説明

単結晶用原料の供給方法及び単結晶用原料の保持具

【課題】 単結晶製造の効率が高く、1つの坩堝で製造し得る単結晶の本数が多い単結晶用原料の供給方法、及びその実施に使用する単結晶用原料の保持具を提供する。
【解決手段】 引き上げ軸1の下端に固定したチャック2には単結晶用原料を保持する保持具3に備えられた円柱状の取付け治具4の上端が装着してあり、取付け治具4は花冠状の支持板5の中央に立設してある。支持板5にはワイヤ6,6,6が垂設してあり、各ワイヤ6,6,6はその下端の環状部分を、カットロッド20,20,20の溝に掛け廻して、カットロッド20,20,20をそれぞれ吊下している。坩堝21内には高純度多結晶シリコンの塊片等の原料を装填し、ヒータ26の加熱によってこれを溶融して溶融液Lにすると共に、カットロッド20,20,20を予熱する。そして、カットロッド20,20,20の下端を適宜長だけ溶融液Lに浸漬し、所定の降下速度で引き上げ軸1を降下させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、固体の単結晶用原料が溶融してある坩堝内に、単結晶用原料を供給する方法、及びその実施に使用する単結晶用原料の保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は単結晶引き上げ装置の要部及び従来の単結晶用原料の保持具を示す模式的側断面図であり、図中29は金属製のチャンバである。チャンバ29は広口壜状のメインチャンバ30に円筒状のプルチャンバ31を連結してなり、メインチャンバ30内の中央には原料を溶融する坩堝21が配置してある。坩堝21は、円筒状の直胴部の下端に椀状の下部を設けてなる石英製の内容器22に、内容器22と相似形である黒鉛製の外容器23が外嵌してあり、坩堝21は外容器23と略同じ熱伝導率である黒鉛製の支持部材25によって回転されると共に、昇降されるようになっている。
【0003】坩堝21の外側には抵抗加熱式の筒状のヒータ26が坩堝21と同心円状に配設してあり、ヒータ26及び坩堝21は円柱殻形の断熱容器28内に格納してある。断熱容器28の上面には坩堝21の直径より少し大きい直径の穴が、また断熱容器28の底面には支持部材25の軸の直径より少し大きい直径の穴が開設してある。前述した支持部材25は断熱容器28の底面に開設した穴及びメインチャンバ30の底を貫通し、図示しない回転昇降装置に連結してある。
【0004】プルチャンバ31の中心軸上には棒状又はワイヤ状の引き上げ軸1が昇降自在に垂下してあり、引き上げ軸1の下端にはチャック2が固定してある。チャック2には円柱状の取付け治具34が装着してあり、取付け治具34にはワイヤ36が垂設してある。ワイヤ36の下端は環状にしてあり、ワイヤ36は環状部分を、高純度多結晶シリコンからなり一端近傍に周方向の溝が形成してある円柱状のカットロッド20の前記溝に掛け廻して、該カットロッド20を吊り下げている。
【0005】このような装置にあっては、坩堝21内にカットロッドの破砕物又はカットロッドを製造する際に生じる高純度多結晶シリコンの塊片等の原料を充填しておき、ヒータ26の加熱によって坩堝21内の原料を溶融して溶融液Lにする。このとき、引き上げ軸14を調整して、カットロッド20と坩堝21内の原料とが接触しないようにカットロッド20を吊り下げておくことによって、カットロッド20を予熱する。カットロッド20は急激に加熱されると割れ、割れた塊が坩堝21内に落下して石英製の内容器22を破損する事故が発生するが、前述した予熱によってこの事故を防止している。
【0006】坩堝21に最初に充填した原料を溶融した溶融液Lの体積は、坩堝21の体積の略60%に過ぎないため、カットロッド20を次のように供給して溶融液Lの体積を増加させ、大重量の単結晶を引き上げることによって、単結晶の製造効率を高くする。
【0007】カットロッド20が十分予熱されるまで待機した後、カットロッド20の下端を適宜長さだけ溶融液L中に浸漬し、カットロッド20の溶融速度に応じて予め定めた降下速度で引き上げ軸1を降下させてワイヤ36を掛け廻した溝の近傍までカットロッド20を溶融する。カットロッド20の溶融が終了すると、引き上げ軸1を徐々に上昇させて残留したカットロッド20を徐冷した後にこれを取り出し、ワイヤ36に新たなカットロッド20を吊り下げ、前同様に予熱・溶融する。そして、この操作を溶融液Lが所要の体積になるまで繰り返す。なお、残った高温のカットロッド20を急冷すると、割れが発生して、割れた塊が坩堝21内に落下して石英製の内容器22を破損する事故が発生するが、前述した徐冷によってこの事故を防止している。
【0008】この溶融液Lから単結晶を引き上げるには、チャック2に前述した取付け治具34に代えて種結晶を装着し、該種結晶を溶融液Lの表面に接触させ、引き上げ軸1及び支持部材25を互いに逆方向に回転駆動しつつ、所定の速度で引き上げ軸1を引き上げていくことにより、種結晶の下方に単結晶を成長させる。このとき、単結晶の引き上げによる溶融液Lの減少に伴って、支持部材25によって坩堝21を上昇させ、溶融液Lの表面の高さを略一定に保つ。
【0009】単結晶の引き上げが終了すると、坩堝21を降下すると共にチャック2に再び取付け治具34を装着してワイヤ36にカットロッド20を吊り下げ、それを十分予熱してから坩堝21に残った溶融液Lに浸漬して溶融する。そして、この操作を溶融液Lが所要の体積になるまで繰り返す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の単結晶用原料の追加方法にあっては、複数本のカットロッドを1本ずつ予熱・溶融・徐冷しているため、全てのカットロッドを溶融させるまでに長時間を要し、単結晶製造の効率が低いという問題があった。また、坩堝の寿命は溶融液の保持時間によって定まるが、前述した如く単結晶製造の効率が低いため、1つの坩堝で製造し得る単結晶の本数が少ないという問題もあった。
【0011】本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは複数の柱状の単結晶用原料の予熱・溶融・徐冷を一斉に行うことによって、又は、単結晶用原料を籠に入れ、籠を坩堝内の溶融液に浸漬することによって、単結晶製造の効率が高く、1つの坩堝で製造し得る単結晶の本数が多い単結晶用原料の供給方法、及びその実施に使用する単結晶用原料の保持具を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る単結晶用原料の供給方法は、チャンバ内に配してあり単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上に、柱状の単結晶用原料を吊り下げてこれを予熱し、予熱した柱状の単結晶用原料を前記溶融液に浸してその下端から順次溶融することよって単結晶用原料を再び供給する方法において、前記坩堝上に複数の柱状の単結晶用原料を吊り下げてそれらを一斉に予熱し、予熱した柱状の単結晶用原料を前記溶融液に一斉に浸して溶融し、残った各単結晶用原料を一斉に徐冷することを特徴とする。
【0013】第1発明にあっては、チャンバ内に配した坩堝上に複数の柱状の単結晶用原料を吊り下げてそれらを一斉に予熱する。そのため、予熱に要する時間が、柱状の単結晶用原料を1本ずつ予熱するより短縮される。また、予熱した全単結晶用原料を坩堝内の溶融液に一斉に浸して溶融するため、溶融に要する時間が、単結晶用原料を1本ずつ溶融するより短縮される。更に、残った各単結晶用原料を一斉に徐冷するため、徐冷に要する時間が、単結晶用原料を1本ずつ溶融するより短縮され、単結晶原料の供給効率が向上する。
【0014】第2発明に係る単結晶用原料の供給方法は、単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上に単結晶用原料を配してこれを予熱し、予熱した単結晶用原料を前記溶融液に浸して溶融することによって単結晶用原料を供給する方法において、単結晶用原料を籠に入れ、該籠を前記坩堝上に吊り下げて籠内の単結晶用原料を予熱し、籠を前記溶融液に浸して籠内の単結晶用原料を溶融することを特徴とする。
【0015】第3発明に係る単結晶用原料の保持具は、単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上で単結晶用原料を予熱し、予熱した単結晶用原料を前記溶融液に浸して溶融すべく、単結晶用原料を保持する保持具において、構造体を石英製の被覆部材で被覆してなり、単結晶用原料を入れる籠と、該籠を吊り下げる吊下部材とを備えることを特徴とする。
【0016】第2及び第3発明にあっては、籠に単結晶用原料を装填するため、柱状の単結晶用原料のみならず、それを破砕した複数の破砕物又は単結晶用原料を製造するとき生じる安価な塊片を使用することができ、柱状の単結晶用原料と同じ重量の塊片の単結晶用原料を籠に装填した場合、前者の表面積より後者の総表面積の方が広いので、籠内の単結晶用原料が単時間で溶融する。また、単結晶用原料を入れた籠を吊下部材によって坩堝上に吊り下げるため、これが坩堝の開口部からの放熱を妨ぎ、坩堝に装填した単結晶用原料が短時間で溶融する。一方、籠は、構造体を石英製の被覆部材で被覆してあるため、溶融液に籠を浸しても溶融液が汚染されず、また、構造体によって強度が保たれる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は単結晶引き上げ装置の要部及び本発明に係る単結晶用原料の保持具を示す模式的側断面図であり、図2は図1に示した保持具の拡大平面図である。金属製のチャンバ29は広口壜状のメインチャンバ30に円筒状のプルチャンバ31を連結してなり、メインチャンバ29内の中央には原料を装填する坩堝21が配置してある。坩堝21は、円筒状の直胴部の下端に椀状の下部を設けてなる石英製の内容器22に、内容器22と相似形である黒鉛製の外容器23が外嵌してあり、坩堝21は外容器23と略同じ熱伝導率である黒鉛製の支持部材25によって回転されると共に、昇降されるようになっている。
【0018】坩堝21の外側には抵抗加熱式の筒状のヒータ26が坩堝21と同心円状に配設してあり、ヒータ26及び坩堝21は円柱殻形の断熱容器28内に格納してある。断熱容器28の上面には坩堝21の直径より少し大きい直径の穴が、また断熱容器28の底面には支持部材25の軸の直径より少し大きい直径の穴が開設してある。前述した支持部材25は断熱容器28の底面に開設した穴及びメインチャンバ30の底を貫通し、図示しない回転昇降装置に連結してある。
【0019】プルチャンバ31の中心軸上には棒状又はワイヤ状の引き上げ軸1が昇降自在に垂下してあり、引き上げ軸1の下端にはチャック2が固定してある。チャック2には単結晶用原料を保持する保持具3に備えられた円柱状の取付け治具4の上端が装着してあり、取付け治具4は花冠状の支持板5の中央に立設してある。支持板5は矩形状の弁部5a,5a,5aをプルチャンバ31の内径より小さい同心円上に3等配してなり、各弁部5a,5a,5aの先端近傍にはそれぞれワイヤ6,6,6が垂設してあり、各ワイヤ6,6,6の下端は環状にしてある。そして、各ワイヤ6,6,6は環状部分を、高純度多結晶シリコンからなり一端近傍に周方向の溝が形成してあるカットロッド20,20,20の前記溝に掛け廻して、該カットロッド20,20,20をそれぞれ吊り下げている。
【0020】前述した坩堝21内には、カットロッドの破砕物又はカットロッドを製造する際に生じる高純度多結晶シリコンの塊片等の原料を装填し、ヒータ26の加熱によってこれを溶融して溶融液Lが貯えられている。このとき、引き上げ軸1を調整して、カットロッド20,20,20と坩堝21内の原料とが接触しないようにカットロッド20,20,20を吊り下げておくことによって、カットロッド20,20,20を予熱する。このように、複数のカットロッド20,20,20を一斉に予熱することによって、1本ずつ予熱するより予熱に要する時間が短縮される。
【0021】カットロッド20,20,20が十分予熱されるまで待機した後、カットロッド20,20,20の下端を適宜長さだけ溶融液L中に浸漬し、カットロッド20,20,20の溶融速度に応じて予め定めた降下速度で引き上げ軸1を降下させてワイヤ6,6,6を掛け廻した溝の近傍までカットロッド20,20,20を溶融することによって、所要体積の溶融液Lを得る。このように、3本のカットロッド20,20,20を一斉に溶融することによって、1本ずつ溶融するより溶融に要する時間が短縮される。そして、引き上げ軸1を徐々に上昇させて、残ったカットロッド20,20,20を引き上げて徐冷する。これによって、残ったカットロッド20,20,20が一斉に徐冷され、1本ずつ徐冷するより徐冷に要する時間が短縮される。
【0022】この溶融液Lから単結晶を引き上げるには、保持具3の取付け治具4に代えてチャック2に種結晶を装着し、該種結晶を溶融液Lの表面に接触させ、引き上げ軸1及び支持部材25を互いに逆方向に回転駆動しつつ、所定の速度で引き上げ軸1を引き上げていくことにより、種結晶の下方に単結晶を成長させる。このとき、単結晶の引き上げによる溶融液Lの減少に伴って、支持部材25によって坩堝21を上昇させ、溶融液Lの表面の高さを略一定に保つ。
【0023】単結晶の引き上げが終了すると、坩堝21を降下すると共にチャック2に再び保持具3の取付け治具4を装着してワイヤ6,6,6にカットロッド20,20,20を吊り下げ、それらを十分予熱してから坩堝21に残った溶融液Lに浸漬して溶融する。そして、この操作を溶融液Lが所要の体積になるまで繰り返して、単結晶用原料を供給する。このとき、カットロッド20,20,20の予熱,溶融及び徐冷に要する時間は1本ずつ行う場合より短いため、所要体積の溶融液Lを短時間で得ることができる。
【0024】なお、図1の保持具3にあっては下端を環状にしたワイヤ6でカットロッド20を吊り下げているが、本発明はこれに限らず、支持板5から垂設した複数のワイヤ6の下端に、例えば爪状のつかみ具をそれぞれ取付け、該つかみ具によってカットロッドの溝の部分をつかんでカットロッドを吊り下げてもよいことはいうまでもない。
【0025】図3は他の実施の形態を示す部分斜視図であり、カットロッドの破砕物又はカットロッド製造時に発生する塊片を単結晶用原料として供給すべく、籠を保持具とした場合を示している。籠7は黒鉛製の構造体8を備えており、該構造体8によって所要の強度が確保されている。構造体8は十字状の板材をその4端部より所定寸法だけ中心側の位置からそれぞれ直角に起立させた形状をしており、起立した端部近傍にはそれぞれ穴8a,8a,8a,8aが開設してある。構造体8の穴8a,8a,8a,8aより下方の部分の表面は、石英製の被覆部材9によって被覆してあり、被覆部材9で被覆された構造体8の間隙には石英製の細い棒部材10,10,…が適宜間隔で掛け渡してある。
【0026】構造体8に開設した穴8a,8a,8a,8aの高さは、対向する場合は同じであり、合隣る場合は少し異なる。そして、対向する穴8a,8a及び穴8a,8aには支持棒11,11がそれぞれ貫通してあり、支持棒11,11はそれらが交叉する部分を固定具12によって固定してある。固定具12の上面中央には円柱状の取付け具13が立設してあり、該取付け具13の上端を図1に示したチャック2に装着させることによって、籠7を坩堝21(図1参照)上に吊り下げる。
【0027】そして、籠7内にカットロッドの破砕物又はカットロッド製造時に発生する塊片を単結晶用原料として装填し、坩堝21上に籠7を配して籠7内の単結晶用原料を十分予熱した後、籠7を坩堝21内の溶融液L内に、被覆部材9の上端部分まで浸漬して籠7内の単結晶用原料を全て溶融する。このとき、籠7の溶融液Lに接触する部分は全て石英製であるため、溶融液Lを汚染することなく、単結晶用原料を供給することができる。また、溶融液Lとの接触によって籠7が昇温して石英製の部分の強度が少し低下するが、構造体8によって所要の強度が保たれる。一方、内部に単結晶用原料を装填した籠7を坩堝21上に配することによって、坩堝21の開口部からの放熱が抑制され、最初に坩堝21内に装填した単結晶原料が短時間で溶融され、単結晶の製造効率が向上する。
【0028】なお、図3にあっては、被覆部材9で被覆された構造体8の間隙に石英製の細い棒部材10,10,…が掛け渡して籠7を構成しているが、本発明はこれに限らず、黒鉛を用いて網状の構造体を形成しておき、その表面を石英製の被覆部材で被覆して籠を構成してもよい。これによって、籠の強度が向上する。
【0029】
【実施例】次に、比較試験を行った結果について説明する。比較試験には直径26インチ、高さ16インチの坩堝を用いた。このサイズの坩堝では、最初に装填した単結晶用原料を溶融させた後に、更に2〜3本のカットロッドを供給することができる。
【0030】従来の方法にあっては、坩堝に装填した単結晶用原料を溶融させるときに、20kgのカットロッドを坩堝上に吊り下げてこれを予熱する。そして、坩堝内の単結晶用原料が全て溶融してから、カットロッドの下端を坩堝内の溶融液に浸漬して、カットロッドの溶融を開始する。このカットロッドを溶融させるのに2時間を要し、徐冷・取り出しに1時間を要し、次のカットロッドを予熱するのに2時間を要した。このようにして、1本目のカットロッドの溶融開始から、2本目のカットロッドを取り出しまでに8時間を要し、3本目のカットロッドを取り出しまでには13時間を要した。
【0031】本発明方法にあっては、図1に示した如く、3本のカットロッドを一斉に坩堝上に吊り下げた場合、坩堝内に装填した単結晶用原料の溶融によって3本のカットロッドが十分予熱された。そして、3本のカットロッドの溶融開始から溶融終了までに3〜4時間を要し、徐冷・取り出しに1時間を要した。このように、3本のカットロッドを一斉に予熱・溶融.徐冷することによって、従来の方法より8時間程度、供給に要する時間を短縮することができた。
【0032】一方、図3に示した如く、籠に40kg(前述したカットロッド2本分)のランプ(単結晶用原料の塊片)を装填し、坩堝内に装填した単結晶用原料を溶融させた後に、籠を坩堝内の溶融液に浸漬し、籠内のランプを溶融させたところ、略3時間で籠内のランプが全て溶融した。そして、略1時間かけて籠を徐冷した後、これを取り出した。このように、単結晶用原料の塊片を籠に装填して籠内の塊片を溶融することによって、従来の方法より4時間程度、供給に要する時間を短縮することができた。
【0033】
【発明の効果】以上詳述した如く、第1発明にあっては、複数の柱状の単結晶用原料を一斉に予熱・溶融・徐冷するため、柱状の単結晶用原料を1本ずつ供給するより、単結晶用原料の供給に要する時間が短縮される。そのため、単結晶引き上げ効率が向上し、1つの坩堝で製造し得る単結晶の本数が増大する。
【0034】第2及び第3発明にあっては、籠に単結晶用原料を装填するため、価格が低い塊片を用いることができ、原料コストを低減することができ、また、短い時間で籠内の塊片を溶融することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶引き上げ装置の要部及び本発明に係る単結晶用原料の保持具を示す模式的側断面図である。
【図2】図1に示した保持具の拡大平面図である。
【図3】他の実施の形態を示す部分斜視図である。
【図4】単結晶引き上げ装置の要部及び従来の単結晶用原料の保持具を示す模式的側断面図である。
【符号の説明】
1 引上げ軸
2 チャック
3 保持具
4 取付け治具
5 支持板
6 ワイヤ
20 カットロッド
21 坩堝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 チャンバ内に配してあり単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上に、柱状の単結晶用原料を吊り下げてこれを予熱し、予熱した柱状の単結晶用原料を前記溶融液に浸してその下端から順次溶融することよって単結晶用原料を再び供給する方法において、前記坩堝上に複数の柱状の単結晶用原料を吊り下げてそれらを一斉に予熱し、予熱した柱状の単結晶用原料を前記溶融液に一斉に浸して溶融し、残った各単結晶用原料を一斉に徐冷することを特徴とする単結晶用原料の供給方法。
【請求項2】 単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上に単結晶用原料を配してこれを予熱し、予熱した単結晶用原料を前記溶融液に浸して溶融することによって単結晶用原料を供給する方法において、単結晶用原料を籠に入れ、該籠を前記坩堝上に吊り下げて籠内の単結晶用原料を予熱し、籠を前記溶融液に浸して籠内の単結晶用原料を溶融することを特徴とする単結晶用原料の供給方法。
【請求項3】 単結晶用原料の溶融液を貯えた坩堝上で単結晶用原料を予熱し、予熱した単結晶用原料を前記溶融液に浸して溶融すべく、単結晶用原料を保持する保持具において、構造体を石英製の被覆部材で被覆してなり、単結晶用原料を入れる籠と、該籠を吊り下げる吊下部材とを備えることを特徴とする単結晶用原料の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平9−255467
【公開日】平成9年(1997)9月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−66902
【出願日】平成8年(1996)3月22日
【出願人】(000205351)住友シチックス株式会社 (3)