説明

印刷回路装置

【目的】 低温環境においても、回路基板上の電子部品を急速に加温する。
【構成】 電子部品を接続する配線パターン2を持った回路基板1上に、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターン3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子部品を接続する配線パターンを回路基板上に有する印刷回路装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の印刷回路装置を示す平面図であり、図において、1は絶縁性プラスチックの回路基板、2は回路基板1上に形成された金属膜からなる配線パターンで、これらの各配線パターン2には、これらとともに回路素子を構成するトランジスタなどの電子部品の端子が半田付けされるようになっている。
【0003】次に動作について説明する。印刷回路は、各種の機器において電子部品を組み込むのに欠くことができないものであり、基板1上に多数の電子部品、例えば、集積回路,トランジスタ,ダイオードあるいは抵抗等を載置し、しかもこれらの各端子を所定の配線パターン2のスルーホールに差し込んだ後、半田付けするなどして、電子回路を構成している。従って、この回路基板装置は小型にして、上記回路特有の電気的機能を果たす。
【0004】ところで、このような印刷回路に装着される電子部品、特に、集積回路,トランジスタ等の部品は、低温に弱く、非常に低い温度では正常に動作しなかったり、損傷を受けることが多々ある。このため、これらの電子部品を使用した機器を寒冷地などの低温環境で使用する場合は、機器の内部にスペースヒータ等を設定し、機器の運転前に予熱して、電子部品を装着した印刷回路周辺の温度を上げる方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の印刷回路装置は以上のように構成されているので、上記スペースヒータで機器内部を予熱する方法では、ヒータ設備が大掛かりになるほか、機器内部全体を加熱するために、印刷回路上の電子部品が温まるのに時間がかかるなどの問題点があった。
【0006】この請求項1の発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、低温環境においても、印刷回路上の電子部品が、簡単にかつ急速に加温できる印刷回路装置を得ることを目的とする。
【0007】また、この請求項2の発明は電子部品の温度を自動調整することができる印刷回路装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この請求項1の発明に係る印刷回路装置は、電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンを設けたものである。
【0009】また、この請求項2の発明に係る印刷回路装置は、電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に設けられた、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンと、該ヒータパターンの途中に形成された回路遮断用の切欠とを設け、バイメタルによって、上記回路基板が設定温度以上となったときにはその切欠を開かせ、その設定温度以下では上記切欠を閉じさせるようにしたものである。
【0010】
【作用】この請求項1の発明におけるヒータパターンは、これに通電することにより、印刷回路の回路基板を急速に加温し、印刷回路に装着された電子部品も急速に暖めて、印刷回路の動作の立ち上げを迅速かつ安全に行えるようにする。
【0011】また、この請求項2の発明におけるバイメタルは、回路基板の温度が印刷回路の動作の立ち上げや運転に十分となったとき変形させて、ヒータパターンを電気的に遮断し、これにより回路基板の過熱を防止するように作用する。
【0012】
【実施例】実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1において、1は絶縁性プラスチックの回路基板、2は回路基板1上に形成された金属膜の配線パターン、3は回路基板1上に形成されたヒータパターンである。また、このヒータパターン3は、例えば一般にヒータ材料として使われているニッケルクロム合金などの金属膜からなる。なお、このヒータパターン3の両端は回路基板1のコネクタ接続部に導かれて、例えばコネクタから所定の加熱用電圧を受けるようになっている。
【0013】次に動作について説明する。上記のように、ヒータパターン3は印刷回路の回路基板1上に形成されている。このため、寒冷地などの低温環境で、電子部品を装着した上記回路基板1を有する機器を運転する場合には、予め、ヒータパターン3に通電しておく。これにより、ヒータパターン3は加熱されて回路基板1、ひいては電子部品が加熱され、この電子部品の温度を急速に上げることができる。そして、基板温度、あるいは電子部品の温度を検出して、所定の温度になったところで、ヒータパターン3への通電を停止すればよい。
【0014】このようにして、機器の始動並びに運転が正常に行えるようになる。すなわち、一旦、電子回路が作動すれば、自分自身の電力損失による発熱で、電子部品の温度が上昇し、所定の高温を継続し、安定な回路動作が維持されることになる。
【0015】実施例2.図2はこの請求項2の発明を示す要部の断面図である。すなわち、この発明では、上記実施例がヒータパターン3に通電して、これを加熱し、温度上昇を別の手段で検知して、所定の温度まで上昇したらヒータパターン3への通電を停止するのに対し、ヒータパターン3自身で温度上昇を検出して、このヒータパターン3への通電を停止させるようにしている。このため、この発明ではヒータパターン3の一部に切欠3aを形成し、この切欠3aを塞ぐようにヒータパターン3の切欠部分をバイメタル4で接続する。ここで、このバイメタル4の一端はヒータパターン3に固着しておき、他端は開離可能にヒータパターン3に接触させてある。
【0016】従って、この状態でヒータパターン3に通電すると、電流はバイメタル4を介してヒータパターン3に流れ、ヒータパターン3により回路基板が加熱される。そして、所定の温度になると、バイメタル4は図2の点線で示すように変形して、ヒータパターン3より離れ、上記通電が停止される。この後、機器が運転状態に入ることになる。
【0017】一方、一旦電子回路が作動すれば、自分自身の発熱で印刷回路自体がある一定の高い温度に維持されるので、バイメタル4はヒータパターンから離れ、ヒータパターン3に必要以上に通電されることはない。つまり、電子部品の過熱を防止できることになる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、この請求項1の発明によれば、電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンを設けるように構成したので、ヒータパターンに通電して回路基板を加熱することにより、非常な低温下においても、すみやかに電子部品の温度を上昇させることができ、しかも、従来の機器内部全体を暖めるスペースヒータのような大掛かりな設備も不要となり、装置全体の構成を簡素かつ安価にできるものが得られる効果がある。
【0019】また、この請求項2の発明によれば、電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に設けられた、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンと、該ヒータパターンの途中に形成された回路遮断用の切欠とを設け、バイメタルによって、上記回路基板の設定温度以上時にはその切欠を開かせ、その設定温度以下では上記切欠を閉じさせるように構成したので、簡単な構成で、ヒータパターンによる電子部品の加熱と、この電子部品の過熱防止を自動的にコントロールできるものが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この請求項1の発明の一実施例による印刷回路装置を示す平面図である。
【図2】この請求項2の発明の一実施例による印刷回路装置の要部を示す断面図である。
【図3】従来の印刷回路装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 回路基板
2 配線パターン
3 ヒータパターン
3a 切欠
4 バイメタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンを設けた印刷回路装置。
【請求項2】 電子部品を接続する配線パターンを持った回路基板上に設けられた、上記電子部品を予熱するための金属膜のヒータパターンと、該ヒータパターンの途中に形成された回路遮断用の切欠と、該切欠を上記回路基板の設定温度以上のときには開き、該設定温度以下のときには閉じるバイメタルとを設けた印刷回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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