説明

半永久井戸工法

【課題】井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できるようにすることを目的とする。
【解決手段】井戸壁の取水部にスクリーンを設け、前記スクリーンに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半永久井戸工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
井戸は、水道水源では、今でも重要な水源の一つである。
【0003】
しかし、井戸用水源として砂層の地層は年々少なくなり、今では粘土混ざりの砂層が井戸用水源として普通に使用されている。
【0004】
また、使用している井戸は年々揚水量が減少していき、最後は揚水不能となるのが一般的である。
【0005】
出願人は、取水壁より集水する場合、水道施設基準(1959)の通り、集水孔の孔径は10〜20mmとし、集水孔の数は取水管表面積の100〜400cm2 に1個の割合として実施したが、粘土分の多い砂層ではすぐ集水孔に目詰まりが発生し、揚水不能となった経験を有する。
【0006】
なぜ揚水不能になったかを調査してみると、(1) 集水孔に粘土が付着して所定の水量が流入しない,(2) 砂層の粒子も小さく、パウダー状であり、粘土と混合して固形化している,(3) 砂、礫分が少ない、ことが判明した。
【0007】
この揚水不能を解決するために、集水部の口径を100mmとし、集水部にホースを挿入し、水圧で粘土とパウダーを飛ばして洗い流し、取水量を増加させ、全部の集水部を洗って所定の水量が確保できた。
【特許文献1】特開平09−256423
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
井戸の揚水量を減少させず、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できるようにすべく、井戸壁の取水部にスクリーンを設け、前記スクリーンに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法とした。
【0010】
また、本発明は、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できるようにすべく、井戸壁の取水部に、管壁にスクリーンを設けた取水管を放射状に設け、前記取水管に水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法とした。
【0011】
さらに、本発明は、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できるようにすべく、井戸壁の取水部に、圧力注入パイプを備えたスクリーンを設け、前記圧力注入パイプに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、井戸壁の取水部にスクリーンを設け、前記スクリーンに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法であるので、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できる。
【0013】
また、本発明は、井戸壁の取水部に、管壁にスクリーンを設けた取水管を放射状に設け、前記取水管に水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法であるので、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できる。
【0014】
さらに、本発明は、井戸壁の取水部に、圧力注入パイプを備えたスクリーンを設け、前記圧力注入パイプに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法であるので、井戸の揚水量を減少させずに、粘土混ざりの砂層でも井戸用水源として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を添付する図面の具体的実施例に基づいて、以下詳細に説明する。
【0016】
図1は、井戸の直径Dが1000mm以下の小口径井戸の浅井戸、深井戸である。井戸壁1の取水部に全周にわたりスクリーン2を設ける。
【0017】
スクリーン2はSUS製で、開口率50%である。
【0018】
この井戸に、地上よりPa約70N/cm2 の水圧あるいは空気圧の圧力を一定間隔で注入と無圧力を繰り返して供給し、井戸内の濁りNが取れるまで実行する。
【0019】
濁りNが無くなれば、図示dのように、大きい砂利d1、中小の砂利d2、砂d3の順で井戸壁1に近いほど粒子は大きくなって互層を形成する。このように井戸壁1の取水部の外周に互層が形成されると、井戸の目詰まりは解消され、半永久井戸が完成する。新設井戸は勿論、既設井戸でも容易に再生でき、半永久井戸となる。
【0020】
図2は、井戸の直径Dが3000mm以上の大口径井戸の浅井戸である。井戸壁21の取水部に、管壁に開口率50%のスクリーン22を設けた直径200mm〜500mmのSUS製のパイプ23を放射状に設ける。パイプ23の長さは砂層状態で異なる。
【0021】
井戸底よりパイプ23に圧力Pbをかける。
【0022】
パイプ23に圧力水をかけ、流入した濁水Nを排水する。パイプ23に圧力水をかけ濁水Nを排水する操作を繰り返し、濁水Nが無くなるまで実行する。濁水Nが無くなったパイプ23には一時キャップ(図示せず)をつけ、1本飛んで次のパイプ23の作業にかかる。全てのパイプ23の作業が完了した時点で、全てのキャップを撤去し、揚水量テストを実施して揚水量を決定する。
【0023】
パイプ23のスクリーン22の外周には、図示のように大きい砂利、中小の砂利、砂の順でパイプ23に近いほど粒子は大きくなって互層を形成する。
【0024】
このようにパイプ23のスクリーン22の外周に互層が形成されると、井戸の目詰まりは解消され、半永久井戸が完成する。
【0025】
上記の方法は、新設井戸でも既設井戸にも適用できる。
【0026】
図3は、井戸の直径Dが3000mm以上の大口径井戸の浅井戸である。井戸壁31の取水部に、SUS製のパイプ34を備えた開口率50%のSUS製スクリーン32を設ける。
【0027】
井戸内からパイプ34に圧力Pcをかけ、流入した濁水Nを排水する。パイプ34に圧力水をかけ濁水Nを排水する操作を繰り返し、濁水Nが無くなるまで実行する。これは圧力Pcを有効に作動できるように工夫したタイプである。
【0028】
井戸壁31の取水部のスクリーン32外周には、図示dのように大きい砂利、中小の砂利、砂の順でスクリーン32に近いほど粒子は大きくなって互層を形成する。
【0029】
このようにスクリーン32の外周に互層が形成されると、井戸の目詰まりは解消され、半永久井戸は完成する。
【0030】
上記の方法は、新設井戸でも既設井戸にも適用できるが、既設の井戸の場合は、井戸の自体の崩壊を避け得る間隔にスクリーン32を設けなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、井戸の目詰まりを防止して井戸を半永久的に使用するようにしたものであるが、水を浄化する水道設備の浄化装置にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の小口径井戸で浅井戸、深井戸の半永久井戸工法を説明する図である。
【図2】本発明の大口径井戸で浅井戸の半永久井戸工法を説明する図である。
【図3】本発明の大口径井戸で浅井戸の半永久井戸工法を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
1・21・31…井戸壁
2・22・32…スクリーン
23…パイプ
34…パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
井戸壁の取水部にスクリーンを設け、前記スクリーンに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法。
【請求項2】
井戸壁の取水部に、管壁にスクリーンを設けた取水管を放射状に設け、前記取水管に水圧あるいは空気圧をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法。
【請求項3】
井戸壁の取水部に、圧力注入パイプを備えたスクリーンを設け、前記圧力注入パイプに水圧あるいは空気圧の圧力をかけて井戸の目詰まりを防止するようにした半永久井戸工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−132030(P2007−132030A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324407(P2005−324407)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(505416371)株式会社 日本都市工学設計 (1)