説明

印刷方法および印刷機

【課題】 ゴム層および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、ブランケットのゴム層を膨潤している溶剤の量を定量しながら、安定して良好な印刷をすることができる印刷方法と、前記印刷方法を実施するのに適した印刷機とを提供する。
【解決手段】 印刷方法は、ブランケットのゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量し、その結果に基づいて、ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去する。印刷機1は、ブランケット2のゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量する溶剤量定量部8を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランケットのゴム層の表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写して印刷をする印刷方法と、前記印刷方法に用いる印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばプラズマディスプレイパネルの前面板の電極や電磁波シールド、あるいは液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ層等の、基板の面積と比較してごく微細な線幅を有するパターンを、前記基板のほぼ全面に形成するために、従来はいわゆるフォトリソグラフ法を利用した形成方法が採用されてきた。しかし近時、フォトリソグラフ法に代えて、できるだけ工程数を少なく、消費エネルギーを小さく、使用する材料の無駄を少なく、そして短時間で生産性良く前記パターンを形成するために、印刷法、特に凹版オフセット印刷法を利用することが検討されている。
【0003】
凹版オフセット印刷法では、前記パターンに対応した凹部を有する凹版を用意し、前記凹版の凹部にインキを充てんした後、前記インキを、その少なくとも表面を構成するゴム層がシリコーンゴム等で形成されたブランケットの、前記ゴム層の表面に転写させる。そして前記インキを基板の表面に再転写させたのち焼き付けることで、前記基板の表面に、凹版の凹部のパターンに対応したパターンが形成される。
【0004】
かかる凹版オフセット印刷法によれば、例えば凹版の凹部をフォトリソグラフ法によって形成することで、従来の、ガラス基板の表面に直接に、フォトリソグラフ法によって形成したのとほぼ同等の、高い精度を有するパターンを形成することができる。
またフォトリソグラフ法では、パターンを形成するために多数の工程を要する上、マスクパターンを用いたエッチングやプレーティング等を組み合わせてパターンを形成するために、そのもとになるインキやマスクパターンのもとになる感光性樹脂等を、実際に形成するパターンが必要とする量以上に多量に使用する必要がある。しかも、エッチング等によって発生する多量の廃材は、個別に回収して再利用することが困難である。
【0005】
これに対し凹版オフセット印刷法では、凹版およびブランケットを繰り返し使用できる上、インキの使用量は、ほぼパターンを形成するのに必要な分だけで済み、多量の廃材が発生するおそれもないため、資源の節約に繋がる上、前記のように工程数も少なくて済む。そのため凹版オフセット印刷法によれば、フォトリソグラフ法に比べて消費エネルギーを小さく、使用する材料の無駄を少なく、そして工程数を少なくして短時間で生産性良くパターン形成をすることが可能である。
【0006】
ところがブランケットのゴム層は常にインキと接触していることから、印刷を繰り返すうちに、インキ中に含まれる溶剤によって徐々に膨潤し、それに伴ってインキに対する濡れ性が刻々変化する。そのため、印刷初期こそ前記のように高精度の印刷が可能であるものの、印刷を繰り返すうちに高精度で良好な印刷を行えなくなるおそれがある。
すなわちインキ中に含まれる溶剤として、ゴム層を殆ど膨潤しない濡れ性の低い溶剤を使用すれば、印刷を繰り返しても濡れ性は殆ど変化しないため安定した印刷を行うことができる。しかし濡れ性の低い溶剤を含むインキは、版からゴム層への転写性が十分でないことから、特に細線のパターンにおいて断線を生じやすいという問題がある。
【0007】
断線は最も回避すべき不良であり、それを防止するためにはゴム層をある程度膨潤しうる溶剤を使用しなければならないが、かかる溶剤を含むインキを使用して印刷を繰り返すとゴム層が徐々に膨潤して、インキに対する濡れ性が徐々に上昇する。そしてそれに伴ってインキが滲みやすくなって、特に細線のパターンの線幅が徐々に広くなったり、版表面の微小な汚れを転写するようになったり、ゴム層から基板へのインキの転写性が徐々に低下したりするようになる。
【0008】
そこで、例えば印刷の途中でゴム層を加熱して溶剤を除去することが考えられるが、そのためにはおよそ40〜200℃程度まで加熱する必要があり、乾燥直後の表面温度の高いゴム層を凹版に接触させると、前記凹版が熱膨張して印刷精度が低下するという問題がある。
基板にインキを再転写させて印刷をした後、凹版から次のインキが転写されるまでの間のゴム層の表面に、溶剤を吸収する機能を有する吸収体を当接させることで、ゴム層を膨潤している溶剤を吸収して除去することが提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
しかし一度に多量の溶剤を除去すると、ゴム層の状態が急激に変化するため、除去の前後でインキの転写性や線幅が大きく変動するおそれがある。しかも膨潤のメカニズムは非常に複雑であって、単純に溶剤を除去すれば良いというものでもない。どのようなタイミングで、どの程度の量の溶剤を除去する必要があるかの判断が重要であるが、その判断を印刷作業者の経験と勘に頼っていたのでは品質の安定した製品を製造することができず、自動化が望まれている。
【0010】
シリコーンゴムの誘電率が2〜3程度であるのに対し、溶剤の中でも極性の高い溶剤の誘電率が10〜60程度であることを利用してゴム層を膨潤している溶剤の量を定量し、その結果に基づいて溶媒の除去を行なうことが提案されている(特許文献2参照)。具体的には、ゴム層の厚み方向の任意の位置に埋設した一対の電極間の静電容量を、LCRメータを用いて測定することにより、前記ゴム層を膨潤している溶剤の量を定量することができる。
【0011】
しかし、この方法によって溶剤の量をできるだけ正確に定量するためには、ゴム層を形成するゴムと溶剤との誘電率の差ができるだけ大きいことが肝要であり、そのため組み合わせるゴムおよび溶剤の種類が制限されるという問題がある。また、たとえゴムと溶剤との誘電率の差が大きい組み合わせを選択したとしても、ゴム層を膨潤する溶剤の量が少ない間は誘電率の変化が小さいことから、溶剤量を正確に定量できないという問題もある。
【0012】
赤外分光光度計(FT−IR等)を用いてゴム層のスペクトルを測定し、その中に含まれる溶剤のピークの面積から、ゴム層を膨潤している溶剤の濃度を定量することも考えられる。しかしその場合には、赤外吸収センサをゴム層の表面に密着させる必要があり、密着させたセンサの跡が、印刷品質に影響を及ぼすおそれがある。
【特許文献1】特開2006−35769号公報
【特許文献2】特開2006−175850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、ゴム層および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、ブランケットのゴム層を膨潤している溶剤の量を定量しながら、安定して良好な印刷をすることができる印刷方法と、前記印刷方法を実施するのに適した印刷機とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ブランケットのゴム層の表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写して印刷をする印刷方法であって、前記ゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量する工程と、前記定量の結果に基づいて、ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
物質にレーザ光を照射すると、いわゆるラマン効果により、照射したレーザ光と同じ振動数の散乱光(「レイリー散乱光」と呼ばれる)と、照射したレーザ光とは振動数の異なる、ストークス散乱光および反ストークス散乱光と呼ばれる2種の散乱光(合わせて「ラマン散乱光」とも呼ばれる)が発生することが知られている。本発明は、かかるラマン効果を利用したラマン分光法によって、ゴム層を膨潤している溶剤の量を定量するものである。
【0016】
すなわちラマン分光法の原理によれば、ラマン散乱光の振動数のずれ(ラマンシフト)は物質の構造に特有の値を示すため、あらかじめ、使用するゴム層および溶剤のラマン散乱光を測定しておけば、前記ゴム層を形成するゴムおよび溶剤の種類を制限することなく、任意のゴム層を膨潤している任意の溶剤の同定が可能である。また、発生したラマン散乱光を干渉計、分光器等を介して検出器で検出して得られるラマンスペクトルにおける、ゴム層を形成するゴムの特定のピークと、溶剤の特定のピークとの比(ピーク高さの比、面積比等)を求めることによって、従来の、誘電率の測定等の方法では検出できないごく微量の範囲から、ゴム層を膨潤している溶剤の定量が可能である。
【0017】
しかも、前記のようにゴム層にレーザ光を照射してその散乱光を測定することにより、前記ゴム層とは全く非接触の状態で、何ら跡をつけることなく溶剤量を定量できるため、定量の操作によって印刷品質に影響を及ぼすこともない。したがって、前記ラマン分光法によって溶剤の量を定量しながら印刷をする本発明の印刷方法によれば、ゴム層および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、ブランケットのゴム層を膨潤している溶剤の量を定量しながら、安定して良好な印刷をすることが可能となる。
【0018】
本発明は、ブランケットのゴム層の表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写して印刷をする印刷機であって、前記ブランケットを保持する保持部材と、前記保持部材に保持されるブランケットのゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量する溶剤量定量部とを備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、前記ラマン分光法による溶剤量定量部を印刷機に組み込むことによって、常に一定の条件で溶剤量を定量することができ、その結果をもとに、ブランケットのゴム層を膨潤している溶剤の除去操作を自動で、または手動により実施して、安定して良好な印刷をすることが可能となる。
前記本発明の印刷機において、溶剤量定量部は、レーザ光源と、散乱光を受光する受光部と、前記受光部とゴム層との間に配設される対物レンズと、前記対物レンズと受光部との間に配設される、対物レンズと共焦点のアパーチャとを備え、前記対物レンズおよびアパーチャは、ゴム層の表面との間の距離が調整可能に配設されているのが好ましい。
【0020】
本発明によれば、レーザ光源からゴム層にレーザ光を照射することで、前記ゴム層の、厚み方向の広い範囲で発生するラマン散乱光のうち、前記厚み方向の特定の位置からの成分を、対物レンズとアパーチャとによって選択的に取り出して受光部に導光することができる。そのためゴム層の、厚み方向の特定の位置における溶剤の量を定量できる。
また、対物レンズおよびアパーチャとゴム層の表面との間の距離を調整することで、前記ラマン散乱光のうち、ゴム層の厚み方向のどの位置で発生した成分を、対物レンズとアパーチャとによって選択的に取り出して受光部に導光するかを選択することができる。そのため、例えば対物レンズおよびアパーチャとゴム層の表面との間の距離を少しずつ変化させながら定量を繰り返すことで、ゴム層の厚み方向における溶剤量の分布を測定することができ、ゴム層の膨潤状況をより細かく把握して、より的確に溶剤を除去することが可能となる。
【0021】
また、本発明の印刷機は、ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去する溶剤除去機構と、溶剤量定量部による定量の結果に基づいて前記溶剤除去機構を動作させる制御部とを備えているのが好ましい。
本発明によれば、例えば制御部に、溶剤除去機構の動作パターンを複数、登録しておき、溶剤量定量部による定量の結果に応じて、前記動作パターンのいずれかを選択して溶剤除去機構を動作させること等が可能であり、溶剤除去の動作を自動化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ゴム層および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、ブランケットのゴム層を膨潤している溶剤の量を定量しながら、安定して良好な印刷をすることができる印刷方法と、前記印刷方法を実施するのに適した印刷機とを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の印刷方法を実施するための、本発明の印刷機の実施の形態の一例を示す概略図である。図1を参照して、この例の印刷機1は、その外周にシート状のブランケット2を円筒状に保持する、保持部材としてのブランケット胴3と、凹版4よび被印刷体としての基板5を保持するための台盤6とを備えた凹版オフセット印刷機である。前記印刷機1においてブランケット胴3は、図に示す、台盤6から離間した上昇位置と、図示していないが、ブランケット2を凹版4または基板5の表面に当接させる下降位置との間を、図中に実線の矢印で示すように上下動される。
【0024】
また台盤6は、前記ブランケット2を、凹版4の表面の、図において左側の端に当接させる位置と、基板5の表面の、図において右側の端に当接させる位置との間を、図中に実線の矢印で示すように左右動される。そしてこの上下動と左右動とを組み合わせることで、基板5の表面に印刷が行われる。
すなわち、図1の状態(初期状態とする)において凹版4の表面にインキを供給し、次いで台盤6を右方向へ移動させると、前記凹版4の表面に当接させたドクターブレード7が、図において凹版4の右端から左端まで前記表面上を相対移動されることで、前記インキが、凹版4の、図示しない凹部に充填される。
【0025】
それと共にブランケット胴3を下降させて、ブランケット2を、凹版4の表面の、図において右側の端に当接させた状態で、前記台盤6をさらに右方向へ移動させると、前記ブランケット2がブランケット胴3と共に前記移動に伴って従動回転されることで、その表面に、凹版4の凹部内に充填されたインキが転写される。
次に、ブランケット胴3を上昇させた状態で台盤6を左方向へ移動させた後、下降させて、ブランケット2を、基板5の表面の、図において右側の端に当接させた状態で、前記台盤6を右方向へ移動させると、前記ブランケット2がブランケット胴3と共に前記移動に伴って従動回転されることで、その表面に転写されたインキが、基板5の表面に再転写される。
【0026】
このあと、ブランケット胴3を再び上昇させると共に台盤6を戻して図1に示す初期状態とし、連続的に印刷を行う場合は、以上で説明した工程を繰り返す。また印刷後の基板5を台盤6から取り外して乾燥、焼き付け等の所定の処理をすると、例えばプラズマディスプレイパネルの前面板の電極や電磁波シールド、あるいは液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ層等が製造される。
【0027】
この例の印刷機1は、前記初期状態に戻したブランケット胴3の周囲に、ブランケット2のゴム層に滲み込んだ溶剤の量を定量するための溶剤量定量部8と、前記ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去するための溶剤除去機構9とを備えている。また溶剤量定量部8および溶剤除去機構9は、それぞれ制御部10に接続されている。
このうち溶剤量定量部8はレーザ光源11、対物レンズ12および受光部13を備えている。対物レンズ12は、図中に一点鎖線の矢印で示すようにレーザ光源11からブランケット2のゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を、受光部13に導光するためのものである。また受光部13は、図示していないが、前記対物レンズ12によって導光されたラマン散乱光からラマンスペクトルを得るための干渉計、分光器、検出器、および前記検出器による検出値を増幅して制御部10に送る増幅器等によって構成される。
【0028】
図2は、溶剤量定量部8の変形例を示す概略断面図である。図2を参照して、この例の溶剤量定量部8は対物レンズ12と受光部13との間に、前記対物レンズ12と共焦点のアパーチャ(コンフォーカルアパーチャ)14を備える点が、先の例と相違している。前記溶剤量定量部8によれば、例えば図中に実線、破線および一点鎖線の矢印で示すように、ブランケット2のゴム層15の、厚み方向の広い範囲で発生するラマン散乱光のうち、前記厚み方向の特定の位置からの成分(実線の成分)のみを、対物レンズ12とアパーチャ14とによって選択的に取り出して受光部13に導光することができる。そのためブランケット2のゴム層15の、厚み方向の特定の位置における溶剤の量を定量できる。
【0029】
またこの例では前記対物レンズ12およびアパーチャ14を、ブランケット2のゴム層15の表面との間の距離を調整可能に配設することによって、前記ラマン散乱光のうち、ゴム層15の厚み方向のどの位置で発生した成分を、対物レンズ12とアパーチャ14とによって選択的に取り出して受光部13に導光するかを選択することができる。そのため、例えば制御部10においてあらかじめ登録された動作プログラムに従って対物レンズ12およびアパーチャ14と、ブランケット2のゴム層15の表面との間の距離を少しずつ変化させながら定量を繰り返すことで、前記ゴム層15の厚み方向における溶剤量の分布を測定することができ、ゴム層15の膨潤状況をより細かく把握して、より的確に溶剤を除去することが可能となる。
【0030】
図1を参照して、受光部13によって検出された溶剤量の定量値は制御部10に入力される。制御部10は、この入力値と、あらかじめ登録された基礎データとに基づいてゴム層15の膨潤状況を判定し、その結果に基づいて、あらかじめ登録された動作プログラムに従って溶剤除去機構9を動作させる。
溶剤量定量部8による溶剤量の定量は、前記のようにブランケット2の表面に対して非接触で行なわれ、印刷品質に影響を及ぼさないため、前記定量は、ブランケット2上の、実際に、プラズマディスプレイパネルの電極等のもとになるインキが転写される領域に対して行ってもよい。ただし印刷パターンが変わればインキの転写位置が変動するため、印刷パターンの違いに係わりなく、常に安定して溶剤量を定量することを考慮すると、実際の印刷パターン外の所定の領域にダミーパターンを設定することとし、前記ダミーパターンの領域での溶剤量を測定するようにするのが好ましい。
【0031】
溶剤除去機構9としては、例えばブランケット2のゴム層の表面に溶剤吸収体を当接させ、前記溶剤吸収体によって直接に溶剤を吸収して除去する方式のもの、前記表面に赤外線を照射したり、温風、冷風を吹きつけたりして溶剤を蒸発させて除去する方式のもの、前記表面を真空チャンバで覆って真空吸引することで溶剤を蒸発させて除去する方式のもの等、種々の方式のものがいずれも採用可能である。
【0032】
前記各部を備えたこの例の印刷機1によれば、あらかじめ組み込んだ溶剤量定量部8によって常に一定の条件で、ブランケット2のゴム層15および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、前記ゴム層15を膨潤している溶剤の量を定量し、その結果をもとに、溶剤除去機構9による溶剤の除去操作を自動で実施することによって、安定して良好な印刷をすることが可能となる。
【0033】
なお本発明の構成は、以上で説明した図の例のものには限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。例えば印刷方法は、前記印刷機1を用いず、通常の印刷機を用いて印刷を行い、その任意の時点で、印刷作業者がラマン分光法による計測器でもって計測した結果をもとに、溶剤の除去作業を行なうようにしてもよい。
また印刷機1は、溶剤量定量部8による定量の結果をもとに、溶剤除去が必要である旨を印刷作業者に知らせる表示部を備えるものとして、前記印刷作業者が、表示部の表示にしたがって手動で、溶剤除去機構9を動作させて溶剤の除去操作を行うようにしてもよい。また印刷方法は凹版オフセットには限定されず、例えば反転印刷方法を採用することもできる。図3は、前記反転印刷方法を実施するための印刷機16の、実施の形態の一例を示す概略図である。
【0034】
図の例の印刷機16は、初期状態に戻したブランケット胴3の周囲に、ブランケット2の表面の全面にインキを塗布するためのスリットダイコータ17を配設した点が、先の図1の印刷機1と相違している。その他の箇所は、前記印刷機1と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
図3の印刷機を用いた反転印刷法では、まずスリットダイコータ17を用いて、ブランケット2の表面の全面にインキを塗布し、次いで台盤6を右方向へ移動させながらブランケット胴3を下降させて、ブランケット2を、凹版4の表面の、図において右側の端に当接させた状態で、前記台盤6をさらに右方向へ移動させる。そうすると、ブランケット2がブランケット胴3と共に前記移動に伴って従動回転されることで、前記ブランケット2の表面の全面に塗布されたインキのうち、凹版4の、凹部以外の表面と接触したインキが前記表面に転写されて、ブランケット2の表面から除去される。
【0035】
次に、ブランケット胴3を上昇させた状態で台盤6を左方向へ移動させた後、下降させて、ブランケット2を、基板5の表面の、図において右側の端に当接させた状態で、前記台盤6を右方向へ移動させると、前記ブランケット2がブランケット胴3と共に前記移動に伴って従動回転されることで、凹版4の凹部に対応して除去されずにブランケット2の表面に残されたインキが、基板5の表面に転写される。
【0036】
このあと、ブランケット胴3を再び上昇させると共に台盤6を戻して図1に示す初期状態とし、連続的に印刷を行う場合は、以上で説明した工程を繰り返す。また印刷後の基板5を台盤6から取り外して乾燥、焼き付け等の所定の処理をすると、例えばプラズマディスプレイパネルの前面板の電極や電磁波シールド、あるいは液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ層等が製造される。
【0037】
図の例の、反転印刷法を採用した印刷機16においても、あらかじめ組み込んだ溶剤量定量部8によって常に一定の条件で、ブランケット2のゴム層15および溶剤の種類を制限したり、印刷品質に影響を及ぼしたりすることなく、しかもできるだけ正確に、前記ゴム層15を膨潤している溶剤の量を定量し、その結果をもとに、溶剤除去機構9による溶剤の除去操作を自動で実施することによって、安定して良好な印刷をすることが可能となる。
【実施例】
【0038】
〈確認試験1〉
試料として、ブランケット2のゴム層を形成するために用いるのと同じシリコーンゴム単体、ならびにプラズマディスプレイパネルの電極や電磁波シールドを形成するためのインキに実際に用いられる、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(ブチルカルビトールアセタート、「BCA」と略記する)、テルピネオール、およびポリエチレングリコールジメチルエーテル(「MPM」と略記する)の3種の溶剤のラマンスペクトルを、ラマン分光光度計を用いて測定した。結果を図4に示す。図4の横軸はラマンシフト(cm-)、縦軸は相対強度である。図では、前記各物質のラマンスペクトルの比較を容易にするため、それぞれのスペクトル曲線を縦軸方向にずらして記載している。
【0039】
図4より、物質ごとにラマンスペクトルが相違するため、各物質の同定が可能であることがわかった。またシリコーンゴムとBCAとの組み合わせでは、シリコーンゴムについては1400cm-1付近のピーク、BCAについては1750cm-1付近のピーク(それぞれ図4中に●印を付したピーク)の比を検出すれば、ゴム層を膨潤している溶剤としてのBCAの濃度を定量できることが、図4の結果、ならびにその他の検討から確認された。
【0040】
〈確認試験2〉
シリコーンゴムからなるゴム層を備えた実際のブランケットの表面に、BCAを5分間に亘って接触させて、前記ゴム層をBCAによって膨潤させた後、余剰のBCAを除去して試料とした。
ラマン分光光度計に、対物レンズ(倍率×100)と、前記対物レンズと共焦点のアパーチャ(孔径25μm)とを組み込み、前記試料の表面と、対物レンズおよびアパーチャとの間の距離を段階的に変化させながらラマンスペクトルを測定した。前記距離は、ラマン散乱光のうち、ゴム層の表面からの深さが300μm、200μm、100μm、50μm、10μm、および0μm(すなわちゴム層の表面)の位置で発生した成分を、前記対物レンズとアパーチャとによって選択的に取り出して、ラマン分光光度計の受光部に導光できるように調整した。結果を、比較のためにBCAで膨潤していない状態で測定したラマンスペクトルの結果(未膨潤)と共に、図5に示す。図5の横軸はラマンシフト(cm-)、縦軸は相対強度である。図では、前記各ラマンスペクトルの比較を容易にするため、それぞれのスペクトル曲線を縦軸方向にずらして記載している。
【0041】
図5より、対物レンズおよびアパーチャと、試料としてのゴム層の表面との間の距離を変化させて測定を行うることにより、前記ゴム層の厚み方向における溶剤量の分布を測定できることが確認された。
〈実施例1〉
凹版オフセット印刷法による印刷と、印刷後の焼き付けとによって、対角寸法42インチのガラス基板の表面に電極を形成して、プラズマディスプレイパネルの前面板を製造するために、下記の各部材を用意した。
【0042】
(インキ)
アクリル樹脂、銀粉末、ガラスフリット、および溶剤としてのBCAを、3本ロールを用いて混合して、前記電極のもとになる導電性のインキを調製した。
(ブランケット)
ブランケットとしては、付加型の常温硬化型シリコーンゴムを支持フィルム上に塗布し、硬化反応させて作製した、前記シリコーンゴムからなるゴム層の厚みが300μm、JIS Aゴム硬さが40、十点平均粗さRZJIS94が0.1μmである、幅1000mmのシリコーンブランケットを用意した。
【0043】
(凹版)
凹版としては、ソーダライムガラスの片面に線幅80μm、ピッチ360μmの、前記電極に対応したストライプパターンと、その周りに、溶剤量を検知するためのダミーパターンとを形成したものを用意した。ダミーパターンは、前記ストライプパターンと同じ線幅80μm、ピッチ360μmのストライプパターンを10mm×10mmの正方形の領域中に配列したものとした。
【0044】
(実機試験)
図1に示す凹版オフセット印刷機1の台盤6上に、前記凹版4と、対角寸法42インチのガラス基板5とをセットすると共に、ブランケット胴3の周囲に前記シリコーンブランケット2を巻き付け、さらに図示しないインキの補給装置に前記インキを充填した。溶剤量定量部8としては、先に説明したようにレーザ光源11と、対物レンズ12およびアパーチャ14と、受光部13とを備えるものを用意した。
【0045】
また溶剤除去機構9としては、その表面に、可塑剤、老化防止剤等の添加剤が全く配合されていないエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)からなるゴム層を形成した、シリコーンブランケットの幅と同じ1000mm幅の、無端ベルト状の溶剤吸収体を3本のローラ間に掛け渡して構成され、前記溶剤吸収体を、印刷のインターバルの間に、前記3本のうち2本のローラ間でシリコーンブランケットの表面に圧接させた状態で、前記シリコーンブランケットの回転に同期させて、溶剤吸収体をあらかじめ設定した回数だけ回転させて溶剤を除去する方式のものを用意した。
【0046】
シリコーンブランケットと溶剤吸収体の回転速度は、前記溶剤除去の操作の間、溶剤量定量部8によるBCAの量(溶剤量)の測定結果に基づいて変化できるように可変速式とした。具体的には、前記BCAの量が多く溶剤吸収が不十分である場合には回転速度を遅くし、接触時間を長くして、1回の除去操作でより多くのBCAを除去できるようにし、逆にBCAの量が少なく溶剤吸収が十分である場合には回転速度を速くし、接触時間を短くして、1回の除去操作で除去できるBCAの量を抑制することとした。
【0047】
そして、シリコーンブランケットのゴム層のうち、ダミーパターンに対応する領域の、表面からの深さが50μmの位置でのBCAの量を、1回の印刷が終了するごとに定量しながら、先に説明した手順で連続的に、ガラス基板5の表面に、前記電極のもとになるストライプパターンを印刷する操作を10000回繰り返し行った。
またこの際、事前に、溶剤除去機構9による溶剤除去の操作をせずに連続印刷をした際の、BCA量の推移の結果をもとに、溶剤除去機構9による溶剤除去の条件、すなわち先に説明したBCAの量と、シリコーンブランケットおよび溶剤吸収体の回転速度との関係を設定しておいた。
【0048】
そして、前記のように印刷が1回終了するごとに溶剤量定量部8によって測定したBCAの量と、前記設定とに基づいて、シリコーンブランケットと溶剤吸収体の回転速度を1〜100mm/秒の範囲内の任意の値に設定した状態で、次の印刷までのインターバルの間に、溶剤吸収体をシリコーンブランケットの表面に圧接させて溶剤を除去する操作をした。
【0049】
その結果、BCAの量は、印刷の初期の段階では、ゴム層100質量部あたり2〜3質量部であり、10000回の連続印刷の間もゴム層100質量部あたり3〜5質量部程度の低いレベルで推移した。また印刷結果も良好で、印刷後に焼き付けて製造された10000枚の前面板は、いずれも電極の線幅、厚み、および抵抗値とも安定していた。さらに印刷精度も非常に良好で、前記10000枚の前面板において、42インチの面内で寸法差±10μm以内の印刷精度を確保することができ、この精度は、プラズマディスプレイパネルに実装する上で全く問題を生じないレベルであった。
【0050】
〈比較例1〉
ブランケットとしては、実施例1で用意したのと同じ、ゴム層の厚みが300μm、JIS Aゴム硬さが40、十点平均粗さRZJIS94が0.1μmである、幅1000mmのシリコーンブランケットを用意した。前記ゴム層は、体積固有抵抗が1014Ωcmの絶縁性であるため、ゴム層の膨潤による導電率の変化から膨潤の程度、ひいては溶剤の量を定量することを企図した。
【0051】
しかし、前記ブランケットを図1のオフセット印刷機に組み込んで、印刷層の導電率を測定しながら連続的に印刷を行ったところ、少量の溶剤が膨潤しただけでは導電率の変化を検出することはできなかった。そこで従来どおり、印刷作業者が印刷物を確認しながら、10回に1回の割合で、手動により溶剤除去機構9を動作させて溶剤を除去しながら印刷を行ったが、印刷ごとに線幅のばらつきや印刷形状の乱れが多発し、不良率も高く、安定した印刷を行うことができなかった。
【0052】
〈比較例2〉
反転印刷法による印刷と、印刷後の焼き付けとによって、対角寸法32インチのガラス基板の表面にRGBの3色のカラーフィルタ層を形成して、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタを製造するために、下記の各部材を用意した。
(インキ)
ポリエステル−メラミン樹脂、RGBの3色のうちいずれかの色の有機顔料、分散剤、および溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(「PGMEA」と略記する)を、3本ロールを用いて混合して、前記カラーフィルタ層のもとになるインキを調製した。
【0053】
(ブランケット)
ブランケットとしては、実施例1で用意したのと同じ導電性のシリコーンブランケットを用意した。
(凹版)
凹版としては、ソーダライムガラスの片面に線幅100μm、ピッチ300μmの、前記カラーフィルタ層の1色分に対応したストライプパターンと、その周りに、溶剤量を検知するためのダミーパターンとを形成したものをRGBの3色分用意した。ダミーパターンは、前記ストライプパターンと同じ線幅100μm、ピッチ300μmのストライプパターンを10mm×10mmの正方形の領域中に配列したものとした。
【0054】
(スリットダイコータ)
スリットダイコータとしては、スリット間隔が50μmであるものを用意した。
(実機試験)
図3に示す反転印刷機16の台盤6上に、前記凹版4と、対角寸法32インチのガラス基板5とをセットすると共に、ブランケット胴3の周囲に前記シリコーンブランケット2を巻き付け、さらにスリットダイコータ17に前記インキを充填した。溶剤量定量部8としては、先に説明したようにレーザ光源11と、対物レンズ12およびアパーチャ14と、受光部13とを備えるものを用意した。
【0055】
また溶剤除去機構9としては、
(1) シリコーンブランケットの幅と同じ1000mm幅で、かつスリット間隔が100μmの吸引ノズルを、ブランケット胴3の周囲に巻き付けたブランケット2の表面から100μmの距離を隔てて対向させて、前記ブランケット2の表面での真空度が 13.3322hPaとなるように真空吸引する方式のものと、
(2) シリコーンブランケットの幅と同じ1000mm幅の吹き付けノズルを、ブランケット胴3の周囲に巻き付けたブランケット2の表面から10mmの距離を隔てて対向させて、前記吹き付けノズルから、十分に乾燥させ、かつメンブランフィルタ等を通すことでクリーンに処理された窒素ガスを吹き付けるブロー吹き付け式のものと、
を用意した。
【0056】
前記真空吸引式およびブロー吹き付け式の溶剤除去機構9を用いて、印刷のインターバルの間に、シリコーンブランケットに対する溶剤除去操作をすることとし、シリコーンブランケットの回転速度を、前記溶剤除去の操作の間、溶剤量定量部8によるPGMEAの量(溶剤量)の測定結果に基づいて変化できるように可変速式とした。具体的には、前記PGMEAの量が多く溶剤吸収が不十分である場合には回転速度を遅くし、除去操作の時間を長くして、1回の除去操作でより多くのPGMEAを除去できるようにし、逆にPGMEAの量が少なく溶剤吸収が十分である場合には回転速度を速くし、除去操作の時間を短くして、1回の除去操作で除去できるPGMEAの量を抑制することとした。
【0057】
そして、シリコーンブランケットのゴム層のうち、ダミーパターンに対応する領域の、表面からの深さが50μmの位置でのPGMEAの量を、1回の印刷が終了するごとに定量しながら、先に説明した手順で連続的に、ガラス基板5の表面に、前記カラーフィルタ層のうち1色分のもとになるストライプパターンを印刷する操作を10000回繰り返し行った。
【0058】
またこの際、事前に、溶剤除去機構9による溶剤除去の操作をせずに連続印刷をした際の、PGMEA量の推移の結果をもとに、溶剤除去機構9による溶剤除去の条件、すなわち先に説明したPGMEAの量トシリコーンブランケットの回転速度との関係を設定しておいた。
そして、前記のように印刷が1回終了するごとに溶剤量定量部8によって測定したPGMEAの量と、前記設定とに基づいて、シリコーンブランケットの回転速度を1〜100mm/秒の範囲内の任意の値に設定した状態で、次の印刷までのインターバルの間に、吹き付けノズルから窒素ガスを吹き付けながら、吸引ノズルによって真空吸引して溶剤を除去する操作をした。
【0059】
その結果、PGMEAの量は、印刷の初期の段階では、ゴム層100質量部あたり5質量部前後であり、10000回の連続印刷の間もゴム層100質量部あたりの最大値が15質量部程度の低いレベルで推移した。また印刷結果も良好で、同様の手順でRGBの3色を繰り返し印刷後に焼き付けて製造された10000枚のカラーフィルタは、いずれも線幅、および厚みともに安定していた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の印刷方法を実施するための、本発明の印刷機の、実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】溶剤量定量部の変形例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の印刷方法を実施するための、本発明の印刷機の、実施の形態の他の例を示す概略図である。
【図4】確認試験1において、シリコーンゴムと3種の溶剤のラマンスペクトルを、それぞれラマン分光光度計を用いて測定した結果を示すグラフである。
【図5】確認試験2において、対物レンズおよびアパーチャと、ゴム層の表面との間の距離を変化させながらラマンスペクトルを測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
1、16 印刷機
2 ブランケット
3 ブランケット胴(保持部材)
5 基板(被印刷体)
8 溶剤量定量部
9 溶剤除去機構
10 制御部
11 レーザ光源
12 対物レンズ
13 受光部
14 アパーチャ
15 ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケットのゴム層の表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写して印刷をする印刷方法であって、前記ゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量する工程と、前記定量の結果に基づいて、ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去する工程とを含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
ブランケットのゴム層の表面に担持させたインキを被印刷体の表面に転写して印刷をする印刷機であって、前記ブランケットを保持する保持部材と、前記保持部材に保持されるブランケットのゴム層にレーザ光を照射した際に発生するラマン散乱光を測定し、照射光と散乱光の振動数のずれから、前記ゴム層に滲み込んだインキの溶剤の量を定量する溶剤量定量部とを備えることを特徴とする印刷機。
【請求項3】
溶剤量定量部は、レーザ光源と、散乱光を受光する受光部と、前記受光部とゴム層との間に配設される対物レンズと、前記対物レンズと受光部との間に配設される、対物レンズと共焦点のアパーチャとを備え、前記対物レンズおよびアパーチャは、ゴム層の表面との間の距離が調整可能に配設されている請求項2に記載の印刷機。
【請求項4】
ゴム層に滲み込んだ溶剤を除去する溶剤除去機構と、溶剤量定量部による定量の結果に基づいて前記溶剤除去機構を動作させる制御部とを備える請求項2または3に記載の印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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