印刷機の紙受け装置
【課題】印刷機の紙受け装置において、印刷済みの印刷用紙を、汚すことなく、速やかに反転させて紙受け台に供給できるようにすることを目的とする。
【解決手段】回転軸43と、該回転軸43に配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車30とを備えている。前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、回転方向と反対方向にV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材51,52を備え、排紙装置8からの印刷用紙Pの排出前端部を両羽根部材51,52間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台31へ排出する。径方向の内方側に配置された第1羽根部材51は、印刷用紙Pを下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された第2羽根部材52は、前記第1羽根部材51よりも短く、かつ、印刷用紙Pの排出前端部を両羽根部材51,52で挟持した時に、印刷用紙Pの印刷画像領域に至らない長さに設定している。
【解決手段】回転軸43と、該回転軸43に配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車30とを備えている。前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、回転方向と反対方向にV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材51,52を備え、排紙装置8からの印刷用紙Pの排出前端部を両羽根部材51,52間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台31へ排出する。径方向の内方側に配置された第1羽根部材51は、印刷用紙Pを下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された第2羽根部材52は、前記第1羽根部材51よりも短く、かつ、印刷用紙Pの排出前端部を両羽根部材51,52で挟持した時に、印刷用紙Pの印刷画像領域に至らない長さに設定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の紙受け装置に関し、より詳しくは、印刷部により印刷され、排紙装置により排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、反転させて紙受け台に積載する印刷機の紙受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図23及び図24は、この種の紙受け装置を備えた印刷機の第1の従来例(特許文献1)を示している。図23において、印刷部100で印刷し、排紙装置101から排出する印刷用紙Pを、反転させることなく、紙受け台102上に順次積載する構造となっている。印刷後の印刷用紙Pは、印刷面(上面)が凹状となるように左右一対の腰付け板104により腰付けされ、図24のように、左右一対のサイドプレート105に当接した状態で落下することにより、印刷用紙Pの揃えを向上させると共に、裏写りや画像の汚れを防止している。
【0003】
図25は第2の従来例(特許文献2)であり、羽根車110を備えた記録装置の媒体収納装置(紙受け装置)である。羽根車110は、回転軸111の外周に、一対の羽根部材112aからなる羽根組立体112を複数組備えており、排紙装置114から排出される印刷済みの印刷用紙Pの排出前端部を、一対の羽根部材112a間で挟み、回転軸111の回転により反転させ、紙受け台(紙受けトレイ)116に積載するように構成されている。
【特許文献1】特開平8−290859号公報
【特許文献2】特開昭61−254462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
べた画像の多い印刷を行った場合には、印刷用紙の印刷面がインクの浸潤により伸び、それにより印刷面側に凸状となる癖が付くが、第1の従来例1のように、印刷用紙Pを反転させずに、印刷面側が凹状となるように腰付けする構造では、図24のようにサイドプレート105に当接する前行程又は落下中に、印刷面側に凸状となる状態に戻ることがあり、これにより、印刷用紙Pの揃えが悪くなると共に印刷用紙Pに汚れが発生するおそれがある。また、印刷後の用紙Pは、排出された直後に紙受け台102に積載されるので、インクの乾燥不足に為りやすく、裏写りする可能性がある。
【0005】
また、第2の従来例2では、印刷済みの印刷用紙Pを一対の羽根部材112a間に挟んで反転させ、落下させるが、印刷用紙Pが反転することにより、印刷用紙Pの印刷面が径方向の外方側の羽根部材112aに接触し、画像部を汚す恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願請求項1記載の発明は、排紙装置から排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、紙受け台へ積載する印刷機の紙受け装置において、回転軸と、該回転軸に周方向に所定間隔をおいて配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車を備え、前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、反回転方向に向けてV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材を備え、前記排紙装置からの用紙の排出前端部を両羽根部材間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台へ排出するように構成され、前期回転軸の径方向の内方側に配置された前記第1羽根部材は、前記印刷用紙を下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された前記第2羽根部材は、前記第1羽根部材よりも短く、かつ、印刷用紙の排出前端部を両羽根部材で挟持した時に、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されている。
【0007】
上記構成によると、印刷面を上にした状態で排紙装置から排出される印刷用紙は、第1、第2羽根部材間に挟持され、反転されるが、印刷面側に位置する第2の羽根部材は、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されているので、印刷画像に第2羽根部材が触れることなく、反転させることができる。したがって、印刷用紙の印刷面が汚れることはなく、綺麗な画像を保った状態で反転し、紙受け台に積載することができる。
【0008】
また、印刷用紙の下側に位置する長い第1羽根部材は、印刷用紙を下側から保持しうる長さを有しているので、確実に印刷用紙を保持し、反転させることができる。
【0009】
さらに、印刷用紙の反転行程において、インクを乾燥させる時間を確保することができ、用紙積載時におけるインクの裏写り等を、より効果的に防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷機の紙受け装置において、前記排紙装置から前記羽根部材間に排出される印刷用紙を第1羽根部材に押し付ける方向に風を送る送風装置を備えている。
【0011】
上記構成によると、排紙装置から排出される用紙の浮き上がりを抑制でき、印刷用紙の排出前端部を、確実に羽根部材間に導くことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の印刷機の紙受け装置において、前記第1羽根部材は、反回転方向側の端部に可撓性シートを有している。
【0013】
上記構成によると、羽根車から印刷用紙を放出する際における印刷用紙の巻き込みを防止でき、印刷用紙を羽根車から確実に離脱させて紙受け台に放出することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面を、微小な凹凸を有する面としている。
【0015】
上記構成によると、第2羽根部材と用紙が接触しても、その接触面を小さくすることができ、用紙の汚れを抑えることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面に、羽根回転方向と略平行な筋状の突起又は筋状の溝を形成している。
【0017】
上記構成によると、第2羽根部材と用紙が接触しても、その接触面を小さくすることができ、用紙の汚れを抑えることができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面に、撥水又は撥油コーティング層を形成している。
【0019】
上記構成によると、第2羽根部材に、インクが付着するのを防止できる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、前記羽根車は、回転軸方向に間隔をおいて3列以上に配列し、回転軸方向両端に配置された羽根列を、回転軸方向位置調節自在に前記回転軸に固定している。
【0021】
上記構成によると、使用される印刷用紙の幅に応じて、回転軸方向両端の羽根列の間隔を調節することにより、各種幅の印刷用紙に対しても、安定した状態で印刷用紙を挟持し、反転させることができる。また、羽根列を3列以上配置することにより、挟持する羽根部材と用紙との接触面積を小さくすることができ、印刷用紙の汚れを少なくすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の印刷機の紙受け装置において、前記送風装置は制御装置に接続され、印刷用紙の排出前端部が前記両羽根部材間に略完全に導入された時点で、一旦送風を停止するように制御される。
【0023】
上記構成によると、排紙装置から排出される印刷用紙の前端部を、速やかに羽根部材間に導入できると共に、印刷用紙の後部には風を送らなくなるので、印刷用紙の後部が波打ったり、左右にずれたりするのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
図1〜図7は本発明による印刷機の紙受け装置を示し、図8は制御のタイムチャートを示し、図9は印刷用紙の一例を示し、図10〜図14は紙受け装置の作動状態を示しており、これらの図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。
【0025】
(印刷機の全体の概要)
図1は本発明による紙受け装置を備えた印刷機の側面略図であり、説明の都合上、用紙供給側(図面の左側)を「後方」と称し、用紙排出側(図面の右側)を「前方」と称して、以下説明する。図1において、印刷機本体1には、後端部に給紙装置2が設けられ、前端部に紙受け装置3が設けられ、上側に画像読取装置4が設けられている。
【0026】
印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に印刷ユニット5が設けられ、該印刷ユニット5の後上方には製版装置6が設けられ、印刷ユニット5の前上方には排版装置7が設けられ、印刷ユニット5と紙受け装置3との間には排紙装置8が設けられている。また、印刷ユニット5と給紙装置2との間には一対のタイミングローラ18が設けられている。
【0027】
印刷ユニット5は、インク供給ローラ10が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷用版胴11と、該印刷用版胴11に下方から当接自在に対向する上下方向移動可能な押圧ローラ12と、から構成され、印刷用版胴11と押圧ローラ12との間で印刷用紙Pの上面に印刷する。
【0028】
製版装置6は、マスターロール13と、該マスターロール13から供給される孔版原紙Nを製版するサーマルヘッド14及びプラテンローラ15等とを備えており、マスターロール13からの孔版原紙Nをサーマルヘッド14等で製版し、所定寸法に切断した後、印刷用版胴11の表面に供給する。
【0029】
排版装置7は、引込みローラ16及び巻取りローラ17等を備えており、印刷用版胴11に装着された使用済みの孔版原紙Nを取り外し、引込みローラ16で排版装置内部に引き込み、排版ローラ17で巻き取る。
【0030】
給紙装置2は、給紙台23を備えると共に、該給紙台23の前端部に、給紙ローラ19及び捌き板20を備えており、給紙台23上に積載されている印刷用紙Pを、上から一枚ずつタイミングローラ18に供給する。
【0031】
上下一対のタイミングローラ18、18は、印刷用版胴11の駆動と同期して適宜タイミングで回転し、印刷用紙Pを印刷ユニット5へ送り込む。
【0032】
排紙装置3は、複数の排紙ベルト21と、吸引ファン22と、を備えており、吸引ファン22により排紙ベルト21上の用紙Pを排紙ベルト21に吸着し、紙受け装置3へ排出するようになっている。
【0033】
紙受け装置3は、排紙装置8の排紙ベルト21の前側に配置された羽根車30と、該羽根車30の前下方に配置された紙受け台31と、前記羽根車30の後上方に配置された送風装置32と、を備えている。
【0034】
(紙受け装置3の詳細な構成)
図2は紙受け装置3の羽根車30の斜視図、図3は同羽根車30の背面図、図4は図3のIV-IV断面図、図5は同羽根車30の平面図、図6は送風装置32の斜視図、図9は印刷用紙Pの平面図である。図2において、羽根車支持台40の上端部には上方に突出する左右一対の軸支持脚41が立設され、両軸支持脚41の上端部には左右一対の軸受42を介して略水平な回転軸43が回転自在に支持され、該回転軸43には、六角柱形状の4個の羽根取付ハブ44が軸方向に間隔をおいて配設されると共に、ねじ45により回転軸43に固定されている。各羽根取付ハブ44の外周面には、第1羽根部材51及び第2羽根部材52から構成される羽根組立体が、3組ずつ取り付けられている。
【0035】
4個の羽根取付ハブ44のうち、少なくとも左右両端の2個の羽根取付ハブ44は、ねじ45を緩めることにより、軸方向位置を任意に調節できるようになっている。
【0036】
回転軸43を駆動する駆動機構として、羽根車支持台40内にステッピングモータ46が配設され、該ステッピングモータ46の出力軸46aに固着された駆動側タイミングギヤ47と、前記回転軸43に固着された従動側タイミングギヤ48との間に、歯付きのタイミングベルト49が巻き掛けられており、ステッピングモータ46の回転により、回転軸43を矢印B1方向に回転駆動するようになっている。ステッピングモータ46は制御装置35に電気的に接続され、制御装置35からの指令信号により、回転が制御されるようになっている。回転軸43には、回転角度検出センサー(ロータリエンコーダ)47aが設けられており、該回転角度センサー47aも前記制御装置35に電気的に接続され、検出した回転軸43の回転角度信号を、制御装置35に入力するようになっている。
【0037】
羽根組立体を構成する第1,第2羽根部材51,52は、剛性の高いステンレス鋼又はアルミ等の金属板でできており、少なくとも第2羽根部材52の表面には、撥水及び又は撥油コーティングが施されている。たとえば、ジメチルシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン又はフルオロアルキルシラン等のシリコーン系化合物やフッ素系化合物によるコーティングが施されている。軸方向中央部近傍に配置された二個の羽根取付ハブ44に取り付けられている第1羽根部材51には、反回転方向B2側に延びる可撓性シート53が略同一平面上で連結されている。なお、図2内での符号記載スペースが狭いことから、羽根部材50,51については、一部にのみ符号を付し、残りは符号を省略している。
【0038】
図4において、第1羽根部材51と第2羽根部52とは、回転軸方向に見て、すなわち側面視で、反回転方向B2側に向かって開くV字状に配置され、ボルト54等により結合されている。径方向の外方側に配置された第2羽根部材52の回転方向B1側の端部には、回転軸43側に向かって延びるステム部50aが一体に折曲げ形成され、該ステム部50aの径方向の内方端部には、第2羽根部材52と平行に反回転方向B2側に延びる取付部50bが一体に折曲げ形成され、該取付部50bは羽根取付ハブ44の外周面にボルト(図示せず)等により固着されている。
【0039】
第1羽根部材51と第2羽根部材52との接触点(V字先端)A1から、第2羽根部材52の反回転方向B2側の端縁52cまでの長さ(挟持有効長さ)L2は、図9に示す印刷用紙Pの前端部の余白S1部分の前後方向長さhよりも短く形成されている。この図9において、斜線で示す範囲Sが印刷用紙Pの印刷画像範囲であり、この印刷画像範囲Sの前端から印刷用紙Pの前端までの長さhよりも、図4の第2羽根部材52の挟持有効長さL2が短くなるように、第2羽根部材52が形成されている。
【0040】
一方、両羽根部材51,52の接触点A1から第1羽根部材51の反回転方向B2側の端縁51cまでの長さ(挟持有効長さ)L1は、第2羽根部材52の挟持有効長さL2よりも長く、たとえば、2倍程度に設定され、印刷用紙Pを下側から十分に保持しうるようになっている。可撓性シート53は、接着剤等により第1羽根部材51の反回転方向B2側の端部に連結されており、第1羽根部材51と略同一平面上を反回転方向B2側に延びている。前記両羽根部材51,52の接触点A1から可撓性シート53の反回転方向B2側の端縁53cまでの長さ(挟持有効長さ)L3は、前記第1羽根部材51の長さL1の2〜3倍程度に設定されている。
【0041】
送風装置32は、ファンケース60と、該ファンケース60内に配置された送風ファン61等から構成されており、ファンケース60の前端部に形成された送風口62は、排紙ベルト21の最前端部に向けて開口しており、排紙ベルト21から羽根部材51,52間に排出される印刷用紙Pの排出前端部に、後上方から空気を送り、第1羽根部材51の上面(印刷面側)に印刷用紙Pの排出前端部を押し付けるようになっている。送風ファン61の駆動モータ65は前記制御装置35に電気的に接続され、制御装置35から指令信号により、オン。オフ制御される。
【0042】
図6に示す送風装置32の斜視図において、ファンケース60の上壁は透視状態で示している。送風ファン61は遠心式ファンであって、左右一対配置されており、上壁に形成された空気吸込口66から空気を吸い込み、遠心力により加圧して、前端部の送風口62から空気を排出する。送風口62には、送風方向を上下に調節する風向板63が設けられている。
【0043】
なお、図5において、前記排紙ベルト21は、幅方向に間隔をおいて3本配設されており、左右の排紙ベルト21は、中央の排紙ベルト21よりも前方に延び出し、羽根車30の回転軸43の近傍位置に至っている。
【0044】
(羽根車30及び送風ファン32の制御システム)
図4において、排紙装置8の途中には、発光部67aと受光部67bとからなる光式用紙検出センサー67が設けられており、発光部67aは排紙ベルト21の上方に配置され、受光部67bは、上記発光部67aに対向するように排紙ベルト21の下側に配置されると共に、前記制御装置35に電気的に接続され、印刷用紙Pの前端を検知すると、用紙検出信号を制御装置35に入力するようになっている。
【0045】
図7は、制御システムを簡単にまとめたブロック図であり、制御装置35は、周知のようにRAM、ROM,CPU、入力部及び出力部等を内蔵しており、入力部には用紙検出センサー67及び羽根車30の回転軸43の回転角度センサー(ロータリエンコーダ)47aが接続され、出力部には、羽根車30のステッピングモータ46及び送風装置32の駆動モータ65が接続されている。
【0046】
(制御方法)
図4において、第1,第2羽根部材51,52は、羽根取付ハブ44の略真上の位置が反転開始位置X1であり、この反転開始位置X1では、第1羽根部材51は排紙ベルト21の搬送面21aに対して、鋭角α1(たとえば5°〜20°)で交差するように後下方に延び、一方、第2羽根部材52は、搬送面21aに対し、鋭角α2(たとえば5°〜45°)を保つように後上方に延びた状態となっている。すなわち、V字状の両羽根部材51,52間で、排紙ベルト21からの印刷用紙Pを受け取ることができるようになっている。
【0047】
制御装置35の記憶部には、次のような制御を行うプログラムが組み込まれている。
(1)羽根車30を、回転方向B1に回転角度240°で間欠的に回転すると共に、いずれかの羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)が前記反転開始位置X1に位置した状態で停止するように制御する。
【0048】
(2)制御のタイムチャートを示す図8において、t1は、用紙検出センサー67により印刷用紙Pの前端を検出した時期を示し、t2は羽根車30の回転開始時期を示し、t3は印刷用紙Pの反転を終了して羽根車30から印刷用紙Pが離脱する時期を示し、t4は印刷用紙Pが羽根車30から離脱して羽根車30が停止した時期を示している。用紙検出センサー67により印刷用紙Pの前端を検出した時期t1に、送風装置32の駆動を開始し、用紙検出時期t1から所定時間T1を経過すると、羽根車30の回転を開始すると同時に、送風装置32を停止するようにプログラムされている。前記所定時間T1は、図4において、排紙ベルト21から羽根車30の羽根部材51,52,内への印刷用紙Pの導入期間であり、排紙ベルト21上の印刷用紙Pの前端が、用紙検出センサー67による検出位置を通過した後、反転開始位置X1の両羽根部材51,52の接触点A1に略到達するまでの時間に設定される。この所定時間T1は、排紙ベルト21による用紙搬送速度に基づいて算出される。
【0049】
(作用)
印刷機全体の作用は、既に個々の装置説明箇所で説明しているので省略し、排紙装置8から紙受け装置3に導入され、紙受け装置3から紙受け台31に排出されるまでの作用を、図10〜図14に基づいて説明する。
【0050】
(1)図10は、印刷済みの印刷用紙Pが排紙ベルト21上に供給され、前方に搬送されている状態であり、羽根車30は停止しており、羽根組立体の一つは反転開始位置X1に位置している。この図10において、印刷用紙Pの前端を用紙検出センサー67が検出すると同時に送風装置32が駆動し、反転開始位置X1の第1羽根部材51及び可撓性シート53に向けて、後上方から送風を開始する。
【0051】
(2)図11において、排紙ベルト21から排出される印刷用紙Pは、前端部が、送風装置32からの空気により第1羽根部材51及び可撓性シート53の表面(上面)に押さえ付けられ、この状態でV字状の両羽根部材51,52間に入り、両羽根部材51,52の接触点A1に到達する。印刷用紙Pの前端が接触点A1に到達すると略同時に、送風装置32は停止し、一方、羽根車30は回転方向B1側への回転を開始し、印刷用紙Pの反転を開始する。このように、送風装置32からの空気により、印刷用紙Pの前端部の浮き上がりを防止した状態で、印刷用紙Pの前端部を羽根部材51,52間に挿入し、反転させるので、確実に、かつ、速やかに、印刷用紙Pの前端部は羽根部材51,52間に導入される。
【0052】
(3)図12は反転動作前期の状態を示しており、印刷用紙Pは第1羽根部材51及び可撓性シート53により裏面(非印刷面)を押されながら反転し始める。反転時、上記のように第1羽根部材51及び可撓性シート53は印刷用紙Pの非印刷面に接触しているので、印刷画像が汚れる心配はない。しかも、可撓性シート53により印刷用紙Pを湾曲させた状態で反転させることができるので、印刷用紙Pは、羽根部材51,52から外れたり、折れたりすることなく反転し始める。
【0053】
(4)図13は反転動作中の状態であり、印刷用紙Pは、第1羽根部材51及び可撓性シート53により、裏面が押され、湾曲状態で反転される。しかも、印刷用紙Pの印刷面側に位置する第2羽根部材52は、挟持有効長さL2が、印刷用紙Pの前端部の余白(図9のh)よりも短く設定されているので、反転動作中の印刷用紙Pの印刷面側が第2羽根部材52に接触しても、印刷用紙Pの印刷画像には接触せず、印刷画像面が汚れることはない。
【0054】
(5)図14は、反転動作を完了して、印刷用紙Pが羽根車30から離脱し、羽根車30が停止した状態を示している。印刷用紙Pは印刷画像面を下に向けた状態で紙受け台31上に放出され、一方、羽根部材51,52は印刷用紙Pから離れ、紙受け台31より後方に移動している。この羽根車30の停止状態において、次の反転作業に利用される羽根部材51,52が、反転開始位置X1に位置している。なお、第1羽根部材51の後部は可撓性シート53で構成されていることから、印刷用紙Pの放出時において、可撓性シート53は印刷用紙Pを引っ掛けたりすることなく速やかに印刷用紙Pから離脱する。
【0055】
(その他の作用)
図3において、4組の羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)のうち、少なくとも左右両端の2組の羽根組立体は、羽根取付ハブ44の軸方向移動により軸方向位置調節可能となっているので、印刷用紙Pの各種左右幅に応じて、左右両端の羽根取付ハブ44の間隔Eを調節することにより、安定した状態で印刷用紙Pを挟持し、反転させることができる。
【0056】
(その他の実施の形態)
(1)図15は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起80を形成した例である。微小突起80は部分球面状に形成されており、大小各種径の大きさの微小突起80が混在している。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起80を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起80の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さは2mm程度が好ましい。なお、微小突起80の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0057】
(2)図16は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起81を形成した別の例である。微小突起81は四角錐状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起81を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起81の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さは2mm程度が好ましい。なお、微小突起81の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0058】
(3)図17は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起82を形成したさらに別の例である。微小突起82は円柱状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起82を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起82の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さ2mmは程度が好ましい。なお、微小突起82の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0059】
(4)図18は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小凹部83を形成した例である。微小凹部83は部分球面状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小凹部83を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小凹部83の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均深さは20μm以上で、最大深さは2mm程度が好ましく、貫通孔とする事も可能である。なお、微小凹部83の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0060】
(5)図19は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小凹部84を形成した別の例である。微小凹部84は円筒状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小凹部84を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小凹部84の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均深さは20μm以上で、最大深さは2mm程度が好ましく、貫通孔とする事も可能である。なお、微小凹部84の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0061】
(6)図20乃至図22は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、羽根回転方向B1と平行な多数の筋状の突起85を形成した例である。図20に示すように、筋状の突起85は互いに平行に形成され、図22に示すように、突起85は羽根回転方向B1側に行くに従い低くなっている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の筋状突起85を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。筋状の突起85のピッチは0.5〜5mmが好ましく、高さは0.5mmで、最大2mm程度が好ましい。なお、筋状の突起85の代わりに筋状の凹部を形成することも可能であり、その場合は、貫通孔とすることも可能である。
【0062】
(7)前記図15乃至図22の各実施の形態では、第2羽根部材52の用紙接触面52aのみに、多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成した構造となっているが、第1羽根部材51の用紙接触面(第2羽根部材52の用紙接触面52aと対向する面)にも、第2羽根部材52と同様な多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成することも可能である。このように第1羽根部材51の用紙接触面にも多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成していると、たとえば用紙の表裏に両面印刷する場合でも、インクの付着による印刷用紙の汚れを抑えることができる。また、この場合、第1羽根部材51の用紙接触面にも第2羽根部材52と同様に撥水又は撥油コーティングを施して、両面印刷時のインクによる汚れを防ぐようにすることも可能である。
【0063】
(8)前記実施の形態では、図2及び図5等に示すように、羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)を、回転軸43の軸方向に間隔をおいて4列に配列しているが、たとえば中央と、左右両端の3列に配列することもできる。勿論、5列以上に配列することも可能である。
【0064】
(9)前記実施の形態では、図2及び図5等に示すように、回転軸43の軸方向中間部に配列された第1羽根部材51にのみ、可撓性シート53を連結しているが、左右両端の羽第1羽根部材51にも、可撓性シート53を連結する構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による紙受け装置を備えた印刷機の側面略図である。
【図2】紙受け装置の羽根車の斜視図である。
【図3】同羽根車の背面図である。
【図4】図3のIV-IV断面図である。
【図5】同羽根車の平面図である。
【図6】送風装置の斜視図である。
【図7】制御システムのブロック図である。
【図8】制御のタイムチャートを示す図である。
【図9】印刷用紙の一例を示す平面図である。
【図10】反転動作開始前の状態を示す羽根車の側面図である。
【図11】反転動作開始時の状態を示す羽根車の側面図である。
【図12】反転動作前期の状態を示す羽根車の側面図である。
【図13】反転動作途中の状態を示す羽根車の側面図である。
【図14】反転動作終了時の状態を示す羽根車の側面図である。
【図15】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図16】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図17】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図18】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図19】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図20】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図21】図20の第2羽根部材の正面図である。
【図22】図20の第2羽根部材の側面図である。
【図23】第1の従来例の側面図である。
【図24】図23のXXIV-XXIV断面拡大図である。
【図25】第2の従来例の側面図である。
【符号の説明】
【0066】
3 紙受け装置
8 排紙装置
21 排紙ベルト
30 羽根車
32 送風装置
35 制御装置
43 回転軸
44 羽根取付ハブ
47a 回転角度センサー
51 第1羽根部材
52 第2羽根部材
53 可撓性シート
67 用紙検出センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の紙受け装置に関し、より詳しくは、印刷部により印刷され、排紙装置により排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、反転させて紙受け台に積載する印刷機の紙受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図23及び図24は、この種の紙受け装置を備えた印刷機の第1の従来例(特許文献1)を示している。図23において、印刷部100で印刷し、排紙装置101から排出する印刷用紙Pを、反転させることなく、紙受け台102上に順次積載する構造となっている。印刷後の印刷用紙Pは、印刷面(上面)が凹状となるように左右一対の腰付け板104により腰付けされ、図24のように、左右一対のサイドプレート105に当接した状態で落下することにより、印刷用紙Pの揃えを向上させると共に、裏写りや画像の汚れを防止している。
【0003】
図25は第2の従来例(特許文献2)であり、羽根車110を備えた記録装置の媒体収納装置(紙受け装置)である。羽根車110は、回転軸111の外周に、一対の羽根部材112aからなる羽根組立体112を複数組備えており、排紙装置114から排出される印刷済みの印刷用紙Pの排出前端部を、一対の羽根部材112a間で挟み、回転軸111の回転により反転させ、紙受け台(紙受けトレイ)116に積載するように構成されている。
【特許文献1】特開平8−290859号公報
【特許文献2】特開昭61−254462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
べた画像の多い印刷を行った場合には、印刷用紙の印刷面がインクの浸潤により伸び、それにより印刷面側に凸状となる癖が付くが、第1の従来例1のように、印刷用紙Pを反転させずに、印刷面側が凹状となるように腰付けする構造では、図24のようにサイドプレート105に当接する前行程又は落下中に、印刷面側に凸状となる状態に戻ることがあり、これにより、印刷用紙Pの揃えが悪くなると共に印刷用紙Pに汚れが発生するおそれがある。また、印刷後の用紙Pは、排出された直後に紙受け台102に積載されるので、インクの乾燥不足に為りやすく、裏写りする可能性がある。
【0005】
また、第2の従来例2では、印刷済みの印刷用紙Pを一対の羽根部材112a間に挟んで反転させ、落下させるが、印刷用紙Pが反転することにより、印刷用紙Pの印刷面が径方向の外方側の羽根部材112aに接触し、画像部を汚す恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願請求項1記載の発明は、排紙装置から排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、紙受け台へ積載する印刷機の紙受け装置において、回転軸と、該回転軸に周方向に所定間隔をおいて配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車を備え、前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、反回転方向に向けてV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材を備え、前記排紙装置からの用紙の排出前端部を両羽根部材間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台へ排出するように構成され、前期回転軸の径方向の内方側に配置された前記第1羽根部材は、前記印刷用紙を下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された前記第2羽根部材は、前記第1羽根部材よりも短く、かつ、印刷用紙の排出前端部を両羽根部材で挟持した時に、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されている。
【0007】
上記構成によると、印刷面を上にした状態で排紙装置から排出される印刷用紙は、第1、第2羽根部材間に挟持され、反転されるが、印刷面側に位置する第2の羽根部材は、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されているので、印刷画像に第2羽根部材が触れることなく、反転させることができる。したがって、印刷用紙の印刷面が汚れることはなく、綺麗な画像を保った状態で反転し、紙受け台に積載することができる。
【0008】
また、印刷用紙の下側に位置する長い第1羽根部材は、印刷用紙を下側から保持しうる長さを有しているので、確実に印刷用紙を保持し、反転させることができる。
【0009】
さらに、印刷用紙の反転行程において、インクを乾燥させる時間を確保することができ、用紙積載時におけるインクの裏写り等を、より効果的に防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷機の紙受け装置において、前記排紙装置から前記羽根部材間に排出される印刷用紙を第1羽根部材に押し付ける方向に風を送る送風装置を備えている。
【0011】
上記構成によると、排紙装置から排出される用紙の浮き上がりを抑制でき、印刷用紙の排出前端部を、確実に羽根部材間に導くことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の印刷機の紙受け装置において、前記第1羽根部材は、反回転方向側の端部に可撓性シートを有している。
【0013】
上記構成によると、羽根車から印刷用紙を放出する際における印刷用紙の巻き込みを防止でき、印刷用紙を羽根車から確実に離脱させて紙受け台に放出することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面を、微小な凹凸を有する面としている。
【0015】
上記構成によると、第2羽根部材と用紙が接触しても、その接触面を小さくすることができ、用紙の汚れを抑えることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面に、羽根回転方向と略平行な筋状の突起又は筋状の溝を形成している。
【0017】
上記構成によると、第2羽根部材と用紙が接触しても、その接触面を小さくすることができ、用紙の汚れを抑えることができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、第2羽根部材の用紙接触面に、撥水又は撥油コーティング層を形成している。
【0019】
上記構成によると、第2羽根部材に、インクが付着するのを防止できる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、前記羽根車は、回転軸方向に間隔をおいて3列以上に配列し、回転軸方向両端に配置された羽根列を、回転軸方向位置調節自在に前記回転軸に固定している。
【0021】
上記構成によると、使用される印刷用紙の幅に応じて、回転軸方向両端の羽根列の間隔を調節することにより、各種幅の印刷用紙に対しても、安定した状態で印刷用紙を挟持し、反転させることができる。また、羽根列を3列以上配置することにより、挟持する羽根部材と用紙との接触面積を小さくすることができ、印刷用紙の汚れを少なくすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の印刷機の紙受け装置において、前記送風装置は制御装置に接続され、印刷用紙の排出前端部が前記両羽根部材間に略完全に導入された時点で、一旦送風を停止するように制御される。
【0023】
上記構成によると、排紙装置から排出される印刷用紙の前端部を、速やかに羽根部材間に導入できると共に、印刷用紙の後部には風を送らなくなるので、印刷用紙の後部が波打ったり、左右にずれたりするのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施の形態]
図1〜図7は本発明による印刷機の紙受け装置を示し、図8は制御のタイムチャートを示し、図9は印刷用紙の一例を示し、図10〜図14は紙受け装置の作動状態を示しており、これらの図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。
【0025】
(印刷機の全体の概要)
図1は本発明による紙受け装置を備えた印刷機の側面略図であり、説明の都合上、用紙供給側(図面の左側)を「後方」と称し、用紙排出側(図面の右側)を「前方」と称して、以下説明する。図1において、印刷機本体1には、後端部に給紙装置2が設けられ、前端部に紙受け装置3が設けられ、上側に画像読取装置4が設けられている。
【0026】
印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に印刷ユニット5が設けられ、該印刷ユニット5の後上方には製版装置6が設けられ、印刷ユニット5の前上方には排版装置7が設けられ、印刷ユニット5と紙受け装置3との間には排紙装置8が設けられている。また、印刷ユニット5と給紙装置2との間には一対のタイミングローラ18が設けられている。
【0027】
印刷ユニット5は、インク供給ローラ10が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷用版胴11と、該印刷用版胴11に下方から当接自在に対向する上下方向移動可能な押圧ローラ12と、から構成され、印刷用版胴11と押圧ローラ12との間で印刷用紙Pの上面に印刷する。
【0028】
製版装置6は、マスターロール13と、該マスターロール13から供給される孔版原紙Nを製版するサーマルヘッド14及びプラテンローラ15等とを備えており、マスターロール13からの孔版原紙Nをサーマルヘッド14等で製版し、所定寸法に切断した後、印刷用版胴11の表面に供給する。
【0029】
排版装置7は、引込みローラ16及び巻取りローラ17等を備えており、印刷用版胴11に装着された使用済みの孔版原紙Nを取り外し、引込みローラ16で排版装置内部に引き込み、排版ローラ17で巻き取る。
【0030】
給紙装置2は、給紙台23を備えると共に、該給紙台23の前端部に、給紙ローラ19及び捌き板20を備えており、給紙台23上に積載されている印刷用紙Pを、上から一枚ずつタイミングローラ18に供給する。
【0031】
上下一対のタイミングローラ18、18は、印刷用版胴11の駆動と同期して適宜タイミングで回転し、印刷用紙Pを印刷ユニット5へ送り込む。
【0032】
排紙装置3は、複数の排紙ベルト21と、吸引ファン22と、を備えており、吸引ファン22により排紙ベルト21上の用紙Pを排紙ベルト21に吸着し、紙受け装置3へ排出するようになっている。
【0033】
紙受け装置3は、排紙装置8の排紙ベルト21の前側に配置された羽根車30と、該羽根車30の前下方に配置された紙受け台31と、前記羽根車30の後上方に配置された送風装置32と、を備えている。
【0034】
(紙受け装置3の詳細な構成)
図2は紙受け装置3の羽根車30の斜視図、図3は同羽根車30の背面図、図4は図3のIV-IV断面図、図5は同羽根車30の平面図、図6は送風装置32の斜視図、図9は印刷用紙Pの平面図である。図2において、羽根車支持台40の上端部には上方に突出する左右一対の軸支持脚41が立設され、両軸支持脚41の上端部には左右一対の軸受42を介して略水平な回転軸43が回転自在に支持され、該回転軸43には、六角柱形状の4個の羽根取付ハブ44が軸方向に間隔をおいて配設されると共に、ねじ45により回転軸43に固定されている。各羽根取付ハブ44の外周面には、第1羽根部材51及び第2羽根部材52から構成される羽根組立体が、3組ずつ取り付けられている。
【0035】
4個の羽根取付ハブ44のうち、少なくとも左右両端の2個の羽根取付ハブ44は、ねじ45を緩めることにより、軸方向位置を任意に調節できるようになっている。
【0036】
回転軸43を駆動する駆動機構として、羽根車支持台40内にステッピングモータ46が配設され、該ステッピングモータ46の出力軸46aに固着された駆動側タイミングギヤ47と、前記回転軸43に固着された従動側タイミングギヤ48との間に、歯付きのタイミングベルト49が巻き掛けられており、ステッピングモータ46の回転により、回転軸43を矢印B1方向に回転駆動するようになっている。ステッピングモータ46は制御装置35に電気的に接続され、制御装置35からの指令信号により、回転が制御されるようになっている。回転軸43には、回転角度検出センサー(ロータリエンコーダ)47aが設けられており、該回転角度センサー47aも前記制御装置35に電気的に接続され、検出した回転軸43の回転角度信号を、制御装置35に入力するようになっている。
【0037】
羽根組立体を構成する第1,第2羽根部材51,52は、剛性の高いステンレス鋼又はアルミ等の金属板でできており、少なくとも第2羽根部材52の表面には、撥水及び又は撥油コーティングが施されている。たとえば、ジメチルシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン又はフルオロアルキルシラン等のシリコーン系化合物やフッ素系化合物によるコーティングが施されている。軸方向中央部近傍に配置された二個の羽根取付ハブ44に取り付けられている第1羽根部材51には、反回転方向B2側に延びる可撓性シート53が略同一平面上で連結されている。なお、図2内での符号記載スペースが狭いことから、羽根部材50,51については、一部にのみ符号を付し、残りは符号を省略している。
【0038】
図4において、第1羽根部材51と第2羽根部52とは、回転軸方向に見て、すなわち側面視で、反回転方向B2側に向かって開くV字状に配置され、ボルト54等により結合されている。径方向の外方側に配置された第2羽根部材52の回転方向B1側の端部には、回転軸43側に向かって延びるステム部50aが一体に折曲げ形成され、該ステム部50aの径方向の内方端部には、第2羽根部材52と平行に反回転方向B2側に延びる取付部50bが一体に折曲げ形成され、該取付部50bは羽根取付ハブ44の外周面にボルト(図示せず)等により固着されている。
【0039】
第1羽根部材51と第2羽根部材52との接触点(V字先端)A1から、第2羽根部材52の反回転方向B2側の端縁52cまでの長さ(挟持有効長さ)L2は、図9に示す印刷用紙Pの前端部の余白S1部分の前後方向長さhよりも短く形成されている。この図9において、斜線で示す範囲Sが印刷用紙Pの印刷画像範囲であり、この印刷画像範囲Sの前端から印刷用紙Pの前端までの長さhよりも、図4の第2羽根部材52の挟持有効長さL2が短くなるように、第2羽根部材52が形成されている。
【0040】
一方、両羽根部材51,52の接触点A1から第1羽根部材51の反回転方向B2側の端縁51cまでの長さ(挟持有効長さ)L1は、第2羽根部材52の挟持有効長さL2よりも長く、たとえば、2倍程度に設定され、印刷用紙Pを下側から十分に保持しうるようになっている。可撓性シート53は、接着剤等により第1羽根部材51の反回転方向B2側の端部に連結されており、第1羽根部材51と略同一平面上を反回転方向B2側に延びている。前記両羽根部材51,52の接触点A1から可撓性シート53の反回転方向B2側の端縁53cまでの長さ(挟持有効長さ)L3は、前記第1羽根部材51の長さL1の2〜3倍程度に設定されている。
【0041】
送風装置32は、ファンケース60と、該ファンケース60内に配置された送風ファン61等から構成されており、ファンケース60の前端部に形成された送風口62は、排紙ベルト21の最前端部に向けて開口しており、排紙ベルト21から羽根部材51,52間に排出される印刷用紙Pの排出前端部に、後上方から空気を送り、第1羽根部材51の上面(印刷面側)に印刷用紙Pの排出前端部を押し付けるようになっている。送風ファン61の駆動モータ65は前記制御装置35に電気的に接続され、制御装置35から指令信号により、オン。オフ制御される。
【0042】
図6に示す送風装置32の斜視図において、ファンケース60の上壁は透視状態で示している。送風ファン61は遠心式ファンであって、左右一対配置されており、上壁に形成された空気吸込口66から空気を吸い込み、遠心力により加圧して、前端部の送風口62から空気を排出する。送風口62には、送風方向を上下に調節する風向板63が設けられている。
【0043】
なお、図5において、前記排紙ベルト21は、幅方向に間隔をおいて3本配設されており、左右の排紙ベルト21は、中央の排紙ベルト21よりも前方に延び出し、羽根車30の回転軸43の近傍位置に至っている。
【0044】
(羽根車30及び送風ファン32の制御システム)
図4において、排紙装置8の途中には、発光部67aと受光部67bとからなる光式用紙検出センサー67が設けられており、発光部67aは排紙ベルト21の上方に配置され、受光部67bは、上記発光部67aに対向するように排紙ベルト21の下側に配置されると共に、前記制御装置35に電気的に接続され、印刷用紙Pの前端を検知すると、用紙検出信号を制御装置35に入力するようになっている。
【0045】
図7は、制御システムを簡単にまとめたブロック図であり、制御装置35は、周知のようにRAM、ROM,CPU、入力部及び出力部等を内蔵しており、入力部には用紙検出センサー67及び羽根車30の回転軸43の回転角度センサー(ロータリエンコーダ)47aが接続され、出力部には、羽根車30のステッピングモータ46及び送風装置32の駆動モータ65が接続されている。
【0046】
(制御方法)
図4において、第1,第2羽根部材51,52は、羽根取付ハブ44の略真上の位置が反転開始位置X1であり、この反転開始位置X1では、第1羽根部材51は排紙ベルト21の搬送面21aに対して、鋭角α1(たとえば5°〜20°)で交差するように後下方に延び、一方、第2羽根部材52は、搬送面21aに対し、鋭角α2(たとえば5°〜45°)を保つように後上方に延びた状態となっている。すなわち、V字状の両羽根部材51,52間で、排紙ベルト21からの印刷用紙Pを受け取ることができるようになっている。
【0047】
制御装置35の記憶部には、次のような制御を行うプログラムが組み込まれている。
(1)羽根車30を、回転方向B1に回転角度240°で間欠的に回転すると共に、いずれかの羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)が前記反転開始位置X1に位置した状態で停止するように制御する。
【0048】
(2)制御のタイムチャートを示す図8において、t1は、用紙検出センサー67により印刷用紙Pの前端を検出した時期を示し、t2は羽根車30の回転開始時期を示し、t3は印刷用紙Pの反転を終了して羽根車30から印刷用紙Pが離脱する時期を示し、t4は印刷用紙Pが羽根車30から離脱して羽根車30が停止した時期を示している。用紙検出センサー67により印刷用紙Pの前端を検出した時期t1に、送風装置32の駆動を開始し、用紙検出時期t1から所定時間T1を経過すると、羽根車30の回転を開始すると同時に、送風装置32を停止するようにプログラムされている。前記所定時間T1は、図4において、排紙ベルト21から羽根車30の羽根部材51,52,内への印刷用紙Pの導入期間であり、排紙ベルト21上の印刷用紙Pの前端が、用紙検出センサー67による検出位置を通過した後、反転開始位置X1の両羽根部材51,52の接触点A1に略到達するまでの時間に設定される。この所定時間T1は、排紙ベルト21による用紙搬送速度に基づいて算出される。
【0049】
(作用)
印刷機全体の作用は、既に個々の装置説明箇所で説明しているので省略し、排紙装置8から紙受け装置3に導入され、紙受け装置3から紙受け台31に排出されるまでの作用を、図10〜図14に基づいて説明する。
【0050】
(1)図10は、印刷済みの印刷用紙Pが排紙ベルト21上に供給され、前方に搬送されている状態であり、羽根車30は停止しており、羽根組立体の一つは反転開始位置X1に位置している。この図10において、印刷用紙Pの前端を用紙検出センサー67が検出すると同時に送風装置32が駆動し、反転開始位置X1の第1羽根部材51及び可撓性シート53に向けて、後上方から送風を開始する。
【0051】
(2)図11において、排紙ベルト21から排出される印刷用紙Pは、前端部が、送風装置32からの空気により第1羽根部材51及び可撓性シート53の表面(上面)に押さえ付けられ、この状態でV字状の両羽根部材51,52間に入り、両羽根部材51,52の接触点A1に到達する。印刷用紙Pの前端が接触点A1に到達すると略同時に、送風装置32は停止し、一方、羽根車30は回転方向B1側への回転を開始し、印刷用紙Pの反転を開始する。このように、送風装置32からの空気により、印刷用紙Pの前端部の浮き上がりを防止した状態で、印刷用紙Pの前端部を羽根部材51,52間に挿入し、反転させるので、確実に、かつ、速やかに、印刷用紙Pの前端部は羽根部材51,52間に導入される。
【0052】
(3)図12は反転動作前期の状態を示しており、印刷用紙Pは第1羽根部材51及び可撓性シート53により裏面(非印刷面)を押されながら反転し始める。反転時、上記のように第1羽根部材51及び可撓性シート53は印刷用紙Pの非印刷面に接触しているので、印刷画像が汚れる心配はない。しかも、可撓性シート53により印刷用紙Pを湾曲させた状態で反転させることができるので、印刷用紙Pは、羽根部材51,52から外れたり、折れたりすることなく反転し始める。
【0053】
(4)図13は反転動作中の状態であり、印刷用紙Pは、第1羽根部材51及び可撓性シート53により、裏面が押され、湾曲状態で反転される。しかも、印刷用紙Pの印刷面側に位置する第2羽根部材52は、挟持有効長さL2が、印刷用紙Pの前端部の余白(図9のh)よりも短く設定されているので、反転動作中の印刷用紙Pの印刷面側が第2羽根部材52に接触しても、印刷用紙Pの印刷画像には接触せず、印刷画像面が汚れることはない。
【0054】
(5)図14は、反転動作を完了して、印刷用紙Pが羽根車30から離脱し、羽根車30が停止した状態を示している。印刷用紙Pは印刷画像面を下に向けた状態で紙受け台31上に放出され、一方、羽根部材51,52は印刷用紙Pから離れ、紙受け台31より後方に移動している。この羽根車30の停止状態において、次の反転作業に利用される羽根部材51,52が、反転開始位置X1に位置している。なお、第1羽根部材51の後部は可撓性シート53で構成されていることから、印刷用紙Pの放出時において、可撓性シート53は印刷用紙Pを引っ掛けたりすることなく速やかに印刷用紙Pから離脱する。
【0055】
(その他の作用)
図3において、4組の羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)のうち、少なくとも左右両端の2組の羽根組立体は、羽根取付ハブ44の軸方向移動により軸方向位置調節可能となっているので、印刷用紙Pの各種左右幅に応じて、左右両端の羽根取付ハブ44の間隔Eを調節することにより、安定した状態で印刷用紙Pを挟持し、反転させることができる。
【0056】
(その他の実施の形態)
(1)図15は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起80を形成した例である。微小突起80は部分球面状に形成されており、大小各種径の大きさの微小突起80が混在している。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起80を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起80の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さは2mm程度が好ましい。なお、微小突起80の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0057】
(2)図16は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起81を形成した別の例である。微小突起81は四角錐状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起81を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起81の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さは2mm程度が好ましい。なお、微小突起81の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0058】
(3)図17は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小突起82を形成したさらに別の例である。微小突起82は円柱状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小突起82を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小突起82の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均高さは20μm以上で、最大高さ2mmは程度が好ましい。なお、微小突起82の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0059】
(4)図18は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小凹部83を形成した例である。微小凹部83は部分球面状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小凹部83を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小凹部83の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均深さは20μm以上で、最大深さは2mm程度が好ましく、貫通孔とする事も可能である。なお、微小凹部83の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0060】
(5)図19は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、多数の微小凹部84を形成した別の例である。微小凹部84は円筒状に形成されている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の微小凹部84を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。微小凹部84の平均ピッチは80〜200μmが好ましく、平均深さは20μm以上で、最大深さは2mm程度が好ましく、貫通孔とする事も可能である。なお、微小凹部84の配列は、規則的でも不規則的でも可能である。
【0061】
(6)図20乃至図22は、第2羽根部材52の用紙接触面52aに、羽根回転方向B1と平行な多数の筋状の突起85を形成した例である。図20に示すように、筋状の突起85は互いに平行に形成され、図22に示すように、突起85は羽根回転方向B1側に行くに従い低くなっている。このように第2羽根部材52の用紙接触面52aに多数の筋状突起85を形成していると、第2羽根部材52と印刷用紙Pが接触しても、その接触面を小さくすることができ、印刷用紙Pの汚れを抑えることができる。筋状の突起85のピッチは0.5〜5mmが好ましく、高さは0.5mmで、最大2mm程度が好ましい。なお、筋状の突起85の代わりに筋状の凹部を形成することも可能であり、その場合は、貫通孔とすることも可能である。
【0062】
(7)前記図15乃至図22の各実施の形態では、第2羽根部材52の用紙接触面52aのみに、多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成した構造となっているが、第1羽根部材51の用紙接触面(第2羽根部材52の用紙接触面52aと対向する面)にも、第2羽根部材52と同様な多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成することも可能である。このように第1羽根部材51の用紙接触面にも多数の微小突起80,81,82、微小凹部83、84又は筋状突起85を形成していると、たとえば用紙の表裏に両面印刷する場合でも、インクの付着による印刷用紙の汚れを抑えることができる。また、この場合、第1羽根部材51の用紙接触面にも第2羽根部材52と同様に撥水又は撥油コーティングを施して、両面印刷時のインクによる汚れを防ぐようにすることも可能である。
【0063】
(8)前記実施の形態では、図2及び図5等に示すように、羽根組立体(第1、第2羽根部材51,52)を、回転軸43の軸方向に間隔をおいて4列に配列しているが、たとえば中央と、左右両端の3列に配列することもできる。勿論、5列以上に配列することも可能である。
【0064】
(9)前記実施の形態では、図2及び図5等に示すように、回転軸43の軸方向中間部に配列された第1羽根部材51にのみ、可撓性シート53を連結しているが、左右両端の羽第1羽根部材51にも、可撓性シート53を連結する構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による紙受け装置を備えた印刷機の側面略図である。
【図2】紙受け装置の羽根車の斜視図である。
【図3】同羽根車の背面図である。
【図4】図3のIV-IV断面図である。
【図5】同羽根車の平面図である。
【図6】送風装置の斜視図である。
【図7】制御システムのブロック図である。
【図8】制御のタイムチャートを示す図である。
【図9】印刷用紙の一例を示す平面図である。
【図10】反転動作開始前の状態を示す羽根車の側面図である。
【図11】反転動作開始時の状態を示す羽根車の側面図である。
【図12】反転動作前期の状態を示す羽根車の側面図である。
【図13】反転動作途中の状態を示す羽根車の側面図である。
【図14】反転動作終了時の状態を示す羽根車の側面図である。
【図15】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図16】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図17】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図18】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図19】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図20】第2羽根部材の形状の変形例を示す拡大部分斜視図である。
【図21】図20の第2羽根部材の正面図である。
【図22】図20の第2羽根部材の側面図である。
【図23】第1の従来例の側面図である。
【図24】図23のXXIV-XXIV断面拡大図である。
【図25】第2の従来例の側面図である。
【符号の説明】
【0066】
3 紙受け装置
8 排紙装置
21 排紙ベルト
30 羽根車
32 送風装置
35 制御装置
43 回転軸
44 羽根取付ハブ
47a 回転角度センサー
51 第1羽根部材
52 第2羽根部材
53 可撓性シート
67 用紙検出センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙装置から排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、紙受け台へ積載する印刷機の紙受け装置において、
回転軸と、該回転軸に周方向に所定間隔をおいて配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車を備え、
前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、反回転方向に向けてV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材を備え、前記排紙装置からの用紙の排出前端部を両羽根部材間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台へ排出するように構成され、
前期回転軸の径方向の内方側に配置された前記第1羽根部材は、前記印刷用紙を下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された前記第2羽根部材は、前記第1羽根部材よりも短く、かつ、印刷用紙の排出前端部を両羽根部材で挟持した時に、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されていることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷機の紙受け装置において、
前記排紙装置から前記羽根部材間に排出される印刷用紙を第1羽根部材側に押し付ける方向に風を送る送風装置を備えている印刷機の紙受け装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の印刷機の紙受け装置において、
前記第1羽根部材は、反回転方向側の端部に可撓性シートを有している印刷機の紙受け装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面を、微小な凹凸を有する面としていることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面に、羽根回転方向と略平行な筋状の突起又は筋状の溝を形成していることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面に、撥水又は撥油コーティング層を形成していることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
前記羽根車は、回転軸方向に間隔をおいて3列以上に配列し、回転軸方向両端に配置された前期羽根列を、回転軸方向位置調節自在に前記回転軸に固定している印刷機の紙受け装置。
【請求項8】
請求項2記載の印刷機の紙受け装置において、
前記送風装置は制御装置に接続され、印刷用紙の排出前端部が前記両羽根部材間に略完全に導入された時点で、一旦送風を停止するように制御されることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項1】
排紙装置から排出される印刷済みの印刷用紙を受け取り、紙受け台へ積載する印刷機の紙受け装置において、
回転軸と、該回転軸に周方向に所定間隔をおいて配設された複数の羽根組立体と、からなる羽根車を備え、
前記各羽根組立体は、回転軸方向に見て、反回転方向に向けてV字状に開くように配置された第1,第2羽根部材を備え、前記排紙装置からの用紙の排出前端部を両羽根部材間で挟み、回転により印刷用紙を反転させて紙受け台へ排出するように構成され、
前期回転軸の径方向の内方側に配置された前記第1羽根部材は、前記印刷用紙を下側から保持しうる長さを有し、径方向の外方側に配置された前記第2羽根部材は、前記第1羽根部材よりも短く、かつ、印刷用紙の排出前端部を両羽根部材で挟持した時に、印刷用紙の印刷画像領域に至らない長さに設定されていることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷機の紙受け装置において、
前記排紙装置から前記羽根部材間に排出される印刷用紙を第1羽根部材側に押し付ける方向に風を送る送風装置を備えている印刷機の紙受け装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の印刷機の紙受け装置において、
前記第1羽根部材は、反回転方向側の端部に可撓性シートを有している印刷機の紙受け装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面を、微小な凹凸を有する面としていることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面に、羽根回転方向と略平行な筋状の突起又は筋状の溝を形成していることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
第2羽根部材の用紙接触面に、撥水又は撥油コーティング層を形成していることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の印刷機の紙受け装置において、
前記羽根車は、回転軸方向に間隔をおいて3列以上に配列し、回転軸方向両端に配置された前期羽根列を、回転軸方向位置調節自在に前記回転軸に固定している印刷機の紙受け装置。
【請求項8】
請求項2記載の印刷機の紙受け装置において、
前記送風装置は制御装置に接続され、印刷用紙の排出前端部が前記両羽根部材間に略完全に導入された時点で、一旦送風を停止するように制御されることを特徴とする印刷機の紙受け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−265938(P2008−265938A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110220(P2007−110220)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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