説明

印刷パターンとエンボスパターンとを有する婦人衛生物品

トップシート(16)とバックシート(20)とを備える、パンティライナーなどの婦人衛生物品(10)である。この物品は、印刷パターン(12)とエンボスパターン(12)とを更に備える。エンボスパターン(14)は、少なくとも1つのエンボス装飾要素(140)を含み、印刷パターン(12)は、エンボス装飾要素(140)と実質的に類似した印刷装飾要素(120)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティライナー又は生理用ナプキンなど、個人向けの婦人衛生用吸収性物品に関する。本発明の物品は、印刷パターンとエンボスパターンとを備える。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン(パッドとも呼ばれる)などの婦人衛生物品は、月経分泌物及び他の身体排泄物を受容し収容するために、女性によって月経期の間に使用されることができる。しばしばパンティライナーと呼ばれる婦人衛生物品はまた、軽度ながら身体的に必要とする女性によって、又は一般的な衛生及び清潔さのために月経期以外に使用されることができる。失禁パッドなどの他の婦人衛生物品が、同様に、軽度な尿失禁の管理のために、ユーザーの尿生殖部と下着との間で着用される。
【0003】
通常、婦人衛生物品の身体に面する側面(すなわちトップシート)はエンボス加工される。例えば、エンボス加工された溝は、流体の浸透性の改善、横漏れの防止、及び/又は製品の快適性の改善という点において、利点をもたらすことができる。エンボス加工はまた、様々な層を互いに接合し、かつ/又は、物品の身体に面する側面の外観を改善するために使用されてもよい。
【0004】
婦人衛生物品は、時には、物品の層のうちの1つに印刷パターンを与えられる。しかしながら、皮膚に直に接触して、すなわち物品のトップシート上に染料又はインクが存在することに対し、消費者の嫌悪感が存在する。それゆえに、装飾的な印刷パターンを備える婦人衛生製品は少数である。
【0005】
国際公開第2004/006818(A1)号には、身体に接触する表面を通じて視認可能な図形を有する吸収性物品が開示されており、その図形は、バックシートの身体に面する表面又はトップシートの衣類に面する側面上に印刷される。トップシート及び吸収性コアに、エンボス加工された溝を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/006818(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
婦人衛生物品に改善された全体的な外観を与えるという未解決の問題が存在する。特に、物品のトップシート上に染料又はインクが印刷されるという難点を伴うことなく、全体的な外観を改善させた物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トップシートとバックシートとを備える婦人衛生製品に関する。この物品は、印刷パターンとエンボスパターンとを更に備える。エンボスパターンは、少なくとも1つのエンボス装飾要素を含む。本発明の第1の態様において、印刷パターンは、エンボス装飾要素と実質的に類似した印刷装飾要素を含む。本発明の第2の態様において、吸収性コアがトップシートとバックシートとの間に存在し、印刷パターンは、バックシートなど、吸収性コアの下に位置する物品の層上に印刷される。第2の態様において、印刷パターンは、トップシートのコア領域(コアの上にある領域)の外側の、トップシートの少なくとも一部分を通じて視認可能であり、エンボスパターンは、コア領域内に少なくとも部分的にエンボス加工される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、添付の図面と共になされる好ましい実施形態の以下の説明により、より理解されると考えられる。添付の図面において、同様の参照符号は同一の要素を識別するものである。
【図1】本発明の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図2】図1の例示的な実施形態を構成する様々な層を示す、図1の物品の分解図。
【図3】本発明によるバックシートに形成される前の、壁紙の構成をなすいくつかの装飾要素を含む印刷パターンを有する不織布材の図。
【図4】本発明の別の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図5】本発明の別の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図6】本発明の別の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図7】本発明の別の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図8】本発明の別の実施形態の身体に面する側面の平面図。
【図9】図8のバックシートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に示しかつ明確に主張する特許請求の範囲で完結するが、本発明は以下の説明によってより深く理解されると考えられる。
【0011】
定義
特に明記しない限り、「備える/含む(comprising)」という用語は、他の特徴、工程、又は成分が、それらが婦人用の吸収性衛生物品に使用されるのに適する限り追加できるという包含的な意味として解釈される。冠詞「a」は、特に明記しない限り、「1つ以上(one or more)」として解釈される。したがって、例えば、「装飾要素」は、「1つ以上の装飾要素」を意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「婦人衛生物品」という用語は、通常は膣分泌物及び/又は尿漏れを吸収するために、女性によって外側から着用されるタイプの吸収性物品を指す。婦人衛生物品という用語は、一般にはパッド、パンティライナー、ライナー、生理用ナプキン、生理用タオル、又は陰唇間装置と呼ばれる物品を含む。これらの物品は、典型的には、ユーザーの下着によってユーザーの恥骨部に隣接して定位置に保持されるものであり、接着剤又は他の接合手段によって、その下着に固着することができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、「パターン」という用語は、概して、任意の形状、外形、図形、記号、及びそれらの組み合わせを指す。パターンの例は、円形又は波形などの純粋に抽象的な幾何学的形状であり、及び/又は、花に関連するパターンなどの自然の要素を喚起するもの、及び/又は、レースなどの特定の生地若しくは布地を喚起するものであることができる。本発明のエンボスパターン及び印刷パターンは通常、視覚的に認識可能である。エンボスパターンはまた、手触りによって認識可能であってもよい。
【0014】
吸収性物品10
図1は、本発明による例示的な婦人衛生物品10の身体に面する表面の平面図である。図示のこの特定の実施形態は、パンティライナー(pantiliner)(時に「ライナー」又は「パンティライナー(panty-liner)」と称される)の一例であるが、本発明が、それによって限定されることはない。婦人衛生物品は通常、概ね平坦な、身体に面する表面を有するが、ユーザーの解剖学的構造及び動きに適合するように概ね柔軟となっている。婦人衛生物品はまた、例えば、使用前のパッケージの寸法を減じるために、折り畳むことができる。本発明の物品は、印刷パターン12とエンボスパターン14とを備える。
【0015】
図2は、上部から下部に向かって次の層、つまり、コア領域24を有するトップシート16と、吸収性コア18と、バックシート20とを示す分解図における図1の物品を示す。また、バックシート20の外表面上の接着材料を覆うために使用されてもよい剥離可能なカバー22が示されている。物品の「上部」は、本明細書において、ユーザーの身体に向けられる物品の表面として定義され、「下部」は、本明細書において、物品の反対側の表面、すなわち女性の下着と概ね接触する表面として定義される。本明細書で使用するとき、「コア領域」という用語は、吸収性コア18のすぐ上にあるトップシート(すなわち、物品の身体に面する側面)の領域24を指す。
【0016】
図2に示すように、印刷パターン12は、コア18の下に置かれた層上に印刷されてもよく、したがって、インクがユーザーの皮膚に直に接触することが回避される。印刷パターン12が印刷される層は、図に示すように、バックシート20自体であってもよく、別の層が存在する場合はその別の層であってもよい。エンボスパターン14は、図に示すように、存在する場合はトップシート及び/又はコア上にエンボス加工されてもよい。
【0017】
剥離可能なカバー22は通常、婦人衛生物品に存在する。剥離可能なカバーは、使用前にバックシートの外側の側面上に存在してもよい接着剤を保護することができる。剥離可能なカバーは通常、吸収性製品10が下着内に配置されたときにユーザーによって廃棄される。剥離可能なカバーは、存在する場合は印刷されてもよいが、使用の時点で廃棄されるので、本発明の意義において、印刷パターンを備える印刷層とは見なされない。同様に、本明細書において物品の厚さについて言及するとき、剥離可能なカバー22の厚さは考慮されない。
【0018】
印刷パターン12
本発明の婦人衛生物品は、印刷パターン12を備え、この印刷パターン12は、物品のいずれの層に印刷されてもよい。しかしながら、印刷層がユーザーの皮膚と接触するのを回避するために、トップシートでない層上に印刷パターン12を印刷することが望ましい場合もある。このように、印刷パターン12を印刷するために使用された染料又はインクが、ユーザーの皮膚と接触することを回避することができる。このことは、使用されているインク又は染料がアレルギーなどの健康上の危険性を呈し得るという不安を一部のユーザーが持つため、望ましいものとなり得る。別の利点として、例えば良好な感触をもたらすために、ローションがトップシート上に使用される場合、そのローションが引き起こし得る、印刷パターン12の起こり得る「にじみ」が制限され得る。
【0019】
印刷パターン12は特に、吸収性コア18が存在する場合、その吸収性コアの下に位置する層のうちの1つに印刷されてもよい。図に表された実施形態において、印刷パターン12は、物品の、本来なら概ね白色のバックシート20上に印刷されているが、コア18の下の別の層が同様に又は代わりに印刷されてよいことも考慮される。例えば、印刷パターン12は、存在する場合、所望による第2のバックシート上に設けられてもよい。
【0020】
印刷層上の印刷パターン12の表面被覆率は、様々であってよい。しかしながら、印刷層の全表面の約2%〜約40%に及ぶ印刷表面被覆率を有することが望ましい場合もある。約2%未満では、印刷領域は十分に大きくない場合がある。約40%を超える表面被覆率では、使用されるインクの量の増加に起因するコストの増大、及び、費やされる乾燥時間の増加によって不利となる場合がある。したがって、約8%と約25%との間の表面被覆率が望ましく、良好な費用便益の釣り合いをもたらし得る。
【0021】
印刷パターン12は、フレキソ印刷又はグラビア印刷などの任意の通常の印刷方法で印刷することができる。印刷パターン12は、好都合にも、コア領域24の外側の物品10のトップシート16の少なくとも一部分25を通じて視認可能となるのに十分に色の付いたインクで印刷することができる。黒色、又は、例えば、ピンク色、青紫色、緑色、紫色、青色、黄色、金色、銀色など、若しくは様々な色の任意の組み合わせなどの色を含めて、任意の色付きのインクを使用してもよいが、これらに限定されるものではない。通常の印刷によって得られる印刷パターンに加えて、「印刷パターン」という用語は、典型的には印刷と呼ばれないこともあるが、同じか又は同様の効果をもたらす技法によって得られるパターンを含む。例えば、可塑性の不織布層(例えばバックシート)を熱捲縮し、その結果、後に半透明となる捲縮された領域が、インクで印刷された領域と同様の視覚的効果をもたらすことによって、同様の視覚的効果をもたらすことが可能となり得る。例えば、ユーザーのパンティが色付きである場合、パンティの色は、捲縮された範囲を通じて、視認性が高まる。
【0022】
通常の吸収性物品において、トップシート、より一般的には吸収性コアを除くすべての層は、ある程度まで透明か又は半透明である。したがって、印刷パターンが、トップシートでない層上に印刷される場合でも、印刷パターンは、輝度の比較的低いインクを使用すると、コア領域24の外側のトップシートの少なくとも領域25を通じて、依然として視認可能となることができる。第2のトップシートが存在する場合でも、そのような層はまた、通常は少なくとも部分的に半透明である。「視認可能である」によって、本発明者らは、白熱光で明るく照明された室内で約50cmの距離に物品を保持する、良好な視力(10/10)を両眼に有する被験者が、印刷パターンを見ることができることを意味している。それに対して、大部分の通常のコア材料は不透明であり、そのため、印刷パターン12は通常、コア18の下に位置する層20上に印刷パターン12が印刷される場合、コア領域24を通じて視認可能ではない。しかしながら、その場合、印刷パターン12は、トップシート16のコア領域24の外側にあるトップシート16の領域25を通じて視認可能である。
【0023】
本発明で必要となるものではないが、インクが液体をコアから外に「引き出す」のを防止するために、疎水特性を持つインクが望ましい場合もある。多くの市販のインクは溶剤系であり、したがって疎水効果をもたらすことが可能である。加えて、オイル又はワックスなどの疎水剤が、所望により市販のインク組成物に添加されてもよい。「溶剤系」インクは、様々な色素、樹脂又は結合剤、及びワックスなどの添加剤を担持するための移動相として水を使用しない。典型的には、「溶剤系」インクは、アルコール、エステル、脂肪族化合物、及び芳香族化合物などの様々な有機溶媒のうちの1つ以上を使用して、これらの構成成分を可溶化する。樹脂を十分に可溶化する溶剤は、一般に「活性」と呼ばれ、「活性」でないものは「希釈剤」と呼ばれる。典型的に、ポリアミド、セラック、ロジンエステル、ニトロセルロース、及びスチレンマレイン酸などの一般的な結合剤のタイプと共に脂肪族炭化水素を使用する溶剤系インクが、本明細書における使用に好適である。好適なインクの例が、サンケミカル/ハルトマン・ニーダーハウゼン/TS(Sunchemical/Hartmann Niederhausen/TS)により商標名P−3228/811 PMS 270ラベンダー(Lavender)又は商標名V8185/811 PMS 382グリーン(Green)として供給されている。「水性」インクは、典型的には水を主に移動相として使用する。水性インクはまた、製品の性能に実質的に悪影響を及ぼさない場合、本発明に好適となり得る。
【0024】
エンボスパターン14
本発明の物品はエンボスパターン14を備え、このエンボスパターン14は、物品10のトップシート16上に設けられることができる。図に示されるように、エンボスパターン14は、吸収性コア18が存在する場合、その吸収性コア18のすぐ上に位置するトップシートのコア領域24内に、実質的に完全に包囲されてもよい。また、コア18は、存在する場合、エンボスパターン14で少なくとも部分的にエンボス加工してもよい。通常のエンボス加工プロセスにおいて、トップシートと吸収性コアは、単一の工程で同時にエンボス加工されるのが通例であるが、これは必須ではない。本発明は、コア18の存在を必ずしも必要としないが、これは、通気性のあるカーディングされたトップシート又は他の層など、一部のトップシート層は、視認可能なエンボスを与えられるのに十分に厚くなり得るからである。しかしながら、本発明の範囲内においては、物品の吸収性を高めるため及び/又はエンボスパターンのエンボス加工を容易にするために、トップシートとバックシートとの間に位置する吸収性コアを有することが望ましい場合もある。また、エンボスは、コア領域24の外側のトップシートの領域25内に存在してもよい。
【0025】
エンボス加工は、熱接着、超音波接着、及び/又は加圧などの標準的な技法で達成することができる。好適なプロセスの一例が熱接着であり、熱接着において、層は、一方は視覚的パターンで彫刻され、もう一方は平坦である2つのスチールロールを通過する。特定の実施形態において、ロールの一方又は双方が、1つ以上の層を少なくとも部分的に溶融するのに適した温度(典型的な範囲は90℃〜170℃)に暖められる。
【0026】
エンボスロールは、大部分のエンボスパターンに対して機械加工などの通常の技法を使用して彫刻されてもよいが、より微細な彫刻を、したがって、より微細なエンボスパターンを施すためには、酸エッチング又はレーザー彫刻を使用することが好ましい場合もある。エンボスパターンは、国際公開第2004/006818号など、当該技術分野において既に開示されているエンボス加工された溝よりもはるかに薄い、比較的薄いエンボス形体を備えることが望ましい場合もある。薄いエンボス形体は、概して女性らしくかつ繊細な外観を物品に与えることができる。したがって、エンボス成形型は、特に約0.75mm未満の解像度(エンボス加工される線の最小太さ)で、限定はしないが特に約0.35mmと約0.60mmとの間での高精細なエンボス加工が可能であるべきである。同様に、印刷パターンの解像度(印刷される線の最小太さに対応する)は、約0.75mm未満、限定はしないが特に約0.35mmと約0.60mmとの間となることができる。
【0027】
印刷装飾要素120及びエンボス装飾要素140
本発明の印刷エンボスパターン12は、少なくとも1つのエンボス装飾要素120を含む。「装飾要素」によって、本発明者らは、審美的特徴を物品に与えることを主な機能とするエンボスパターン12の要素を意味しているが、装飾要素はまた、単に審美的であること以外の機能的な利点を有することもできる。例えば、エンボスパターン14はまた、一般に、流体の捕捉の改善又は層同士の接合を改善することもできる。しかしながら、国際公開第2004/006818号において開示されているエンボス加工された溝など、エンボスが、ただ単に又は主に機能的役割を有する場合、そのようなエンボスは、本発明の意義において装飾要素と見なされない。一般に、印刷パターン14は、装飾的であること以外の機能を有さず、そのため、印刷パターンは通常、印刷パターン自体が印刷装飾要素140である場合、印刷装飾要素140を常に有することになる。
【0028】
本発明者が見出したところによれば、エンボス装飾要素を含むエンボスパターンと印刷パターンとを有することで、特に、印刷パターンが、エンボス装飾要素と実質的に類似した印刷装飾要素を含む場合、改善された全体的な外観を物品に与えることができる。「実質的に類似した」によって、本発明者らは、印刷装飾要素120とエンボス装飾要素140が、実質的に同じデザインを有し、かつ実質的に同じ寸法を有することを意味している。「実質的に同じデザイン」によって、本発明者らは、デザインの輪郭が記される方式が、エンボス装飾要素と印刷装飾要素との間で異なり得るが、印刷装飾要素のデザインとエンボス装飾要素のデザインが、実質的に同じであることを意味している。例えば、印刷装飾要素は、連続した線として印刷してもよいのに対して、共通のエンボス装飾要素は、点線又は破線としてエンボス加工してもよく、あるいは、印刷装飾要素よりも厚くても薄くてもよく、逆もまた同様である。また、異なる方向に向いた装飾要素又は互いの鏡像は、実質的に同じデザインを有すると見なされる。「実質的に同じ寸法」によって、本発明者らは、印刷装飾要素とエンボス装飾要素との寸法比が、約50%〜約200%の比を含めて、約25%〜約400%の範囲に及び得ることを意味している。
【0029】
図1〜7は、印刷パターン12とエンボスパターン14が、花に関連するか又はより一般的に植物に関連する装飾要素120、140を装飾要素として含む例を示している。例えば図1において、印刷装飾要素120及びエンボス装飾要素140は、様式化された花を構成している。
【0030】
先に述べたように、通常はトップシート16である、皮膚に直に接触する物品の層上に印刷パターンを有することに対し、多くの場合、ユーザーの嫌悪が存在する。印刷パターン12をコア18の下のバックシート20又は別の層上に印刷することは、印刷パターン12とユーザーの皮膚とが直に又は緊密に接触するのを回避するという課題に対する解決策であるが、吸収性コア18は多くの場合、不透明であり、印刷パターン12はその場合、コア領域24の外側のトップシート16の領域25を通じてのみ視認可能となる。これにより、トップシート16の比較的大きなコア領域24が、視覚的に飾られないままになる。本発明者らが見出したところによれば、トップシート16、特にコア領域24内に、装飾要素120を有するエンボスパターン14を与えることによって、物品の身体に面する側面の全体の外観を改善することが可能であった。特に、エンボス装飾要素は、印刷パターン14の装飾要素140と実質的に類似していてもよい。また、改善された外観は、他の構成で達成されてもよい。例えば、上記にかかわらず、トップシートをトップシートの長手方向の側面に沿って印刷パターンで部分的に又は完全に印刷することが可能であり、エンボスパターンはコア領域内に存在して、印刷パターンとエンボスパターンとの組み合わせから生じる改善された外観を、特にこれらのパターンが実質的に類似した装飾要素を有する場合、依然として物品に与える。
【0031】
吸収性コアが存在すると、トップシート16のコア領域24上に印刷する必要なく、エンボスパターン14によってトップシートのコア領域24の外観を改善することができる。次いで、コア領域24の外側のトップシートの領域25の外観は、印刷パターンがコアの下の層上に印刷される場合、トップシートを通じた透明性によって視認可能となるその印刷パターンによって改善されることができる。印刷パターン及びエンボスパターンが、実質的に類似した装飾要素を含む場合、更なる利点として、トップシート全体にわたって印刷する必要なく、トップシート上の、コア領域24とコア領域24の外側のトップシートの領域25との間において、継ぎ目のない又は一体的な印象を与えることができる。
【0032】
印刷パターン12及びエンボスパターン14は、見当合わせされてもされなくてもよい。しかしながら、実際には、現代の生産が高速であると共にスクラップを回避することが一般に望まれるという制約が原因で、双方のパターンを見当合わせすることは、困難かつ/又は高コストとなり得る。したがって、印刷パターン及びエンボスパターンは、見当合わせされない構成においても、依然として本発明の利点をもたらすように(例えば図1に示すように)選択されてもよい。
【0033】
印刷装飾要素120は、印刷パターン12内に複数の出現回数で現れてもよい。エンボス装飾要素140は、印刷パターン14内に複数の出現回数で現れてもよい。この場合、印刷パターン12とエンボスパターン14のいずれか又は双方における装飾要素の「壁紙」配列が用いられてもよい。装飾要素はまた、異なる方向に向いていても、それぞれのパターン内で互いに鏡像であってもよい。
【0034】
例えば図1に示すように、印刷装飾要素120及びエンボス装飾要素140は、それらの複数回の出現のいずれか又はすべてに対して、完全に視認可能でなくてもよい。例えば、図示のような楕円形形状のコアでは、通常は、コア領域の狭まる範囲において、欠けたエンボス装飾要素が出現してもよい。同様に、一部又はすべての印刷装飾要素は、印刷層が切断される途中で、又は吸収性コアが存在する場合にはその吸収性コアが配置される途中で、ある程度まで欠けてもよい。
【0035】
図4の実施形態は、印刷装飾要素120がエンボス装飾要素140よりも幾分か大きく、その一方で、依然として実質的に類似しており、改善され統合された外観を製品の身体に面する表面に与える例を示している。
【0036】
図5の実施形態に示される印刷パターン12及びエンボスパターン14は、植物を示唆する装飾要素120、140を含んでいる。図5に示されるように、エンボスパターン14及び/又は印刷パターン12は、他のパターン内に存在する装飾要素のいずれにも実質的に類似していない更なる装飾要素を互いに含んでいる。例えば、図5における印刷パターン12はまた、花に関連する印刷装飾要素120に加えて網目状の装飾要素26を含んでいる。物品の外観の改善のために、共通でない更なる装飾要素を印刷パターン及び/又はエンボスパターン内に有することが不利益になるとは考えられない。しかしながら、印刷パターン及びエンボスパターンが、実質的に類似した印刷装飾要素及びエンボス装飾要素を有する場合、その実質的に類似した装飾要素を、印刷パターン及びエンボスパターン内で明瞭に視認可能に保つことが望ましいこともある。
【0037】
図6は、印刷装飾要素120が連続的な線で印刷されるのに対し、エンボス装飾要素140が一連の点としてエンボス加工される、本発明の実施形態の例を示している。しかしながら、点で形成されたエンボス装飾要素は、印刷装飾要素と実質的に同じデザインを与えている。
【0038】
図7は、印刷装飾要素120及びエンボス装飾要素140がまた、花を示唆するものである実施形態を示している。エンボスパターン14内の、花に関連するエンボス装飾要素は、一部は連続した線で、一部は点線で表されている。
【0039】
図8は、共通の装飾要素120、140が花に関連する要素ではないが、微細にエンボス加工及び印刷された点と点線の組み合わせによって形成された実施形態を表しており、この組み合わせは、例えば伝統的なレースを思い起こさせるものであってもよく、印刷パターン12及びエンボスパターン14をそれぞれ形成するように印刷及びエンボス加工されている。印刷層としてのバックシート20は、分離して図9に示されている。
【0040】
レース効果
図1〜7に示される印刷パターン及びエンボスパターンの、植物及び花に関連する装飾要素、並びに図8に示される、植物に関連しない装飾要素はまた、それらが用いられた物品に、レース生地のユーザーのための外観を与えるか、又は少なくともその外観の印象を与えることが判明した。レース生地は、女性の下着に伝統的に使用されてきた。使用される印刷パターン及びエンボスパターンは、図1〜7に例示されているような花に関連する要素、及び/又は、図8に例示的に示されるような微細な不連続的な要素など、レース生地に伝統的に見受けられるデザイン要素の一部を少なくとも部分的に再現してもよい。物品にレースの外観を与える別の要因は、上記のように、高精細なエンボス加工及び印刷を使用することである。約0.75mm未満、例えば約0.35mmと約0.60mmとの間の解像度が、印刷パターンとエンボスパターンの双方の少なくとも一部分で達せられることが望ましい場合もある。高解像度の印刷及びエンボス加工では、この解像度の範囲内の太さを有する細線又は他の形体を印刷するか又はエンボス加工することができ、したがって、微細なレース生地の外観を物品に与える助けとなる。また、より太い線(又は他の形体)が、印刷パターン及びエンボスパターン内に存在してもよい。
【0041】
バックシート20
ポリオレフィンフィルム又は不織布ウェブなど、印刷に好適な任意の通常のバックシート材料がバックシートとして使用されてよい。いくつかの実施形態において、バックシートは、吸収された身体排泄物によって発生する悪臭ガスに対して不透過性となることができ、その結果、悪臭が漏れることはない。バックシートは、通気性があってもなくてもよい。厚さが約0.01ミリメートル〜約0.08ミリメートルの低密度ポリエチレンのバックシートが、好適なバックシート材料の一例である。また、インディアナ州テレホート(Terre Haute)のトレデガー社(Tredegar Corporation)によってモデルX−813として販売されているようなポリエチレンフィルムが使用されてもよい。更に、バックシートは、トップシートと比べて疎水性のある、柔らかい布に似た材料、例えばポリエステル又はポリオレフィンファイバーのバックシートでできていてもよい。
【0042】
図3は、本発明によるバックシートに形成される前の、花に関連する要素の「壁紙」パターンを印刷された不織布材の図を表している。図9は、図8の実施形態のバックシート層を分離図で示している。
【0043】
印刷パターン12は、印刷層のいずれの側面上に印刷されてもよいが、印刷層がバックシートである場合、バックシート層の「上部」、すなわち身体に面する側面上の層に印刷することが有利となることもあるが、これは必須ではない。
【0044】
トップシート16
任意の通常のトップシート材料が、本発明において使用されてよい。好適なトップシートを不織布材料又は有孔ポリオレフィンフィルムから作ることができる。所望により、トップシートは、コアへの液体浸透性を向上させるために、界面活性剤を含んでいてもよい。トップシート、特に中央の流体獲得ゾーンは、親水性であってよい。トップシートの面積の1平方センチメートル当たり約0.01ミリグラムの界面活性剤密度が通常は好適である。好適な界面活性剤が、コネチカット州グレニッチ(Greenwich)のグリコ・ケミカル社(Glyco Chemical, Inc.)によってペゴスパース(Pegosperse)200 MLとして販売されている。
【0045】
トップシートは、その上に付着した液体をコアへと通過させるために、複数の孔を有していてもよい。約5パーセント〜約50パーセントの開口面積、典型的には約25パーセントの開口面積、そして、孔開け前に約0.01ミリメートル〜約0.05ミリメートル、孔開け後に約0.42ミリメートル〜約0.51ミリメートルの厚さを有する有孔ポリオレフィンフィルムのトップシートが通例である。
【0046】
本明細書における使用に好適な1つの例示的な有孔トップシートが、不織布トップシートである。好適な不織布材料/層には、カーディングプロセス又はスパンボンドプロセス又はメルトブローンプロセスによって形成された繊維質不織布材料が挙げられ、メルトブローンプロセスによって、溶融された高分子材料は、ダイを通して押し出しされ、押し出しされたポリマーが延ばされて繊維となりその直径を減少させるように細化され、続いて成形面上に堆積される。そのような繊維質不織布材料/層を形成する際の使用に好適な高分子材料には、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、エチレンビニルアセテート、エチレンメタクリレート、上記の材料のコポリマー、スチレンとブタジエンとのA−B−Aブロックコポリマーなどのブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0047】
吸収性コア18
物品は、トップシート16とバックシート20との間に設けられた吸収性コア18を備えることが望ましい場合もある。本明細書で使用するとき、「吸収性コア」という用語は、尿、血液、月経分泌物、及び他の身体排出物などを吸収、分配、及び収容するのに好適な材料又は材料の組み合わせを指す。婦人衛生物品内に使用される典型的な吸収性コアは、他の層と比較して相対的に厚くかつ嵩高であるため、それらの吸収性コアは、多くの場合、物品の他の層よりもエンボス加工が容易となり得る。
【0048】
吸収性コア18の寸法及び形状は、コア領域24が物品のトップシート16よりも相当に小さな表面を有するようなものであり得る。「相当に小さな」によって、本発明者らは、コア領域24の表面積が、トップシート16の全表面積よりも少なくとも約10%小さいことを意味している。コア領域24の表面積とトップシート16の全表面積との比は、望ましくは、約15%と約90%との間、約30%と約70%との間、及び約40%と約60%との間の範囲のいずれかの範囲内で構成することができる。楕円形形状のコアは、図に表されるように概ね矩形又は「ドッグボーン(dog-bone)」形状の輪郭を有する物品に、この比を容易に与えることができる。トップシートよりも小さな表面を有する吸収性コアを設けることによって、いくつかの利点が得られる。第一に、使用される材料の量が減じられ、製品を製造する総コストが低下する。第2に、コアが設けられていない製品の区分は、コアが位置する領域よりも一般に剛性が低いため、コアがより小さな表面を有することで、製品の全体的な柔軟性を向上させることができる。
【0049】
吸収性コア18は、存在する場合、物品の中央において概ね中心に置いてもよく、また、物品の縁部に沿った柔軟性を改善するために物品の周辺から離れて設けてもよい。
【0050】
図面に表されるコアは楕円形形状を有しているが、コアの形状は、もちろん、任意の好適な形状、例えば砂時計の形状であってもよい。また、吸収性コアは、製造を容易にするために矩形に形作られるのが通例である。しかしながら、柔軟性は、湾曲形状を有し直角を持たないコアを用いると、より良好となり得る。
【0051】
本発明の吸収性コアは、任意の好適な液体吸収性材料で作ることができる。吸収性コアとしての使用に好適な液体吸収性材料の非限定的な例には、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕された木材パルプ、縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、ヒドロゲル形成高分子ゲル化剤などの超吸収性ポリマーを含む吸収性ゲル材料、化学的に剛化、改質、若しくは架橋されたセルロース繊維、コフォームを含むメルトブローポリマー、捲縮ポリエステル繊維を含む合成繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、毛管路繊維、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、合成ステープル繊維、ピートモス、又は任意の同等の材料、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
吸収性物品が、パンティライナーとして使用されるように設計される場合、コアの厚さは、特に、「厚い」生理用ナプキン又は更には通常5mmを超える厚さを有するいわゆる「超」生理用ナプキンなどの、より厚い吸収性物品と比較して、相対的に薄くなることができる。したがって、吸収性コアは、通常はセルロース繊維の母材内に分配される超吸収性ポリマー(SAP)を備えることが望ましい場合もある。
【0053】
吸収性コアは一体的であってもよく、あるいは、2つ以上の層の積層体であってもよい。例えば、コアは、吸収性コアによって保持された液体がパンティライナーを通り抜けて隣接する衣類を汚すのを防止するために、バックシートに面する側面上に液体不浸透性のバリア層(例えばPEパッチ)を備えてもよい。例示的なPEパッチは、ブリトン・タコ社(Britton Taco)(英国)からST−012A−ホワイト(White)の商標名で入手可能な25gsmのポリフィルムである。
【0054】
吸収性コアに関する更なる包括的な情報は、先の特許公報、例えば国際公開第0207662(A1)号及び同第9119471号に見出すことができる。
【0055】
第2のトップシート
本発明の物品は、トップシート16と吸収性コア18との間の第2のトップシート層を所望により有していてもよい。そのような第2の層は、織布、不織布材料、有孔の成形熱可塑性フィルム、有孔のプラスチックフィルム、ヒドロフォーム加工された熱可塑性フィルム、多孔質の発泡体、網状の発泡体、網状の熱可塑性フィルム、及び熱可塑性のスクリムなどの高分子材料など、広範囲の材料から製造されることができる。本明細書で先にトップシートに関して述べられた任意の材料が、第2の層に使用することができる。特定の実施形態において、この第2のトップシート層は、その全表面上でトップシートの下にあり、すなわち、第2の層はトップシートの周辺部まで延び、その結果、第2の層は、トップシートの全内表面上でトップシートの下にある。
【0056】
第2のトップシートの目的は通常、獲得した体液をトップシートから吸収性コアに容易に移送することであり、液体の移送は、第2のトップシートの厚さにおいて垂直に生じるだけでなく、吸収性製品の長さ及び幅方向に沿っても生じる。このことは、下にある貯蔵層の流体容量を十分に利用する助けとなる。
【0057】
第2のバックシート
本発明の物品は、吸収性コア18とバックシート層20との間の第2のバックシート層を所望により有していてもよい。第2のバックシートの目的は一般に、空気が製品の中を自在に流れることを可能にする一方で、液体が吸収性コアから製品の外側に移るのを遅延させるか又は防ぐことである。第2のバックシートの一例が、毛管現象を生じる孔又は錐体を有する液体不透過性フィルムからなる、弾性の3次元高分子ウェブである。毛細管又は錐体を有するフィルムは、錐体の頂点が吸収性コアに面して流体の通過を防ぐように配向することができる。毛細管又は錐体は、圧縮されると部分的に閉鎖するか又は完全に閉鎖するように、傾斜した形状を有することができる。
【0058】
接着手段
バックシート20の外向きの面は、生理用ナプキンを着用者の下着に取り付けるための手段を備えていてもよい。感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが一般に見出されてきた。接着剤は、連続的であっても間欠的であってもよい。例えば、接着剤は、ストリップとして又はバックシートの表面全体にわたって塗布されてよい。接着剤は、限定するものではないがダイレクトスロットコーティング(direct slot coating)を含めた任意の好適な方法で塗布されてよい。また、接着剤が塗布されず剥離カバーがバックシートに取り付けられない、バックシートの小さな領域など、いわゆる「フィンガーリフト(finger lift)」が、剥離可能なカバーをユーザーが除去するのを容易にするために設けられてもよい。
【0059】
剥離カバー22
バックシートの表面は、通常は、接着手段によって完全に又は部分的にコーティングされるものであり、したがって、典型的には、使用に先立って接着手段が汚れるのを防止するために剥離カバーを与えられる。剥離カバーは一般に、使用時点で除去されることを意図したものである。剥離可能なカバーは、シリコーンでコーティングされた剥離紙、プラスチックフィルム、又は他の容易に剥離可能なカバーであってよい。剥離可能なカバーは、単一片であってもよく、あるいは、例えば個々の接着領域を覆うために、複数片であってもよい。また、剥離可能なカバーは、物品を個別にパッケージすること、又は使い捨ての機能を与えることなど、他の機能を実施することもできる。任意の市販の剥離紙又はフィルムが使用されてよい。好適な例には、アクロジル社(Akrosil Corporation)から入手可能なBL 30 MG−A SILOX EI/O、BL 30 MG−A SILOX 4 P/O、及びドイツ国のグロナウ社(Gronau)からコードX−5432として入手可能なM&Wフィルムが挙げられる。
【0060】
全般
本発明の物品は、任意の好適な形状及び/又は寸法を有してよい。例えば、そのような製品の長さは通常、約8cm〜約20cmの範囲内にあり、幅は約3cm〜約9cmの幅であってよい。また、物品の全表面積は(典型的にはトップシート及びトップシートの表面積は)、これらの物品に関して見受けられる通常の範囲内にあってもよく、その範囲は、通常は約40cm〜約250cmである。図に表されるパンティライナーなどのパンティライナーの例示的な寸法を提示する目的で、かかるパンティライナーは、約15cmの長さ、約4.8cmの幅(中央で)、約79cmの物品の全表面積、及び38cmのコア領域の表面積を有してもよい。図示の物品の例示的な厚さは、約0.9mmである。
【0061】
本発明による吸収性物品の厚さは、生理用ナプキンなどの主流の婦人用吸収性物品と比較して、相対的に薄いものとなることができる。本発明の物品、特にパンティライナーは、以下に述べる標準的な試験を用いて測定して、約5ミリメートル未満の厚さ(「キャリパー」とも呼ばれる)を有することができる。望ましくは、非常にはっきりと区別される(discrete)物品を提供するために、物品は更に薄くてもよい。物品の厚さの下限は、技術的な実現可能性によって決まる。典型的な物品は、約0.4mm〜約3mm、又は約0.6mm〜約2mmの範囲内の厚さを有する。本明細書において使用するとき、「物品の厚さ」という用語は、ほぼ物品の中心で測定した厚さの値、すなわち通常は、コアが存在する場合、コアの厚さを考慮した厚さの値を指す。
【0062】
物品は、いわゆる「ウィング」を備えていても備えていなくてもよく、このウィングは、下着の周りで折られることになる側方の包み要素である。これらのウィングは、多くの場合は生理用パッドに使用されるものであり、パンティライナーと称される製品には通常は存在しないものである。
【0063】
本発明の物品は、通常は使い捨てであり、すなわち、使用後に再使用可能に又は洗濯可能にすることは意図されていない。
【0064】
製造方法
本発明の生理用物品は、任意の好適な手段によって産業的に生産することができる。したがって、様々な層が、エンボス加工(例えば熱接着)若しくは糊付け又はそれら双方の組み合わせなどの標準的な手段を使用して組み立てることができる。加工ライン(converting line)は、インクが物品の印刷層に塗布される印刷工程を含んでもよい。しかしながら、この層が他の層のいずれかと接合される前に、物品の加工ラインの外部で、印刷層上に印刷工程を実施すると、より簡潔となる場合もある。
【0065】
厚さの測定
一実施形態において、本発明の物品は、パンティライナータイプのものであってもよく、比較的薄いものであって嵩高でないものとなることができる。そのような物品に対し、厚さの測定値は、例えば厚いパッドなどの嵩高の物品と比べて、測定を行うときに加えられる圧力への依存が低くなる。しかしながら、再現性を達成する目的で、以下の方法が、本発明の物品の厚さを測定するために用いられてもよい。その装置は、0.01mmの許容差で厚さを測定することが可能な機器を含んでもよい。そのような装置の民間供給業者は、例えば小野測器社(Ono Sokki)(www.onosokki.net)であり、例えば、同社のキャリパー・ゲージGS−503及びデジタル・リードアウトDG 2610が使用されてもよい。このキャリパー・ゲージは、脚部が装着されており、その脚部は、例示的な24.13mmの直径を有することができる。測定が行われるときに及ぼされる好適な圧力は、0.689kPaである。
【0066】
試験手順は次の通りである。マイクロメーターが、ゼロの目盛りに合わせられていることを確認する。剥離カバーのない物品を、トップシートを上向きにして、ベースプレート上に置く。物品が圧縮された状態で提供される場合(特定のパッケージでよくあるように)、厚さを測定する前に、物品を約10分間、休ませる。同様に、物品が折り畳まれて提供される場合、物品をまず広げ、約10分間、「平坦な」形状に休ませる。脚部を降下すると脚部が物品の中央に位置するように、物品をベースプレート上に配置する。脚部をそれ自体で、5mm/秒±2mm/秒の速度で物品上に穏やかに下降させる。脚部が静止した10秒後にマイクロメーターの目盛り盤を読むことで、物品のキャリパーを測定する。シャフト及び脚部は、24.13mmの直径を有する上述の脚部を用いて、0.69±0.02kPaの圧力に対する約32グラム重の力をサンプルに伝達するはずである。
【0067】
数値
本明細書で開示される寸法及び値は、列挙された厳密な数値に狭義に限定されるものとして解釈されるべきではない。その代わりに、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙された値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
婦人衛生物品(10)であって、
i)トップシート(16)と、
ii)バックシート(20)と、
iii)印刷パターン(12)と、
iv)エンボスパターン(14)とを備え、
前記印刷パターン(12)が少なくとも1つの印刷装飾要素(120)を含み、
前記エンボスパターン(14)が少なくとも1つのエンボス装飾要素(140)を含み、
前記印刷装飾要素(120)及び前記エンボス装飾要素(140)が実質的に類似する、物品。
【請求項2】
前記トップシート(10)と前記バックシート(20)との間に位置する吸収性コア(18)を更に備え、
前記吸収性コア(18)が、前記トップシート(16)の表面よりも相当に小さな、前記トップシート(16)の表面上のコア領域(24)を画定し、
前記印刷パターン(12)が、前記吸収性コア(18)の下に位置する前記物品の層(20)上に印刷され、
前記印刷パターン(12)の少なくとも一部分が、前記トップシート(16)を通じて視認可能である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記印刷パターン(12)が前記バックシート(20)上に印刷される、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記印刷パターン(12)が、前記バックシート(20)の身体に面する側面上に印刷される、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記印刷パターン(12)が、前記トップシートの前記コア領域(24)を通じて視認可能でない、請求項2〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記エンボスパターン(14)が前記トップシート(16)上にエンボス加工される、請求項1〜5のいずれか一項の物品。
【請求項7】
前記エンボスパターン(14)が、前記トップシート(16)の前記コア領域(24)内に実質的に完全にエンボス加工される、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記印刷パターン(12)が、前記印刷装飾要素(120)のいくつかの少なくとも部分的に視認可能な出現を含み、
前記エンボスパターン(14)が、前記エンボス装飾要素(140)のいくつかの少なくとも部分的に視認可能な出現を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記物品がパンティライナーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
婦人衛生物品(10)であって、
i)トップシート(16)と、
ii)バックシート(20)と、
iii)前記トップシート(16)と前記バックシート(20)との間に位置する吸収性コア(18)であって、前記トップシート(16)の表面よりも相当に小さな、前記トップシート(16)の表面上のコア領域(24)を画定する吸収性コア(18)とを備え、
前記物品が、前記吸収性コア(18)の下に位置する前記物品(10)の層(20)上に印刷された印刷パターン(12)を更に備え、
前記印刷パターン(12)の少なくとも一部分が、前記コア領域(24)の外側にある前記トップシート(25)の前記領域の少なくとも一部分を通じて視認可能であり、
前記物品が、前記コア領域(24)内に少なくとも部分的にエンボス加工されたエンボスパターン(14)を更に備え、
前記エンボスパターン(14)が装飾要素(140)を含む、物品。
【請求項11】
前記印刷パターン(12)が装飾要素(120)を含み、
前記印刷装飾要素(120)と前記エンボス装飾要素(140)とが実質的に類似する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記印刷パターン(12)が、前記コア領域(24)を通じて視認可能でない、請求項10又は11に記載の物品。
【請求項13】
前記コア領域(24)の表面積が、前記トップシート(16)の表面積の約20%〜約80%を示す、請求項2〜12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記物品(10)が約5mm未満の厚さを有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
レースの外観を婦人衛生吸収性物品(10)に与えるための、印刷パターン(12)及び/又はエンボスパターン(14)の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−527682(P2010−527682A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508962(P2010−508962)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052046
【国際公開番号】WO2008/146222
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】