説明

単一の可搬性電子デバイス内で複数RFIDタグをエミュレートするための方法とデバイス

本発明は、1つのRFIDタグ質問デバイスに対して、複数のRFIDタグをエミュレートするための方法を提供し、1又はそれ以上のデータセットを格納する、ここで各データセットは、RFIDタグの動作上の特性を定義する、前記1又はそれ以上のデータセットのリストを保持する、前記リスト内の1つのデータセットをアクティブデータセットとして示す、前記RFIDタグ質問デバイスからの質問を受信する、前記質問に応答して、アクティブデータセットに従いRFIDタグの動作をエミュレートする、そして前記リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示す、ためのステップを有する。また、1つのRFIDタグ質問デバイスに対して、複数のRFIDタグをエミュレートするため、1つのRFIDタグの動作をエミュレートするために構成可能な回路、1又はそれ以上のデータセットと前記1又はそれ以上のデータセットのリストを格納することに適したメモリー、ここで各データセットは、RFIDタグの動作上の特性を定義する、そして、ここで前記リスト内の1つのデータセットは、アクティブデータセットとして示される、前記回路と前記メモリーとに接続された制御器、ここで、前記制御器は、前記RFIDタグ質問デバイスからの質問により起動するよう適合される、を有し、前記アクティブデータセットに従い前記回路を構成するため、そして前記リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示すためのデバイスを設ける。さらに、このデバイスを有する可搬性電子デバイスを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の可搬性電子デバイス内で複数RFIDタグをエミュレート(emulating)するための方法とデバイスに関する。特に、前記可搬性デバイスの電源が落ちる、あるいはエネルギー供給の消耗により電力不足となったときの、複数RFIDタグのエミュレーション(emulation)に関連する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるRFID(radio frequency identification)タグは、例えば、ラベル付け商品、ワイヤレスな読取り可能スマートカード内などで使用される応答装置(トランスポンダー)である。RFIDタグは、例えば、鉄道用チケットや、劇場用チケット、あるいは割引券の代わりとなる可能性がある。
【0003】
RFIDタグは、RFIDタグ質問デバイス(interrogation device)、又はRFIDタグリーダー/ライターデバイスによりそれぞれ読取り/書込みができる情報を格納する。当該タグが、鉄道やその他交通機関のチケット、又はオフィスにアクセスするためのアクセス制御情報といった、ユーザーにとって必須となる上記したようなアイテムの代わりとなる可能性があり、タグは全ての状況において有効でなくてはならない。即ち、RFIDタグは、従来の紙のチケット/パスポート、あるいは物質的な鍵に代わるものとして用いられることができる。
【0004】
可搬性電子デバイスは、適切な電子回路と付随するアンテナを用いることにより、RFIDタグの動作をエミュレートすることができる。この電子回路は、可搬性デバイス自体の回路内に統合、あるいは一部としてもよい。これらの場合、可搬性デバイスの回路は、RFIDの機能性を備える。可搬性電子デバイスは、複数のRFIDタグを「格納」できる。即ち、当該RFIDタグをエミュレートするために必要なデータを格納できる。エミュレーションデータは、動作周波数や変調方式、プロトコルなどのエアインターフェースの特性(properties)を定義するデータ、RFIDタグの実データペイロードを定義するデータを有する。そして、RFIDタグ質問デバイスは、RFID回路や付随するアンテナを介し、RFIDタグを記述しているデータを利用できる。
【0005】
しかし、可搬性電子デバイスは、エネルギー供給源、あるいは、かなり容量を制限されたバッテリーから電力を得ている。また、特定の環境下では、当該可搬性電子デバイスは、単に停止されることも起こりえる。例えば、カメラ付き携帯電話の使用が禁止されているオフィスビルを訪問している間である。
【0006】
既に述べたが、RFIDタグは、ユーザーに受け入れられるために、その従来の同等物、即ち、チケットや鍵など、と同じ働きをしなければならない。しかし、従来の紙製チケットや鍵は、当然、電源停止の影響を受けない。それ故、RFIDタグは、可搬性電子デバイスが、意識的に電源を落とす、あるいは、例えば長時間の通話により電源が消耗した時でさえ、有効でなければならない。
【0007】
可搬性電子デバイス内に複数のRFIDタグ、即ち、当該タグをエミュレートするために必要なデータ、を「格納」することを可能とするために、当該可搬性電子デバイスは、RFIDタグをエミュレートするために構成可能(configurable)な回路を有する。本発明に記載の「エミュレートする」とは、個々のRFIDタグと同等の動作をするよう回路が構成される、ことを意味する。そして、回路は、周波数、変調方式、データレートなどのパラメータに関して、全く同一の、あるいは、少なくともそれと互換性のあるエアインターフェースを提供する。さらに、回路は、同一のデータペイロード、即ち、当該のRFIDタグとしてのデータ内容、を送信することも可能にするであろう。それ故に、RFIDタグ質問デバイス(「タグリーダー」)による質問が生じると、回路は、エミュレートされるRFIDタグと全く同じように振舞う。
【0008】
しかし、当該タグを提示することについて責任を持つ回路は、それ自身は、質問が生じたとき、複数の「格納」されたRFIDタグのどれが提示されるべきかを選択することを可能にする何らかの知的なロジックを有さない。この選択、即ち、RFIDタグデータを構成のために回路内に「読み込む」、は、可搬性電子デバイスのプロセッサーにより取り扱われる。しかし、この場合、上記問題が生じる。もし、可搬性電子デバイスの電力がないなら、選択を実行することができない。良くても、エミュレートした最後のRFIDタグに対する構成を保持したままの回路となる。
【0009】
重ねて、可搬性電子デバイスに電力を供給しないと、ユーザーは、そのデバイス内に格納された別のRFIDタグにアクセスすることができない。もし、デバイスが、故意に停止されているのであれば、これは、ユーザーに些細な不便を与えるだけである。ドアを開ける、あるいはオフィスに入室することを可能とするために、PINを入力するなどにより、最初にデバイスを開始することは非常に面倒ではあるが、ユーザーは完全に戸惑うことはない。しかし、デバイスのエネルギー供給が無くなってしまえば、ユーザーは他のタグにアクセスすることなしに、立ち往生しかねない。オフィスや家に入ること(場合によっては、立ち去ることも)、列車を使うこと、劇場に入ることを妨げられてしまうかもしれない。
【0010】
既に述べたが、電子デバイス内の複数RFIDタグを処理するための重要なタスクは、選択プロセスである。即ち、格納されたタグのどれが、特定のRFIDタグ質問デバイスに提示されるべきかの選択である。例えば、RFID質問デバイスより送られる信号の特性を識別することにより、電子デバイスのソフトウェア内の知能を用いて、適切なタグが選択される。あるいは、ユーザーインターフェース自体を通して、ユーザーにより選択される。しかし、これらのアプローチの使用を可能とするためには、可搬性デバイスが電力を持つことが必須である。ユーザーが故意にデバイスを停止しているとき、あるいはデバイスのエネルギー供給が消耗したときは、この限りではない。
【0011】
全ての環境において、格納されたRFIDタグへの操作性を確保するために、ユーザーが全ての格納されたタグにアクセスできるための手段を提供する必要がある。この目的に関連して、2つの主要な問題がある。原理上、専用の知能、即ち、このタスクを実行するための適切な論理回路、を提供することは可能であるが、実情にそぐわない方法で、製品コストを増加させるので、RFIDタグとの組み合わせは好ましくない。
【0012】
更に重要となるであろうもう一つの問題は、そのような知的論理回路への電力供給である。上記問題のため、当該のRFIDタグエミュレーション回路が組み込まれえているデバイスの電力供給のみに依存することは不可能である。いわゆるパッシブRFIDタグは、内部電力供給を有さない。それらは、電磁波の質問信号により、完全に電力を得る。しかし、当該質問信号により供給され得るエネルギー量は極めて低い。複数の格納されたタグの中からの選択を可能とするために必要となる複雑な回路は、この低エネルギー量から電力を得ることができない。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、上記の単一の可搬性電子デバイス内でRFIDタグの選択、提示/エミュレーションに関する問題を解決するための方法とデバイスを提供する。本発明により、自身の電子デバイスを最初に開始する必要がなく、またデバイスの電力供給が消費された状態においても、ユーザーは任意の格納されたRFIDタグを利用することが可能となる。
【0014】
本発明は、単一の可搬性電子デバイス内で複数RFIDタグを処理するための手段を提供する。当該複数RFIDタグの処理を可能とするため、電子回路が用いられる。当該電子回路は、可搬性電子デバイスにより(アクティブモード)、あるいはタグ質問デバイスからの質問信号により(パッシブモード)、電力を得ることができる。低電力の質問信号は、可搬性電子デバイスに対しても、電力を供給するほどには強力ではない。
【0015】
それゆえに、電力を携帯電話から供給できない場合、インターフェースASIC(application specific integrated circuit)を、電力の「壁」(自立した電力領域の分離帯)として使うことができる。当該インターフェースASICは、RFID質問器(interrogator)から誘発される電流により動作できるよう、出来る限り少量のロジックを包含する必要がある。
【0016】
しかし、このタイプの現状の電子回路は、通常、1回に1つのタグに対処できるのみである。即ち、各タグが使用される前に、可搬性電子デバイスにより、正しいタグが電子回路内に「ダウンロード」あるいはプログラムされなければならない。可搬性電子デバイス、例えば携帯電話、が停止したり、バッテリー電力が消費されたとき、電子回路は、どの格納されたRFIDタグを質問デバイスに提示すべきかを決定することができず、最後にプログラムされたものを提示することができるだけである。このため、長時間の通話などにより、電話バッテリーが消費されてしまったとき、ユーザーは、提示すべきRFIDタグを選定することができない。通常、最後に使用されたRFIDタグが、利用できる唯一のものになる。例えば、もし、ユーザーが、直前に、劇場用チケットRFIDタグを使用したのなら、電話内の自身の列車チケットにアクセスできず、交通手段へのアクセスができないまま立ち往生する恐れがある。
【0017】
主な問題は、電子RFIDエミュレーション回路自体が、内部にわずかの知能を持つだけなので、格納されたタグ間での選択できないことである。当該知能は、適当な回路を追加することにより、電子回路に追加することができるが、これにより、当然、コストが増加し、妥当なレベルを超えて、電子回路に対する電力要求を増加させるであろう。しかし、電子回路の電力消費は、質問デバイスにより供給される電力より高くなってはならず、そうでないと、電子回路は適切に動作できない。
【0018】
それゆえ、現在、電子回路は、携帯電話により最後に電力を与えられた際のタグを提示できるのみで、このため、その他のタグを選択する問題は、何らかの方法により携帯電話から供給される電力なしには、従来技術では解決できない。
【0019】
それゆえ、本発明の目的は、デバイスの電力なしモード、又は電力停止状態において、単一の可搬性電子デバイス内で複数RFIDタグのエミュレーションを可能とするための方法とデバイスを提供することである。
【0020】
1つの観点に従い、1つのRFIDタグ質問デバイスに対し、複数RFIDタグをエミュレートするための方法を提供する。この方式は、RFIDタグの動作をエミュレートするために構成可能な回路とメモリーを有するデバイスと共に使用されるべきである。この方法は、次のステップを有する。
・ 1又はそれ以上のデータセットを格納する。各データセットは、1つのRFIDタグの動作上の特性を定義する。
・ 1又はそれ以上のデータセットのリストを保持する。
・ リスト内の1つのデータセットをアクティブデータセットとして示す。
・ RFIDタグ質問デバイスからの質問を受信する。
・ 質問に応答して、アクティブデータセットにより定義されるRFIDタグの動作をエミュレートする。
・ リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示す。
本発明の方法は、特に、可搬性デバイスの電力なし状態において、単一の可搬性電子デバイス内で複数RFIDタグの使用とタグへのアクセスを可能とする。
【0021】
1つの典型的な実施例において、別のデータセットは、リスト内の後に続くデータセットである。1データセットのみ存在するとき、後に続くデータセットは、このデータセットである。
【0022】
1つの典型的な実施例において、RFIDタグ質問デバイスは、書込み機能を有し、本方法は更に次のステップを有する。
・ RFIDタグ質問デバイスから書込みアクセスを受信する。
・ 書込みアクセスに応答して、リスト内の前のデータをアクティブデータセットとして示す。
・ 書込みアクセスに従い、アクティブデータセットを変更する。
この方式により、読取り−書込み−検証手順が可能となる。即ち、そのタグは、それが前に提示されたところへ書き込まれる。この結果、その他のタグと干渉することは、効果的に回避される。
【0023】
1つの典型的な実施例において、別のデータセットは、リスト内の前にあるデータセットである。1データセットのみ存在するとき、前にあるデータセットは、このデータセットである。
【0024】
1つの典型的な実施例において、本方法は、更に以下を有する。
リスト内のあらかじめ決められたデータセットをアクティブデータセットとして示す。付加的な処理能力、及び/又はユーザー入力手段を有する携帯電話のような可搬性電子デバイス内で実行されるとき、可搬性デバイスあるいはユーザーのどちらかが、別のデータセットをアクティブとして示すことを可能とする。即ち、例えば、リストの初期化において、最初に提示すべき、リストのデータセットを選択する。次回使用時に、RFIDタグ提示手順の速度を上げるために、例えば、可搬性デバイスの電力があるならば、次に質問デバイスに提示すべきタグを、そのようにして選択することができる。これは、「電力停止デフォルト」設定の利用を可能とする。これは、本発明によるデバイスの以下の実施例と共に説明される。
【0025】
1つの典型的な実施例において、本方法は、さらに次を有する。
・ リスト内のデータセットの順序を再配列する。
これは、格納されたRFIDタグが繰り返えされる連続性を変えることを可能にする。リストは、後で説明する多様なパラメータに基づき、新たな順序で与えられる。順序を変えることは、リスト内の1又はそれ以上のデータセットの位置を再配列することを意味する。
【0026】
1つの典型的な実施例において、本方法は、さらに次を有する。
・ 1又はそれ以上のデータセットがアクティブデータセットとして示された頻度を示す値を保持する。ここで、再配列は、この値に従い実行される。
最も頻繁に使用されるタグは、次回の質問手順の間、提示されるべきタグである最大の確率を持つことは起こりえるので、これは、後の速度を上げる手助けとなる。
【0027】
1つの典型的な実施例において、本方法は、さらに次を有する。
・ 1又はそれ以上のデータセットがアクティブデータセットとして示された使用履歴を保持する。ここで、再配列は、この使用履歴に従い実行される。
これは、例えば、どのデータセットが最後/最初に使用されたかの経過を追跡し、これに従いリストを再配列することにより、例えば、質問手順の速度を上げるために、繰返されるリストに対しFIFO(first in first out)やLIFO(last in first out)などの方法を、例えば、構築することを可能とする。
【0028】
1つの典型的な実施例において、本方法は、さらに次を有する。
・ データセットの1つを示すユーザー入力を受信する。
・ ユーザー入力に従い、リスト内の示されたデータセットを再配列する。
ユーザーは、リスト内の特定データセットを再配列するための可能性を、有利に、与えられるべきである。
【0029】
1つの典型的な実施例において、本方法は、さらに以下を有する。
・ データセットにより定義された動作上の特性に基づき、1又はそれ以上のデータセットのタイプを決定する。ここで、再配列は、このタイプに従い実行される。
RFIDタグのタイプ(読取りのみ、書込み可、単一使用、複数使用、エアインターフェース標準、など)は、リストのエントリーを再配列することに適した別のパラメータである。
【0030】
典型的な実施例において、アクティブデータセットの指示は、ポインターを格納すること、又は格納されたポインターを更新することを有する。ここで、ポインターは、どれがアクティブデータセットかを表示する。ポインターの使用、例えば、簡単には、格納されたデータセットの番号は、1つのデータセットをアクティブとして示すための便利で、簡単な方法である。更新は、カウンターを増加させる、あるいは減少させることにより行われる。これは、1カウンターとも呼ばれる。
【0031】
本発明の別の観点によれば、上記方法を実行するためのプログラムコード手段を有する、コンピュータープログラムプロダクトが提供される。
【0032】
更なる別の観点によれば、上記方法を実行するための、コンピューター読取り可能な媒体上に格納されたプログラムコード手段を有する、コンピュータープログラムプロダクトが提供される。
【0033】
更なる別の観点によれば、搬送波内に包含され、上で述べた方法を実行するためのプログラムコード手段を有するプログラムを表す、コンピューターデータ信号が提供される。
【0034】
本発明の更なる観点によれば、1つのRFIDタグ質問デバイスに対し、複数RFIDタグをエミュレートするためのデバイスが提供される。デバイスは、次を有する。
・ RFIDタグの動作をエミュレートするよう構成可能な回路。
・ 1又はそれ以上のデータセットを格納することに適したメモリーと1又はそれ以上のデータセットのリスト。ここでは、各データセットはRFIDタグの動作上の特性を定義し、リスト内の1データセットがアクティブデータセットとして示される。
・ 当該回路と当該メモリーに接続された制御器。ここでは、制御器は、RFIDタグ質問デバイスからの質問により起動され、示されたデータセットに従い回路を構成し、リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示すよう適合される。
【0035】
このデバイスは、可搬性電子デバイス内の本発明の上記方法を実行することを可能にする。回路、メモリー、制御器は、適切なASICにより実装できる。
【0036】
1つの典型的な実施例において、別のデータセットは、リストの後に続くデータセットである。
【0037】
1つの典型的な実施例において、RFIDタグ質問デバイスは、書込み能力を有し、制御器は、さらにRFIDタグ質問デバイスによる書込みアクセスにより起動され、リスト内の前のデータセットをアクティブデータセットとして示し、そして、書込みアクセス起動に応答して、書込みアクセスに従いアクティブデータセットを変更するよう適合される。
【0038】
1つの典型的な実施例において、前のデータセットは、リスト内の前にあるデータセットである。
【0039】
1つの典型的な実施例において、各データセットは、次を有する。
・ RFIDタグのエアインターフェース特性を定義しているヘッダー部
・ RFIDタグのデータペイロードを定義している本体部
【0040】
1つの典型的な実施例において、制御器は、メモリー内のポインターを格納することにより、あるいは、メモリー内に格納されたポインターを更新することにより、アクティブデータセットを示すことを実行するよう適合される。ここで、ポインターは、アクティブデータセットを示す。
【0041】
1つの典型的な実施例において、本発明のデバイスは、インターフェースASICとして実装することができる。メモリーと制御器は、製品コストを節約し、電力消費を最小とするために、単一のASIC内に、効果的に集約することができる。
【0042】
1つの典型的な実施例において、上記デバイスは、可搬性電子デバイス内に統合される。ここで、可搬性電子デバイスは、あらかじめ決められたデータセットをアクティブデータセットとして示すよう適合される。
【0043】
1つの典型的な実施例において、上記デバイスは、可搬性電子デバイス内に統合される。ここで、可搬性電子デバイスは、リスト内のデータセットの順序を再配列するよう適合される。
【0044】
1つの典型的な実施例において、可搬性電子デバイスは、1又はそれ以上のデータセットがアクティブデータセットとして示された頻度を示す値を保持し、そして、当該値に従い再配列を実行するよう適合される。
【0045】
1つの典型的な実施例において、可搬性電子デバイスは、1又はそれ以上のデータセットがアクティブデータセットとして示され、そして、使用履歴に従い再配列を実行するよう適合される。
【0046】
1つの典型的な実施例において、可搬性電子デバイスは、データセットの1つを示すユーザー入力を受信するよう適合されたユーザー入力手段を有する。ここで、可搬性電子デバイスは、ユーザー入力に従い、再配列を実行するよう適合される。
【0047】
1つの典型的な実施例において、可搬性電子デバイスは、データセットにより定義される動作上の特性に基づき1又はそれ以上のデータセットのタイプを決定し、そして、当該タイプに従い、再配列を実行するよう適合される。
【0048】
1つの典型的な実施例において、可搬性電子デバイスは、「電力停止デフォルト」オプションを持つことができる。即ち、可搬性デバイスの電力停止期間中、デフォルト設定に従い、あらかじめ決められたデータセットがアクティブとして自動的に示されるよう、デフォルト設定が選ばれる。そうすると、例えば、もしユーザーが自身のデバイスを停止する前にデフォルトデータセットに変更することを忘れたとしても、ユーザーは最初に表示されるべきタグを事前設定することができ、これは、質問処理の速度を上げる手助けとなるであろう。
【0049】
(発明の詳細な記述)
本発明のデバイスは、携帯電話のメモリーやプロセッサーに依存することなく、全ての可能性あるタグとのアクセスを持てるように、複数タグを格納できる必要がある。質問デバイスにどのタグを提示するかを決めるために、カウンター又はポインターが、利用可能なタグ内を循環するために使用される。
【0050】
導入部で述べたように、ユーザーが自身の列車チケットにアクセスしたいという例を参照すると、ユーザーは、3回まで質問デバイスを駆動させなければならないであろう。そして、正しいタグが提示され、ユーザーは自身の格納されたタグにアクセスを有することになる。
【0051】
全ての(初期)設定が携帯電話プロセッサーにより実行されると、ポインター管理は、電子回路内で要求される追加の管理のみとなるので、この配列、即ち、全てのタグにアクセスできるために、単に利用可能なタグを介して循環させることは、基本的な電子回路(たとえば、インターフェースASIC)上で、最小限の追加処理能力と電力消費を必要とする。
【0052】
ポインターは、電子回路の質問に対し、どの格納されたタグを質問デバイスに提示すべきかを示すために使用される。電子回路が、読取り動作により起動されるたびに、ポインターは、次のタグを参照するためにセットされ、このタグを「アクティブタグ」とする。この方法で、提示すべきタグ、あるいはアクティブタグは、利用可能なタグを介して循環し、各々順番にアクセスを与える。書込み動作では、実際の書込み動作が実行される前に、ポインターは、前のタグに移動できる。それにより、書き込まれるタグは、先に読取られたものとなる。このように、読取り−書込み−検証手順は、他の格納されたタグを混乱させることなく、処理される。
【0053】
しかし、これは、いつポインターのインクリメントが行われるかに依存する。後に続く実施例もまた、本発明として可能である。READ+MODIFY動作が実行され、終了後、ポインター/カウンターのインクリメントとなる。あるいは、WRITE動作が終了した後、あるいは、実行すべきWRITE動作がないことを発見した後のみ、インクリメントが行われる。これらのケースでは、ポインターの「設定の戻し」を行う必要はない。
【0054】
電力がない間、もちろん、ポインターは、不変でなければならないことに注意すべきである。
【0055】
リストは、メモリー内に複数タグを位置付けるために使われる。リストは、各タグのメモリー内の開始位置のようなアクセスデータ、ペイロードデータ自体の長さと共に、有効なタグの数を格納する。1つの実施例において、このリストは、アクセスされるべきRFIDタグを位置付けるために、ポインターと共に使用される。
【0056】
タグヘッダーが格納される実施例では、タグヘッダーは固定サイズのもので、エミュレートされるべきタグにより要求されるエアインターフェース設定を格納するために使用される。即ち、エミュレートされるべき各タグのエアインターフェースの特性が、ヘッダー内に格納される。これらの特性は、動作周波数、送信レート、サポートされる機能、変調方式や、エアインターフェースに関連したその他のパラメータを包含することができる。電子回路は、このため、質問デバイスにより要求される適切なプロトコル内のタグペイロードデータを提示することが可能となる。
【0057】
このように、異なるRFID標準/プロトコルなどのタグは、携帯電話による調整の必要なしに、同一の電子回路内に収容できる。電子回路が起動されると、要求された標準を順守するよう電子回路を構成するために、現RFID タグに対して格納された構成が使用される。
【0058】
本発明の代わりの実施例では、電子回路は、ただ1つのRFIDタグエアインターフェースフォーマット又は標準を使用することもできる。この場合、エアインターフェースは、固定的に使用される標準によりあらかじめ決められるので、データセット内で、ヘッダー部を完全に省略することさえできる。しかし、利用可能な標準がいくつかあるとき、1つのデバイス内で異なる標準に適用できることは有利である。
【0059】
そのタグに格納されるデータの長さとデータの最大の長さもまた、タグヘッダー内に格納される。書込み可能な質問デバイスからの書込みアクセスによる、タグデータの拡張を許可するため、少量の空き空間をデータペイロード部の最後に割り当てることができる。
【0060】
携帯電話の電源がある限り、適切なデータセットを参照するためのポインターを設定することにより、携帯電話は、提示されるべきデフォルトのタグを選定することができる。
【0061】
ASIC内に複数のタグを格納することをユーザーに許可することは、インターフェースASIC内に、同一タグの複数コピーを格納するという可能性を有する。金銭の値がタグに付随されているとき、例えば、質問デバイスにより無効化出来ない列車チケットの複数コピー、これはセキュリティー問題の原因となりうる。
【0062】
この問題を解決するため、携帯電話は、デバイス内に格納された全てのタグが唯一のものか確認する必要がある。しかし、この問題の解決策は、簡単で安価であり、現在のRFID方法と適合する。
【0063】
図1において、本発明の方法の基本的な実施例が示される。ステップ102で開始後、ステップ104で、1又はそれ以上のデータセットがメモリー内に格納される。ステップ106でデータセットのリストが保持され(初期は構築され、後は適宜更新される)、データセットの1つがアクティブとして示される(ステップ108)。これらデータセットの全てが、RFIDタグの動作上の特性を定義する。詳細は図3に示される。RFIDタグの「動作上の特性(operational properties)」という語句は、本発明の記載において、当該のRFIDタグの振る舞いをエミュレートするために必要な全てのパラメータを表すものとして、理解されるべきである。
【0064】
対応する電子回路の実際の実装によるが、通常、電子回路は全てのエアインターフェース特性(周波数、変調パターンなど)を有する。しかし、代わりの実施例では、もし先に述べたように、エアインターフェースが1つのフォーマット/標準で固定であるなら、動作上の特性は、実際のペイロードに縮小できる。
【0065】
好ましくは、これら特性は、2つの主なる部分を有する。第1のデータ部分は、RFIDタグのエアインターフェースに係る。即ち、動作周波数、変調方式、使用されるプロトコルなどのパラメータが、この部分で定義される。第2の部分は、タグ自身のデータ内容に係る。即ち、データペイロードそのものである。既に述べたことであるが、RFIDタグには様々な使用が考えられる。特定のRFIDタグの特有のアプリケーションに応じて、ペイロードは、任意の人物を識別するための識別データ、例えば、アクセス制御用、あるいは、列車又は劇場チケットを表すデータ、あるいは、その他周知のRFIDタグ内容を有する。
【0066】
各タグが書込み可能、即ち、そのデータ内容が書込み可能な質問デバイスにより変更できる、である場合、予備の空白部分を提供することもできる。これは、各タグに対し書き込むことができる一定量の付加データを提供する。言い換えると、予備の空白空間が、どの程度のデータを任意のタグに付加できるかを決定する。
【0067】
データセットのリストは、複数のエントリーを有し、各々は、格納されたRFIDタグの1つと関連される。各エントリーは、少なくとも固有の識別子を包含し、これは、各データセットの番号、メモリー内の開始位置、長さである。任意には、タグペイロードデータにおける最大許容長さも含めることができる。後者は書込み可能なタグに関連し、ここでは、ペイロードデータは、メモリー内の既定の全長を超過しない。データセットのリストは、順序付けられたリストであり、即ち、エントリーは連続的な方式で配列される。特定の実施例においては、どのエントリーが「後に続く(subsequent)」又は「前にある(preceding)」エントリーかを選択するための過度に複雑なロジックを実装する必要がないよう、本発明のデバイスは、リスト内の1つのデータセットエントリーを参照するようにポインターをリセットすることが求められる。
【0068】
例えば、現在、ただ1つのRFIDが格納されているとき、通常は1つ以上だとしても、本発明は、単一の格納されたRFIDタグのみに対し動作することもできる。しかし、現在、1つのタグのみが存在する状況がある。1データセットのみが存在する状況では、「後に続く」又は「前にある」という用語は、この同じデータセットを参照すると理解すべきである。
【0069】
ステップ110において、RFIDタグ質問デバイスによる質問が受信される(このステップは、質問が生じるまで、ループされあるいは繰り返される)。即ち、本発明のデバイスの回路は、質問信号により、起動される、あるいは電力を受ける。質問されると、回路は、例えば1つの実施例において、ポインターにより参照され、アクティブとして示されたデータセットに従い、(再)構成される(ステップ112)。回路は、アクティブデータセットにより定義される各タグをエミュレートする状態となる。
【0070】
ステップ114において、別のデータセットがアクティブとして示される。例えば、ポインターは進んで設定される。本発明に記載の「別の(another)」は、通常、リスト内の後に続くデータセットを意味する。しかし、その他の実施例では、アクティブとして示されるデータセットを、異なる方法で選択することもできる。例えば、タグタイプ、タグ使用の頻度、タグ使用履歴(FIFO、LIFO順)などである。
【0071】
注意することとして、「後に続く」/「前にある」とは、リストが処理される方向を指すのみである。これを、本発明を制限するものとして理解すべきではない。例えば、上記したデータセットのインジケータ(indicator)が、番号(1, 2, 3, …)、あるいは、可能なら文字(a, b, c, …)であるなら、リストを降順(1 → 2 → 3 → … /a → b → c → …)又は昇順のどちらかで処理することができる。インジケータは、出来る限り短い方が好ましい。ポインターの(再)設定時において、管理の作業を最小化することが求められる。
【0072】
ステップ116において、構成された回路、点線で示される、は、RFIDタグ質問デバイスにより読取られる。このステップは、ステップ112と114の間に置くこと、あるいはステップ110と共にすることもできる。このステップ116は、本発明自身の一部ではないので、ここでは点線で示される。
【0073】
そして、プロセスは、ステップ110に戻り、続行される。これは、通常、本発明のデバイスを有する可搬性電子デバイスが、RFIDタグ質問デバイスの動作範囲から除かれたことを意味する。もし希望するタグが、これまでに提示されたのなら、プロセスはここで終了となる。しかし、もしタグが、ユーザーが提示したいものでないなら、ユーザーは、再度、少なくとも1回はステップ110から116の方法を繰り返さなければならない。最悪の場合でも、ユーザーは、自身の可搬性電子デバイス内に格納されているタグと同数の処置だけ繰り返す必要がある。例えば、5つの異なるRFIDタグの場合、5回である。
【0074】
さらに注意すべきこととして、前述と後述の記載は、主に、アクティブデータセットを参照するリストとポインターが、リストを保持することに使用される、という実施例に焦点を合わせていることである。しかし、本発明はこの典型的な実施例に限定されず、アクティブデータセットを他の手段により記録することもできる。例えば、各データセットヘッダー内の「アクティブ」フラグなどによってである。
【0075】
本発明の方法による上記実施例は、可搬性電子デバイスが意識的に停止された場合においても有効であるが、可搬性デバイスが不十分なバッテリーにより電力なしとなり、ユーザーがデバイスに電力供給できないとき、本発明は特に有効である。従来技術でのように、重要なRFIDタグにアクセスできず、立ち往生してしまう代わりに、ユーザーは、必要な回数分、自身の可搬性デバイスをRFIDタグ質問デバイスに提示することにより、一種の「緊急」タグ読取り処置を実行することができる。どのような条件化でも、最終的に、「正しい」 RFIDタグを提示できる。
【0076】
図2は、本発明の方法の高度な実施例による変形を表す。処理は、ステップ202において開始する。ここでは、図1における予備的なステップ104は既に実行されていると仮定する。これは、本実施例において実行する必要はないが、図1に係る全体の手順は既に実行されている。ステップ204において、書込みアクセスが、書込み可能なRFIDタグ質問デバイスから受信される(あるいは、このステップは、当該書込みアクセスが生じるまで繰り返される)。ステップ206において、前のアクティブデータセットがアクティブとして示される。例えば、ポインターは戻ってセットされる。即ち、リスト内の前にあるデータセットを参照するようセットされる。この特別の更新は必要であることに注意すべきである。本発明は、当該の可搬性電子デバイスの電力がない場合に最も有効であるので、ユーザーは、例えば、可搬性デバイスのディスプレーを通して、どのタグが、現在、エミュレーション回路を構成するために使用されているのかを認識することができない。
【0077】
これは、純粋な読取りアクセスとは無関係であるが、書込みアクセスには非常に関係する。間違ったタグへの何かの書込みアクセスは避けるべきであることは、明白である。セッションIDの使用などのように、タグが、正しくない内容で誤って上書きされることを回避するための既知の技術がある。これらの技術は、それ自体周知であり、それゆえに、ここでこれ以上詳しく述べるべきではない。しかし、ユーザーは、どのタグに書き込まれるかを認識するための可能性を与えられるべきである。それゆえ、本発明は、読取り−書込み−検証手順を可能とするために、記述された順位を使用する。例えば、3回の乗車に相当する金額を有する列車チケットの場合、ユーザーは、列車RFIDタグが現れるまで、まず、タグ間を繰り返す。
【0078】
これは、おそらくディスプレーを有するタグ質問デバイス、支払機のようなもの、により表示されるべきである。質問デバイスは、現在でも、ユーザーに、「現在の乗車をタグから引き落とすか」のような選択を提示することができる。ユーザーによる同意の上、支払機などは、相当のタグ内容を再書込みできる。最終的に、ユーザーは、引き落とし手順が正しく実行されたかを確認するために、単に自身の可搬性デバイスを、再び提示することにより、質問デバイスを再度使用することができる。全ての読取りアクセスに対して、図1と合わせて記述された方法が使用できる。
【0079】
しかし、これは、いつポインターのインクリメントが実行されるかに依存することに注意すべきである。先に述べたように、以下の例も可能となり得る: 最後に、インクリメントとREAD+MODIFY。あるいは、WRITEが行われた後、又はWRITEが行われる必要がないことがわかった後のみ、インクリメントが実行される。これらの場合には、ポインターの「設定の戻し」を行なう必要がない。
【0080】
図3は、本発明の複数タグエミュレーションデバイスを有する可搬性電子デバイスの概略ダイアグラムである。ここでは、可搬性電子デバイスは、携帯電話10として図示される。しかし、本発明は、MP3プレーヤー、スマートフォーン、PDA、ノートブックコンピュータなど、その他可搬性電子デバイスに適用することもできる。回路2が装備され、特定のRFIDタグの振る舞いをエミュレートするために構成できる。当該回路は、アプリケーション特定回路ASICとして、実装することができる。
【0081】
メモリー4は、少なくとも2つのデータセットを格納するために設けられる。ここで、各データセットは、RFIDタグの特性を定義する。先に述べているが、これは、当該RFIDタグのエアインターフェースパラメータや実データペイロードを参照する。制御器6は、メモリー4と回路2に接続する。メモリー4の内容は、既に説明している。より詳細な記述は図4に示される。制御器6は、RFIDタグ質問デバイス8による質問手順において、前記回路2により電力を与えられるように適合される。そして、RFID質問信号12は、回路2を起動し、回路が制御器6にも電力を与えることを可能とさせる。
【0082】
望ましくは、本発明のデバイスは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として実装され、メモリーと制御器はASIC内に統合される。これは、コストと電力節約の点から有利となる。
【0083】
本発明の方法と合わせて既に記載したが、質問に応答し、制御器6は、メモリー4内の格納されたRFIDタグの1つに従い、回路2を構成する。この動作を実行するために、制御器6は、メモリー4内に格納されたポインター、これはメモリー4内のデータセットの1つを参照する、を読取らなくてはならない。データセットにより定義された特性を使用し、回路2を構成するために、制御器6は、各データセットにアクセスすることが可能である。
【0084】
回路が、当該のデータセットに従い(再)構成されるとき、RF応答信号14が生成され、RFIDタグ質問デバイス8に放射される。応答信号14の実際のタイプ、これはデータセットにより定義される特性に依存する、に応じて、RFIDタグ質問デバイス8は応答を受諾する、又はしない。RFIDタグ質問デバイス8は、例えば、何かのアクセス制御デバイスであり、ここでは適切な応答が鍵として機能する。
【0085】
制御器6は、さらにメモリー4内のポインターを、データセットのリスト内の後に続くエントリーに再設定するよう適合される。もし応答信号14が適切なものでないなら、制御器は、可搬性デバイスのユーザーが、RFIDタグ質問デバイス8からそれを取り除き、そして再度、そこに取り入れることを可能にする。本発明のRFID タグエミュレーションデバイスを有するデバイス10は、内部電力源に頼ることなく、全ての格納されたタグを提示するために使用できる。
【0086】
(示されていない)高度な実施例において、可搬性デバイス10は、内部電力源、中央プロセッサー、ディスプレー、ユーザー入力手段を有することもできる。それゆえに、ここでは詳細を記述すべきではない、これら従来の手段をもって、ユーザー及び/又は可搬性デバイスは、ポインターとデータセットのリストの両方を操作することが可能となる。例えば、可搬性デバイスは、特定の格納されたRFIDタグが使用された頻度を追跡し、リスト内の対応するデータセットの位置を再配列し、あるいは、少なくともその特定のデータセットを参照するためのポインターを再設定できる。
【0087】
この方法により、次回、ユーザーが自分の可搬性デバイスを1つの質問デバイスに提示する時、エミュレーション回路2がエミュレーションするために構成する最初のRFIDタグが、要求されたものとなる可能性は高まるであろう。格納されたRFIDタグあるいはそれらの特性の順序付けリストであるリストは、特定タグが使用される頻度のようなパラメータに従い、再順序付け/再配列することができる。この再配列で使用されるその他のパラメータは、タグの使用履歴、即ち、どれが最初/最後に使用されたか、あるいは、特定のRFIDタグのタイプ(読取りのみ、書込み可能、データ内容/ペイロードのサイズ、エアインターフェース標準など)、を含む。即ち、最もありそうなRFIDタグが最初にエミュレートされる可能性を上げるために、ポインターを再設定する、及び/又はリストを再配置するために使用される何かのパラメータが、本明細書内で用いられる。例えば、FIFO(first in first out)あるいはLIFO(last in first out)方法を実装することができる。
【0088】
本発明の1つの実施例において、手動でポインターを再設定する、及び/又はデータセットの並びを再配列するための手段をユーザーに提供することも可能である。各可搬性デバイスのユーザーインターフェースの複雑度に応じて、これを実現するための多くの可能性がある。最も簡単な方法として、ユーザーはデータセットの1つを示し、可搬性デバイスは、このデータセットを1位置分、上下に移動させ、リストのどちらかの端に置く、あるいはそのデータセットを参照するためのポインターを設定する。このようなリスト配置/ポインターの再設定を実現するその他の考えられる方法は、当業者にとっては明白であり、本発明の目的内に含まれるものである。
【0089】
図4は、デバイス内で使用されるメモリーの構造と本発明の方法を示す。この場合、メモリー4(図3を参照)は、タグ1、2、3で参照される3つのデータセット26を格納する。メモリーは、さらに、リスト24を格納する。これは、格納されたデータセット26の順序付けリストを有する。本図の右側に示されるように、リストは、各タグに対して、少なくともインジケータ(例えば、番号)、メモリー4内のタグの開始位置、タグの長さ(任意として、書込み可能タグの最大長さ)を有する。開始位置と長さは、タグエミュレーション回路を構成するために必要な各データにアクセスするために必要なパラメータである。即ち、リストは、制御器が適切にタグを処理することを可能にする、全ての必要な管理情報を有する。
【0090】
各データセット26は、ヘッダー部28、本体部30、任意には空白部分32を有する。ヘッダー部28は、RFIDタグのエアインターフェースの特性を定義する。即ち、周波数、変調、データレート、使用されたプロトコルなどのパラメータである。本体部30には、実データ内容、例えば、列車チケット、アクセス制御などの情報、が格納される。このデータ部において、タグが書込み可能の場合、データを書き込む/上書きすることもできる。データセット26により記述されたRFIDタグが、そのデータ内容に書き込みされるタグである場合、予約された空白部分32が提供される。
【0091】
これは、書込みアクセスが生じた場合、そのサイズに応じて、データ内容が増加されることを可能とする。タグは、その他のタグを上書きすることなく、書込み動作中に、拡張される。しかし、この空白部分32の容量もまた、このタグデータセットに書き込むことができるデータの最大量で制限される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明による方法の実施例のフローダイアグラムを示した図である。
【図2】本発明による方法の別の実施例のフローダイアグラムを示した図である。
【図3】本発明によるデバイスの実施例の概略を示した図である。
【図4】本発明のデバイスの実施例のメモリー内部の構造の概略を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又はそれ以上のデータセットを格納し、各データセットは、RFIDタグの動作上の特性を定義し、
前記1又はそれ以上のデータセットのリストを保持し、
前記リスト内の1つのデータセットをアクティブデータセットとして示し、
RFIDタグ質問デバイスからの質問を受信し、
前記質問に応答して、該アクティブデータセットに従い、該RFIDタグの動作をエミュレートし、
前記リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示す、
ステップを有する、1つのRFIDタグ質問デバイスに対し、複数のRFIDタグをエミュレートするための方法。
【請求項2】
前記別のデータセットが、前記リスト内の後に続くデータセットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RFIDタグ質問デバイスは、書込み機能を有し、
前記RFIDタグ質問デバイスからの書込みアクセスを受信し、
前記書込みアクセスに応答し、前記リスト内の前のデータセットをアクティブデータセットとして示し、
前記書込みアクセスに応じて該アクティブデータを変更する、
ステップを更に有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記前のデータセットは、前記リスト内の前にあるデータセットである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リスト内のあらかじめ決められたデータセットをアクティブデータセットとして示す、
ことを更に有する、請求項1−4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リスト内の前記データセットの順番を再配列する、
ことを更に有する、請求項1−5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1又はそれ以上の前記データセットが、アクティブデータセットであった頻度を示す値を保持し、該値に応じて前記再配列を実行する、
ことを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1又はそれ以上の前記データセットが、アクティブデータセットであった使用履歴を保持し、該使用履歴に応じて前記再配列を実行する、
ことを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記データセットの1つを示すユーザー入力を受信し、
該ユーザー入力に従い、前記リスト内の該示されたデータセットを再配列する、
ことを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記データセットにより定義された前記動作上の特性に基づき、1又はそれ以上の前記データセットのタイプを決定し、該タイプに応じて前記再配列を実行する、
ことを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
アクティブデータセットの前記指示が、ポインターを格納し、あるいは格納されたポインターを更新し、該ポインターは、該アクティブデータセットを示す、
ことを有する、請求項1−10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータープログラムプロダクトがコンピューター又はネットワークデバイス上で動作するとき、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段を有する、コンピュータープログラムプロダクト。
【請求項13】
プログラムプロダクトがコンピューター又はネットワークデバイス上で動作するとき、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実行するために、コンピューター読取り可能な媒体上に格納されたプログラムコード手段を有する、コンピュータープログラムプロダクト。
【請求項14】
プログラムプロダクトがコンピューター又はネットワークデバイス上で動作するとき、搬送波内に包含され、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段を有するプログラムを表す、コンピューターデータ信号。
【請求項15】
RFIDタグの動作をエミュレートするために構成可能な回路、
1又はそれ以上のデータセット、及び1又はそれ以上の該データセットのリストを格納することに適したメモリーであって、各データセットはRFIDタグの動作上の特性を定義し、該リスト内の1つのデータセットはアクティブデータセットとして示されるメモリー、
前記回路と前記メモリーに接続された制御器を有し、
該制御器は、RFIDタグ質問デバイスからの質問により起動され、前記アクティブデータセットに従い前記回路を構成し、前記リスト内の別のデータセットをアクティブデータセットとして示すよう適合されている、
1つのRFIDタグ質問デバイスに対し、複数のRFIDタグをエミュレートするためのデバイス。
【請求項16】
前記別のデータセットが、前記リスト内の後に続くデータセットである、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記RFIDタグ質問デバイスは、書込み機能を有し、前記制御器は、前記RFIDタグ質問デバイスからの書込みアクセスにより起動し、前記リスト内の前のデータセットをアクティブデータセットとして示し、該書込みアクセス起動に応答し、該書込みアクセスに従い該アクティブデータセットを変更するよう更に適合される、請求項15又は16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記前のデータセットは、前記リスト内の前にあるデータセットである、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
各データセットは、
前記RFIDタグのエアインターフェース特性を定義するヘッダー部、
前記RFIDタグのデータペイロードを定義するための本体部、
を有する、請求項15から18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記制御器は、前記メモリー内のポインターを格納することにより、あるいは前記メモリー内に格納されたポインターを更新することにより、アクティブデータセットの前記指示を実行するよう適合され、前記ポインターは、前記アクティブデータセットを示す、請求項15から19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
インターフェースASIC(Application Specific Integrated Circuit)として実装される、請求項15から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
可搬性電子デバイスがあらかじめ決められたデータセットをアクティブデータセットとして示すよう適合された、請求項15から21のいずれか1項に記載のデバイスを有する可搬性電子デバイス。
【請求項23】
可搬性電子デバイスが前記リスト内の前記データセットの順番を再配列するよう適合された、請求項15から21のいずれか1項に記載のデバイスを有する可搬性電子デバイス。
【請求項24】
前記可搬性電子デバイスが、1又はそれ以上の前記データセットがアクティブデータセットとして示される頻度を示す値を保持し、該値に応じて前記再配列を実行するよう適合された、請求項22又は23に記載の可搬性電子デバイス。
【請求項25】
前記可搬性電子デバイスが、1又はそれ以上の前記データセットがアクティブデータセットとして示される使用履歴を保持し、該使用履歴に応じて前記再配列を実行するよう適合された、請求項22から24のいずれか1項に記載の可搬性電子デバイス。
【請求項26】
前記可搬性電子デバイスが、前記データセットの1つを示すユーザー入力を受信することに適したユーザー入力手段を有し、前記可搬性電子デバイスが、該ユーザー入力に従い前記再配列を実行するよう適合された、請求項22から25のいずれか1項に記載の可搬性電子デバイス。
【請求項27】
前記可搬性電子デバイスが、前記データセットにより定義される前記動作上の特性に基づき、1又はそれ以上の前記データセットのタイプを決定し、該タイプに従い前記再配置を実行するよう適合された、請求項22から26のいずれか1項に記載の可搬性電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−522633(P2009−522633A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548035(P2008−548035)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003909
【国際公開番号】WO2007/077471
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】