説明

印刷データ作成装置、および印刷装置

【課題】背表紙の幅が狭い書物が書棚等に陳列された状態でも、ユーザが所望する書物を選択することが可能なラベルを作成するための印刷データ作成装置、および印刷装置を提供する。
【解決手段】ラベル作成装置は、書物61の背表紙612の幅方向の長さ(背表紙長)が所定値未満である場合、見出しラベル51を作成する。見出しラベル51は、書物61の一方の表紙611の表面に貼付される第一見出しラベル部511、背表紙612と離隔する方向に延び、情報が印刷される第二見出しラベル部512、背表紙612側に曲折して第二見出しラベル512に沿って延び、情報が印刷される第三見出しラベル部513、背表紙612に沿って延びる第四見出しラベル部514、および、他方の表紙613に沿って延び、他方の表紙613に貼付される第五見出しラベル部515を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書物や紙束の背表紙に貼付するラベルを印刷するためのデータを作成する印刷データ作成装置、および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
書物や紙束(以下、これらを総称し「書物」という。)の背表紙に貼付するラベルの印刷を行う装置が知られている。ラベルには、例えば書物の種別や内容等を表す情報が印刷される。ラベルに印刷される情報は、書物が書棚等に陳列された状態でも良好に視認することができる。従ってユーザは、背表紙に貼付されたラベルを参照することによって、陳列された状態の書物から所望する書物を選ぶことができる。例えば特許文献1には、製本する書物の厚さに応じて背表紙の幅を算出し、適切な大きさの文字を背表紙部分に印刷する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−117146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載された装置では、書物の厚さが薄く背表紙の幅が狭い場合、ラベルに印刷する文字の大きさも小さくなる。従ってユーザは、ラベルが貼付された背表紙を見ても情報を良好に認識することができないので、書棚等に陳列された状態の書物から所望する書物を選ぶことができなくなるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、背表紙の幅が狭い書物が書棚等に陳列された状態でも、ユーザが所望する書物を選択することが可能なラベルを作成するための印刷データを作成する印刷データ作成装置、および印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る印刷データ作成装置は、書物の背表紙に貼付するラベルであって情報が印刷されたラベルを作成するための印刷データを作成する印刷データ作成装置であって、前記書物の背表紙の幅方向の長さである背表紙長を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長が、前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、見出しラベルを作成するための印刷データを作成する作成手段とを備え、前記見出しラベルは、前記書物の一方の表紙の表面、且つ、前記書物の背表紙と近接する部分に少なくとも貼付される第一見出しラベル部、前記書物の一方の表紙の表面に貼付された前記第一見出しラベル部の前記背表紙側の端部から、前記背表紙と離隔する方向に延び、情報が印刷される第二見出しラベル部、前記第二見出しラベル部のうち前記第一見出しラベル部と接続する側と反対側の端部に接続し、前記背表紙側に曲折して前記第二見出しラベルに沿って延び、情報が印刷される第三見出しラベル部、前記第三見出しラベル部のうち前記第二見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から前記背表紙に沿って延び、前記背表紙に貼付される第四見出しラベル部、および、前記第四見出しラベル部のうち前記第三見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から、他方の前記表紙に沿って延び、前記他方の表紙に貼付される第五見出しラベル部を備えている。
【0007】
第一態様によれば、印刷データ作成装置は、背表紙長が所定値よりも小さい場合に、見出しラベルの印刷データを作成することができる。見出しラベルでは、第二見出しラベル部および第三見出しラベル部に情報が印刷される。このため、背表紙長が短い場合でも、書物の内容等を示す情報を十分な大きさでラベルに印刷することができる。従ってユーザは、作成された印刷データに基づいて作成された見出しラベルを書物に貼付することによって、背表紙長の短い書物が書棚等に陳列された状態でも、所望する書物を容易に選択することができる。
【0008】
第一態様において、文字サイズを取得する第二取得手段を備え、前記作成手段は、前記第二取得手段によって取得された前記文字サイズに基づいて前記ラベルを作成可能な所定値を特定し、前記ラベルを作成可能な所定値と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長とを比較し、前記背表紙長が前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、前記見出しラベルを作成するための前記印刷データを作成してもよい。これによって印刷データ作成装置は、ユーザの所望する大きさの文字を背表紙部分に印刷することができない場合に、見出しラベルを作成する印刷データを作成することができる。
【0009】
第一態様において、前記作成手段は、前記見出しラベルの前記第一見出しラベル部と前記第二見出しラベル部との境界部分、前記第二見出しラベル部と前記第三見出しラベル部との境界部分、前記第三見出しラベル部と前記第四見出しラベル部との境界部分、および、前記第四見出しラベル部と前記第五見出しラベル部との境界部分のうち少なくともいずれかに、線分を印刷するか、または、ミシン目を設けるためのデータを作成してもよい。これによってユーザは、線分が印刷された場合には、印刷データに基づいて作成された見出しラベルについて、折り目部分等を明確に認識することができる。またユーザは、ミシン目が設けられた場合には、折り目部分正確にラベルを折り曲げることができる。このためユーザは、見出しラベルを書物に正確に貼付することができる。
【0010】
第一態様において、前記第一見出しラベル部、前記第二見出しラベル部、前記第三見出しラベル部、および、前記第五見出しラベル部の幅方向の長さのうち少なくともいずれかを記憶する記憶手段を備え、前記作成手段は、前記記憶手段に記憶された前記長さに基づいて、前記見出しラベルを作成するための印刷データを作成してもよい。これによってユーザは、見出しラベルを構成する各部位の長さを印刷データ作成装置に設定する手間を省くことができる。このためユーザは、印刷データを短時間で容易に作成できる。
【0011】
第一態様において、前記第四見出しラベルの幅方向の長さは、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長に基づいて特定されてもよい。これによって印刷データ作成装置は、見出しラベルを構成する第四見出しラベルの長さをユーザが設定する手間を省くことができる。このためユーザは、印刷データを短時間で容易に作成できる。
【0012】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、書物の背表紙に貼付するラベルであって情報が印刷されたラベルを作成する印刷装置であって、前記書物の背表紙の幅方向の長さである背表紙長を取得する第一取得手段と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長が、前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、見出しラベルを作成する作成手段とを備え、前記見出しラベルは、前記書物の一方の表紙の表面、且つ、前記書物の背表紙と近接する部分に少なくとも貼付される第一見出しラベル部、前記書物の一方の表紙の表面に貼付された前記第一見出しラベル部の前記背表紙側の端部から、前記背表紙と離隔する方向に延び、情報が印刷される第二見出しラベル部、前記第二見出しラベル部のうち前記第一見出しラベル部と接続する側と反対側の端部に接続し、前記背表紙側に曲折して前記第二見出しラベルに沿って延び、情報が印刷される第三見出しラベル部、前記第三見出しラベル部のうち前記第二見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から前記背表紙に沿って延び、前記背表紙に貼付される第四見出しラベル部、および、前記第四見出しラベル部のうち前記第三見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から、他方の前記表紙に沿って延び、前記他方の表紙に貼付される第五見出しラベル部を備えている。
【0013】
第二態様によれば、印刷装置は、背表紙長が所定値よりも小さい場合に、見出しラベルを作成することができる。見出しラベルでは、第二見出しラベル部および第三見出しラベル部に情報が印刷される。このため、背表紙長が短い場合でも、書物の内容等を示す情報を十分な大きさでラベルに印刷することができる。従ってユーザは、作成された見出しラベルを書物に貼付することによって、背表紙長の短い書物が書棚等に陳列された状態でも、所望する書物を容易に選択することができる。
【0014】
第二態様において、文字サイズを取得する第二取得手段を備え、前記作成手段は、前記第二取得手段によって取得された前記文字サイズに基づいて前記ラベルを作成可能な所定値を特定し、前記ラベルを作成可能な所定値と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長とを比較し、前記背表紙長が前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、前記見出しラベルを作成してもよい。これによって印刷装置は、ユーザの所望する大きさの文字を背表紙部分に印刷できない場合に見出しラベルを作成できる。
【0015】
第二態様において、前記作成手段は、前記見出しラベルの前記第一見出しラベル部と前記第二見出しラベル部との境界部分、前記第二見出しラベル部と前記第三見出しラベル部との境界部分、前記第三見出しラベル部と前記第四見出しラベル部との境界部分、および、前記第四見出しラベル部と前記第五見出しラベル部との境界部分のうち少なくともいずれかに、境界線を印刷するか、または、ミシン目を設けてもよい。これによってユーザは、線分が印刷された場合には、印刷データに基づいて作成された見出しラベルについて、折り目部分等を明確に認識することができる。またユーザは、ミシン目が設けられた場合には、折り目部分正確にラベルを折り曲げることができる。このためユーザは、見出しラベルを書物に正確に貼付することができる。
【0016】
第二態様において、前記第一見出しラベル部、前記第二見出しラベル部、前記第三見出しラベル部、および、前記第五見出しラベル部の幅方向の長さのうち少なくともいずれかを記憶する記憶手段を備え、前記作成手段は、前記記憶手段に記憶された前記長さに基づいて基材を搬送し、且つ、前記基材に情報を印刷することによって、前記見出しラベルを作成してもよい。これによってユーザは、見出しラベルを構成する各部位の長さを印刷装置に設定する手間を省くことができる。このためユーザは、見出しラベルを容易に作成できる。
【0017】
第二態様において、前記第四見出しラベルの幅方向の長さは、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長に基づいて特定されてもよい。これによってユーザは、見出しラベルを構成する第四見出しラベルの長さを印刷装置に設定する手間を省くことができる。このためユーザは、見出しラベルを短時間で容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】印刷システム1の概要を示す図である。
【図2】印刷装置2および印刷データ作成装置3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】背表紙ラベル41を示す図である。
【図4】背表紙ラベル41が書物61に貼付された状態を示す図である。
【図5】見出しラベル51を示す図である。
【図6】見出しラベル51が書物61に貼付された状態を示す図である。
【図7】テーブル71を示す図である。
【図8】第一実施例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】第一作成処理を示すフローチャートである。
【図10】第二作成処理を示すフローチャートである。
【図11】第二実施例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図12】第三実施例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一実施例>
以下、本発明の第一実施例について、図面を参照して説明する。図1を参照して、第一実施形態に係る印刷システム1の構成について説明する。印刷システム1は、印刷装置2および印刷データ作成装置3を備えている。印刷装置2は、通信ケーブルによって印刷データ作成装置3と接続している。
【0020】
印刷装置2は、書物や紙束、冊子等(以下、単に「書物」という。)の表紙、背表紙、および裏表紙に亙って貼付されるラベルを作成する。なお書物には、上製本された書物の他、中綴じ製本された書物も含まれる。印刷装置2の内部には、巻回されたテープ状の印刷媒体50を備えたテープカセット(図示外)が格納される。印刷媒体50の裏面には、粘着剤が予め塗布されていてもよい。粘着剤には、剥離紙が予め貼付されていてもよい。印刷装置2は、書物の内容等を示す情報を印刷媒体50に印刷することによって、ラベルを作成する。印刷装置2が印刷を実行する場合、テープカセットから印刷媒体50が引き出されて、印刷媒体50に対して印刷が行われる。印刷された印刷媒体50は切断され、外部に排出される。このようにしてラベルは作成される。作成されたラベルは、ユーザによって書物に貼付される。
【0021】
印刷データ作成装置3は、印刷装置2がラベルを作成するために必要なデータ(以下、印刷データという。)を作成する。印刷データ作成装置3として、例えばパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)が使用される。なお、図1の印刷システム1では、印刷データ作成装置3は印刷装置2と通信ケーブルを介して直接接続している。あるいは、印刷データ作成装置3は、印刷装置2とネットワークを介して接続してもよい。
【0022】
図2を参照して、印刷データ作成装置3の電気的構成について説明する。印刷データ作成装置3は、印刷データ作成装置3の制御を行うCPU301を備えている。CPU301は、ハードディスクドライブ(以下、HDD)302、RAM303、通信インターフェイス(以下、通信I/Fという。)304、入力回路305B、及び出力回路306と接続している。
【0023】
HDD302には、CPU301が実行する各種プログラム、および後述するテーブル71(図7参照)が記憶される。RAM303には、種々の一時データが記憶される。入力部305は、例えば、マウス、キーボード、及びタッチパネル等であり、入力回路305Bは、CPU301へ入力部305からの指示を送る制御を行う。出力回路306は、CPU301からの指示に応じてディスプレイ307に画像を表示する制御を行う。通信I/F304は、印刷装置2と通信を行うためのインターフェイスである。通信I/F304は、印刷装置2の通信I/F206(後述)と接続している。CPU301は、通信I/F304を介して印刷装置2と通信を行う。
【0024】
印刷装置2の電気的構成について説明する。印刷装置2は、印刷装置2の制御を行うCPU201を備えている。CPU201は、ROM202、フラッシュメモリ203、RAM204、CGROM205、通信I/F206、入力部207、及び駆動回路209〜211に接続されている。
【0025】
ROM202には、CPU201が実行する各種プログラムが記憶される。フラッシュメモリ203には、種々の設定用データが記憶される。RAM204には、種々の一時データが記憶される。CGROM205には、種々のキャラクタ(文字、数字、及び図形等)を印刷媒体50に印刷するための印刷用のドットパターンデータが記憶されている。入力部207は、印刷装置2に対して入力操作を行うためのボタンである。駆動回路209は、サーマルヘッド213を駆動するための電子回路である。CPU201は、駆動回路209を介して、サーマルヘッド213を制御し、印刷媒体50に印刷を行うことができる。駆動回路210は、印刷装置2の内部で巻回された印刷媒体50を外部に搬送するためのテープ送りモータ214を駆動するための電子回路である。駆動回路211は、印刷済みの印刷媒体50を切断したり、印刷媒体50にミシン目を形成させたりする移動刃(図示外)を動作させるカッターモータ215を駆動するための電子回路である。
【0026】
図3から図6を参照し、印刷データ作成装置3において作成された印刷データに基づき、印刷装置2が作成するラベル(背表紙ラベル41(図3および図4参照)および見出しラベル51(図5および図6参照)について説明する。はじめに図3および図4を参照し、背表紙ラベル41について説明する。図3に示すように、背表紙ラベル41は略長方形状を有している。背表紙ラベル41は、第一背表紙ラベル部411、第二背表紙ラベル部412、および第三背表紙ラベル部413を備えている。第一背表紙ラベル部411、第二背表紙ラベル部412、および第三背表紙ラベル部413は、それぞれ、背表紙ラベル41を短辺方向(図3の左右方向)に三分割したそれぞれの部分のうち、一方側の端部分、真ん中部分、および他方側の端部分に相当する。第一背表紙ラベル部411、第二背表紙ラベル部412、および第三背表紙ラベル部413の短辺方向の長さは、それぞれ、P、Q、Rである。第一背表紙ラベル部411と第二背表紙ラベル部412との間の境界部分に、ミシン目414が設けられている。第二背表紙ラベル部412と第三背表紙ラベル部413との間の境界部分に、ミシン目415が設けられている。背表紙ラベル41は、ミシン目414、415の部分で容易に曲折させることができる。第二背表紙ラベル部412には、書物61(図4参照、後述)の内容等を示す文字416が印刷される。
【0027】
図4は、背表紙ラベル41が書物61に貼付された状態を示している。背表紙ラベル41の長辺方向(図3の上下方向)と書物61の上下方向(図4の上下方向)とが一致する向きで、背表紙ラベル41は書物61に貼付される。第一背表紙ラベル部411は、書物61の一方の表紙611の表面、且つ、書物61の背表紙612と近接する部分に貼付される。第二背表紙ラベル部412は、表紙611の表面に貼付された状態の第一背表紙ラベル部411のうち背表紙612側の端部から、背表紙612に沿って延びる。背表紙ラベル41は、ミシン目414の部分で曲折し、書物61に沿って延びる。第二背表紙ラベル部412は、背表紙612に貼付される。文字416は、書物61の背表紙612の部分に配置する。第三背表紙ラベル部413は、第二背表紙ラベル部412のうち第一背表紙ラベル部411と接続する側と反対側の端部から、書物61の他方の表紙613に沿って延びる。背表紙ラベル41は、ミシン目415の部分で曲折し、書物61に沿って延びる。第三背表紙ラベル部413は、他方の表紙613の表面、且つ、背表紙612と近接する部分に貼付される。
【0028】
図5および図6を参照し、見出しラベル51について説明する。図5に示すように、見出しラベル51は略長方形状を有している。見出しラベル51は、第一見出しラベル部511、第二見出しラベル部512、第三見出しラベル部513、第四見出しラベル部514、および、第五見出しラベル部515を備えている。第一見出しラベル部511、第二見出しラベル部512、第三見出しラベル部513、第四見出しラベル部514、および、第五見出しラベル部515は、それぞれ、見出しラベル51を短辺方向(図5の左右方向)に五分割したそれぞれの部分のうち、一方側の端部分、一方側の端部分に隣接する部分、真ん中部分、他方側の端部に隣接する部分、および、他方側の端部分に相当する。第一見出しラベル部511、第二見出しラベル部512、第三見出しラベル部513、第四見出しラベル部514、および、第五見出しラベル部515の短辺方向の長さは、それぞれ、A、B、C、D、Eである。
【0029】
第一見出しラベル部511と第二見出しラベル部512との間の境界部分、第二見出しラベル部512と第三見出しラベル部513との間の境界部分、第三見出しラベル部513と第四見出しラベル部514との間の境界部分、および、第四見出しラベル部514と第五見出しラベル部515との間の境界部分に、それぞれ、ミシン目516、517、518、および519が設けられている。見出しラベル51は、ミシン目516〜519の部分で容易に曲折させることができる。第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513には、書物61(図6参照)の内容等を示す第一文字520および第二文字521が印刷される。
【0030】
図6は、見出しラベル51が書物61に貼付された状態を示している。見出しラベル51の長辺方向(図5の上下方向)と書物61の上下方向(図6の上下方向)とが一致する向きで、見出しラベル51は書物61に貼付される。第一見出しラベル部511は、書物61の一方の表紙611の表面、且つ、書物61の背表紙612と近接する部分に貼付される。第二見出しラベル部512は、表紙611の表面に貼付された状態の第一見出しラベル部511のうち背表紙612側の端部から、背表紙612と離隔する方向に延びる。ミシン目517の部分で見出しラベル51は曲折している。第三見出しラベル部513は、第二見出しラベル部512のうち第一見出しラベル部511と接続する側と反対側の端部から、第二見出しラベル部512に沿って延びる。第一文字520(図5参照)および第二文字521は、書物61の背表紙612から外方に向けて突出した状態の第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513に配置する。見出しラベル51は、ミシン目518の部分で曲折する。第四見出しラベル部514は、第三見出しラベル部513のうち第二見出しラベル部512と接続する側と反対側の端部から、背表紙612に沿って延びる。第四見出しラベル部514は、背表紙612に貼付される。第四見出しラベル部514には、後述するように文字は印刷できないので、書物61の背表紙612に文字は配置しない。見出しラベル51は、ミシン目519の部分で曲折している。第五見出しラベル部515は、第四見出しラベル部514のうち第三見出しラベル部513と接続する側と反対側の端部から、他方の表紙613に沿って延びる。第五見出しラベル部515は、他方の表紙613の表面、且つ、背表紙612と近接する部分に貼付される。
【0031】
印刷データ作成装置3は、書物61の背表紙612の幅方向の長さ(以下、「背表紙長」という。)が所定値以上である場合、背表紙ラベル41を作成するための印刷データを作成する。この場合、背表紙長は十分大きいため、背表紙長に収まる大きさで文字416が第二背表紙ラベル部412に印刷された場合に、ユーザは文字416を良好に認識できるためである。従ってユーザは、背表紙ラベル41が貼付された書物61が書棚に陳列された場合に、文字416を認識することによって書物61の内容を容易に確認し、所望する書物61を適切に選択できる。
【0032】
一方、印刷データ作成装置3は、背表紙長が所定値未満である場合、見出しラベル51を作成するための印刷データを作成する。前述と同様、背表紙ラベル41を作成するための印刷データが作成され、印刷データに基づいて背表紙ラベル41が作成された場合、背表紙長が小さいため、第二背表紙ラベル部412に収まる大きさで印刷された文字416をユーザが良好に認識できない可能性があるためである。
【0033】
これに対し、見出しラベル51を作成するための印刷データが作成され、印刷データに基づいて見出しラベル51が作成された場合、第四見出しラベル部514には文字が印刷されないので、書物61の背表紙612に配置された文字をユーザが認識できないという問題は発生しない。さらに見出しラベル51では、背表紙612から外方に突出する第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513に、第一文字520および第二文字521が印刷される。このため、第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513の短辺方向の長さB、Cを調整することによって、ユーザが良好に認識できる大きさの第一文字520および第二文字521を、第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513に印刷できる。さらに書物61が書棚に陳列された状態で、第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513は背表紙612から突出する。このためユーザは、この部分を捲って確認することによって、書物61を書棚から取り出すことなく書物61の内容を確認し、所望する書物61を容易に選択することができる。
【0034】
図7を参照し、印刷データ作成装置3のHDD302に記憶されるテーブル71について説明する。テーブル71には、背表紙ラベル41および見出しラベル51に対応する印刷データを作成する場合にCPU301が参照するパラメータが記憶される。背表紙ラベル41に対応するパラメータとして、P、Q、R、および文字が記憶されている。見出しラベル51に対応するパラメータとして、A、B、C、D、E、第一文字、および第二文字が記憶されている。
【0035】
背表紙ラベル41に対応するパラメータについて説明する。P、Q、Rは、それぞれ、第一背表紙ラベル部411、第二背表紙ラベル部412、および第三背表紙ラベル部413のそれぞれの短辺方向の長さを示す。文字は、第二背表紙ラベル部412に印刷される文字416を示す。これらのうち、PおよびRは、規定値として予めテーブル71に記憶されている。Qは、ユーザが入力した背表紙長に所定のマージンを加算することによって算出される。文字は、ユーザによって入力される。各パラメータに基づき印刷データが作成される場合の具体的方法については後述する。
【0036】
見出しラベル51に対応するパラメータについて説明する。A、B、C、D、Eは、それぞれ、第一見出しラベル部511、第二見出しラベル部512、第三見出しラベル部513、第四見出しラベル部514、および第五見出しラベル部515のそれぞれの短辺方向の長さを示す。第一文字は、第二見出しラベル部512に印刷される第一文字520を示す。第二文字は、第三見出しラベル部513に印刷される第二文字521を示す。これらのうち、AおよびEは、規定値として予めテーブル71に記憶されている。BおよびCは同値であり、ユーザによって入力される。Dは、ユーザが入力した背表紙長に所定のマージンを加算することによって算出される。第一文字および第二文字は、ユーザによって入力される。各パラメータに基づき印刷データが作成される場合の具体的方法については後述する。
【0037】
図8を参照し、印刷データ作成装置3のCPU301において実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、ユーザがメイン処理を開始する指示を入力した場合に開始される。メイン処理が開始されると、CPU301は、書物61の背表紙長を入力することが可能な画面をディスプレイ307(図2参照)に表示し、背表紙長の入力をユーザに促す。ユーザが、入力部305(図2参照)を介して背表紙長を入力したとする。CPU301は、入力された背表紙長を取得する(S11)。CPU301は、取得した背表紙長が、文字が印刷可能な幅である所定値(例えば2mm)未満であるかを判断する(S13)。CPU301は、取得した背表紙長が所定値未満である場合(S13:YES)、印刷装置2が見出しラベル51を作成するために必要な印刷データを作成する(S15〜S23)。一方、CPU301は、取得した背表紙長が、文字が印刷可能な幅である所定値以上である場合(S13:NO)、印刷装置2が背表紙ラベル41を作成するために必要な印刷データを作成する(S25〜S29)。以下詳説する。
【0038】
取得した背表紙長が所定値未満である場合(S13:YES)、CPU301は、S11で取得した背表紙長に所定のマージン(例えば0.5mm)を加算することによって、Dを算出する(S15)。CPU301は、算出したDをテーブル71(図7参照)に記憶する(S15)。Dは、見出しラベル51のうち書物61の背表紙612に貼付される第四見出しラベル部514の短辺方向の長さに相当する。このためCPU301は、上述のようにしてDを算出し、印刷データを作成することによって、書物61の背表紙612に正確に貼付することが可能な第四見出しラベル部514を作成できる。
【0039】
CPU301は、BおよびCを入力することが可能な画面をディスプレイ307に表示し、BおよびCの入力をユーザに促す。ユーザが、入力部305を介してBおよびCを入力したとする。CPU301は、入力されたBおよびCを取得する(S17)。CPU301は、取得したBおよびCをテーブル71(図7参照)に記憶する(S17)。
【0040】
次にCPU301は、第一文字520(図5参照)を入力することが可能な画面をディスプレイ307に表示し、第一文字520の入力をユーザに促す。ユーザが入力部305を介して第一文字520を入力したとする。CPU301は、入力された第一文字520を取得する(S19)。CPU301は、取得した第一文字520をテーブル71に記憶する(S19)。次にCPU301は、第二文字521(図5参照)を入力することが可能な画面をディスプレイ307に表示し、第二文字521の入力をユーザに促す。ユーザが入力部305を介して第二文字521を入力したとする。CPU301は、入力された第二文字521を取得する(S21)。CPU301は、取得した第二文字521をテーブル71に記憶する(S21)。以上までの処理によって、見出しラベル51に対応するパラメータ(A、B、C、D、E、第一文字、および第二文字)がすべてテーブル71に記憶されたことになる。
【0041】
CPU301は、テーブル71に記憶されたパラメータに基づいて、印刷装置2が見出しラベル51を作成するために必要な印刷データを作成する処理(第一作成処理、図9参照)を実行する(S23)。図9を参照し、第一作成処理について説明する。CPU301は、印刷媒体50(図1参照)をA分搬送し、その後、ミシン目516(図5参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S41)。次にCPU301は、印刷媒体50をB分搬送しながら第一文字520を印刷し、その後、ミシン目517(図5参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S43)。次にCPU301は、印刷媒体50をC分搬送しながら第二文字521(図5参照)を印刷し、その後、ミシン目518(図5参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S45)。次にCPU301は、印刷媒体50をD分搬送し、その後、ミシン目519(図5参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S47)。最後にCPU301は、印刷媒体50をE分搬送し、その後、印刷媒体50を切断する動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S49)。以上によって、見出しラベル51を作成するために必要な印刷データが作成される。第一作成処理は終了し、処理はメイン処理(図8参照)に戻る。
【0042】
図8に示すように、第一作成処理(図9参照)の終了後、CPU301は、作成した印刷データを、通信ケーブルを介して印刷装置2に送信する(S31)。メイン処理は終了する。なお印刷装置2は、印刷データ作成装置3から受信した印刷データに基づき、サーマルヘッド213(図2参照)、テープ送りモータ214(図2参照)、およびカッターモータ215(図2参照)を駆動する。これによって印刷装置2は、見出しラベル51の短辺方向に沿って印刷媒体50を搬送しつつ、印刷媒体50上に、ミシン目516、第一文字520、ミシン目517、第二文字521、ミシン目518、およびミシン目519を順に形成させることによって、見出しラベル51を作成する。
【0043】
一方、CPU301は、S11で取得した背表紙長が所定値以上であった場合(S13:NO)、背表紙長に所定のマージン(例えば0.5mm)を加算することによって、Qを算出する(S25)。CPU301は、算出したQをテーブル71に記憶する(S25)。Qは、背表紙ラベル41のうち書物61の背表紙612に貼付される第二背表紙ラベル部412の短辺方向の長さに相当する。このためCPU301は、上述のようにしてQを算出し、印刷データを作成することによって、書物61の背表紙612に正確に貼付することが可能な第二背表紙ラベル部412を作成できる。
【0044】
次にCPU301は、文字416(図3参照)を入力することが可能な画面をディスプレイ307に表示し、文字416の入力をユーザに促す。ユーザが入力部305を介して文字416を入力したとする。CPU301は、入力された文字416を取得する(S27)。CPU301は、取得した文字416をテーブル71に記憶する(S27)。以上までの処理によって、背表紙ラベル41に対応するパラメータ(P、Q、R、および文字)がすべてテーブル71に記憶されたことになる。
【0045】
CPU301は、テーブル71に記憶されたパラメータに基づいて、印刷装置2が背表紙ラベル41を作成するために必要な印刷データを作成する処理(第二作成処理、図10参照)を実行する(S29)。図10を参照し、第二作成処理について説明する。CPU301は、印刷媒体50をP分搬送し、その後、ミシン目414(図3参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S51)。次にCPU301は、印刷媒体50をQ分搬送しながら文字416を印刷し、その後、ミシン目415(図3参照)を印刷媒体50に形成させる動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S53)。最後にCPU301は、印刷媒体50をR分搬送し、その後、印刷媒体50を切断する動作を印刷装置2が実行するように、印刷データを設定する(S55)。以上によって、背表紙ラベル41を作成するために必要な印刷データが作成される。第二作成処理は終了し、処理はメイン処理(図8参照)に戻る。
【0046】
図8に示すように、第二作成処理(図10参照)の終了後、CPU301は、作成した印刷データを、通信ケーブルを介して印刷装置2に送信する(S31)。メイン処理は終了する。なお印刷装置2は、印刷データ作成装置3から受信した印刷データに基づき、サーマルヘッド213(図2参照)、テープ送りモータ214(図2参照)、およびカッターモータ215(図2参照)を駆動する。これによって印刷装置2は、背表紙ラベル41の短辺方向に沿って印刷媒体50を搬送しつつ、印刷媒体50上に、ミシン目414、文字416、およびミシン目415を順に形成させることによって、背表紙ラベル41を作成する。
【0047】
以上説明したように、第一実施例において印刷データ作成装置3は、背表紙長が短い場合に、見出しラベル51の印刷データを作成し、背表紙長が長い場合に、背表紙ラベル41の印刷データを作成できる。見出しラベル51では、第二見出しラベル部512に第一文字520が印刷され、第三見出しラベル部513に第二文字521が印刷される。このため印刷データ作成装置3は、第二見出しラベル部512の短辺の長さB、および、第三見出しラベル部513の短辺の長さCを調整することによって、第一文字520および第二文字521を十分な大きさで印刷することが可能な印刷データを作成できる。従ってユーザは、作成された印刷データに基づいて印刷装置2が作成した見出しラベル51を書物61に貼付することによって、背表紙長の短い書物61を書棚等に陳列した状態でも、第二見出しラベル部512に印刷された第一文字520、および、第三見出しラベル部513に印刷された第二文字521を参照することによって、所望する書物61を容易且つ正確に選択できる。
【0048】
また印刷データ作成装置3は、背表紙ラベル41の折り目の部分にミシン目414、415(図3参照)を設け、見出しラベル51にの折り目の部分にミシン目516〜519(図5参照)を設けることが可能な印刷データを作成する。これによってユーザは、印刷装置2が作成した背表紙ラベル41および見出しラベル51を、所定の折り目部分で正確に折り曲げることができる。これによってユーザは、折り目の部分を書物61の縁に容易に揃えることができるので、背表紙ラベル41および見出しラベル51を書物61に正確に貼付できる。
【0049】
また印刷データ作成装置3は、背表紙ラベル41のP、R、および、見出しラベル51のA、Eを規定値として予めテーブル71に記憶する。これによって、背表紙ラベル41および見出しラベル51を構成する各部位の長さを印刷データ作成装置3に設定する手間を省くことができる。このためユーザは、背表紙ラベル41および見出しラベル51を作成するための印刷データを短時間で容易に作成できる。
【0050】
また印刷データ作成装置3は、見出しラベル51を構成する第四見出しラベル部514の長さを、背表紙長に基づいて算出する。これによって印刷データ作成装置3は、第四見出しラベル部514の短辺方向の長さDをユーザが設定する手間を省くことができる。同様に印刷データ作成装置3は、背表紙ラベル41を構成する第二背表紙ラベル部412の長さを、背表紙長に基づいて算出する。これによって印刷データ作成装置3は、第二背表紙ラベル部412の短辺方向の長さQをユーザが設定する手間を省くことができる。従って、印刷データ作成装置3は、印刷データを作成する場合の作業を容易化し、且つ、作成時間を短縮できる。
【0051】
<第二実施例>
以下、本発明の第二実施例について説明する。第二実施例が第一実施例と異なる点は、メイン処理において、CPU301がユーザから文字サイズを取得し、取得した文字サイズに基づいて、ラベルの種別(背表紙ラベル41または見出しラベル51)を選択する点にある。印刷システム1の構成(図1参照)、印刷装置2および印刷データ作成装置3の電気的構成(図2参照)、背表紙ラベル41および見出しラベル51の構成(図3〜図6参照)、テーブル71(図7参照)等は、第一実施例と同一である。また以下では、第二実施例におけるメイン処理のうち、第一実施例におけるメイン処理と同一の処理部分について、同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0052】
図11を参照し、第二実施例におけるメイン処理について説明する。CPU301は、入力された背表紙長を取得する(S11)。次にCPU301は、文字の大きさ(以下、文字サイズという。)、および文字のフォント種別を入力することが可能な画面を、ディスプレイ307に表示し、文字サイズおよびフォント種別の入力をユーザに促す。ユーザが、文字サイズおよびフォント種別を、入力部305を介して入力したとする。CPU301は、入力された文字サイズおよびフォント種別を取得する(S61)。
【0053】
CPU301は、S61で取得した文字サイズに所定のマージン0.5mmを加算し、所定値を算出する。CPU301は、算出した所定値と、S11で取得した背表紙長とを比較する(S63)。取得した背表紙長が所定値未満である場合(S63:YES)、取得した文字サイズの文字416(図3参照)を背表紙ラベル41の第二背表紙ラベル部412に印刷すると、文字416が第二背表紙ラベル部412からはみ出してしまうことになる。この場合、CPU301は、印刷装置2が見出しラベル51を作成するために必要な印刷データを作成する(S15〜S23)。一方、取得した背表紙長が所定値以上である場合(S63:NO)、取得した文字サイズの文字416(図3参照)を背表紙ラベル41の第二背表紙ラベル部412に印刷することができる。この場合、CPU301は、印刷装置2が背表紙ラベル41を作成するために必要な印刷データを作成する(S25〜S29)。
【0054】
取得した背表紙長が所定値未満である場合(S63:YES)、CPU301は、S11で取得した背表紙長に所定のマージン(例えば0.5mm)を加算することによって、Dを算出し、テーブル71(図7参照)に記憶する(S15)。CPU301は、ユーザによって入力されたBおよびCを取得し、テーブル71に記憶する(S17)。
【0055】
CPU301は、第一文字520(図5参照)および第二文字521(図5参照)を、S61で取得した文字サイズで印刷できるか否かを、次のようにして判断する。CPU301は、S61で取得した文字サイズに0.5mmを加算し、所定値を算出する。CPU301は、算出した所定値と、S17で取得したB、Cとを比較する(S65)。B、Cが所定値以下となった場合(S65:NO)、S61で取得した文字サイズで第一文字520(図5参照)を第二見出しラベル部512に印刷すると、第一文字520は第二見出しラベル部512からはみ出してしまうことになる。同様に、S61で取得した文字サイズで第二文字521(図5参照)を第三見出しラベル部513に印刷すると、第二文字521は第三見出しラベル部513からはみ出してしまうことになる。このためCPU301は、第一文字520および第二文字521を印刷することができないと判断する。CPU301は、第一文字520を印刷することが可能な第二見出しラベル部512の短辺方向の長さB、および、第二文字521を印刷することが可能な第三見出しラベル部513の短辺方向の長さCを取得するために、処理はS17に戻る。
【0056】
一方、B、Cが所定値を超えた場合(S65:YES)、CPU301は、S61で取得した文字サイズで第一文字520を第二見出しラベル部512に印刷することができ、且つ、S61で取得した文字サイズで第二文字521を第三見出しラベル部513に印刷することができると判断する。CPU301は、見出しラベル51を作成するための印刷データを作成する処理を実行する(S19〜S23)。
【0057】
以上説明したように、第二実施例において、印刷データ作成装置3は、ユーザの所望する大きさの文字を第二背表紙ラベル部412に印刷することができない場合、背表紙ラベル41の代わりに見出しラベル51を作成する印刷データを作成することができる。またこの場合、印刷データ作成装置3は、ユーザの所望する大きさの文字を、第二見出しラベル部512および第三見出しラベル部513に印刷することができる。このためユーザは、第二見出しラベル部512に印刷された第一文字520、および、第三見出しラベル部513に印刷された第二文字521を参照し易くなるので、陳列された書物61の中から、所望する書物61を更に容易に選択できる。
【0058】
<第三実施例>
以下、本発明の第三実施例について説明する。第三実施例が第二実施例と異なる点は、メイン処理において、ラベルの種別を示す情報がユーザによって入力される点にある。CPU301は、入力された情報に基づいて、作成する印刷データに対応するラベルの種別を判断する。印刷システム1の構成(図1参照)、印刷装置2および印刷データ作成装置3の電気的構成(図2参照)、背表紙ラベル41および見出しラベル51の構成(図3〜図6参照)、テーブル71(図7参照)等は、第一実施例および第二実施例と同一である。また以下では、第三実施例におけるメイン処理のうち、第二実施例におけるメイン処理と同一の処理部分について、同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0059】
図12を参照し、第三実施例におけるメイン処理について説明する。CPU301は、入力された背表紙長を取得する(S11)。CPU301は、入力された文字サイズおよびフォント種別を取得する(S61)。CPU301は、作成される印刷データに対応するラベルの種別(背表紙ラベル41または見出しラベル51)を選択することが可能な選択画面を、ディスプレイ307に表示し、ラベルの種別の入力をユーザに促す。ユーザが入力部305を介して、ラベルの種別として見出しラベル51を選択したとする。CPU301は、入力されたラベルの種別を取得する(S73:YES)。CPU301は、見出しラベル51を作成するために必要な印刷データを作成する(S15、S17、S65、S19〜S23)。
【0060】
一方、ユーザが入力部305を介して、ラベルの種別として背表紙ラベル41を選択したとする(73:NO)。CPU301は、取得した背表紙長が所定値(例えば2mm)以上であるかを判断する(S75)。CPU301は、取得した背表紙長が所定値未満である場合(S75:NO)、十分な大きさの文字416(図3参照)を第二背表紙ラベル部412に印刷することができないので、ユーザから背表紙長を再度取得するために、処理はS11に戻る。一方、取得した背表紙長が所定値以上である場合(S75:YES)、ユーザが良好に認識できる程度の大きさの文字416を第二背表紙ラベル部412に印刷することができるので、背表紙ラベル41を作成するために必要な印刷データを作成する(S25〜S29)。
【0061】
以上説明したように、第三実施例において、印刷データ作成装置3は、ユーザからの指示に応じて、作成する印刷データに対応するラベルの種別(背表紙ラベル41または見出しラベル51)を選択することができる。これによってユーザは、所望する種別のラベルを印刷装置2に作成させることが可能となる。
【0062】
なお本発明は上述の実施例に限定されず、種々の変更が可能である。上述の実施例において、CPU301は、作成した印刷データを通信ケーブルを介して印刷装置2に対して送信した。印刷装置2は、印刷データ作成装置3から受信した印刷データに基づいて、背表紙ラベル41または見出しラベル51を作成した。これに対し、印刷装置2のCPU201が印刷データを作成し、同時に、作成した印刷データに基づいて、背表紙ラベル41または見出しラベル51を作成してもよい。この場合、テーブル71(図7参照)はフラッシュメモリ203に記憶される。図8、図11、および図12において示されるメイン処理の各ステップが、印刷装置2のCPU201において実行される。なおS31において、上述の実施例と異なり、CPU201は、第一作成処理(S23)および第二作成処理(S29)によって作成された印刷データに基づき、サーマルヘッド213(図2参照)、テープ送りモータ214(図2参照)、およびカッターモータ215(図2参照)を駆動する。これによって印刷装置2は、背表紙ラベル41の印刷データが作成された場合、背表紙ラベル41の短辺方向に沿って印刷媒体50を搬送しつつ、印刷媒体50上に、ミシン目414、文字416、およびミシン目415を順に形成させることによって、背表紙ラベル41を作成する。また印刷装置2は、見出しラベル51の印刷データが作成された場合、見出しラベル51の短辺方向に沿って印刷媒体50を搬送しつつ、印刷媒体50上に、ミシン目516、第一文字520、ミシン目517、第二文字521、ミシン目518、およびミシン目519を順に形成させることによって、見出しラベル51を作成する。
【0063】
背表紙長を判断する場合に使用された所定値の特定方法は、第二実施例における方法、すなわち、文字サイズに0.5mmを加算することによって算出する方法に限定されない。例えば、ユーザによって入力された値を所定値としてそのまま使用してもよい。また所定値は、フォントの種類や文字数等に基づき特定されてもよい。例えば英語フォントである場合、日本語フォントである場合と比較して、所定値を小さくしてもよい。
【0064】
上述では、背表紙ラベル41の折り目に相当する部分にミシン目414、415が設けられ、見出しラベル51の折り目に相当する部分にミシン目516〜519が設けられるように、印刷データが作成された。ミシン目が設けられる部分は、これらの部分のうち一部分であってもよい。また、ミシン目414、415、516〜519の代わりに線分が印刷されるように、印刷データが作成されてもよい。ミシン目の代わりに線分が印刷された場合も、ユーザは、折り目の部分を書物61の縁に容易に揃えることができるので、背表紙ラベル41および見出しラベル51を書物61に正確に貼付できる。
【0065】
上述では、背表紙ラベル41のうち短辺方向の長さP、R、および、見出しラベル51のうち短辺方向の長さA、Eが、既定値として予めテーブル71に記憶されていた。これに加え、B、Cも規定値として予めテーブル71に記憶してもよい。これによって、ユーザが印刷データを作成する場合の作業を更に簡素化することができる。また、P、R、A、Eをユーザから取得し、テーブル71に記憶してもよい。さらに、P、R、A、Eは、背表紙長に基づいて算出されてもよい。例えば背表紙長が大きい場合、背表紙長が大きい場合と比較して大きな値のP、R、A、Eを算出してもよい。このようにして作成された印刷データに基づき作成されたラベルは、背表紙長の大きな書物61に対して確実に貼付される。
【0066】
上述では、背表紙ラベル41における第二背表紙ラベル部412の短辺方向の長さQ、および、見出しラベル51における第四見出しラベル部514の短辺方向の長さDは、背表紙長に基づいて算出されていた。これに対し、QまたはDは、印刷データ作成装置3に対してユーザが入力してもよい。CPU301は、入力されたQまたはDをテーブル71に記憶してもよい。
【0067】
作成された背表紙ラベル41および見出しラベル51は、製本された状態の書物の背表紙部分に貼付されるばかりでなく、例えば、製本されていない状態の紙束の一辺を綴じて束ねることによって、紙束を製本するために使用されてもよい。
【0068】
なお、S11の処理を行うCPU201またはCPU301が、本発明の「第一取得手段」に相当する。S23の処理を行うCPU201またはCPU301が、本発明の「作成手段」に相当する。S61の処理を行うCPU201またはCPU301が、本発明の「第二取得手段」に相当する。見出しラベル51における各長さA、B、C、D、Eを格納するテーブル71を記憶したHDD302またはフラッシュメモリ203が、本発明の「記憶手段」に相当する。
【符号の説明】
【0069】
1 印刷システム
2 印刷装置
3 印刷データ作成装置
41 背表紙ラベル
50 印刷媒体
51 見出しラベル
61 書物
71 テーブル
203 フラッシュメモリ
302 HDD
411 第一背表紙ラベル部
412 第二背表紙ラベル部
413 第三背表紙ラベル部
414、415 ミシン目
416 文字
511 第一見出しラベル部
512 第二見出しラベル部
513 第三見出しラベル部
514 第四見出しラベル部
515 第五見出しラベル部
516、517、518、519 ミシン目
520 第一文字
521 第二文字
611 表紙
612 背表紙
613 表紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書物の背表紙に貼付するラベルであって情報が印刷されたラベルを作成するための印刷データを作成する印刷データ作成装置であって、
前記書物の背表紙の幅方向の長さである背表紙長を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長が、前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、見出しラベルを作成するための印刷データを作成する作成手段と
を備え、
前記見出しラベルは、
前記書物の一方の表紙の表面、且つ、前記書物の背表紙と近接する部分に少なくとも貼付される第一見出しラベル部、
前記書物の一方の表紙の表面に貼付された前記第一見出しラベル部の前記背表紙側の端部から、前記背表紙と離隔する方向に延び、情報が印刷される第二見出しラベル部、
前記第二見出しラベル部のうち前記第一見出しラベル部と接続する側と反対側の端部に接続し、前記背表紙側に曲折して前記第二見出しラベルに沿って延び、情報が印刷される第三見出しラベル部、
前記第三見出しラベル部のうち前記第二見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から前記背表紙に沿って延び、前記背表紙に貼付される第四見出しラベル部、および、
前記第四見出しラベル部のうち前記第三見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から、他方の前記表紙に沿って延び、前記他方の表紙に貼付される第五見出しラベル部を備えたことを特徴とする印刷データ作成装置。
【請求項2】
文字サイズを取得する第二取得手段を備え、
前記作成手段は、
前記第二取得手段によって取得された前記文字サイズに基づいて前記ラベルを作成可能な所定値を特定し、前記ラベルを作成可能な所定値と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長とを比較し、前記背表紙長が前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、前記見出しラベルを作成するための前記印刷データを作成することを特徴とする請求項1に記載の印刷データ作成装置。
【請求項3】
前記作成手段は、
前記見出しラベルの前記第一見出しラベル部と前記第二見出しラベル部との境界部分、前記第二見出しラベル部と前記第三見出しラベル部との境界部分、前記第三見出しラベル部と前記第四見出しラベル部との境界部分、および、前記第四見出しラベル部と前記第五見出しラベル部との境界部分のうち少なくともいずれかに、線分を印刷するか、または、ミシン目を設けるためのデータを作成することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷データ作成装置。
【請求項4】
前記第一見出しラベル部、前記第二見出しラベル部、前記第三見出しラベル部、および、前記第五見出しラベル部の幅方向の長さのうち少なくともいずれかを記憶する記憶手段を備え、
前記作成手段は、
前記記憶手段に記憶された前記長さに基づいて、前記見出しラベルを作成するための印刷データを作成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷データ作成装置。
【請求項5】
前記第四見出しラベル部の幅方向の長さは、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長に基づいて特定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷データ作成装置。
【請求項6】
書物の背表紙に貼付するラベルであって情報が印刷されたラベルを作成する印刷装置であって、
前記書物の背表紙の幅方向の長さである背表紙長を取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長が、前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、見出しラベルを作成する作成手段と
を備え、
前記見出しラベルは、
前記書物の一方の表紙の表面、且つ、前記書物の背表紙と近接する部分に少なくとも貼付される第一見出しラベル部、
前記書物の一方の表紙の表面に貼付された前記第一見出しラベル部の前記背表紙側の端部から、前記背表紙と離隔する方向に延び、情報が印刷される第二見出しラベル部、
前記第二見出しラベル部のうち前記第一見出しラベル部と接続する側と反対側の端部に接続し、前記背表紙側に曲折して前記第二見出しラベルに沿って延び、情報が印刷される第三見出しラベル部、
前記第三見出しラベル部のうち前記第二見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から前記背表紙に沿って延び、前記背表紙に貼付される第四見出しラベル部、および、
前記第四見出しラベル部のうち前記第三見出しラベル部と接続する側と反対側の端部から、他方の前記表紙に沿って延び、前記他方の表紙に貼付される第五見出しラベル部を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
文字サイズを取得する第二取得手段を備え、
前記作成手段は、
前記第二取得手段によって取得された前記文字サイズに基づいて前記ラベルを作成可能な所定値を特定し、前記ラベルを作成可能な所定値と、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長とを比較し、前記背表紙長が前記ラベルを作成可能な所定値未満である場合、前記見出しラベルを作成することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記作成手段は、
前記見出しラベルの前記第一見出しラベル部と前記第二見出しラベル部との境界部分、前記第二見出しラベル部と前記第三見出しラベル部との境界部分、前記第三見出しラベル部と前記第四見出しラベル部との境界部分、および、前記第四見出しラベル部と前記第五見出しラベル部との境界部分のうち少なくともいずれかに、境界線を印刷するか、または、ミシン目を設けることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第一見出しラベル部、前記第二見出しラベル部、前記第三見出しラベル部、および、前記第五見出しラベル部の幅方向の長さのうち少なくともいずれかを記憶する記憶手段を備え、
前記作成手段は、
前記記憶手段に記憶された前記長さに基づいて基材を搬送し、且つ、前記基材に情報を印刷することによって、前記見出しラベルを作成することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第四見出しラベル部の幅方向の長さは、前記第一取得手段によって取得された前記背表紙長に基づいて特定されることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97476(P2013−97476A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238104(P2011−238104)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】