説明

印刷処理装置

【課題】特色インクや保護インクの特性ばらつきに対するマージンが広く、特色インクを良好に印画することができる印刷処理装置を提供する。
【解決手段】印刷装置100は、インクリボンの色インク、保護インク及び特色インクをサーマルヘッド402により受像紙に転写する。印刷装置100の制御部201は、サーマルヘッド402による保護インクの転写を制御する。制御部201は、保護インクの転写により形成される保護層について、保護層の上に特色インクが転写される転写領域と保護層の上に前記特色インクが転写されない非転写領域とを、特色インクが転写される前に区別し、特色インクの転写の際にインクリボンにリボン皺が生じないように保護インクの転写の際に非転写領域における保護層の表面の凹凸が転写領域における保護層の表面の凹凸よりも大きくなるようにサーマルヘッド402に供給するエネルギーを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護層の上に熱溶融性の特色インクをリボン皺なく転写するための印刷処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、簡単な操作で画像を撮影し、その撮影した画像をデジタル画像データに変換できるデジタルカメラ(撮像装置)が広く使用されるようになってきている。デジタルカメラで撮影した画像を印刷して写真とする一般的な方法として、パーソナルコンピュータ(PC)とカラープリンタを用いる方法がある。すなわち、撮影された画像のデジタルデータ(以下「画像データ」という)をデジタルカメラからPCに取り込み、PCで画像処理を行った後、印刷データをカラープリンタ等に出力して写真印刷を行う。
【0003】
これに対し、最近では、PCを用いることなく、デジタルカメラからカラープリンタに直接に画像データを伝送して写真印刷を行うプリントシステムが開発されている。また、デジタルカメラで撮影された画像の画像データは、デジタルカメラに着脱自在のメモリカードに保存されることが多いため、メモリカードを直接に装着し、メモリカードから画像データが引き出して写真印刷を行うカラープリンタも開発されている。
【0004】
写真印刷の方式の1つとして、ラインサーマルヘッドを用いてインクリボン(インクシート)上の熱溶融性又は昇華性インクを受像紙(印画紙)に転写する、所謂、熱転写方式がある。熱転写方式では、ラインサーマルヘッドを構成する複数の発熱抵抗体素子に対して個別に通電(電力供給)を行って発熱量を制御することで、熱溶融性インクの溶解量や昇華性インクの昇華量を制御し、転写するインクの面積や濃度を調整することができる。
【0005】
昇華性インクには、指紋等の油脂や可塑剤に弱く、また、紫外線による退色が生じやすく、熱により受像紙上のインクが再昇華する虞がある等の欠点がある。このような欠点を補い、受像紙に印画された画像を保護する技術として、熱溶融性の透明インク(保護層)を受像紙上に転写する、所謂、オーバーコート技術が知られている。保護層を皺無く形成するための方法として、保護層の表面と被保護画像の画像形成面との動摩擦係数が0.33以下となるように、保護層の表面を形成する接着層にフィラー又はシリコーンオイルを含有させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、染料(例えば、イエロ〔Y〕、マゼンタ〔M〕、シアン〔C〕)では表現できない色(例えば、金色、銀色等)の熱溶融性の特色インクを、保護層の上に転写する技術が知られている。特色インクは、例えば、複数の画像を重ね合わせて印刷するフレーム印刷等において、装飾のため等に用いられる。特色インクを転写するための熱転写フィルム(インクリボン)は、基材フィルム上に離型層、特色インク層及び接着剤層が順次積層されて構成されており、特色インクは、受像紙の表面に形成されている保護層の上に接着剤層を介して転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−207465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、保護層の上に特色インクを転写する際には、特色インクが転写される領域と転写されない領域とでは生じる摩擦力の大きさに差があり、これに起因してリボン皺が発生するという問題がある。このリボン皺は、例えば、特色インクが転写されて形成される特色層に、所謂、色抜けと呼ばれる現象(転写不良)を引き起こす。
【0009】
この問題を解決する方法として、特許文献1に記載されている技術のように、特色インクの材料設計により動摩擦係数を調整する方法が考えられる。しかし、この方法では、材料をその組成から厳しく管理しなければならず、コストアップが避けられないという問題がある。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、特色インクや保護インクの特性ばらつきに対するマージンが広く、特色インクを良好に転写することができる印刷処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る印刷処理装置は、色インク、保護インク及び特色インクが塗布されたインクリボンの各インクを熱により受像紙に転写させて印刷を行う印刷処理装置であって、前記色インク、前記保護インク、前記特色インクの順で各インクを前記受像紙に転写するためのサーマルヘッドを有する印刷手段と、前記印刷手段による前記保護インクの転写を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記保護インクの転写により形成される保護層について、前記保護層の上に前記特色インクが転写される転写領域と前記保護層の上に前記特色インクが転写されない非転写領域とを、前記特色インクが転写される前に区別する判定手段と、前記特色インクの転写の際に前記インクリボンにリボン皺が生じないように、前記保護インクの転写の際に前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サーマルヘッドの制御によって特色インクを、受像紙に形成された保護層上に良好に転写することができる。また、インクリボンにおける特色インクや保護インクの特性ばらつきに対するマージンを広く取ることができるので、インクリボンのコストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷処理装置を有する印刷システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1の印刷処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1の撮像装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図1の印刷処理装置による印刷処理の進行の様子を模式的に示す図である。
【図5】図1の印刷処理装置が備えるサーマルヘッドの概略構成を示す図である。
【図6】図1の印刷処理装置で用いられるメディアカセットの概略の外観構造を示す斜視図である。
【図7】図6のメディアカセットに格納されたインクリボンの概略構造を示す平面図である。
【図8】受像紙の印刷終了後の構造を模式的に示す断面図である。
【図9】図1の印刷処理装置による印刷処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】図1の印刷処理装置による保護層の形成方法のフローチャートである。
【図11】図1の印刷処理装置におけるサーマルヘッドの制御方法を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートの処理を実行した場合の保護層の表面形態を模式的に説明する図である。
【図13】図1の印刷処理装置が備えるサーマルヘッドに印加される電圧パルスの例を示す図である。
【図14】図1の印刷処理装置による保護層の別の形成方法を示すフローチャートである。
【図15】図14のステップS1404で実行される保護層の形成処理の例を示すフローチャートである。
【図16】図1の印刷処理装置による保護層の更に別の形成方法を示すフローチャートである。
【図17】リボン皺の発生原理を説明するための平面図及び断面図である。
【図18】リボン皺と受像紙に形成された特色層における色抜けとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
[印刷システムの概略構成]
図1は、本発明の実施形態に係る印刷処理装置を有する印刷システムの全体構成を示す図である。この印刷システムは、印刷処理装置(以下「印刷装置」と記す)100と撮像装置101とが印刷装置100側のインタフェース111と撮像装置101側のインタフェース121を介してインタフェースケーブル131で接続されて、構成されている。
【0016】
印刷装置100と撮像装置101とのインタフェース接続は、例えば、CIPAから正式に公開されているPictBridgeと呼ばれる規格に準じている。これにより、本実施形態に係る印刷システムでは、インタフェースケーブル131を通して、撮像装置101から画像データが印刷装置100へ送られ、印刷装置100で画像の印刷を行うことができるようになっている。
【0017】
印刷装置100は、メモリカードスロット112、操作ボタン113、実行ボタン114、電源スイッチ115、表示装置116、ステータスランプ117、メディアカセット着脱孔118、排紙口119及び給紙カセット120を備えている。
【0018】
印刷装置100は、画像データを格納したメモリカード(不図示)がメモリカードスロット112に装着されると、メモリカードから画像データを読み出して、写真印刷する機能を備えている。但し、本実施形態では、この機能は用いないこととする。メモリカードには、例えば、SDメモリカードやCFメモリカード等の複数の種類があるため、印刷装置100は、各メモリカードの規格に準じた複数のメモリカードスロットを備えていてもよい。
【0019】
表示装置116は、印刷する画像のサムネイルや、印刷装置100の操作メニュー等のGUI(グラフィックユーザインターフェース)を表示するためのLCD等を有している。操作ボタン113は、表示装置116に表示されるGUIを操作するための十字ボタンを有している。実行ボタン114は、ユーザインタフェースの操作により確定された条件での印刷の開始を指示するボタンであり、電源スイッチ115は、印刷装置100を稼働させるための主電源のON/OFFを行うためのスイッチである。ステータスランプ117は、例えば、LEDであり、印刷装置100のエラーステータス等を点灯や点滅によって示す。
【0020】
後述するメディアカセットの着脱操作が、メディアカセット着脱孔118を通して行われる。給紙カセット120には不図示の受像紙(印画紙)が収容されており、受像紙は、印刷が開始されると、搬送機構(不図示)によって印刷装置100内に一枚ずつ搬送される。印刷が完了した受像紙は、排紙口119から排出され、給紙カセット120上に載置される。
【0021】
撮像装置101は、メモリカードスロット122、電源スイッチ123、レンズユニット124、ステータスランプ125及び表示装置(不図示)を備えている。メモリカードスロット122には、メモリカードが装着される。電源スイッチ123は、撮像装置101を動作させるための主電源のON/OFFを行うためのスイッチである。レンズユニット124は、撮像装置101の光学系を構成しており、被写体の光学画像を取り込む。ステータスランプ125は、例えば、LEDであり、撮像装置101のエラーステータス等を示す。表示装置(不図示)は、撮像装置101においてレンズユニット124が設けられている面とは反対側の面に設けられており、撮影中のプレビュー画像や再生された画像、GUI等を表示するLCDを有している。
【0022】
[印刷装置100のハードウェア構成]
図2は、印刷装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示す構成要素のうち、図1に示した構成要素と重複するものについては、図1と同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0023】
印刷装置100の全体的な制御は制御部201によって行われる。制御部201は、CPU211、RAM212及びROM213を有している。ROM213には、印刷装置100で実行される各種のプログラム及びパラメータ等が格納されている。RAM212は、CPU211のワークエリアとして用いられ、また、実行されるプログラムや画像データ、制御パラメータ等を一時的に記憶する。
【0024】
CPU211は、ROM213から読み出したプログラム等をRAM212に展開し、実行することにより、印刷装置100を構成する処理部や駆動部等に対する制御信号が生成され、この制御信号に従って処理部や駆動部等の各機能が実現される。例えば、ROM213に格納されているプログラムの一例であるGUIの実行により、表示装置116へのプレビュー表示、操作ボタン113を用いた部数指定、N−UPやトリミング等の画像処理が指定可能となる。
【0025】
インタフェース111は、図1に示したように、撮像装置101との接続に用いられるが、ここでは、メモリカードスロット112及びPC280との接続に用いられるインタフェースを含む。前述したように、印刷装置100は、メモリカードスロット112に装着されたメモリカードから画像データを読み出して写真印刷を実行する機能を備えている。また、印刷装置100は、PC280と接続されて、PC280から送信された画像データを印刷することもできる。
【0026】
受信バッファ207は、インタフェース111を通して取得された画像データ(例えば、JPEGフォーマットの画像データ)を格納する。画像処理部202は、受信バッファ207に格納された画像データに対して、リサイズや回転等を前処理を施す。画像処理部202による画像処理後の画像データ(印刷用画像データ)は、フレームメモリ203又は制御部201のRAM212に一時的に格納される。
【0027】
信号処理部204は、印刷用画像データを、プリンタエンジン部206が直接解釈できるフォーマット(例えば、Y,M,Cそれぞれの単色画像データ)に変換し、紙送りのタイミングに合わせてプリンタエンジン部206へ送信する。ユーザが再利用のために保存したい画像データやPC280からダウンロードしたテンプレートデータ等は、記憶媒体制御部205を経由して、ハードディスク等の記憶媒体221又は拡張記録媒体(リムーバブルディスク)222に格納される。制御部201は、印刷装置100にエラーが発生した場合、ステータスランプ117を点滅させる等して、ユーザに注意を促す。
【0028】
[撮像装置101のハードウェア構成]
図3は、撮像装置101のハードウェア構成を示すブロック図を示す。図3に示す構成要素のうち、図1に示した構成要素と重複するものについては、図1と同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0029】
撮像装置101の全体的な制御は制御部301によって行われ、制御部301は、CPU311、RAM312及びROM313を有している。ROM313には、撮像装置101で実行され各種のプログラム及びパラメータ等が格納されている。RAM312は、CPU311のワークエリアとして用いられ、また、実行されるプログラムや画像データ、制御パラメータ等を一時的に記憶する。CPU311は、ROM313から読み出したプログラム等をRAM312に展開し、実行することにより、撮像装置101を構成する処理部や駆動部等に対する制御信号が生成され、この制御信号に従って処理部や駆動部等の各機能が実現される。
【0030】
撮像装置101にエラーが発生した場合、制御部301は、ステータスランプ125を点滅させる等して、ユーザに注意を促す。操作ボタン302は、例えば、撮像装置101の背面(図1においてレンズユニット124が配設されている面とは反対側の面)等に設けられており、表示装置303に表示される設定メニュー等のGUIの操作等に用いられる。表示装置303は、撮像装置101の背面に設けられているLCDであり、撮影中のプレビュー画像や再生された画像、操作ボタン302による操作が可能なGUI等が表示される。
【0031】
レンズユニット124を通して入射した光学像はCCD308の表面で結像し、CCD308から出力されるデジタル変換された画像データは、フレームメモリ305又はRAM312に格納される。信号処理部304は、画像のリサイズや回転等の処理を実行する。信号処理部304による処理後の画像データに対して制御部301が赤目補正処理等を実行し、処理後の画像データが記憶媒体制御部307を経由して記憶媒体321又は拡張記憶媒体322に格納される。
【0032】
インタフェース121は、図1に示したように、印刷装置100との接続に用いられるが、ここでは、メモリカードスロット122及びPC280との接続に用いられるインタフェースを含む。画像処理部306は、印刷装置100へ送信する画像データを印刷装置100が解釈可能なフォーマットに変換し、こうして変換された画像データは、制御部301による制御によってインタフェース121を介して印刷装置100へ送信される。
【0033】
なお、メモリカードスロット122に装着されるメモリカードには、画像処理部306により処理された画像データが保存されるようにしてもよいし、記憶媒体321又は拡張記憶媒体322に格納された画像データが保存されるようにしてもよい。すなわち、メモリカードに保存された画像データが、メモリカードが装着される装置によって正常に読み取れれば、メモリカードに保存される画像データのフォーマットに制限はない。
【0034】
[印刷処理装置による印刷処理]
図4は、印刷装置100における印刷処理の進行の様子を模式的に示す図である。最初に、図4(A)に示されるように、受像紙が給紙カセット120から給紙ローラ401によって印刷装置100内に給紙される。
【0035】
次に、図4(B)に示されるように、受像紙とインクリボンは、重畳された状態でサーマルヘッド402とプラテンローラ403との間に挟み込まれる。インクリボンは、送り側ボビン411から供給され、巻き取り側ボビン412で巻き取られる。受像紙をピンチローラ404を使ってインクリボンと同じ方向にフィードしつつ、サーマルヘッド402の駆動を制御することで、最初にYの単色画像が受像紙に印画される。このとき、受像紙の一部が印刷装置100の機体外に飛び出しているが、ピンチローラ404が受像紙を挟持し、受像紙の位置を固定している。なお、インクリボンの詳細な構成については後に説明する。
【0036】
Yの単色画像の印画が完了すると、受像紙は印画前の位置に戻され、Mの単色画像の印画が開始され、Mの単色画像の印画が完了すると、受像紙は印画前の位置に戻され、Cの単色画像の印画が開始される。Cの単色画像の印画が完了すると、保護層が形成され、特色層の印画が終了すると印刷が終了し、図4(C)に示されるように、受像紙は、排紙ローラ405によって排紙口119を通して印刷装置100の機外に排出される。
【0037】
[サーマルヘッドの構成]
図5は、サーマルヘッド402の概略構造を示す図であり、図5(A)はサーマルヘッド402の概略構造を示す側面図であり、図5(B)はサーマルヘッド402の表面の発熱体の配置例を示す図である。サーマルヘッド402には、入力階調数に応じた熱エネルギー量が電圧パルス数に変換して加えられ、発熱抵抗体502において熱に変換される。サーマルヘッド402は、受像紙とインクリボンとがスムーズに剥離するようにするための突起部である剥離板501を備えており、最適な大きさと角度に設計されている。
【0038】
図5(B)に示されるように、一般的に、発熱抵抗体502は紙送り方向(副走査方向)に縦に並ぶよう配置されており、ヘッド方向(主走査方向)に見ると、発熱抵抗体502が接触する部分としない部分が発生する。なお、発熱抵抗体502は、サーマルヘッド402の表面から飛び出している場合もあるし、飛び出さず表面が平滑になっている場合もあるが、どちらであっても構わない。
【0039】
[メディアカセットの概略構造]
図6は、メディアカセットの概略の外観構造を示す斜視図である。メディアカセット601は、インクリボンを格納しており、未使用のインクリボンを供給する送り側ボビン411と、使用済みのインクリボンを巻き取る巻き取り側ボビン412とを有している。
【0040】
[インクリボンの概略構造]
図7は、メディアカセットに格納されたインクリボンの概略構成を示す平面図である。インクリボンには、三色の昇華性の色インク(Y,M,C)、保護インク、熱溶融性の色インクである特色インクが塗布されている。具体的には、インクリボンは、Yインク、Mインク、Cインク、保護インク、特色インクがそれぞれこの順序で塗布されているYインク面701、Mインク面702、Cインク面703、保護インク面704、特色インク面705で構成されている。各インク面はリボンマーカ(黒線)710で区切られており、インクリボンの長さ方向におけるYインク面701の片側には、面の先頭を示すための2本のリボンマーカ710が設けられている。
【0041】
[受像紙の印刷終了後の概略構造]
図8は、受像紙の印刷終了後の概略構造を模式的に示す断面図である。受像紙において、受像紙基材の表面側(印画面側)には染料受容層が設けられており、染料受容層は昇華性の染料、つまり、昇華性の色インク(Y,M,C)を受容する。この染料受容層を覆うように保護インクが転写されることで形成された保護層が印画面全体に形成されており、保護層上の必要な部分に特色インクが転写されて形成された特色層が形成されている。
【0042】
[熱転写によるリボン皺の発生原理]
ここで、受像紙上に特色層を形成する際に発生しやすいリボン皺の発生原理について説明する。図17は、リボン皺の発生原理を説明するための平面図(A)及び断面図(B)である。特色インク面705は、基材フィルム上に離型剤、特色インク及び接着剤が、順次、積み重ねて塗布されており、特色インクが受像紙に既に形成されている保護層の上に接着剤を介して転写されることで、特色層が形成される。
【0043】
図4を参照して説明したように、特色インクを受像紙に転写する際には、インクリボンと受像紙とが、重畳した状態でサーマルヘッド402とプラテンローラ403(図17に不図示)に挟まれた隙間を滑りながら移動する。その際、インクリボンと受像紙との間に摩擦力が発生する。
【0044】
特色インクが転写されない領域(以下「非転写領域」という)で生じる摩擦力を“μ1”とし、特色インクが転写された領域(以下「転写領域」という)で生じる摩擦力を“μ2”とすると、“μ1<μ2”の関係があることが知られている。つまり、特色インクが転写されて抜け殻になった領域である特色インクの転写領域では、特色インクの非転写領域に比べて、受像紙との摩擦力が大きくなる。
【0045】
こうして、同一面内で生じる摩擦力の差が大きくなると、転写中に摩擦力の差に耐えられなくなった部分で局所的にリボンスリップが発生し、リボンが折れてリボン皺が発生する。リボン皺が成長して大きくなり、特色フィルムにおいてサーマルヘッド402を通過していない領域に達すると、サーマルヘッド402による特色インクの転写時に、その部分で、所謂、色抜けが発生する。
【0046】
図18は、リボン皺と受像紙に形成された特色層における色抜けとの関係を示す図である。リボン皺が発生した部分では、インクリボンは図18の様に折り畳まれ、受像紙と接触する面に対して段差が発生する。このようにインクリボンが段差を有する状態で特色インクの転写が行われると、段差部分で特色インクは転写されずにスジ状に抜けるため、特色層に色抜けが発生する。
【0047】
なお、特色インクが受像紙に転写された際に、特色インクの転写領域における基材フィルムが熱収縮する。この熱収縮に起因する熱収縮領域が副走査方向に連続すると、特色インクの非転写領域に対する主走査方向の転写位置ずれが大きくなる場合がある。その際の転写位置のずれを解消するためにリボン皺が発生する場合もある。
【0048】
本実施形態に係る印刷装置100では、このようなリボン皺に起因する色抜けの発生を抑制する制御が行われる。以下、その制御内容について詳細に説明する。
【0049】
[印刷制御]
図9は、印刷装置100による概略の印刷処理を示すフローチャートである。撮像装置101から撮像装置101に保存されていた画像データが印刷装置100に取り込まれると、画像のサムネイル等が表示装置116に表示される。ユーザが印刷する画像のサムネイルを操作ボタン113を操作することにより選択し(画像選択)、印刷条件を設定して実行ボタン114を押下すると、Y,M,Cのそれぞれの単色画像データ、保護インクの転写データが生成され、受像紙への転写が開始される。また、印刷対象の画像だけでなく、画像と合成して印刷するプレームやスタンプも操作ボタンを操作して選択可能である。また、特色インク用のフレーム選択やスタンプ選択も可能である。特色インク用のフレーム又はスタンプが選択された場合は、単色画像データ、保護インクの転写データに加えて、選択されたフレーム又はスタンプに対応する特色インクの転写データが生成される。
【0050】
図7を参照して説明したインクリボンを用い、最初に、Yの単色画像データに基づいてYインク面701のYインクが受像紙に転写される(ステップS91)。以下、このような処理を「Y面の印画」のように表現する。続いて、M面の印画(ステップS92)、C面の印画(ステップS93)が行われる。
【0051】
更に、保護インクの転写データに基づいて保護インク面704の保護インクが受像紙に転写(以下「保護面の印画」といい、「保護面」は保護インクの転写領域から成る)される(ステップS94)。そして、特色インクの転写データに基づいて特色インク面705の特色インクが受像紙に転写(以下「特色面の印画」といい、「特色面」は特色インクの転写領域及び非転写領域から成る)される(ステップS95)。こうして印画が終了した受像紙は、印刷装置100の機外へ排出される。
【0052】
[保護層の形成処理の形態]
図10は、印刷装置100で実行される、第1実施形態に係る保護層の形成方法のフローチャートであり、図9のステップS94(保護面の印画)の詳細を示すフローチャートに該当する。
【0053】
保護面の印画が開始されると、先ず、特色面の印画を行う際の転写データ(以下「特色面の転写データ」という)の読み出しが開始される(ステップS1001)。ここで読み出される特色面の転写データは、実際に特色層の形成、すなわち、特色面の印画(S95)に使われるものと同じである。特色面のピクセルの並び順及び位置は、保護面のピクセルの並び順及び位置と完全に一致する。特色面のピクセルは、印画するか否かの2階調で表現され、ここでの「2階調」とは、ON/OFFで表現してもよいし、多値256階調をベースにして0/255レベルで表現してもよい。以下において、2階調をON/OFFで表すこととする。
【0054】
次に、特色面の1ライン分の転写データが第1バッファに読み出される(S1002)。なお、第1バッファ1はRAM212上に存在し、後述する第2バッファもまたRAM212上に設けられている。続いて、第1バッファ内の特色面のピクセルが検査され、具体的には、特色面のピクセルのON/OFFの別が判定される(S1003)。特色面のピクセルがONの場合(S1003で“YES”)、このピクセルの下地となる保護面のピクセルに対して、サーマルヘッド402に供給するエネルギーを通常エネルギーとする(ステップS1004)。一方、特色面のピクセルがOFFの場合(S1003で“NO”)、このピクセルの下地となる保護面のピクセルに対して、サーマルヘッド402に供給するエネルギーを増大させる(ステップS1005)。
【0055】
ステップS1004,S1005で設定された、保護面の印画のためのエネルギーで表現された転写データが第2バッファに格納される(ステップS1006)。そして、検査した特色面のピクセルが、第1バッファ内の最後のピクセルかが判定される(ステップS1007)。最後のピクセルではない場合(S1007で“NO”)、ステップS1003の処理に戻る。最後のピクセルの場合、つまり、1ライン分の検査が終了した場合(S1007で“YES”)、処理はステップS1008に進められる。
【0056】
ステップS1008では、第2バッファ2に蓄えられた1ライン分の保護面の転写データがプリンタエンジン部206に送信される。続いて、特色面の最後の1ライン分の転写データについてステップS1008の処理が終了したか、つまり、特色面の全ての転写データに対してS1002〜1008の処理が終了したかが判定される(ステップS1009)。
【0057】
処理が終了していない場合(S1009で“NO”)、処理はステップS1002に戻される。処理が終了した場合(S1009で“YES”)、特色面の転写データの読み出しが終了され(ステップS1010)、保護面の印画のためのエネルギーで表現された転写データにしたがって保護面の印画(保護層の形成)が行われる(ステップS1011)。以上の通り、本実施形態では、特色インクの転写領域/非転写領域を区別して、保護層の形成が行われる。
【0058】
[サーマルヘッドの制御方法]
図11は、サーマルヘッドの制御方法を示すフローチャートである。プリンタエンジン部206は、保護面の印画のためのエネルギーで表現された転写データを受信すると(ステップS1101)、受信した転写データを1ピクセルずつ検査し、エネルギーが増やされているかを検査する(S1102)。
【0059】
エネルギーが増やされている場合(S1102で“YES”)、サーマルヘッド402に印加される電圧パルス数が通常値よりも増やされる(ステップS1103)。一方、エネルギーが増やされていない場合(S1102で“NO”)、電圧パルス数は通常値で維持される(ステップS1104)。なお、ステップS1103において増加させる電圧パルス数は、インクリボンの種類等に応じて、予め定められている。こうして、ステップS1103,S1104により設定された電圧パルス数にてサーマルヘッド402にエネルギーが供給されることによって、サーマルヘッド402が駆動制御される(ステップS1105)。
【0060】
図12は、図11に示した処理を実行した場合の保護層の表面形態を模式的に示す平面図である。図12には、特色層が受像紙の外側にU字型で形成される例が示されている。この場合、特色層のピクセルの下地に対応する保護層のピクセルについては、サーマルヘッド402に供給されるエネルギーが通常値に維持されて、処理が行われている。一方、特色層のピクセルの下地とはならない保護層のピクセルについては、サーマルヘッド402に供給されるエネルギーが増やされて(例えば、通常値の2倍とする等)、処理が行われている。
【0061】
保護インクを受像紙へ転写する際には、サーマルヘッド402からインクリボンに対して熱エネルギーが加えられ、加えられる熱エネルギーの大きさによって保護層の表面が受ける熱ダメージは変化し、熱エネルギーが小さいほど保護層の表面の凹凸は小さくなる。したがって、サーマルヘッド402に供給するエネルギーを増やすと、形成された保護層の表面の凹凸が大きくなる。例えば、凹凸段差は、実測値で、サーマルヘッド402に供給するエネルギーが通常値の場合には0.6〜2μmであったものが、サーマルヘッド402に供給するエネルギーを通常値の2倍とすることで、4〜6μmへと変化する。
【0062】
保護層の表面の凹凸が大きくなると、摩擦係数が大きくなる。すなわち、図12に示したサーマルヘッド402の制御方法によって、特色層の転写領域の下地になるか否かによって保護層の表面状態(摩擦係数)を、ピクセル単位で調整することができる。なお、保護層の凹凸は、主走査方向にあってもよいし、副走査方向にあってもよい。
【0063】
図13は、サーマルヘッド402に印加される電圧パルスの例を示す図である。受像紙とインクリボンとを重畳させて一定速度で搬送しながら、受像紙の動きに同期させて、サーマルヘッド402には、エネルギーとして電圧パルスが印加される。リボン皺対策を実行するために、サーマルヘッド402に供給するエネルギーを調整する方法としては、大別して、電圧パルスの電圧値を増大させる方法とパルス数を増大させる方法とがある。
【0064】
例えば、図13に示されるように、保護面の印画に通常用いられる電圧パルス(リボン皺対策を実行しない場合の電圧パルス)が電圧:v0、パルス数:t0、であるとする。リボン皺対策を実行する場合には、パルス数を変えずに、電圧値をv0からv1(v1>v0)へ増大させる方法、又は、電圧値を変えずに、パルス数をt0からt1(t1>t0)へ増大させる方法を用いることができる。なお、電圧とパルス数の両方を増大させてもよい。
【0065】
先に図17を参照して説明したように、リボン皺が発生する原因は、特色インクの非転写領域で生じる摩擦力が、特色インクの転写領域で生じる摩擦力よりも小さく、その差が大きいことにある。これに対して、上述の通り、本実施形態によれば、特色インクの転写領域では摩擦係数は従来と同じとして、非転写領域での摩擦係数を大きくすることができる。すなわち、特色インクの非転写領域で生じる摩擦力を大きくして、特色インクの転写領域で生じる摩擦力に近付けて、その差を小さくすることができ、これによってリボン皺の発生を抑制することができる。
【0066】
上述の通り、第1実施形態に係る印刷装置100では、印刷装置100におけるサーマルヘッド402の制御を変更するだけで、リボン皺の発生を抑制することができる。よって、特色インクや保護インクの特性ばらつきに対するマージン(許容範囲)を広く取ることができる。換言すれば、特色インクや保護インクの特性ばらつきが大きくても、サーマルヘッド402の制御によってリボン皺の発生を抑えることができ、インクリボンのコストアップを抑制することができる。
【0067】
<第2実施形態>
特色インクのリボン皺の発生頻度は、特色インクの転写領域の種類(形態)に依存する。特色インクの転写領域の種類の主なものには、フレーム型とスタンプ型とがある。
【0068】
フレーム型は、入力画像に重ね合わせて広範に特色インクを転写するものであり、例としては、印画領域の縁を囲む額縁型やU字型(図12参照)がある。フレーム型には、特色インクの転写領域が比較的広いという特徴があるため、リボン皺の発生頻度が高く、したがって、第1実施形態で説明したリボン皺対策が必要とされる。
【0069】
スタンプ型は、入力画像に重ね合わせて局所的に特色インクを転写するものであり、例えば、スマイルマークや星形マークがある。スタンプ型には、特色インクの転写領域が比較的小さいという特徴があるため、リボン皺の発生頻度は低く、したがって、第1実施形態で説明したリボン皺対策は必ずしも必要ではない。
【0070】
そこで、第2実施形態では、特色インクの転写領域の種類がフレーム型かスタンプ型かで、リボン皺対策を実行するか否かを判定する。図14は、印刷装置100において実行される、第2実施形態に係る保護層の形成方法のフローチャートである。
【0071】
最初に、特色インクの転写領域の種類が検査される(ステップS1401)。具体的には、ステップS1401の検査では、フレーム型に属するかスタンプ型に属するかが検査され、印刷設定の際にユーザにより特色用のフレームが選択されたか、又は、特色用のスタンプが選択されたかを判定する。検査方法はこれに限らず、生成された特色用の転写データを解析して、受像紙に全体的に特色インクを転写するものであるか、局所的に特色インクを転写するのかを判断し、フレーム型であるかスタンプ型であるかを決定してもよい。続いて、ステップS1401で検査した特色インクの転写領域の種類がフレーム型であるかが判定される(ステップS1402)。フレーム型の場合(S1402で“YES”)、第1実施形態のリボン皺対策が必要であるため、特色インクの転写領域/非転写領域を区別して保護層の形成が行われる(ステップS1403)。スポット型の場合(S1402で“NO”)、特色インクの転写領域/非転写領域を区別せずに保護層の形成が行われる(ステップS1404)。
【0072】
図15は、図14に示されるステップS1404の保護層の形成処理の例を示すフローチャートであり、特色インクの転写領域/非転写領域を区別せずに、保護面が印画される。すなわち、最初に保護面の1ライン分の転写データが読み出される(ステップS1501)。そして、全ピクセルについて、サーマルヘッド402に供給するエネルギーが通常エネルギーに設定され(ステップS1502)、保護面の印画のためのエネルギーで表現された転写データがバッファに格納される(S1503)。なお、バッファはRAM212上に存在する。
【0073】
続いて、バッファに格納された保護面の1ライン分の転写データがプリンタエンジン部206に送信され(S1504)、バッファに格納された保護面の転写データが最終ラインに到達したかが判定される(ステップS1505)。到達していない場合(S1505で“NO”)、処理はステップ1501に戻され、到達した場合(S1505で“YES”)、保護層が形成され(ステップS1506)、その後、処理は終了となる。
【0074】
<第3実施形態>
リボン皺の発生頻度は、特色インクの転写領域の形状に応じて変化する。例えば、前述したフレーム型であっても、転写領域が小さい場合にはリボン皺は発生し難く、スタンプ型であっても、転写領域が広い場合にはリボン皺が発生し易くなる。そこで、第3実施形態では、特色インクの転写領域の形状を検査して、リボン皺対策を実行するか否かを判定する。
【0075】
図16は、印刷装置100において実行される、第3実施形態に係る保護層の形成方法のフローチャートである。特色面の転写データが読み出され(ステップS1601)、特色インクの転写領域の形状が検査される(ステップS1602)。次に、検査された形状がリボン皺を発生させ易い形状であるかが判定される(ステップ1603)。例えば、スタンプ型であっても、保護面に対する特色インクの転写領域の割合が予め定められた値以上ある場合や、額状や枠状の形状を含む場合には、リボン皺が発生し易いと判定することができる。
【0076】
リボン皺が発生し易い形状の場合(S1603で“YES”)、リボン皺対策が必要であるため、特色インクの転写領域/非転写領域を区別して保護層の形成が行われる(ステップS1604)。一方、リボン皺が発生し難い形状の場合(S1603で“NO”)、皺対策は必要ではないため、特色インクの転写領域/非転写領域を区別せずに保護層の形成が行われる(Sステップ1605)を実施する。
【0077】
本実施形態では、特色インクの転写領域の形状を判断してリボン皺対策を実行するか否かを決定した。これに対し、形状で判断するのでなく、特色インクの転写領域の大きさが所定の大きさよりも大きい場合にリボン皺対策を実行し、所定の大きさよりも小さい場合にはリボン皺対策を実行しないようにしてもよい。
【0078】
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0079】
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して印刷処理装置に供給し、印刷処理装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0080】
100 印刷処理装置
101 撮像装置
111 インタフェース
201 制御部
206 プリンタエンジン部
402 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色インク、保護インク及び特色インクが塗布されたインクリボンの各インクを熱により受像紙に転写させて印刷を行う印刷処理装置であって、
前記色インク、前記保護インク、前記特色インクの順で各インクを前記受像紙に転写するためのサーマルヘッドを有する印刷手段と、
前記印刷手段による前記保護インクの転写を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記保護インクの転写により形成される保護層について、前記保護層の上に前記特色インクが転写される転写領域と前記保護層の上に前記特色インクが転写されない非転写領域とを、前記特色インクが転写される前に区別する区別手段と、
前記特色インクの転写の際に前記インクリボンにリボン皺が生じないように、前記保護インクの転写の際に前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整する調整手段と、を有することを特徴とする印刷処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記非転写領域に対して前記保護インクを転写する際に、前記サーマルヘッドに供給する電圧パルスの電圧値を高くすることにより、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1記載の印刷処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記非転写領域に対して前記保護インクを転写する際に、前記サーマルヘッドに供給する電圧パルスの数を多くすることにより、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1記載の印刷処理装置。
【請求項4】
前記特色インクを転写する転写領域の形状を判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記転写領域の形状が所定の形状であると判断された場合には、前記調整手段により、前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷処理装置。
【請求項5】
前記特色インクを転写する転写領域の大きさを判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記転写領域が所定の大きさよりも小さいと判断された場合には、前記調整手段により、前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷処理装置。
【請求項6】
前記特色インクを転写する転写領域の大きさを判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記転写領域が所定の大きさよりも大きいと判断された場合には、前記調整手段による調整を行わずに、前記非転写領域と前記転写領域とを区別せずに前記サーマルヘッドにエネルギーを供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷処理装置。
【請求項7】
前記特色インクを転写する転写領域の種類がフレーム型かスタンプ型かを判定する判定手段を更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記フレーム型と判断された場合には、前記調整手段により、前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷処理装置。
【請求項8】
前記色インクにより前記受像紙に印刷される画像を選択する画像選択手段と、
前記特色インクにより前記受像紙に印刷されるフレームを選択するフレーム選択手段と、
前記特色インクにより前記受像紙に印刷されるスタンプを選択するスタンプ選択手段と、を更に有し、
前記制御手段は、前記フレーム選択手段により選択されたフレームに基づいて、前記特色インクを転写する場合は、前記調整手段により前記非転写領域における前記保護層の表面の凹凸が前記転写領域における前記保護層の表面の凹凸よりも大きくなるように前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷処理装置。
【請求項9】
色インク、保護インク及び特色インクが塗布されたインクリボンの各インクを熱により受像紙に転写させて印刷を行う印刷処理装置であって、
前記色インク、前記保護インク、前記特色インクの順で各インクを前記受像紙に転写させるサーマルヘッドを有する印刷手段と、
前記印刷手段による前記保護インクの転写を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記特色インクを転写する転写領域の種類がフレーム型かスタンプ型かを検査する検査手段と、
前記検査手段が前記転写領域の種類が前記フレーム型であると判定した場合に、前記特色インクの転写の際に前記インクリボンにリボン皺が生じないように、前記保護インクを前記受像紙上に転写して保護層を形成する際に、前記保護層において前記特色インクの非転写領域に対応する領域の表面の凹凸が前記特色インクの転写領域に対応する領域の表面の凹凸よりも大きくなるように、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整する調整手段と、を有することを特徴とする印刷処理装置。
【請求項10】
色インク、保護インク及び特色インクが塗布されたインクリボンの各インクを熱により受像紙に転写させて印刷を行う印刷処理装置であって、
前記色インク、前記保護インク、前記特色インクの順で各インクを前記受像紙に転写させるサーマルヘッドを有する印刷手段と、
前記印刷手段による前記保護インクの転写を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記特色インクを転写する転写領域の形状を検査する検査手段と、
前記検査手段が検査した前記転写領域の形状が前記インクリボンにリボン皺を発生させ易い形態として予め定められている形状に該当する場合に、前記特色インクの転写の際に前記インクリボンにリボン皺が生じないように、前記保護インクを前記受像紙上に転写して保護層を形成する際に、前記保護層において前記特色インクの非転写領域に対応する領域の表面の凹凸が前記特色インクの転写領域に対応する領域の表面の凹凸よりも大きくなるように、前記サーマルヘッドに供給するエネルギーを調整する調整手段と、を有することを特徴とする印刷処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−16830(P2012−16830A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153813(P2010−153813)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】