説明

半精製ゲル化剤を含有するペットフード組成物

【課題】 本発明は、精製ゲル化剤及び/又は機能性タンパク質を使用することなく、ペットフード製品におけるチャンクの硬さ、ゲルの透明度及び世界的な製品品質管理を改善することを目的とする。
【解決手段】 チャンクと、透明な、ゲル化したソース又はベースと、を含有するペットフード組成物であって、i)食肉と食肉副産物とを含む混合物に、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを組み入れ、当該混合物を使用してチャンクを製造する工程と、ii)製造されたチャンクを、ゲル化剤を含有しないソース又はベースと混合する工程と、iii)混合物を、純粋なゲル化剤分子がチャンクからソース又はベース中に放出される条件の下で処理して、ソース又はベースをゲル化し、チャンク構造体を形成させ、半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンド中に存在するセルロースをチャンク中に沈降させる工程と、を実施することによって得られるペットフード組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、チャンク(chunks)と、ソース(sauce)又はベース(base)と、を含有するペットフード製品、特に、ゲルの透明度とチャンクの硬さと加工性とが改善された「ゼリー中のチャンク(chunks in jelly)」製品に関する。本発明はまた、そのようなペットフード製品を製造する方法にも関する。
【発明の背景】
【0002】
今日、ペットフード産業では、ローフタイプ(type loaf)の製品、ローフ中のチャンクタイプの製品、及びゼリー中のチャンクタイプの製品を製造する場合、主として、グルコマンナン又はガラクトマンナン−カッパカラギーナン混合系が使用されている。ゼリーは、典型的には半精製カラギーナンを使用して作られる。ガラクトマンナン類は、グアーガム、タラガム、カロブガム(又はローカストビーンガム)及びカシアガム中に存在し、グルコマンナンはコンニャクマンナンガム中に存在する。
【0003】
製造の際に、再構成食肉チャンクは、(他の親水コロイド及び乾燥諸成分と一緒に)半精製カラギーナンの液体ゼリーと混合されて、一緒に缶の中に入れられる。レトルト処理後、半精製カラギーナンは、最終製品のゼリーになる。
【0004】
これらの製品は半精製カッパカラギーナンを使用するので、ゼリーは幾分「濁っている(cloudy)」。この濁りは、藻の細胞壁セルロースの断片を含有するカラギーナンを与える、藻類からのより穏やかな抽出操作に起因する。典型的な半精製カラギーナンの最終組成物中には、セルロース物質が約8〜15%存在する。実際、セルロースはレトルト処理工程中に幾分沈降し、その後、最終ゲルの濁りを増大させる。実際には、(幾らかのタンパク質を含有する)チャンクから放出されたばかりの食肉は、カラギーナンのセルロース沈降物と複合体を形成し、ゼリー中の沈降物質の存在を更に増大させることがある。
【0005】
精製ゲル化剤(特に、精製カッパカラギーナン)を使用すれば、最終ゲルの透明度は改善されるものの、ペットフード産業でそれを使用することは、高価格のために非常に制限され、半精製物質が、低価格のため広く使用されている。
【0006】
また、チャンク構造体は、加熱工程及びレトルト処理工程中に、主として動物性タンパク質又は植物性タンパク質の凝固を通じて得られる。従って、得られるチャンクの品質は、タンパク質原料の品質に大きく依存する。このことは、供給源の多様性及び市場の危機(例えば、BSE(狂牛病)、GMO(遺伝子組換え体))のために重大である。
【0007】
そこで、本発明は、精製ゲル化剤及び/又は機能性タンパク質を使用することなく、ペットフード製品におけるチャンクの硬さ、ゲルの透明度及び世界的な製品品質管理を改善することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一態様において、
チャンクと、透明な、ゲル化したソース又はベースと、を含有するペットフード組成物であって、
i)食肉と食肉副産物とを含む混合物に、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを組み入れ、当該混合物を使用してチャンクを製造する工程と、
ii)製造されたチャンクを、ゲル化剤を含有しないソース又はベースと混合する工程と、
iii)混合物を、純粋なゲル化剤分子がチャンクからソース又はベース中に放出される条件の下で処理して、ソース又はベースをゲル化し、チャンク構造体を形成させる工程と、
を実施することによって得られるペットフード組成物を提供する。
【0009】
好適な実施形態において、食肉と食肉副産物とを含有する混合物中には、少なくとも1種のオリゴ糖又はオリゴ糖ブレンドが更に含有されてもよい。
【0010】
また、ソース又はベースは、増粘剤及び/又は安定化剤を含有してもよい。
【0011】
実際、意外にも、半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを使用してゼリー中のチャンク製品を調製することが可能であり、しかも、最終製品中に非常に透明なゲルを得ることが可能であることが見出だされた。実際、組成物の製造の際に、半精製ゲル化剤(特に、カラギーナン)のセルロース物質は、熱処理(レトルト処理)中に沈降するものの、濾過材のように作用するチャンク構造体中に保持され、ゲル化分子のみがソース又はベースに放出される。
【0012】
また、チャンク構造体中に多糖が存在すれば、更なる硬さが与えられる。これは、カラギーナンの硫酸基とタンパク質のイオン基との間に錯体が形成されること、及び、加熱処理中のゲル化剤の加水分解により生じた残留糖(すなわち、ガラクトース、マンノース、又は他のオリゴ糖)とタンパク質との間に共有結合が形成される可能性があること、によるものである。この構造化プロセス(structuration process)は、還元性オリゴ糖(例えば、キシロース、ガラクトース、グルコース)を更に添加することによって一層促進することができる。
【0013】
このペットフード組成物は、精製ゲル化剤を使用する必要なしに改善されたゲル透明度と、機能性タンパク質を使用せずに改善されたチャンクの硬さ及び世界的な製品品質と、を有するものである。
【0014】
食肉混合物中に半精製ゲル化剤が使用されていることは、チャンク構造体中に沈降したゲル化剤由来のセルロースを定性分析することによって検出することができる。
【0015】
本発明は、他の一態様において、
チャンクと、透明なソース又はベースと、を含有するペットフード組成物を調製する方法であって、
i)食肉と、食肉副産物と、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドと、を含む食肉混合物を調製する工程と、
ii)食肉混合物を使用して食肉チャンクを製造する工程と、
iii)半精製ゲル化剤を添加することなく、ソース又はベースを調製する工程と、
iv)食肉チャンクをソース又はベースと混合し、容器に充填する工程と、
v)容器及び内容物を加熱して、内容物を殺菌する工程と、
を含む方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本明細書において、食肉及び食肉副産物は、新鮮な状態の、又は適切な処理によって保存されている、畜殺された温血動物の肉の全ての部分、並びに温血動物の身体又はその一部を加工することによって生じる全ての産物及び副産物、を意味するものとする。食肉は、特に、ニワトリ、ウサギ、ウシ又はヒツジに由来する食肉、及び内蔵を意味するものとする。内蔵は、特に、肺葉、肝臓又は腎臓を意味するものとする。食肉副産物は、上記動物の死骸(carcasses)から得られる粉(meal)を意味するものとする。本明細書において、魚肉及び魚肉副産物は、食肉及び食肉副産物の定義に含まれるものと見なす。魚肉及び魚肉副産物は、新鮮な状態の、又は適切な処理によって保存されている魚肉又はその一部、及びそれらの加工処理の副産物を意味するものとする。サケ又はイワシは魚肉として使用することができ、また、魚粉は副産物として使用することができる。
【0017】
また、半精製ゲル化剤は、部分的に精製されているか、全く精製されていないゲル化剤すなわち、「溶液」状態から「ゲル」状態への移行を分子的基礎としてゲルを発達させる純粋なゲル化剤分子を含有するゲル化剤、を意味するものとする。「ゲル」状態への移行は、ゲルネットワーク構造(gel network structure)を生じさせるために、生体高分子/多糖の鎖(接合ゾーン)の何らかの形の結合を伴う[V.J.モーリス(Morris),多糖のゲル化,「食品の巨大分子の機能特性」(編集 SE ヒル(Hill),DA レドワード(Ledward)及びJR ミッチェル,アスペン(Aspen)出版社,1998),pp.143〜226]。半精製ゲル化剤は、部分的に精製されているか、全く精製されていないゲル化剤であって、特に、カラギーナン、アルギン酸塩、寒天、ジェラン、ペクチン、キサンタン、又はこれらの組合せ、のようなゲル化剤を意味するものとする。典型的には、単独ではゲル化しないガムの中には、他のガムと混合されると相乗作用によりゲル化特性を示すものがある(例えば、キサンタンガム/グルコマンナン又はガラクトマンナン)が、これらも、半精製ゲル化用生体高分子ブレンドとして使用することができる。
【0018】
また、オリゴ糖は、多糖の加水分解生成物、又はタンパク質と反応させるために添加された単糖、を意味するものとする。
【0019】
本明細書において、百分率は全て、特に断らない限り重量による。
【0020】
本発明は、第1の態様において、
チャンクと、透明な、ゲル化したソース又はベースと、を含有するペットフード組成物であって、
i)食肉と食肉副産物とを含む混合物に、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを組み入れ、当該混合物を使用してチャンクを製造する工程と、
ii)製造されたチャンクを、ゲル化剤を含有しないソース又はベースと混合する工程と、
iii)混合物を、純粋なゲル化剤分子がチャンクからソース又はベース中に放出される条件の下で処理して、ソース又はベースをゲル化し、チャンク構造体を形成させる工程と、
を実施することによって得られるペットフード組成物に関する。
【0021】
本発明における半精製ゲル化剤は、特に、例えば、カラギーナン(特に、カッパカラギーナン)、アルギン酸塩、寒天、ジェラン、ペクチン、キサンタン、又はこれらの組合せである。半精製ゲル化用生体高分子ブレンドとしては、ゲル化特性を示すガムの混合物(例えば、キサンガム/グルコマンナン又はガラクトマンナン)の形態のものが挙げられる。
【0022】
半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドは、全重量を基準として10重量%以下の量で含有されることができる。
【0023】
チャンク構造体中に多糖が存在すれば、更なる硬さが与えられる。これは、カラギーナンの硫酸基とタンパク質のイオン基との間に錯体が形成されること、及び、加熱処理中のゲル化剤の加水分解により生じた残留糖(すなわち、ガラクトース、マンノース、又は他のオリゴ糖)に共有結合が形成される可能性があること、によるものである。
【0024】
この構造化プロセスは、還元性オリゴ糖を更に添加することによって一層促進することができる。従って、好適な実施形態において、食肉と食肉副産物とを含有する混合物中には、少なくとも1種のオリゴ糖又はオリゴ糖ブレンドを更に組み入れることができる。オリゴ糖としては、例えば、キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、又は他の還元性ペントース若しくはヘキソース、又はそれらの組合せが挙げられる。オリゴ糖は、好ましくは、全重量を基準として0〜20重量%の量で添加することができる。
【0025】
本発明の組成物のチャンクは、好ましくは、4mm未満の粒径を有する粒子を3%未満含有する。組成物がネコ用のものか、イヌ用のものかに応じて、チャンクの粒径が異なることは明確に理解される。イヌ用の場合、チャンクの50〜60%は、メッシュの目開き(mesh opening)が16mmのスクリーンを通過しない。他方、ネコ用の場合、チャンクの5〜15%しか、メッシュの目開きが14mmのスクリーンを通過せず、チャンクの45〜65%は8〜14mmの粒径を有する。
【0026】
組成物中、例えば、チャンクは20〜70%の割合で存在し、残部はソース又はベースである。ソースを含有する組成物の場合、チャンクは40〜60%の割合で存在することがあり、他方、ベースを含有する組成物の場合、チャンクは10〜50%の割合で存在することがある。
【0027】
ペットフードは、従来と同様に生産することができる。ペットフードは、本発明におけるゲル化剤の他に、デンプン源、タンパク質源及び脂質源のいずれか1種以上を含有することができる。
【0028】
適切なデンプン源は、例えば、穀物及び豆科植物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、大麦、オート麦、大豆、及びこれらの混合物)である。適切なタンパク質源は、適切な動物性又は植物性タンパク質源(例えば、食肉及び粉、家禽粉、魚粉、大豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテン)から選択することができる。高齢動物用としては、タンパク質源は高品質タンパク質を含有するのが好ましい。適切な脂質源としては、食肉、動物性脂肪及び植物性脂肪が挙げられる。
【0029】
デンプン源、タンパク質源及び脂質源の選択は、動物の栄養学的必要性、嗜好の配慮、及び製造される製品の種類によって大きく左右される。高齢ペット用のペットフードは、若年齢ペット用のペットフードよりも、相対的に少ない脂質を含有するのが好ましい。また、デンプン源は、米、大麦、小麦及びトウモロコシのうちの1種以上を含有することができる。
【0030】
更に、必要に応じて、種々の他の成分(例えば、砂糖、塩、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、食品添加物、脂肪)をペットフード中に組み入れてもよい。
【0031】
好適な実施形態において、チャンクは、食肉及び食肉副産物58〜68%と、穀物16〜25%と、植物性タンパク質抽出物2〜5%と、半精製ゲル化剤10%以下と、水5〜14%と、の混合物から調製される。食肉及び食肉副産物は、好ましくは、豚又は牛のレバーを最低10%、豚又は牛の粉末血漿を0〜5%含有し、穀物は、少なくとも10%の割合で存在し、小麦粉、トウモロコシ粉又は米粉である。そうすることによって、切断されたチャンクが十分な質感(texture)を確実に有するようにし、また、微粉(fines)及び裂け目(tears)の生成を回避することが可能になる。チャンクは更に、3%まで着色料、ビタミン類及び無機塩類を含有することができる。
【0032】
粉末血漿は、好都合にも、当該血漿と同一の役割を果たす植物性タンパク質抽出物の少なくとも2%で置き換えることができる。更に、本発明によって、動物性又は植物性の機能性タンパク質(すなわち、血漿、大豆等)を全面的に置き換えることが可能となる。
【0033】
組成物中に存在するチャンクはまた、植物性タンパク質抽出物0〜5%を更に含有する混合物から調製することもできる。植物性タンパク質抽出物は、植物起源の産物であって、そのタンパク質が適切な処理によって濃縮され、ドライマター基準で粗タンパク質を少なくとも50%含有するものであれば、いずれでもよく、また、場合により再構成された(restructured)ものであってもよい。使用されるタンパク質は、例えば、小麦若しくはトウモロコシのグルテン(gluten)、又は大豆タンパク質分離物(soya isolate)である。
【0034】
チャンク調製用の混合物中では、製造プロセスにおけるエマルションの正確な含有量を確保するために、チャンクの最終水分レベルが、好ましくは50〜60%、より好ましくは52〜58%になるように、含水率を、食肉及び穀物の含有量に従って0〜15%に調整することができる。
【0035】
食肉及び食肉副産物を混合する前に、12mm程度の大きさにするため、食肉の粉砕(size reduction)を行ってもよい。次いで、弾力性のあるペーストを得るために、食肉及び食肉副産物(更に随意的に魚介類)を、チャンク組成物の他の諸成分(更に、随意的に植物性タンパク質抽出物)と混合して均一化する。次いで、乳化処理を行うことができ、その際に、乳化済みペーストは、プディング(puddings)の押し出しを可能にする連続的な成形系まで、脱気して、又は脱気せずにポンプで送り込むことができる。こうして得られたプディングペーストは、80〜95℃の核心温度を得るために、連続的な加熱系(例えば、熱風系、蒸気系、熱風及び蒸気系、又はマイクロ波系)によって加熱することができる。このように、プディングは凝固によって凝結し、加熱装置の出口で薄く切り取ることができる。次いで、加熱した凝固ペーストを、加熱系の出口で連続的に切断し、40〜400mmの長さの凝固断片にする。次いで、細長くした断片を、10〜40℃の温度に冷却することによって硬化させる。チャンクが互いにくっつくのを防ぐために、冷却は、水で噴霧するか、水に浸漬することによって行うのが好ましい。最後に、冷却された断片を立方体にする。これを行うには、従来知られているキューバー(cuber)(例えば、ウルシェル・キューバー(Urschel cuber))を使用する。
【0036】
本発明によると、食肉混合物の粘度、及びチャンク切断物の品質(すなわち、形成される微粉がより少ないこと、より優れた形状が保持されること)は、植物性又は動物性の機能性タンパク質が存在しない場合でも、半精製ゲル化剤及び/又は添加オリゴ糖が存在することによって改善される。
【0037】
こうして得られたチャンクは、それら自体が周知の方法で、ソース又はベースと混合される。ソースは、水を98%以下含有する混合物であって、残部が、増粘剤(例えば、ガム)、着色料及び調味剤のうちの1種以上である混合物を意味するものとする。ベースは、水60〜80%及び細挽きの食肉20〜40%に基づく混合物であって、残部が増粘剤、着色料及び香料である混合物を意味するものとする。
【0038】
本発明におけるソース又はベースは、前述のゲルネットワークを増大させるゲル化剤を含有しない。ソース又はベースは、増粘剤及び/又は安定化剤を含有するのが好ましく、適切なガムは、例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、カシアガム、カロブガム及びコンニャクガムである。
【0039】
次いで、ペットフードを缶又は他の容器に充填して、容器を密閉し、当該混合物を、純粋なゲル化剤分子がチャンクからソース又はベース中に放出される条件の下で加熱処理して、ソース又はベースをゲル化する。生成物は、通常の方法でレトルト処理を行う。例えば、組成物は、最終的に、120〜135℃の温度で、20〜100分間、従来通り殺菌する。適切な設備は商業的に入手可能である。
【実施例】
【0040】
以下の例は、説明のためにのみ与えられたものであり、決して本願の主題を限定するものと解釈されるべきではない。百分率は全て、特に断らない限り重量によって与えられる。
【0041】
〔例1〜5〕
使用するゲル化系は、半精製カッパカラギーナン/半精製カロブガム/塩化カリウムから構成される。カロブガムは、他のガラクトマンナン(例えば、タラガム、カシアガム)又はグルコマンナン(例えば、コンニャクガム)によって置き換えることができる。
【0042】
一ステップ又は二ステップで缶充填を行うために、ゼリーの粘度を、グアーガムを使用して調整することができる。
【0043】
〔例1〕
【表1】

【0044】
〔例2〕
【表2】

【0045】
〔例3〕
【表3】

【0046】
〔例4:ネコ用組成物「ゼリー中のチャンク」〕
【表4】

【0047】
〔例5:ネコ用組成物「ゼリー中のチャンク」〕
【表5】

【0048】
〔例6:ネコ用組成物「ソース中のチャンク」〕
混合物を、動物肉73%、小麦粉16%、粉末牛血漿2%、水6.8%、着色料2.2%、半精製イオタカラギーナン/カッパカラギーナン1%、キシロース1%、ビタミン類及び無機塩から調製する。この混合物を12℃で乳化し、プディング(pudding)ペーストの形態で押し出す。このプディングペーストを90℃の温度で加熱し、80mmの長さの断片に切断する。断片を、チャンクを得るために、30℃に冷却し、切断する。これらのチャンク45%を、水98%、着色料1%及びグアーガム1%から調製したソース55%と混合する。ブリキ缶に充填して、殺菌する。
【0049】
〔例7:ネコ用組成物「ソース中のチャンク」〕
混合物を、動物肉73%、小麦粉16%、粉末牛血漿2%、水6.8%、着色料2.2%、半精製イオタカラギーナン/カッパカラギーナン1%、ビタミン類及び無機塩から調製する。この混合物を12℃で乳化し、プディングペーストの形態で押し出す。このプディングペーストを90℃の温度で加熱し、80mmの長さの断片に切断する。断片を、チャンクを得るために、30℃に冷却し、キューバーにより角切りにする。これらのチャンク45%を、水98%、着色料1%及びグアーガム1%から調製したソース55%と混合する。ブリキ缶に充填して、殺菌する。
【0050】
〔例8:ネコ用組成物「ベース中のチャンク」〕
混合物を、動物肉56%、小麦粉16%、血漿2%、水10.8%、着色料2.2%、半精製カッパカラギーナン1%、グルコース3%、ビタミン類及び無機塩から調製する。次いで、チャンクを得るために、例6と同様に調製を行う。(含水量58%を有する)これらチャンク30%を、鶏の死骸(poultry carcass)23%、グアーガム1%、着色料及び香料1%、及び水75%から調製したベースに組み入れる。次いで、ブリキ缶に充填して、殺菌する。
【0051】
〔例9:ネコ用組成物「ベース中のチャンク」〕
混合物を、動物肉56%、魚13%、小麦粉16%、血漿2%、水10.8%、着色料2.2%、半精製カッパカラギーナン1%、ビタミン類及び無機塩から調製する。次いで、チャンクを得るために、例6と同様に調製を行う。(含水量58%を有する)これらチャンク30%を、鶏の死骸23%、グアーガム1%、着色料及び香料1%、及び水75%から調製したベースに組み入れる。次いで、ブリキ缶に充填して、殺菌する。
【0052】
〔例10:ドッグフード組成物〕
動物肉69%を、小麦粉20%、粉末牛血漿1%、水7.8%、着色料2.2%、半精製カッパカラギーナン1%、ビタミン類及び無機塩と混合する。この混合物を12℃で乳化し、プディングペーストの形態で押し出す。このプディングペーストを90℃の温度で加熱し、80mmの長さの断片に切断する。断片を、チャンクを得るために、冷却し切断する。これらチャンク50%を、水98%、着色料1%及びグアーガム1%から調製したソース50%と混合する。ブリキ缶に充填して、殺菌する。
【0053】
〔例11:チャンク中のカッパカラギーナン由来のセルロースの定性分析〕
食肉混合物中の半精製カッパカラギーナンの使用量は、チャンク構造体に沈降するカッパカラギーナン由来のセルロースの定性分析を行うことによって調べることができる。手順は次の通りである。
・高温液体ゼリーからチャンクを篩い分けることによって分離する。
・チャンクから酸不溶物(セルロース繊維)を抽出する。
・生成物200g+濃硫酸200mL+脱イオン水600mL
・6時間、撹拌、100℃で加熱
・一晩中撹拌
・1時間、撹拌、100℃で加熱
・濾過
・脱イオン水2リットルで洗浄
・2時間、102℃で乾燥
・石油ベンジンを使用するブッヒ抽出ステーション(Buchi extraction Station)で2時間、脂肪を除去
・2時間、102℃で乾燥
・粉末
・半精製カッパカラギーナン由来のセルロースの存否をRMNで定性分析する[グリン(Glyn)O.フィリップス(Phillips),食品産業のためのガムと安定化剤(Gums and Stabilisers for the Food Industry),8,pp403(1996)]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンクと、透明な、ゲル化したソース又はベースと、を含有するペットフード組成物であって、
i)食肉と食肉副産物とを含む混合物に、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを組み入れ、当該混合物を使用してチャンクを製造する工程と、
ii)製造されたチャンクを、ゲル化剤を含有しないソース又はベースと混合する工程と、
iii)混合物を、純粋なゲル化剤分子がチャンクからソース又はベース中に放出される条件の下で処理して、ソース又はベースをゲル化し、チャンク構造体を形成させ、半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンド中に存在するセルロースをチャンク中に沈降させる工程と、
を実施することによって得られるペットフード組成物。
【請求項2】
半精製ゲル化剤が、カラギーナン、アルギン酸塩、寒天、ジェラン、ペクチン、キサンタン、又はこれらの組合せである、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
半精製ゲル化用生体高分子ブレンドが、キサンタンガム/グルコマンナン又はガラクトマンナンのような、ゲル化特性を示すガムの混合物、の形態のものである、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドが、全重量を基準として10重量%以下の量で組み入れられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項5】
食肉と食肉副産物とを含む混合物中に、少なくとも1種のオリゴ糖又はオリゴ糖ブレンドが更に組み入れられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項6】
オリゴ糖が、キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、又は他の還元性ペントース若しくはヘキソース、又はそれらの組合せである、請求項5に記載のペットフード組成物。
【請求項7】
ソース又はベースが増粘剤及び/又は安定化剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
チャンクが、全重量を基準として40〜60重量%の量でソースと混合されるか、或いは、チャンクが、全重量を基準として10〜50重量%の量でベースと混合される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
チャンクと、透明なソース又はベースと、を含有するペットフード組成物を調製する方法であって、
i)食肉と、食肉副産物と、少なくとも1種の半精製ゲル化剤及び/又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドと、を含む食肉混合物を調製する工程と、
ii)食肉混合物を使用して食肉チャンクを製造する工程と、
iii)半精製ゲル化剤を添加することなく、ソース又はベースを調製する工程と、
iv)食肉チャンクをソース又はベースと混合し、容器に充填する工程と、
v)容器及び内容物を加熱して、内容物を殺菌し、半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンド中に存在するセルロースをチャンク中に沈降させる工程と、
を含む方法。
【請求項10】
食肉混合物中に、少なくとも1種のオリゴ糖又はオリゴ糖ブレンドを更に組み入れる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
透明なゲル中に固体食肉様チャンクを含むペットフード製品であって、
前記チャンクが、半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを含む源から沈降したセルロースを含有するペットフード製品。
【請求項12】
ゲルが、セルロースが沈降する際にチャンク構造体から放出されたゲル化用分子を含む、請求項11に記載のペットフード製品。
【請求項13】
セルロース及びゲル化用分子が、半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを含む共通の源に由来する、請求項11又は12に記載のペットフード製品。
【請求項14】
半精製ゲル化剤又は半精製ゲル化用生体高分子ブレンドを、製品の全重量を基準として10重量%以下の量で含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載のペットフード製品。
【請求項15】
半精製ゲル化剤がカッパカラギーナンである、請求項11〜14のいずれか一項に記載のペットフード製品。

【公開番号】特開2008−148714(P2008−148714A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−39100(P2008−39100)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【分割の表示】特願2002−584721(P2002−584721)の分割
【原出願日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【出願人】(590002013)ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】