説明

印刷システム、プリンタドライバ、プリンタ及び印刷プログラム

【課題】セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立する。
【解決手段】所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタ2と、セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定し、そのセキュリティレベルに基づいてセキュア印刷ジョブのデータをプリンタ2に送信するパソコン3と、を備え、パソコン3は、セキュリティレベルが高レベルである場合には、セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして印刷データをプリンタ2に送信し、プリンタ2は、認証成立時に前記印刷データのうち未受信データがある場合に、認証成立後に当該未受信データをパソコン3から受信して印刷を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュア印刷機能を備えた印刷システム、プリンタドライバ、プリンタ及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタはネットワークに接続して多数のユーザで共有することが一般的になっているが、その場合には印刷した文書を他人に見られるという状況が多くなる。機密性の高い文書はプリンタで出力する際に他人に見られないようにする必要がある。そこで、プリンタドライバにて印刷ジョブにパスワードを付加し、プリンタでパスワード入力されて認証が成立すると当該印刷ジョブの印刷を実行するセキュア印刷が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−103008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、パソコン等で印刷ジョブが発生してからプリンタでパスワードが入力されるまでの間に印刷ジョブをプリンタに予め送信しておくと、プリンタのストレージに印刷データが保存されることとなる。その場合には、プリンタのストレージが盗難等にあうと、機密データが漏洩する可能性がある。その対策としては、特許文献1のようにプリンタでパスワードが入力されるまでは印刷データをプリンタに送信せず、認証が成立してから印刷データをプリンタに送信することが考えられる。そうすると、印刷データを極力ストレージに保存せずに印刷を実行することができ、機密データの漏洩リスクを低減できる。しかし、その場合にはユーザがプリンタにパスワードを入力してから印刷データがプリンタへ送信されるので、実際に印刷が完了するまでの時間が長くなり、ユーザの利便性が低下してしまう。
【0005】
そこで本発明は、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷システムは、所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタと、前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定するレベル設定装置と、前記セキュリティレベルに基づいて前記セキュア印刷ジョブのデータを前記プリンタに送信するデータ送信装置と、を備え、前記データ送信装置は、前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを前記プリンタに送信し、前記プリンタは、認証成立時に前記印刷データのうち未受信データがある場合に、認証成立後に当該未受信データを前記データ送信装置から受信して印刷を実行するよう構成されている。
【0007】
また、本発明に係るプリンタドライバは、所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタに接続された情報処理装置で実行されるプリンタドライバであって、前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定するレベル設定処理と、前記レベル設定処理で設定される前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを前記プリンタに送信する印刷データ送信処理と、を前記情報処理装置に実行させる。
【0008】
また、本発明に係るプリンタは、所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタであって、前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを判別可能な印刷付加情報を受信して前記印刷付加情報を登録する登録手段と、前記セキュア印刷ジョブの前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め受信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを受信して印刷を行う印刷制御手段と、を備えている。
【0009】
また、本発明に係る印刷プログラムは、所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタと、前記プリンタに接続されたサーバと、前記サーバに接続されたクライアントとを備えた印刷システムの前記サーバで実行される印刷プログラムであって、前記クライアントで設定された前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを認識するレベル認識処理と、前記レベル認識処理で認識された前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして認証成立前に前記印刷データを前記プリンタに送信する認証前送信処理と、認証成立時に前記印刷データのうち未送信データがある場合に、認証成立後に当該未送信データを前記プリンタに送信する認証後送信処理と、を前記サーバに実行させる。
【0010】
以上のような印刷システム、プリンタドライバ、プリンタ及び印刷プログラムによれば、セキュリティレベルの高いセキュア印刷時には、プリンタにおける認証前データ受信率(印刷データのうち認証成立前にプリンタが予め受信しておくデータの割合)が低くなるので、セキュリティレベルの高い印刷ジョブの印刷データがプリンタのストレージに保存されにくくなり、セキュリティレベルに応じて機密データの漏洩リスクを好適に低減することができる。しかも、セキュリティレベルの低いセキュア印刷時には、認証前データ受信率が高くなるので、認証成立後にプリンタが印刷データを受信するための時間が削減され、認証成立から印刷完了までの時間を短縮することができる。よって、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
【図2】図1に示すプリンタのブロック図である。
【図3】図1に示すパソコンのブロック図である。
【図4】図3に示すパソコンから送信されるデータのフォーマートを説明する図面である。
【図5】図1に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「高」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【図6】図1に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「低」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【図7】図1に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「中」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る印刷システムのブロック図である。
【図9】図8に示すパソコンのブロック図である。
【図10】図8に示すサーバのブロック図である。
【図11】図8に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「高」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【図12】図8に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「低」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【図13】図8に示す印刷システムにおけるセキュリティレベルが「中」であるときの印刷動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム1のブロック図である。図2は、図1に示すプリンタ2のブロック図である。図3は、図1に示すパソコン3のブロック図である。図1〜3に示すように、本実施形態の印刷システム1は、LAN等のネットワークNで互いに接続された複数のパソコン3(情報処理装置)と、ネットワークNに接続されて複数のパソコン3で共有されるプリンタ2とを備えている。印刷システム1では、パスワード(認証情報)が対応付けられてセキュリティレベルが設定されたセキュア印刷ジョブをパソコン3で生成し、認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷がプリンタ2で実行される。
【0015】
プリンタ2は、表示部11、操作部12、一次記憶部13、二次記憶部14、ジョブ登録部15、暗号化/復号化処理部16、通信入出力部17及び印刷制御部18を備えている。表示部11は、ユーザに表示画面を提供するディスプレイ装置等である。操作部12は、ユーザが入力操作を行うためのボタン及びタッチパネル等である。一次記憶部13は、プリンタ2の電源がシャットダウンされると記憶データを失う記憶装置(例えば、揮発性メモリ)である。二次記憶部14は、プリンタ2の電源がシャットダウンされても記憶データを保持する記憶装置(例えば、ハードディスク等のストレージ)である。ジョブ登録部15は、パソコン3から受信した印刷ジョブを登録して管理するものである。暗号化/復号化処理部16は、パソコン3から受信したセキュア印刷ジョブに関するデータのうち二次記憶部14に記憶されるデータを暗号化し、その暗号化されたデータを復号化するものである。通信入出力部17は、ネットワークNを介してパソコン3と通信するためのインターフェースである。印刷制御部18は、セキュティレベルが設定されない通常印刷及びセキュリティレベルが設定されたセキュア印刷を制御する。
【0016】
パソコン3は、表示部21、操作部22、記憶部23、レベル設定部24、補正部25、待ち時間判定部26、通信入出力部27及び印刷制御部28を備え、記憶部23にはプリンタドライバがインストールされている。即ち、パソコン3におけるプリンタ2を利用した各種印刷機能は、そのインストールされたプリンタドライバを読み出して実行される。表示部21は、ユーザに表示画面を提供するディスプレイ装置等である。操作部22は、ユーザが入力操作を行うためのキーボード及びマウス等である。記憶部23は、メモリ及びハードディスク等の記憶装置である。レベル設定部24は、セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを複数段階(例えば、「高」「中」「低」)から選択して設定する。補正部25は、パソコン3で生成されるセキュア印刷ジョブの印刷データ量とプリンタ2の一次記憶部13の空き容量とに応じて、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルを補正する。
【0017】
具体的には、補正部25は、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルが「中」「低」である場合に、印刷データ量が第1閾値X1未満であるときには、セキュリティレベルを一段階上げるように補正する。また、補正部25は、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルが「低」である場合に、印刷データ量が第2閾値X2未満であるときには(X2<X1)、セキュリティレベルを二段階上げるように補正する。なお、補正部25は、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルが「中」「低」である場合に、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。
【0018】
さらに、補正部25は、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルが「中」「低」である場合に、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときには、プリンタ2と通信して一次記憶部13の空き容量の情報を取得する。そして、補正部25は、当該空き容量が所定の閾値X3未満であるときには、セキュリティレベルを一段階上げるように補正し、当該空き容量が所定の閾値X3以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。
【0019】
待ち時間判定部26は、ネットワークNの通信トラフィックを計算して、後述する認証成立からプリンタ2で印刷が開始されるまでの待ち時間をセキュリティレベル毎に判定(予測)する。通信入出力部27は、ネットワークNを介してプリンタ2と通信するためのインターフェースである。印刷制御部28は、セキュティレベルが設定されない通常印刷及びセキュリティレベルが設定されたセキュア印刷を制御する。なお、本実施形態では、パソコン3が、セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定するレベル設定装置と、セキュリティレベルに基づいてセキュア印刷ジョブのデータをプリンタに送信するデータ送信装置とを兼ねている。
【0020】
図4は、図3に示すパソコン3から送信されるデータのフォーマートを説明する図面である。図4に示すように、パソコン3からプリンタ2に送信される印刷ジョブのデータ30は、ジョブ番号、ジョブ名称、パスワード及びセキュリティレベル等からなる印刷付加情報(ヘッダ情報)の領域と印刷データ(画像データ)の領域とを有している。ジョブ番号は、印刷ジョブを特定するためのシリアル番号である。ジョブ名称は、プリンタ2の表示部11にジョブ一覧を表示するためなどの名称であり、パソコン3で印刷を実行したファイルの名称又はパソコン3の登録名などを用い得る。パスワードは、ユーザがパソコン3上で印刷ジョブ毎に設定したパスワード又はパソコン3毎に予め設定されたパスワードなどを用い得る。セキュリティレベルは、セキュア印刷ジョブ毎にレベル設定部24で設定されたセキュリティレベル(例えば、「高」「中」「低」など)である。なお、セキュア印刷ではない通常の印刷ジョブの場合は、印刷付加情報のセキュリティレベルの欄にはヌルが付与される。
【0021】
図5は、図1に示す印刷システム1におけるセキュリティレベルが「高」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2及び3の構成を参照しつつ、図5のフローチャートに沿って説明する。ユーザがパソコン3の表示部21を見ながら操作部22を操作し、あるファイルについて印刷設定を要求すると(ステップA1)、印刷制御部28は印刷設定画面を表示部21に表示させる(ステップA2)。そのとき、パソコン3は、待ち時間判定部26にて後述する認証成立からプリンタ2で印刷が開始されるまでの待ち時間をセキュリティレベル毎に判定し、セキュリティレベル毎の待ち時間を前記印刷設定画面に表示する(ステップA3)。
【0022】
ユーザが操作部22を操作して前記印刷設定画面でセキュリティレベルを「高」に指定すると、レベル設定部24が当該印刷ジョブをセキュリティレベルが「高」であるセキュア印刷ジョブに設定する(ステップA4)。そして、ユーザが操作部22を操作して最終的にセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部28は、そのセキュア印刷ジョブの印刷データ(画像データ)を送信せずに、その印刷付加情報のみをプリンタ2に送信する(ステップA5:認証前送信処理)。
【0023】
プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録する(ステップB1)。ユーザは、パソコン3からプリンタ2まで移動してプリンタ2の操作部12を操作し、表示部11にジョブ一覧を表示させ、その中から印刷を実行したいセキュア印刷ジョブを選択し、パスワードを入力する(ステップB2)。そして、その入力されたパスワードがジョブ登録部15に登録された印刷付加情報のパスワードと一致する場合には、プリンタ2は、そのセキュア印刷ジョブについて認証成立と判断する(ステップB3)。認証が成立すると、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号を含む要求信号を、そのセキュア印刷ジョブを生成したパソコン3に送信する(ステップB4)。
【0024】
パソコン3は、その受信した要求信号に含まれるジョブ番号のセキュア印刷ジョブを検索し(ステップA6)、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号及び印刷データ(画像データ)を含む応答信号をプリンタ2に送信する(ステップA7::認証後送信処理)。即ち、パソコン3は、セキュリティレベルが「高」の場合には、認証成立前にはセキュア印刷ジョブの印刷データ(画像データ)を予め送信せず、認証成立後に印刷データ(画像データ)の全部をプリンタ2に送信する。プリンタ2で受信された印刷データは、一次記憶部13に記憶され、印刷制御部18により印刷用の画素データに変換されて紙に印刷される(ステップB5)。そして、印刷終了後には、ジョブ登録部15は、通常は、ジョブ番号、ジョブ名称、印刷日時、印刷枚数などを履歴情報として二次記憶部14に保存するが、セキュリティレベルが「高」のセキュア印刷ジョブの場合は、印刷内容を第三者に推測されないために履歴情報からジョブ名称を削除する(ステップB6)。
【0025】
図6は、図1に示す印刷システム1におけるセキュリティレベルが「低」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2及び3の構成を参照しつつ、図6のフローチャートに沿って説明する。図6のステップA1〜A3は、図5のA1〜A3と同様であるため説明を省略する。ユーザが操作部22を操作して印刷設定画面でセキュリティレベルを「低」に指定すると、レベル設定部24が当該印刷ジョブをセキュリティレベルが「低」であるセキュア印刷ジョブに設定する(ステップA11)。補正部25は、前述したように、パソコン3で生成されるセキュア印刷ジョブの印刷データ量と、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量とに応じて、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルを補正する(ステップA12)。
【0026】
具体的には、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1未満であるときには、セキュリティレベルを「中」に上げるように補正し、後述する図7のフローチャートの「II」に移動する。補正部25は、印刷データ量が第2閾値X2未満であるときには(X2<X1)、セキュリティレベルを「高」に上げるように補正し、図5のフローチャートの「I」に移動する。但し、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。さらに、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときに、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量が所定の閾値X3未満であるときには、セキュリティレベルを「中」に上げるように補正し、後述する図7のフローチャートの「II」に移動する。但し、当該空き容量が所定の閾値X3以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。なお、第1閾値X1及び第2閾値X2については、印刷システムにおける通信速度により適宜設定される。また、所定の閾値X3については、空き容量そのものだけでなく、空き容量と印刷データ量を比較(例えば、印刷データが空き容量の半分以上のデータ量である等)を考慮して設定されてもよい。
【0027】
そして、ステップA12においてセキュリティレベルの補正がされなかった場合には、ユーザが操作部22を操作して最終的にセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部28は、そのセキュア印刷ジョブの全データをプリンタ2に送信する(ステップA13::認証前送信処理)。即ち、パソコン3は、セキュリティレベルが「低」の場合には、印刷付加情報のみならず印刷データ(画像データ)の全部を認証成立前にプリンタ2に予め送信する。
【0028】
プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録し、その印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14に記憶する(ステップB11)。この際、印刷データは、一次記憶部13のうち印刷データ一次記憶用に確保された領域に優先的に記憶され、その領域が不足したときに二次記憶部14に記憶される。即ち、印刷データが一次記憶部13と二次記憶部14とのどちらに記憶されるかは、その印刷ジョブのデータ量やプリンタ2に既に蓄積している印刷ジョブ量などの状況に応じて適宜変化する。そして、暗号化/復号化処理部16は、一次記憶部13に記憶される印刷データは暗号化せず、二次記憶部14に記憶される印刷データを暗号化する。
【0029】
ユーザがプリンタ2でセキュア印刷ジョブのパスワードを入力し(ステップB2)、認証成立すると(ステップB3)、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブの印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14から読み出して、印刷用の画素データに変換して紙に印刷する(ステップB12)。その際、印刷データが二次記憶部14に暗号化されて記憶されている場合には、当該印刷データを暗号化/復号化処理部16にて復号化する。
【0030】
図7は、図1に示す印刷システム1におけるセキュリティレベルが「中」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2及び3の構成を参照しつつ、図7のフローチャートに沿って説明する。図7のステップA1〜A3は、図5のA1〜A3と同様であるため説明を省略する。ユーザが操作部22を操作して印刷設定画面でセキュリティレベルを「中」に指定すると、レベル設定部24が当該印刷ジョブをセキュリティレベルが「中」であるセキュア印刷ジョブに設定する(ステップA11)。補正部25は、前述したように、パソコン3で生成されるセキュア印刷ジョブの印刷データ量と、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量とに応じて、レベル設定部24で設定されたセキュリティレベルを補正する(ステップA22)。
【0031】
具体的には、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1未満であるときには、セキュリティレベルを「高」に上げるように補正し、図5のフローチャートの「I」に移動する。但し、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。さらに、補正部25は、印刷データ量が第1閾値X1以上であるときに、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量が所定の閾値X3未満であるときには、セキュリティレベルを「高」に上げるように補正し、図5のフローチャートの「I」に移動する。但し、当該空き容量が所定の閾値X3以上であるときには、セキュリティレベルを補正しない。
【0032】
そして、ステップA22においてセキュリティレベルの補正がされなかった場合には、ユーザが操作部22を操作して最終的にセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部28は、そのセキュア印刷ジョブの印刷付加情報を印刷データの一部とともにプリンタ2に送信する(ステップA23:認証前送信処理)。即ち、パソコン3は、セキュリティレベルが「中」の場合には、印刷付加情報のみならず印刷データ(画像データ)の一部を認証成立前にプリンタ2に予め送信する。
【0033】
プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録し、その受信した一部の印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14に記憶する(ステップB21)。この際、予め受信する印刷データは、全印刷データのうち一部のデータであるので、二次記憶部14に記憶されずに一次記憶部13に記憶される可能性が高くなる。しかも、仮に二次記憶部14に記憶されたとしても、全印刷データ(画像データ)のうち一部のみが記憶されることとなる。
【0034】
ユーザがプリンタ2でセキュア印刷ジョブのパスワードを入力し(ステップB2)、認証成立すると(ステップB3)、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号を含む要求信号を、そのセキュア印刷ジョブを生成したパソコン3に送信する(ステップB22)。パソコン3は、その受信した要求信号に含まれるジョブ番号のセキュア印刷ジョブを検索し(ステップA24)、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号と、ステップA23で送信していなかった残りの印刷データとを含む応答信号をプリンタ2に送信する(ステップA25:認証後送信処理)。即ち、パソコン3は、セキュリティレベルが「中」の場合には、認証成立前にはセキュア印刷ジョブの印刷データの一部のみを予め送信し、プリンタ2が受信していなかった残りの未受信データを認証成立後にプリンタ2に送信する。そして、プリンタ2は、認証成立前に予め受信していた一部の印刷データを一次記憶部13に読み出し、その一部の印刷データに対して認証成立後に受信した残りの印刷データを一次記憶部13上で補完し、印刷制御部18により印刷用の画素データに変換して紙に印刷する(ステップB23)。
【0035】
以上に説明した構成によれば、セキュリティレベルの高いセキュア印刷時には、プリンタ2の認証前データ受信率(印刷データのうち認証成立前に予め受信しておくデータの割合)が小さくなるので、セキュリティレベルの高い印刷ジョブの印刷データがプリンタ2のストレージ等の二次記憶部14に保存されにくくなり、セキュリティレベルに応じて機密データの漏洩リスクを好適に低減することができる。しかも、セキュリティレベルの低いセキュア印刷時には、認証前データ受信率が大きくなるので、認証成立後に印刷データを受信する時間が削減され、認証成立から印刷完了までの時間を短縮することができる。よって、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立することが可能となる。
【0036】
また、セキュリティレベルが低いセキュア印刷時には、セキュア印刷ジョブの印刷データが認証成立前に予め全てプリンタ2に送信されるので、認証後の印刷時にパソコン3がシャットダウンされている又は不具合がある場合でも、プリンタ2は独立して印刷を続けることが可能となる。また、セキュリティレベルが高いセキュア印刷時には、セキュア印刷ジョブの印刷データが認証成立前に全く送信されないので、機密データの漏洩リスクを十分に抑制することができる。
【0037】
さらに、シャットダウン後にも記憶データを保持する二次記憶部14に保存される印刷データは暗号化されるので、盗難等による機密データの漏洩リスクを更に低減することができる。しかも、シャットダウン後には記憶データを失う一次記憶部13に保存される印刷データは暗号化しないので、復号処理が必要なく高速に印刷を行うことができる。よって、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを更に好適に両立することが可能となる。
【0038】
また、セキュア印刷ジョブの印刷データ量が閾値X1,X2未満である場合には、印刷データ量が閾値X1,X2以上である場合に比べて、認証前データ受信率を小さくするようにセキュリティレベルが補正される。即ち、セキュア印刷ジョブのデータ量が小さい時には、認証前データ受信率を低くしても認証成立後にプリンタ2が印刷データを受信する時間があまり長くならないため、印刷速度が遅くなることを抑えながら機密データ保護機能を更に向上させることが可能となる。
【0039】
さらに、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量が所定の閾値X3未満である場合には、空き容量が閾値X3以上である場合に比べて、認証前データ受信率を小さくするようにセキュリティレベルが補正される。即ち、プリンタ2の一次記憶部13の空き容量が少ない時には、認証成立前に予めプリンタ2に送信しておくデータ量を少なくするため、プリンタ2の一次記憶部13へのアクセス機能の低下が抑制され、円滑な印刷処理を保つことが可能となる。
【0040】
また、認証成立からプリンタ2で印刷が開始されるまでの待ち時間をセキュリティレベル毎に印刷設定画面に表示するので、ユーザがセキュア印刷ジョブのセキュリティレベルをパソコン3に入力しようとする際に、ユーザは認証成立から実際に印刷開始されるまでの待ち時間を参考にすることができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る印刷システム50のブロック図である。図9は、図8に示すパソコン51のブロック図である。図10は、図8に示すサーバ52のブロック図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。図8〜10に示すように、本実施形態の印刷システム50は、LAN等のネットワークNに接続されたクライアントである複数のパソコン51(レベル設定装置)と、ネットワークNに接続されたサーバ52(データ送信装置)と、サーバ52を介してネットワークNに接続されて複数のパソコン51で共有されるプリンタ2とを備えている。印刷システム50では、パスワード(認証情報)が対応付けられてセキュリティレベルが設定されたセキュア印刷ジョブをパソコン51で生成してサーバ52に送信し、認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷がプリンタ2で実行される。
【0042】
パソコン51は、表示部21、操作部22、記憶部23、レベル設定部24、待ち時間判定部26、通信入出力部27及び印刷制御部61を備え、記憶部23には所定のプリンタドライバがインストールされている。サーバ52は、記憶部71、ジョブ登録部72、補正部73、通信入出力部74及び印刷制御部75を備え、記憶部71には所定の印刷プログラムがインストールされている。
【0043】
図11は、図8に示す印刷システム50におけるセキュリティレベルが「高」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2,9及び10の構成を参照しつつ、図11のフローチャートに沿って説明する。図11のステップC1〜C4は、図5のステップA1〜A4と略同一であるため説明を省略する。ユーザがパソコン51の操作部22を操作してセキュリティレベルが「高」であるセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部61は、そのセキュア印刷ジョブの印刷付加情報と印刷データ(画像データ)の全部とをサーバ52に送信する(ステップC5)。
【0044】
サーバ52は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部72で登録してセキュリティレベルが「高」であると認識し、その受信した印刷データを記憶部71に記憶する(ステップD1)。そして、サーバ52の印刷制御部75は、印刷データ(画像データ)は送信せず、印刷付加情報のみをプリンタ2に送信する(ステップD2:認証前送信処理)。プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録する(ステップE1)。そして、ユーザは、パソコン51からプリンタ2まで移動してプリンタ2の操作部12を操作し、表示部11にジョブ一覧を表示させ、その中から印刷を実行したいセキュア印刷ジョブを選択し、パスワードを入力する(ステップE2)。そして、その入力されたパスワードがジョブ登録部15に登録された印刷付加情報のパスワードと一致する場合には、プリンタ2は、そのセキュア印刷ジョブについて認証成立と判断する(ステップE3)。認証が成立すると、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号を含む要求信号をサーバ52に送信する(ステップE4)。
【0045】
サーバ52は、その受信した要求信号に含まれるジョブ番号のセキュア印刷ジョブを検索し(ステップD3)、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号及び印刷データ(画像データ)を含む応答信号をプリンタ2に送信する(ステップD4:認証後送信処理)。即ち、サーバ52は、セキュリティレベルが「高」の場合には、認証成立前にはセキュア印刷ジョブの印刷データ(画像データ)を予めプリンタ2に送信せず、認証成立後に印刷データ(画像データ)の全部をプリンタ2に送信する。プリンタ2で受信された印刷データは、一次記憶部13に記憶され、印刷制御部18により印刷用の画素データに変換されて紙に印刷される(ステップE5)。そして、印刷終了後には、ジョブ登録部15は、セキュリティレベルが「高」のセキュア印刷ジョブの場合は、印刷内容を第三者に推測されないために履歴情報からジョブ名称を削除する(ステップE6)。
【0046】
図12は、図8に示す印刷システム50におけるセキュリティレベルが「低」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2,9及び10の構成を参照しつつ、図12のフローチャートに沿って説明する。図12のステップC1〜C3は、図11のC11〜C3と同様である。ユーザが操作部22を操作して印刷設定画面でセキュリティレベルを「低」に指定すると、レベル設定部24が当該印刷ジョブをセキュリティレベルが「低」であるセキュア印刷ジョブに設定する(ステップC11)。ユーザがパソコン51の操作部22を操作してセキュリティレベルが「低」であるセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部61は、そのセキュア印刷ジョブの印刷付加情報と印刷データ(画像データ)の全部とをサーバ52に送信する(ステップC12)。
【0047】
サーバ52は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部72で登録してセキュリティレベルが「低」であると認識し、その受信した印刷データを記憶部71に記憶する(ステップD11)。補正部73は、第1実施形態の補正部25と同様に、セキュア印刷ジョブの印刷データ量とプリンタ2の一次記憶部13の空き容量とに応じて、セキュリティレベルを補正する(ステップD12)。そして、ステップD12においてセキュリティレベルの補正がされなかった場合には、サーバ52の印刷制御部75は、そのセキュア印刷ジョブの全データをプリンタ2に送信する(ステップD13:認証前送信処理)。即ち、サーバ52は、セキュリティレベルが「低」の場合には、印刷付加情報のみならず印刷データ(画像データ)の全部を認証成立前にプリンタ2に予め送信する。
【0048】
プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録し、その印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14に記憶する(ステップE11)。ユーザがプリンタ2でセキュア印刷ジョブのパスワードを入力し(ステップE2)、認証成立すると(ステップE3)、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブの印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14から読み出して、印刷用の画素データに変換して紙に印刷する(ステップE12)。
【0049】
図13は、図8に示す印刷システム50におけるセキュリティレベルが「中」であるときの印刷動作のフローチャートである。以下、図2,9及び10の構成を参照しつつ、図13のフローチャートに沿って説明する。図13のステップC1〜C3は、図11のC11〜C3と同様である。ユーザが操作部22を操作して印刷設定画面でセキュリティレベルを「中」に指定すると、レベル設定部24が当該印刷ジョブをセキュリティレベルが「中」であるセキュア印刷ジョブに設定する(ステップC21)。ユーザがパソコン51の操作部22を操作してセキュリティレベルが「中」であるセキュア印刷指示を行うと、印刷制御部61は、そのセキュア印刷ジョブの印刷付加情報と印刷データ(画像データ)の全部とをサーバ52に送信する(ステップC12)。
【0050】
サーバ52は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部72で登録してセキュリティレベルが「中」であると認識し、その受信した印刷データを記憶部71に記憶する(ステップD21)。補正部73は、第1実施形態の補正部25と同様に、セキュア印刷ジョブの印刷データ量とプリンタ2の一次記憶部13の空き容量とに応じて、セキュリティレベルを補正する(ステップD22)。そして、ステップD22においてセキュリティレベルの補正がされなかった場合には、サーバ52の印刷制御部75は、そのセキュア印刷ジョブの印刷付加情報を印刷データの一部とともにプリンタ2に送信する(ステップD23:認証前送信処理)。即ち、サーバ52は、セキュリティレベルが「中」の場合には、印刷付加情報のみならず印刷データ(画像データ)の一部を認証成立前にプリンタ2に予め送信する。
【0051】
プリンタ2は、その受信した印刷付加情報をジョブ登録部15で登録し、その受信した一部の印刷データを一次記憶部13及び/又は二次記憶部14に記憶する(ステップE21)。ユーザがプリンタ2でセキュア印刷ジョブのパスワードを入力し(ステップE2)、認証成立すると(ステップE3)、プリンタ2の印刷制御部18は、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号を含む要求信号をサーバ52に送信する(ステップE22)。サーバ52は、その受信した要求信号に含まれるジョブ番号のセキュア印刷ジョブを検索し(ステップD24)、そのセキュア印刷ジョブのジョブ番号と、ステップD23で送信していなかった残りの印刷データとを含む応答信号をプリンタ2に送信する(ステップD25:認証後送信処理)。即ち、サーバ52は、セキュリティレベルが「中」の場合には、認証成立前にはセキュア印刷ジョブの印刷データの一部のみを予め送信し、認証成立後にその残りのデータをプリンタ2に送信する。そして、プリンタ2は、認証成立前に予め受信していた一部の印刷データを一次記憶部13に読み出し、その一部の印刷データに認証成立後に受信した残りの印刷データを一次記憶部13上で補完し、印刷制御部18により印刷用の画素データに変換して紙に印刷する(ステップE23)。
【0052】
なお、前述した各実施形態では、プリンタ2で認証処理を行っているが、パソコン3,51又はサーバ52で行ってもよい。また、セキュリティレベルが所定よりも高い場合は、プリンタ2に送信するデータを暗号化してもよい。また、暗号化/復号化処理部16は、セキュリティレベルが高くなるにつれて暗号化の強度を上げるようにしてもよい。また、二次記憶部14に印刷データが保存される際には、当該印刷データを複数に分割して記憶領域を分散させて記憶させるようにしてもよい。また、レベル設定部24により設定できるセキュリティレベルの選択肢は、その印刷ジョブを生成するユーザの権限に応じて制限してもよい。
【0053】
(変形例)
前述した実施形態においては、セキュリティレベルが「高」のセキュア印刷ジョブの場合は、印刷内容を第三者に推測されないために履歴情報からジョブ名称を削除(ステップE6、ステップB6)しているが、ジョブ名称以外であっても、印刷内容が推定できる情報については、削除するようにしてもよい。さらに、ジョブ名称を削除するのではなく、印刷内容が推定できないような名称に変更するようにしてもよい。ジョブ名称を完全に削除してしまうと、印刷管理システム(例えば、課金管理システム)に影響する場合など、ジョブ名称を削除せず変更することが有効な場合がある。
【0054】
本発明におけるプリンタについては、記録媒体に画像を形成するものであれば構成は問わない。例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、複合機、ファクシミリ及びコピー機等のような形態も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る印刷システム、プリンタドライバ、プリンタ及び印刷プログラムは、セキュア印刷において機密データ保護と印刷時間短縮とを好適に両立することが可能となる優れた効果を有し、セキュア印刷機能を備えた印刷装置等に広く適用すると有益である。
【符号の説明】
【0056】
1,50 印刷システム
2 プリンタ
3,51 パソコン(レベル設定装置、データ送信装置、情報処理装置)
13 一次記憶部
14 二次記憶部
15 ジョブ登録部(登録手段)
16 暗号化/復号化処理部
18 印刷制御部(印刷制御手段)
24 レベル設定部
25 補正部
26 待ち時間判定部
52 サーバ(データ送信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタと、
前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定するレベル設定装置と、
前記セキュリティレベルに基づいて前記セキュア印刷ジョブのデータを前記プリンタに送信するデータ送信装置と、を備え、
前記データ送信装置は、前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを前記プリンタに送信し、
前記プリンタは、認証成立時に前記印刷データのうち未受信データがある場合に、認証成立後に当該未受信データを前記データ送信装置から受信して印刷を実行するよう構成されている、印刷システム。
【請求項2】
前記データ送信装置は、前記セキュリティレベルが高レベルの場合には、前記セキュア印刷ジョブの印刷データを認証成立前に前記プリンタに予め送信せずに認証成立後に送信する一方、前記セキュリティレベルが低レベルの場合には、前記セキュア印刷ジョブの印刷データを認証成立前に前記プリンタに予め全て送信する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記プリンタは、前記プリンタがシャットダウンされると記憶データを失う一次記憶手段と、前記プリンタがシャットダウンされても記憶データを保持する二次記憶手段と、前記データ送信装置から受信した前記印刷データを暗号化するための暗号化処理手段と、をさらに備え、
前記暗号化処理手段は、前記一次記憶手段に記憶される前記印刷データは暗号化せず、前記二次記憶手段に記憶される前記印刷データを暗号化する、請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記データ送信装置は、前記セキュア印刷ジョブの印刷データ量が所定の閾値未満である場合には、前記印刷データ量が前記閾値以上である場合に比べて、前記割合を小さくするよう補正した状態で前記印刷データを前記プリンタに送信する、請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記データ送信装置は、前記プリンタのメモリの空き容量が所定の閾値未満である場合には、前記空き容量が前記閾値以上である場合に比べて、前記割合を小さくするように補正した状態で前記印刷データを前記プリンタに送信する、請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタに接続された情報処理装置で実行されるプリンタドライバであって、
前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを設定するレベル設定処理と、
前記レベル設定処理で設定される前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを前記プリンタに送信する印刷データ送信処理と、
を前記情報処理装置に実行させる、プリンタドライバ。
【請求項7】
前記印刷データ送信処理は、前記セキュリティレベルが高レベルの場合には、前記セキュア印刷ジョブの印刷データを認証成立前に予め送信せずに認証成立後に送信する一方、前記セキュリティレベルが低レベルである場合には、前記セキュア印刷ジョブの印刷データを認証成立前に予め全て送信する、請求項6に記載のプリンタドライバ。
【請求項8】
前記セキュア印刷ジョブの印刷データ量が所定の閾値未満である場合には、前記印刷データ量が前記閾値以上である場合に比べて、前記割合を小さくするように補正する補正処理を、前記情報処理装置にさらに実行させる、請求項6又は7に記載のプリンタドライバ。
【請求項9】
認証成立から前記プリンタで印刷が開始されるまでの待ち時間を前記セキュリティレベル毎に判定する待ち時間判定処理と、
前記レベル設定処理の前に、前記待ち時間判定処理で判定された前記セキュリティレベル毎の待ち時間を表示する待ち時間表示処理と、
を前記情報処理装置にさらに実行させる、請求項6乃至8のいずれかに記載のプリンタドライバ。
【請求項10】
所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタであって、
前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを判別可能な印刷付加情報を受信して前記印刷付加情報を登録する登録手段と、
前記セキュア印刷ジョブの前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め受信しておくデータの割合が小さくなるようにして前記印刷データを受信して印刷を行う印刷制御手段と、
を備えている、プリンタ。
【請求項11】
所定の認証情報が対応付けられたセキュア印刷ジョブのうち認証が成立したセキュア印刷ジョブの印刷を実行するプリンタと、前記プリンタに接続されたサーバと、前記サーバに接続されたクライアントとを備えた印刷システムの前記サーバで実行される印刷プログラムであって、
前記クライアントで設定された前記セキュア印刷ジョブのセキュリティレベルを認識するレベル認識処理と、
前記レベル認識処理で認識された前記セキュリティレベルが高レベルである場合には、前記セキュリティレベルが低レベルである場合に比べて、前記セキュア印刷ジョブの印刷データのうち認証成立前に予め送信しておくデータの割合が小さくなるようにして認証成立前に前記印刷データを前記プリンタに送信する認証前送信処理と、
認証成立時に前記印刷データのうち未送信データがある場合に、認証成立後に当該未送信データを前記プリンタに送信する認証後送信処理と、
を前記サーバに実行させる、印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159950(P2012−159950A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18134(P2011−18134)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】