説明

単一プッシュピース型クロノグラフ

【課題】2回の加圧で1回の動作サイクルを完了する単一プッシュピース型クロノグラフを提供する。
【解決手段】クロノグラフは、第1の角度セクタが第1及び第2の安定角度位置を定める2つのノッチを、第2の角度セクタが切り欠き部分を備える、枢動可能に取り付けられたシャトルと、ノッチと協働してシャトルを安定位置の一方に保持する弾性部材と、切り欠き部分と協働してシャトルを、第1の加圧で第1の安定位置から第2の安定位置まで枢動させ、第2の加圧で第2の安定位置から第3の中間角度位置まで枢動させるプッシュピースとを含む。第3の中間位置は、非安定で上述のノッチ間に位置する傾斜面によってシャトルの第1の角度セクタ上に定められ、傾斜面はプッシュピースが解放されたときに弾性部材の作用で位置から第1の安定位置に枢動するように構成され、制御装置は更に、プッシュピースが押圧されたときにシャトルを第3の非安定位置にロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計製造の分野に関する。本発明は、より具体的には、同じプッシュピースを用いて「開始」機能、「停止」機能及び「リセット」機能を実行するシャトルを含む単一プッシュピース型クロノグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのクロノグラフは、当業者には既に公知である。こうしたクロノグラフの1つが、国際公開第WO2008/075147号に開示されている。このクロノグラフは、クロノグラフ輪列と、結合手段と、リセット手段と、結合手段及びリセット手段用の制御装置とを含む。制御装置は、枢動可能に取り付けられたシャトルを含み、この第1の角度セクタには、それぞれ「リセット」機能、「開始」機能及び「停止」機能に対応する3つの安定角度位置を定める3つのノッチが設けられており、制御装置はまた、ノッチと協働してこれらの角度位置の1つにシャトルを保持する弾性部材を含む。制御装置は更に、シャトルの第2の角度セクタ内に形成された一連の切り欠き部分すなわちブランク部分と協働する、2つのビーク部を有するヒンジ式フィンガを備えたプッシュピースを更に含み、これによりシャトルは、連続的加圧によってリセット位置から開始位置、開始位置から停止位置、次いで停止位置からリセット位置等に変化するようになる。切り欠き部分及び2つのビークの複合形状は、シャトルの最初の角度位置に応じて、第1のビークが一方向又は反対方向への枢動を引き起こし、第2のビークが移動の終わりに枢動運動をロックするように設計される。ユーザがプッシュピースを繰り返し押圧すると、これらの2つのビークは、押圧機能とロック機能とを交互に実行する。このように説明される単一プッシュピース型クロノグラフの3段階の動作サイクル全体は3回の加圧で完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2008/075147号
【発明の概要】
【0004】
本発明は、2回の加圧で1回の動作サイクルを完了する単一プッシュピース型クロノグラフを提案することによって、上記で開示されたクロノグラフの実施形態の動作モードに対する代替形態を提供する。より具体的には、本発明は、クロノグラフ輪列と、該輪列を結合する手段と、結合手段を制御する装置とを含むクロノグラフに関し、当該装置は、第1の角度セクタが第1及び第2の安定角度位置を定める2つのノッチを備え、第2の角度セクタが切り欠き部分を備える、枢動可能に取り付けられたシャトルを含む。結合手段用の制御装置は更に、ノッチと協働してシャトルを2つの安定位置の一方に保持する弾性部材と、切り欠き部分と協働して、シャトルを、第1の加圧の結果として第1の安定位置から第2の安定位置まで枢動させ、第2の加圧の結果として第2の安定位置から第3の中間角度位置まで枢動させるプッシュピースとを含む。本発明によれば、第3の中間角度位置は非安定であり、ノッチ間に位置する傾斜面によってシャトルの第1の角度セクタ上に定められ、傾斜面は、プッシュピースが解放されたときに弾性部材の作用によりシャトルが第3の位置から第1の安定位置に枢動するように構成され、結合手段の制御装置は更に、プッシュピースが押圧されたときにシャトルを第3の非安定位置にロックする手段を含む。
【0005】
2つの安定シャトル位置を定めるノッチ間に位置付けられた傾斜面の結果として、2回目にプッシュピースが押圧されたときに第3の位置に到達し、第2の加圧後にプッシュピースが解放されたときに第1の位置に到達する。このように、クロノグラフの動作サイクルは、従来の3段階のサイクルではあるが、サイクルを完了するのに2回の加圧だけを必要とする。
【0006】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。この実施例は、単に、添付図面を参照した非限定的な例証として与えられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プッシュピースが解放された、第1の位置における本発明による単一プッシュピース型クロノグラフを示す図である。
【図2】本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルを示す図である。
【図3】本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルを示す図である。
【図4】本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルを示す図である。
【図5】本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルを示す図である。
【図6】本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルを示す図である。
【図7】プッシュピースが押圧された、第3の非安定位置におけるこのタイプのクロノグラフをロックする手段の実施形態の図である。
【図8】プッシュピースが押圧された状態の、第3の非安定位置におけるこのタイプのクロノグラフをロックするための手段の実施形態の図である。
【図9】プッシュピースが押圧された状態の、第3の非安定位置におけるこのタイプのクロノグラフをロックするための手段の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
リセット位置における、図1に示される単一プッシュピース型クロノグラフは、従来通りに、クロノグラフ秒針及びクロノグラフ分針(図示せず)を支持するクロノグラフ輪列1と、クロノグラフ輪列1を結合し、時回り輪列と運動連鎖接続で該クロノグラフ輪列1を配置する手段2とを含む。単一プッシュピース型クロノグラフは更に、秒針及び分針をゼロにリセットする手段3と、結合手段2及びリセット手段3用の制御装置4とを含む。
【0009】
結合手段2は、カナ5がクロノグラフ輪列1及び時回り輪列と噛み合う「開始」位置と、カナ5がクロノグラフ輪列から解放される「停止」位置との間で移動可能である結合レバー6上に取り付けられた結合カナ5から周知の方法で形成される。リセット手段3は、秒針及び分針と回転方向で一体化されるハートピース8及び9に対して作用するハンマー7を従来の方法で含む。これらの要素及びその動作は、当業者には公知であり、本明細書ではこれ以上詳細には説明しない。
【0010】
制御装置4は、軸XXの周りに枢動可能に取り付けられたシャトル10と、該シャトル10と協働してシャトルを角度方向に位置決めするジャンパーばね11と、シャトル10を枢動させるためのプッシュピース12とを含む。制御装置4は更に、結合カム13及びリセットカム14を更に含み、シャトル10が枢動するときにシャトル10と一体化されて、シャトル10の角度位置に応じて、結合レバー6及びハンマー7とそれぞれ協働してクロノグラフの「開始」、「停止」、及び「リセット」機能を公知の方法で作動させる。
【0011】
シャトル10は、2つのノッチ20a及び20bを含む第1の角度セクタ20を含み、それぞれが、「リセット」機能に対応する第1の安定角度位置Aと、「開始」機能に対応する第2の安定角度位置Bとを定める。ジャンパーばね11は、ノッチ20a及び20bと協働して、シャトル10を安定角度位置A及びBの一方又は他方に保持する。本発明によれば、第1の角度セクタ20は更に、ノッチ20a及び20b間に配置され、クロノグラフの「停止」機能に対応する第3の非安定の角度位置Cを定める傾斜面20cを含む。「傾斜面」とは、考慮されている点の半径に対し垂直ではない面を意味する。面20cの傾斜は、ジャンパーばね11が、面20cに当接したときにシャトル10を角度位置Aに向かって枢動させるように決定される。
【0012】
シャトル10は、複雑な形状の切り欠き部分を含む第2の角度セクタ30を有する。図1から図6に示される第1の実施形態においては、角度セクタ30は、反時計回りに、第1のL形ブランク部分31と、次いで、ほぼ半径方向のフランク32aを有する小さな凹部32とを含む。次に、角度セクタは、ノッチ33と、最後に第2のL形切り欠き部分34とを含む。図7に示される第2の実施形態において、小さな凹部32は、L形外形を有する第3の切り欠き部分35を形成するように特徴付けられている。図7を参照しながら、この第3の切り欠き部分の外形及びその機能を詳細に考査する。図9に示される第4の実施形態においては、小さな凹部32はノッチ36と置き換えられ、その機能は、図9を参照して説明される。
【0013】
プッシュピース12は、軸YYの周りのその端部において自由に回動するように取り付けられたフィンガ41を備える枢動可能に取り付けられたアーム40から形成される。フィンガ41は、第1のビーク42及び第2のビーク43でそれぞれ終端し、L形切り欠き部分31、34、35、ノッチ33、36、及び凹部32と協働して、シャトル10を枢動させ、或いは該シャトル10を3つの角度位置A、B及びCにロックする。アーム40上に取り付けられた弾性部材44は、フィンガ41の裏面上に当接し、該フィンガをシャトル10の軸XXに対してほぼ半径方向に位置付ける。最後に、停止部材45が、以下で説明するように、フィンガ41に近接して取り付けられ、その回動振幅を制限するようにする。
【0014】
本明細書で開示される単一プッシュピース型クロノグラフの動作サイクルが、図2から図6に示される。図面を読取り易くするために、結合カム13、リセットカム14、結合手段2及びリセット手段3は意図的に省略している。これにより本発明の理解が向上する。
【0015】
本発明による単一プッシュピース型クロノグラフが、図2に「リセット」位置で示されている。この位置において、クロノグラフ輪列1は停止され、クロノグラフの針は、表示部「0」を指している。シャトル10は、角度セクタ20のノッチ20aと協働するジャンパーばね11によって、第1の安定角度位置Aに位置付けられる。プッシュピース12が解放され、第1のビーク42は、第1のL形切り欠き部分31内に位置付けられる。
【0016】
図3において、ユーザによる第1の加圧作用によりプッシュピース12が押圧される。プッシュピース12は、第1のL形切り欠き部分31のコーナー部に押し込まれる第1のビーク42によって、シャトル10を時計回りに枢動させる。プッシュピース12及びフィンガ41の枢動と組み合わせてシャトル10を枢動させることにより、第2のビーク43がノッチ33に係合可能になる。第2のビーク43がノッチ33に完全に挿入されると、シャトル10の枢動がロックされ、その結果、シャトル10は、クロノグラフの「開始」機能に対応する角度位置Bになる。この位置において、結合カム13は、結合レバー6に作用してクロノグラフを開始させる。
【0017】
次に、プッシュピース12がユーザにより解放され、シャトル10は、角度セクタ20のノッチ20bと協働するジャンパーばね11によって角度位置Bに保持される。図4に示されるこの位置において、クロノグラフ輪列1が回転し、クロノグラフ針を回転方向に駆動する。第1のビーク42は、もはや第1のL形切り欠き部分31内に位置付けられないが、第2のビーク43は第2のL形切り欠き部分34に近接して位置付けられる点に留意されたい。
【0018】
図5において、ユーザによる第2の加圧作用によりプッシュピース12が再度押圧される。ここでは、プッシュピース12は、第2のL形切り欠き部分34のコーナー部内に押し込まれる第2のビーク43によって、シャトル10を反時計回りに枢動させる。シャトル10は、フィンガ41が停止部材45と接触するまで枢動し、次いで第1のビーク42が凹部32に係合する。次に、凹部32の半径方向フランク32aが、フィンガ41の第1のビーク42上に当接し、該フィンガ41自体が停止部材45に当接する。その結果、シャトルの枢動運動は、クロノグラフの「停止」機能に対応する角度位置Cで停止される。この位置において、ジャンパーばね11は、角度セクタ20の面20cに当接し、この作用は、シャトル10を角度位置Cを超えて安定角度位置Aまで枢動させる傾向がある。しかしながら、ユーザがプッシュピース12を押圧し続ける限りは、ジャンパーばね11の作用は、フィンガ41によって、角度位置Cを超えるシャトル10の枢動に対抗する停止部材45の作用によって相殺される。この位置において、結合カム13は、結合レバー6に作用してクロノグラフを停止させる。クロノグラフ針と同様に、クロノグラフ輪列1が停止される。
【0019】
次に、図6に示されるように、プッシュピース12が2回目に解放される。この位置において、角度セクタ20の面20cに当接しているジャンパーばね11は、シャトル10を反時計回りに枢動させる傾向があり、フィンガ41が解放されると、停止部材45は、この運動には対抗しない。従って、角度位置Cは非安定であり、ジャンパーばね11の作用は、シャトル10をジャンパーばね11がノッチ20aと協働する安定角度位置Aまで枢動させる。この位置において、リセットカム14がハンマー7を作動させ、ハートピース8及び9に作用する。クロノグラフ針は再び表示部「0」を指す。クロノグラフの1回の動作サイクルが完了する。上記で説明されたクロノグラフの動作サイクルは、2回の加圧で実行される、3つの段階、すなわち「停止」、「開始」及び「リセット」の従来の動作サイクルである点に留意されたい。
【0020】
ここで、「停止」位置における本発明による単一のプッシュピース型クロノグラフの第2の実施形態を示す図7を参照する。この実施形態において、第3の切り欠き部分35が凹部32に取って代わり、停止部材45は存在しない。ユーザが2回目にプッシュピース12を押圧すると、第2のビーク43が、第2のL形切り欠き部分34のコーナー部内に押し込まれ、これによりシャトル10が反時計回りに枢動される。この枢動運動は、第1のビーク42が第3のL形切り欠き部分35に係合して該切り欠き部分のコーナー部内に留まると停止される。この位置において、第1のビーク42は、ジャンパーばね11により反時計回り方向に加えられたモーメントに対抗するモーメントを時計回り方向でシャトル10に加える。次いで、ユーザがプッシュピース12を押圧された状態に保持する限り、シャトル10は、非安定の角度位置Cにロックされてそこに留まる。互いに相殺するためには、第1のビーク42及びジャンパーばね11のそれぞれのモーメントについて幾何学的条件を満たす必要がある点に留意されたい。Pが第1のビーク42と第3の切り欠き部分35のコーナー部との間の接点である場合、軸XXと点Pと軸YYとの間に形成される角度αが、180度よりも小さくなければならない。この条件を満たす場合、第1のビーク42及びジャンパーばね11のそれぞれのモーメントは対向方向に作用する。しかしながら、角度αが180度よりも大きい場合、両モーメントが反時計回りに作用し、シャトル10は位置Cにロックされない。それ以外は、本発明による単一プッシュピース型クロノグラフのこの第2の実施形態の動作は、図2から図6を参照して説明されたものと同一である。
【0021】
「停止」位置における本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの第3の実施形態が、図8に示されている。この実施形態では、停止部材45は存在せず、弾性部材44は、角度位置Cにおいてシャトル10を介してジャンパーばね11によって作用されるモーメントよりも大きなモーメントをフィンガ41に作用するようなサイズにされる。上述のように、ユーザがプッシュピース12を押圧すると、第2のビーク43は、第1のビーク42が凹部32に係合するまでシャトル10を枢動させる。次いで、シャトル10は、非安定の角度位置Cになり、ジャンパーばね11は、位置Cを超えて角度位置Aまでシャトルを枢動させる傾向がある。上述の条件が満たされた場合、弾性部材44はフィンガ41の回転運動に対抗し、該フィンガ自体がシャトル10の回転運動に対抗する。ユーザがプッシュピース12を押圧し続ける限りは、シャトル10は角度位置Cにロックされる。それ以外は、本発明による単一プッシュピース型クロノグラフのこの第3の実施形態の動作は、図2−図6を参照して説明されたものと同一である。角度位置Cにおいてジャンパーばね11によって作用されるモーメントよりも大きいモーメントをフィンガ41に作用するために、サイズ変更ではなく予め成形してもよい点に留意されたい。
【0022】
ここで、「停止」位置における本発明による単一プッシュピース型クロノグラフの第4の実施形態を示す図9を参照する。この実施形態においては、ノッチ36が凹部32に取って代わり、停止部材35は存在しない。ユーザが2回目にプッシュピース12を押圧すると、第2のビーク43が第2のL形切り欠き部分34のコーナー部に押し込まれ、これによりシャトル10が反時計回りに枢動される。プッシュピース12及びフィンガ41の枢動と組み合わせてシャトル10を枢動させることにより、第1のビーク42がノッチ36に係合可能になる。第1のビーク42がノッチ36に完全に挿入されると、シャトル10の枢動がロックされ、その結果、シャトル10は、クロノグラフの「停止」機能に対応する非安定角度位置Cになる。上述のように、ユーザがプッシュピース12を押圧状態に保持する限り、シャトル10は非安定位置Cに留まる。それ以外は、本発明による単一プッシュピース型クロノグラフのこの第4の実施形態の動作は、図2から図6を参照して説明されるものと同一である。
【0023】
以上、2回の加圧で1サイクルを完了する単一プッシュピース型クロノグラフを説明した。当然のことながら、本発明による単一プッシュピース型クロノグラフは、記載した実施形態だけに限定されるものではなく、当業者であれば、添付の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の簡単な変更及び変形形態を考案することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 クロノグラフ輪列; 2 結合手段; 3 リセット手段; 4 制御装置;
5 カナ; 6; 結合レバー; 7 ハンマー; 10 シャトル;
11 ジャンパーばね; 12 プッシュピース; 13 結合カム;
14 リセットカム; 20 第1の角度セクタ;
20a、20b、33、36 ノッチ; 20c 傾斜面;
30 第2の角度セクタ; 31、34、35 L形切り欠き部分;
32 凹部; 32a 半径方向フランク; 40 アーム; 41 フィンガ;
42 第1のビーク; 43 第2のビーク; 44 弾性部材; 45 停止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロノグラフ輪列(1)と、前記輪列(1)を結合する結合手段(2)と、前記結合手段(2)を制御する装置(4)とを含み、前記制御する装置(4)が、
軸(XX)の周りに枢動可能に取り付けられたシャトル(10)にして、その第1の角度セクタ(20)には第1及び第2の安定角度位置(A、B)を定める2つのノッチ(20a、20b)が備えられ、その第2の角度セクタ(30)には切り欠き部分(31、32、33、34、35、36)が備えられている、シャトル(10)と、
前記ノッチ(20a、20b)と協働して、前記シャトル(10)を前記安定位置(A、B)の一方に保持する弾性部材(11)と、
前記切り欠き部分(31、32、33、34、35、36)と協働して、前記シャトル(10)を、第1の加圧の結果として前記第1の安定位置(A)から前記第2の安定位置(B)まで枢動させ、第2の加圧の結果として前記第2の安定位置(B)から第3の中間角度位置(C)まで枢動させるようにするプッシュピース(12)と、
を含んでいる、クロノグラフであって、
前記第3の中間角度位置(C)が、非安定なものであり、前記ノッチ(20a、20b)間に位置する傾斜面(20c)によって前記シャトル(10)の第1の角度セクタ(20)上に定められ、前記傾斜面(20c)が、前記プッシュピース(12)が解放されたときに前記弾性部材(11)の作用により前記シャトル(10)が、前記第3の位置(C)から前記第1の安定位置(A)へと枢動するように構成されており、
前記結合手段(2)を制御するための装置(4)は、前記プッシュピース(12)が押圧されたときに前記シャトル(10)を前記第3の非安定位置(C)にロックする手段(32a、35、36、41、45、44)を更に含む、
ことを特徴とするクロノグラフ。
【請求項2】
前記プッシュピース(12)は、枢動可能に取り付けられたアーム(40)の形状をなし、前記アーム(40)には軸YYの周りに該アーム(40)上で自由に回転するように取り付けられたフィンガ(41)が設けられ、該フィンガが第1及び第2のビーク(42、43)で終端し、前記切り欠き部分(31、32、33、34、35、36)と協働して、前記シャトル(10)を枢動させ又は前記シャトル(10)を前記3つの角度位置(A、B、C)にロックをする、
ことを特徴とする請求項1に記載のクロノグラフ。
【請求項3】
前記したロックを行う手段が、前記フィンガ(41)に近接して取り付けられた停止部材(45)と、第2のほぼ半径方向のフランク(32a)を有し、前記第2の角度セクタ(30)内に形成された凹部(32)とを含み、
前記停止部材(45)及び前記凹部(32)は、前記シャトル(10)が前記第3の非安定位置(C)にあるときに前記半径方向フランク(32a)が前記第1のビーク(42)に当接し、その結果、前記フィンガ(41)が前記停止部材(45)に当接するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロノグラフ。
【請求項4】
前記したロックを行う前記手段がL形状切り欠き部分(35)を含み、該L形状切り欠き部分は、前記弾性部材(11)が前記シャトル(10)に作用して、該シャトルを前記第3の角度位置(C)から前記第1の角度位置(A)に枢動させたときに、前記第1のビーク(42)が前記L形切り欠き部分(35)と協働して、該弾性部材(11)の作用を相殺し、前記シャトル(10)を前記第3の角度位置(C)にロックするように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロノグラフ。
【請求項5】
前記シャトル(10)の前記枢動軸(XX)と、前記第1のビーク(42)と前記L形切り欠き部分(35)のコーナー部との接点(P)と、前記フィンガ(41)の回転軸(YY)との間に形成される角度αが、180度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項4に記載のクロノグラフ。
【請求項6】
前記アーム(40)が更に、前記第3の角度位置(C)において前記シャトル(10)を介して前記弾性部材(11)によって作用されるモーメントよりも大きなモーメントを前記フィンガ(41)に作用するようなサイズにされた、前記フィンガ(41)に作用する弾性部材(44)を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロノグラフ。
【請求項7】
前記アーム(40)は、前記第3の角度位置(C)において前記シャトル(10)を介して前記弾性部材(11)によって作用されるモーメントよりも大きなモーメントを前記フィンガ(41)に作用するように予め成形された、前記フィンガ(41)に作用する弾性部材(44)を更に含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロノグラフ。
【請求項8】
前記ロック手段が前記第2の角度セクタ(30)内に形成されたノッチ(36)を含み、前記シャトル(10)が前記第3の非安定位置(C)にあり且つ前記プッシュピース(12)が押圧されたときに前記第1のビーク(42)が挿入され、前記ノッチ(36)が、前記弾性部材(11)の作用によって制御される前記シャトル(10)の枢動をロックするように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロノグラフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−133478(P2011−133478A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284121(P2010−284121)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(591048416)ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス (63)
【Fターム(参考)】