説明

印刷システム及び印刷方法及び包装用フィルム

【課題】 エンボス加工された包装用フィルムに対して綺麗な印刷を行うこと
【解決手段】 包装機において搬送途中のエンボス加工されて表面に凹凸が形成された包装用フィルム21の印刷予定領域を熱プレスして平滑化して、平滑化部位21aを形成する。次いで、その平滑化部位21aに対して、熱転写方式の印刷機を用いて、製造年月日・消費期限等の製品情報について印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷方法及び包装用フィルムに関し、特に、エンボス加工等の表面が凹凸に形成された包装用フィルムに対して印刷するための印刷システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物が食品等の包装体の場合、製造年月日や消費期限等の製品情報を包装用フィルムの所定位置に印刷する。この印刷は、通常、被包装物を包み込む前の帯状の包装用フィルムに対し、所定の印刷装置を用いて行う。この印刷装置の一例として、特許文献1に開示されたサーマルスタンパーと称される転写型の印刷装置がある。このサーマルスタンパーは、包装用フィルムとインクリボンとを重ねた状態で印字ヘッドを押圧し、フィルム表面に印加を転写することで所望の文字や数字等を印字する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−216478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装用フィルムの1つとして、エンボス加工を施したものがある。エンボス加工することで、内容物が包装用フィルムにくっつき難くなり、被包装物を取り出しやすくなる。これにより、どら焼きなどの食品の表面がはがれやすいものの場合に、包装用フィルムとの接触により当該食品の表面の一部がはがれるおそれを可及的に抑制することができる。また、表面が凹凸になることから、光沢感が薄れ、趣のある外装をとることもできる。
【0005】
この種のエンボス加工を施した包装用フィルムを用いた包装機において、上記の転写式の印刷装置を用いて製品情報を包装用フィルムに印刷した場合、窪んだ箇所にインクがうまく転写されず、印字された文字が不鮮明になったり、転写されたインクが剥がれやすくなったりし、綺麗な印刷ができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る印刷システムは、(1)エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムを用いた包装機に装着される印刷システムであって、搬送途中の前記包装用フィルムの所定位置に転写により印刷を行う印刷機と、その印刷機の上流側に配置され、その印刷機による印刷予定領域を熱プレスして平滑化する熱プレス装置を備えて構成した。印刷機は、サーマルプリンタ,ホットロール等の転写式のものである。印刷機による印刷は、包装機において搬送途中(包装工程中)の包装用フィルムの所定位置に行うもので、製造年月日,消費期限,賞味期限その他の製品情報を印刷するものである。
【0007】
(2)また、本発明に係る印刷方法は、エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムを用いた包装機における前記包装フィルムに対する印刷方法であって、搬送途中の前記包装用フィルムの印刷予定領域を熱プレスして平滑化し、次いで、その平滑化された印刷領域に対し熱転写方式の印刷機を用いて印刷を行うようにした。
【0008】
(3)さらに本発明に係る包装用フィルムは、エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムであって、包装工程中に印刷する印刷予定領域が平滑化されている構成とした。この平滑化された印刷予定領域であるが、上記の(1),(2)に記載の発明のように、包装機における包装工程の一工程として熱プレスして平滑化して形成することもできるし、事前に形成していても良い。
【0009】
本発明によれば、表面に凹凸が形成されている包装用フィルムの所定位置(印刷予定領域)を熱プレスして平滑化するので、その後にその平滑化された領域に対して転写方式の印刷機で印刷すると、かすれ・不鮮明等を生じることなく綺麗に印刷できる。また、転写されたインク等は包装用フィルムにしっかりと付着し、その後に剥がれることもない。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、エンボス加工等の表面に凹凸が形成されている包装用フィルムに対しても、綺麗な印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る印刷システムを実装したピロー包装機の一例を示す図である。
【図2】印刷方法を説明する図である。
【図3】製造されたピロー包装体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明が適用されるピロー包装機の一実施の形態を示している。ピロー包装機10は、上流側から順に製品搬送供給装置11,包装機本体12,搬出コンベア装置13を配置している。
【0013】
製品搬送供給装置11は、製品14を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するもので、フィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット15(図では、前方のみ描画)間に掛け渡されたエンドレスチェーン16に対し、一定間隔で押送フィンガー17を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー17間に製品14を供給することにより、製品14を押送フィンガー17のフィンガーピッチで搬送する。
【0014】
包装機本体12は、原反ロール20から連続して引き出された包装用フィルムである帯状フィルム21を各種のローラ22(図では代表して1つのみ描画)に掛け渡しながら製袋器24に導くように構成し、その帯状フィルム21を製袋器24に通過させることにより、筒状に製袋する。また、この帯状フィルム21の搬送経路の途中に、本発明に係る印刷システム40が配置される。この印刷システム40の構成については、後述する。本実施形態の帯状フィルム21は、予めエンボス加工が施されており、表面に微少な凹凸が形成されている。
【0015】
一方、製袋器24の下流側には、製袋器24を通過して筒状に製袋された帯状フィルム21の両側縁を重ね合わせた部位を挟み込んで搬送力を与えるピンチローラ29と、その重ね合わせた部位をシールするセンターシール装置27と、製品14を内包する筒状フィルム25の搬送路を構成する下部ベルト26が、その順に設けられている。さらに、その下部ベルト26の上方所定位置に上部抑えベルト28が配置され、さらにその進行方向前方にエンドシール装置30が配置されている。上部抑えベルト28は、エンドシール装置30の手前側に配置し、製品14が上方に浮き上がるのを抑制する。これにより、筒状フィルム25の所定位置(製品14の存在しない部分)がエンドシール装置30で正しくシール・カットされ、製品14の噛み込みが発生するのを抑制する。
【0016】
エンドシール装置30は、筒状フィルム25の搬送方向と直交する方向に延びるように上下に対向して配置された回転軸31にそれぞれ取り付けられた一対のトップシーラ32を備えている。上下のトップシーラ32は、同期して回転し、1回転するごとに筒状フィルム25を上下から挟み込んで熱シールする。また、上側のトップシーラ31には、カッター刃を内蔵し、熱シールする際に、その熱シールしたフィルム部位を横方向にカットする。これにより、筒状フィルム25の先端部分(先頭の製品14を内包する部分)は、分離され、包装体35が製造される。そして、この包装体35が搬出コンベア装置13上を搬送される。
【0017】
これらのピロー包装機としての基本構成は、従来と同様であるので、詳細な説明を省略する。もちろん、本発明が適用されるピロー包装機は、これ以外にも各種の構成を用いることができる。エンドシール装置も、回転式に限ることはなく、ボックスモーションタイプや、その場で昇降移動する(前後移動はしない)タイプなど各種のものに適用できる。さらに、包装機も、ピロー包装機に限るものでもなく深絞り包装機その他各種の包装機を用いることができる。
【0018】
次に、本発明に係る印刷システムの好適な一実施形態を説明する。印刷システム40は、原反ロール20から繰り出された帯状フィルム21の搬送経路の比較的上流側に設置されており、印刷機たるサーマルプリンター本体41と、そのサーマルプリンター本体41の上流側に配置された熱プレス装置42とを備えている。サーマルプリンター本体41は、製造年月日,消費期限,賞味期限,商品バーコード等の製品情報を帯状フィルム21の所望位置に印刷するためのもので、例えば特許文献1等に開示された従来公知の熱転写式の各種のプリンターを用いて実現できる。
【0019】
熱プレス装置42は、サーマルプリンター本体41における帯状フィルム21の印刷箇所を含む領域を熱プレスし、平滑化するものである。本実施形態では、帯状フィルム21の上下に配置された一対の回転軸42aと、その回転軸42aに取り付けられたシーラ42と、回転軸42aを所定のタイミングで回転させる駆動手段とを備えて構成される。回転軸42aは、帯状フィルム21の搬送方向と直交する方向に向くように形成される。回転軸42aの回転制御は、回転軸42aが一回転するごとに一対のシーラ42bが帯状フィルム21を両側から挟み込んで加熱・加圧し、エンボス加工により凹凸にされたフィルム部位を平滑化する。そして、少なくとも帯状フィルム21を挟み込んでいる間は、シーラ42bの先端のプレス面(帯状フィルム21に接触する部位)の移動速度と、帯状フィルム21の搬送速度が等しくなるように制御される。また、プレス面は、エンドシール装置30におけるトップシーラと相違し、シール目(編み目)・微細な凹凸等はなく回転方向に湾曲した曲面となっている。なお、印刷予定領域は小さいので、プレス面が平面から形成されていても良い。
【0020】
次に、上記の印刷システム40を用いて行う印刷方法の一実施形態を説明する。熱プレス装置42は、エンボス加工が施された帯状フィルム21の所定領域(包装ピッチ間隔)を熱プレスして平滑化し、平滑化部位21aを形成する(図2参照)。
【0021】
次いで、次段のサーマルプリンター本体41にて、平滑化部位21aに対して製品情報(図2では、日付を示す「2010.10.10」)を熱転写して印刷する。すると、平滑化部位21aは表面に凹凸がない(エンボス加工されている部位に比べて)ので、熱転写によるインクが当該平滑化部位21aに綺麗に転写されて鮮明に印刷される。もちろん、熱転写したインクが剥がれやすくなることもない。
【0022】
また、上記の平滑化部位21aは、図2(c)に示すようにエンボス加工が施された帯状フィルム21の上端よりも低い位置に形成する。なお、図では、エンボス加工により凹凸が形成された帯状フィルム21の厚さ(高さ)方向の中心位置に平滑化部位21aが形成されているが、本発明はこれに限ることはなく、その位置は任意であり、上端側にずれても良いし下端側にずれても良いし、エンボス加工された凹凸の上端位置或いは下端位置よりもさらに外側に突出するのも妨げない。但し、本実施形態のようにエンボス加工された帯状フィルム21の上端よりも低い位置に平滑化部位21aを形成し、窪んだ箇所に印字を行うと、擦れによる転写されたインクが剥がされ難い。その結果、例えば、包装工程においては、フィルムに印字した後に製袋器等で擦れて印字が剥がれてしまうことが防止される。
【0023】
この後、この平滑化部位21aに製品情報が印刷された状態で包装処理が進み、最終的には、図3に示すような包装体35が製造される。図示するように、製品情報印刷領域35cに製造年月日が綺麗に印刷される。この製品情報印刷紙領域35cは、帯状フィルム21に形成された平滑化部位21aである。なお、図において符号35aは、センターシール装置27でシールされたセンターシール部であり、符号35bは、エンドシール装置30でシールされたエンドシール部(耳部)である。
【0024】
上述した実施形態では、熱プレス装置42として回転式のシーラを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、各種の構成のものを用いることができる。例えば、帯状フィルム21を挟んで対向すると共に所定の軌跡で移動するように配置された一対のシーラを備え、係る軌跡が、両シーラの先端のプレス面(加熱・加圧面)を対向させた状態を維持しながら、互いに接近離反移動したり前後移動したりすることで、略矩形で移動するように構成することができる。そして、両シーラが互いに接近移動し、プレス面同士が帯状フィルム21の所望部位を挟み込み、加熱状態でプレスするとともに、帯状フィルム21の移動と同期して前進移動することで、一定期間加熱・プレスして平滑化するようにしてもよい。また、帯状フィルム21を間欠移動させることで、シーラを前後移動させることなく、同一位置で接近離反させるようにしても良い。
【0025】
また、印字等する装置としてサーマルプリンタ−本体41としたが、ホットロールなど各種の転写式の印刷方式のものを用いることができる。また、上述した実施形態では、印刷領域となる平滑化部位21aは、帯状フィルム21の搬送方向と直交する方向に延びる細長領域とし、印字を係る直交する方向に行う直角打ちとしたが、本発明はこれに限ることはなく、印字を帯状フィルム21の搬送方向と平行な方向に印字する流れ打ちに適用するようにしても良い。その場合に、平滑化部位も係る流れ打ちをする領域に形成することになる。
【符号の説明】
【0026】
10 ピロー包装機
11 製品搬送供給装置
12 包装機本体
13 搬出コンベア装置
14 被包装物
15 スプロケット
16 エンドレスチェーン
17 押送フィンガー
20 原反ロール
21 帯状フィルム
22 ローラ
24 製袋器
25 筒状フィルム
26 下部ベルト
27 センターシール装置
28 上部抑えベルト
29 ピンチローラ
30 エンドシール装置
40 印刷システム
41 サーマルプリンター本体
42 熱プレス装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムを用いた包装機に装着される印刷システムであって、
搬送途中の前記包装用フィルムの所定位置に転写により印刷を行う印刷機と、
その印刷機の上流側に配置され、その印刷機による印刷予定領域を熱プレスして平滑化する熱プレス装置を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムを用いた包装機における前記包装フィルムに対する印刷方法であって、
搬送途中の前記包装用フィルムの印刷予定領域を熱プレスして平滑化し、
次いで、その平滑化された印刷領域に対し熱転写方式の印刷機を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
エンボス加工その他の表面に凹凸が形成された包装用フィルムであって、
包装工程中に印刷する印刷予定領域が平滑化されいることを特徴とする包装用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−86474(P2012−86474A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235776(P2010−235776)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】