説明

印刷セット及び印刷画像保護方法

【課題】漆喰を含む印刷層5を備えた印刷用シート1に印刷画像9を形成した場合において、このような印刷画像9を含む印刷層5に割れ等の傷の発生を防止することが可能な画像保護シート11を有する印刷セットを提供する。
【解決手段】印刷用シート1と、印刷用シート1とは別体の画像保護シート11とからなる印刷セットであって、印刷用シート1が、基材シート3と、基材シート3表面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層5と、印刷層5上に積層された剥離可能な印刷層保護フィルム7とを有しており、画像保護シート11が、離型シート13と、この離型シート13の表面に粘着剤層15を介して積層された画像保護フィルム17とからなり、この画像保護フィルム17が、0.5乃至3.5GPaのヤング率を有しており、且つ前記粘着剤層15は、23℃×50%RHの条件で測定したステンレススチールに対する接着力(JIS Z 0237)が0.5乃至9.0N/25mmの範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半固化状態の漆喰を含む印刷層を有する印刷用シートと、該印刷用シートとは別体の画像保護シートとからなる印刷セットに関するものであり、より詳細には、該印刷用シートの印刷層に形成された印刷画像の保護を容易に行うことが可能な印刷セット及び該印刷セットを用いての印刷画像保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやデジタルカメラの一般家庭への普及に伴い、鮮明なフルカラーの画像をプリントすることが可能なインクジェットプリンタが、価格が安価なこともあって、広く使用されている。インクジェットプリンタに用いる印刷用記録紙としては、通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインクが速やかに内部に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制され、鮮明な画像が形成されること、得られる画像が長期にわたって色落ちなどを生じない堅牢性に優れていることなどの特性が要求される。
【0003】
このような特性を印刷面(紙面)に付与するために、種々の無機固体物質を結着剤とともに紙面に塗布し或いは紙内に充填することが提案されているが、従来公知の印刷用紙は、インクジェットプリンタ以外のレーザプリンタなどに使用されるものも含めて、いずれも得られる画像は、写真のようなフラットな画像であり、絵画調の深みのある画像を形成し得るものはなかった。
また、従来公知の印刷用紙に印刷した場合、紫外線やオゾンからインク成分を保護する機能は無く、長期間の保存には適していなかった。
【0004】
上記のような問題を解決するために、本出願人は、先に、基材シートと、該基材シート表面に形成されており且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層とからなることを特徴とする印刷用シートを提案した(特許文献1)。この印刷用シートによれば、凹凸感があり、絵画調の深みのある堅牢な画像を鮮明に形成することができる。更に、半固化状態の漆喰が炭酸化することにより、画像を形成しているインクの耐光性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2008/013294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行文献に記載された印刷用シートでは、漆喰を含む印刷層を印刷面としており、この印刷層上に印刷画像が形成される。この結果、深みのある堅牢な印刷画像が形成されるのであるが、この印刷画像を含む印刷層に割れなどが生じやすいという問題が残されている。例えば、印刷画像が形成された印刷用シートを持ち運ぶ際に、このシートが折り曲げられると、折り曲げられた部分に割れなどが生じてしまう。また、印刷画像が形成された印刷用シートを、キャンバスのような板状形状の基台に包み込むようにして固定して鑑賞する場合には、基台のコーナー部で、印刷用シートが折り曲げられるため、この折り曲げ部分で割れ等が生じてしまう。
【0007】
従って、本発明の目的は、漆喰を含む印刷層を備えた印刷用シートに印刷画像を形成した場合において、このような印刷画像を含む印刷層に割れ等の傷の発生を防止することが可能な画像保護シートを有する印刷セット、及び該印刷セットを用いて印刷画像を含む印刷層を容易に保護することが可能な印刷画像保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、印刷用シートと、該印刷用シートとは別体の画像保護シートとからなる印刷セットであって、
前記印刷用シートは、基材シートと、該基材シート表面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層と、該印刷層上に積層された剥離可能な印刷層保護フィルムとを有しており、
前記画像保護シートは、離型シートと、該離型シートの表面に粘着剤層を介して積層された画像保護フィルムとからなり、
前記画像保護フィルムは、0.5乃至3.5GPaのヤング率を有しており、且つ前記粘着剤層は、23℃×50%RHの条件で測定したステンレススチールに対する接着力(JIS Z 0237)が0.5乃至9.0N/25mmの範囲にあることを特徴とする印刷セットが提供される。
本発明の印刷セットにおいては、前記画像保護フィルムが透明乃至半透明であることが好適である。
【0009】
また、本発明によれば、
前記の印刷セットを用意し、
前記印刷セットの印刷用シートから印刷層保護フィルムを剥離し、露出した印刷層に印刷画像を形成し、
前記印刷セットの画像保護シートから離型シートを引き剥がし、
離型シートの引き剥がしにより露出した粘着剤層を介して、前記画像保護フィルムを、前記印刷画像が形成された印刷層を覆うように貼り付けることを特徴とする印刷画像保護方法が提供される。
かかる方法においては、前記印刷画像をインクジェットプリンタを用いて形成することが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷用セットでは、印刷用シートから印刷層保護フィルムを引き剥がした後、露出した印刷層にインクジェット等により印刷画像を形成するが、このような印刷画像を画像保護シート中の画像保護フィルムによって保護する。すなわち、画像保護シートから離型シートを引き剥がして粘着剤層を露出させ、この粘着剤層を介して、画像保護シート中の画像保護フィルムを印刷画像を覆うように貼り付けることにより、印刷画像が保護される。
【0011】
このように印刷画像保護フィルムを用いて印刷画像を保護する場合において、
前記画像保護フィルムのヤング率は、0.5乃至3.5GPaの範囲にあり、粘着剤層は、ステンレススチールに対する接着力(JIS Z 0237、23℃×50%RH)が0.5乃至9.0N/25mmの範囲にあることが重要である。
すなわち、適度な弾性伸びを有する印刷画像保護フィルムが適度な粘着力により、印刷画像が形成された印刷層に貼り付けられるため、この印刷用シートが折り曲げられた場合においても、印刷画像保護フィルムが折り曲げ時に生じる印刷層の伸びを抑制し、このような伸びによる印刷層の割れが効果的に防止され、かつ、この印刷画像保護フィルムは、印刷層から容易に引き剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の印刷セットを構成する印刷用シート及び画像保護シートの積層構造及び該印刷セットを用いての印刷画像保護方法の実施行程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の印刷セットは、図1を参照して、全体として1で示す印刷用シートと、全体として11で示す画像保護シートとからなっており、印刷用シート1と画像保護シート11とは、完全に別体となっている(図1(a)参照)。
【0014】
印刷用シート1は、基材シート3と、基材シート3の表面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層5と、印刷層5上に積層された剥離可能な印刷層保護フィルム7とを有している。
一方、画像保護シート11は、離型シート13と、離型シート13の表面に粘着剤層15を介して積層された画像保護フィルム17とからなっている。
【0015】
すなわち、印刷画像を形成するに際しては、印刷用シート1から印刷層保護フィルム7を剥離し、印刷層5を表面に露出させる(図1(a1)参照)。この状態で、インクジェットプリンタなどを用いての印刷により、印刷層5の表面に印刷画像9を形成する(図1(a2)参照)。
【0016】
上記のようにして印刷画像9を形成した後、画像保護シート11から離型シート13を引き剥がし(図1(a3)参照)、画像保護フィルム17に固定されている粘着剤層15を表面に露出せしめる。この状態で、画像保護フィルム17を粘着剤層15を介して、印刷画像9を覆うように印刷層5に貼り付ける(図1(a4)参照)。これにより、印刷層5に形成された印刷画像9が保護される。
【0017】
このようにして、印刷画像9が画像保護フィルム17により保護された印刷体(全体として20で示されている)は、例えば、そのまま丸めて持ち運びしてもよいし、或いは、図1(a5)及び(a6)に示されているように、所定の基台30に貼り付け、この後、必要により、画像保護フィルム17を引き剥がし、鑑賞に供することができる。
【0018】
例えば、基台30に印刷体20を、画像保護フィルム17が上側になるようにして、基台30に、これを包み込むようにして貼り付ける(図1(a5)参照)。この場合、一般に、糊、接着剤、鋲等を用いて印刷体20の両端部分が基台30の裏面に固定される。
【0019】
このようにして、印刷体20を基台30に貼り付けた後、この印刷体20の表面に形成されている画像保護フィルム17を粘着剤層15とともに引き剥がし(図1(a6)参照)、これにより、表面に露出した深みのある印刷画像9を鑑賞することができる。
なお、上記の基台30は、これに印刷用シート1を貼り付けて印刷画像9を鑑賞するために使用されるもの、例えば、キャンパスや建具等に用いられる木枠、各種ボード、パネルなどである。
【0020】
(印刷用シート1)
印刷用シート1は基本的に前述した特許文献1で開示されているものと同様の構造を有している。
例えば、基材シート3は、その表面に漆喰前駆体を含む印刷層5が形成できるものであれば、特に制限されず、任意の材料で形成されていてよい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などの各種の樹脂シート乃至樹脂フィルム、或いは紙などからなっていてもよいし、また、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布であってもよく、さらには、これらの積層フィルム乃至シートであってもよい。
【0021】
また、基材シート3は可撓性を有しており、適度の腰の強さを有しているものであることが好ましい。かかる基材シート3では、これを折り曲げても折り目が形成され難く、この基材シート3上に設けられる漆喰前駆体を含む印刷層5に割れ等の傷が形成されるなどの不都合を抑制しやすいからである。このような基材シート3の材質は、かなり制限されることとなるが、一般的には、炭酸カルシウム混抄紙が好適に使用される。炭酸カルシウム混抄紙は、木材パルプに炭酸カルシウムを混合して抄紙したものであり、可撓性や曲げ強さを有し、しかも印刷層5との密着性を良好なものとすることができる。さらに、このような炭酸カルシウム混抄紙以外にも、水酸化アルミニウム混抄紙なども使用することができる。本発明において、基材シートとして最も好適に使用される炭酸カルシウム混抄紙は、王子製紙株式会社製より「OKコスモCA110」の商品名で市販されている。
【0022】
尚、基材シート3の表面は、コロナ処理などを行って親水性を向上させてもよく、これにより、以下に述べる印刷層5と基材シート3との接合強度を向上させることができる。
【0023】
また、上記基材シート3の厚みは、その用途に応じて適宜の範囲に設定される。例えば、プリンタ用の記録材として使用する場合には、この印刷用シート1が容易にプリンタを通すことができるように基材シート3の厚みが設定される。
【0024】
本発明において、印刷層5は、消石灰(水酸化カルシウム)の粉末と水との混練物を基材シート3の親水性の面にコーティングして乾燥させることにより形成される。かかる層を空気中に放置した場合、半固化状態の漆喰前駆体(消石灰と炭酸カルシウムとの混合物)が空気中の炭酸ガスを吸収し、漆喰前駆体中の消石灰が炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムを生成することにより、さらに固化が進行して漆喰を形成する。即ち、印刷層5は、消石灰の一部が炭酸化して炭酸カルシウムが存在する半固化状態の漆喰前駆体を含む層である。
【0025】
本発明において、上記の印刷層5は、水酸化カルシウム(消石灰)が完全に炭酸化して完全に固化する前の半固化状態の漆喰前駆体を含むものであればよいが、好ましくは、この印刷層5中の水酸化カルシウムが、少なくとも5重量%、好ましくは10重量%以上である。即ち、水酸化カルシウムの含有量が上記範囲よりも少ないと、得られる画像の堅牢性が低下し、色落ちなどを生じ易くなる傾向がある。また、印刷インクを印刷層5の表面に施して印刷を行なったとき、印刷直後にインク中に溶出する水酸化カルシウムの量が少なくなるため、印刷画像の保護効果が低下し、紫外線等による印刷画像の劣化抑制効果が低下するという不都合も生じる。
前記印刷層5中の水酸化カルシウムは、上記目的を達成するために多いほどよいが、あまり多すぎると印刷層5の硬化が不十分となり、印刷工程中に印刷層5の破損等を生じ易くなる。従って、印刷層5中の水酸化カルシウム量は、85重量%以下、好ましくは、80重量%以下の割合とすることが好ましい。
尚、印刷層5中の水酸化カルシウムの割合は、示差熱分析により確認することができる。
本発明において、前記印刷層5における水酸化カルシウムの含有量の調整は、印刷層5の形成に用いる水酸化カルシウムの炭酸化率(前述したスラリーの調製に用いた消石灰の重量に対し、生成した炭酸化カルシウムの重量割合を示す。)及び後述するバインダー材、無機細骨材、吸液性無機粉体などの添加剤の割合によって調整することができる。
上記調整方法のうち、印刷層5形成に用いる水酸化カルシウムの炭酸化率を調整する方法を採用する場合、炭酸化率の上限は、80%、特に40%とすることが望ましい。即ち、炭酸化が過度に進みすぎた場合、印刷層5の表面が緻密化され、印刷インクの浸透性が低下する傾向がある。
【0026】
本発明で用いる印刷用シート1においては、印刷層5を画像の印刷後に大気中に放置することにより、印刷層5中の漆喰前駆体が炭酸化して最終的には漆喰となる。このような印刷層5の靭性を向上させるために、印刷層5には、バインダー材としてポリマーのエマルジョン固形分を含有していることが好適である。このようなポリマーのエマルジョンは、水媒体中にモノマー、オリゴマー或いはこれらの重合体等が分散したものであり、例えばアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、スチレン/ブタジエンゴム系等の重合体のエマルジョンを挙げることができる。このようなエマルジョンは、乾燥工程で、媒体(水)が蒸発してエマルジョン中のポリマー成分が印刷層5中に残存することとなる。即ち、このようなエマルジョンの固形分(即ちポリマー)が過度に存在すると、印刷画像(印刷インク)の印刷層5中への浸透性が低下する傾向があるため、印刷層5の靭性を高め且つインクの浸透性を確保するために、一般に、印刷層5におけるポリマーエマルジョンの固形分は、3〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0027】
また、印刷層5中には、前述した特許文献1に記載されているとおり、上記のエマルジョン以外にも、印刷層5の物性を調整するための各種添加剤、例えば各種繊維材、無機細骨材、吸液性無機粉体等が配合されていてよい。これらの添加剤は、印刷層5の強度等の物理特性を向上させるものである。
【0028】
上記のような印刷層5の厚みは、印刷可能な適宜の範囲に設定されるが、一般的には、0.02乃至0.5mm、特に0.05乃至0.3mm程度の範囲が好適である。即ち、この厚みが過度に薄いと、画像を印刷したときに、印刷インクの浸透による画像固定性が低下したり、或いは凹凸などによって発現する画像の深みが損なわれたりするおそれがある。また、あまり厚いと経済的に不利となったり、折り曲げによって折り目が形成され易くなるなど、印刷に際して用いるプリンタが制限されるおそれなどを生じるからである。
【0029】
また、印刷層5は、無機粒子(水酸化カルシウムや炭酸カルシウムの粒子)から形成されているため、比較的脆く、外部からの圧力によって傷が付いたりして商品価値が低下するおそれがある。このため、印刷用シート1の製造直後から一般需要者による印刷時までの間に印刷層5の表面を保護することが必要であり、従って、本発明の印刷用シート1においては、印刷層5の上面に、印刷層5を保護するための印刷層保護フィルム7を設けてもよい。この印刷層保護フィルム7は、印刷時には引き剥がされるものであるが、引き剥がしに際して印刷層5の表面の一部を脱落させて表面に顕著な凹凸を形成させるという機能を有するものであるため、例えば、200〜4000mN/25mm、特に、800〜3000mN/25mmの剥離強度で設けられているのがよい。即ち、剥離強度が過度に高いと、印刷時に印刷層保護フィルム7を引き剥がすことが困難となってしまい、また、剥離強度があまり低いと、印刷層保護フィルム7を剥がしたときに印刷層5の表面に十分な大きさの凹凸を形成することが困難となるおそれがあるからである。
【0030】
尚、前記剥離強度は、JIS−K6854−2の接着剤−剥離接着強さ試験方法−第2部:180度剥離に準じ、幅25mmの試験体を用い、引張速度300mm/分で引っ張ることにより測定した値である。
【0031】
上記のような印刷層保護フィルム7は、保護機能を有し且つ上記のような剥離強度で印刷層5上に設けることが可能である限り、任意の材料から形成されていてよいが、一般的には、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布などが印刷層保護フィルム7として使用される。また、印刷層保護フィルム7として、非通気性のシート、例えばシリコンペーパーなどを用いて、印刷層5の保護機能と同時に、印刷時までの間に印刷層5の炭酸化を防止するという機能を持たせることも可能である。
【0032】
印刷層保護フィルム7の厚みは、適度な保護機能が発現する程度のものであればよく、一般的には0.01乃至2.0mm程度である。
【0033】
上述した本発明で用いる印刷用シート1は、印刷層5を形成するための基材シート3の一方の表面に、漆喰形成用のスラリーを塗布すると同時に必要に応じて印刷層保護フィルム7を貼着し、適度に乾燥して印刷層5を形成することにより製造される。
【0034】
漆喰を形成するためのスラリーは、消石灰の粉末と水との混練物に、前述したバインダー材や各種添加剤を配合したものである。
【0035】
かかるスラリーの調製に用いる消石灰粉末は、例えば粒径が5μm以下の微粒子を20乃至80重量%の量で含み、且つ粒径が10乃至50μmの粗粒子を10乃至40重量%の量で含有しているものを使用することが好ましい。即ち、微粒子成分は、印刷層5の形態保持性や強度を付与し、一方、粗粒子成分は、画像の浸透性を確保するためのに有用であり、このような微粒子成分と粗粒子成分とを上記のような量割合で含有している消石灰粉末を使用することにより、画像の浸透性を損なうことなく、強度や耐久性の良好な漆喰層を形成する上で極めて好適である。例えば、上記のような微粒子成分のみからなる消石灰粉末を用いた場合には、インクの浸透性が損なわれ、印刷される画像の堅牢性が低下するおそれがある。
【0036】
また、このスラリー中には、各種の配合剤を均一に分散させるための界面活性剤や、混練物をコーティングする際に垂れなどを生じないように、適宜、増粘剤などが配合され、適度な粘度に調製されていることが好適である。スラリーのコーティングは、バーコーター、ロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー、ディッピング、吐出、型材転写等により行うことができ、必要に応じてコテ押さえ、口金絞り、ローラ転圧、1軸プレス等を採用することができる。
【0037】
上記のようなスラリーの塗布厚みは、乾燥後の厚みが前述した印刷層5の厚みとなるように設定される。また、スラリー塗布後の乾燥は、印刷層5の含水率が5%以下となる程度に行えばよい。この含水率があまり高いと、層としての形態が維持できなかったり、或いは、この含水率が維持されたままの状態で印刷が行われたとき、インクの滲みなどを生じ易くなってしまうからである。乾燥は、熱風の吹き付けなどにより、スラリーの塗布層を40乃至150℃程度に加熱することにより行われる。この際、加熱温度を必要以上に高くすると、基材シート3や印刷層保護フィルム7の熱による変形が生じてしまうため、注意を要する。
【0038】
尚、水酸化カルシウム(消石灰)の炭酸化反応は炭酸ガスとの接触により反応が進行するため、上述したスラリーを非通気性の袋や容器等に密封状態で保存している限り、所定の炭酸化率を維持し、印刷層5中の水酸化カルシウム量を一定の範囲に保持する上で支障を生じることはない。
【0039】
上記のようにして形成される印刷層5の上には印刷層保護フィルム7が貼着されることにより積層される。このような印刷層保護フィルム7を設けることにより、印刷を行なう前の段階で印刷層5の表面を保護し、印刷用シート1の保存或いは搬送時における外部からの圧力による印刷層5の破損等を有効に防止することができる。この印刷層保護フィルム7は、既に述べたように、一定の範囲の剥離強度となるように印刷層5に貼着される。このような剥離強度を得るための手段は特に制限されないが、印刷層5に悪影響を与えないために、接着剤を介することなく、印刷層保護フィルム7を印刷層5に密着させることにより、印刷層保護フィルム7の貼着を行うことが好ましい。具体的には、基材シート3の表面に前記スラリーを塗布した直後に印刷層保護フィルム7を積層し、その状態でスラリーの層を適度に炭酸化させるという手段が最も好ましい。かかる方法によって、水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応して炭酸化することにより硬化する過程(例えば乾燥工程)で印刷層保護フィルム7が印刷層5に一定の剥離強度を持って密着固定される。尚、剥離強度の調整は、印刷層保護フィルム7の材質、印刷層5を形成するために使用する硬化成分を含有する組成物の組成、特に前記水性エマルジョン等の親和性を左右する成分の配合量などを調節することによって行うことができる。
【0040】
即ち、本発明において、印刷用シート1を大気中に放置しておくと、印刷層5の漆喰前駆体の炭酸化が進行していくため、印刷適性(例えば画像の浸透・固定性)などが低下してしまう。このような不都合を回避するため、印刷時点まで、炭酸化を抑制しておく必要がある。この炭酸化を抑制する方法としては、例えば、適度の大きさに裁断された長尺の印刷用シート1をロール状に巻取り、このロールを非通気性のフィルムで包装して保存することができる。また、裁断された印刷用シート1を一枚ずつ非通気性のフィルムで保存しておくこともできるし、多数枚の印刷用シート1を積み重ね、このような積載物を非通気性のフィルムで保存しておくこともできる。また、印刷層保護フィルム7が貼着されている場合は、非通気性のフィルムを、印刷層保護フィルム7の上面及び基材シート3の裏面にラミネートして保存しておくことも可能である。
【0041】
上述した非通気性のフィルムとしては、特に制限されるものではなく、一般に包装用フィルムとして使用されている各種の樹脂フィルムが使用されるが、コスト等の観点から、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが最も好適である。
【0042】
かかる印刷用シート1は、必要により設けられる非通気性のフィルム(包装フィルム)を除去し、先に説明したように、印刷層保護フィルム7を引き剥がして、印刷層5の表面を露出させ、この面に印刷が施される。
【0043】
印刷手段としては、所定の顔料乃至染料が分散乃至溶解したインクを使用し、グラビア印刷などによって、所定の大きさのものを連続して印刷することもできるし、インクジェットプリンタによって印刷を行うこともできる。用いるインクは、水溶性染料が溶解し或いは顔料が界面活性剤などで水(或いは水/アルコール混合溶媒など)に分散された親水性のインクが最も好適である。このような親水性のインクを用いた場合には、印刷層5上に滲みがなく且つ安定に保持された鮮鋭な画像を形成することができる。特に、本発明においては、顔料を使用したインクが好適に使用される。
【0044】
上記のようにして印刷画像が印刷された印刷層5は、既に述べたように、これを大気中に放置することにより(通常、0.5〜30日程度)、大気中の炭酸ガスを吸収し、残存する水酸化カルシウムの炭酸化が進行し、固化が進行した漆喰となる。従って、画像は、凹凸のある多孔質の漆喰に浸透して固定されて壁画調となり、写真画像などを比較すると、深みのあるものとなっている。また、形成された画像は堅牢性に優れ、これを擦ったりしても色落ち等を生じることがなく、また、紫外線等からインク成分を保護することができ、長期間、安定に保持される。
【0045】
このような印刷用シート1は、壁画調の絵画のような画像を形成することができ、例えばデジタルカメラで撮影された写真画像を印刷した場合にも、立体感や深みのある絵画調の画像を形成することができ、且つ、長期間、画像の劣化が起きないため、特にインクジェットプリンタに用いるインクジェット記録材としての用途に極めて有用である。
【0046】
(画像保護シート11)
本発明の印刷セットにおいては、上記の印刷層5に形成されている印刷画像9に割れ等の傷が生成することを防止するために、印刷用シート1とは別個に設けられている画像保護シート11が使用される。
【0047】
すでに述べたように、この画像保護シート11は、離型シート13、粘着剤層15、画像保護フィルム17の3層構造を有するものであり、離型シート13を引き剥がし、画像保護フィルム17を粘着剤層15を介して印刷画像9を覆うように印刷用シート1に貼り付けられる(図1(a3、a4)参照)。
【0048】
かかる画像保護シート11において、離型シート13としては、両面テープなどに用いられている公知のもの、例えば、シリコーン樹脂などで表面処理されたシリコンペーパーなどが使用される。
【0049】
また、粘着剤層15は、印刷画像9が形成されている印刷層5に対して、適度な粘着力を示すものでなければならない。すなわち、この粘着力が大きすぎると、印刷画像9の保護に用いた保護フィルム17を引き剥がすことが困難となってしまい、印刷層5の破損を生じる。(印刷画像9が保護フィルム17で覆われたままの場合では、深みのある印刷画像9の特性が失われてしまい、印刷用シート1を用いた利点が損なわれてしまうこととなり、印刷画像9を鑑賞するためには保護フィルム17を引き剥がすことが必要である。)また、この粘着力が小さすぎると、画像保護フィルム17が印刷画像9が形成された印刷層5から剥がれてしまい、その保護機能を発揮することができない。
【0050】
上記のような粘着力は、ステンレススチールに対する粘着剤層15の接着力として規定することができ、具体的には、この接着力(JIS Z 0237、23℃×50%RH)が0.5乃至9.0N/25mm、特に1.0乃至7.0N/25mmの範囲にあればよい。
【0051】
上記の条件を満たす粘着剤としては、具体的には、アクリル酸と炭素数が3以上のアルキルとのエステルを重合して得られるポリアクリル酸エステルが好適であり、かかるポリアクリル酸エステルの中で、上記のようなステンレススチールに対する接着力を示すような粘弾性、ガラス転移点(Tg)及び分子量を有するものが使用される。
【0052】
粘着剤層15を介して貼り付けられる画像保護フィルム17は、適度な弾性を有していることが必要であり、具体的には、ヤング率Yが0.5乃至3.5GPa、特に1.0乃至3.0GPaの範囲にあるべきである。ヤング率Yがこの範囲より小さいと、画像保護フィルム17が貼りつけられた印刷用シート1に外部から力が加わるときに、画像保護フィルム17と印刷用シート1とが剥離しやすく、その結果、印刷用シート1を折り曲げた時に、印刷画像9が形成されている印刷層5でのひび割れ等の傷の発生を抑制することができなくなる。逆に、ヤング率Yが上記範囲より大きい場合には、印刷用シート1を固定せしめた後、印刷用シート1を折り曲げた時に画像保護フィルム17の伸びが無いために印刷層5に曲げ応力が集中し、その結果、印刷層5を破損してしまう。
【0053】
また、この画像保護フィルム17は、透明乃至半透明であることが望ましい。これにより、このフィルム17で印刷画像9を覆うように貼り付けた状態においても、印刷画像9を目視することができ、画像保護フィルム17の貼り付け位置を正確に調整することができるからである。この場合、透明乃至半透明の度合いはフィルム17を貼り付けたときに印刷画像9が目視できる程度であれば十分であり、一般には、その可視光での透過率が30%以上であればよい。
【0054】
かかる画像保護フィルム17の素材は、上述したヤング率等を満足するフィルムを形成しうるものであれば、それ自体公知の熱可塑性樹脂でよく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル1−ペンテン等のα―オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体等、そしてエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α―メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等や、ポリ乳酸などの生分解性樹脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であってよい。
【0055】
なお、粘着剤層15及び画像保護フィルム17の厚みは、それぞれ前述した接着力やヤング率等の特性が所定の条件を満足する限り、特に制限はされないが、コストや貼り付けのための作業性等の観点から、一般に、粘着剤層9は5乃至100μm、画像保護フィルム17は10乃至1000μm程度の厚みを有していればよい。
【0056】
このような画像保護シート11は、離型シート13を引き剥がした後、粘着剤層15を介して画像保護フィルム17を、印刷画像9が形成され且つ硬化した印刷用シート1の印刷層5に貼り付け、印刷体20(図(a4)参照)として使用される。例えば、印刷体20を丸めて持ち運びしたり、所定の基台30に印刷体20を貼り付け、最後に画像保護フィルム17をはがして印刷画像9を鑑賞するわけである。
すなわち、印刷体20は、画像保護フィルム17が貼り付けられているため、これを丸めて持ち運びした場合に折り曲げられた場合、あるいは、所定の基台30に貼り付けた場合に、折り目が発生した場合においても、この部分での割れ等の傷の発生が有効に防止される。
【0057】
なお、画像保護フィルム17は、一般に、印刷画像9が形成された印刷層5の全面に貼り付けられるが、図1(a5)(a6)に示されるように、所定の基台30に印刷体20を貼り付ける場合には、折り目が発生する部分(例えば、印刷層5の周縁部分)のみに画像保護フィルム17を貼り付けることも可能である。
【実施例】
【0058】
本発明の優れた効果を、次の実験例で説明する。
なお、以下に、実験例で用いた材料および各試験方法を示す。
【0059】
(1)クラック発生評価試験
後述の製造方法例により得られた印刷用シート1の印刷層保護フィルム7を剥がし取り、インクジェットプリンタ(エプソン製PX−5500型、顔料が分散された水性インク使用)により、露出した印刷層5にブラックを印刷し、印刷層5全面がブラックに印刷された100mm×100mmの印刷用シート1を得た。画像保護シート11から離型シート13を剥がし取り、得られた印刷用シート1の表面に画像保護フィルム17を貼付け、貼付試験用の試験体を得た。
次に、厚さ1mm、大きさ150×150mmのステンレス鋼板の中央を直線に折り曲げ、曲げ角度90、70、50度のL型下地を作製し、その表面にアクリル共重合樹脂エマルジョン(製品名「パラダイン コンタクトセメント No1」、矢沢化学工業製)を所定量塗布した後に乾燥させ、試験用L型下地材を得た。
試験体の画像を形成していない方の面に壁紙施工用でん粉系接着剤(成分:エステル架橋化小麦澱粉+エチレン酢ビ共重合エマルジョン、商品名「ウォールボンド200」、矢沢化学工業製)を所定量塗布し、2分間放置後、試験用L型下地材の角部分に貼付け、印刷層5表面にクラックが発生するかを目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
A:角部上の印刷層5にはクラック発生無し
B:角部上の印刷層5の一部分にクラック発生
C:角部上の印刷層5の全体にクラック発生
【0060】
(2)剥離/作業性試験
更に、貼り付けた試験体から画像保護フィルム17を剥がし取り、印刷層5の破損の有無や作業性について、以下の評価基準で評価した。
A:剥がし取り良好で印刷層5の破損なし
B:剥がし取り困難で印刷層5を破損した
C:印刷層5に付着せず作業性悪い
【0061】
(3)材料
評価試験で用いた印刷用シート1及び画像保護シート11の材料は以下の通りである。
基材シート3:炭カル紙(王子製紙株式会社製「OKコスモCA110」(商品名)
(厚み0.18mm、目つけ量110g/m2))
印刷層5:水酸化カルシウム(消石灰(宇部マテリアルズ製「高純度消石灰CH」
(商品名)))
吸液性無機粉体(炭酸カルシウム(薬仙石灰製「ホワイト7」(商品名)))
水性エマルジョン(旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1480」
(商品名))(アクリル系共重合体ラテックス、固形分40重量%)
印刷層保護フィルム7:不織布A(ユニセル株式会社製BT−1404WM品名))
画像保護フィルム17:実施例については表1に、比較例については表2の通り。
粘着剤層15:実施例については表1に、比較例については表2に記載の通り。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
(4)印刷用シート製造方法例
消石灰100重量部、水性エマルジョン60重量部、水25重量部、吸液性無機粉体5重量部の配合比で混練し、消石灰スラリーを得た。次に、基材シート3として、炭カル紙(500×800mm)を使用し、その表面に得られた消石灰スラリーをロールコーターで塗布し、直後に不織布A(印刷層保護フィルム7)をスラリー表面に密着させ、50℃の乾燥機中で30分間乾燥させ、半固化状態の漆喰を含む印刷層5を有する印刷用シート1を得た。乾燥後に形成された印刷層5の厚みは平均150μmであった。
【0065】
上記製造方法例によって得られた印刷用シート1と画像保護シート11A〜H及びW〜Zを用い、角部貼付試験の操作に従い、試験用L型下地材の角部分に貼付け、印刷層5表面にクラックが発生するかを目視で確認し、評価した。また、画像保護フィルム17を剥がし取り、印刷層5の破損の有無や作業性について評価した。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【符号の説明】
【0067】
1:印刷用シート
3:基材シート
5:印刷層
7:印刷層保護フィルム
9:印刷画像
11:画像保護シート
13:離型シート
15:粘着剤層
17:画像保護フィルム
30:基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用シートと、該印刷用シートとは別体の画像保護シートとからなる印刷セットであって、
前記印刷用シートは、基材シートと、該基材シート表面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層と、該印刷層上に積層された剥離可能な印刷層保護フィルムとを有しており、
前記画像保護シートは、離型シートと、該離型シートの表面に粘着剤層を介して積層された画像保護フィルムとからなり、
前記画像保護フィルムは、0.5乃至3.5GPaのヤング率を有しており、且つ前記粘着剤層は、23℃×50%RHの条件で測定したステンレススチールに対する接着力(JIS Z 0237)が0.5乃至9.0N/25mmの範囲にあることを特徴とする印刷セット。
【請求項2】
前記画像保護フィルムは透明乃至半透明である、請求項1に記載の印刷セット。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷セットを用意し、
前記印刷セットの印刷用シートから印刷層保護フィルムを剥離し、露出した印刷層に印刷画像を形成し、
前記印刷セットの画像保護シートから離型シートを引き剥がし、
離型シートの引き剥がしにより露出した粘着剤層を介して、前記画像保護フィルムを、前記印刷画像が形成された印刷層表面を覆うように貼り付けることを特徴とする印刷画像保護方法。
【請求項4】
前記印刷画像をインクジェットプリンタを用いて形成する、請求項3に記載の印刷画像保護方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−11729(P2012−11729A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152399(P2010−152399)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】