することを緩和することができ、回路基板20側から半田端子12に向かって流れた電子の衝突に起因して、回路基板20の配線(接続ランド22)と半田端子12の間にボイド(空隙)が発生することを低減することができる。そして、半田端子12部分でのボイド(空隙)の発生を低減することで、エレクトロマイグレーションによる接続不良の発生を低減することができる。
こうして、半導体装置1における電子流入側の電源端子31に接続する半田端子B1(12)の数を増やすことで、半導体装置1の耐エレクトロマイグレーション性を向上させることができ、耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置1を得ることで、半導体装置の実装構造の耐エレクトロマイグレーション性の向上を図ることができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
【0035】
例えば、図5に示すように、一対の電源端子31、32を備え、電子流入側の電源端子31に2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されている半導体装置1aであってもよい。
そして、この半導体装置1aにおいて、2つの半田端子B1(12)の一方(図中、右側の半田端子B1)は、その半田端子B1(12)に対応する一端71aから電子流入側の電源端子31に対応する他端71bに向かって延在した第1の再配線71(7)を介して電子流入側の電源端子31に直接的に接続されている。
また、2つの半田端子B1(12)の他方(図中、左側の半田端子B1)は、その半田端子B1(12)側から第1の再配線71(7)の一端71aと他端71bの間に向かって延在して第1の再配線71(7)に接続した第2の再配線72(7)を介して電子流入側の電源端子31に接続されている。
つまり、この半導体装置1aにおいて、複数(本実施形態では2つ)の半田端子B1(12)は、パラレル(並列)に配線されており、各半田端子B1(12)が再配線7(71、72)を介して電子流入側の電源端子31に電気的に接続されている。
【0036】
この半導体装置1aを回路基板20に実装してなる、半導体装置1aの実装構造(構造体)において、回路基板20は、半田端子B2(12)から半田端子B1(12)に向かう電流を流して、半導体基板2の集積回路2aに電流を供給するようになっている。
つまり、この半導体装置1aの実装構造(構造体)においては、図6に示すように、2つの半田端子B1(12)側から半田端子B2(12)側に向かう方向に電子が流れる。
【0037】
このような半導体装置1aであっても、電子が半田端子12中の原子と衝突することを緩和することができ、回路基板20側から半田端子12に向かって流れた電子の衝突に起因して、回路基板20の配線(接続ランド22)と半田端子12の間にボイド(空隙)が発生することや、そのエレクトロマイグレーションによる接続不良が発生することを低減することができる。
そして、半導体装置1aの耐エレクトロマイグレーション性を向上させることができ、耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置1aを得ることで、半導体装置の実装構造の耐エレクトロマイグレーション性の向上を図ることができる。
【0038】
また、図7に示すように、一対の電源端子31、32を備え、電子流入側の電源端子31に2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されている半導体装置1bであってもよ
い。
そして、この半導体装置1bにおいて、2つの半田端子B1(12)は、各半田端子B1、B1(12)に対応する一端71aから電子流入側の電源端子31に対応する他端71bに向かって延在した第1の再配線71(7)を介して電子流入側の電源端子31に直接的に接続されている。
つまり、この半導体装置1bにおいて、複数(本実施形態では2つ)の半田端子B1(12)は、再配線7(71)を介して電子流入側の電源端子31に直接的に接続されている。換言すれば、半導体装置1bは、半導体装置1aの変形例であり、図中、左側の半田端子B1(12)は、その半田端子B1(12)側から第1の再配線71(7)に向かい、特に、第1の再配線71の他端71bに向かって延在してその他端71bに接続した再配線7(71)を介して電子流入側の電源端子31に電気的に接続されている。
【0039】
この半導体装置1bを回路基板20に実装してなる、半導体装置1bの実装構造(構造体)において、回路基板20は、半田端子B2(12)から半田端子B1(12)に向かう電流を流して、半導体基板2の集積回路2aに電流を供給するようになっている。
つまり、この半導体装置1bの実装構造(構造体)においては、図8に示すように、2つの半田端子B1(12)側から半田端子B2(12)側に向かう方向に電子が流れる。
【0040】
このような半導体装置1bであっても、電子が半田端子12中の原子と衝突することを緩和することができ、回路基板20側から半田端子12に向かって流れた電子の衝突に起因して、回路基板20の配線(接続ランド22)と半田端子12の間にボイド(空隙)が発生することや、そのエレクトロマイグレーションによる接続不良が発生することを低減することができる。
そして、半導体装置1bの耐エレクトロマイグレーション性を向上させることができ、耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置1bを得ることで、半導体装置の実装構造の耐エレクトロマイグレーション性の向上を図ることができる。
【0041】
また、図9に示すように、柱状電極10を備えないポストレス構造の半導体装置1cであってもよい。
半導体装置1cは、例えば図9に示すように、半導体基板2、接続パッド3、絶縁膜4、保護膜5、再配線7(下地金属層8、上部金属層9)、オーバーコート膜13、半田端子12等を備えている。
オーバーコート膜13は、例えば、ポリイミド系樹脂等からなる封止保護層であり、再配線7(上部金属層9)及び保護膜5の表面を覆って保護するとともに、再配線7の一部を露出させる開口部13aを有している。この開口部13aは、ウェットエッチングやレーザーエッチング等により形成することができる。
このオーバーコート膜13の開口部13aに半田端子12が設けられており、その開口部13aを通じて、半田端子12が再配線7と電気的に接続されている。
つまり、半導体装置1cでは、半田端子12と再配線7が直接、電気的に接続されている。
【0042】
この半導体装置1cを回路基板20に実装してなる、半導体装置1cの実装構造(構造体)では、半導体装置1の実装構造と同様に、回路基板20は、半田端子B2(12)から半田端子B1(12)に向かう電流を流して、半導体基板2の集積回路2aに電流を供給するようになっている。
つまり、この半導体装置1cの実装構造(構造体)においても、2つの半田端子B1(12)側から半田端子B2(12)側に向かう方向に電子が流れる。
【0043】
このような半導体装置1cであっても、電子が半田端子12中の原子と衝突することを緩和することができ、回路基板20側から半田端子12に向かって流れた電子の衝突に起
因して、回路基板20の配線(接続ランド22)と半田端子12の間にボイド(空隙)が発生することや、そのエレクトロマイグレーションによる接続不良が発生することを低減することができる。
そして、半導体装置1cの耐エレクトロマイグレーション性を向上させることができ、耐エレクトロマイグレーション性を向上させた半導体装置1cを得ることで、半導体装置の実装構造の耐エレクトロマイグレーション性の向上を図ることができる。
【0044】
なお、以上の実施の形態においては、電子流入側の電源端子31には、2つの半田端子B1(12)が電気的に接続されているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の半田端子B1(12)が電子流入側の電源端子31に電気的に接続されていてもよい。
【0045】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0046】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0047】
[付記]
<請求項1>
一方の面に少なくとも一対の接続パッドが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記一対の接続パッドの各々と電気的に接続された配線と、
前記配線と電気的に接続された半田端子と、
を備え、
前記一対の接続パッドは、前記半導体基板への電子流入側となる接続パッドと、前記半導体基板からの電子流出側となる接続パッドとを含み、前記電子流入側の接続パッドには、複数の半田端子が前記配線を介して電気的に接続されており、
電子流入側の前記複数の半田端子の数は、電子流出側の前記半田端子の数と異なることを特徴とする半導体装置。
<請求項2>
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子の少なくとも1つが、その半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されており、
前記複数の半田端子のうち前記第1の配線と接続されていないものは、その半田端子側から前記第1の配線の一端側に向かって延在して前記第1の配線に接続した第2の配線を介して前記電子流入側の電源端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
<請求項3>
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子の少なくとも1つが、その半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されており、
前記複数の半田端子のうち前記第1の配線と接続されていないものは、その半田端子側から前記第1の配線の一端と他端の間に向かって延在して前記第1の配線に接続した第2の配線を介して前記電子流入側の電源端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
<請求項4>
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子が、各半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
<請求項5>
前記配線上に設けられた柱状電極を備え、前記半田端子は前記柱状電極を介して、前記配線と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の半導体装置。
<請求項6>
請求項1〜5の何れか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の前記半田端子に接続された接続ランドと、前記接続ランドを露出させる開口部が形成された絶縁層と、を有し、前記半導体装置における前記一対の接続パッド間に流す電流を、前記半田端子を通じて供給する被接続媒体と、
を備えることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【符号の説明】
【0048】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 接続パッド
31 電子流入側の電源端子(接続パッド)
32 電子流出側の電源端子(接続パッド)
4 絶縁膜
4a 開口部
5 保護膜
5a 開口部
7 再配線(配線)
71 第1の再配線(第1の配線)
71a 一端
71b 他端
72 第2の再配線(第2の配線)
8 下地金属層
9 上部金属層
10 柱状電極
11 封止膜
12 半田端子
B1(B1、B1) 半田端子(複数の半田端子)
B2 半田端子
20 回路基板(被接続媒体)
21 ベース基板
22 接続ランド
23 保護絶縁層(絶縁層)
23a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に少なくとも一対の接続パッドが設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の前記一方の面に設けられ、前記一対の接続パッドの各々と電気的に接続された配線と、
前記配線と電気的に接続された半田端子と、
を備え、
前記一対の接続パッドは、前記半導体基板への電子流入側となる接続パッドと、前記半導体基板からの電子流出側となる接続パッドとを含み、前記電子流入側の接続パッドには、複数の半田端子が前記配線を介して電気的に接続されており、
電子流入側の前記複数の半田端子の数は、電子流出側の前記半田端子の数と異なることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子の少なくとも1つが、その半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されており、
前記複数の半田端子のうち前記第1の配線と接続されていないものは、その半田端子側から前記第1の配線の一端側に向かって延在して前記第1の配線に接続した第2の配線を介して前記電子流入側の電源端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子の少なくとも1つが、その半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されており、
前記複数の半田端子のうち前記第1の配線と接続されていないものは、その半田端子側から前記第1の配線の一端と他端の間に向かって延在して前記第1の配線に接続した第2の配線を介して前記電子流入側の電源端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記接続パッドは電源端子であり、
前記複数の半田端子が、各半田端子に対応する一端から前記電子流入側の電源端子に対応する他端に向かって延在した第1の配線を介して前記電子流入側の電源端子に直接的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配線上に設けられた柱状電極を備え、前記半田端子は前記柱状電極を介して、前記配線と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の前記半田端子に接続された接続ランドと、前記接続ランドを露出させる開口部が形成された絶縁層と、を有し、前記半導体装置における前記一対の接続パッド間に流す電流を、前記半田端子を通じて供給する被接続媒体と、
を備えることを特徴とする半導体装置の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26481(P2013−26481A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160402(P2011−160402)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(311014314)株式会社テラミクロス (42)