説明

印刷システム

【課題】JDFに対応したアプリケーションプログラムと印刷装置との組み合わせにかかわらず、適切に印刷を行う。
【解決手段】PCから印刷装置に対してJDFコードで記述された印刷指示情報が送信されると(ステップS1)、印刷装置では、受信した印刷指示情報から当該印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラムのアプリケーション名が取得され、サーバーに送信される(ステップS2)。サーバーでは、アプリケーション名に対応するJDF解析データD1が検索され(ステップS3)、当該JDF解析データD1が印刷装置に送信される(ステップS4)。印刷装置では、サーバーから受信したJDF解析データD1が参照され、ステップS1で受信した印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報が取得され(ステップS5)、部数を「5」として印刷が行われる(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷工程における指示書の標準化フォーマットとして、JDF(Job Definition Format)が用いられている。JDFは標準仕様ではあるが、各設定内容に対して、記載方法が複数通り許容されている。
【0003】
例えば、JDFの標準仕様には、部数を指定するJDFコードとして、以下の表記方法が記載されている。
ComponentLink/AmountPool/PartAmount/@Amount-
ComponentLink/AmountPool/PartAmount/@ActualAmount
ComponentLink/@Amount
ComponentLink@ActualAmount
Component/@Amount-
ComponentLink/@ActualAmount
【0004】
このように、JDFの標準仕様では、表記が厳密に定義されていないため、各社のアプリケーションプログラム毎に記載方法が異なっている。このため、JDFにより印刷指示情報を生成する場合に、その生成に用いたアプリケーションプログラムによって、印刷指示情報に含まれるJDFコードが異なる場合がある。
【0005】
また、アプリケーションプログラムを開発した各社が印刷指示情報に独自の機能を取り入れることも可能であるため、A社のJDF対応アプリケーションプログラムでは実現可能な機能が、B社のJDF対応アプリケーションプログラムでは実現できない場合もある。
【0006】
ここで、A社のアプリケーションプログラムにおける部数を指定するためのJDFコードが「Component/@Amount」であり、B社のアプリケーションプログラムにおける部数を指定するためのJDFコードが「ComponentLink/@Amount」である場合について説明する。
【0007】
A社のアプリケーションプログラムにより生成された印刷指示情報にJDFコード<Component Amount = "5">が含まれている場合、印刷指示情報を受信した印刷装置がA社のアプリケーションプログラムに対応していれば、印刷装置はJDFコードを部数の指定であると判断し、部数を「5」として印刷を行う。
【0008】
B社のアプリケーションプログラムにより生成された印刷指示情報にJDFコード<ComponentLink Amount = "5">が含まれている場合、印刷指示情報を受信した印刷装置がB社のアプリケーションプログラムに対応していないときには、印刷装置はJDFコードを解析することができず、部数はデフォルトの「1」として印刷を行う。
【0009】
これを防ぐためには、印刷装置において、B社のアプリケーションプログラムから印刷指示情報を受信した際に、<ComponentLink Amount = "5">が部数の指定であると判断するための処理を新たに組み込まなくてはならない。
【0010】
アプリケーション毎の印刷機能の設定を容易にするための技術として、印刷ジョブの描画命令からクライアント端末で使用したアプリケーションのアプリケーション名を特定し、アプリケーション毎に設けられている印刷機能の標準設定を読み出し、標準設定に基づいた印刷機能の設定を行う画像処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−005931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に記載されている技術は、アプリケーションプログラム毎に異なる可能性のあるJDFコードを解析可能とするものではない。
したがって、印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラムと印刷装置との組み合わせによっては、印刷装置において、印刷指示情報を解析することができないという問題が依然として存在していた。
【0013】
また、JDFに対応した他社のアプリケーションプログラムが増えた場合、その都度アプリケーションプログラム毎に、印刷装置におけるファームウェアの作成や管理、ソフトウェアのバージョンアップが必要であった。
【0014】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、JDFに対応したアプリケーションプログラムと印刷装置との組み合わせにかかわらず、適切に印刷を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印刷装置とサーバーとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された印刷システムであって、前記印刷装置は、JDFコードで記述された印刷指示情報を受信する第1の受信手段と、当該第1の受信手段により受信された印刷指示情報から、当該印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラムを示す特定情報を取得する第1の取得手段と、当該第1の取得手段により取得された特定情報を前記通信ネットワークを介して前記サーバーに送信する第1の送信手段と、を備え、前記サーバーは、複数の特定情報毎に、各特定情報が示すアプリケーションプログラムにおいて使用されるJDFコードと機能情報とを対応付けたJDF解析データを記憶する記憶手段と、前記印刷装置から送信された特定情報を前記通信ネットワークを介して受信する第2の受信手段と、当該第2の受信手段により受信された特定情報に基づいて、当該特定情報に対応するJDF解析データを前記記憶手段から取得する第2の取得手段と、当該第2の取得手段により取得されたJDF解析データを前記通信ネットワークを介して前記印刷装置に送信する第2の送信手段と、を備え、前記印刷装置は、前記サーバーから送信されたJDF解析データを前記通信ネットワークを介して受信する第3の受信手段と、当該第3の受信手段により受信されたJDF解析データを参照して、前記印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報を取得し、前記印刷指示情報を解析する解析手段と、当該解析手段により解析された結果に基づいて、解析された前記印刷指示情報に関する印刷を行う印刷手段と、を備える。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムにおいて、前記印刷装置は、前記サーバーに送信した特定情報と、前記サーバーから受信したJDF解析データと、を対応付けて保存する保存手段と、前記第1の受信手段がJDFコードで記述された印刷指示情報を受信した場合に、当該印刷指示情報から取得した特定情報に対応するJDF解析データが前記保存手段に保存されているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記印刷指示情報から取得した特定情報に対応するJDF解析データが前記保存手段に保存されていると判断された場合には、当該JDF解析データを前記保存手段から取得する第3の取得手段と、を備え、前記解析手段は、前記第3の取得手段により取得されたJDF解析データを参照して、前記印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報を取得し、前記印刷指示情報を解析する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、JDFに対応したアプリケーションプログラムと印刷装置との組み合わせにかかわらず、適切に印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る印刷システムのシステム構成図である。
【図2】PCの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】サーバーの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、AAA社のアプリケーションプログラムのアプリケーション名に対応したJDF解析データの例である。(b)は、BBB社のアプリケーションプログラムのアプリケーション名に対応したJDF解析データの例である。(c)は、CCC社のアプリケーションプログラムのアプリケーション名に対応したJDF解析データの例である。
【図5】印刷装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】印刷システムにおける印刷処理の概要を示すラダーチャートである。
【図7】印刷装置において実行される印刷処理を示すフローチャートである。
【図8】印刷装置において実行される印刷処理を示すフローチャートである。
【図9】JDF解析データ取得処理を示すフローチャートである。
【図10】JDF解析処理を示すフローチャートである。
【図11】JDF解析処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る印刷システムの一実施の形態について説明する。
図1に、印刷システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、印刷システム100は、PC(Personal Computer)10、サーバー20、印刷装置30a,30b,30cを備えている。PC10、サーバー20、印刷装置30a,30b,30cは、通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0020】
PC10は、JDFに対応したアプリケーションプログラム141(図2参照)がインストールされており、印刷装置30a,30b,30cに対し、印刷指示情報を送信する。
【0021】
図2に、PC10の機能的構成を示す。図2に示すように、PC10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、操作部15、表示部16、ネットワークIF(InterFace)部17等を備えている。
【0022】
CPU11は、PC10の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU11は、操作部15から入力された操作信号又はネットワークIF部17により受信された指示信号に応じて、ROM13又はHDD14に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0023】
RAM12は、CPU11により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0024】
ROM13は、不揮発性の半導体メモリーからなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。
【0025】
HDD14は、各種データを記憶するための記憶装置である。例えば、HDD14には、JDFに対応したアプリケーションプログラム141が記憶されている。
【0026】
操作部15は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部15は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU11に出力する。
【0027】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU11から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0028】
ネットワークIF部17は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、ネットワークIF部17は、印刷装置30a,30b,30cに印刷を指示するための印刷指示情報を送信する。
【0029】
印刷指示情報は、JDFコードで記述されており、印刷部数、印刷に用いる給紙トレイ、両面/片面印刷、カラー/モノクロ印刷等の設定情報が含まれる。JDFは、XML(Extensible Markup Language)をベースとした印刷業界における標準化フォーマットである。
【0030】
ユーザーが操作部15からの操作により、JDF印刷を行うアプリケーションプログラム141を選択すると、選択操作に応じて、HDD14内に保存されているアプリケーションプログラム141がRAM12上に展開され、アプリケーションプログラム141が起動する。
【0031】
CPU11は、アプリケーションプログラム141との協働により、ユーザーが指定した画像をユーザーが指定した条件で印刷するための印刷指示情報を生成する。
CPU11は、ネットワークIF部17を制御して、生成された印刷指示情報を通信ネットワークNを介して印刷装置30a,30b,30cに送信させる。
【0032】
なお、印刷システム100内のPC10の数や、印刷システム100内で使用されるアプリケーションプログラム141の種類の数は限定されない。
【0033】
サーバー20は、複数のアプリケーションプログラム141毎に、JDF解析データD1(図3参照)を管理する。
【0034】
図3に、サーバー20の機能的構成を示す。図3に示すように、サーバー20は、CPU21、RAM22、ROM23、HDD24、操作部25、表示部26、ネットワークIF部27等を備えている。
【0035】
CPU21は、サーバー20の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU21は、操作部25から入力された操作信号又はネットワークIF部27により受信された指示信号に応じて、ROM23又はHDD24に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0036】
RAM22は、CPU21により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0037】
ROM23は、不揮発性の半導体メモリーからなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、ROM23には、サーバープログラム231が記憶されている。
【0038】
HDD24(記憶手段)は、各種データを記憶するための記憶装置である。例えば、HDD24には、複数のアプリケーションプログラム141を示す特定情報としての複数のアプリケーション名毎に、各アプリケーション名が示すアプリケーションプログラム141において使用されるJDFコードと機能情報とを対応付けたJDF解析データD1が記憶されている。
【0039】
図4(a)〜(c)に、JDF解析データD1の例を示す。図4(a)は、AAA社のアプリケーションプログラム141のアプリケーション名(アプリケーション名をAAAとする。)に対応したJDF解析データD1である。図4(b)は、BBB社のアプリケーションプログラム141のアプリケーション名(アプリケーション名をBBBとする。)に対応したJDF解析データD1である。図4(c)は、CCC社のアプリケーションプログラム141のアプリケーション名(アプリケーション名をCCCとする。)に対応したJDF解析データD1である。
なお、JDF解析データD1には、部数のみではなく、印刷装置30a,30b,30cがサポートしている全ての機能について、JDFコードと機能情報とが対応付けられている。
【0040】
操作部25は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部25は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU21に出力する。
【0041】
表示部26は、LCDを備え、CPU21から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0042】
ネットワークIF部27(第2の受信手段、第2の送信手段)は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、ネットワークIF部27は、印刷装置30a,30b,30cから送信されたアプリケーション名を通信ネットワークNを介して受信する。また、ネットワークIF部27は、アプリケーション名の送信元の印刷装置30a,30b,30cに当該アプリケーション名に対応するJDF解析データD1を通信ネットワークNを介して送信する。
【0043】
CPU21は、サーバープログラム231との協働により、印刷装置30a,30b,30cから送信されたアプリケーション名を通信ネットワークNを介して受信する。
CPU21(第2の取得手段)は、受信されたアプリケーション名に基づいて、当該アプリケーション名に対応するJDF解析データD1をHDD24から取得する。
CPU21は、ネットワークIF部27を制御して、取得されたJDF解析データD1を通信ネットワークNを介してアプリケーション名の送信元の印刷装置30a,30b,30cに送信させる。
【0044】
印刷装置30a,30b,30cは、PC10から受信した印刷指示情報に基づいて、印刷を行う。
【0045】
図5に、印刷装置30aの機能的構成を示す。図5に示すように、印刷装置30aは、CPU31、RAM32、ROM33、HDD34、操作部35、表示部36、ネットワークIF部37、印刷部38等を備える。
【0046】
CPU31は、印刷装置30aの各部の処理動作を統括的に制御する。CPU31は、操作部35から入力された操作信号又はネットワークIF部37により受信された指示信号に応じて、ROM33に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM32に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0047】
RAM32は、CPU31により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0048】
ROM33は、不揮発性の半導体メモリーからなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、ROM33には、印刷処理プログラム331が記憶されている。
【0049】
HDD34(保存手段)は、各種データを記憶するための記憶装置である。例えば、HDD34には、サーバー20に送信したアプリケーション名と、当該アプリケーション名の送信に応じてサーバー20から受信したJDF解析データD1と、が対応付けられて保存される。
【0050】
操作部35は、ハードキー、タッチパネル等を備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部35は、ハードキー又はタッチパネルから入力された操作信号をCPU31に出力する。
【0051】
表示部36は、LCDを備え、CPU31からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0052】
ネットワークIF部37(第1の受信手段、第1の送信手段、第3の受信手段)は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、ネットワークIF部37は、PC10から通信ネットワークNを介して印刷指示情報を受信する。また、ネットワークIF部37は、アプリケーション名を通信ネットワークNを介してサーバー20に送信し、サーバー20から送信されたJDF解析データD1を通信ネットワークNを介して受信する。
【0053】
印刷部38は、画像データに基づいて印刷処理を行う印刷手段である。例えば、印刷部38は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光体ドラム、感光体ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光体ドラム表面を露光走査する露光部、感光体ドラムにトナーを付着させる現像部、感光体ドラム上に形成されたトナー像を印刷用紙に転写する転写部、印刷用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。
【0054】
CPU31は、印刷処理プログラム331との協働により、ネットワークIF部37を介して、PC10から印刷指示情報を受信し、受信した印刷指示情報をRAM32に格納する。
CPU31は、印刷指示情報に設定されたジョブ情報及びページ毎の情報に基づいて印刷用パラメーターを決定し、印刷用パラメーターに基づいて印刷用画像を印刷部38に印刷させる。印刷用画像の画像データについては、印刷指示情報にその保存場所(URL)が指定されていてもよいし、印刷指示情報とは別にPC10から受信してもよい。
【0055】
具体的に、CPU31(第1の取得手段)は、PC10から印刷指示情報を受信した場合に、受信された印刷指示情報から当該印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラム141のアプリケーション名を取得する。
【0056】
CPU31(判断手段)は、印刷指示情報が受信された場合に、印刷指示情報から取得したアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されているか否かを判断する。
【0057】
CPU31は、印刷指示情報から取得したアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されていないと判断した場合には、ネットワークIF部37を制御して、印刷指示情報から取得したアプリケーション名を通信ネットワークNを介してサーバー20に送信させる。
CPU31は、サーバー20から送信されたJDF解析データD1を受信した場合に、サーバー20に送信したアプリケーション名と、サーバー20から受信したJDF解析データD1と、を対応付けてHDD34に保存させる。
【0058】
CPU31(第3の取得手段)は、印刷指示情報から取得したアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されていると判断した場合には、サーバー20へのアプリケーション名の送信を行わずに、アプリケーション名に対応するJDF解析データD1をHDD34から取得する。
【0059】
CPU31(解析手段)は、サーバー20から受信されたJDF解析データD1又はHDD34から取得されたJDF解析データD1を参照して、印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報を取得し、印刷指示情報を解析する。
CPU31は、解析された結果に基づいて、解析された印刷指示情報に関する印刷を印刷部38に印刷を行わせる。
【0060】
印刷装置30b,30cは、印刷装置30aと同様の構成であるため、図5を援用し、説明を省略する。
【0061】
次に、図6を参照して、印刷システム100における印刷処理の概要について説明する。ここでは、印刷装置30aにおいて印刷を行う場合を例にする。
【0062】
まず、PC10から印刷装置30aに対してJDFコードで記述された印刷指示情報が送信される(ステップS1)。図6に示す例では、印刷指示情報に、部数の指定を示すJDFコードJ1と、印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラム141のアプリケーション名J2と、が含まれている。
【0063】
印刷装置30aでは、受信した印刷指示情報から当該印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラム141のアプリケーション名(AAA)が取得され、取得したアプリケーション名がサーバー20に送信され、JDF解析データD1の要求が行われる(ステップS2)。
【0064】
サーバー20では、印刷装置30aから送信されたアプリケーション名が受信され、受信されたアプリケーション名に対応するJDF解析データD1が検索される(ステップS3)。具体的には、受信されたアプリケーション名に基づいて、当該アプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD24から取得される。そして、アプリケーション名に対応するJDF解析データD1がサーバー20から印刷装置30aに送信される(ステップS4)。
【0065】
印刷装置30aでは、サーバー20から受信したJDF解析データD1に基づいて、ステップS1で受信した印刷指示情報に含まれる各JDFコードに対応する機能情報が取得される(ステップS5)。ここでは、JDFコードが部数の指定であると判断される。次いで、印刷装置30aにおいて、部数を「5」として印刷が行われる(ステップS6)。
【0066】
印刷装置30b,30cにおいても、同様に、PC10から印刷指示情報が受信されると、サーバー20にアプリケーション名が送信され、サーバー20からアプリケーション名に対応するJDF解析データD1が取得される。
【0067】
図7及び図8は、印刷装置30aにおいて実行される印刷処理を示すフローチャートである。印刷処理は、CPU31と、ROM33に記憶されている印刷処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0068】
まず、CPU31により、RAM32の印刷指示保存メモリーがクリアされる(ステップS11)。
次に、ネットワークIF部37により、PC10からJDFコードで記述された印刷指示情報(XMLファイル)が受信され(ステップS12)、CPU31により、受信された印刷指示情報がRAM32の印刷指示保存メモリーに保存される(ステップS13)。
【0069】
次に、CPU31により、RAM32の印刷指示保存メモリーに保存されている印刷指示情報から1文字が取得され(ステップS14)、取得された文字が”<”であるか否かが判断される(ステップS15)。取得された文字が”<”でない場合には(ステップS15;NO)、ステップS14に戻る。
【0070】
ステップS15において、取得された文字が”<”である場合には(ステップS15;YES)、CPU31により、取得された1文字がRAM32に保存される(ステップS16)。
【0071】
次に、CPU31により、印刷指示情報から次の1文字が取得され(ステップS17)、取得された文字が”>”であるか否かが判断される(ステップS18)。取得された文字が”>”でない場合には(ステップS18;NO)、ステップS16に戻る。
【0072】
ステップS18において、取得された文字が”>”である場合には(ステップS18;YES)、CPU31により、RAM32に保存された文字列、すなわち、”<”から”>”までの文字列が解析される(ステップS19)。
【0073】
次に、CPU31により、RAM32に保存された文字列がアプリケーション名であるか否かが判断される(ステップS20)。RAM32に保存された文字列がアプリケーション名である場合には(ステップS20;YES)、CPU31により、このアプリケーション名がRAM32に保存され(ステップS21)、ステップS14に戻る。
【0074】
ステップS20において、RAM32に保存された文字列がアプリケーション名でない場合には(ステップS20;NO)、CPU31により、RAM32に保存された文字列が”/JDF”であるか否かが判断される(ステップS22)。RAM32に保存された文字列が”/JDF”でない場合には(ステップS22;NO)、CPU31により、JDFコード(文字列)がRAM32に保存され(ステップS23)、ステップS14に戻る。
【0075】
ステップS22において、RAM32に保存された文字列が”/JDF”である場合には(ステップS22;YES)、図8に移行し、CPU31により、ステップS21においてRAM32に保存されたアプリケーション名が取得される(ステップS24)。
【0076】
ここで、CPU31により、取得されたアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されているか否かが判断される(ステップS25)。取得されたアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されていない場合には(ステップS25;NO)、CPU31により、JDF解析データ取得処理が行われる(ステップS26)。
【0077】
ここで、図9を参照して、JDF解析データ取得処理について説明する。
CPU31により、ネットワークIF部37が制御され、通信ネットワークNを介してサーバー20への接続が行われる(ステップS31)。サーバー20への接続が完了した場合には(ステップS32;YES)、CPU31により、ネットワークIF部37が制御され、サーバー20に対し、通信ネットワークNを介してアプリケーション名が送信される(ステップS33)。
【0078】
次に、サーバー20からの応答待ちとなり(ステップS34)、CPU31により、ネットワークIF部37において、サーバー20からJDF解析データD1が通信ネットワークNを介して受信されたか否かが判断される(ステップS35)。サーバー20からJDF解析データD1が受信されない場合には(ステップS35;NO)、ステップS34に戻る。
【0079】
ステップS35において、サーバー20からJDF解析データD1が受信された場合には(ステップS35;YES)、CPU31により、受信されたJDF解析データD1が、ステップS33においてサーバー20に送信されたアプリケーション名と対応付けられてHDD34に保存される(ステップS36)。
以上で、JDF解析データ取得処理が終了する。
【0080】
図8のステップS25において、取得されたアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に保存されている場合には(ステップS25;YES)、CPU31により、HDD34からアプリケーション名に対応するJDF解析データD1が取得される(ステップS27)。
【0081】
ステップS26又はステップS27の後、CPU31により、JDF解析処理が行われる(ステップS28)。
【0082】
ここで、図10及び図11を参照して、JDF解析処理について説明する。
CPU31により、RAM32のジョブ情報保存メモリーがクリアされる(ステップS41)。
【0083】
ステップS42〜ステップS47の処理は、図7のステップS14〜ステップS19の処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS47の後、CPU31により、RAM32に保存された文字列、すなわち、”<”から”>”までの文字列が”/JDF”であるか否かが判断される(ステップS48)。RAM32に保存された文字列が”/JDF”でない場合には(ステップS48;NO)、図11に移行し、CPU31により、ステップS35においてサーバー20から受信されたJDF解析データD1、又は、ステップS27においてHDD34から取得されたJDF解析データD1からJDFコードが読み出される(ステップS49)。
【0084】
次に、CPU31により、RAM32に保存された文字列(印刷指示情報に含まれるJDFコード)と、JDF解析データD1から読み出されたJDFコードと、が比較される(ステップS50)。RAM32に保存された文字列と、JDF解析データD1から読み出されたJDFコードと、が一致する場合には(ステップS51;YES)、CPU31により、JDF解析データD1から文字列と一致したJDFコードに対応する機能情報が取得される(ステップS52)。
【0085】
次に、CPU31により、取得された機能情報が該当する印刷用パラメーターに変換され、RAM32のジョブ情報保存メモリーに保存される(ステップS53)。例えば、JDFコードに対応する機能情報が「部数」であった場合には、部数を指定するための印刷用パラメーターに、JDFコードにおいて指定された部数が設定される。
このように、CPU31により、サーバー20から受信されたJDF解析データD1又はHDD34から取得されたJDF解析データD1が参照され、印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報が取得され、印刷指示情報が解析される。
【0086】
ステップS51において、RAM32に保存された文字列と、JDF解析データD1から読み出されたJDFコードと、が一致しない場合には(ステップS51;NO)、CPU31により、JDF解析データD1に含まれる全てのJDFコードについて、文字列との比較が終了したか否かが判断される(ステップS54)。JDF解析データD1に含まれるJDFコードのうち、文字列との比較が終了していないJDFコードがある場合には(ステップS54;NO)、CPU31により、JDF解析データD1から次のJDFコードが読み出され(ステップS55)、ステップS50に戻る。
【0087】
ステップS54において、JDF解析データD1に含まれる全てのJDFコードについて、文字列との比較が終了した場合(ステップS54;YES)、又は、ステップS53の後、図10のステップS42に戻る。
【0088】
ステップS48において、RAM32に保存された文字列が”/JDF”である場合には(ステップS48;YES)、CPU31により、印刷部38が制御され、ジョブ情報保存メモリーに保存された印刷用パラメーター(印刷指示情報の解析結果)に基づいて、解析された印刷指示情報に関する印刷用画像の印刷が行われる(ステップS56)。
以上で、JDF解析処理が終了し、印刷処理が終了する。
【0089】
印刷装置30b,30cにおいても、印刷装置30aと同様に処理が行われる。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態における印刷システム100によれば、JDFを用いて印刷指示情報を生成するアプリケーションプログラム141が増えた場合でも、サーバー20のHDD24に、増えたアプリケーションプログラム141に対応するJDF解析データD1を追加するだけで、印刷装置30a,30b,30cにおいて印刷指示情報の解析が可能となる。したがって、JDFに対応したアプリケーションプログラム141と印刷装置30a,30b,30cとの組み合わせにかかわらず、適切に印刷を行うことができる。
【0091】
また、JDFに対応したアプリケーションプログラム141が増えた場合でも、アプリケーションプログラム141別に、印刷装置30a,30b,30c毎にファームウェアを開発したり、ソフトウェアを更新したりする手間を省くことができる。これにより、新たなアプリケーションプログラム141を使用する場合でも、印刷装置30a,30b,30cとの組み合わせを意識することなく迅速に運用を開始することが可能となる。
【0092】
また、各印刷装置30a,30b,30cに合わせてJDFコードを変換するためのアプリケーションを使用しなくても、印刷装置自身でJDFコードの解析が可能となるため、JDFを用いた印刷システムの開発工数やシステム構築にかかる費用を抑えることができる。
【0093】
また、印刷装置30a,30b,30cにおいて、印刷指示情報から取得したアプリケーション名に対応するJDF解析データD1がHDD34に既に保存されている場合には、HDD34からアプリケーション名に対応するJDF解析データD1を取得するので、同じアプリケーション名に対して再度JDF解析データD1の要求を行わずに済み、印刷指示情報の解析における効率を上げることができる。
【0094】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る印刷システムの例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0095】
例えば、上記実施の形態では、アプリケーションプログラム141を示す特定情報として、アプリケーション名を用いる場合について説明したが、アプリケーションプログラム141を特定可能な情報であれば、他の情報を用いてもよい。
【0096】
また、図10のステップS42〜ステップS47の処理は、図7のステップS14〜ステップS19の処理と重複しているため、ステップS42〜ステップS47の処理を行わずに、ステップS23において保存された各JDFコードに対し、図11のステップS49〜ステップS55の処理を行うこととしてもよい。
【0097】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMやHDDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
100 印刷システム
10 PC
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 HDD
15 操作部
16 表示部
17 ネットワークIF部
20 サーバー
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 HDD
25 操作部
26 表示部
27 ネットワークIF部
30a,30b,30c 印刷装置
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 HDD
35 操作部
36 表示部
37 ネットワークIF部
38 印刷部
141 アプリケーションプログラム
231 サーバープログラム
331 印刷処理プログラム
D1 JDF解析データ
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置とサーバーとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された印刷システムであって、
前記印刷装置は、
JDFコードで記述された印刷指示情報を受信する第1の受信手段と、
当該第1の受信手段により受信された印刷指示情報から、当該印刷指示情報が生成されたアプリケーションプログラムを示す特定情報を取得する第1の取得手段と、
当該第1の取得手段により取得された特定情報を前記通信ネットワークを介して前記サーバーに送信する第1の送信手段と、
を備え、
前記サーバーは、
複数の特定情報毎に、各特定情報が示すアプリケーションプログラムにおいて使用されるJDFコードと機能情報とを対応付けたJDF解析データを記憶する記憶手段と、
前記印刷装置から送信された特定情報を前記通信ネットワークを介して受信する第2の受信手段と、
当該第2の受信手段により受信された特定情報に基づいて、当該特定情報に対応するJDF解析データを前記記憶手段から取得する第2の取得手段と、
当該第2の取得手段により取得されたJDF解析データを前記通信ネットワークを介して前記印刷装置に送信する第2の送信手段と、
を備え、
前記印刷装置は、
前記サーバーから送信されたJDF解析データを前記通信ネットワークを介して受信する第3の受信手段と、
当該第3の受信手段により受信されたJDF解析データを参照して、前記印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報を取得し、前記印刷指示情報を解析する解析手段と、
当該解析手段により解析された結果に基づいて、解析された前記印刷指示情報に関する印刷を行う印刷手段と、
を備える印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、
前記サーバーに送信した特定情報と、前記サーバーから受信したJDF解析データと、を対応付けて保存する保存手段と、
前記第1の受信手段がJDFコードで記述された印刷指示情報を受信した場合に、当該印刷指示情報から取得した特定情報に対応するJDF解析データが前記保存手段に保存されているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記印刷指示情報から取得した特定情報に対応するJDF解析データが前記保存手段に保存されていると判断された場合には、当該JDF解析データを前記保存手段から取得する第3の取得手段と、
を備え、
前記解析手段は、前記第3の取得手段により取得されたJDF解析データを参照して、前記印刷指示情報に含まれるJDFコードに対応する機能情報を取得し、前記印刷指示情報を解析する、
請求項1に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88992(P2013−88992A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228408(P2011−228408)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】