説明

印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、印刷装置の制御方法、プログラム

【課題】 ユーザが探索するネットワークを意識することなく、容易に印刷サーバ上の仮想プリンタをクライアントPC上に作成することが可能な印刷システムを提供する。
【解決手段】 プリントサーバに102対して、プリンタ登録要求を、印刷装置104に対して、探索要求を送信するクライアントPC103と、仮想プリンタの登録を行い、仮想プリンタのプリンタ情報を格納し、仮想プリンタが登録された旨を印刷装置104に通知するプリントサーバ102と、プリンタ登録通知に応じてプリンタ情報800を取得し、探索要求に応じて、プリンタ情報800を送信する印刷装置104とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアントのPC上に仮想的なプリンタを作成する印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、印刷装置の制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複合機のネットワーク化が進み、ホストコンピュータからネットワークを介して対象のプリンタや複合機に印刷することが一般的となっている。このようなケースでは、ホストコンピュータ上に対象となる印刷先のプリンタオブジェクトを作成し、アプリケーションからの印刷時に、そのプリンタオブジェクトを選択して印刷を行う。
【0003】
一方、プリントサーバを使用して印刷を行う際も、プリントサーバ上に作成されている仮想プリンタに対応するプリンタオブジェクトをクライアントPC上に作成し、印刷を行うことでプリントサーバに印刷ジョブを投入している。プリントサーバを経由して印刷ジョブを投入することで、システム内の総合的な印刷文書管理が可能となり、また、ICカードを使用したプルプリントなどの機能を使用することが可能となる。
【0004】
このプリンタオブジェクトの作成は、IPアドレス等を手動で入力して作成する他に、ネットワーク上を探索して自動的に作成する方法が存在している。このように、ネットワーク上を探索してプリンタオブジェクトを作成する場合、ネットワークの範囲を限定して探索する必要があり、例えばホストコンピュータと異なる範囲のネットワークのプリンタは探索することができないという課題があった。
【0005】
これを解決するため、特許文献1では、ユーザが探索したいネットワークを指定し、ホストコンピュータの代わりにWebサーバが探索を行い、結果をホストコンピュータに返す方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−296073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、プリントサーバを使用する場合、プリントサーバの存在するネットワークをあらかじめユーザが知っておく必要があった。また、プリントサーバ自体が、探索に応答する仕組みを備えている確証もないため、結果的に、ユーザが手動で登録する必要があり、大きな手間がかかっていた。
【0008】
本発明は、ユーザが探索するネットワークを意識することなく、容易に印刷サーバ上の仮想プリンタをクライアントPC上に作成することが可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の印刷システムは、印刷装置、プリントサーバ、情報処理装置がネットワークを介して通信可能に接続された印刷システムであって、前記情報処理装置は、前記プリントサーバに対して、プリンタ登録要求を送信するプリンタ登録要求手段と、前記印刷装置に対して、探索要求を送信する探索要求手段とを有し、前記プリントサーバは、前記情報処理装置から受け付けたプリンタ登録要求に従って、仮想プリンタの登録を行う登録手段と、前記登録手段により登録された仮想プリンタのプリンタ情報を記憶手段に格納する格納手段と、前記登録手段により前記仮想プリンタが登録された旨を示すプリンタ登録通知を前記印刷装置に通知する通知手段と、前記印刷装置は、前記プリントサーバから通知されたプリンタ登録通知に応じて該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報を取得する取得手段と、前記情報処理装置から受け付けた探索要求に応じて、前記取得手段により取得された前記プリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ユーザは探索するネットワークを意識することなく、容易に印刷サーバ上の仮想プリンタをクライアントPC上に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例における、印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例における、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施例における、RAMのメモリマップの一例を示す図である。
【図4】本実施例における、プリントサーバのソフトウェア構成図である。
【図5】本実施例における、印刷装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】本実施例における、印刷装置の構成を階層的に示す図である。
【図7】本実施例における、探索応答アプリケーションの構成を示すブロック図である。
【図8】本実施例における、プリンタ情報を示す図である。
【図9】本実施例における、探索設定情報を示す図である。
【図10】本実施例における、プリンタ登録要求受付時のフローチャートである。
【図11】本実施例における、探索要求受信時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<システム構成>
図1は本実施例に適用される印刷システムの構成を示すブロック図である。図1において、クライアントPC103、印刷装置104は複数台接続されていることを想定している。また、本印刷システムに含まれる装置間の通信はイーサネット(登録商標)ケーブルなどを利用した有線通信でもよいし、電波や光などを利用した無線通信でもよい。
【0014】
図1では、ネットワーク101(LAN)を介して、プリントサーバ102、クライアントPC103、印刷装置104が接続されている。プリントサーバ102は印刷装置104の監視や管理、印刷ジョブの監視や制御、クライアントPC103から印刷指示受信、大容量記憶装置105への文書データ保存、印刷装置104への印刷データの転送処理を行うサーバコンピュータである。大容量記憶装置105には、印刷データ、文書データ、印刷ジョブ情報、プリンタ情報等が記憶されている。クライアントPC103は、情報処理を行うためのクライアントコンピュータであり、LAN101を介して、プリントサーバ102やクライアントPC103と通信を行うことができる。
【0015】
印刷装置104は、LAN101に接続された画像形成装置である。印刷装置104はLAN101を介して、プリントサーバ102と通信を行う。この印刷装置104としては、電子写真方式を採用したレーザビームプリンタやインクジェット方式を採用したインクジェットプリンタ、熱転写方式を利用したプリンタ等、あらゆる方式の印刷装置を採用することができる。また、印刷装置104は後述する探索応答アプリケーション601を備える。(詳細は図7)
【0016】
<サーバコンピュータ、クライアントコンピュータのハードウェア構成>
図2は本実施例に適用される、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。プリントサーバ102やクライアントPC103は該情報処理装置と同様、あるいは同等の構成をとる。尚、特に断らない限り、本発明の機能が実行可能であるならば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、本発明が適用できることは言うまでもない。また、特に断らない限り、本発明の機能が実行可能であるならば、LAN、WAN等のネットワークを介して接続が為され、処理が行われるシステムであっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0017】
CPU201は、情報処理装置の制御装置であり、ハードディスク207に格納されているアプリケーションプログラム、プリントドライバプログラム、オペレーティングシステムや本発明の印刷システムプログラムを実行する。また、CPU201は、RAM203にプログラム実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。また、CPU201は、ディスプレイ206上の不図示マウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウインドウを開き、種々のデータ処理を実行する。尚、本実施例において、プリンタ作成処理はクライアントPC103のディスプレイに表示されるウインドウより行われる。
【0018】
ROM202は、記憶手段であり、内部に基本I/Oプログラム等のプログラム、文書処理の際に使用するフォントデータ、テンプレート用データ等の各種データを記憶する。RAM203は、一時記憶手段であり、CPU201の主メモリやワークエリア等として機能する。NIC204は入出力手段であるインターフェースであり、情報処理装置はNIC204を介して外部装置とのデータのやり取りを行う。
【0019】
キーボード205は、指示入力手段であり、ユーザが外部装置への命令等を入力指示するためのものである。ディスプレイ206は、表示手段であり、キーボード205から入力したコマンド等を表示するものである。HD207は外部記憶手段の一つであり、大容量メモリとして機能するハードディスクであり、アプリケーションプログラム、プリントドライバプログラム、OS等を格納している。
【0020】
FDドライブ208は、フロッピー(登録商標)ディスクを読み込み、印刷制御プログラム及び関連データを直接RAM203にロードして実行させるためのドライブである。尚、本印刷制御プログラムを記憶する媒体は、FD以外にCD−ROM、CD−R、PCカード、DVD、ICメモリカードであってもよく、情報処理装置には、各記憶媒体に適するドライブが備えられていることが望ましい。システムバス209は、情報処理装置の各構成を接続するためのバスである。
【0021】
図3は、図2に示したRAM203のメモリマップの一例を示す図であり、印刷制御プログラムがRAM203上にロードされ実行可能となった状態のメモリマップである。本実施例では、FDドライブ208から印刷制御プログラム及び関連データを直接RAM203にロードして実行させる例を示すが、これ以外にも、既に印刷制御プログラムがインストールされているHD207からRAM203にロードするようにしてもよい。尚、本印刷制御プログラムをROM202に記憶しておき、これをメモリマップの一部となすように構成し、直接CPU201で実行することも可能である。また、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアをもってハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0022】
基本I/Oプログラム301は、情報処理装置の電源がONされたときに、HD207からOSがRAM203に読み込まれ、OSの動作を開始させるIPL(イニシャルプログラムローディング)機能などを有しているプログラムが入っている領域である。OS302はオペレーティングシステムである。印刷制御プログラム303は、本実施例において印刷システムを制御するためのプログラムであり、RAM203上に確保される領域に記憶される。関連データ304は、RAM203上に確保される領域に記憶される。ワークエリア305は、CPU201が本印刷制御プログラムを実行する領域が確保されている。メモリマップ310は図2に示したFDドライブ208により読み込まれるメモリマップの一例であり、FDドライブ208の読み込むFDのデータ内容を示している。ボリューム情報306は、データの情報を示し、307はディレクトリ情報、308は本実施例の印刷システムプログラム、309はその関連データである。印刷システムプログラム308は本実施例で説明するフローチャートに基づいてプログラム化したものであり、本実施例ではプリントサーバ102に同様の構成をとっている。
【0023】
<プリントサーバのソフトウェア構成>
図4は、本実施例におけるプリントサーバ102のソフトウェア構成図である。リクエスト管理部401は、クライアントPC103からLAN101を介して印刷要求や、プリンタ登録要求を受け付ける。ここで、印刷要求とは、ユーザからプリントサーバ102への印刷指示である。本実施例ではクライアントPC上のWebブラウザなどのユーザインターフェース上から印刷指示が行われることを想定している。また、プリンタ登録要求とは、印刷装置104のプリンタ情報の保存をプリントサーバ102に対して指示する要求である。尚、プリンタ情報の詳細については、図8を用いて後述する。尚、ユーザはプリンタ登録時に、プリンタ名、IPアドレスを指定する。また、ユーザはクライアントPC103上に、プリンタ情報に対応するプリンタオブジェクトを作成し、印刷時に該プリンタオブジェクトを指定することにより、プリントサーバ102を介した印刷を行う。印刷処理に関しては本実施例とは関係が無いため、簡単な説明に止める。
【0024】
リクエスト管理部401が印刷要求を受け付けた場合は、ジョブ管理部402がデータベースアクセス部406を介して大容量記憶装置105から印刷ジョブ情報、印刷データを取得する。ジョブ管理部402は印刷ジョブを受け付けるとプリンタ管理部404に印刷装置104の状況を問合せ、印刷装置104が正常の場合はジョブ制御部403にジョブ送信命令を出す。ジョブ制御部403はジョブ送信命令を受け付けると印刷装置104へジョブデータを送信する。本実施例では送信を行う通信プロトコルは特に限定しないが、例えばLPR(Line Printer Daemon Protocol)やRAW、IPP(Internet Printing Protocol)などが考えられる。
【0025】
リクエスト管理部401がプリンタ登録要求を受け付けた場合は、プリンタ管理部404がデバイス制御部405を介して、印刷装置104の構成情報を取得する。そして、プリンタ管理部404が、プリンタ登録要求時に指定される情報と、取得した構成情報とを、データベースアクセス部406を介して大容量記憶装置105に格納する。また、プリンタ管理部404は、プリンタ登録要求処理後、プリンタ登録が為されたことを、デバイス制御部405を介して印刷装置104に通知する。通知時の通信プロトコルは特に限定しない。詳細は図10で説明する。
【0026】
<印刷装置のハードウェア構成>
図5は、印刷装置104のハードウェア構成の一例を示す図である。イメージリーダ502は、原稿給送部501で原稿を読み込む。イメージリーダ502及び画像形成部503は、読み込んだ原稿や、ネットワーク経由で受信したデータを印刷画像に変換・印刷出力する。排紙部504は印刷出力した紙を排出し、ソートやステイプル等の処理を施す。NIC(NetworkI/F)505はネットワーク経由でLAN及びインターネットに接続し、外部と情報交換を行う。
【0027】
CPU506は、ROM507、又はHDD509に記憶されたプログラムをRAM508に読み込み、このプログラムに基づき処理を実行することによって、本装置(印刷装置)上の各処理を司る。不揮発性記憶手段のROM507は本装置の各処理に関わるプログラムやデータを記憶する。書き換え可能なRAM508は本装置の各処理に関わる一時的なデータを電気的に記憶する。HDD509は本装置の各処理に関わるプログラムやデータ、及び一時的なデータ等を記憶する。操作部510は、画面を表示したり、画面を介したユーザの操作指示を受け付けたりする。
【0028】
<印刷装置構成>
図6は、印刷装置104の構成を階層的に示す図である。図6において、画像形成部613は、紙のハンドリングや画像転写・定着等の一連の画像形成プロセスを実行して、記録紙等の記録媒体上に画像を形成する。この画像形成部613は、例えばインクジェットプリンタや電子写真方式の画像形成ユニットを備えている。画像読み取り部617は、スキャナ等を備え、原稿画像を光学的に読み取ってディジタル画像情報に変換する。また、画像読み取り部617は、前記ディジタル画像情報を画像形成部613に出力して画像を形成したり、又はファックス部612やネットワークインタフェース部614等に渡して回線を介して伝送したりする。デバイスコントローラ610は、画像形成部613と、画像読み取り部617とのそれぞれの動作を制御し、例えば画像読み取り部617で読み取った原稿情報を画像形成部613で複写するよう制御する。また、デバイスコントローラ610は、ネットワークインタフェース部614、プリント処理部615、ファックス部612、操作部制御部611を有し、これら各部の間での情報のやり取りも制御する。
【0029】
ファックス部612は、ファクシミリ画像の送受信、即ち、画像読み取り部617で読み取ったディジタル画像情報を送信したり、また逆に、受信したファクシミリ信号を復号し、画像形成部613で記録したりする等の処理を実行する。操作部制御部611は、操作部の操作パネルを使用したユーザの操作に応じた信号を発生したり、また操作部(又は表示部)等に各種データやメッセージ等を表示したりするよう、制御を行う。プリント処理部615は、例えばネットワークインタフェース部614を介して入力された印刷データを処理して画像形成部613に出力し、印刷する等の制御を行う。ネットワークインタフェース部614は、通信回線を介して他の通信端末との間のデータの送受信を制御する。
【0030】
仮想マシン(Virtual Machine)605は、デバイスコントローラ610の上位に位置し、この仮想マシン605からデバイスコントローラ610を制御できるように構成されている。また、ネットワークインタフェース部614は、デバイスコントローラ610と、仮想マシン605との双方から直接利用でき、それぞれ独立して外部ネットワークにアクセスすることができるよう構成されている。更に、仮想マシン605の上位には、仮想マシン605が提供するAPI(Application Programming Interface)に対応したプログラミング言語で記述されたアプリケーションが存在している。これらのアプリケーションは、仮想マシン605を介して間接的にデバイスコントローラ610に働きかけることができ、また画像形成部613や画像読み取り部617を動作させることができる。本実施例としては、アプリケーションとして、探索応答アプリケーション601を備える。探索応答アプリケーションについての詳細は後述する(図7)。また、これらアプリケーションは仮想マシン605上からアンインストールしたり、更に新たにアプリケーション602〜604としてインストールしたりするといった事が可能なように構成されている。また、上述したアプリケーションは本実施例としては印刷装置104にインストールされるアプリケーションとして説明したが、ハードウェアとして備えられていても良い。また外部装置として印刷装置104と通信可能に接続されたコンピュータ上のアプリケーションとして備えていても良い。
【0031】
外部記憶装置制御部616は、画像読み取り部617で読み取った画像を画像形成部613で外部記憶装置に保存可能なデータフォーマットに変換し、外部記憶装置に保存する。また、外部記憶装置制御部616は、外部記憶装置に保存したデータを読み出し、画像形成部613を介して印刷処理を行ったり、ネットワークインタフェース部614を介して外部にネットワーク送信したりする。
【0032】
<探索応答アプリケーションのソフトウェア構成>
図7は、探索応答アプリケーション601の構成を示すブロック図である。探索応答アプリケーション601は、探索要求制御部701、プリンタ情報管理部702、プリンタ情報記憶部703、探索設定記憶部704により構成される。
【0033】
探索要求制御部701は、LAN101を介して、クライアントPC103からの探索要求と、前述したプリントサーバ102からのプリンタ登録通知とを受け付ける。本実施例では探索要求は、クライアントPC103のOSが備えている一般的なプリンタ検索機能を想定している。探索要求制御部701は、クライアントPC103から探索要求を受け付けると、プリンタ情報管理部702を介してプリンタ情報記憶部703に登録されているプリンタ情報を取得し、取得したプリンタ情報をクライアントPC103へ通知する。また、探索要求制御部701は、プリントサーバ102からプリンタ登録通知を受け付けると、プリントサーバ102からプリンタ情報を取得し、プリンタ情報管理部702を介してプリンタ情報記憶部703へ登録する。
【0034】
探索設定記憶部704は、探索要求受信時の探索応答アプリケーション601の動作設定である探索設定情報が記憶されている。探索設定記憶部704に記憶されている設定に応じて、探索応答アプリケーションは、応答する内容を変更する。探索設定記憶部704への動作設定の記憶は、印刷装置104の操作部510を介して行われるユーザの操作によって行われる。尚、探索設定情報に関しては、図9を用いて後述する。
【0035】
<プリンタ情報>
図8は、プリントサーバ102や探索応答アプリケーション601が保持しているプリンタ情報の一例を示す図である。プリンタ情報800は、ユーザのプリンタ登録要求によって、大容量記憶装置105に記憶されるプリンタ情報である。プリンタ名801はプリントサーバ102内で一意となる名称であり、ユーザがプリントサーバ102内の印刷装置104を識別するために指定する情報である。IPアドレス802は、印刷装置104に設定されているIPアドレスである。プリントサーバ102は、IPアドレス802を元に印刷装置104と通信処理を行う。
【0036】
URL803は、クライアントPC103上のプリンタオブジェクトのポート情報に設定される情報である。URL803を使用することでクライアントPC103は、プリントサーバ102上のプリンタを特定する。印刷設定804は、両面設定、ページレイアウト設定、カラー設定、部数設定など印刷ジョブの印刷設定に関する情報である。
【0037】
<探索設定情報>
図9は、探索設定記憶部に保持されている探索設定情報の一例を示す図である。図9に示される通り、探索設定情報900は、探索応答機能設定901、プリントサーバアドレス902、プリントサーバ確認設定903、探索応答内容設定904を含む。
【0038】
探索応答機能設定901には、本実施例の探索応答機能を使用するか否かを示す設定が保持されている。探索応答機能設定901に、探索応答機能を使用すると設定されている場合、探索応答アプリケーション601は、保持しているプリントサーバ102に登録されている仮想プリンタのプリンタ情報800で探索応答を行う。探索応答機能設定901に、探索応答機能を使用しないと設定されている場合、探索応答アプリケーション601は、印刷装置104のプリンタ情報で探索応答を行う。
【0039】
プリントサーバアドレス902は、探索応答アプリケーション601がプリントサーバ102を特定し、通信を行うためのアドレス情報であり、IPアドレスやホスト名が格納されている。プリントサーバ確認設定903は、探索応答アプリケーション601が探索応答時にプリントサーバ102のプリンタ情報を毎回確認し、プリンタ情報の更新を行ってから探索応答を行うか否かを示す設定が格納されている。
【0040】
探索応答内容設定904は、探索応答時に、プリントサーバ102のプリンタ情報のみで探索応答を行うか、印刷装置104のプリンタ情報も合わせて応答を行うかを示す設定が格納されている。
【0041】
また、設定画面910は探索応答アプリケーションの設定を行うための画面例である。尚、設定画面910では操作部510を介して設定が行われることを想定しているが、印刷装置104によって提供されるWebページを介して例えばクライアントPC103等の外部装置から設定が行われてもよい。ユーザによって設定された情報は、探索設定記憶部704に保持される。画面例の901〜904はそれぞれ、探索設定情報の901〜904に対応している。
【0042】
<プリンタ登録時の処理>
図10は本実施例における、ユーザからのプリンタ登録要求を受け付けた場合のプリントサーバ102と、登録対象の印刷装置104の探索応答アプリケーション601とのそれぞれの処理フロー示す図である。
【0043】
<プリンタ登録時のプリントサーバ処理>
S1001において、プリントサーバ102のリクエスト管理部401は、クライアントPC103からリクエストを受け付ける。S1002において、リクエスト管理部401は、S1001で受信したリクエストがプリンタ登録要求かどうかを判断する。プリンタ登録要求と判断された場合は、S1003の処理に移行し、プリンタ登録要求以外のリクエストと判断された場合は、処理を終了する。
【0044】
S1003において、リクエスト管理部401は、プリンタ管理部404にプリンタ登録指示を行う。そして、プリンタ登録指示を受けたプリンタ管理部404は、受信したリクエストに含まれる情報に従って、仮想プリンタを登録するととともにプリンタ情報800を、データベースアクセス部406を介して大容量記憶装置105に格納する。
【0045】
S1004において、プリンタ管理部404は、プリンタ情報800のIPアドレス802から登録された仮想プリンタに対応する印刷装置104を特定する。そして、プリンタ管理部404は、デバイス制御部405を介して仮想プリンタが登録された旨(プリンタ登録通知)を印刷装置104の探索応答アプリケーション601に通知する。
【0046】
尚、本実施例の処理フローでは、プリンタ登録要求時についてのみ記載しているが、その他、プリンタの設定変更、プリンタ削除等のリクエストの場合も同様に探索応答アプリケーションに通知することも当然想定される。
【0047】
<プリンタ登録時の探索応答アプリケーション処理>
S1005において、探索応答アプリケーション601の探索要求制御部701は、プリントサーバ102より、リクエストを受信する。S1006において、探索要求制御部701は、S1005で受信したリクエストがプリンタ登録通知かどうかを判断する。プリンタ登録通知であると判断された場合はS1007の処理に移行し、プリンタ登録通知以外の場合は処理を終了する。
【0048】
S1007において、プリンタ情報管理部702は、プリントサーバ102を介して、大容量記憶装置105に格納されている印刷装置104のプリンタ情報800を取得する。尚、プリンタ情報800の特定は、IPアドレスを用いて行う。また、プリンタ情報の取得は、プリンタ登録通知にプリンタ情報800が含まれており、プリンタ登録通知から取得する構成であってもかまわない。S1008において、プリンタ情報管理部702は、プリンタ情報記憶部703にS1007で取得したプリンタ情報800を格納する。
【0049】
上述したフローチャートの処理が実行されることにより、プリントサーバ102にて登録された仮想プリンタの実体である印刷装置104にも、仮想プリンタの登録情報であるプリンタ情報が保持されることとなる。
【0050】
尚、プリントサーバ102に複数の仮想プリンタが作成されることも想定される。その場合、プリンタ情報800は複数存在することになるが、その際はプリンタ名801を用いることで個々の情報を判別する。
【0051】
<探索応答処理>
図11は印刷装置104の探索応答アプリケーション601が探索要求を受信した場合の処理フローを示す図である。S1101において、探索要求制御部701は、クライアントPC103よりリクエストを受信する。
【0052】
S1102において、探索要求制御部701は、S1101で受信したリクエストが探索要求かどうかを判断する。探索要求と判断された場合はS1103の処理に移行し、探索要求以外と判断された場合は、処理を終了する。
【0053】
S1103において、探索要求制御部701は、探索設定記憶部704から探索設定情報900を取得する。S1104において、探索要求制御部701は、S1103で取得した探索設定情報900の探索応答機能設定901を確認し、プリントサーバ102に登録されている仮想プリンタのプリンタ情報800を応答する設定が為されているかどうかを判断する。仮想プリンタのプリンタ情報800を応答する設定が為されている場合はS1105の処理に移行し、設定が為されていない場合はS1113の処理に移行する。
【0054】
S1105において、探索要求制御部701は、取得した探索設定情報900のプリントサーバ確認設定903を確認し、プリンタ情報の更新を行ってから探索応答を行う設定が為されているかどうかを判断する。プリンタ情報の更新を行ってから探索応答を行う設定が為されている場合は、S1107の処理に移行し、プリンタ情報の更新を行ってから探索応答を行う設定が為されていない場合は、S1106の処理に移行する。
【0055】
S1106において、探索要求制御部701は、プリンタ情報管理部702を介して、プリンタ情報800がプリンタ情報記憶部703に存在するかどうかを判断する。プリンタ情報800がプリンタ情報記憶部703に存在する場合は、S1110の処理に移行し、存在しない場合は、S1107の処理に移行する。
【0056】
S1107において、探索要求制御部701は、プリントサーバ102に対して、プリンタ情報800が存在するかどうかを確認する。S1108において、探索要求制御部701は、S1107の確認の結果プリンタ情報800が存在する場合はS1109の処理に移行し、存在しない場合はS1110の処理に移行する。S1109において、探索要求制御部701は、プリントサーバ102よりプリンタ情報800を取得する。
【0057】
S1110において、探索要求制御部701は、取得した探索設定情報900の探索応答内容設定904を確認し、プリントサーバ102のプリンタ情報のみで探索応答を行う設定が為されているかどうかを判断する。プリントサーバ102のプリンタ情報のみで探索応答を行う設定が為されている場合は、S1111に移行する。一方、プリントサーバ102のプリンタ情報のみで探索応答を行う設定が為されておらず、印刷装置104のプリンタ情報も合わせて応答を行うと設定されていた場合は、S1112に移行する。
【0058】
S1111において、探索要求制御部701は、プリントサーバ102に登録されている仮想プリンタのプリンタ情報800のみをクライアントPC103へ送信することで探索応答を行う。S1112において、探索要求制御部701は、プリントサーバ102に登録されている仮想プリンタのプリンタ情報800と、印刷装置104のプリンタ情報の両方をクライアントPC103へ送信することで探索応答を行う。S1113において、探索要求制御部701は、印刷装置104のプリンタ情報のみをクライアントPC103に送信することで探索応答を行う。
【0059】
このように、探索応答アプリケーションが、プリントサーバにおける仮想プリンタのプリンタ情報を保持し、探索応答することにより、ユーザは通常の探索でプリンタを作成する場合と同様の操作でプリントサーバのプリンタを容易に作成することが可能となる。
【0060】
尚、S1112にて、プリントサーバ102と、印刷装置104との両方のプリンタ情報を送信する際に、両者をクライアントPC103にて表示される際に識別可能となるよう、送信を行う構成であってもよい。識別可能とする方法としては、例えば、表示される色を変化させる、プリントサーバ102のプリンタ情報に関しては「仮想プリンタ」という単語を表示するなどが考えられるが特にこれらの具体例のみに限定されるものではない。
【0061】
以上、本発明の実施例について具体例を挙げて説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0062】
102 プリントサーバ
103 クライアントPC
104 印刷装置
601 探索応答アプリケーション
701 探索要求制御部
800 プリンタ情報
900 探索設定情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置、プリントサーバ、情報処理装置がネットワークを介して通信可能に接続された印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
前記プリントサーバに対して、プリンタ登録要求を送信するプリンタ登録要求手段と、
前記印刷装置に対して、探索要求を送信する探索要求手段とを有し、
前記プリントサーバは、
前記情報処理装置から受け付けたプリンタ登録要求に従って、仮想プリンタの登録を行う登録手段と、
前記登録手段により登録された仮想プリンタのプリンタ情報を記憶手段に格納する格納手段と、
前記登録手段により前記仮想プリンタが登録された旨を示すプリンタ登録通知を前記印刷装置に通知する通知手段と、
前記印刷装置は、
前記プリントサーバから通知されたプリンタ登録通知に応じて該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報を取得する取得手段と、
前記情報処理装置から受け付けた探索要求に応じて、前記取得手段により取得された前記プリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記プリンタ登録通知には前記プリンタ情報が含まれており、
前記取得手段は、前記プリンタ登録通知から前記プリンタ情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
プリントサーバ、情報処理装置とネットワークを介して通信可能な印刷装置であって、
前記プリントサーバにおいて登録されている該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報を取得する取得手段と、
前記情報処理装置から探索要求を受け付ける受付手段と、
前記探索要求に応じて、前記取得手段により取得された前記プリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
前記送信手段は、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報に加えて、該印刷装置のプリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記送信手段は、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報と、該印刷装置のプリンタ情報とが、前記情報処理装置において識別可能に表示されるよう送信することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷装置において、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報が保持されているか否かを判断する判断手段をさらに有し、
前記取得手段は、前記印刷装置において、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報が保持されていると判断された場合、該印刷装置において保持されているプリンタ情報を取得し、前記印刷装置において、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報が保持されていないと判断された場合、前記プリントサーバから前記プリンタ情報を取得することを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記印刷装置において、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報が保持されていないと判断され、かつ前記プリンタサーバから前記プリンタ情報を取得できなかった場合に、該印刷装置のプリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記探索要求に応答するための探索設定情報を保持する保持手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記探索設定情報に従って、該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報、該印刷装置のプリンタ情報のうちどのプリンタ情報を送信するかを制御することを特徴とする請求項3乃至7いずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷装置、プリントサーバ、情報処理装置がネットワークを介して通信可能に接続された印刷システムの制御方法であって、
前記情報処理装置から、前記プリントサーバに対して、プリンタ登録要求を送信するプリンタ登録要求工程と、
前記プリントサーバにおいて、前記情報処理装置から受け付けたプリンタ登録要求に従って、仮想プリンタの登録を行う登録工程と、
前記プリントサーバにおいて、前記登録工程により登録された仮想プリンタのプリンタ情報を記憶手段に格納する格納工程と、
前記プリントサーバにおいて、前記登録工程により前記仮想プリンタが登録された旨を示すプリンタ登録通知を前記印刷装置に通知する通知工程と、
前記印刷装置において、前記プリントサーバから通知されたプリンタ登録通知に応じて該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報を取得する取得工程と、
前記情報処理装置から前記印刷装置に対して、探索要求を送信する探索要求工程と、
前記印刷装置において、前記情報処理装置から受け付けた探索要求に応じて、前記取得工程により取得された前記プリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信する送信工程とを有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項10】
プリントサーバ、情報処理装置とネットワークを介して通信可能な印刷装置の制御方法であって、
前記プリントサーバにおいて登録されている該印刷装置に対応する仮想プリンタのプリンタ情報を取得する取得工程と、
前記情報処理装置から探索要求を受け付ける受付工程と、
前記探索要求に応じて、前記取得工程により取得された前記プリンタ情報を前記情報処理装置に対して送信する送信項手とを有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9に記載の印刷システムの制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10に記載の印刷装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−155401(P2012−155401A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12044(P2011−12044)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】