説明

印刷で使用するシリンダ形状要素を作製する方法

【課題】印刷で使用するシリンダ形状要素を作製する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、シリンダ形状要素、特に、印刷用のベーススリーブとして、または印刷版用の支持体として使用するシリンダ形状要素を作製する方法に関する。方法は、第1の端部および第2の端部を有するシート材料を、第2の端部が第1の端部に隣接するように巻き付けて、第1の端部と第2の端部との軸方向継ぎ目を有するベーススリーブを形成する。第1の端部は、振幅を有する、非直線縁部を有する。第1の端部と第2の端部との間の一部は重なり、軸方向継ぎ目を形成する。方法は、軸方向継ぎ目の少なくとも一部を覆う画像形成可能材料をベーススリーブの外側面に隣接して適用することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ形状要素、特に、印刷用のベーススリーブとして、または印刷版用の支持体として使用するシリンダ形状要素を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷の印刷作業において、平面状の可撓性プレートを下層となる印刷シリンダに巻き付け、付着させて、シリンダに手動で取り付けることができる。通常、平プレートは、凸版印を有するゴム層か、または光硬化性ポリマー層のいずれかをその上に有するベース支持体を含む。一部の例では、印刷品質を改善するために、ベース支持体と、ゴム層または光硬化性層との間に圧縮可能層が配置される。そのような平プレートは、印刷シリンダに直接取り付けられるので、比較的薄く、可撓性であり得るという利点を有する。しかし、そのような取付作業は労働集約的で時間がかかり、次の印刷運転で再利用するために、プレートを印刷シリンダから容易に取り外すことができない。
【0003】
中空のシリンダ状スリーブは、様々な印刷版用の支持体として機能している。一部の事例では、印刷版は、シリンダ状スリーブに取り付けられた1つまたは複数の印刷プレートで構成される。別の事例では、印刷版は、画像を形成することができ、シリンダ状スリーブの外側面に適用することができる光重合体またはゴムの連続する層で構成される。シリンダ状スリーブは、ベーススリーブと呼ばれることもある。画像形成可能な光重合体またはゴムの連続する層を有する印刷版をシリンダ状スリーブ上で使用することには特定の利点がある。連続する印刷版は、壁紙、装飾紙、およびギフト用ラッピング紙などの連続するデザインのフレキソ印刷に使用できる。
【0004】
シリンダ状スリーブ、および連続する印刷版の使用は、業界においてますます広まっている。プレートと異なり、スリーブは印刷シリンダに付着しないので、次の印刷運転のために、印刷版を容易に再利用することができる。スリーブ技術により、印刷シリンダ上の印刷版を非常に素速く、かつ簡単に交換することも可能になる。シリンダ状スリーブの内径は印刷シリンダの外径と一致するので、スリーブは、印刷機の印刷シリンダ上で簡単にスライドすることができる。印刷シリンダは、印刷シリンダへのスリーブの取り付けおよび印刷シリンダからのスリーブの取り外し(すなわち、押し込み/押し出し)を容易にする圧縮空気を装備する。圧縮空気は印刷シリンダに接続され、シリンダの内部に流入し、シリンダの外側面に配置された穴から噴出して、スリーブの着脱のためのエアクッションを形成する。スリーブを取り付ける場合、圧縮空気は印刷シリンダの表面穴から噴出し、スリーブは、スリーブと印刷シリンダとの間の摩擦を大幅に低減するエアクッションを形成する印刷シリンダの外側面に押し込まれる。スリーブは、エアクッションの影響により若干膨らむので、スリーブは、印刷シリンダに沿って所望の位置まで容易にスライドする。圧縮空気が止まると、スリーブは、もはや膨らんだ状態を維持することができず、収縮して印刷シリンダ上に確実にとどまる。その一方で、シリンダ状スリーブは、圧縮空気を用いた印刷シリンダでの苛酷な着脱に耐えなければならない。
【0005】
薄肉シリンダ状スリーブ、すなわち、約0.050インチ以下(0.127cm以下)の肉厚を有するスリーブには、低い製造コスト、高い生産性、ならびにそれらの軽量性および可撓性に起因する使いやすさによる特定の利点がある。薄肉シリンダ状スリーブは、既存の印刷シリンダを用いて印刷画像の所望のリピート長を得るために、ブリッジスリーブと容易に嵌合することができ、例えば、ドットゲインが小さいなどの適切な印刷品質を達成するために、クッションスリーブと容易に嵌合することができる。シリンダ状スリーブの様々な構成が、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、および(特許文献7)から公知である。通常、これらの先行技術のスリーブは、結合された複数の同心層と、場合によっては、1つまたは複数の支持用下層とで構成される。しかし、これらの公知のシリンダ状スリーブには、それらの製造および使用に関して多数の制約がある。
【0006】
スリーブを形成するために、材料の端部または縁部が接合された継ぎ目を有して製造されるシリンダ状スリーブで問題が発生することがある。継ぎ目を形成する材料の縁部は、スリーブを確実に気密封止するように十分に接触している必要があるが、その一方で、印刷版によって印刷性能に影響を及ぼし得る、継ぎ目での過剰な材料の蓄積がない、すなわち、過剰な材料が許容されない必要もあることから、継ぎ目を有するスリーブの製造は特に困難である。許容値なしでまたは最小限の許容値で縁部が十分に接する継ぎ目を有するスリーブを製造することは、特に、時間および労働集約的であり、大量のシリンダ状スリーブを(シリンダの直径および軸方向長さを基本とした)複数の大きさで製造するという目標に対して相反する。スリーブは、シリンダ状印刷版の着脱時に、加圧空気の作用を受けて継ぎ目で破損するか、または切れる恐れがあり、それによって、印刷版を使用不能にする。継ぎ目は完全な形で形成されないことがあり、その結果として、スリーブを印刷シリンダに適切に取り付けるために必要な気密性が損なわれる。継ぎ目での材料の蓄積、または過剰な継ぎ目許容値により、凸版画像層などの、スリーブの外側面に配置された1つまたは複数の層を介して伝わることがあるスリーブの不均一性が生じ、「プリントスルー」と呼ばれることもある印刷欠陥が発生する。プリントスルーは、印刷スリーブの下層にある継ぎ目構造に対応する、被印刷物に印刷された画像内の1つまたは複数の繰り返し歪み、あるいは1つまたは複数の繰り返し外乱(disturbance)として現れる。印刷画像への継ぎ目のプリントスルーにより、スリーブの残りの部分、すなわち、非継ぎ目部分で印刷された画像と比較して、画像の濃度が若干高いか、または低い領域が出現し得る。スリーブの残りの非継ぎ目部分よりも厚いまたは薄い、あるいは印圧を受けてスリーブの残りの非継ぎ目部分とは異なる特徴的な応答を示す継ぎ目は、印刷画像にプリントスルーをもたらす。さらに、不完全に形成された継ぎ目は、光重合体層などの1つまたは複数の層をスリーブ外側面に適用するのを妨害することがある。スリーブの外側面は、継ぎ目およびスリーブの残りの部分の肉厚に所望の均一性を付与するために研磨されることがある。しかし、表面を研磨することで、スリーブを作製するプロセスにさらなるステップが導入され、これは、コストおよび生産性のために回避するのが望ましい。
【0007】
したがって、従来のシリンダ状スリーブの問題を回避する一方で、低コストで、容易にかつ素速く製造されるシリンダ状スリーブが必要である。シート材料から1つまたは複数の層のシリンダ状スリーブを形成し、さらに、印刷版によって印刷された画像に見られることがある、プリントスルーなどの継ぎ目の不均一性にまつわる欠陥を回避し、さらなる層をスリーブに適用するのを容易にすることが望ましい。シリンダ状スリーブは、1つまたは複数の印刷プレート、あるいは画像形成可能な光重合体またはゴムの連続する層を支持し、加圧空気を用いた印刷シリンダへの苛酷な着脱に耐えることができなければならない。シリンダ状スリーブは、連続する層をその上に形成するなどの次の製造ステップ時に、寸法安定性および精度を維持し、かつ/または印刷に適した連続する層の凸版面を形成する、溶剤浸食または加熱などの画像形成および処理ステップを受けることができなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,214,932号明細書
【特許文献2】米国特許第5,383,062号明細書
【特許文献3】米国特許第5,468,568号明細書
【特許文献4】米国特許第5,753,324号明細書
【特許文献5】米国特許第5,974,972号明細書
【特許文献6】米国特許第6,699,548号明細書
【特許文献7】米国特許第6,703,095号明細書
【特許文献8】独国特許第28 44 426号明細書
【特許文献9】英国特許第1 579 817号明細書
【特許文献10】米国特許第4,883,742号明細書
【特許文献11】米国特許第4,871,650号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2006/0249239号明細書
【特許文献13】欧州特許第0 469 375号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第2 026 132号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第2 154 572号明細書
【特許文献16】米国特許第4,868,090号明細書
【特許文献17】米国特許第5,798,019号明細書
【特許文献18】米国特許第5,916,403号明細書
【特許文献19】米国特許第6,425,327号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2005/0250043号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2005/0277062号明細書
【特許文献22】米国特許第4,869,997号明細書
【特許文献23】米国特許第6,966,259号明細書
【特許文献24】米国特許第7,081,331号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2004/0048199A1号明細書
【特許文献26】特開昭53−008655号公報
【特許文献27】米国特許第3,060,023号明細書
【特許文献28】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献29】米国特許第5,015,556号明細書
【特許文献30】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献31】米国特許第5,215,859号明細書
【特許文献32】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献33】米国特許第6,797,454号明細書
【特許文献34】米国特許第6,531,184号明細書
【特許文献35】米国特許第6,238,837号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2010/0321663A1号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Plastic Technology Handbook,Chandler et al.,Ed.,(1987)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、a)第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有する第1のシート材料を用意し、b)第2の端部を第1の端部に隣接させるように、シートをシリンダ状支持部材に巻き付け、それによって、シートを、外側面、および第1の端部と段2の端部との継ぎ目を有するベーススリーブへと形成し、第1の端部は、振幅を有しかつ第2の端部の一部と重なる非直線縁部を形成し、c)非直線縁部を形成する少なくとも1つの端部をそれぞれが有する1つまたは複数のさらなるシート材料でステップa)、およびステップb)を繰り返し、d)ステップc)で得られたベーススリーブを硬化させることを含む、印刷版として使用するシリンダ形状のベーススリーブを作製する方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、a)第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有する第1のシート材料を用意し、b)第2の端部を第1の端部に隣接させるようにシートを巻き付け、それによって、シートを、外側面、および第1の端部と段2の端部との継ぎ目を有するベーススリーブにし、c)継ぎ目の少なくとも一部を覆う画像形成可能材料を外側面に隣接して適用(塗布)し、第1の端部は、振幅を有しかつ第2の端部の一部と重なる非直線縁部を形成することを含む、印刷版として使用するシリンダ形状要素を作製する方法が提供される。
【0012】
本発明は、次に説明する添付図面に関連する、本発明についての下記の詳細な説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】非直線縁部がある第1の端部と第2の端部とを有するシートから、シリンダ形状要素用のベーススリーブを形成するために創出された継ぎ目の一実施形態の概略的な平面図であり、第1端部および第2の端部の一部が重なっている。
【図2】非直線縁部がある第1の端部と、非直線縁部がある第2の端部とを有するシートから、シリンダ形状要素用のベーススリーブを形成するために創出された継ぎ目の一実施形態の概略的な平面図であり、第1端部および第2の端部の一部が重なっており、第1の端部の非直線縁部は、第2の端部の非直線縁部によって形成された波形とは異なる周期を有する波形を形成している。
【図3】非直線縁部がある第1の端部と、非直線縁部がある第2の端部とを有するシートからシリンダ形状要素用のベーススリーブを形成するために創出された継ぎ目の別の実施形態の概略的な平面図であり、第1の端部および第2の端部の一部が重なっており、第1の端部の非直線縁部は、第2の端部の非直線縁部によって形成された波形と位相がずれた波形を形成している。
【図4A】継ぎ目を形成するようにシリンダ形状の支持部材に巻き付けた、第1の端部および第2の端部を有するシート材料から形成されるベーススリーブの一実施形態の概略的な部分断面図であり、この部分は、第2の端部の一部に重なった第1の端部を示している。
【図4B】継ぎ目を形成するようにシリンダ形状の支持部材に巻き付けた、第1の端部および第2の端部を有するシート材料から形成されるベーススリーブの一実施形態の、図4Aに示す部分断面図に隣接する部分断面図であり、この部分は、第1の端部と第2の端部との間のギャップを示している。
【図5】各シートが軸方向の継ぎ目を形成する、シート材料の複数の層またはプライを有するベーススリーブの一実施形態を含むシリンダ状印刷要素の一実施形態の概略的な断面図であり、印刷要素は、ベーススリーブの外側層の上に配置された画像形成可能材料の連続する層を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明全体を通じて、同様な参照文字は、図のすべての図面において同様な要素を指す。
【0015】
本発明は、印刷版で使用する、または印刷版として使用するシリンダ形状要素を作製する方法に関する。シリンダ形状要素は、内側面および外側面を有する、管状、すなわち中空の細長いシリンダである。シリンダ形状要素は、要素の空洞を貫通する長手軸に沿った軸方向長さを有する。シリンダ形状要素の軸方向長さは、本明細書では要素の幅と称することもある。印刷版は、フレキソ印刷版および活版印刷版として使用することを含めて凸版印刷に適することができる。凸版印刷は、印刷版が画像領域で印刷を行う印刷方法であり、印刷版の画像領域は隆起し、非画像領域はくぼんでいる。あるいは、印刷版は、グラビア印刷、またはグラビア様印刷に適することができる。グラビア印刷は、印刷版が画像領域で印刷を行う印刷方法であり、画像領域はくぼんでおり、インクまたは印刷材料を含んだ小さい陥凹カップまたは井戸で構成され、非画像領域は版の表面である。グラビア様印刷は、凸版印刷版が使用されることを除いてグラビア印刷と同様であり、画像領域はくぼんでおり、印刷時に転写されるインクを担持する井戸を形成する陥凹領域で構成される。一部の実施形態では、シリンダ形状要素を使用して、1つまたは複数のプレート、いわゆるスリーブ上プレート(plate−on−sleeve)を支持することができる。ほとんどの場合、1つまたは複数のプレートをシリンダ形状要素に固定する前に、印刷に適した凸版面が1つまたは複数のプレートに形成される。他の実施形態では、シリンダ形状要素は、印刷に適した凸版を形成するための画像を形成することができる光重合体またはゴムの連続する、もしくは実質的に連続する層用の支持体として使用することができる。シリンダ形状要素はまた、主に印刷における他の最終用途に適することができると考えられる。シリンダ形状要素は、本明細書では、スリーブ、またはベーススリーブ、または複合スリーブ、またはスリーブブランクと称することがある。
【0016】
方法は、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有するシート材料を用意することを含む。シートは、その長さおよび幅と比較して相対的に薄い材料を含み、実質的に連続する材料ウェブなどの1つまたは複数の長い材料ストリップを含む。材料は、十分に柔軟であり、本発明によるシリンダ形状要素を形成するように加工することができさえすれば限定されず、スリーブに形成されると、印刷最終用途で適切に機能することができる。材料は、織布、不織布などの繊維材料、およびポリマーフィルムなどの非繊維材料から選択することができる。適切な繊維材料の例としては、ガラス繊維、アラミド繊維およびポリエチレン繊維などの延伸繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ならびにそれらの組み合わせがある。繊維材料は、様々な糸のタイプおよび糸径、糸の密度(例えば、各方向での1インチ当たりの糸数)、繊維糸の織り方、ならびに繊維太さで提供される。ポリマーフィルムの例としては、線状ポリエステルなどの付加ポリマーおよび線状縮合ポリマーによって形成されたフィルム、ポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなどのポリビニル樹脂フィルム、ならびにポリスチレンフィルムがある。ポリマーフィルムの一実施形態はポリエチレンテレフタレートである。材料、特に繊維材料は通常、ほとんどの実施形態で硬化性樹脂である樹脂を使用してシリンダ形状の版にされる。樹脂は熱可塑性樹脂であってよいし、または熱硬化性樹脂であってもよい。適切な樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニル−エステル樹脂、エポキシ樹脂、およびポリエポキシドフェノール樹脂がある。ほとんどの実施形態では、樹脂は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である。他の実施形態では、樹脂は、紫外線などの化学線に暴露することで硬化可能である。さらに他の実施形態では、樹脂は、熱硬化性であり、放射線硬化性でもある樹脂とすることができる。ベーススリーブに所望の特性を付与するシート材料および樹脂材料を選択することは、十分に印刷スリーブ業者の通常技術の範囲内である。
【0017】
通常、ほとんどの実施形態では、シート材料および樹脂材料は、硬化したベーススリーブの所望の肉厚をもたらし、さらに、最終用途のための引張り強度および弾性係数などの所望の機械特性をベーススリーブに付与するために使用できるシート材料の最小層数に基づいて選択される。所望の肉厚を得るのに必要なシート材料の層が少ないほど、ベーススリーブを製造するコストが削減される。シート材料および樹脂材料はまた、得られたベーススリーブが、ベーススリーブおよび印刷版の所望の最終使用特性に悪影響を及ぼすことなく、前駆体を印刷版に変える次のステップを受けることができるように選択されるべきである。例えば、ベーススリーブは、印刷版の画像形成可能材料に適用される浸食溶剤による、または同材料に加えられる熱による処理に対して耐性がなければならない。
【0018】
一部の実施形態では、シート材料および樹脂材料は、硬化後、ベーススリーブが化学線に対してある程度の透過性を有するように選択される。一部の実施形態では、化学線の少なくとも15%がベーススリーブを透過する。他の実施形態では、化学線の少なくとも30%がベーススリーブを透過する。ベーススリーブを化学線に対して透過性にすることで、適切な印刷版を作製するために、ベーススリーブの中空領域から露光して、ベーススリーブの外側面に隣接する画像形成可能材料の床部を形成することができるようになる。他の実施形態では、硬化したベーススリーブは、化学線に対して不透過性か、または実質的に不透過性であり、印刷版用の画像形成可能材料の床部を形成する他の方法が可能である。熱で硬化する場合、樹脂材料は、比較的低い硬化温度を有するように選択することができる。
【0019】
ほとんどの実施形態では、ベーススリーブは、繊維材料および硬化性樹脂で構成される複合材料の少なくとも1つのシートから形成される。一部の実施形態では、ベーススリーブは、硬化性樹脂を前もって含浸したガラス繊維の布で構成される複合材料の少なくとも1つのシートから形成される。一実施形態では、複合材料は、約25重量%〜約60重量%の樹脂含有率を有することができる。他の実施形態では、ベーススリーブは、成形し、次いで、硬化性樹脂のコーティングを施したガラス繊維で構成される材料の少なくとも1つのシートから形成される。複合材料は、潤滑剤、接着促進剤、充填材、顔料などの従来の他の添加物を含むことができる。樹脂を前もって含浸した繊維材料で構成される複合材料は、様々な製造業者から市販されている。エポキシ樹脂を前もって含浸した一部の複合材料は、低温、すなわち、0℃以下の温度で保管または保持され、次いで、使用する前に解凍されるか、または室温にされる。
【0020】
シート材料は、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有する。一実施形態では、シートの端部の少なくとも一方は、振幅を有する、非直線縁部を形成する。非直線縁部の振幅とは、縁部に対して垂直方向に測定した、理論上の真っ直ぐな縁部からの変位である。一部の実施形態では、振幅は、理論上の真っ直ぐな縁部からの最大の変位とすることができるが、それに限定されない。別の実施形態では、シートの両端が、振幅を有する、非直線縁部を形成し、それらの振幅は同じでもよいし、または異なっていてもよい。非直線縁部は、互いに平行でない少なくとも2つの隣接する線分を有する、すなわち、少なくとも1つの真っ直ぐでない輪郭部分がある形状またはアウトラインを有する、連続する縁部である。ほとんどの実施形態では、非直線縁部は複数の波または波形を有する。この実施形態では、非直線縁部は、スリーブ上の固定位置から軸方向長さ、すなわち幅に沿ったその距離に対応する各波の変位(すなわち、振幅または高さ)を有する波を示すことができるような波形と考えることができる。波形の各波は他と同じでよいし、あるいは、例えば、形状、振幅、および/または周期が異なるなど、他と異なっていてもよい。波形の各波の形状は限定されず、独立して、真っ直ぐであるか、または湾曲することができる、波を形成する線分を含むことができ、急激に移行する(すなわち、先のとがった)ピークおよび/または谷、さらには緩やかに移行する(すなわち、丸みをもった)ピークおよび/または谷とすることができる線分間の移行部を有することができる。ほとんどの実施形態では、非直線縁部の振幅は、非直線縁部に隣接するシートの側部(縁部)に対して垂直な線から波の非直線縁部まで、シートの面に対して平行な方向または実質的に平行な方向に測定した、少なくとも1つの波の高さである。一部の実施形態では、非直線縁部は、複数の曲線形状の波からなる波形を形成する。他の実施形態では、非直線縁部は、ジグザク縁部またはパターンと称することができる、複数の「V字形状の」または実質的に「V字形状の」波からなる波形を形成する。非直線縁部が異なる複数の波を有する波形を形成する実施形態では、非直線縁部の振幅は、通常、非直線縁部に隣接するシートの側部に対して垂直な線から波の非直線縁部まで、シートの面に対して平行な方向または実質的に平行な方向に測定した、複数の波の1つまたは複数の最大高さである。より単純には、一部の実施形態では、振幅は、非直線縁部の波のピークから、隣接する最下部、すなわちピークを含む波の谷または窪みを結ぶ線まで測定した距離である。他の実施形態では、振幅は、非直線縁部の波のピークから、隣接する最下部、すなわち波の谷とピークとの間のほぼ中間に位置する線まで測定した距離である。一部の実施形態では、振幅は、ピークから接続線まで垂直方向に、または実質的に垂直方向に測定される。通常、波の測定した振幅は、隣接する谷の間の接続線よりも上にある。
【0021】
非直線縁部の波の高さ、または振幅は、スリーブの最終用途での印刷条件と関係がある。ほとんどの実施形態では、非直線縁部に対して選択された振幅の高さは、印刷シリンダに取り付けられた(本ベーススリーブを有する)印刷版と印刷機上の印圧ロールとの間のニップ部に形成された印刷領域の幅である印刷ニップ幅と関係がある。非直線縁部の振幅の高さは、印刷ニップ幅と同じか、または実質的に同じか、または印刷ニップ幅よりも大きい。振幅の高さが印刷ニップ幅未満の場合、継ぎ目領域が印刷画像にプリントスルーをもたらす傾向がある。一部の実施形態では、振幅が可能な限り小さい、すなわち、振幅高さが印刷ニップ幅とほぼ同じであることが、製造を容易にするために望ましい。スリーブがフレキソ印刷に使用される用途の実施形態では、非直線縁部の振幅は、約0.15インチ〜約0.55インチ(0.38cm〜1.4cm)とすることができる。一部の実施形態では、振幅は、約0.15インチ〜約0.25インチ(0.38cm〜0.64cm)である。ほとんどの実施形態では、非直線縁部を形成する波形の各波の振幅は同じか、または実質的に同じである。一方、他の実施形態が企図され、その実施形態では、非直線縁部を形成する波形の2つ以上の波の振幅が異なってよい、すなわち相違してよい。第1の端部が、非直線縁部を有し、第2の端部が、非直線縁部を有する実施形態では、第1の端部の振幅は、第2の端部の振幅と同じでも、または異なっていてもよい。スリーブが、グラビア印刷などの他の印刷方法に使用される用途の他の実施形態では、非直線縁部の振幅は、やはり印刷ニップ幅と関係があり得るが、他の因子が、選択される振幅に影響することがある。グラビア印刷用のベーススリーブの非直線縁部の振幅に適した範囲は、フレキソ印刷用途のベーススリーブについて記載した範囲と同じでも、または実質的に同じでも、または大幅に異なってもよい。印刷スリーブの非直線縁部に適した振幅は、形成される印刷スリーブの様々な直径(または直径の範囲)ごとに変わることもある。
【0022】
非直線縁部は、波の隣接する最下点間の距離であり、波の幅、または周期幅、または波幅とも呼ばれることもある周期を有する少なくとも1つの波を含む。ほとんどの実施形態では、非直線縁部は、波形の複数の波を含み、各波は、同じか、または異なる周期幅を有することができる。非直線縁部に沿った各波の周期幅は特に限定されず、約2.5インチ〜約15インチ(6.4cm〜38.1cm)とすることができる。これは、約0.4〜約0.067サイクル/インチ(0.16〜0.027サイクル/cm)の波の周波数に相当する。一部の実施形態では、非直線縁部に沿った波の周期は、約3インチ〜約8インチ(7.6cm〜20.3cm)であり、他の実施形態では、約8.5インチ〜約12インチ(21.6cm〜30.5cm)である。ほとんどの実施形態では、非直線縁部を形成する波形の各波の周期は同じか、または実質的に同じである。しかし、非直線縁部を形成する波形の2つ以上の曲線の周期が異なってよい、すなわち相違してよい他の実施形態も考えられる。継ぎ目は、非直線縁部に実質的に平行な方向で測定した、継ぎ目を形成するパターンの繰り返し距離を有する。継ぎ目パターンの繰り返し距離は、継ぎ目パターン周期と称することができる。継ぎ目に沿って1つまたは複数の異なる継ぎ目パターン周期があってよい。一部の実施形態では、継ぎ目パターン周期は、波の周期と同じか、または実質的に同じである。他の実施形態では、特に、波形が異なる形状および/または周期の波で構成される場合に、継ぎ目パターン周期は波の周期と異なる。非直線縁部を形成する波の周期は、形成されるベーススリーブの軸方向長さに応じて変わってよいし、または変わらなくてもよい。
【0023】
シート材料は、ベーススリーブを形成するために、切断テーブルを用いて、非直線縁部を含む適切な大きさおよび形状に切断することができる。材料をシートの判型に機械加工するためのx−y切断テーブルは、シート材料を所望の大きさおよび形状に切断するのに、特に、シート材料の少なくとも一方の端部に波形の所望の振幅を有する、非直線縁部を形成するのに適することができる。ほとんどの実施形態では、シート材料の縁部は、シートの面に対して約90°の縁部を形成するブラントカット(blunt cut)を有する。あるいは、シート材料の縁部は、シートの面に対して所定の角度で切断することができる。本発明で使用するのに適した市販の切断テーブルは、EskoArtwork(Belgium)からKongsberg切断テーブルとして販売され、さらには、Eastman Machine Company(Buffalo,NY)およびGerber Scientific(South Windsor,Connecticut)から販売されている。
【0024】
方法は、第2の端部を第1の端部に隣接させるようにシートを巻き付け、それによって、シートを、外側面、および第1の端部と第2の端部との継ぎ目を有するシリンダ形状、すなわちベーススリーブにすることを含む。第1および第2の端部を隣接させることで形成された継ぎ目は、重なった第1の端部および第2の端部の材料の少なくとも1つの部分と、ギャップを形成する第1および第2の端部の少なくとも1つの部分とを含む不連続の継ぎ目領域を形成する。ほとんどの実施形態では、ベーススリーブの継ぎ目または継ぎ目領域は、ベーススリーブの全長に沿った、第1の端部の波形の振幅の谷およびピーク、ならびに第2の端部が非直線縁部の場合、第2の端部の波形の振幅の谷およびピークを包含する重なり部分およびギャップ部分を含む領域である。継ぎ目のギャップまたはギャップ部分は、第1の端部および第2の端部の材料が互いに重なりもせず、接触もしない領域である。巻き付けると、第1の端部と第2の端部との間の1つまたは複数のギャップでシート材料が接触せず、第1の端部および第2の端部の振幅間の1つまたは複数の重なり部分でシート材料が接触する継ぎ目ができる。1つまたは複数のギャップまたはギャップ部分はシート材料を有さないが、樹脂材料を含んでよいし、または含まなくてもよい。シート材料を巻き付けたときに、1つまたは複数のギャップが樹脂材料を含まない場合、一部の実施形態では、硬化により、樹脂材料が、継ぎ目の1つまたは複数のギャップに、全体的にまたは部分的に十分に流入あるいは移動する。ギャップ部分が繊維材料を含まないので、ギャップ部分が樹脂材料で埋まるかどうかにかかわらず、形成された継ぎ目は、やはり1つまたは複数の重なり部分および1つまたは複数のギャップ部分からなる不連続継ぎ目とみなされる。ほとんどの実施形態では、非直線縁部を有する第1の端部の約15%〜約90%が第2の端部と重なる。一部の実施形態では、非直線縁部を有する第1の端部の約20%〜約80%が第2の端部と重なる。一部の他の実施形態では、非直線縁部を有する第1の端部の約25%〜約65%が第2の端部と重なる。さらに他の実施形態では、非直線縁部を有する第1の端部の約20%〜約50%が第2の端部と重なる。ほとんどの実施形態では、第2の端部と重なる第1の端部の割合は、非直線縁部を形成する全領域に基づいて決まる。他の実施形態では、その割合は、非直線縁部の各波の振幅の領域に基づいて決まる。
【0025】
本ベーススリーブに形成される継ぎ目は、継ぎ目全体が同時に印刷領域にあることがないように、第1の端部と第2の端部との間の不連続部を分布させる。ほとんどの実施形態では、ベーススリーブの継ぎ目または継ぎ目領域は、印刷ニップ幅と同じか、または実質的に同じか、または印刷ニップ幅よりも大きい。ほとんどの実施形態では、不連続継ぎ目領域は、複数の重なり部分および複数のギャップを含む。第1の端部と第2の端部との1つまたは複数の重なり部分は、第1および第2の端部の縁部間接触よりも大きい。第1の端部および第2の端部の重なり部分とは、第1の端部および第2の端部が、1つの層は第1の端部の一部からで、1つの層は第2の端部の一部からの2層のシート材料を有する部分を形成することを意味する。用語、重なり部分は、第2の端部に対する第1の端部の特定の層位置に限定されず、第2の端部の上に重なる第1の端部の一部、および第2の端部の下に重なる第1の端部の一部を含む。したがって、重なり部分には、非直線縁部を有する第1の端部の少なくとも1つの部分が第2の端部の上にある実施形態と、非直線縁部を有する第1の端部の少なくとも1つの部分が第2の端部の下にある実施形態と、非直線縁部を有する第1の端部の1つまたは複数の部分が第2の端部の上にあり、非直線縁部を有する第1の端部の1つまたは複数の部分が第2の端部の下にある組み合わせ実施形態とがある。一部の実施形態では、第1の端部と第2の端部との重なり部分は直接接触する。他の実施形態では、第1の端部と第2の端部との重なり部分は直接接触せず、第1の端部と第2の端部との間に材料の1つまたは複数のプライを有することができる。少なくとも巻き付けた当初は、重なり部分において、シート材料の厚さにより、非直線縁部(または反対側の縁部)が、隆起した縁部またはリップ、あるいはベーススリーブの外側面の不連続部を形成することができる。ほとんどの実施形態では、さらなるシートを巻き付ける、かつ/あるいは硬化させるために圧縮成形する、またはベーススリーブにテープを巻き付ける、かつ/あるいは硬化させる、といった1つまたは複数のその後のステップ時に、縁部の不連続部はそれ自体がなくなる、すなわちそれ自体が平滑になる。縁部はまた、研磨によって除去することができる。
【0026】
シート材料は、シートをシリンダ状のベーススリーブに成形するために、シリンダ形状支持部材に巻き付けられる。一部の実施形態では、シート材料をシリンダ状支持部材に巻き付けることで、形成されるベーススリーブの長手軸(およびシリンダ状支持部材の長手軸)に平行な軸方向継ぎ目が形成される。他の実施形態では、シート材料を支持部材に巻き付けることで、形成されるベーススリーブのシリンダ形状の長手軸(およびシリンダ状支持部材の長手軸)に対して傾斜した軸方向継ぎ目が形成される。さらに他の実施形態では、ストリップまたはウェブであるシート材料を支持部材に巻き付けることとは、第1の端部および第2の端部の一部が重ねられて継ぎ目を形成する前に、2回以上巻き付けてシート材料の2つ以上のプライをゼリーロールの態様で形成することである。一般的に、上記の実施形態の場合、シート材料は、第1の端部および第2の端部に等しい前端部および後端部を有し、前端部および後端部の少なくとも一方は、非直線縁部を有する。さらに他の実施形態では、ストリップまたはウェブであるシート材料をシリンダ状支持部材に巻き付けることで、形成されるシリンダ形状のベーススリーブのまわりに螺旋継ぎ目が形成される。この実施形態では、シート材料は、第1の端部および第2の端部に等しい延長した側端部を有し、側端部の少なくとも一方は非直線縁部を有する。
【0027】
シリンダ状支持部材に巻き付けられた少なくとも1つの層を形成するのに十分なシート材料を切断した後、方法は、シート材料を支持部材に巻き付けて、第1の端部と第2の端部との継ぎ目を本発明による特定の継ぎ目構成で形成することを含む。さらなるシート材料を切断し、これを巻き付けるステップは、ベーススリーブが、硬化後所望の肉厚を有するのに十分な厚さを蓄積できるように、必要に応じて繰り返すことができる。圧縮空気を用いて印刷版を印刷シリンダに着脱するための、1回または複数回の膨張および収縮に耐えるのに必要な強度をベーススリーブに付与するために、最初に巻き付けられたプライを形成するシートにさらなるシート材料を追加することもできる。樹脂がシート材料にまだ含浸されていない場合、各シートが巻き付けられた後、またはすべてのシートが巻き付けられた後、樹脂を適用することができる。シートをシリンダ形状支持部材に巻き付けることでシリンダ形状要素を作製する方法は、ロール形成プロセスと呼ばれることもある。
【0028】
ベーススリーブの所望の肉厚または強度を得るために、2つ以上のシート材料が必要とされる場合、次に巻き付けられる各シート材料によって形成される継ぎ目は、下のシートによって形成された継ぎ目から円周方向にずれる。すなわち、次に付けられるシート材料の継ぎ目は、下のシート材料によって形成された継ぎ目の真上に配置されない。次のシート材料によって形成される継ぎ目は、下のシート材料によって形成された継ぎ目から、少なくとも、不連続継ぎ目領域の円周方向幅だけずれることができ、円周方向幅は、少なくとも、非直線縁部の振幅である。ほとんどの実施形態では、個々のシートの継ぎ目は、ベーススリーブのまわりに円周方向に等間隔で、または実質的に等間隔で離間する。2つのシートからなるベーススリーブを形成する実施形態では、第2のシートの継ぎ目は、第1のシートの継ぎ目から約180°だけずれることができる。3つのシートからなるベーススリーブを形成する実施形態では、各シートの継ぎ目は、互いから約120°だけずれることができる。
【0029】
ベーススリーブが材料の2つ以上のプライまたはシートで形成される一部の実施形態では、各シートは、同じか、または異なる、非直線縁部を形成する1つまたは複数の波の周期または幅を有することができる。一部の実施形態では、各シートは、周期が異なる1つまたは複数の波を有するように、形成されるベーススリーブの側縁部を基準として切断することができる。一部の他の実施形態では、各シートは、波の周期が、ベーススリーブの側縁部を基準として、ベーススリーブの軸方向長さに沿って異なる位置にあるように軸方向に配置することができる。異なる周期で、および/または1つまたは複数の波の周期の軸方向位置をずらして切断された、非直線縁部を各シートが有することによって、ベーススリーブの各プライの継ぎ目を形成する重なり部分およびギャップ部分が軸方向に分散されて、スリーブの断面での材料の過剰な蓄積を回避するベーススリーブが形成される。図5は、軸方向継ぎ目を有するプライを各シートが形成する、複数のシート材料を有するベーススリーブの一実施形態の断面図を示し、各プライ121、122はギャップ部分36を有し、プライ123は重なり部分32を有しており、プライ123の重なり部分の少なくとも1つの軸方向位置は、プライ121、122の重なり部分の少なくとも1つの軸方向位置からずれている(かつ、ギャップ部分36を形成する)。ベーススリーブの圧縮成形および/または硬化時に、プライ123の重なり部分32は収縮し、成形型と合致して若干隆起するが、単純にするために、図5では、重なり部分32は、突き当たっているように示されている。
【0030】
硬化したベースプレートで所望の肉厚を得るために、シート材料、または十分な枚数のシート材料を支持部材に巻き付けた後、未硬化のベーススリーブを硬化させて、印刷で使用するのに適したベーススリーブを形成する。未硬化のベーススリーブはまた、硬化時に、基本的にスリーブを型成形して、スリーブの成形および均一化に寄与するように圧縮することができる。ベーススリーブは、加熱および/または化学線に暴露して樹脂材料を架橋または重合することで硬化する、すなわち、頑強になる、または固まる。硬化条件は、主に選択された樹脂によって決まり、当業者には、複合材料内の樹脂が、所望のピーク温度まで上げることができ、所定の時間にわたってベーススリーブをその温度に維持できるオーブン内で熱硬化されると分かるであろう。
【0031】
ベーススリーブを型成形して、シリンダ状支持部材上の1つまたは複数のシート材料を圧縮するのに制限はなく、さまざまな方法で行うことができる。ベーススリーブが加熱によって硬化するほとんどの実施形態では、シート材料は、支持部材と、ベーススリーブを形成する層の外側面を概ね囲む別の外側部材との間で圧縮される。一部の実施形態では、シリンダ状支持部材は、膨張しない(または支持部材よりも膨張が小さい)外側部材に対して膨張し、それにより、ベーススリーブを形成するための硬化時に、シート材料の1つまたは複数の層の圧縮を可能にする。この実施形態では、外側部材として、シート材料の層を囲んで締め付ける、取り外し可能な非膨張性テープの1つまたは複数の層、取り外し可能な収縮包装テープの1つまたは複数の層、またはばね鋼型枠を挙げることができる。シリンダ状支持部材上のシート材料の層と嵌合するシリコンチューブを使用して、高圧の圧力釜内で硬化させることもできる。別の実施形態では、外側部材は、高精度に研磨されたキャビティとすることができ、膨張可能なシリコーンチューブは、硬化時に膨張して、シート材料をキャビティ壁に押しつけるシリンダ状支持部材とすることができる。さらに別の実施形態では、シート材料は、剛性マンドレルと剛性キャビティとの間で圧縮成形することができる。加熱時の圧縮成形は、材料が硬化するときに、気泡および/または小孔が樹脂材料内に形成されるのを最小限にするか、または防止するのに寄与することもできるので、加圧空気を用いてスリーブを印刷シリンダにさらに効果的に取り付けることができる。支持部材の加熱時の膨張およびその後の冷却時の収縮は、硬化後、ベーススリーブを支持部材から抜き出す場合の助けにもなる。硬化の熱および/または圧縮の圧力を受けて成形樹脂は流動し、不連続継ぎ目領域で第1の端部と第2の端部との間にあるギャップの一部または全体を埋めることができる。
【0032】
様々な直径および長さを有するベーススリーブを作製する際の自由度の高さ、ならびに外側部材である成形型への投資を最小限にするという利点から、ほとんどの実施形態では、シート材料は、加熱時に十分に膨張することができ、(室温への)冷却時に収縮することができる、アルミニウムなどの金属でできたシリンダ状支持部材と、除去可能な非膨張性テープの1つまたは複数の層、あるいは除去可能な収縮包装テープの1つまたは複数の層とすることができる外側部材との間で圧縮成形される。収縮包装テープは加熱時に収縮するので、シート材料を圧縮成形してベーススリーブにする助けとなることができる。テープは、硬化時にシリンダ状支持部材の膨張に抗して、シート材料の圧縮を維持するのに適した密度の1つまたは複数の層で、オプションとして張力をかけられて、シート材料の外側層に巻き付けられる。テープは、硬化時に外側成形型部材としてのその完全性を維持することができなければならない。テープとして適した材料には、それらに限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、およびナイロンのフィルムがある。テープの組み合わせを使用して、強度、または硬化後のベースプレートからの離型性など、各タイプのテープの特定の特性を利用することができる。したがって、巻き付けられたテープで構成される外側成形型部材には、1種類のテープが1つまたは複数の層で巻き付けられる実施形態と、1つまたは複数の層で、2種類以上のテープを未硬化のベーススリーブの外側面に別個に巻き付けることができる実施形態とがある。ほとんどの実施形態では、シート材料は、テープラップの外側部材が貼り付けられた後、すぐに、または実質的にすぐに硬化する。
【0033】
樹脂を硬化させた後、一部の実施形態ではフィルムテープ材料である外側部材が、ベーススリーブから除去される。硬化したベーススリーブ内に各シート材料によって形成された1つまたは複数の継ぎ目は、ベーススリーブの残りの部分(すなわち、連続(bulk)部分または非継ぎ目部分)よりも大幅に弱くてはいけない。ガラス繊維およびエポキシ樹脂の複合材料で構成される硬化したベーススリーブは、約1.0×106〜約6.0×106ポンド/平方インチの弾性係数と、破断時に測定した約20,000〜約70,000ポンド/平方インチの引張り強度とを有する。ASTM D638−03に記載された標準試験方法に従い、以下の通り修正して、弾性係数および引張り強度をともに求めた。把持によって引き起こされる応力集中による試験片の破断を防止するために、シアノアクリレート系接着剤(Super Glue(登録商標))を使用して、冷間プレスされたボール紙タブを引張り試験片のタブ領域に取り付ける。ベーススリーブを、以下の通りの(標準規格の4ページにある試験片図解に定義された)寸法、すなわち、W(細い部分の幅)が0.375インチ(0.953cm)、L(細い部分の長さ)が1.5インチ(3.81cm)、WO(全体幅)が0.5インチ(1.27cm)、およびLO(全体長さ)が5.25インチ(13.34cm)の試料片に切断する。歪みゲージを基本とした1.0インチ(2.54cm)動的伸び計をすべての歪み測定に使用する。クロスヘッド速度は、0.2インチ/分(0.51cm/分)とする。弾性係数および引張り強度を試験するのに適した計器には、MTS(登録商標)Testworks(登録商標)ソフトウェア(Instron製、Norwood,MA)で動くInstron(登録商標)model 1125がある。
【0034】
シリンダ状要素を作製する方法にかかる時間および複雑さは増大するが、一部の実施形態では、最終用途でのベーススリーブの所望の性能を保証するために、ベーススリーブの外側面に1つまたは複数のさらなる処理が必要になることがある。画像形成可能材料を付ける前の、外側面へのさらなる処理の一例は、均一な肉厚を保証するために研磨することである。砥石またはベルト式研磨機で研磨することは、ベーススリーブおよび印刷スリーブ業者には公知である。研磨は、ベーススリーブに所望の寸法、特に、肉厚および/または均一性を付与する助けとなることもできる。外側面への処理の別の例は、画像形成可能材料がベーススリーブに確実に固定されるようにするために、接着剤または両面テープを付ける、あるいは電子処理などの接着促進処理を受けることである。ベーススリーブの外側面への処理の別の例には、高圧下で研磨材の流れを外側面に強制的にぶつけて粗面を平滑にする、または平滑面を粗くする砥粒ブラストまたはグリットブラストがある。オプションとして、画像形成可能層を付ける前に、圧縮性材料の層をベーススリーブの外側面に配置することができる。
【0035】
通常ベーススリーブの外側面に層として塗布される接着剤は、均一な厚さを有するべきであり、欠陥があってはならない。接着剤は、ディップコーティング、スロットコーティング、スプレイコーティング、ローラコーティング、およびドクターブレーディングを含む任意の方法で塗布することができる。接着剤を不均一に塗布すると、露光時に化学線の透過率が変わったり、または、特に、連続する印刷版内での(支持層および接着層を介した)背面露光後に、密度のばらつきとして現れたりする。印刷版の密度のばらつきは、版が所望どおり印刷しないことを実際に引き起こしたり、またはそれを認識させたりすることがある。ときには、温度および/または溶媒が、連続する印刷要素を連続する凸版印刷版に変えるために使用された結果として、接着剤層に気泡ができることもある。塗布された接着剤層内の気泡、または他のその種の欠陥により、光重合体層の接着性が損なわれる。印刷時に印刷機上で印圧を加えることで、接着剤層内の気泡がより大きくなることがあり、そのため、光重合体層が、連続する印刷版から部分的に、または全体的に持ち上がることがある。さらに、接着剤層内の気泡により、印刷領域が不均一になることがあり、その結果、印刷に抜けができる。光重合体層内の気泡が、研磨後、光重合体層の外側面に出現することもあり得る。
【0036】
ベーススリーブは、約0.005インチ〜約0.100インチ(0.125mm〜2.5mm)とすることができる肉厚を有する。一部の実施形態では、ベーススリーブの肉厚は、約0.008インチ〜約0.020インチ(0.2mm〜0.5mm)である。他の実施形態では、ベーススリーブは、約0.020インチ〜約0.035インチ(0.2mm〜0.875mm)の肉厚を有する。肉厚は、様々な直径のスリーブに合わせて調整することができる。通常、好ましい肉厚は、所望する最終用途条件に依存する。本方法は、作製できるベーススリーブの直径により限定されることはない。一部の実施形態では、ベーススリーブは、約3.0インチ〜約20.0インチ(約7.62cm〜約50.8cm)の直径を有することができる。他の実施形態では、ベーススリーブは、約3.5インチ〜約16.0インチ(約8.89cm〜約40.64cm)の直径を有することができる。さらに他の実施形態では、ベーススリーブは、約3.8インチ〜約11.0インチ(約9.65cm〜約27.94cm)の直径を有することができる。
【0037】
シリンダ状印刷版は、印刷版が意図された印刷機シリンダサイズを示すベアシリンダ径(BCD)に応じて大きさが決まる。(新たな印刷機シリンダの購入を回避するように)印刷される様々な被印刷物および/または印刷される画像の様々なリピート長に対処するために、アダプタが印刷機シリンダに取り付けられることがある。本方法は、印刷時に必要とされる(印刷版用の)ベースプレートの可撓性に対応する様々な肉厚を有するベースプレートを作製することに容易に対処する。肉厚が薄い(例えば、約0.010インチ〜約0.020インチ(約0.025cm〜約0.051cm))ベーススリーブは、本方法によって作製されて、クッション性のある、または可撓性を有する印刷アダプタに取り付けられた場合に所望の可撓性をもたらすことができる。肉厚が厚い(例えば、約0.025インチ〜約0.035インチ(約0.064cm〜約0.089cm))ベーススリーブは、本方法によって作製されて、硬質または剛性の印刷アダプタとともに使用することができる。
【0038】
ベーススリーブ10を形成するために、シート材料12を巻き付けることで形成された継ぎ目の一実施形態が図1に示されている。シート12は、複数の波、すなわち波形を形成する振幅16を含む、非直線縁部15を有する第1の端部14と、直線縁部25を有する第2の端部24とを含んで、継ぎ目30を形成している。第1の端部14の非直線縁部15は、第2の端部24と重なった部分32を含む。継ぎ目30は、第1の端部14および第2の端部24の重なり部分32と、第1の端部と第2の端部との間のギャップ部分36とを含むので不連続継ぎ目である。示した実施形態では、第1の端部14の振幅16のうちの、第2の端部24の上に配置され、これと接触する部分が、重なり部分32を形成している。継ぎ目30は、ベーススリーブ10(および、示していないシリンダ形状の支持部材)のシリンダ形状の長手軸に対して平行に延びている。
【0039】
ベーススリーブ10を形成するために、シート材料12を巻き付けることで形成された継ぎ目の別の実施形態が図2に示されている。シート12は、振幅16を有する複数の波、すなわち波形を形成する、非直線縁部15を有する第1の端部14を含み、振幅16は、複数の波、すなわち波形を含む非直線縁部45を有する第2の端部44の一部と接触し、重なって、継ぎ目30を形成している。示すように、第1の端部14の振幅16は、第2の端部44の複数の各波の振幅46と同じか、または実質的に同じである。他の実施形態では(図示せず)、第1の端部14の振幅16は、第2の端部44の振幅46とは異なるか、または実質的に異なることができる。第2の端部44の波形の各波は、第1の端部14の波形の各波の周期49または繰り返しとは異なる周期48または繰り返しを有する。継ぎ目30は、第1の端部14および第2の端部44の重なり部分32と、第1の端部と第2の端部との間のギャップ部分36とを含むので不連続継ぎ目である。示した実施形態では、第1の端部14の振幅16のうちの、第2の端部44の上に配置され、これと接触する部分が、重なり部分32を形成している。継ぎ目30は、ベーススリーブ10(および、示していないシリンダ形状支持部材)のシリンダ形状の長手軸に対して平行に延びている。
【0040】
ベーススリーブ10を形成するために、シート材料12を巻き付けることで形成された継ぎ目の別の実施形態が図3に示されている。シート12は、振幅46を有する複数の波、すなわち波形からなる、非直線縁部15を有する第1の端部14を含み、振幅46は、複数の波、すなわち波形を含む、非直線縁部45を有する第2の端部44の一部と重なっている。第1の端部14の波形の波と第2の端部44の波形の波とは、同じか、または実質的に同じ周期49、48または繰り返しを有するが、第1および第2の端部が隣接して継ぎ目30を形成した場合に、第1の端部14の波形は、第2の端部44の波形からずれる。継ぎ目は、第1の端部14および第2の端部44の重なり部分32と、第1の端部と第2の端部との間のギャップ部分36とを含むので不連続継ぎ目である。示した実施形態では、第1の端部14の振幅46のうちの、第2の端部44の下に配置された部分が、重なり部分32を形成している。継ぎ目30は、ベーススリーブ10(および、示していないシリンダ形状支持部材)のシリンダ形状の長手軸に対して平行に延びている。
【0041】
シリンダ状支持部材55に巻き付けられたシート材料12によって形成されたベーススリーブ10の一実施形態の実質的に隣接する断面部分が、図4Aおよび図4Bに示されている。継ぎ目30は、シート材料12の第1の端部14の非直線縁部15の振幅が、シートの第2の端部24と重なって、図4Aに示すような重なり部分32を形成する部分を有する。示すように、重なり部分32は、巻き付けられて不連続継ぎ目を形成した後であるが、圧縮成形および/または硬化の前のシート材料を(いくぶん誇張されているが)示している。継ぎ目30はまた、図4Bに示すように、シート材料12の第1の端部14および第2の端部24が重なっておらず、または接触しておらず、隣接する端部間にギャップまたはギャップ部分36を形成する部分を含む。
【0042】
ベーススリーブを作製する本方法は、いくつかの利点を有する。ベーススリーブは、容易にかつ素速く作製することができる。シート材料は、少なくとも一端が非直線縁部を有する形で、大きさを合わせて容易に切断することができ、継ぎ目を形成する第1および第2の端部は、正確にまたは一様に接する、あるいは整列する必要がないので、ベーススリーブの組立が単純化される。シート材料の非直線端部と反対側の端部との間で部分的に重なる1つまたは複数の不連続継ぎ目を形成することで、複数の異なる直径、肉厚、および長さで複数のスリーブを容易にかつ素速く組み立てることができる。ベーススリーブは、顧客にこれまで以上に受け入れてもらえるスリーブ間のより一貫した外観を有することができる。驚くべきことに、また意外なことに、本方法によって作製されたベーススリーブは、印刷された画像への継ぎ目のプリントスルーを最小限にするか、またはなくす、1つまたは複数の重なり部分および1つまたは複数のギャップ部分を有する不連続な継ぎ目を形成する。継ぎ目のプリントスルーがないことは、約0.074インチ(0.19cm)未満の厚さを有する連続光重合体層の画像形成可能材料を有するスリーブにとって特に有益である。不連続継ぎ目は必ずしも壊れるとは限らず、ベーススリーブの中空側からの化学線への暴露時に、床部が画像形成可能層内に適切に形成されるのを可能にする。印刷版用のベーススリーブ内に不連続継ぎ目があることが、印刷版内での画像形成に影響を及ぼすことはない。本方法に従って作製されたベーススリーブは、その後の研磨ステップをなくすことができるほど一様な、または実質的に一様な寸法精度および肉厚を有する。本方法によって作製されたベーススリーブは、シート材料をうねるように進むパターンが検出できないほどに起伏がないか、または最小限の起伏を有することができ、印刷機で、小さい印圧(kiss impression)および通常の印圧において印圧をより均一にする。ベーススリーブは、印刷シリンダから着脱するのに必要な空気圧に耐えることができる。方法は、軸方向継ぎ目の少なくとも一部を覆う画像形成可能材料をベーススリーブの外側面に隣接して適用することを含むこともできる。一実施形態では、印刷するのに適した表面を有する印刷プレートをシリンダ形状要素またはベーススリーブの外側面に固定する、または取り付ける、またはその上に配置することができ、それによってシリンダ形状の印刷版とすることができる。別の実施形態では、印刷するのに適するようにすることができる画像形成可能材料を有する印刷プレート前駆体をベーススリーブの外側面の上に配置することができ、それによってシリンダ形状要素または印刷版前駆体とすることができる。継ぎ目位置に対する、ベーススリーブ上の1つまたは複数のプレートの位置は限定されず、例えば、ベーススリーブの継ぎ目にまたがって固定することができる。別の実施形態では、画像形成可能材料の連続する、または実質的に連続する層をベーススリーブの外側面に適用する、またはその上に配置することができ、それによってシリンダ形状の印刷版前駆体とすることができる。画像形成可能材料をベーススリーブの外側面に隣接して適用することには、1つまたは複数のプレートを固定すること、感光性材料を前駆体材料としてベーススリーブに適用すること、ゴム材料をベーススリーブに適用すること、およびフレキソ印刷技術分野で慣行の代替実施形態を含む説明したすべての実施形態が包含される。ほとんどの実施形態では、画像形成可能材料は、軸方向継ぎ目の少なくとも一部を覆う。
【0043】
図5は、ベーススリーブ10の外側面66の上に配置された画像形成可能材料の連続層65を有するシリンダ状印刷要素60の一実施形態の断面図である。この例のシリンダ状印刷要素60は印刷前駆体である、すなわち、連続する層がまだ画像化されておらず、光重合可能材料とみなすことができる。示した実施形態では、ベーススリーブ10は、シート材料12の3つの層121、122、123を含み、各シートは、シートの第1の端部14および第2の端部24(または44)で構成される、軸方向、または実質的に軸方向に不連続継ぎ目30を形成している。各継ぎ目30は、第1の端部14と第2の端部24との重なり部分32と、シート材料の第1の端部と第2の端部との間のギャップ部分36とを含む。画像形成可能材料は、それ自体継ぎ目のない連続する層65を形成し、下のベーススリーブ10に形成された不連続継ぎ目30を覆っている。簡単にするために、光重合可能材料の連続する層65に形成された床部、および接着剤層などの、連続層65とベーススリーブ10との間の任意の層は示されていない。
【0044】
感光性材料の連続する、または実質的に連続する層を形成するように、感光性材料をベーススリーブに適用して、連続する印刷要素、すなわち連続する印刷版を形成することができる。ほとんどの実施形態では、連続する光重合体層は継ぎ目がない。継ぎ目のない、連続する印刷要素は、いくつかの方法で形成することができる。光重合可能な平シート要素は、光重合可能なシート要素をベーススリーブに巻き付け、次いで、加熱して光重合可能なシートの縁部を互いに接合することで再処理されて、継ぎ目のない、連続する要素を形成することができる。プレートの縁部を接合してシリンダ形態にするプロセスは、例えば、(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)、(特許文献14)、および(特許文献15)に記載されている。これらのプロセスは、光重合可能シートが、縁部を接合するのに十分な温度になるように加熱されるので、シリンダ状印刷要素を完全に形成するのに余分な時間がかかることがある。画像形成可能層をベーススリーブに配置する別の方法は、(特許文献16)に開示されているように、液体感光性組成物をシリンダ状支持体に遠心堆積させることによる。連続する画像形成可能層をベーススリーブ上に形成するさらに別の方法には、(特許文献17)、(特許文献18)、および(特許文献19)に開示されているように、溶融した光重合可能材料の流れまたはシートを適用し、溶融した材料をカレンダ加工してシリンダ状支持体上に均一な層を形成するものがある。
【0045】
シリンダ形状要素を作製する方法は、ベーススリーブを介した(すなわち、ベーススリーブの中空部分からの化学線源を用いた)化学線への全面暴露である背面露光またはバックフラッシュステップを含むことができる。このステップは、光重合可能層のベーススリーブ側に重合した材料の層または床部を形成し、光重合可能層の感光性を高めるために使用される。(像様)化学線露光ステップ全体に対して説明した従来の放射線源のいずれもバックフラッシュ露光ステップに使用することができる。露光時間は通常、数秒から最大で数分までの範囲にある。化学線の少なくとも15%はベーススリーブを透過し、適宜、露光時間を調整することが必要なこともある。バックフラッシュ露光は、前駆体(すなわち、シリンダ状光重合可能ブランク)の製造時、および/またはシリンダ状前駆体ブランクからの印刷版の作製時に行うことができる。床部を形成する他の方法も、(特許文献20)、(特許文献21)、(特許文献22)、(特許文献23)、および(特許文献24)に開示しているように、基本的に、光重合可能材料の層を支持体に適用し、適用した層を化学線に暴露し、次いで、光重合可能材料の別の層を硬化した露光層に適用することで可能である。
【0046】
印刷プレートは、前駆体か、または印刷される画像を形成するステップを受けた印刷版かのいずれかとして、本発明のベーススリーブに取り付けることができる。本発明の印刷版は、スリーブ上プレートシステムの実施形態を含むことができる。通常、スリーブ上プレートは、平面支持体、すなわちプレート上に少なくとも組成物層を含み、次いで、プレートがシリンダ形状のベーススリーブに取り付けられる感光性要素である。スリーブに巻き付けられた場合に、プレートの端部は接触または結合してよいし、あるいはしなくてもよい。スリーブ上プレートには、2つ以上のプレートまたはプレートの一部が様々に離間した位置でスリーブに取り付けられる実施形態も含まれる。従来、印刷プレートは、両面粘着テープを使用して、および/または緩衝テープを用いてベーススリーブに取り付けられる。
【0047】
画像形成可能材料
画像形成可能材料が、プレート版内にあっても感光性層としてでも、ベーススリーブの上に配置される実施形態では、画像形成可能材料は、感光性要素とみなすことができる。ほとんどの実施形態では、感光性要素または前駆体は、光重合可能な組成物の少なくとも1つの層を含む。「感光性の」という用語は、少なくとも1つの感光性層が、化学線に応じて1つまたは複数の反応、特に、光化学反応を開始することができる任意のシステムを包含する。一部の実施形態では、感光性要素は、光重合可能層用の支持体を含む。一部の実施形態では、光重合可能層は、結合剤、少なくとも1つのモノマー、および光開始剤を含むエラストマー層である。一部の実施形態では、感光性要素は、支持体とは反対側で光重合可能層に隣接する化学線不透過材料として機能することもできる赤外線感応材料の層を含む。
【0048】
別途指摘がない限り、「感光性要素」という用語は、化学線への暴露を受けることができ、印刷に適した表面を形成するように処理することができる印刷前駆体を包含する。別途指摘がない限り、「感光性要素」および「印刷版」とは、それに限定するものではないが、光重合層、平シート、プレート、および担体上プレートを含む、印刷に適するようになるか、または印刷に適し、本発明のシリンダ形状ベーススリーブに結合される、任意の形態の要素または構造体を含む。ほとんどの実施形態において、印刷プレートが、典型的に、感光性プレート要素または前駆体を印刷に適した画像領域を有する印刷プレートに変えるステップを前もって受けたとしても、印刷プレートまたは担体上プレートは、やはりベーススリーブの外側面の上に配置された画像形成可能材料であるとみなされる。感光性要素から得られる印刷版は、最終用途である凸版印刷、グラビア様印刷、およびグラビア印刷の印刷用途を有することが企図されている。
【0049】
感光性要素は、光重合可能な組成物の少なくとも1つの層を含む。本明細書において、「光重合可能な」という用語は、光重合可能であるか、光架橋可能であるか、またはその両方であるシステムを包含することを意図されている。光重合可能層は、結合剤、少なくとも1つのモノマー、および光開始剤を含む組成物で形成された固体エラストマー層である。光開始剤は、紫外線および/または可視光を含む化学線に対して感応性を有する。光重合可能な組成物の固体層は、フレキソ印刷に適した凸版を形成するように処理される。本明細書において、「固体」という用語は、一定の体積および形状を有し、その体積または形状を変えようとする力に抗する層の物理状態を指す。光重合可能な組成物の層は、約5℃〜約30℃の温度である室温において固体である。感光性要素には、感光性要素が化学線に暴露されていない実施形態、および感光性要素が化学線に暴露された実施形態がある。したがって、感光性要素には、光重合可能な組成物の層が、未重合部分か、あるいは1つまたは複数の重合した(すなわち、光硬化または硬化した)部分か、あるいは重合部分および未重合部分の両方を含む実施形態が含まれ得る。
【0050】
結合剤は限定されず、単一ポリマーまたはポリマー混合物とすることができる。一部の実施形態では、結合剤はエラストマー結合剤である。他の実施形態では、結合剤は、化学線への暴露時にエラストマーになる。結合剤には、共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成ポリマーがある。一部の実施形態では、結合剤は、A−B−Aタイプのブロックコポリマーからなるエラストマーブロックコポリマーであり、Aは非エラストマーブロックを表し、Bはエラストマーブロックを表す。非エラストマーブロックAは、例えば、ポリスチレンなどのビニルポリマーとすることができる。エラストマーブロックBの例には、ポリブタジエンおよびポリイソプレンがある。結合剤は、有機溶媒浸食溶液内で少なくとも溶性、膨潤性、または分散性である。
【0051】
凸版印刷に望ましい特性が得られる限り、単一のエラストマー材料か、または材料の組み合わせかのいずれかをエラストマー層に使用することができる。エラストマー材料の例は、(非特許文献1)に記載されている。多くの場合、エラストマー層を調合するのに熱可塑性エラストマー材料を使用するのが望ましい。熱可塑性エラストマー層が光化学的に強化されると、そのような強化後に、その層はエラストマーのままであるが、もはや熱可塑性ではなくなる。熱可塑性エラストマー材料には、それらに限定するものではないが、ブタジエンおよびスチレンのコポリマー、イソプレンおよびスチレンのコポリマー、スチレン−ジエン−スチレントリブロックコポリマーなどのエラストマー材料がある。
【0052】
光重合可能な組成物は、付加重合することができ、結合剤と共存できる少なくとも1つの化合物を、透明でくすんでいない感光性層が生成される程度に含有する。付加重合可能な少なくとも1つの化合物は、モノマーと称することもできる。光重合可能な組成物に使用できるモノマーは、当技術分野において公知であり、そのモノマーとして、それらに限定するものではないが、少なくとも1つの末端エチレン基を有する付加重合エチレン系不飽和化合物がある。組成物は、単一モノマーまたはモノマーの組み合わせを含有することができる。当業者ならば、光重合可能な組成物に適切なエラストマー特性または他の特性を付与するように、モノマーを適切に選択することができる。
【0053】
光開始剤は、化学線に感応して、遊離基を発生させる任意の単一化合物または化合物の組み合わせとすることができ、遊離基は、過度の停止反応のない1つまたは複数のモノマーの重合を起こす。公知のクラスの光開始剤、特に、遊離基光開始剤の任意のものを使用することができる。あるいは、光開始剤は、放射線によって活性化した増感剤が作用した場合に、化合物の1つが遊離基をもたらす化合物の混合物とすることができる。主露光(ならびに後露光およびバックフラッシュ)用の光開始剤は、310nm〜400nm、好ましくは345nm〜365nmの可視放射線または紫外線に感応するのが好ましい。
【0054】
光重合可能な組成物は、所望する最終特性に応じて他の添加物を含有することができる。光重合可能な組成物へのさらなる添加物には、増感剤、可塑剤、レオロジー調製剤、熱重合抑止剤、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、染料、および充填材がある。
【0055】
光重合可能層の厚さは、印刷最終使用用途に応じて広範に変えることができる。一実施形態では、感光性層は、約0.005インチ〜約0.250インチ、またはそれを超える(0.013cm〜0.64cm、またはそれを超える)厚さを有することができる。ほとんどの実施形態では、光重合可能層の厚さは、約0.045インチ〜約0.250インチ(約0.025cm〜約0.64cm)である。一部の実施形態では、光重合可能層の厚さは、約0.045インチ〜約0.112インチ(約0.025cm〜約0.28cm)である。
【0056】
一部の実施形態では、プレートは、ベーススリーブの外側面の上に配置され、プレートまたは感光性要素は、光重合可能な組成物の層に隣接する支持体を含むことができる。支持体は、印刷版を作製するのに使用される感光性要素とともに従来から使用されている任意の材料、または材料の組み合わせで構成することができる。一部の実施形態では、支持体は、0.002インチ〜0.050インチ(0.0051cm〜0.127cm)の厚さを有する。
【0057】
当業者には公知であるが、感光性要素は、光重合可能層に隣接する、すなわち、光重合可能層の支持体またはベーススリーブとは反対の側にある1つまたは複数のさらなる層を含むことができる。さらなる層は、所望する用途に応じて、化学線に対して不透過性または透過性とすることができ、感光性要素のための1つまたは複数の機能を有することができる。さらなる層には、それらに限定するものではないが、剥離層、エラストマー覆い層、バリア層、付着性改質層、感光性要素の表面特性を変える層、およびそれらの組み合わせがある。1つまたは複数のさらなる層は、処理時に全体的にまたは部分的に除去することができる。1つまたは複数のさらなる層は、感光性組成物層を覆うか、または一部分だけ覆うことができる。所望の最終用途に応じて、さらなる層を選択し、光重合可能層上に作製することは、十分に当業者の通常技術の範囲内である。本発明の感光性印刷要素は、要素の最上層の上の一時的なカバーシートをさらに含むことができる。
【0058】
一部の実施形態では、感光性要素は、処理の前に化学線に暴露することができる。感光性要素から印刷版を作製するプロセスは、通常(ただし常にではない)背面露光またはバックフラッシュステップを含む。これは、支持体を介した化学線への全面暴露である。このステップは、光重合可能層の支持体側に、重合した材料の層または床部を形成し、光重合可能層の感光性を高めるために使用される。バックフラッシュ露光は、他の画像形成ステップの前か、後か、またはそのステップ中に行うことができる。(像様)化学線露光ステップ全体に対して説明した従来の放射線源のいずれもバックフラッシュ露光ステップに使用することができる。露光時間は通常、数秒から最大で数分までの範囲にある。
【0059】
像様露光時、光重合可能層の放射線露光された領域は不溶性状態に変わり、層の露光されない領域で有意な重合または架橋が行われることはない。任意の従来からの化学線源をこの露光に使用することができる。放射線源は、通常310nm〜400nmの長波長紫外線を放射する。露光時間は、放射線の強度およびスペクトルエネルギ分布、感光性要素からの放射線源の距離、ならびに光重合可能材料の性質および量に応じて、数秒から数分まで変えることができる。
【0060】
当業者には公知であるが、像様露光は、分離したフィルムとすることができる画像担持フォトマスク、すなわち、画像担持透明シートまたはフォトツールを介して、あるいはコンピュータツープレート(computer−to−plate)デジタル画像形成法によって形成されるその場マスクとして、感光性要素と一体化することができる画像担持フォトマスクを介して感光性要素を露光することで行うことができる。
【0061】
フォトマスクが分離したフィルムの場合、マスクを介した化学線への像様暴露、およびフォトマスクの除去に続いて、感光性印刷要素を浸食溶液または熱で処理して、光重合可能層の未重合領域を除去し、それによって凸版画像を形成する。処理ステップは、少なくとも、光重合可能層の化学線に暴露されなかった領域、すなわち、非露光領域または未硬化領域にある光重合可能層を除去する。エラストマー覆い層を除いて、通常、光重合可能層上に存在し得るさらなる層は、光重合可能層の重合領域から除去されるか、または実質的に除去される。マスクをデジタル形成するための赤外線感応層を含む感光性要素の場合、光重合可能層に凸版画像を形成する処理ステップは、(化学線に暴露された)マスク画像を除去することもできる。
【0062】
感光性要素の処理には、(1)光重合可能層を適切な現像液と接触させて未重合領域を浸食する「湿式」現像、および/または(2)感光性要素を現像温度に加熱することで、光重合可能層の未重合領域が溶融、軟化、または流動し、次いで除去される「乾式」現像がある。乾式現像は熱現像とも称することができる。湿式処理および乾式処理の組み合わせを使用して凸版を形成できるとも考えられる。
【0063】
湿式現像は室温で行うことができるが、通常は約80°F〜約100°Fで行われる。現像液は有機溶媒、水性または半水性溶液、および水とすることができる。現像液の選択は、主に、除去される光重合可能材料の化学的性質に依存する。現像時間は、光重合可能材料の厚さおよびタイプ、使用される溶媒、ならびに装置およびその動作温度によって変わり得るが、約2分〜約25分の範囲内にあるのが好ましい。現像液は、液浸、吹付け、およびブラシまたはローラ塗布を含む従来の任意の態様で適用することができる。ブラシかけ補助器を使用して要素の未重合部分を除去することができる。浸食は、自動処理ユニットで行うことができ、自動処理ユニットは、現像液および機械式ブラシかけ動作を使用して、露光された画像および床部からなる凸版を残しながら、プレートの未硬化部分を除去する。溶液での現像による処理に続いて、凸版印刷プレートを大まかに吸い取り乾燥または拭き取り乾燥させ、次いで、強制空気または赤外炉でより完全に乾燥させる。
【0064】
要素の熱処理には、少なくとも1つの光重合可能層(およびさらなる層)を有する感光性要素を、光重合可能層の未硬化部分が溶ける、すなわち、軟化、または溶融、または流動するのに十分な温度に加熱し、未硬化部分を除去することが含まれる。感光性組成物の層は、熱現像時に部分的に溶けることができる。すなわち、熱現像時に未硬化の組成物は、適切な処理または現像温度で軟化するか、あるいは溶融しなければならない。感光性要素が、光重合可能層上に1つまたは複数のさらなる層を含む場合、1つまたは複数のさらなる層も、光重合可能層の許容できる現像温度の範囲で除去できなければならない。光重合可能層の重合領域(硬化部分)は、未重合領域(未硬化部分)よりも高い溶融温度を有し、したがって、熱現像温度で溶融、軟化、または流動しない。未硬化部分は、(特許文献25)に記載の圧力をかけた空気流または液体流、(特許文献26)に記載の吸引装置、ならびに(特許文献27)、(特許文献28)、(特許文献29)、(特許文献30)、(特許文献31)、(特許文献32)、および(特許文献33)に記載されているような吸収性材料との接触を含む任意の手段により、組成物層の硬化部分から除去することができる。未硬化部分を除去する好ましい方法は、溶融部分を吸収する、または吸い上げる、または吸い取る、現像媒体などの吸収性の表面に要素と最外面を接触させることによる。除去するために、広い温度範囲を利用して組成物層を溶融または軟化させることができる。プロセスを連続して行いながら、低い温度でゆっくり吸収することができ、高い温度で速く吸収することもできる。
【0065】
感光性要素を加熱し、要素の最外面を現像媒体と接触させる熱処理ステップは、同時に行うか、あるいは現像媒体と接触させたときに、光重合可能層の未硬化部分がまだ柔らかいか、または溶融状態にあることを条件として順番に行うこともできる。少なくとも1つの光重合可能層(およびさらなる層)は、伝導、対流、輻射、または他の加熱方法によって、未硬化部分を溶融させるのに十分であるが、層の硬化部分を歪ませるほど高くない温度に加熱される。感光性要素は、光重合可能層の未硬化部分を溶融または流動させるために、約40℃より高い、好ましくは約40℃〜約230℃(104°F〜446°F)の表面温度に加熱される。現像媒体を未硬化領域で溶融している光重合可能層とほぼ完全に接触した状態に維持することで、未硬化の感光性材料が、光重合可能層から現像媒体に移送される。まだ加熱状態にある間、現像媒体は、凸版構造を示す、支持層と接触した、硬化した光重合可能層から離される。光重合可能層を加熱し、溶融した(部分の)層を現像媒体と接触させるステップのサイクルは、未硬化部分を十分に除去し、十分な凸版深さを形成するのに必要な回数だけ繰り返すことができる。通常、光重合可能要素は、5サイクル〜10サイクル熱処理される。
【実施例】
【0066】
以下の例は、非直線縁部を有するシート材料で形成された、軸方向継ぎ目があるベーススリーブを有するシリンダ形状の印刷版の作製を実証する。ベーススリーブは、印刷版上のポリマーを機械的に支持し、圧縮空気を補助として印刷版を印刷シリンダに着脱できるようにし、印刷版が、継ぎ目によるプリントスルーなく、所望の画像品質で印刷できるようにする。
【0067】
ベーススリーブ
ベーススリーブは以下の通り作製される。
【0068】
構築材料は、ロール状のシート材料としてAdvanced Composites Group(ACG)(Tulsa,OK)から購入した、エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維織布(プリプレグ)とした。タイプMTM59(AGC製)エポキシ樹脂層を「120スタイル」ガラス繊維布にコーティングしてプリプレグを形成した。プリプレグの標準樹脂含有量は44重量%であった。プリプレグを0°F(−17.8℃)で凍結して保存および維持し、ベーススリーブを作製する直前に解凍した。
【0069】
手動で切断するよりも正確な寸法で切断できるX−Y切断テーブルにプリプレグを置いた。室温になったところで、X−Y切断テーブル上でプリプレグのロールを解き、ベーススリーブの軸方向継ぎ目を形成する少なくとも1つの非直線縁部を有するように3枚のシートのそれぞれを切断した。所望の強度および可撓性を得るために、プリプレグの3つの層を使用してベーススリーブを作製した。切断テーブルベンダーの製造者による指示の通りに、3枚のプリプレグの切断パターンを形成した。3枚のシートすべての形状は同様であり、さらなる層が追加されるときの直径の変化に合わせて長さを少しだけ変えた。下記に説明するパターンを各プリプレグ片の幅にわたって繰り返した。この例の場合、仕上がり印刷版の幅は50インチであった。繰り返す波のジグザグパターンのように見える、前端の非直線縁部を有するように第1のシートを切断し、各波は、谷から谷までの5インチの周期(図3を参照のこと、周期48)と、ピークから谷まで垂直方向に測定した0.2インチの振幅(図3を参照のこと、振幅46)とを有した。第1の端部のジグザグパターンの開始点が、第2の端部のジグザグと1.25インチ(3.175cm)だけずれている(位相がずれている)ことを除いて、第1の端部と同じ繰り返す波のジグザクパターンを有するように第1のシートの第2の端部を切断した。各シートの第1の端部の振幅の中心と第2の端部の振幅の中心とで測定した所定の長さに各シートを切断した。第1のシートを20.180インチの長さに切断した。第2のシートを20.217インチの長さに切断した。第3のシートを20.255インチの長さに切断した。
【0070】
この例の場合、印刷業界での標準1/4ピッチサイズである6.435インチ(16.235cm)の直径の印刷シリンダに嵌合するようにベーススリーブを作製した。印刷シリンダの直径よりも小さい6.424インチ(16.317cm)の直径を有するシリンダ状のアルミニウム製マンドレルのまわりにベーススリーブを形成した。その理由は、エポキシを硬化させるのに必要な熱サイクル時に、マンドレルが膨張するからである。ベーススリーブを形成する前に、成形型封止剤および離型剤の両方を用いて、複合材料業界において一般的な方法でマンドレルを処理した。マンドレルは、ベーススリーブを形成する成形型の内側半体であった。
【0071】
プライ1を形成するシートの前縁のジグザグパターンを、マンドレルの全長に沿って軸方向に整列させた。整列後、シートをマンドレルに巻き付けた。第1の端部/第2の端部、すなわち前縁/後縁からなる得られた継ぎ目が図3に示す通り出現するように、各プライの長さを定めた。図3では、後縁は、識別できるように陰影がついている。前縁のジグザクは、後縁のジグザクとずれている(位相がずれている)ので、巻き付けられたシートの前縁および後縁は、重なり部(すなわち接触部分)とアンダラップ部(すなわちギャップ部分)との交互領域を有する軸方向継ぎ目を形成した。アンダラップ部および重なり部の幅は、ともに約0.1インチ(0.254cm)であった。X−Y切断テーブルのタイプと、プリプレグをマンドレルに巻き付けるのに使用されるロール形成装置とを、ばらつきが±0.1インチ(±0.254cm)未満となるように選択して、重なり部およびアンダラップ部の領域が常に存在するようにした。
【0072】
図5に示すように、それぞれの継ぎ目の位置をマンドレルの円周のまわりに120°離間させて、プライ2を形成する第2のシートおよびプライ3を形成する第3のシートの巻き付けプロセスを個別に繰り返した。プリプレグの3つの層をすべて付けた後、次いで、プリプレグロール形成業界では一般的なテープ巻き付け機械を使用して、フィルムテープの複数の層をマンドレル上の3つのプライに巻き付けた。テープは、ベーススリーブを形成する成形型の外側半体であった。テープを巻いたマンドレルを垂直炉内で吊るし、MTM59エポキシ樹脂システム用にACGによって規定された熱サイクルを使用して硬化させた。
【0073】
冷却後、テープを取り除き、チューブをスライドさせてマンドレルから外した。ガラス繊維/エポキシ複合チューブは、ベーススリーブとして適切であり、光重合体を適用する準備のできた0.13インチ(0.33cm)の肉厚を有した。簡単にするために、振幅および重なり部分を含む非直線縁部で形成された継ぎ目を有する実施例のベーススリーブは、ジグザグパターンまたはジグザグ継ぎ目と呼ばれる。
【0074】
比較のために、同様のベーススリーブを真っ直ぐな継ぎ目で作製した。比較例Aのベーススリーブの場合、継ぎ目にわずかな重なりをもたせるために、すなわち、継ぎ目の全長に沿って前端と後端とを完全に重ねるために、各プライの長さを0.020インチ(0.051cm)だけ増やした。比較例Bのベーススリーブの場合、わずかにアンダラップさせるために、すなわち、継ぎ目の全長に沿って前端と後端との間にギャップを形成するために、各プライの長さを0.020インチ(0.051cm)だけ減らした。通常の製造精度にはばらつきがあるので、上記の継ぎ目は、前縁と後縁とが互いに完全に当接することを意図される継ぎ目の製造プロセスの典型例であろう。他の製造および処理パラメータはすべて同じままにした。
【0075】
光重合可能なシリンダ形状版
シリンダ形状の光重合可能な版を作製するために、空気を補助としてベーススリーブをマンドレルに取り付けた。(特許文献18)および(特許文献17)に記載されているように、CYREL(登録商標)光重合可能材料、タイプHORB(DuPont製、Wilmington,DE,USA)を溶融材料としてベーススリーブに適用してカレンダ加工した。室温まで冷却した後、光重合可能層の標準厚さは0.049インチ(0.124cm)であった。光重合可能材料は、当業者には公知であるが、エラストマー結合剤、モノマー、光開始剤、および添加剤を含む組成物である。継ぎ目のない光重合可能層がベーススリーブ上に形成されるように、すなわち、光重合可能層がベーススリーブを囲む一様なシリンダ状の層に成形されるように、十分な時間にわたって光重合可能層をカレンダ加工した。上記の方法を使用してシリンダ状の光重合可能層をベーススリーブ上に形成したが、フレキソ印刷用のシリンダ状印刷版の業者に公知の他の任意の方法により、光重合可能層をベーススリーブに適用することができる。
【0076】
(特許文献34)に記載のプロセスでコーティングすることにより、(特許文献35)に記載の赤外線感応型化学線不透過層をシリンダ状光重合可能層の外側面に適用した。
【0077】
シリンダ状印刷版
ベーススリーブで構成されるシリンダ状前駆体、光重合可能材料のシリンダ状の層、および赤外線層をシリンダ状印刷版に変えた。CYREL(登録商標)Digital Imagerを使用した、前駆体上の赤外線感応層のレーザ爆蝕によってその場マスクを形成した。その場マスクは、べた、線画、および133ライン/インチの網掛け領域(5%、15%、30%、50%、70%)を含むターゲットであった。マスクの網掛け領域は印刷版の外周全体を覆い、ひいては、各3つの継ぎ目に重なって、継ぎ目によって生じた任意の印刷欠陥が目立つようにした。
【0078】
ベーススリーブを介して全体的に露光するために、特注の露光ユニット上で、52秒にわたり、シリンダ状前駆体をベーススリーブを介して365nmの紫外線に暴露した。次いで、(特許文献36)に記載されているようなシリンダ状印刷版用の露光ユニットを使用して、空気中で6分にわたり、シリンダ状前駆体をその場マスクを介して像様露光した。CYREL(登録商標)Cylosol溶媒現像液を使用するCYREL(登録商標)溶媒現像装置内で、0.049インチ(0.124cm)の光重合体層を有する前駆体に対して推奨される条件で感光性要素を処理した。0.018インチ(0.046cm)の凸版深さが得られるようにシリンダ状前駆体を現像して、光重合体層上に凸版面を有する、印刷に適したシリンダ状印刷版を形成した。前駆体から得られたシリンダ状印刷版を後露光し、CYREL(登録商標)Round Light−Finisherユニット上でライト仕上げした。
【0079】
シリンダ状印刷版の印刷
上記のようにして用意したシリンダ状印刷版を使用して、40インチ(101.6cm)幅の片面処理された被印刷物である1.5ミル白色直鎖状低密度ポリエチレン単色層に画像を印刷した。Paper Converting Machine Company(PCMC)Avantiセントラルインプレッション型、8色、ギヤなし、片持ち印刷機の印刷シリンダ上に、空気を補助としてシリンダ状印刷版を取り付けた。Harper 800/2.1アニロックスロールを使用して、シリンダ状印刷版にシアン溶媒フレキソインク(Sun Chemical製、注文コードDRSFS5133195/K525 PROCESS GS CYAN)をつけた。「微小」および「微小プラス0.002インチ」の両方の印圧で、500フィート/分で印刷した。シリンダ状印刷版は50インチ(127cm)幅であったが、実際の画像は34インチ(86.36cm)であり、被印刷物の中心に置いた。実施例および比較例の印刷版の圧縮空気による着脱に関して問題は認められなかった。
【0080】
それぞれ異なる観察条件下で、二人の観察者が単独で印刷サンプルを評価し、目視で検出された印刷欠陥の位置を記録した。欠陥の位置を、継ぎ目を見ることで特定できる、ベーススリーブの継ぎ目の実際の位置と比較した。下記の表には、印刷版の継ぎ目に関係する、各観察者ごとの欠陥数が含まれる。
【0081】
【表1】

【0082】
観察者#1は、実施例(ジグザグパターンの継ぎ目)のベーススリーブ、および比較例A(重なった継ぎ目)のベーススリーブに関係する印刷欠陥数が最小であることを検出した。観察者#2は、実施例のベースプレートに関する印刷欠陥量が最小であることを検出した。結果を総合すると、ジグザグ継ぎ目、すなわち、重なり部分と非接触部分とがある継ぎ目を有する実施例のベーススリーブは、真っすぐに重った継ぎ目を有する比較例Aのベーススリーブ、および真っすぐなギャップのある継ぎ目を有する比較例Bのベーススリーブよりも印刷欠陥が大幅に少ないことを示した。実施例のベーススリーブの不連続継ぎ目は、シリンダ状印刷版の中に認めることができるが、この継ぎ目の存在は、凸版パターンの床部を形成するための、ベーススリーブを介した露光に干渉しないし、印刷画像へのプリントスルーももたらさない。
【符号の説明】
【0083】
10 ベーススリーブ
12 シート材料
14 第1の端部
15 非直線縁部
16 振幅
24 第2の端部
25 直線縁部
30 継ぎ目
32 重なり部分
36 ギャップ部分
48 周期
49 周期
55 シリンダ状支持部材
60 シリンダ状印刷要素
66 外側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版として使用するシリンダ形状要素を作製する方法であって、
a)第1の端部と、前記第1の端部と反対側の第2の端部とを有する第1のシート材料を用意することと、
b)前記第2の端部を前記第1の端部に隣接させるように前記シートを巻き付けることによって、前記シートを、外側面、および前記第1の端部と前記第2の端部との継ぎ目を有するベーススリーブに形成することと、
c)前記継ぎ目の少なくとも一部を覆う画像形成可能材料を前記外側面に隣接して適用することと、
を含み、
前記第1の端部が非線形直線部を形成していて、この非線形直線部が振幅を有しかつ前記第2の端部の一部と重なっている、方法。
【請求項2】
前記適用するステップは、前記継ぎ目を覆う前記画像形成可能材料の連続する層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料は、繊維材料と硬化性樹脂とを含む複合材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記材料は、布材料と熱硬化性樹脂とを含む複合材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記継ぎ目は、重なり部分と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の1つまたは複数のギャップ部分とを含む不連続継ぎ目である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記継ぎ目は、1つまたは複数の前記重なり部分と、前記第1の端部と前記第2の端部との間のギャップを形成する1つまたは複数の非接触部分とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記巻き付けステップは、前記シートをシリンダ形状の支持体上に置き、前記第2の端部と前記第1の端部とが隣接するように前記支持体を回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非直線縁部は複数の波からなる波形を含み、各波は、同じでも異なっていてもよい振幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非直線縁部は複数の波からなる波形を含み、各波は、同じでも異なっていてもよい周期幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記継ぎ目は、前記第2の端部が前記非直線縁部の前記振幅の少なくとも一部と接触する軸方向継ぎ目である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の端部は直線縁部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の端部は、前記第1の端部の前記振幅とは異なる振幅を有する非直線縁部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非直線縁部は複数の波からなる波形を含み、各波は振幅および周期幅を有していてこれらは同じであり、前記第2の端部は、複数の波からなる波形を含む非直線縁部を有し、各波は振幅および周期を有していてこれらが前記第1の端部の前記振幅および周期と同じかまたは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の端部の前記複数の波の前記周期は、前記第1の端部の前記複数の波の前記周期と位相がずれている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の端部の15〜90%が前記第2の端部との重なり部分を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記振幅は、印刷シリンダに取り付けられた前記印刷版と印刷機の印圧ロールとの間のニップ部に形成される印刷幅以上の高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記適用するステップc)の前に、
bi)第1の端部および第2の端部を有するさらなるシート材料を、前記第2の端部が前記さらなるシートの前記第1の端部に隣接するように、前記ベーススリーブの前記外側面に巻き付けて前記さらなるシートの継ぎ目を形成し、前記さらなるシートの前記第1の端部が非線形直線部を形成していて、この非線形直線部が振幅を有しかつ前記さらなるシートの前記第2の端部の一部と重なっていること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のシートの前記継ぎ目は軸方向継ぎ目であり、前記さらなるシートの前記継ぎ目は、前記軸方向継ぎ目から円周方向にずれている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ベーススリーブは軸方向長さを有し、前記方法は、前記さらなるシートの前記継ぎ目の前記重なり部分の少なくとも1つの軸方向位置を、前記第1のシートの前記継ぎ目の前記重なり部分の軸方向位置から長さ方向にずらすことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数のさらなるシート材料を、すでに巻かれた前記シートの外側面上に配置させることで、ステップbi)をさらに繰り返すことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記適用するステップc)の前に、除去可能なフィルムを前記ベーススリーブの前記外側面の周囲に巻き付け、加熱して前記材料を硬化させ、前記フィルムを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記除去可能なフィルムは収縮包装フィルムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記画像形成可能材料には感光性材料が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記画像形成可能材料には、エラストマー結合剤、少なくとも1つのエチレン系不飽和化合物、および光開始剤からなる光重合可能な組成物が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
ステップc)の後、
前記画像形成可能材料の前記層から印刷面を形成することと、
前記印刷版を印刷機の印刷シリンダに取り付けることと、
をさらに含み、
前記振幅は、前記印刷版と前記印刷機の印圧ロールとの間のニップ部に形成される印刷幅以上の高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
適用するステップc)の前に、接着剤の塗布、研磨、またはグリットブラストから選択される改質処理で前記ベーススリーブの前記外側面を改質することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
印刷版として使用するシリンダ形状ベーススリーブを作製する方法であって、
a)第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部とを有する第1のシート材料を用意することと、
b)前記第2の端部を前記第1の端部に隣接させるように、前記シートをシリンダ状支持部材に巻き付け、それによって、前記シートを、外側面、および前記第1の端部と前記第2の端部との継ぎ目を有する前記ベーススリーブへと形成し、前記第1の端部は、振幅を有しかつ前記第2の端部の一部と重なる非直線縁部を形成することと、
c)非直線縁部を形成する少なくとも1つの端部をそれぞれが有する、1つまたは複数のさらなるシート材料を用いてステップa)およびステップb)を繰り返すことと、
d)ステップc)で得られたベーススリーブを硬化させることと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131219(P2012−131219A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255012(P2011−255012)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】