説明

単一偏光子焦点エリプソメータ

本発明は、単一偏光子焦点エリプソメータに関し、一つの偏光用光分割器が偏光発生装置、光分割器及び偏光検出装置の役割を果たすように簡素化された構造を有して、多重入射面測定を多重入射角に適用する測定方法を採択することにより測定精密度を向上させた焦点エリプソメータに関し、試片により反射された光の偏光状態の変化を測定することにより、試片の光物性、即ち薄膜試片の場合は、薄膜の厚さ及び屈折率などに対する正確な情報が分析できる測定技術である。本発明のエリプソメータは、光源と、光源から放出された光を偏光された光に分割する偏光用光分割器と、偏光用光分割器で分割された一部の光を屈折させ、試片に集中照射する対物レンズと、試片で反射された後、対物レンズ及び偏光用光分割器を通過した光を受光する光検出器と、光検出器により検出された光の強度を、多重入射面経路に沿って光検出器の単位素子に該当する値に補正して演算処理する演算処理装置と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一偏光子焦点エリプソメータ(single-polarizer focused-beam ellipsometer)に関し、より詳細には、一つの偏光用光分割器(polarizing beamsplitter)が偏光発生装置(polarization generator)、光分割器(Beam splitter)及び偏光検出装置(Polarization analyzer)の役割を果たすように簡素化された構造を有する焦点エリプソメータに関するもので、試片により反射された光の偏光状態(polarization state)の変化を多重入射面に対して測定する方法を多重入射角に適用する新しい測定方法を採択することにより、試片の光特性、即ち薄膜試片の場合は、薄膜の厚さ及び屈折率などに対する正確な情報が分析できる測定技術である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、エリプソメータ(偏光解析器:ellipsometer)に関するもので、試片の表面に特定偏光状態をもって入射した光が反射された後に現れる偏光状態の変化を測定して、その測定値を分析することにより、試片の光学的物性を見つけ出す測定技術である。特に、半導体産業体では、多様なナノ薄膜製造工程が使用されているが、製造されたナノ薄膜に対する物性を評価するために、非破壊的で且つ非接触式の実時間測定技術であるエリプソメータを工程用計測装備として広く使用している。
【0003】
半導体産業だけではなく、大学を始めとした研究機関において、多様な種類のエリプソメータが使用されているが、その種類を、探針に使用される光線をどのように試片に照射するかによって分類すると、傾斜方向から平行光を試片に入射する場合(米国特許第3,985,447号)、傾斜方向から光学系を利用して試片に焦点を結ぶ場合(米国特許第5,166,752号及び第5,608,526号)、及び垂直方向から光学系を利用して試片に焦点を結ぶ場合(米国特許第5,042,951号及び第6,898,537号)に区分される。
【0004】
傾斜方向から平行光を入射する場合は、全ての光線が同一な入射角をもって試片に照射されるため、入射角をより正確に制御することができ、測定正確度に優れている反面、絞り(iris)を利用して入射ビームの大きさを縮小すると、回折(diffraction)現象が増大し、試片に照射されたビームの大きさをmm以下に縮小することが難しい短所がある。
【0005】
半導体産業体では、半導体素子の生産のための多様な薄膜製造工程を、測定を通じて評価するために、数十μm×数十μmの面積に制限された測定領域を特にウェハに施して使用している。このようにマイクロ水準に制限された測定領域内部でエリプソメータを使用して薄膜の厚さを測定するためには、傾斜方向から入射した平行光を、レンズ(米国特許第3,985,447号)または反射型ミラー(米国特許第5,608,526号)で構成された光学系を使用して試片表面に焦点を結ぶ技術が使用されている。ところが、この場合は、多数の入射角を有する光線が同時に試片に入射するため、傾斜方向から平行光を使用する場合に比べ、その測定正確度を確保及び維持することが難しい短所がある。
【0006】
近来、半導体素子の製造技術の持続的な発展によって、今後の半導体素子の製作技術において、ウェハにおけるパターンされた線幅の大きさが持続的に減っていくと予想されることから、上記の制限された測定地域の面積もそれに比例して減らさなければならない。しかし、上記の傾斜方向焦点エリプソメータの場合は、試片に照射される光ビームの面積を最大限縮小しようとした数多い研究及び努力にもかかわらず、焦点光学系の収差及び構造的限界などの障壁により、それ以上大きさを縮小することは非常に難しいのが実情である。
【0007】
垂直入射焦点エリプソメータの場合は、垂直方向から入射した平行光を、対物レンズを使用して試片の表面上に数μm大きさの焦点を結ばせることができるため、より小さい面積を有する微細パターン領域内部でも測定が可能な長所を有している。
【0008】
図1には、既存に広く使用されている、垂直から入射する焦点エリプソメータ(米国特許第5,042,951号)の基本的構造を示した。上記焦点エリプソメータは、光源110から放出された平行光120を特定偏光状態にする偏光発生装置130と、偏光発生装置130を通過した光の一部を分割する非偏光用光分割器140と、非偏光用光分割器140で分割された一部の光を屈折させて試片160に集中して照射する対物レンズ150と、試片160で反射された後、対物レンズ150及び非偏光用光分割器140を通過した光から、特定な偏光状態のみをフィルタリングする偏光検出装置170と、偏光検出装置170に通過した光の強度を検出するための単位素子を有する光検出器180を備えている。
【0009】
一方、米国特許第6,898,537号では、上記の従来の焦点エリプソメータの偏光発生装置110と偏光検出装置170に代えて、一つの線形偏光子を非偏光用光分割器140と対物レンズ150に設けて、モーターを使用して回転が可能にし、光検出器としては分光光検出器を採択して、パターンされた試片により回折された光を分析することができることを提案した。
【0010】
このような従来の特許技術は、図1のように、偏光発生装置130、非偏光用光分割器140及び偏光検出装置170がそれぞれ別々に設けられているか、一部光部品が回転可能に考案されているため、その構造が相対的に複雑であるばかりか、正確な測定のためには、非偏光用光分割器140の反射面に対する偏光発生装置130と偏光検出装置170の光軸を見つけ出す装備校正(calibration)過程を必ず経なければならない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来の焦点エリプソメータにおいて、偏光発生装置、偏光検出装置、光分割器の機能を、一つの偏光用光分割器をもって代替することにより、装置の構成が簡素化されて、多重入射面測定を多重入射角に適用する測定方法を採択することにより、測定精密度が向上した焦点エリプソメータの新しい原理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明によるエリプソメータは、 光源210と、前記光源210から発生された光を、偏光された光に分割する光分割部220と、前記光分割部220で分割された一部の光を試片240に集中照射させる対物レンズ230と、前記試片240で反射され、前記対物レンズ230及び前記光分割部220を通過した光を複数の単位素子で検出する光検出器250と、前記光検出器250により検出された光の強度を、それぞれの入射角に対し、360°の多重入射面経路に沿って前記光検出器250の単位素子(画素:pixel)に該当する値に補正して、補正後の値に対して演算処理を行う演算処理装置260と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記光分割部220は、偏光用光分割器221であることを特徴とする。
【0014】
また、前記光分割部220は、線形偏光子と、非偏光用光分割器とを含んで構成されることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記光検出器250は、多数の単位素子(pixel)から構成された2次元映像測定装置を使用することを特徴とする。
【0016】
また、前記光源210は、タングステン−ハロゲンランプ、Xeランプから選択されるいずれか一つの白色光源またはレーザーの単色光源を使用することを特徴とする。
【0017】
さらに、前記対物レンズ230は、レンズ、ミラー、レンズとミラーの組み合わせから選択されるいずれか一つから構成された光学系を使用することを特徴とする。
【0018】
また、前記光源210と前記光分割部220との間に設けられて、前記光源210から放出された光を平行光にするための視準光学系270をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、前記光源210が白色光源である場合、前記光源210の後端または前記光検出器250の前端に、前記光源210により放出された光の特定波長範囲の光を通過させる多数個の帯域フィルター211が放射状に配置されて、前記帯域フィルター211を選択的に通過できるように回転可能なフィルターホイール212をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記光検出器250の測定性能を向上させるために、リレーレンズを備えた光学系251がさらに備えられたことを特徴とする。
【0021】
また、試片の表面映像を観測できる2次元映像測定装置がさらに備えられたことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記試片を保持する試料保持台がさらに備えられて、前記試料保持台は、前後左右、上下及び回転可能にする移送装置をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記対物レンズ230の前端に、前記光分割部で分割された光を補償するための補償器280または前記光分割部で分割された光の位相差を電気で制御できる電気的偏光変調装置(electrical polarization modulator)がさらに備えられたことを特徴とする。
【0024】
また、前記補償器280には、前記試片の垂直軸に対して回転させる回転装置がさらに備えられたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来発明による焦点エリプソメータの代表的構造を示した図面である。
【図2】本発明による単一偏光子焦点エリプソメータの構造を示した図面である。
【図3】本発明によるフィルターホイールを示した斜視図である。
【図4】図2の単一偏光子焦点エリプソメータの構造において、光源と光検出器との位置が互いに入れ替わった構造を有する焦点エリプソメータを示した図面である。
【図5】光検出器により測定された光の強度信号の分布の2次元映像図面である。
【図6】図4のように対物レンズを中心とする半径の一定な円周上で反時計方向に一回回転する時、即ち入射角が一定な多重入射面経路上に位置する光検出器の単位素子により測定された光の強度信号に対する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上記のように構成される本発明によるエリプソメータの好ましい実施例を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明による単一偏光子焦点エリプソメータの構造を示した図面であり、図3は、本発明によるフィルターホイールを示した斜視図であって、図4は、図2の単一偏光子焦点エリプソメータの構造において、光源と光検出器との位置が互いに入れ替わった構造を有する焦点エリプソメータを示した図面であり、図5は、光検出器により測定された光の強度信号の分布の2次元映像図面であって、図6は、図4のように対物レンズを中心とする半径の一定な円周上で反時計方向に一回回転する時、即ち入射角が一定な多重入射面経路上に位置する光検出器の単位素子により測定された光の強度信号に対する図表である。
【0028】
図に示されたように、薄膜の厚さ及び屈折率などのような試片の光学的物性測定のための本発明によるエリプソメータは、光源210と、前記光源210から発生された光を、偏光された光に分割する光分割部220と、前記光分割部220で分割された一部の光を試片240に集中照射させる対物レンズ230と、前記試片240で反射され、前記対物レンズ230及び前記光分割部220を通過した光を単位素子で検出する光検出器250と、前記光検出器250により検出された光の強度を、それぞれの入射角に対し、360°の多重入射面経路に沿って前記光検出器250の単位素子(pixel)に該当する値に補正して演算処理する演算処理装置260とを含んで構成される。
【0029】
前記光源210は、従来一般に使用しているタングステン−ハロゲンランプ、Xe放電ランプなどの白色光源と、レーザーなどの単色光源が光源として使用できる。
【0030】
前記光源210が白色光源である場合、白色光源を使用する時は、前記光源210の後端または前記光検出器250の前端に、前記光源210により放出された光の特定波長範囲の光を通過させる帯域フィルター211が設けられることが好ましい。この際、図3のように、前記帯域フィルター211は、放射状に配置されて、前記帯域フィルター211を選択的に通過できるように回転可能なフィルターホイール212をさらに含むことが好ましい。前記フィルターホイール212は、モーター213により回転される。前記モーター213は、ステッピングモーターからなることが好ましい。図面では、帯域フィルター211が光検出器250の前端に設けられることを示した。
【0031】
前記光分割部220は、前記光源210から発生された光を、偏光された光に分割する役割をする。また、前記光分割部220は、偏光用光分割器221であることが好ましい。また、本発明において、前記偏光用光分割器221は、一部の光は垂直に反射させて、一部の光は透過させるが、それぞれの光は、特定線偏光状態を有するようにする。
【0032】
前記光源210から放出された光は、反射及び屈折光学系を利用して平行光にして、図2において、前記偏光用光分割器221により一部の光が反射されるが、その光の偏光方向は、前記偏光用光分割器221内部の傾斜した反射面に平行な方向であるx軸方向に整列される特性を有する。
【0033】
前記分割された一部の光は、前記偏光用光分割器221の下部に位置した大きい開口数を有する対物レンズ230により、前記試片240の表面に垂直に焦点が合うように調節される。この際、前記試片を保持する試料保持台241がさらに備えられて、前記試料保持台は、前後左右、上下及び回転可能にする移送装置(図示せず)により移送されることが好ましい。
【0034】
さらに、前記対物レンズ230は、レンズ、ミラー、レンズとミラーの組み合わせから選択されるいずれか一つから構成された光学系を使用することが好ましい。
【0035】
また、本発明では、前記試片240に入射される光の偏光状態が調節できるように、前記偏光用光分割器221と前記対物レンズとの間に補償器(compensator)280をさらに追加することができる。
【0036】
前記補償器280は、前記対物レンズ230前端に、前記光分割部220で分割された光を補償するためのもので、前記試片240に入射される光の偏光状態を任意に調節して、前記偏光用光分割器221と前記対物レンズ230との間に位置して、偏光状態によって進行波の位相を変える役割をする。
【0037】
前記補償器280は、線形偏光された光が前記補償器280の面に垂直に入射する時、偏光の方向が前記補償器280の光軸と平行な時と垂直な時の透過された光の位相差値を有する特徴がある。
【0038】
さらに、前記補償器280の代わりに、前記対物レンズ230の前端に、前記光分割部で分割された光の位相差を電気で制御できる電気的偏光変調装置(electrical polarization modulator)を備えてもよい。
【0039】
また、前記補償器280は、前記試片の垂直軸に対して回転させる回転装置をさらに備えることが好ましい。
【0040】
また前記光分割部220は、図2において前記偏光用光分割器221の代わりに、線形偏光子と非偏光用光分割器とを含んで構成してもよい。この際、線形偏光子は、非偏光用光分割器と前記補償器280との間に設けられる。
【0041】
また、前記光源210と前記光分割部220との間に設けられて、前記光源210から放出された光を平行光にするための視準光学系270をさらに含むことが好ましい。
【0042】
前記光検出器250は、前記試片240で反射されて、前記対物レンズ230及び前記光分割部220を通過した光を単位素子で検出する。ここで、光検出器250は、数個の単位素子(pixel)を有しており、2次元光強度映像を測定し、試片の表面映像を観測できる2次元映像測定装置を備えることが好ましい。この際、2次元映像が測定できる電荷結合素子(CCD)などがこれに該当する。
【0043】
また、前記光検出器250の測定性能を向上させるために、リレーレンズを備えた光学系251をさらに備えることが好ましい。
【0044】
前記光検出器250の各単位素子から得られた情報は、前記演算処理装置260に伝達され、デジタル信号として蓄積される。
【0045】
前記演算処理装置260は、前記光検出器250により検出された光の強度を、それぞれの入射角に対し、360°の多重入射面経路に沿って前記光検出器250の単位素子(pixel)に該当する値に補正して演算処理する役割をする。前記光検出器250により検出された電圧または電流信号は、前記演算処理装置260であるコンピューターを通じて波形を分析することにより、前記試片240の光学的物性、または薄膜の場合は、薄膜の厚さ及び光学常数などを抽出するようになる。
【0046】
図4のように、前記光源210と光検出器250の位置が、図2とは異なって、その位置を互いに入れ替えても同様な機能を果たす。
【0047】
以下では、以上で説明した垂直入射型焦点エリプソメータの基本原理を具現するための本発明の装置的原理について詳細に説明する。
【0048】
図5の上端に位置した図表は、前記光検出器250で検出された光の強度に対する電気信号分布の2次元映像であるが、前記対物レンズ230の中心420Cに入射した光の入射角θは0であり、半径γの一定な円周上に入射した光の場合は、全て同一な入射角θを有して、方位角ψの値によって入射面が回転するようになる。
【0049】
特定偏光状態の平行光線が420Aに入射した場合は、前記対物レンズ230により、入射角がθの状態で前記試片240の表面430地点に屈折されて、反射角θで反射され、対物レンズ230の中心420Cを基準に対称となる位置420Bに到達して、前記対物レンズ230により屈折されて再び平行光線となり、前記偏光用光分割器221を透過しつつ、y軸方向に平行な偏光成分のみがフィルタリングされて、前記光検出器250により得られた2次元映像信号において方位角ψが0であるx軸上の410B地点に到達し、前記光検出器250の単位素子により、該当光の強度が電圧または電流のような電気信号として検出されるようになる。
【0050】
上記の内容と同様に、420Bに入射した場合は、前記試片240の表面で反射された後、420Aを通過して、前記光検出器250の410A地点で検出されるようになる。前記対物レンズ230の全ての位置で入射した光は、対物レンズの中心420Cを基準に対称となる地点を通過するようになるが、この際、対物レンズ230の半径γの円周上の一位置に入射した光は、同一な入射角θを有するようになる。
【0051】
前記対物レンズ230に入射した平行光線は、対物レンズ230の開口数によって屈折され、前記試片240の表面に入射するようになるが、ここで前記試片240の表面に入射する光線の最大入射角θmaxは、対物レンズ230の開口数NAによって、下記のように決定される。
θmax=sin−1(NA)
【0052】
図6は、図5の上端に位置した図表と同様に、前記光検出器250で検出された光の強度に対する電気信号を、その中心で、半径γの一定な円周上で発生する多重入射面経路に沿って、前記光検出器250のそれぞれの単位素子[例えば、光検出器が電荷結合素子(CCD)である場合、単位素子は、ピクセル(pixel)となる]に該当する値に補正して演算処理した図表を示す。簡単な計算過程を経ると、前記光検出器250により検出される光の強度信号は、一般に下記式で表現される。
I(ψ)=I[1+αsin(2ψ)+αsin(4ψ)+βcos(2ψ)+βcos(4ψ)]
ここで、Iは、半径γの一定な円周上で測定された光強度の平均値であり、α、α、β及びβは、フーリエ係数である。
【0053】
したがって、光の強度に対して測定された2次元映像データから、対物レンズ230の中心軸420Cを中心として構成される数個の同心円の一つの同心円上にあるデータをフーリエ変換すると、α、α、β及びβの値が得られるようになる。一般には、これらのフーリエ係数の中で二つの値のみが、0ではない値を有するようになる。
【0054】
このような多重入射面測定方法で定められたフーリエ係数を、対物レンズ230の中心軸420Cから前記最大入射角θmaxに至るそれぞれの入射角に対して、即ち多重入射角に対して求め、この係数を分析することにより、試片の光特性を見つけ出すことができる。多重入射面に対する測定方法は、従来の回転検光子型または回転偏光子型エリプソメータと類似した効果を得ることができるため、従来の単一入射面を利用する焦点エリプソメータに比べ、多重入射角に対する多重入射面測定方法は、測定精密度をさらに高めることができると期待される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明による単一偏光子焦点エリプソメータは、従来の焦点エリプソメータに比べ、単一偏光用光分割器を採択することにより、簡素な構造を有するばかりか、単一入射面に対する測定を多重入射面と多重入射角に対する測定に拡大することにより、測定精密度が向上すると期待される。したがって、本発明の測定装置を使用すれば、試片の光学的特性、即ち薄膜の場合は、薄膜の厚さ及び屈折率などに対する情報をより正確に測定することができる。
【0056】
また、本発明による単一偏光子焦点エリプソメータは、現在広く使用されている従来の回転検光子型、回転偏光子型及び補正器回転型エリプソメータと比較し、ステッピングモーターまたは直流電流モーターによる定速駆動部無しにエリプソメトリー常数を測定することができ、モーター振動による信号雑音と光部品の回転による誤差を除去することができるため、相対的に測定精密度が向上し、また、測定速度が光検出器の駆動速度並みに向上された長所を有する。
【0057】
また、単一入射面から偏光特性を取る従来の焦点エリプソメータに比べ、測定時、光部品に対するモーター駆動のない静的な状態で、0°から最大入射角に至る多重入射角に対し、360°の多重入射面に対する偏光成分をそれぞれ取ることにより、試片の光特性をより精密に測定することができる長所がある。
【符号の説明】
【0058】
110、210 光源
120 平行光
130 偏光発生装置
140 非偏光用光分割器
150、230 対物レンズ
160、240 試片
170 偏光検出装置
180、250 光検出器
211 帯域フィルター
212 フィルターホイール
213 モーター
220 光分割部
221 偏光用光分割器
251 光学系
260 演算処理装置
270 視準光学系
280 補償器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源210と、
前記光源210から発生された光を、偏光された光に分割する光分割部220と、
前記光分割部220で分割された一部の光を試片240に集中照射させる対物レンズ230と、
前記試片240で反射され、前記対物レンズ230及び前記光分割部220を通過した光を単位素子で検出する光検出器250と、
前記光検出器250により検出された光の強度を、それぞれの入射角に対し、360°の多重入射面経路に沿って前記光検出器250の単位素子に該当する値に補正して演算処理する演算処理装置260と、
を含むことを特徴とするエリプソメータ。
【請求項2】
前記光分割部220は、偏光用光分割器221であることを特徴とする、請求項1に記載のエリプソメータ。
【請求項3】
前記光分割部220は、線形偏光子と、非偏光用光分割器とを含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のエリプソメータ。
【請求項4】
前記光検出器250としては、多数の単位素子から構成された2次元映像測定装置が使用されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項5】
前記光源210としては、タングステン−ハロゲンランプ、Xeランプから選択されるいずれか一つの白色光源またはレーザーの単色光源が使用されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項6】
前記対物レンズ230としては、レンズ、ミラー、レンズとミラーの組み合わせから選択されるいずれか一つから構成された光学系が使用されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項7】
前記光源210と前記光分割部220との間に設けられて、前記光源210から放出された光を平行光にするための視準光学系270をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項8】
前記光源210が白色光源である場合、前記光源210の後端または前記光検出器250の前端に、前記光源210により放出された光の特定波長範囲の光を通過させる多数個の帯域フィルター211が放射状に配置されて、前記帯域フィルター211を選択的に通過できるように回転可能なフィルターホイール212をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のエリプソメータ。
【請求項9】
前記光検出器250の測定性能を向上させるために、リレーレンズを備えた光学系251がさらに備えられたことを特徴とする、請求項7または8に記載のエリプソメータ。
【請求項10】
試片の表面映像を観測できる2次元映像測定装置がさらに備えられたことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項11】
前記試片を保持する試料保持台がさらに備えられており、前記試料保持台は、前後左右、上下及び回転可能にする移送装置をさらに含むことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項12】
前記対物レンズ230の前端に、前記光分割部で分割された光を補償するための補償器280または前記光分割部で分割された光の位相差を電気で制御できる電気的偏光変調装置がさらに備えられたことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエリプソメータ。
【請求項13】
前記補償器280は、前記試片の垂直軸に対して前記補償器280を回転させる回転装置を含んでいることを特徴とする、請求項12に記載のエリプソメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−530074(P2010−530074A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513132(P2010−513132)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006640
【国際公開番号】WO2009/064102
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(595027240)コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス (19)