説明

半導体製品の温度特性測定装置

【目的】 HIC製品の温度特性測定時に、個々の製品の温度を直接検出する。
【構成】 押さえヘッド2のセンサ挿入孔24に表面温度センサ11を挿入して固定し、押さえヘッド2により半導体製品7を押さえて固定するとともに、センサ11により放熱板8の温度を測定する。また導通チェック回路12を設けて、センサ11,放熱板8,測定治具3による導通経路の導通状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はHIC(ハイブリッドIC)製品等の半導体製品における温度特性を測定するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は従来のHIC(ハイブリッドIC)製品の温度特性測定装置の構成図を示し、図において、1は恒温槽であり、この中には半導体製品の電気的特性を測定するための電気的特性測定治具3と、測定対象となるHIC製品と同一のダミーHIC製品4が独立して配置され、それぞれ熱電対6a,6bを介して恒温槽1外部のディジタル・マルチ・メータ5a,5bに接続されてその温度がモニターされるようになっている。また2は電気的特性測定治具3上に搭載され、電気的特性の測定対象となる製品のリードを押さえて固定するための押さえヘッドであり、絶縁部材により構成されている。
【0003】図4(a) は上記電気的特性測定治具3の平面図であり、所定位置に放熱板8を下にして半導体製品7を搭載した時に、半導体製品7のリード9と接触するパッド10aを有する測定基板10が設けられている。また図4(b) は上記押さえヘッド2裏面の平面図、図4(c) はその側面図を示し、半導体製品7の放熱板8を押さえる放熱板押さえ部22と、リード9を押さえるリード押さえ部21とがそれぞれ絶縁部材を用いて設けられている。なお23は押さえヘッド2を図示しないステーに取り付けるための取り付け部である。
【0004】次に上記装置を用いた温度特性測定方法について説明する。測定対象となるHIC製品7を測定治具3の所定位置に載置し(図4(a) 参照)、上方から押さえヘッド2を用いて放熱板8を押圧することにより、半導体製品7のリード9と測定基板10のパッド10aとを確実に接触させる。この状態で、恒温槽1内を測定したい温度に設定し、熱電対6a,6bとディジタル・マルチ・メータ5a,5bとを用いて治具3の温度とダミーHIC製品4の温度とを確認し、所望とする温度における半導体製品7の電気的特性を測定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の半導体製品の温度特性測定装置は以上のように構成されており、測定治具とダミーHIC製品の温度を管理し、これらの温度を治具に載置された半導体製品の温度とみなして電気的特性の測定を行っていたため、実際に測定される個々の製品の温度は設定温度に対してズレを有し、そのため、個々のHIC製品の温度特性を充分に保証することができないという問題点があった。
【0006】この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、製品個々の温度特性の保証を充分に行うことができる半導体製品の温度特性測定装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る半導体製品の温度特性測定装置は、測定治具に搭載される半導体製品の放熱板に接触してその温度を直接測定する温度センサを備えたものである。
【0008】また、温度センサ,放熱板,測定治具による導通経路の導通状態を検知するための導通状態検知手段を設けたものである。
【0009】
【作用】この発明においては、温度センサを設けて測定治具に搭載された半導体製品の放熱板に接触させるようにしたから、製品個々の温度測定を行うことができ、所定の温度における製品の電気的特性の保証を確かなものとすることができる。
【0010】また、温度センサと半導体製品との間で導通チェックを行うことで、温度センサの接触不良による温度測定誤りを防止することができる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の一実施例による半導体製品の温度特性測定装置を図1に基づいて説明する。図において、図3及び図4と同一符号は同一または相当部分を示し、11は表面温度センサであり、使用時にはその先端部を押さえヘッド2に形成されたセンサ挿入孔24に挿入して固定されて用いられる。また13は導通チェック用配線であり、それぞれの一端が測定治具3と表面温度センサ11とに接続され、それぞれの他端がともに導通チェック回路12に接続されている。図1(b) は押さえヘッド2の裏面側の平面図であり、上記放熱板押さえ部22近傍に上記センサ挿入孔24が設けられている。なおここでは恒温槽は省略されているものとする。
【0012】つぎに温度特性測定方法について説明する。まず、表面温度センサ11の先端部を押さえヘッド2に形成されたセンサ挿入孔24に挿入して固定する。そして測定治具3上の所定位置にHIC製品7を搭載し、恒温槽(図示せず)内の温度を所定の温度に設定した後、押さえヘッド2を用いて製品7を押さえると同時に、表面温度センサ11の先端部が半導体製品7の放熱板8に接触して半導体製品7の温度が測定される。このとき、センサ11の先端部が半導体製品7の放熱板8に接触し、また放熱板8と測定治具3とが接触することにより、センサ11,放熱板8,測定治具3による導通経路が作られて導通チェック回路12がON状態となり、温度センサ11と半導体製品7との接触状態が確認できる。この状態で測定治具3によりHIC7の電気特性を測定する。
【0013】このように本実施例によれば、押さえヘッド2に表面温度センサ11を取り付け、押さえヘッド2使用時に表面温度センサ11の先端部を測定対象となるHIC製品7の放熱板8に接触させて温度を測定するようにしたから、電気特性測定時に測定される製品の温度が製品間でばらつくということが少なくなり、製品の温度特性の保証の信頼度を向上させることができる。
【0014】また、導通チェック回路12を設け、温度センサ11,放熱板8,測定治具3の導通経路をチェックするようにしたから、温度センサ11と放熱板8との接触を確認することができ、接触不良による温度検出ミスを防止することができる。
【0015】次に本発明の第2の実施例による半導体製品の温度特性測定装置を図2に基づいて説明する。この実施例では温度センサを測定治具側に設けたものである。即ち図2(a) において、14はその先端部分がL字型に湾曲している温度センサであり、固定台15に搭載されて測定治具3内に収納されている。そして図2(b)に示すように、測定治具3のHIC搭載領域にはセンサ先端孔31が形成され、ここに温度センサ14の先端が位置するように上記固定台15を用いて固定されている。このとき温度センサ14の先端と測定治具3の表面とは電気的に絶縁されているものとする。なおここでも恒温槽は回示を省略している。
【0016】次に温度特性測定方法について説明する。測定治具3上の所定位置に半導体製品7を置き、押さえヘッド(図示せず)で半導体製品を上方から押さえることにより、表面温度センサ14の先端部と半導体製品7の放熱板8の裏面とが接触し、これにより半導体製品7の温度が測定される。同時にセンサ14,放熱板8,測定治具3の導通経路が形成されて導通チェック回路12がON状態となり、温度センサ14と半導体製品7との接触が確認される。このようにすることで上記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0017】なお上記実施例では、測定対象となる半導体製品としてHICを用いて説明したが、放熱板を有し、温度に対してその電気的特性を保証する必要のある製品であれば他のものでもよく、上記と同様の効果を期待することができる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る半導体製品の温度特性評価装置によれば、押さえヘッドに表面温度センサを固定する、あるいは測定治具内に表面温度センサを収納して設け、その先端を半導体製品の放熱板と接触させて直接半導体製品の温度を測定するようにしたから、半導体製品の電気的特性測定時に製品毎の温度を測定することができ、所定の温度における製品の電気的特性を保証することができる効果がある。
【0019】また、導通状態検知手段を設け、温度センサと放熱板との接触を確認するようにしたから、温度センサと製品の接触不良による温度測定の誤りをなくすことができ、測定精度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による半導体製品の温度特性測定装置の構成図。
【図2】本発明の第2の実施例による半導体製品の温度特性測定装置の構成図。
【図3】従来の半導体製品の温度特性測定装置の構成図。
【図4】従来の半導体製品の温度特性測定装置の測定治具の平面図、及び押さえヘッドの裏側平面図及び側面図。
【符号の説明】
1 恒温槽
2 押さえヘッド
3 測定治具
4 ダミー半導体製品
5a ディジタル・マルチ・メータ
5b ディジタル・マルチ・メータ
6a 熱電対
6b 熱電対
7 HIC製品
8 放熱板
9 リード
10 測定基板
10a パッド
11 表面温度センサ
12 導通チェック回路
13 導通チェック用線路
14 表面温度センサ
15 固定台
21 リード押さえ部
22 放熱板押さえ部
23 押さえヘッド取り付け部
24 センサ挿入孔
31 表面センサ先端孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 放熱板を有する半導体製品の、所定温度における電気的特性を測定するための温度特性測定装置において、半導体製品を搭載してその電気的特性を測定するための測定用治具と、上記半導体製品を上記測定用治具に押圧固定するための押さえヘッドと、上記半導体製品の放熱板に接触してその温度を測定する温度センサとを備えたことを特徴とする半導体製品の温度特性測定装置。
【請求項2】 請求項1記載の半導体製品の温度特性測定装置において、上記温度センサ,放熱板,測定用治具による導通経路の導通状態を検知する導通状態検知手段を設けたことを特徴とする半導体製品の温度特性測定装置。
【請求項3】 請求項1記載の半導体製品の温度特性測定装置において、上記温度センサは、上記押さえヘッドに取り付けられ、上記半導体製品の放熱板に上方から接触するものであることを特徴とする半導体製品の温度特性測定装置。
【請求項4】 請求項1記載の半導体製品の温度特性測定装置において、上記温度センサは、上記測定用治具に取り付けられ、上記半導体製品の放熱板裏面に接触するものであることを特徴とする半導体製品の温度特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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