説明

印刷方法および被印刷体

【課題】複雑形状(たとえば、凹部を有する等)である被印刷体に印刷することができる印刷方法を提供する。
【解決手段】被印刷体100の被印刷面10を複数の小被印刷面1a、1b・・・に分割して(以下、「a、b・・・」を省略する)、被印刷面10に印刷される絵柄20を小被印刷面1のそれぞれに印刷される小絵柄2に分割する工程と、小絵柄2を平面に展開した小展開絵柄3を作成する工程と、被印刷面1のそれぞれに対応した小印刷原版30に小展開絵柄2に沿ってインキを載せる工程と、小被印刷面1のそれぞれに対応した小印刷用ブランケット40を小印刷原版30に押し付けて前記インキを転写する工程と、多軸ロボットのアームによって把持された小印刷用ブランケット30を小被印刷面1に押し付けて小絵柄2を印刷することによって、被印刷面1に絵柄20を印刷する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷方法および被印刷体、特に、被印刷面を複数の領域に分けて印刷する印刷方法、および該印刷方法によって印刷された被印刷体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等において、印刷制度を向上する工夫がなされてきた。たとえば、本発明の発明者は、印刷パッドに凸版印刷原版を組み合わせて、印刷精度を向上し、多色刷りのカラー印刷を可能にする発明を開示している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−239972号公報(第8−9頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明は、平面や曲面を1回で印刷する場合には顕著な効果を奏する。
しかしながら、たとえば、被印刷体の形状が複雑である場合、たとえば、被印刷体に陥入した凹部が形成された場合、凹部に印刷することが困難であるという問題があった。
また、複数回に分けて印刷する場合、たとえば、球体の北半球と南半球とを別個に印刷する場合や、直方体の側面をそれぞれ別個に印刷する場合等には、印刷領域の端(球体の赤道部や直方体の稜線部)に印刷の重なり範囲が生じ、その重なり範囲の色調が濃くなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するものであって、第1の目的は、複雑形状(たとえば、凹部を有する等)である被印刷体に印刷することができる印刷方法を提供することにある。
また、第2の目的は、複数の印刷領域に分けて印刷する場合に、印刷領域の端に印刷の重なり範囲が生じても、その重なり範囲の色調が濃くならないようにする印刷方法を提供することにある。さらに、第3の目的は、前記印刷方法によって印刷された被印刷体を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る印刷方法は、被印刷体の被印刷面を複数の小被印刷面に分割して、前記被印刷面に印刷される絵柄を前記小被印刷面のそれぞれに印刷される小絵柄に分割する工程と、
該小絵柄を平面に展開した小展開絵柄を作成する工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷原版に、それぞれが対応する小被印刷面における前記小展開絵柄に沿ってインキを載せる工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版に押し付けて、それぞれの小印刷用ブランケットに前記インキを転写する工程と、
前記複数の小印刷用ブランケットを、それぞれが対応する小被印刷面に押し付けて、該小被印刷面に前記小絵柄を印刷することによって、前記被印刷面に前記絵柄を印刷する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
(2)また、本発明に係る印刷方法は、被印刷体の被印刷面を、それぞれの境界が所定の幅で重なるように複数の小被印刷面に分割して、前記被印刷面に印刷される絵柄を前記小被印刷面のそれぞれに印刷される小絵柄に分割する工程と、
該小絵柄を平面に展開した小展開絵柄を作成する工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷原版に、それぞれが対応する小被印刷面における前記小展開絵柄に沿って、前記境界の所定の幅におけるインキの量が、前記境界の所定の幅を除く範囲におけるインキの量より少なくなるように、インキを載せる工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版に押し付けて、それぞれの小印刷用ブランケットに前記インキを転写する工程と、
前記複数の小印刷用ブランケットを、それぞれが対応する小被印刷面に押し付けて、該小被印刷面に前記小絵柄を印刷することによって、前記被印刷面に前記絵柄を印刷する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
(3)前記(1)または(2)において、前記複数の小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版の法線と平行にに該小印刷原版に押し付け、且つ、それぞれが対応する小被印刷面の平均的な法線と平行に該小被印刷面に押し付けることを特徴とする。
【0009】
(4)前記(1)乃至(3)の何れかにおいて、前記複数の小被印刷面のそれぞれの位置を記憶し、且つ、前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した前記小印刷用ブランケットを順次把持すると共に、該把持した小印刷用ブランケットを、これが対応した前記小被印刷面に押し付ける多軸ロボットを用いて、前記絵柄を印刷する工程を実行することを特徴とする。
【0010】
(5)前記(4)において、前記小被印刷面が、前記被印刷体の内部に陥入した凹部の側面または底面であって、
該側面または底面に対応した前記小印刷用ブランケットが、前記凹部に侵入自在であることを特徴とする。
【0011】
(6)前記(5)において、前記小被印刷面が、前記被印刷体の内部に陥入した凹部の側面または底面であって、
該側面または底面に対応した前記小印刷用ブランケットを把持する前記多軸ロボットの把持部が、前記凹部に侵入自在であることを特徴とする。
【0012】
(7)本発明に係る被印刷体は、前記(1)乃至(6)の何れかに記載の印刷方法によって印刷された被印刷面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(i)本発明に係る印刷方法は、絵柄を分割した小絵柄に対応した小印刷用ブランケットを用いて、被印刷面に絵柄を印刷するから、複雑形状の被印刷体への印刷が可能になる。
(ii)また、それぞれの境界が所定の幅で重なるように分割した小絵柄に対応した小印刷用ブランケットを用いて、重なった所定の幅のインキ量を少なくして、被印刷面に絵柄を印刷するから、複雑形状の被印刷体への印刷が可能になると共に、小絵柄同士の境界が濃くなったり、あるいは境界に絵柄の無い範囲(被印刷体の地肌が見える筋)が生じたりすることがない。
なお、インキの量に差を設ける方法は限定されるものではなく、網点の数、網点の大きさ、単位面積当たりのインキ量、等に差をつければよい。
(iii)また、前記複数の小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版の法線と平行に、且つ、それぞれが対応する小被印刷面の平均的な法線と平行に押し付けるから、正確な絵柄を印刷することができる。
【0014】
(iv)小印刷用ブランケットを対応した小被印刷面に押し付ける多軸ロボットを用いて絵柄を印刷するから、複雑形状の被印刷体に正確な絵柄を印刷することが可能になる。
(v)また、小印刷用ブランケットが、被印刷体の内部に陥入した凹部に侵入自在であるから、凹部の側面または底面に絵柄(または絵柄の一部)を印刷することができる。
(vi)そして、小印刷用ブランケットと、これを把持する多軸ロボットの把持部が、凹部に侵入自在であるから、小印刷用ブランケットの形状の自由度が増すと共に、凹部の側面または底面に絵柄(または絵柄の一部)に正確な印刷をすることができる。
【0015】
(vii)本発明に係る被印刷体は、前記(i)乃至(vii)の何れかの効果を奏する印刷方法によって印刷された被印刷面を有するから、複雑形状であって、表面の全部または一部に正確な絵柄が印刷されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る印刷方法を説明するフローチャート。
【図2】本発明の実施の形態1に係る印刷方法を説明する印刷工程毎に示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る印刷方法を説明する印刷工程毎に示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る印刷方法を説明する印刷工程毎に示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る被印刷体を模式的に示す断面図。
【図6】本発明の実施の形態3に係る印刷方法における絵柄を分割する要領を模式的に示す平面図。
【図7】図6に示す印刷方法における小展開絵柄における網点の配置の一例を拡大して模式的に示す平面図。
【図8】図6に示す印刷方法における印刷の重なり範囲を拡大して模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1〜図4は本発明の実施の形態1に係る印刷方法を説明するものであって、図1はフローチャート、図2〜図4は印刷工程毎に示す断面図である。なお、図2〜図4は、模式的に一部を誇張して示すものであって、本発明は、印刷体の形状や絵柄(インキ)の形態(形状、分布等)を図示するものに限定するものではない。
【0018】
図2の(a)において、被印刷体100の被印刷面10(位置11〜位置18)を複数の小被印刷面1a、1b1、1b2・・・1f(以下、それぞれを「小被印刷面1」と称す)に分割して(図1に示すS1)、被印刷面10に印刷しようとする絵柄20(図示しない)を小被印刷面1のそれぞれに印刷される小絵柄2a、2b1、2b2・・・2f(以下、それぞれを「小絵柄2」と称す)に分割する(図1に示すS2)。
そして、小絵柄2のそれぞれを平面に展開した小展開絵柄3a、3b1、3b2・・・3f(以下、それぞれを「小展開絵柄3」と称す)を作成する(図1に示すS3)。
【0019】
図2の(b)において、小被印刷面1のそれぞれに対応した小印刷原版30a、30b・・・30f(以下、それぞれを「小印刷原版30」と称す)に、それぞれが対応する小被印刷面1における小展開絵柄3に沿ってインキを載せる(図1に示すS4)。
このとき、小印刷原版30bには、小展開絵柄3b1および小展開絵柄3b2に沿ってインキが載せられる。なお、インキを載せる方法は限定されるものではなく、小展開絵柄3が形成された凸版の凸部あるは凹版の凹部にインキを載せても、あるいは、平板に印刷(インクジェットプリンター、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等)によってインキを載せてもよい。
【0020】
図2の(c)において、小被印刷面1のそれぞれに対応した小印刷用ブランケット40a、40b・・・40f(以下、それぞれを「小印刷用ブランケット40」と称す)を、それそれが対応する小印刷原版30に押し付けて、それぞれの小印刷用ブランケット40に前記インキを転写する(図1に示すS5)。
このとき、小印刷原版30の法線と平行に押し付けられる。なお、小印刷用ブランケット40を多軸ロボットを使用して、それそれが対応する小印刷原版30に押し付けてもよい。
【0021】
図2の(d)において、そうすると、押し付けた後に、引き離した小印刷用ブランケット40には、小展開絵柄3に対応した小印刷用ブランケット絵柄4a、4b・・・4f(以下、「小印刷用ブランケット絵柄4」と称す)に沿ってインキが付着している。
【0022】
図3の(a)において、小印刷用ブランケット40aを、これが対応する小被印刷面1aに押し付けて、そこに小絵柄2aを印刷している(図1に示すS6)。
このとき、小印刷用ブランケット40aは図示しない多軸ロボットのアーム50に把持され、正確に位置決めされ、且つ、小被印刷面1aの略中央における法線と平行(矢印にて示す)に押し付けられている。
【0023】
図3の(b)において、小印刷用ブランケット40bを、これが対応する小被印刷面1b1および小被印刷面1b2に押し付けて、そこに小絵柄2b1および小絵柄2b2を印刷している(図1に示すS6)。
このとき、小印刷用ブランケット40bは図示しない多軸ロボットのアーム50に把持され、正確に位置決めされ、且つ、小被印刷面1b1の略中央における法線と小被印刷面1b2の略中央における法線との一方の法線に平行、または両方の法線の中間に位置する線に平行(矢印にて示す)に、押し付けられている。
【0024】
図4の(a)において、小印刷用ブランケット40cを、これが対応する小被印刷面1cに押し付けて、そこに小絵柄2cを印刷している(図1に示すS6)。
このとき、小印刷用ブランケット40cは図示しない多軸ロボットのアーム50に把持され、被印刷体100の凹部101に侵入して正確に位置決めされ、且つ、小被印刷面1cの略中央における法線(矢印にて示す)に平行に、押し付けられている。
なお、図4の(a)においては、小印刷用ブランケット40cを把持するアーム50の先端部は、凹部101に侵入しているが、本発明はこれに限定するものではなく、小印刷用ブランケット40cの一部(図中、上部)を把持して、アーム50の先端部は凹部101に侵入しないようにしてもよい。
【0025】
図4の(b)において、小印刷用ブランケット40dを、これが対応する小被印刷面1cに押し付けて、そこに小絵柄2cを印刷している(図1に示すS6)。
このとき、小印刷用ブランケット40dは図示しない多軸ロボットのアーム50に把持され、被印刷体100の凹部101に侵入して正確に位置決めされ、且つ、小被印刷面1dの略中央における法線(矢印にて示す)に平行に、押し付けられている。
【0026】
以下、同様に、小印刷用ブランケット40e、40fを、これが対応する小被印刷面1e、1fに押し付けて、そこに小絵柄2e、2fを印刷している。
したがって、かかる一連の小絵柄2の印刷によって、被印刷体100の被印刷面10に絵柄20が印刷される。このとき、小絵柄2は多軸ロボットのアーム50によって、正確に位置決めされながら、凹部101も印刷されている。
なお、以上は、小印刷用ブランケット40を個別に把持して、それぞれ別個に小絵柄2を印刷しているが、複数のアームを用いて、複数の小絵柄2を略同時に印刷するようにしてもよい。また、小絵柄2を印刷する順番は限定されるものではない。
さらに、本発明は、多軸ロボットを使用するものに限定するものではない。たとえば、多軸ロボットに替えて、位置決め機能と押し付け機能を具備する手段を使用してもよいし、小印刷用ブランケット40等に位置決め機構を設けて手動によって押し付けるようにしてもよい。
【0027】
[実施の形態2]
図5は本発明の実施の形態2に係る被印刷体を模式的に示す断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図5において、被印刷体200は、被印刷体100に、実施の形態1に説明した印刷方法によって絵柄20が印刷されたものに同じである。すなわち、凹部101にも絵柄20の一部である小絵柄2c、2d、2eが印刷されている。
【0028】
[実施の形態3]
図6〜図8は本発明の実施の形態3に係る印刷方法を説明するものであって、図6は絵柄を分割する要領を模式的に示す平面図、図7の小展開絵柄における網点の配置の一例を拡大して模式的に示す平面図、図8は印刷の重なり範囲を拡大して模式的に示す平面図である。なお、図6〜図8は、模式的に示すものであって、本発明は、被印刷体の形状や網点の形態(形状、分布等)を図示するものに限定するものではない。また、実施の形態1と同じ部分または相等する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0029】
図6〜図8において、被印刷体100の被印刷面10を、それぞれの境界が所定の幅で重なるように複数の小被印刷面・・・1c、1d、1e・・・に分割して(図1に示すS1に準じる)、被印刷面10に印刷しようとする絵柄20(図示しない)を小被印刷面1のそれぞれに印刷される小絵柄・・・2c、2d、2e・・・に分割する(図1に示すS2に準じる)。
そして、小絵柄・・・2c、2d、2e・・・のそれぞれを平面に展開した小展開絵柄・・・3c、3d、3e・・・を作成する(図1に示すS3に準じる)。
そして、小被印刷面・・・1c、1d、1e・・・のそれぞれに対応した小印刷原版・・・30c、30d、30e・・・に、それぞれが対応する小展開絵柄・・・3c、3d、3e・・・に沿ってインキを載せる(図1に示すS4に準じる)。
【0030】
このとき、たとえば、小印刷原版30cには、小展開絵柄3cに相等する範囲に、小展開絵柄3dの小展開絵柄3cに接する所定幅に相等する境界範囲3dcを加えた拡大小展開絵柄3bcdに沿ってインキが載せられる。
小展開絵柄3cの小展開絵柄3dに接する所定幅に相等する境界範囲3cdと、小展開絵柄3dの小展開絵柄3cに接する所定幅に相等する境界範囲3dcとを併せた重なり範囲5cdに載せられるインキの量は、拡大小展開絵柄3bcdに相等する範囲から重なり範囲5cdを除いた内側範囲3ccに載せられるインキの量より少なくなっている(図7の(a)参照)。
【0031】
同様に、たとえば、小印刷原版30dには、小展開絵柄3dに相等する範囲に、小展開絵柄3cの小展開絵柄3dに接する所定幅に相等する境界範囲3cdと、小展開絵柄3eの小展開絵柄3dに接する所定幅に相等する境界範囲3edと、を加えた拡大小展開絵柄3cdeに相等する範囲に沿ってインキが載せられる。
そして、重なり範囲5cdに載せられるインキの量と、小展開絵柄3dの小展開絵柄3eに接する所定幅に相等する境界範囲3deと、小展開絵柄3eの小展開絵柄3dに接する所定幅に相等する境界範囲3edとを併せた重なり範囲5deに載せられるインキの量は、拡大小展開絵柄3cdeに相等する範囲から重なり範囲5cdおよび重なり範囲5deを除いた内側範囲3ddに載せられるインキの量より少なくなっている(図7の(b)参照)。
【0032】
すなわち、たとえば、重なり範囲5cdにおける網点の数が、内側範囲3ccや内側範囲3ddにおける網点の数より少なくなっている。あるいは、重なり範囲5cdにおける網点の分布(単位面積当たりの密度)が、内側範囲3ccや内側範囲3ddから離れる程除々に減少している。
あるいは、重なり範囲5cdにおける網点の大きさが内側範囲3ccや内側範囲3ddにおける網点の大きさより少なくなっている。あるいは、重なり範囲5cdにおける網点の大きさが、内側範囲3ccや内側範囲3ddから離れる程除々に縮小している。なお、インキを載せる方法は限定されるものではないことは実施の形態1に同じである。
【0033】
さらに、実施の形態1と同様に、小印刷用ブランケット・・・40c、40d、40e・・・に前記インキを転写して、それぞれに小印刷用ブランケット絵柄・・・4c、4d、4e・・・に沿ったインキを付着させる(図1に示すS5に準じる)。
次に、小印刷用ブランケット・・・40c、40d、40e・・・を、これが対応する小被印刷面・・・1c、1d・、1e・・に押し付けて、そこに小絵柄・・・2c、2d、2e・・・を印刷している(図1に示すS6に準じる)。
【0034】
そうすると、たとえば、小絵柄2cと小絵柄2dとの境界の所定幅が互いに重なり、小絵柄2dと小絵柄2eとの境界の所定幅が互いに重なり、かかる重なり範囲のインキの量が、重なり範囲を除く内側範囲のインキの量より少ないから、重なり範囲の絵柄が濃くなることがない(図8参照)。
このとき、たとえば、小印刷原版30cにおいて、小展開絵柄3dとの重なり範囲5cdに相等する範囲に載せられるインキの量を「α」%に減らし、一方、小印刷原版30dにおいて、小展開絵柄3cとの重なり範囲5cdに相等する範囲に載せられるインキの量を「100−α」%に減らしておけば、両者の重なり範囲5cdにおける絵柄は濃くなることも、薄くなることもなく、美観を損ねることがない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、複雑形状である被印刷体に印刷することが可能になるから、たとえば、凹部を有する被印刷体への印刷方法として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 小被印刷面
2 小絵柄
3 小展開絵柄
3c 小展開絵柄
3d 小展開絵柄
3e 小展開絵柄
3cc 内側範囲
3cd 境界範囲
3dc 境界範囲
3dd 内側範囲
3de 境界範囲
3ed 境界範囲
3cde 拡大小展開絵柄
4 小印刷用ブランケット絵柄
5 重なり範囲
10 被印刷面
20 絵柄
30 小印刷原版
40 小印刷用ブランケット
50 アーム
100 被印刷体(印刷前)
101 凹部
200 被印刷体(印刷済み)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体の被印刷面を複数の小被印刷面に分割して、前記被印刷面に印刷される絵柄を前記小被印刷面のそれぞれに印刷される小絵柄に分割する工程と、
該小絵柄を平面に展開した小展開絵柄を作成する工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷原版に、それぞれが対応する小被印刷面における前記小展開絵柄に沿ってインキを載せる工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版に押し付けて、それぞれの小印刷用ブランケットに前記インキを転写する工程と、
前記複数の小印刷用ブランケットを、それぞれが対応する小被印刷面に押し付けて、該小被印刷面に前記小絵柄を印刷することによって、前記被印刷面に前記絵柄を印刷する工程と、
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
被印刷体の被印刷面を、それぞれの境界が所定の幅で重なるように複数の小被印刷面に分割して、前記被印刷面に印刷される絵柄を前記小被印刷面のそれぞれに印刷される小絵柄に分割する工程と、
該小絵柄を平面に展開した小展開絵柄を作成する工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷原版に、それぞれが対応する小被印刷面における前記小展開絵柄に沿って、前記境界の所定の幅におけるインキの量が、前記境界の所定の幅を除く範囲におけるインキの量より少なくなるように、インキを載せる工程と、
前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版に押し付けて、それぞれの小印刷用ブランケットに前記インキを転写する工程と、
前記複数の小印刷用ブランケットを、それぞれが対応する小被印刷面に押し付けて、該小被印刷面に前記小絵柄を印刷することによって、前記被印刷面に前記絵柄を印刷する工程と、
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
前記複数の小印刷用ブランケットを、それそれが対応する小印刷原版の法線と平行にに該小印刷原版に押し付け、且つ、それぞれが対応する小被印刷面の平均的な法線と平行に該小被印刷面に押し付けることを特徴とする請求項1または2記載の印刷方法。
【請求項4】
前記複数の小被印刷面のそれぞれの位置を記憶し、且つ、前記複数の小被印刷面のそれぞれに対応した前記小印刷用ブランケットを順次把持すると共に、該把持した小印刷用ブランケットを、これが対応した前記小被印刷面に押し付ける多軸ロボットを用いて、前記絵柄を印刷する工程を実行することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の印刷方法。
【請求項5】
前記小被印刷面が、前記被印刷体の内部に陥入した凹部の側面または底面であって、
該側面または底面に対応した前記小印刷用ブランケットが、前記凹部に侵入自在であることを特徴とする請求項4記載の印刷方法。
【請求項6】
前記小被印刷面が、前記被印刷体の内部に陥入した凹部の側面または底面であって、
該側面または底面に対応した前記小印刷用ブランケットを把持する前記多軸ロボットの把持部が、前記凹部に侵入自在であることを特徴とする請求項5記載の印刷方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の印刷方法によって印刷された被印刷面を有することを特徴とする被印刷体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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