印判
【課題】内装体が脚枠体に対してクルクルと回転してしまうようなことがなく、使用に際して使い勝手がよく、誤作動による汚れを防止でき、連続捺印や断続捺印時に所定位置をキープさせ続ける必要がなく、不安感なく使用することができる印判を提供する。
【解決手段】上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体1と、上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体2とを有する印判。
【解決手段】上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体1と、上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体2とを有する印判。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続捺印可能な印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上下端面が開口した脚枠体と、前記脚枠体に昇降および回動可能に設けられる内装体と、前記脚枠体の外周を上方より覆い前記内装体と連動して昇降する外枠体と、前記内装体の下端に取付けられた印判主体と、前記内装体を常時上方に付勢させる弾発部材とよりなり、押印操作に伴う内装体の下降により捺印可能な状態になる印判は既に知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
そして、特許文献1には、外枠体に設けたロック凸部と、脚枠体に設けたロック凹部によって上下動の規制を調節するロック機構の記載があり(特許文献1、段落番号0009に記載)、また、特許文献2には、外枠体に設けたガイド片と、脚枠体に設けたガイド溝によって上下動の規制を調節するロック機構の記載と、前記ガイド片と、脚枠体に設けた段部の他端壁によって回動を規制するロック機構の記載がある(特許文献2、段落番号0023に記載)。
また、特許文献3は、昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする印判であり、本出願人が先に出願したものである。
【特許文献1】実用新案登録第2565978号公報
【特許文献2】特許第3641847号公報
【特許文献3】特願2007−226262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のロック機構は、ロック凸部の回動を規制することができないため、ロック凸部がクルクルと回転してしまい使用に際して使い勝手が悪い。
また、特許文献2のロック機構は、ガイド片とガイド溝の働きにより、押しボタンの回動および押圧操作を規制することはできるが、押印後、押しボタンから手を離せば、押しボタンはスプリングの付勢力と捩じばねの付勢力によって、押印操作前の元の位置に自動的に復帰移動する(特許文献2、段落番号0024に記載)。よって、断続的に捺印する場合、押しボタンを所定の回動位置まで都度回動させるか、或いは、所定の回動位置をキープし続けなければならないので、面倒で使い勝手が悪い。
【0004】
このような問題を解決するため、本出願人は先に、特願2007−226262号の印判を出願しているが、この先願のものは、脚枠体を、取付筒体の外周を上方より覆うように嵌合しているため(特許文献3、図3に記載)、脚枠体と取付筒体が重なり、印判全体の外径が大きくなる。そのため、印判の太さに対して印字体の印面サイズが小さく感じられ、印判全体に対する印面サイズのバランスが悪かった。
そして、このように印面サイズのバランスが悪いと、捺印するときの位置合わせが難しく、狙った位置に上手く捺印することができなかった。
また、脚枠体に対して取付筒体を嵌脱自在にするため、その嵌合力は比較的弱く設定してあるが、その弱い嵌合力でも取付筒体が脚枠体に対して回動しないように、別途回動を防止する突片(特許文献3、図8に記載、上筒上端面の1組の突片)が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明の印判は、上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体と、上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体と、前記脚枠体内および前記取付筒体内に昇降および回動可能に設けられる内装体と、前記脚枠体の外周を上方より覆い、前記内装体と協動して昇降する外枠体と、前記内装体の下端に着脱自在に取付けられ下端に印字体を備えてなる印判主体と、前記外枠体を常時上方に付勢して、前記印字体の印面を前記取付筒体の下端開口より上方に位置させる弾発部材と、前記取付筒体内に設けられて常時は印字体を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体の下降に連動して捺印可能な状態に開かれるシャッター部材と、よりなる印判であって、前記内装体の外周面に昇降規制突片と回動規制突片を設け、前記脚枠体の上端開口内周面に昇降用溝を設け、前記回動規制突片の側端の一端と前記昇降用溝の側端の一端とが当接した前記内装体が昇降可能な捺印位置から、前記内装体を周方向に回動させることにより、前記昇降規制突片の下端が前記脚枠体の上端面と当接するとともに、前記回動規制突片の側端の他端と前記昇降用溝の側端の他端とが当接することで、前記内装体を前記脚枠体に対して昇降不能な待機位置に位置させることを特徴とする。
また、第2の発明は、前記嵌脱部または前記被嵌脱部に、前記嵌脱を補完する弾性部を設けたことを特徴とする第1の発明の印判である。
また、第3の発明は、前記昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、前記回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、前記内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする第1の発明または第2の発明の印判である。
また、第4の発明は、前記捺印位置から前記内装体を周方向に回動させることにより、前記取付筒体の内周面に設けた抜け止め突部と、前記内装体の外周面に設けた円周ガイド溝とが係合することで、前記取付筒体を前記内装体に対して取外し不能にすることを特徴とする第1の発明からは第3の発明の印判である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、まず、特許文献3と同様、次の効果を有する。
印字体を備えた内装体を、脚枠体に対して昇降不能な待機位置と、昇降可能な捺印位置で、回動不能に規制するため、内装体が脚枠体に対してクルクルと回転してしまうようなことがなく、使用に際して使い勝手がよい。
また、前記待機位置と前記捺印位置の各位置をロックできるため使い勝手がよいものであり、待機位置でロックできると誤作動による汚れを防止でき、また、捺印位置でロックできると捺印作業によって周方向への位置ズレが生じないため、連続捺印や断続捺印時に所定位置をキープさせ続ける必要がなく、不安感なく使用することができる。
また、前記待機位置で取付筒体を内装体に対して取外し不能としているため、待機位置において不用意に取付筒体が外れることで印字体が露呈し、周囲をインキで汚損してしまうような心配がない。
そして、本願特有の効果として、次の点が挙げられる。
本願は、脚枠体の下端面に設けた嵌脱部と取付筒体の上端面に設けた被嵌脱部を嵌脱自在に嵌合させる、端面同士の嵌合のため、脚枠体と取付筒体を重ねることなく嵌合できる。よって、脚枠体と取付筒体の外径寸法を同一にすることができるので、印判全体の外径を印面の外径サイズに近づけることができ、また、脚枠体と取付筒体を重ねていた特許文献3の発明よりも、印判全体の外径を細くすることができる。
このように、印判全体の外径を印面の外径サイズに近づけることができるので、印判の太さに対して印字体の印面サイズが適切に感じられ、印判全体に対する印面サイズのバランスがよく、捺印するときの位置合わせが容易で、狙った位置に上手く捺印することができるようになる。
また、嵌脱部と被嵌脱部が、取付筒体と脚枠体との回動を防止するため、特許文献3のように別途回動を防止する突片を設ける必要がなくなる。
さらに、嵌脱部または被嵌脱部に、嵌脱を補完する弾性部を設けると、嵌脱を繰り返すことによる、嵌脱用凸部や被嵌脱用凹部が削れてしまうことがなく、また、前記嵌脱部や前記被嵌脱部形状の自由度を上げることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。尚、本発明で「上」は外枠体側を指し「下」とは印判主体側を指す。また、「周方向」とは、円柱形状を有する本発明印判を、軸線を中心に回動した際、左右へ回動する方向を指す。
【0008】
まず、本発明第1の実施形態を、図1〜図9に基づいて説明する。
脚枠体1は、上下端面が開口したプラスチック製の中空円柱状で、下端には後述する取付筒体2を着脱自在に取付ける。前記脚枠体1の上端部には内側に向かうリング状のフランジ部11が延設され、フランジ部11の内周面には、昇降用溝12が脚枠体1の上下方向に沿って設けられており、前記フランジ部11の下面には、後述する内装体3の段部33が当接する。
【0009】
脚枠体1の下端面には、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部13を設ける。ここで、嵌脱とは、嵌めたり抜いたりすることを意味する。
前記嵌脱部13は、その略下方側縁に、嵌脱用凸部14または嵌脱用凹部(図示しない)を設けることで、後述する取付筒体2の被嵌脱部21と、上下方向で嵌脱自在に嵌合される。
【0010】
取付筒体2は、上下端面が開口したプラスチック製の中空円柱状で、上端には前記脚枠体1を嵌脱自在に取付ける。
取付筒体2を脚枠体1に取付けたとき外周面が一致するように、取付筒体2の外径寸法を、前記脚枠体1の外径寸法と略同一とする。
前記取付筒体2の上端面には、前記嵌脱部13に上下方向で嵌脱自在に嵌合する被嵌脱部21を設ける。被嵌脱部21の形状を前記嵌脱部13の形状に合わせ、被嵌脱部21と嵌脱部13を嵌脱自在に嵌合する。嵌脱部13を凸縁で形成した場合は、被嵌脱部21を凹縁で形成し、図示しないが、嵌脱部を凹縁で形成した場合は、被嵌脱部を凸縁で形成すればよい。このように、嵌脱部13と被嵌脱部21の形状を、互いに合致するようにするため、脚枠体1に対して取付筒体2が回動することを防止できる。
被嵌脱部21の略下方側縁には、被嵌脱用凹部22または被嵌脱用凸部(図示しない)を設け、嵌脱部13に設けられた嵌脱用凸部14または嵌脱用凹部(図示しない)と嵌脱自在に嵌合させる。これにより、取付筒体2の上端に脚枠体1を嵌脱自在に嵌合することができる。
ここで、前記回動防止効果をさらに高めるため、嵌脱部13と被嵌脱部21の組み合わせとは別に、係合部18と被係合部28を互いに合致するように別途設けてもよい。その際、この係合部18と被係合部28を嵌脱可能な関係にしても勿論よい。
【0011】
前記取付筒体2の内部には、常時は印字体51を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体3の下降に連動して捺印可能な状態に開かれる左右一対の遮蔽板71、71よりなるシャッター部材7を取付ける。
遮蔽板71は、取付筒体2の中央に設けたポケット部23に遮蔽板71を挿入し、ポケット部23の下縁と取付筒体2の外周面で取付片72を固定して取付けられる。
【0012】
内装体3は、前記脚枠体1内に昇降および回動可能に挿設されている。内装体3は、上下端面が開口したプラスチック製の中空体で、所定径を持つ円柱状の大径部31と、該大径部31よりも小径で円柱状の小径部32とを備えた段付形状を有している。前記小径部32の外径は、前記フランジ部11の内径と略同寸法とする。前記小径部32の外周面には、昇降規制突片34と回動規制突片35が突出形成される。前記昇降規制突片34と回動規制突片35は、内装体3の上下方向に沿って延設され、前記昇降用溝12に挿通される。回動規制突片35は、昇降規制突片34の右下端部から下に延設される。これにより、前記昇降規制突片34と回動規制突片35は、前記昇降用溝12に対向した位置で、回動規制突片35の右側端面と昇降規制突片34の左側端面が、前記昇降用溝12の各側端に摺接し、前記内装体3が脚枠体1内で上下方向へ昇降可能となる。
また、内装体3の上方への移動は、脚枠体1の内側において、前記大径部31と小径部32との連結面上に形成された段部33が、脚枠体1のフランジ部11下面に当接する位置で止まり、それ以上上方へは移動できない。そしてこの位置において、前記昇降規制突片34の下端が、前記フランジ部11上端面と上下方向の高さが一致するように、前記昇降規制突片34を内装体3の上下方向に沿って延設する。
前記大径部31内には、後述する印判主体5を着脱自在に嵌着し、また、小径部32の内壁面上方には、後述する外枠体4と嵌合する係止爪36を設けてある。
【0013】
外枠体4は、下端が開口した外側円筒41の内側に、天面から下方に向かって前記外側円筒41と同軸の内側円柱42を垂下させたプラスチック製の円筒体であり、一体成型される。前記内側円柱42には、左右を2分割する切欠43が上下方向に延設される。
前記内側円柱42の外径寸法は、前記内装体3の小径部32の内径寸法と略同一であり、前記内側円注42の下方外周面には、前記内装体3の係止爪36と対向する位置に嵌合凹部44を設ける。
この外枠体4の組付けは、内装体3を内部に収納した脚枠体1のフランジ部11上端面に弾発部材6を配設した状態で、前記内側円注42の下端を、前記弾発部材6および、脚枠体1の上端開口より突出した小径部32の上端開口に挿通し、前記内装体3の内壁面に設けた係止爪36を、前記嵌合凹部44に嵌合させることにより、前記外枠体4を内装体3に冠着する。これにより、外枠体4は、内装体3の上部外周を覆い、さらに脚枠体1の外周を覆った状態で内装体3と連結一体化され協動するものであり、前記弾発部材6は、外枠体4の天面下端と脚枠体1のフランジ部11上端面との間に挟着されているため、弾発部材6の働きにより、内装体3は外枠体4と共に、脚枠体1に対して常時上方へ付勢されている。ここで協動とは、2つのものが一緒に動くことを意味し、また、本実施の形態では弾発部材6としてコイルスプリングを使用している。
ここで、前記外側円筒41は、その下端が取付筒体2の外周まで達してもよく、また、2部品で構成してもよい。2部品で構成する場合は、前記外側円筒41の下端周面に段部を設け、円筒状のホルダー8を前記段部に嵌着させてもよい。このような構成であれば、例えば、ホルダー8の材質を金属にすることも可能となり、プラスチック以外の質感で美感を高めることができる。
【0014】
印判主体5は、連続気孔を有する多孔質ゴムよりなる印字体51を主筒部52の下方で受金53により保持してなり、下端には印字体51の印面が露呈している。この印判主体5は、印面を下向きにして、主筒部52の外周縁に設けた鍔部54と、前記内装体3の大径部31内に設けた嵌合リブ(図示しない)とが圧入嵌合することにより、着脱自在に取付けられる。
なお、印判主体5を交換する際には、脚枠体1から取付筒体2を取り外した後、印判主体5を内装体3から取り外すことで、新しいものと取り替えることができる。
また、印判主体5にインキを補充する際は、前記の通り、印判主体5を内装体3から取り外してインキ吸蔵体55を新しいものと差し替えることで行うことができる。
【0015】
前記シャッター部材7は、互い違いに重ね合わせられて印面を遮蔽するよう、位相を異ならせた係合突片と係合受縁とよりなる凹凸端縁を有する左右一対の略半円形の遮蔽板よりなるものとしている。遮蔽板71の係合突片と係合受縁を1箇所だけで係止組部が組まれるものとし、先尖りの文具類が侵入しやすい部位を一つとして先尖りの文具類が侵入する可能性を低減させるとともに、形状を簡単なものとして安価な成形型やプレス型により製造するようにして製品コストを低減させるという作用効果を有する。
また、基部には取付片72を形成してある。なお、遮蔽板71としては、繰返し行われる開閉動作に対して十分な耐久性が得られるものであれば材質を限定するものではないが、実施例では、ポリプロピレン樹脂などの強靱な合成樹脂材よりなるものとしてある。
また、左右の遮蔽板71は、位相を異ならせた係合突片と係合受縁とよりなる凹凸端縁を互い違いに重ね合わせて係合させた際、その交差係合して係止組部73が組まれるものとしており、このように左右の遮蔽板71、71の係止組部73によって遮蔽板71の折り畳み方向に作用する弾発力が受け止められ、両遮蔽板71は係合ロックされて印面との間に引張力や押圧力に強い強固な空間を形成している。
【0016】
前記した遮蔽板71、71は押印操作時に下降する印判主体5の受金53に当接することにより連動し弾発力に抗して自動的に押し開かれるようになっている。さらに、遮蔽板71の係合突片はその突縁を角部のない円弧状としてあり、このように円弧状とすることにより他方の遮蔽板71に重なり合っていく際、係合が円滑に行われて遮蔽不良が生じることがないようにしてある。
【0017】
また、互いに協動する内装体3と外枠体4は、脚枠体1のフランジ11上端面と外枠体4の天面下端との間に挟着された弾発部材6の作用により、脚枠体1に対して常時上方に付勢されているので、本印判を使用しない常時は、印判主体5を取付けた内装体3が上昇し、受金53が遮蔽板71に当接しない。そのため、シャッター部材7はその弾発力により左右の遮蔽板71、71を係合ロックして印面を強固に遮蔽し、他物が侵入しても遮蔽板71は不用意に開放されることがなく、印面を的確に保護するとともに、印面によって他物を汚損させることもない。
また、捺印操作時には、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、外枠体4を押圧して弾性部材6の付勢力に抗して印判主体5を下降させれば、下降する印判主体5の受金53により取付筒体2に取り付けられている左右の遮蔽板71、71の基部は押圧されるのでシャッター部材7は開放され、印字体51は紙面に接触して捺印が行われることとなる。
【0018】
ここで、図示例では、脚枠体1に設けた昇降用溝12の数を2個としたが、対応する前記回動規制突片35および昇降規制突片34の数と同数であれば、単数でも複数でもよい。また、図示例では、昇降規制突片34と回動規制突片35を、内装体3の上下方向に沿って延設したが、昇降用溝12の上下方向の長さが、捺印位置から下降位置までのストローク分確保されていれば、昇降規制突片34と回動規制突片35は突起であってもよい。また、本実施例では、内装体3に突片を設け脚枠体1に溝を設けたが、内装体3に溝を設け脚枠体1に突片を設けてもよい。また、本実施例では、内装体3を反時計回りに回動して捺印位置に、時計回りに回動して待機位置としたが、これらが逆になるように配置しても勿論よい。
【0019】
次に、以上のように構成された本発明第1の実施形態による印判の使用方法を説明する。
まず、印字体51を捺印する場合には、図7に示すように、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、反時計回りに回動する。この捺印位置とは、脚枠体1に設けた昇降用溝12の側端と、内装体3に設けた回動規制突片35の右側端面が当接して回動が停止し、かつ、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面との当接が解除される位置である。この位置で、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、外枠体4を弾発部材6の弾発力に抗して押圧して押し下げると、回動規制突片35の右側端面と昇降規制突片34の左側端面が、前記昇降用溝12の各側端に摺接しながら下降し、前記印判主体5の受金53でシャッター部材7を開放すると、印字体51が取付筒体2の下端開口より露呈して捺印することができる図8に示す下降位置へ到達する。そして、捺印が完了して外枠体4への押圧を解くと、前記下降時と反対の工程を経て、外枠体4と協動する内装体3が脚枠体1内を上昇し、シャッター部材7が閉じた前記捺印位置まで戻る。
【0020】
次に、本印判を使用しない時、即ち、携帯時や収納時においては、図9に示すように、外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、時計回りに回動する。この待機位置とは、脚枠体1に設けた昇降用溝12の側端と、内装体3に設けた回動規制突片35の左側端面が当接し、かつ、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面が当接する位置である。この位置において、外枠体4を弾発部材6の弾発力に抗して押圧して内装体3を脚枠体1内にて下降させようとしても、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面が当接しているため、内装体3は脚枠体1内を昇降することができない。このように、待機位置では、外枠体4と内装体3の下降が阻止されるので、携帯時や収納時において、使用者の意に反して印面が露呈することを防止することができ、周囲をインキで汚損することを防止できる。
【0021】
次に、本発明第2の実施形態を、図10〜図12に基づいて説明する。尚、ここでは、前記した第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21に、前記嵌脱を補完する弾性部16、24を設ける。前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21を凸縁で形成した場合は、例えば、前記凸縁を左右に2分割する切欠部17を設け、分割された左右の凸縁が切欠部17の方向に撓むことで弾性作用を有する弾性部16を設けることができる。
また、前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21を凹縁で形成した場合、例えば、前記凹縁の左右縁に切欠部25を設け、前記被嵌脱用凹部22を設けた側縁が、周方向外側に撓むことで弾性作用を有する弾性部24を設けることができる。
【0022】
次に、以上のように構成された本発明第2の実施形態による印判の使用方法を説明する。
本実施形態は、第1の実施形態と同様、脚枠体1と取付筒体2を嵌脱自在に嵌合するものであるが、この嵌脱機能をより向上させる。
すなわち、前記嵌脱部13を凸縁で形成して、前記嵌脱部13に弾性部16を設ける場合、前記分割された左右の凸縁が切欠部17の方向に撓みながら、前記被嵌脱部21内に進入して、嵌脱用凸部14が被嵌脱用凹部22に到達したところで撓みが解消され、嵌合される。嵌合を解除する場合は、上記と逆に辿るようにすればよい。
また、前記被嵌脱部21を凹縁で形成して、前記被嵌脱部21に弾性部24を設ける場合、前記被嵌脱用凹部22を設けた側縁が切欠部25の方向に撓みながら、前記嵌脱部13が前記被嵌脱部21内に進入して、嵌脱用凸部14が被嵌脱用凹部22に到達したところで撓みが解消され、嵌合される。嵌合を解除する場合は、上記と逆に辿るようにすればよい。
【0023】
第1の実施形態では、前記嵌脱部と前記被嵌脱部の形状を、互いに合致するように近づけると、嵌合力が上がるため、嵌脱する際に必要な力が大きくなる。そして、前記嵌脱をアンダーカット嵌合のような無理抜きで行う場合、使用により嵌脱を繰り返すことによって、嵌脱用凸部14や被嵌脱用凹部22が削れてしまうといった不具合が生じる。
しかし、本実施形態では、嵌脱時に弾性部16によって、嵌脱用凸部14や被嵌脱用凹部22が、嵌脱を解除する方向へ逃げるため、上記のような不具合を解消できるとともに、前記嵌脱部や前記被嵌脱部形状の自由度を上げることができる。
【0024】
次に、本発明第3の実施形態を、図10、図13〜図16に基づいて説明する。尚、ここでは、前記した第1および第2の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記脚枠体1のフランジ部11の内周面に設けられた昇降用溝12内に、位置固定突部15a、15bを設ける。位置固定突部15a、15bは、昇降用溝12内の両側端近傍にそれぞれ設けられ、捺印位置と待機位置において、前記回動規制突片35と回動方向に対して嵌合することで、周方向に回動しないようにロックされる。また、前記昇降規制突片34と回動規制突片35の間には位置固定突部用溝39設け、脚枠体1内を内装体3が昇降する際、前記位置固定突部15aが前記昇降規制突片34や回動規制突片35と干渉しないための通り道とする。
ここで、本実施例では、昇降規制突片34を内装体3の上下方向に沿って延設しているが、昇降規制突片34の左側端面と昇降用溝12の側端が摺接しなくても、位置固定突部15aと回動規制突片35によって十分昇降動作をガイドするため、特に昇降規制突片34の左側端面を上下方向に延設させなくてもよく、昇降規制突片34の下端部分だけを突設させるだけでもよい。また、図示例では、前記回動ロック機構を1セットのみ設けているがその数に制限はなく、他の昇降用溝12と回動規制突片35との組合わせにロック機構を設けてもよい。
【0025】
次に、以上のように構成された本発明第3の実施形態による印判の使用方法を説明する。
まず、捺印位置において内装体3の回動をロックする場合には、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、反時計回りに回動する。その際、回動規制突片35は、位置固定突部15aを乗り越えてから捺印位置に到達する。この、回動規制突片35が位置固定突部15aを乗り越える際に、クリック感とクリック音が発生するため、捺印位置に到達したことを使用者は実感する。そして、捺印位置で固定されるため、押印操作を継続することによって、誤って待機位置方向へ内装体3が回動してしまい、昇降不能な位置に移動することを防止できる。
次に、待機位置において内装体3の回動をロックする場合には、外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、時計回りに回動する。その際、回動規制突片35は、位置固定突部15bを乗り越えてから待機位置に到達する。この、回動規制突片35が位置固定突部15bを乗り越える際に、クリック感とクリック音が発生するため、待機位置に到達したことを使用者は実感する。そして、待機位置で固定されるため、携帯時や収納時において、使用者の意に反して印面が露呈することを防止することができ、周囲をインキで汚損することを防止できる。
【0026】
次に、本発明第4の実施形態を説明する。尚、ここでは、前記した第1から第3の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記取付筒体2の内周面に抜け止め突部26を設け、前記内装体3の大径部31外周面に円周ガイド溝37を設ける。円周ガイド溝37を設ける位置は、前記内装体3が昇降不能な待機位置で、前記抜け止め突部26が係合する位置とする。
また、内装体3が昇降する際、前記抜け止め突部26が、前記大径部31外周面と干渉しないための通り道として、垂直ガイド溝38を設けてもよい。
ここで、内装体3と取付筒体2のそれぞれに設ける突部やガイド溝は、待機位置において、取付筒体2が内装体3に対して抜け止めされるのであれば、その関係が反対であってもよい。すなわち、取付筒体2の内周面に各ガイド溝を設け、内装体3の外周面に抜け止め突部を設けてもよいものである。また図示例では、突部と係合片の数をそれぞれ2個としたが、対応する突部と係合片の数とが同数であれば、単数でも複数でもよい。
【0027】
次に、以上のように構成された本発明第4の実施形態による印判の使用方法を説明する。
第1の実施例で説明したように、前記脚枠体1には取付筒体2が着脱自在に連結されている。これは、印判主体5にインキを補充する際や、印判主体5を交換する際に、シャッター部材7を有する取付筒体2が障害とならないように、事前に取り外して作業効率を上げることを目的としているからである。しかし、取付筒体2が常に脚枠体1に対して着脱自在となっていると、携帯時や収納時において、使用者の意に反して取付筒体2が脚枠体1から外れて印面が露呈し、周囲をインキで汚損する可能性がある。そこで、第4の実施形態では、待機位置で取付筒体2が脚枠体1から外れないように構成されている。
外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動すると(図17 本施例の場合は時計回りに回動する)、抜け止め突部26が円周ガイド溝37と係合するため、取付筒体2は内装体3から外れなくなり、結果として脚枠体1から外れなくなる。
一方で、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動すると(本実施例の場合は反時計回りに回動すると)、抜け止め突部26と円周ガイド溝37の係合が解除されるため、取付筒体2は脚枠体1から取り外し可能となる。
【0028】
ここで、本発明は、次の構成を設けてもよい。
前記取付筒体2の下端周縁に、ガイド凹み27を設ける。図示例では、脚枠体1に取付けた取付筒体2の下端周縁に、90度の間隔でガイド凹み27を設けた状態を示している。凹みを設ける目的は、捺印位置を正確に位置決めするための照準手段であるため、この目的を満たす目印であれば適宜採用することができ、例えば、90度の間隔ではなく45度や180度の間隔で凹み、あるいは突起を設けたり、寸法を測れる目盛りであってもよいものである。
捺印操作時には、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、前記ガイド凹み27を照準手段として、使用者所望の捺印位置へ位置合わせした後、外枠体4を押圧して捺印することにより、使用者所望の捺印位置へ正確に捺印することができる。
【0029】
以上、本発明を前記実施例により説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明捺印位置の断面図
【図2】本発明捺印位置の断面図
【図3】第1の実施形態の脚枠体を示す図
【図4】第1の実施形態の取付筒体を示す図
【図5】第1の実施形態の脚枠体と取付筒体を嵌合した状態を示す図
【図6】第1の実施形態の内装体を示す図
【図7】第1の実施形態の捺印位置を示す図
【図8】第1の実施形態の下降位置を示す図
【図9】第1の実施形態の待機位置を示す図
【図10】第2の実施形態の脚枠体を示す図
【図11】第2の実施形態の取付筒体を示す図
【図12】第2の実施形態の脚枠体と取付筒体を嵌合した状態を示す図
【図13】第3の実施形態の内装体を示す図
【図14】第3の実施形態の捺印位置を示す図
【図15】第3の実施形態の下降位置を示す図
【図16】第3の実施形態の待機位置を示す図
【図17】第4の実施形態の回動した状態を示す図
【符号の説明】
【0031】
1 脚枠体
11 フランジ部
12 昇降用溝
13 嵌脱部
14 嵌脱用凸部
15a、15b 位置固定突部
16 弾性部
17 切欠部
18 係合部
2 取付筒体
21 被嵌脱部
22 被嵌脱用凹部
23 ポケット部
24 弾性部
25 切欠部
26 抜け止め突部
27 ガイド凹み
28 被係合部
3 内装体
31 大径部
32 小径部
33 段部
34 昇降規制突片
35 回動規制突片
36 係止爪
37 円周ガイド溝
38 垂直ガイド溝
39 位置固定突部用溝
4 外枠体
41 外側円筒
42 内側円柱
43 切欠
44 嵌合凹部
5 印判主体
51 印字体
52 主筒部
53 受金
54 鍔部
55 インキ吸蔵体
6 弾発部材
7 シャッター部材
71 遮蔽板
72 取付片
73 係止組部
8 ホルダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続捺印可能な印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上下端面が開口した脚枠体と、前記脚枠体に昇降および回動可能に設けられる内装体と、前記脚枠体の外周を上方より覆い前記内装体と連動して昇降する外枠体と、前記内装体の下端に取付けられた印判主体と、前記内装体を常時上方に付勢させる弾発部材とよりなり、押印操作に伴う内装体の下降により捺印可能な状態になる印判は既に知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
そして、特許文献1には、外枠体に設けたロック凸部と、脚枠体に設けたロック凹部によって上下動の規制を調節するロック機構の記載があり(特許文献1、段落番号0009に記載)、また、特許文献2には、外枠体に設けたガイド片と、脚枠体に設けたガイド溝によって上下動の規制を調節するロック機構の記載と、前記ガイド片と、脚枠体に設けた段部の他端壁によって回動を規制するロック機構の記載がある(特許文献2、段落番号0023に記載)。
また、特許文献3は、昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする印判であり、本出願人が先に出願したものである。
【特許文献1】実用新案登録第2565978号公報
【特許文献2】特許第3641847号公報
【特許文献3】特願2007−226262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のロック機構は、ロック凸部の回動を規制することができないため、ロック凸部がクルクルと回転してしまい使用に際して使い勝手が悪い。
また、特許文献2のロック機構は、ガイド片とガイド溝の働きにより、押しボタンの回動および押圧操作を規制することはできるが、押印後、押しボタンから手を離せば、押しボタンはスプリングの付勢力と捩じばねの付勢力によって、押印操作前の元の位置に自動的に復帰移動する(特許文献2、段落番号0024に記載)。よって、断続的に捺印する場合、押しボタンを所定の回動位置まで都度回動させるか、或いは、所定の回動位置をキープし続けなければならないので、面倒で使い勝手が悪い。
【0004】
このような問題を解決するため、本出願人は先に、特願2007−226262号の印判を出願しているが、この先願のものは、脚枠体を、取付筒体の外周を上方より覆うように嵌合しているため(特許文献3、図3に記載)、脚枠体と取付筒体が重なり、印判全体の外径が大きくなる。そのため、印判の太さに対して印字体の印面サイズが小さく感じられ、印判全体に対する印面サイズのバランスが悪かった。
そして、このように印面サイズのバランスが悪いと、捺印するときの位置合わせが難しく、狙った位置に上手く捺印することができなかった。
また、脚枠体に対して取付筒体を嵌脱自在にするため、その嵌合力は比較的弱く設定してあるが、その弱い嵌合力でも取付筒体が脚枠体に対して回動しないように、別途回動を防止する突片(特許文献3、図8に記載、上筒上端面の1組の突片)が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明の印判は、上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体と、上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体と、前記脚枠体内および前記取付筒体内に昇降および回動可能に設けられる内装体と、前記脚枠体の外周を上方より覆い、前記内装体と協動して昇降する外枠体と、前記内装体の下端に着脱自在に取付けられ下端に印字体を備えてなる印判主体と、前記外枠体を常時上方に付勢して、前記印字体の印面を前記取付筒体の下端開口より上方に位置させる弾発部材と、前記取付筒体内に設けられて常時は印字体を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体の下降に連動して捺印可能な状態に開かれるシャッター部材と、よりなる印判であって、前記内装体の外周面に昇降規制突片と回動規制突片を設け、前記脚枠体の上端開口内周面に昇降用溝を設け、前記回動規制突片の側端の一端と前記昇降用溝の側端の一端とが当接した前記内装体が昇降可能な捺印位置から、前記内装体を周方向に回動させることにより、前記昇降規制突片の下端が前記脚枠体の上端面と当接するとともに、前記回動規制突片の側端の他端と前記昇降用溝の側端の他端とが当接することで、前記内装体を前記脚枠体に対して昇降不能な待機位置に位置させることを特徴とする。
また、第2の発明は、前記嵌脱部または前記被嵌脱部に、前記嵌脱を補完する弾性部を設けたことを特徴とする第1の発明の印判である。
また、第3の発明は、前記昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、前記回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、前記内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする第1の発明または第2の発明の印判である。
また、第4の発明は、前記捺印位置から前記内装体を周方向に回動させることにより、前記取付筒体の内周面に設けた抜け止め突部と、前記内装体の外周面に設けた円周ガイド溝とが係合することで、前記取付筒体を前記内装体に対して取外し不能にすることを特徴とする第1の発明からは第3の発明の印判である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、まず、特許文献3と同様、次の効果を有する。
印字体を備えた内装体を、脚枠体に対して昇降不能な待機位置と、昇降可能な捺印位置で、回動不能に規制するため、内装体が脚枠体に対してクルクルと回転してしまうようなことがなく、使用に際して使い勝手がよい。
また、前記待機位置と前記捺印位置の各位置をロックできるため使い勝手がよいものであり、待機位置でロックできると誤作動による汚れを防止でき、また、捺印位置でロックできると捺印作業によって周方向への位置ズレが生じないため、連続捺印や断続捺印時に所定位置をキープさせ続ける必要がなく、不安感なく使用することができる。
また、前記待機位置で取付筒体を内装体に対して取外し不能としているため、待機位置において不用意に取付筒体が外れることで印字体が露呈し、周囲をインキで汚損してしまうような心配がない。
そして、本願特有の効果として、次の点が挙げられる。
本願は、脚枠体の下端面に設けた嵌脱部と取付筒体の上端面に設けた被嵌脱部を嵌脱自在に嵌合させる、端面同士の嵌合のため、脚枠体と取付筒体を重ねることなく嵌合できる。よって、脚枠体と取付筒体の外径寸法を同一にすることができるので、印判全体の外径を印面の外径サイズに近づけることができ、また、脚枠体と取付筒体を重ねていた特許文献3の発明よりも、印判全体の外径を細くすることができる。
このように、印判全体の外径を印面の外径サイズに近づけることができるので、印判の太さに対して印字体の印面サイズが適切に感じられ、印判全体に対する印面サイズのバランスがよく、捺印するときの位置合わせが容易で、狙った位置に上手く捺印することができるようになる。
また、嵌脱部と被嵌脱部が、取付筒体と脚枠体との回動を防止するため、特許文献3のように別途回動を防止する突片を設ける必要がなくなる。
さらに、嵌脱部または被嵌脱部に、嵌脱を補完する弾性部を設けると、嵌脱を繰り返すことによる、嵌脱用凸部や被嵌脱用凹部が削れてしまうことがなく、また、前記嵌脱部や前記被嵌脱部形状の自由度を上げることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。尚、本発明で「上」は外枠体側を指し「下」とは印判主体側を指す。また、「周方向」とは、円柱形状を有する本発明印判を、軸線を中心に回動した際、左右へ回動する方向を指す。
【0008】
まず、本発明第1の実施形態を、図1〜図9に基づいて説明する。
脚枠体1は、上下端面が開口したプラスチック製の中空円柱状で、下端には後述する取付筒体2を着脱自在に取付ける。前記脚枠体1の上端部には内側に向かうリング状のフランジ部11が延設され、フランジ部11の内周面には、昇降用溝12が脚枠体1の上下方向に沿って設けられており、前記フランジ部11の下面には、後述する内装体3の段部33が当接する。
【0009】
脚枠体1の下端面には、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部13を設ける。ここで、嵌脱とは、嵌めたり抜いたりすることを意味する。
前記嵌脱部13は、その略下方側縁に、嵌脱用凸部14または嵌脱用凹部(図示しない)を設けることで、後述する取付筒体2の被嵌脱部21と、上下方向で嵌脱自在に嵌合される。
【0010】
取付筒体2は、上下端面が開口したプラスチック製の中空円柱状で、上端には前記脚枠体1を嵌脱自在に取付ける。
取付筒体2を脚枠体1に取付けたとき外周面が一致するように、取付筒体2の外径寸法を、前記脚枠体1の外径寸法と略同一とする。
前記取付筒体2の上端面には、前記嵌脱部13に上下方向で嵌脱自在に嵌合する被嵌脱部21を設ける。被嵌脱部21の形状を前記嵌脱部13の形状に合わせ、被嵌脱部21と嵌脱部13を嵌脱自在に嵌合する。嵌脱部13を凸縁で形成した場合は、被嵌脱部21を凹縁で形成し、図示しないが、嵌脱部を凹縁で形成した場合は、被嵌脱部を凸縁で形成すればよい。このように、嵌脱部13と被嵌脱部21の形状を、互いに合致するようにするため、脚枠体1に対して取付筒体2が回動することを防止できる。
被嵌脱部21の略下方側縁には、被嵌脱用凹部22または被嵌脱用凸部(図示しない)を設け、嵌脱部13に設けられた嵌脱用凸部14または嵌脱用凹部(図示しない)と嵌脱自在に嵌合させる。これにより、取付筒体2の上端に脚枠体1を嵌脱自在に嵌合することができる。
ここで、前記回動防止効果をさらに高めるため、嵌脱部13と被嵌脱部21の組み合わせとは別に、係合部18と被係合部28を互いに合致するように別途設けてもよい。その際、この係合部18と被係合部28を嵌脱可能な関係にしても勿論よい。
【0011】
前記取付筒体2の内部には、常時は印字体51を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体3の下降に連動して捺印可能な状態に開かれる左右一対の遮蔽板71、71よりなるシャッター部材7を取付ける。
遮蔽板71は、取付筒体2の中央に設けたポケット部23に遮蔽板71を挿入し、ポケット部23の下縁と取付筒体2の外周面で取付片72を固定して取付けられる。
【0012】
内装体3は、前記脚枠体1内に昇降および回動可能に挿設されている。内装体3は、上下端面が開口したプラスチック製の中空体で、所定径を持つ円柱状の大径部31と、該大径部31よりも小径で円柱状の小径部32とを備えた段付形状を有している。前記小径部32の外径は、前記フランジ部11の内径と略同寸法とする。前記小径部32の外周面には、昇降規制突片34と回動規制突片35が突出形成される。前記昇降規制突片34と回動規制突片35は、内装体3の上下方向に沿って延設され、前記昇降用溝12に挿通される。回動規制突片35は、昇降規制突片34の右下端部から下に延設される。これにより、前記昇降規制突片34と回動規制突片35は、前記昇降用溝12に対向した位置で、回動規制突片35の右側端面と昇降規制突片34の左側端面が、前記昇降用溝12の各側端に摺接し、前記内装体3が脚枠体1内で上下方向へ昇降可能となる。
また、内装体3の上方への移動は、脚枠体1の内側において、前記大径部31と小径部32との連結面上に形成された段部33が、脚枠体1のフランジ部11下面に当接する位置で止まり、それ以上上方へは移動できない。そしてこの位置において、前記昇降規制突片34の下端が、前記フランジ部11上端面と上下方向の高さが一致するように、前記昇降規制突片34を内装体3の上下方向に沿って延設する。
前記大径部31内には、後述する印判主体5を着脱自在に嵌着し、また、小径部32の内壁面上方には、後述する外枠体4と嵌合する係止爪36を設けてある。
【0013】
外枠体4は、下端が開口した外側円筒41の内側に、天面から下方に向かって前記外側円筒41と同軸の内側円柱42を垂下させたプラスチック製の円筒体であり、一体成型される。前記内側円柱42には、左右を2分割する切欠43が上下方向に延設される。
前記内側円柱42の外径寸法は、前記内装体3の小径部32の内径寸法と略同一であり、前記内側円注42の下方外周面には、前記内装体3の係止爪36と対向する位置に嵌合凹部44を設ける。
この外枠体4の組付けは、内装体3を内部に収納した脚枠体1のフランジ部11上端面に弾発部材6を配設した状態で、前記内側円注42の下端を、前記弾発部材6および、脚枠体1の上端開口より突出した小径部32の上端開口に挿通し、前記内装体3の内壁面に設けた係止爪36を、前記嵌合凹部44に嵌合させることにより、前記外枠体4を内装体3に冠着する。これにより、外枠体4は、内装体3の上部外周を覆い、さらに脚枠体1の外周を覆った状態で内装体3と連結一体化され協動するものであり、前記弾発部材6は、外枠体4の天面下端と脚枠体1のフランジ部11上端面との間に挟着されているため、弾発部材6の働きにより、内装体3は外枠体4と共に、脚枠体1に対して常時上方へ付勢されている。ここで協動とは、2つのものが一緒に動くことを意味し、また、本実施の形態では弾発部材6としてコイルスプリングを使用している。
ここで、前記外側円筒41は、その下端が取付筒体2の外周まで達してもよく、また、2部品で構成してもよい。2部品で構成する場合は、前記外側円筒41の下端周面に段部を設け、円筒状のホルダー8を前記段部に嵌着させてもよい。このような構成であれば、例えば、ホルダー8の材質を金属にすることも可能となり、プラスチック以外の質感で美感を高めることができる。
【0014】
印判主体5は、連続気孔を有する多孔質ゴムよりなる印字体51を主筒部52の下方で受金53により保持してなり、下端には印字体51の印面が露呈している。この印判主体5は、印面を下向きにして、主筒部52の外周縁に設けた鍔部54と、前記内装体3の大径部31内に設けた嵌合リブ(図示しない)とが圧入嵌合することにより、着脱自在に取付けられる。
なお、印判主体5を交換する際には、脚枠体1から取付筒体2を取り外した後、印判主体5を内装体3から取り外すことで、新しいものと取り替えることができる。
また、印判主体5にインキを補充する際は、前記の通り、印判主体5を内装体3から取り外してインキ吸蔵体55を新しいものと差し替えることで行うことができる。
【0015】
前記シャッター部材7は、互い違いに重ね合わせられて印面を遮蔽するよう、位相を異ならせた係合突片と係合受縁とよりなる凹凸端縁を有する左右一対の略半円形の遮蔽板よりなるものとしている。遮蔽板71の係合突片と係合受縁を1箇所だけで係止組部が組まれるものとし、先尖りの文具類が侵入しやすい部位を一つとして先尖りの文具類が侵入する可能性を低減させるとともに、形状を簡単なものとして安価な成形型やプレス型により製造するようにして製品コストを低減させるという作用効果を有する。
また、基部には取付片72を形成してある。なお、遮蔽板71としては、繰返し行われる開閉動作に対して十分な耐久性が得られるものであれば材質を限定するものではないが、実施例では、ポリプロピレン樹脂などの強靱な合成樹脂材よりなるものとしてある。
また、左右の遮蔽板71は、位相を異ならせた係合突片と係合受縁とよりなる凹凸端縁を互い違いに重ね合わせて係合させた際、その交差係合して係止組部73が組まれるものとしており、このように左右の遮蔽板71、71の係止組部73によって遮蔽板71の折り畳み方向に作用する弾発力が受け止められ、両遮蔽板71は係合ロックされて印面との間に引張力や押圧力に強い強固な空間を形成している。
【0016】
前記した遮蔽板71、71は押印操作時に下降する印判主体5の受金53に当接することにより連動し弾発力に抗して自動的に押し開かれるようになっている。さらに、遮蔽板71の係合突片はその突縁を角部のない円弧状としてあり、このように円弧状とすることにより他方の遮蔽板71に重なり合っていく際、係合が円滑に行われて遮蔽不良が生じることがないようにしてある。
【0017】
また、互いに協動する内装体3と外枠体4は、脚枠体1のフランジ11上端面と外枠体4の天面下端との間に挟着された弾発部材6の作用により、脚枠体1に対して常時上方に付勢されているので、本印判を使用しない常時は、印判主体5を取付けた内装体3が上昇し、受金53が遮蔽板71に当接しない。そのため、シャッター部材7はその弾発力により左右の遮蔽板71、71を係合ロックして印面を強固に遮蔽し、他物が侵入しても遮蔽板71は不用意に開放されることがなく、印面を的確に保護するとともに、印面によって他物を汚損させることもない。
また、捺印操作時には、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、外枠体4を押圧して弾性部材6の付勢力に抗して印判主体5を下降させれば、下降する印判主体5の受金53により取付筒体2に取り付けられている左右の遮蔽板71、71の基部は押圧されるのでシャッター部材7は開放され、印字体51は紙面に接触して捺印が行われることとなる。
【0018】
ここで、図示例では、脚枠体1に設けた昇降用溝12の数を2個としたが、対応する前記回動規制突片35および昇降規制突片34の数と同数であれば、単数でも複数でもよい。また、図示例では、昇降規制突片34と回動規制突片35を、内装体3の上下方向に沿って延設したが、昇降用溝12の上下方向の長さが、捺印位置から下降位置までのストローク分確保されていれば、昇降規制突片34と回動規制突片35は突起であってもよい。また、本実施例では、内装体3に突片を設け脚枠体1に溝を設けたが、内装体3に溝を設け脚枠体1に突片を設けてもよい。また、本実施例では、内装体3を反時計回りに回動して捺印位置に、時計回りに回動して待機位置としたが、これらが逆になるように配置しても勿論よい。
【0019】
次に、以上のように構成された本発明第1の実施形態による印判の使用方法を説明する。
まず、印字体51を捺印する場合には、図7に示すように、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、反時計回りに回動する。この捺印位置とは、脚枠体1に設けた昇降用溝12の側端と、内装体3に設けた回動規制突片35の右側端面が当接して回動が停止し、かつ、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面との当接が解除される位置である。この位置で、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、外枠体4を弾発部材6の弾発力に抗して押圧して押し下げると、回動規制突片35の右側端面と昇降規制突片34の左側端面が、前記昇降用溝12の各側端に摺接しながら下降し、前記印判主体5の受金53でシャッター部材7を開放すると、印字体51が取付筒体2の下端開口より露呈して捺印することができる図8に示す下降位置へ到達する。そして、捺印が完了して外枠体4への押圧を解くと、前記下降時と反対の工程を経て、外枠体4と協動する内装体3が脚枠体1内を上昇し、シャッター部材7が閉じた前記捺印位置まで戻る。
【0020】
次に、本印判を使用しない時、即ち、携帯時や収納時においては、図9に示すように、外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、時計回りに回動する。この待機位置とは、脚枠体1に設けた昇降用溝12の側端と、内装体3に設けた回動規制突片35の左側端面が当接し、かつ、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面が当接する位置である。この位置において、外枠体4を弾発部材6の弾発力に抗して押圧して内装体3を脚枠体1内にて下降させようとしても、昇降規制突片34の下端とフランジ部11上端面が当接しているため、内装体3は脚枠体1内を昇降することができない。このように、待機位置では、外枠体4と内装体3の下降が阻止されるので、携帯時や収納時において、使用者の意に反して印面が露呈することを防止することができ、周囲をインキで汚損することを防止できる。
【0021】
次に、本発明第2の実施形態を、図10〜図12に基づいて説明する。尚、ここでは、前記した第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21に、前記嵌脱を補完する弾性部16、24を設ける。前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21を凸縁で形成した場合は、例えば、前記凸縁を左右に2分割する切欠部17を設け、分割された左右の凸縁が切欠部17の方向に撓むことで弾性作用を有する弾性部16を設けることができる。
また、前記嵌脱部13または前記被嵌脱部21を凹縁で形成した場合、例えば、前記凹縁の左右縁に切欠部25を設け、前記被嵌脱用凹部22を設けた側縁が、周方向外側に撓むことで弾性作用を有する弾性部24を設けることができる。
【0022】
次に、以上のように構成された本発明第2の実施形態による印判の使用方法を説明する。
本実施形態は、第1の実施形態と同様、脚枠体1と取付筒体2を嵌脱自在に嵌合するものであるが、この嵌脱機能をより向上させる。
すなわち、前記嵌脱部13を凸縁で形成して、前記嵌脱部13に弾性部16を設ける場合、前記分割された左右の凸縁が切欠部17の方向に撓みながら、前記被嵌脱部21内に進入して、嵌脱用凸部14が被嵌脱用凹部22に到達したところで撓みが解消され、嵌合される。嵌合を解除する場合は、上記と逆に辿るようにすればよい。
また、前記被嵌脱部21を凹縁で形成して、前記被嵌脱部21に弾性部24を設ける場合、前記被嵌脱用凹部22を設けた側縁が切欠部25の方向に撓みながら、前記嵌脱部13が前記被嵌脱部21内に進入して、嵌脱用凸部14が被嵌脱用凹部22に到達したところで撓みが解消され、嵌合される。嵌合を解除する場合は、上記と逆に辿るようにすればよい。
【0023】
第1の実施形態では、前記嵌脱部と前記被嵌脱部の形状を、互いに合致するように近づけると、嵌合力が上がるため、嵌脱する際に必要な力が大きくなる。そして、前記嵌脱をアンダーカット嵌合のような無理抜きで行う場合、使用により嵌脱を繰り返すことによって、嵌脱用凸部14や被嵌脱用凹部22が削れてしまうといった不具合が生じる。
しかし、本実施形態では、嵌脱時に弾性部16によって、嵌脱用凸部14や被嵌脱用凹部22が、嵌脱を解除する方向へ逃げるため、上記のような不具合を解消できるとともに、前記嵌脱部や前記被嵌脱部形状の自由度を上げることができる。
【0024】
次に、本発明第3の実施形態を、図10、図13〜図16に基づいて説明する。尚、ここでは、前記した第1および第2の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記脚枠体1のフランジ部11の内周面に設けられた昇降用溝12内に、位置固定突部15a、15bを設ける。位置固定突部15a、15bは、昇降用溝12内の両側端近傍にそれぞれ設けられ、捺印位置と待機位置において、前記回動規制突片35と回動方向に対して嵌合することで、周方向に回動しないようにロックされる。また、前記昇降規制突片34と回動規制突片35の間には位置固定突部用溝39設け、脚枠体1内を内装体3が昇降する際、前記位置固定突部15aが前記昇降規制突片34や回動規制突片35と干渉しないための通り道とする。
ここで、本実施例では、昇降規制突片34を内装体3の上下方向に沿って延設しているが、昇降規制突片34の左側端面と昇降用溝12の側端が摺接しなくても、位置固定突部15aと回動規制突片35によって十分昇降動作をガイドするため、特に昇降規制突片34の左側端面を上下方向に延設させなくてもよく、昇降規制突片34の下端部分だけを突設させるだけでもよい。また、図示例では、前記回動ロック機構を1セットのみ設けているがその数に制限はなく、他の昇降用溝12と回動規制突片35との組合わせにロック機構を設けてもよい。
【0025】
次に、以上のように構成された本発明第3の実施形態による印判の使用方法を説明する。
まず、捺印位置において内装体3の回動をロックする場合には、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、反時計回りに回動する。その際、回動規制突片35は、位置固定突部15aを乗り越えてから捺印位置に到達する。この、回動規制突片35が位置固定突部15aを乗り越える際に、クリック感とクリック音が発生するため、捺印位置に到達したことを使用者は実感する。そして、捺印位置で固定されるため、押印操作を継続することによって、誤って待機位置方向へ内装体3が回動してしまい、昇降不能な位置に移動することを防止できる。
次に、待機位置において内装体3の回動をロックする場合には、外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動する。本実施例の場合は、時計回りに回動する。その際、回動規制突片35は、位置固定突部15bを乗り越えてから待機位置に到達する。この、回動規制突片35が位置固定突部15bを乗り越える際に、クリック感とクリック音が発生するため、待機位置に到達したことを使用者は実感する。そして、待機位置で固定されるため、携帯時や収納時において、使用者の意に反して印面が露呈することを防止することができ、周囲をインキで汚損することを防止できる。
【0026】
次に、本発明第4の実施形態を説明する。尚、ここでは、前記した第1から第3の実施形態と異なる点のみを説明する。
前記取付筒体2の内周面に抜け止め突部26を設け、前記内装体3の大径部31外周面に円周ガイド溝37を設ける。円周ガイド溝37を設ける位置は、前記内装体3が昇降不能な待機位置で、前記抜け止め突部26が係合する位置とする。
また、内装体3が昇降する際、前記抜け止め突部26が、前記大径部31外周面と干渉しないための通り道として、垂直ガイド溝38を設けてもよい。
ここで、内装体3と取付筒体2のそれぞれに設ける突部やガイド溝は、待機位置において、取付筒体2が内装体3に対して抜け止めされるのであれば、その関係が反対であってもよい。すなわち、取付筒体2の内周面に各ガイド溝を設け、内装体3の外周面に抜け止め突部を設けてもよいものである。また図示例では、突部と係合片の数をそれぞれ2個としたが、対応する突部と係合片の数とが同数であれば、単数でも複数でもよい。
【0027】
次に、以上のように構成された本発明第4の実施形態による印判の使用方法を説明する。
第1の実施例で説明したように、前記脚枠体1には取付筒体2が着脱自在に連結されている。これは、印判主体5にインキを補充する際や、印判主体5を交換する際に、シャッター部材7を有する取付筒体2が障害とならないように、事前に取り外して作業効率を上げることを目的としているからである。しかし、取付筒体2が常に脚枠体1に対して着脱自在となっていると、携帯時や収納時において、使用者の意に反して取付筒体2が脚枠体1から外れて印面が露呈し、周囲をインキで汚損する可能性がある。そこで、第4の実施形態では、待機位置で取付筒体2が脚枠体1から外れないように構成されている。
外枠体4と協動する内装体3を昇降不能となる待機位置まで周方向に回動すると(図17 本施例の場合は時計回りに回動する)、抜け止め突部26が円周ガイド溝37と係合するため、取付筒体2は内装体3から外れなくなり、結果として脚枠体1から外れなくなる。
一方で、外枠体4と協動する内装体3を昇降可能となる捺印位置まで周方向に回動すると(本実施例の場合は反時計回りに回動すると)、抜け止め突部26と円周ガイド溝37の係合が解除されるため、取付筒体2は脚枠体1から取り外し可能となる。
【0028】
ここで、本発明は、次の構成を設けてもよい。
前記取付筒体2の下端周縁に、ガイド凹み27を設ける。図示例では、脚枠体1に取付けた取付筒体2の下端周縁に、90度の間隔でガイド凹み27を設けた状態を示している。凹みを設ける目的は、捺印位置を正確に位置決めするための照準手段であるため、この目的を満たす目印であれば適宜採用することができ、例えば、90度の間隔ではなく45度や180度の間隔で凹み、あるいは突起を設けたり、寸法を測れる目盛りであってもよいものである。
捺印操作時には、取付筒体2の下端縁を紙面に当接させたうえ、前記ガイド凹み27を照準手段として、使用者所望の捺印位置へ位置合わせした後、外枠体4を押圧して捺印することにより、使用者所望の捺印位置へ正確に捺印することができる。
【0029】
以上、本発明を前記実施例により説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明捺印位置の断面図
【図2】本発明捺印位置の断面図
【図3】第1の実施形態の脚枠体を示す図
【図4】第1の実施形態の取付筒体を示す図
【図5】第1の実施形態の脚枠体と取付筒体を嵌合した状態を示す図
【図6】第1の実施形態の内装体を示す図
【図7】第1の実施形態の捺印位置を示す図
【図8】第1の実施形態の下降位置を示す図
【図9】第1の実施形態の待機位置を示す図
【図10】第2の実施形態の脚枠体を示す図
【図11】第2の実施形態の取付筒体を示す図
【図12】第2の実施形態の脚枠体と取付筒体を嵌合した状態を示す図
【図13】第3の実施形態の内装体を示す図
【図14】第3の実施形態の捺印位置を示す図
【図15】第3の実施形態の下降位置を示す図
【図16】第3の実施形態の待機位置を示す図
【図17】第4の実施形態の回動した状態を示す図
【符号の説明】
【0031】
1 脚枠体
11 フランジ部
12 昇降用溝
13 嵌脱部
14 嵌脱用凸部
15a、15b 位置固定突部
16 弾性部
17 切欠部
18 係合部
2 取付筒体
21 被嵌脱部
22 被嵌脱用凹部
23 ポケット部
24 弾性部
25 切欠部
26 抜け止め突部
27 ガイド凹み
28 被係合部
3 内装体
31 大径部
32 小径部
33 段部
34 昇降規制突片
35 回動規制突片
36 係止爪
37 円周ガイド溝
38 垂直ガイド溝
39 位置固定突部用溝
4 外枠体
41 外側円筒
42 内側円柱
43 切欠
44 嵌合凹部
5 印判主体
51 印字体
52 主筒部
53 受金
54 鍔部
55 インキ吸蔵体
6 弾発部材
7 シャッター部材
71 遮蔽板
72 取付片
73 係止組部
8 ホルダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体と、
上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体と、
前記脚枠体内および前記取付筒体内に昇降および回動可能に設けられる内装体と、
前記脚枠体の外周を上方より覆い、前記内装体と協動して昇降する外枠体と、
前記内装体の下端に着脱自在に取付けられ下端に印字体を備えてなる印判主体と、
前記外枠体を常時上方に付勢して、前記印字体の印面を前記取付筒体の下端開口より上方に位置させる弾発部材と、
前記取付筒体内に設けられて常時は印字体を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体の下降に連動して捺印可能な状態に開かれるシャッター部材と、
よりなる印判であって、
前記内装体の外周面に昇降規制突片と回動規制突片を設け、前記脚枠体の上端開口内周面に昇降用溝を設け、前記回動規制突片の側端の一端と前記昇降用溝の側端の一端とが当接した前記内装体が昇降可能な捺印位置から、前記内装体を周方向に回動させることにより、前記昇降規制突片の下端が前記脚枠体の上端面と当接するとともに、前記回動規制突片の側端の他端と前記昇降用溝の側端の他端とが当接することで、前記内装体を前記脚枠体に対して昇降不能な待機位置に位置させることを特徴とする印判。
【請求項2】
前記嵌脱部または前記被嵌脱部に、前記嵌脱を補完する弾性部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の印判。
【請求項3】
前記昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、前記回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、前記内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印判。
【請求項4】
前記捺印位置から前記内装体を周方向に回動させることにより、前記取付筒体の内周面に設けた抜け止め突部と、前記内装体の外周面に設けた円周ガイド溝とが係合することで、前記取付筒体を前記内装体に対して取外し不能にすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の印判。
【請求項1】
上下端面が開口し、下端面に、凸縁または凹縁で形成した嵌脱部を有する脚枠体と、
上下端面が開口し、上端面に、前記嵌脱部に嵌脱自在に嵌合される被嵌脱部を設けた取付筒体と、
前記脚枠体内および前記取付筒体内に昇降および回動可能に設けられる内装体と、
前記脚枠体の外周を上方より覆い、前記内装体と協動して昇降する外枠体と、
前記内装体の下端に着脱自在に取付けられ下端に印字体を備えてなる印判主体と、
前記外枠体を常時上方に付勢して、前記印字体の印面を前記取付筒体の下端開口より上方に位置させる弾発部材と、
前記取付筒体内に設けられて常時は印字体を隠蔽するように先端同士を接触させているが、押印操作に伴う内装体の下降に連動して捺印可能な状態に開かれるシャッター部材と、
よりなる印判であって、
前記内装体の外周面に昇降規制突片と回動規制突片を設け、前記脚枠体の上端開口内周面に昇降用溝を設け、前記回動規制突片の側端の一端と前記昇降用溝の側端の一端とが当接した前記内装体が昇降可能な捺印位置から、前記内装体を周方向に回動させることにより、前記昇降規制突片の下端が前記脚枠体の上端面と当接するとともに、前記回動規制突片の側端の他端と前記昇降用溝の側端の他端とが当接することで、前記内装体を前記脚枠体に対して昇降不能な待機位置に位置させることを特徴とする印判。
【請求項2】
前記嵌脱部または前記被嵌脱部に、前記嵌脱を補完する弾性部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の印判。
【請求項3】
前記昇降用溝の内周面に設けた位置固定突部の側端と、前記回動規制突片の側端とが回動方向に対して嵌合することで、前記内装体の昇降可能な捺印位置または内装体の昇降不能な待機位置で、内装体の回動をロックすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印判。
【請求項4】
前記捺印位置から前記内装体を周方向に回動させることにより、前記取付筒体の内周面に設けた抜け止め突部と、前記内装体の外周面に設けた円周ガイド溝とが係合することで、前記取付筒体を前記内装体に対して取外し不能にすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の印判。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−194925(P2010−194925A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43774(P2009−43774)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
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