説明

印刷機

【課題】メンテナンス作業中に、作業者が誤って乾燥装置に接触してしまうことを抑制して安全に作業を行うことができる印刷機を提供する。
【解決手段】印刷されて搬送されてきた印刷用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置を備えた印刷機であって、前記乾燥装置は、印刷用紙上のインクを乾燥させるべく該印刷用紙に対して熱を放出する乾燥面22Aが印刷用紙に接近した乾燥位置と該印刷用紙から乾燥面22Aが離間した退避位置とに移動自在に構成された乾燥部本体18と、前記退避位置にある乾燥部本体18の乾燥面22Aの少なくとも一部を覆うカバー部材39とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷されて搬送されてきた印刷用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置を備えた印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる印刷機の乾燥装置は、印刷されて搬送されてきた印刷用紙上のインクに対して熱を放出することができる乾燥面を備えている。この乾燥装置は、複数並設された印刷ユニットのうち、隣り合う印刷ユニット間に形成された切り欠き部内に、回動部材で支持された状態で設けられており、印刷用紙を搬送する胴に接近して前記インクを乾燥させる乾燥位置と、前記胴から離間した退避位置との間を回動可能に構成されている。そして、前記切り欠き部には、作業者が内部にアクセスすることができるように、上方に開口した上方開口が形成されており、該上方開口は、該印刷ユニット間に渡された開閉自在なステップにより閉じられている。
【0003】
このような印刷機においては、ステップを開放してから、回動部材によって乾燥装置を回動させて該乾燥装置を乾燥位置から退避位置に移動させることによって、例えば、乾燥装置や胴などの印刷機内部のメンテナンスを行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−223066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような印刷機が備える乾燥装置は、例えばIR(赤外線)乾燥装置や熱風乾燥装置などが用いられており、印刷した印刷用紙上のインクを即座に乾燥させることができるように、非常に高温の熱を放出するように構成されている。そのため、メンテナンス中に、作業者が高温の乾燥装置に誤って触ってしまう虞があった。
【0006】
この対策として、乾燥装置内のメンテナンスを行う前に、乾燥装置の電源を切ることが考えられるが、非常に高温で作動している乾燥装置の温度は直ぐに下がらないため、やはり安全面で改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、メンテナンス作業中に、作業者が誤って乾燥装置に接触してしまうことを抑制して安全に作業を行うことができる印刷機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷機は、印刷されて搬送されてきた印刷用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置を備えた印刷機であって、前記乾燥装置は、印刷用紙上のインクを乾燥させるべく該印刷用紙に対して熱を放出する乾燥面が印刷用紙に接近した乾燥位置と該印刷用紙から乾燥面が離間した退避位置とに移動自在に構成された乾燥部本体と、前記退避位置にある乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うカバー部材とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、乾燥部本体を退避位置に移動させて乾燥装置内の例えばメンテナンスを行う場合に、カバー部材が乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆っているため、メンテナンス中に作業者が乾燥部本体の乾燥面に接触することをカバー部材にて抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る印刷機の、前記乾燥部本体は、印刷機の内部と外部とを連通する開口が形成された収納部内に配置されており、前記カバー部材は、該開口を閉じる閉塞位置と前記収納部の内部に位置して前記開口を開放する内側開放位置との間に移動自在に構成された扉であり、前記内側開放位置で前記退避位置に位置している乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うように構成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、カバー部材としての扉を内側開放位置に移動させるだけで、収納部の開口を開放することができると共に、退避位置に位置している乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うことができるので、乾燥装置の構造の簡素化、メンテナンスの作業効率の向上、安全性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る印刷機の、前記乾燥部本体は、印刷用紙を搬送する胴の上方に配置され、前記収納部において回動することによって乾燥位置と退避位置とに移動するよう構成され、前記開口は、前記収納部における印刷用紙の搬送方向一端部に形成され、前記乾燥部本体の回動中心は、前記収納部の内部のうちの搬送方向他端側に配置され、更に、前記乾燥部本体は、乾燥位置において乾燥面が胴の表面に向くように、かつ、退避位置において乾燥面が前記開口に向くように構成されており、前記扉は、内側開放位置に位置したときに、前記退避位置にある乾燥部本体の乾燥面に対向して該乾燥面の少なくとも一部を覆うように構成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、収納部の内部のうちの搬送方向他端側に乾燥部本体の回動中心を配置しているので、乾燥部本体の乾燥位置と退避位置との間の乾燥部本体の回動に要する収納部内のスペースを小さくしながらも、乾燥部本体を退避位置に位置させた状態において収納部内における開口側にメンテナンスのためのスペースを確保することができる。更に、扉を内側開放位置に位置させることにより、乾燥面に対向して乾燥面の少なくとも一部を覆うことができるので、安全性を確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る印刷機の、前記乾燥部本体は、印刷用紙の幅方向に移動自在に構成され、印刷用紙の幅方向における該乾燥部本体の位置を調整するための調整部を備え、前記カバー部材は、前記乾燥部本体が乾燥位置に位置した状態で、前記位置調整が可能となるように前記調整部を露出させることができるように構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る印刷機の、前記乾燥部本体は、印刷用紙の幅方向に移動自在に構成され、印刷用紙の幅方向における該乾燥部本体の位置を調整するための調整部を備え、前記カバー部材である扉は、前記乾燥部本体が乾燥位置に位置した状態で前記内側開放位置に位置することによって、前記調整部を前記開口から操作できるように露出させるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明によれば、カバー部材が退避位置にある乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うため、例えば乾燥部本体を退避位置にして行うメンテナンス作業中に、作業者が誤って乾燥装置(特に、乾燥面)に接触してしまうことを抑制することができる結果、安全に作業を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷機の概略の全体側面図を示す。
【図2】同実施形態に係る印刷機に組み込まれた乾燥装置の縦断側面図を示す。
【図3】図2で示した乾燥装置の乾燥部本体を乾燥位置に位置させた状態の縦断側面図を示す。
【図4】図2で示した乾燥装置の乾燥部本体を退避位置に位置させた状態の縦断側面図を示す。
【図5】同実施形態に係る印刷機に組み込まれた乾燥装置の概略平面図を示す。
【図6】内扉の他の実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図、(c)は平面図を示す。
【図7】内扉の他の実施形態を示し、(a)は側面図、(b)は補助体を扉本体に重ね合わせた状態を示す側面図を示す。
【図8】(a)は乾燥部本体を横方向にスライドさせた退避位置に位置させる構成を示す概略側面図、(b)は乾燥部本体を昇降により上方の退避位置に位置させる構成を示す概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る印刷機の一実施形態について、図1〜図5を参酌して説明する。
【0019】
印刷機は、刷版を作成して印刷用紙に印刷を行うためのオフセット方式の第1印刷装置1と、印刷用紙毎に印刷内容が異なる印刷を行うためのインクジェット方式の第2印刷装置2と、第2印刷装置2にて印刷した印刷用紙上のインクを乾燥させるための乾燥装置3と、乾燥後において印刷用紙の表面にニスを塗布するための処理装置4と、第1印刷装置1にて印刷した印刷用紙上のインク及び処理装置4にて塗布されたニスを乾燥して排紙するための排紙装置5とを備えている。尚、以下において、印刷機の長手方向(印刷用紙の搬送方向)を前後方向とし、印刷機の短手方向(印刷用紙の搬送幅方向)を左右方向として説明する。
【0020】
第1印刷装置1と第2印刷装置2とを設けることによって、あらゆるニーズに対応した印刷物の作成を可能にしている。例えば、広告宣伝用の画像を印刷してダイレクトメールに利用する圧着ハガキを作成する場合、第1印刷装置1により共通する(同じパターンの)画像や文字を印刷用紙に印刷し、印刷された印刷用紙に、第2印刷装置2により、例えば宛名や個人情報などの異なるパターンの画像や文字を印刷することができる。尚、第1印刷装置1と第2印刷装置2とを同時に駆動する他、それぞれ単独で駆動してもよい。
【0021】
第1印刷装置1は、紙積み台6からフィーダ装置7により一枚ずつ印刷用紙(枚葉紙)を送り出すための給紙部8と、この給紙部8からの印刷用紙に4色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の印刷を行うための4台の印刷ユニット9,10,11,12とを備えている。ここでは、4色の印刷が行えるように4台の印刷ユニット9〜12を備えているが、4色以外の色、つまり1色又は2色以上の印刷が行えるように印刷ユニットを備えさせてもよい。
【0022】
前記印刷ユニット9〜12は、印刷用圧胴9A〜12Aを備え、これら印刷用圧胴9A〜12Aの搬送方向上流側のそれぞれには、各印刷用圧胴へ印刷用紙を渡すための渡し胴9B〜12Bを備えている。尚、前記渡し胴9B〜12Bのうちの搬送方向始端側に位置する径の小さな渡し胴9Bを給紙胴とも言い、この渡し胴9Bとフィーダ装置7と紙積み台6とから給紙部8を構成している。そして、図示していないが、前記胴9A〜12A及び渡し胴10B〜12Bのそれぞれには、送り出されてきた印刷用紙を爪台と爪とで把持するグリッパ(図示せず)を円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。尚、前記径の小さな渡し胴9Bにも、図示していないが、印刷用紙を爪台と爪とで把持するグリッパを円周方向の1箇所に備えている。
【0023】
第2印刷装置2は、印刷胴13と、印刷胴13の搬送方向上流側に配置され前記印刷ユニット12からの印刷用紙を受け取って印刷胴13に搬送するための渡し胴14と、印刷胴13に受け取った印刷用紙の表面にインクを吐出するためのインクジェットヘッド15とを備えている。印刷胴13及び渡し胴14のそれぞれには、送り出されてきた印刷用紙を爪台と爪とで把持するグリッパ(図示せず)を円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。前記インクジェットヘッド15から吐出するインクとしては、水性インクが多く用いられ、この水性インクは、水分を多く含むため、後述するIRランプ21等により直ちに乾燥させる必要がある。
【0024】
乾燥装置3は、乾燥胴16と、乾燥胴16の搬送方向上流側に配置され前記第2印刷装置2からの印刷用紙を受け取って乾燥胴16に搬送するための渡し胴17と、乾燥胴16の直上方に配置され乾燥胴16に受け取った印刷用紙の表面のインクを乾燥させるための乾燥部本体18と、乾燥部本体18を収納する収納部19とを備えている。乾燥胴16及び渡し胴17のそれぞれには、送り出されてきた印刷用紙を爪台と爪とで把持するグリッパ(図示せず)を円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。また、乾燥胴16は、その表面にグリッパで把持した印刷用紙を吸着して搬送することができる吸着胴に構成されており、乾燥部本体18の乾燥面22Aと印刷用紙の表面との距離が常に設定された距離になるようにしている。
【0025】
乾燥部本体18は、図2及び図5に示すように、前後方向に延びる3本の細長い円管状のIRランプ21が左右方向に所定間隔を置いて内部に配設された直方体状のケース22を備え、そのケース22の下面に、IRランプ21からの熱(照射光)を乾燥胴16に向けて放出するための乾燥面22Aが形成されている。尚、本実施形態では、乾燥部本体18は、左右横並びに3台設けられている。また、ケース22内のIRランプ21に電力を供給するためのケーブル23が接続されている。
【0026】
前記乾燥部本体18は、図2から図4に示すように、前記収納部19内に設けられ、後述する回動軸30,30の軸回りで回動自在に構成されており、乾燥部本体18が回動することによって、印刷用紙上のインクを乾燥させるべく印刷用紙、つまり乾燥胴16の直上方に接近するとともに、乾燥面22Aが乾燥胴16の表面に向いた乾燥位置(図2の実線で示す位置及び図3の位置)と、印刷用紙(乾燥胴16)から離間するとともに乾燥面22Aが後述する開口19Kに向いた退避位置(図2の二点鎖線で示す位置及び図4の位置)とに移動自在に構成されている。
【0027】
また、前記乾燥部本体18は、印刷用紙の幅方向に移動自在に構成されており、印刷用紙の幅方向における乾燥部本体18の位置を調整するための調整部(図2のボルト26に相当する)を備えている。従って、印刷用紙の幅の大きさに応じて、印刷用紙の幅方向における乾燥部本体18の位置を調整することによって、幅の大きさが異なる各種の印刷用紙上のインクを確実に乾燥させることができる。
【0028】
ここで、乾燥部本体18が回動する構成と印刷用紙の幅方向に位置調整する構成について説明する。まず、乾燥部本体18が幅方向に位置調整する構成から説明すれば、図2及び図5に示すように、各乾燥部本体18のケース22が、印刷用紙の幅方向に移動自在に設けられている。具体的には、ケース22の上端面に、上方に突出する前後一対のL字状のブラケット24,24が取り付けられ、それらブラケット24,24が左右方向に延びる前後一対の支持部材25,25に上下方向から係合することによって、各乾燥部本体18が、支持部材25,25に支持されている。より詳しくは、ブラケット24,24が、支持部材25,25に沿って摺動可能に係合しており、これにより各乾燥部本体18は、支持部材25,25に沿って左右方向(印刷用紙の幅方向)に移動自在に吊下支持されている。
【0029】
そして、支持部材25,25のそれぞれは、縦断面形状が略X字状に構成されている。また、前記ブラケット24,24には、前後方向に貫通したボルト26が設けられており、図2において前側の一方のボルト26をねじ込むことにより前側の支持部材25の凹部25Aにボルト26の先端を押し付けてブラケット24を支持部材25に固定することができる。尚、図2において後側の他方のボルト26は、ブラケット24の係合が解除されることがないようにするために設けられ、ボルト26の先端が支持部材25の凹部に押し付けられていないため、ブラケット24が支持部材25に固定されていない状態である。従って、前側のボルト26をねじ込むことによって、ケース22を支持部材25に移動不能に固定し、ボルト26を緩めることによって、インクジェットヘッド15の印刷幅に応じて支持部材25,25の長手方向にケース22を移動させることができ、乾燥部本体18を幅方向に位置調整することができる。前記前側のボルト26が、印刷用紙の幅方向における乾燥部本体18の位置を調整する調整部を構成している。尚、前記乾燥部本体18が3台あるため、各乾燥部本体18のボルト26を緩めることになる。
【0030】
次に、乾燥部本体18が回動する構成を説明する。支持部材25,25は、これらの上方に位置して左右方向に延びる一対の角材27,27に前後一対の板部材28,28により連結されている。角材27,27は、前後方向に延びる左右一対の板状の取付部材29,29にボルト連結されている。取付部29,29は、一対のボルト32,32を介して左右一対のL字状で板状の揺動部材31,31に連結されている。揺動部材31,31は、ケーシング19Cを構成する左右の側壁45,46に回転自在に貫通支持された回動軸30,30に揺動自在に連結されている。このような連結構造にすることによって、回動軸30,30が回動することで、揺動部材31,31が揺動され、揺動部材31,31に連結された取付部29,29、角材27,27、板部材28,28、支持部材25,25が一体的に揺動される。この一体揺動により、乾燥部本体18を回動させて、乾燥位置(図2の実線で示す位置及び図3の位置)と退避位置(図2の二点鎖線で示す位置及び図4の位置)とに移動させることができる。
【0031】
また、左右の側壁45,46には、乾燥部本体18の下方側への移動を規制するための筒状のストッパー60,60がボルト61,61により固定されており、揺動部材31,31の下端面がストッパー60,60に当接することによって、乾燥部本体18がそれ以上、下方へ移動することがないようにしている。また、右側の側壁46には、乾燥部本体18の退避位置で係止固定するための係止部材62が揺動自在に取り付けられている。従って、乾燥部本体18が退避位置に位置することにより、乾燥部本体18の被係止部が係止部材62の係止部に自ずと係止して乾燥部本体18を退避位置に保持できるようになっている。尚、退避位置に保持されている乾燥部本体18を乾燥位置に移動させる場合には、前記係止部材62を持って係止解除側へ揺動操作することになる。尚、前記係止部材62をケーシング19Cの外部から手動にて揺動操作できるようにしてもよい。
【0032】
また、印刷機は、手動にて乾燥部本体18を乾燥位置から退避位置に移動操作する操作手段20を備えている。
【0033】
操作手段20は、左側の側壁45の外側に軸芯X1周りに揺動自在に取り付けられた操作具33と、操作具33により乾燥部本体18を乾燥位置と退避位置とに渡って揺動操作すべく、操作具33と乾燥部本体18とを連結するリンク機構34とを備えている。
【0034】
操作具33は、左側の側壁45の横外方に配置され、軸芯X1回りで揺動自在に取り付けられた板状の揺動部35と、この揺動部35の一端に差し込まれて上方に延びる操作レバー部36とを備えている。
【0035】
リンク機構34は、揺動部35と乾燥部本体18の軸芯X2となる一方(図5において左側)の回動軸30とを連結する一対のリンク37,38からなり、一対のリンク37,38は、それら端部同士が枢支連結されており、操作レバー部36の揺動操作に伴って一対のリンク37,38が離間又は接近する(両リンク37,38のなす角度が変化する)ことにより、回動軸30が回転操作される。この回動軸30の回転より、揺動部材31,31が回動軸30,30の軸回りで揺動され、揺動部材31,31に取付部材29,29、板部材28,28、角材27,27、支持部材25,25を介して連結されている乾燥部本体18を、乾燥胴16の表面16Aに対向して接近する乾燥位置(図3参照)から乾燥面22Aが乾燥胴16から離間した退避位置(図4参照)に移動させることができる。尚、乾燥位置にある乾燥部本体18は、乾燥面22Aが前端側ほど下方に下がった前下がり傾斜姿勢になり、退避位置にある乾燥部本体18は、乾燥面22Aが前端側ほど上方に位置する後下がり傾斜姿勢になっている。また、乾燥位置にある乾燥部本体18の前下がり傾斜姿勢の方が、退避位置にある乾燥部本体18の後下がり傾斜姿勢よりも水平姿勢に近い姿勢となっている。つまり、乾燥部本体18は、水平姿勢に近い乾燥位置から、前端側が上方に移動するように起立して退避位置となる。
【0036】
また、他方(図5において右側)の回動軸30の外部側の突出端には、揺動アーム48の一端と該揺動アーム48の角度を検出するセンサ49の先端が取り付けられている。センサ49の基端は、右側の側壁46に固定されている。揺動アーム48の他端は、ガスダンパー50の一端が連結され、ガスダンパー50の他端が側壁46に外部に突出するように設けられた軸51に連結されている。従って、操作レバー部36の操作に伴って、揺動部材31,31が上方側に揺動されるとき、ガスダンパー50の力を利用することができるので、小さな操作力で乾燥部本体18を持ち上げることができる。また、乾燥部本体18を持ち上げた退避位置に位置すると、退避位置に位置したことをセンサ49が検出し、その検出信号が印刷機に備えている制御部(図示せず)に出力され、制御部(図示せず)は、IRランプ21を点灯させないようにしている。
【0037】
尚、乾燥装置3には、乾燥胴16の表面16Aから乾燥部本体18の乾燥面22Aまでの距離(隙間)を調整することができる調整手段を備えている。この調整手段は、取付部材29,29に上下方向に長い長孔に形成されたボルト挿通孔29A,29Aから構成されており、ボルト挿通孔29A,29Aに対するボルト32,32の上下位置を変更することによって、乾燥胴16に対するケース22の高さ位置、つまり乾燥胴16の表面16Aから乾燥部本体18の乾燥面22Aまでの距離(隙間)を調整することができる。前記支持部材25,25の左右両端部は、前後方向の連結部材47,47によりそれぞれ連結されている。
【0038】
かかる乾燥部本体18が収納される収納部19は、乾燥胴16の上方に設けられた空間から形成され、その空間は、印刷機の左右の側壁63,64(図5参照)と、前後のステップ19A,19B(図2参照)と、前後のステップ19A,19Bから上方に向かって空間を形成する下方開放型の箱型のケーシング19C(図2参照)とで形成されている。図5に、印刷機の左右の側壁63,64が示され、それら側壁63,64の上端に、ケーシング19Cの左右の側壁45,46が一体形成されている。尚、ケーシング19Cの左右の側壁45,46は、印刷機の左右の側壁63,64よりも薄肉に構成されている。
【0039】
図2に示すように、前記収納部19を構成するケーシング19Cの印刷用紙搬送方向前方側(上手側)には、印刷機の内部と外部とを連通する開口19Kが形成され、その開口19Kを閉じるための金属製で板状の内扉39(本発明で言う扉)と、この内扉39よりも縦長で、かつ、内扉39の外側に位置する金属製で板状の外扉40とを備えている。これら扉39,40は、ケーシング19Cの上方の回転軸41を中心に揺動開閉自在に構成されている。
【0040】
内扉39は、開口19Kの一部(下側部分)を除く部分を閉じるように構成されるとともに、内側及び外側の両方に開放できるように構成されている。詳述すれば、内扉39は、上下方向ほぼ中央部に内側に凹ませて形成した左右一対の取手39Aを備えると共に、ケーンシング19Cに備えたボールプランジャ(図示せず)のボールに係合する被係合部を備えており、被係合部とボールプランジャとの係合により上下方向に沿って開口19Kの一部を閉じる閉塞位置を維持することができるようになっている。また、内扉39は、内側に押すことによりボールプランジャとの係合が解除され、続いて内側に揺動すると、ケーシング19C側に備えたマグネット(図示せず)に吸着されて、図2の一点鎖線で示す内側開放位置で吸着固定されるようになっている。また、内扉39を外側に引っ張ることによりボールプランジャとの係合が解除され、続いて外側に大きく揺動することによって、図2の二点鎖線で示す外側開放位置に位置させることができる。尚、外側開放位置にある内扉39をその位置に維持するためのマグネットなどの保持手段を設けてもよい。
【0041】
また、外扉40は、開口19Kの全部を閉じるように構成されるとともに、外側のみに開放できるように構成されている。詳述すれば、外扉40は、上下方向下側寄りに左右一対のアーチ状の取手40Aを備えると共に、自重で上下方向に沿う姿勢となって開口19Kを完全に閉じることができる閉塞位置を維持することができるようになっている。尚、外扉40の閉塞位置から内側への揺動を当接により阻止するストッパー(図示せず)がケーシング19Cに備えられている。また、図2の二点鎖線で示す外側開放位置にある外扉40をその位置に維持するためのマグネットなどの保持手段を設けてもよい。
【0042】
例えば、印刷作業中に、詰まった印刷用紙を取り除く作業を行う場合や乾燥胴16の点検作業を行う場合において、乾燥部本体18を退避位置に位置させた状態にし(図4参照)、外扉40を図4の二点鎖線で示す外側の外側開放位置にしてから、内扉39を図4の一点鎖線で示す内側開放位置に移動させることによって、内扉39が、乾燥部本体18の乾燥面22Aの一部(図4では略上半分)を覆うカバー部材に構成されている。従って、乾燥部本体18の退避位置において、乾燥部本体18の乾燥面22Aが開口19Kに向いているため、作業者が開口19Kを通して内部のメンテナンスなどを行う場合に、乾燥面22Aに接触し易いが、内側開放位置に位置させた内扉39にて乾燥面22Aの上半分(上部)を覆うことができるので、作業者の身体が、特に乾燥面22Aに接触することを抑制しながらも、メンテナンスなどの作業を行うことができる。従って、乾燥面22Aを覆うための専用部材を設ける場合に比べて、乾燥装置の構造の簡素化を図ることができるだけでなく、メンテナンスの作業効率の向上及び安全性の向上をも同時に図ることができる。
【0043】
また、図3に示すように、乾燥部本体18が乾燥位置に位置している状態で、内扉39を内側開放位置に位置させることによって、乾燥部本体18の調整部であるボルト26が露出するので、ボルト26を直ちに緩めて乾燥部本体18の位置調整を迅速に行うことができる。例えば、印刷作業途中において印刷用紙の大きさを変更したい場合、まず、外扉40を図3の二点鎖線で示す外側の外側開放位置にしてから、内扉39を図3の一点鎖線で示す内側開放位置にすることによって、内扉39を図3の二点鎖線で示すケーシング19Cの外側の外側開放位置まで操作する場合に比べて、内扉39を迅速に操作することができる。そして、この状態で作業者は開口19Kを通してボルト26を直ちに緩めてから、乾燥部本体18を印刷用紙の幅方向に移動させて、印刷用紙の幅方向における乾燥部本体18の位置を調整することができる。位置調整した後は、ボルト26を締め付けて乾燥部本体18の位置調整を終了する。尚、内扉39を図3の二点鎖線で示すケーシング19Cの外側の外側開放位置まで操作して各種作業を行ってもよい。
【0044】
前記乾燥部本体18の回動軸30を収納部19内に収納された乾燥部本体18の後端部(ケーシング19Cの開口19Kと相対向する側壁(図2では後壁)19a側に寄った位置)に配置することによって、乾燥部本体18の乾燥位置と退避位置との間の乾燥部本体18の回動に要するスペースを小さくしながらも、乾燥部本体18を退避位置に位置させた状態においてケーシング19C内における開口19K側にメンテナンスのためのスペースを確保することができる。本実施形態では、回動軸30を乾燥部本体18の上端部でかつ後端部側に寄った位置に配置しているが、乾燥部本体18の後端部側であれば、乾燥部本体18の上端部でない下端部や上端部と下端部との間の上下方向中間部に回動軸30を配置してもよい。
【0045】
また、ケーシング19Cの上端の後側には、乾燥部本体18のケーブル23を係止保持しておくための3個のフック42を吊り下げる3本の棒状体43を収納する収納ボックス44が取り付けられている。更に、ケーシング19C内の上端側に、印刷用紙が燃えて発生する煙を検知する煙検知器52を取り付けるとともに、及び煙検知器52に向けて煙が直ちに上がってくるように煙検知用のダクト53をケーシング19Cの上端の上面のうちのほぼ中央部に上方に突出する状態で取り付けている。
【0046】
図1に戻って、処理装置4は、2台のニスを塗布するニスユニット54,55から構成され、前側に位置する第1ニスユニット54は、ニス胴56と、ニス胴56の搬送方向上流側に配置され前記乾燥装置3からの印刷用紙を受け取ってニス胴56に受け渡すための渡し胴57とを備えている。また、後側に位置する第2ニスユニット55は、ニス胴58と、ニス胴58の搬送方向上流側に配置され前記第1ニスユニット54からの印刷用紙を受け取ってニス胴58に受け渡すための渡し胴59とを備えている。ニス胴56,58及び渡し胴57,59のそれぞれには、送り出されてきた印刷用紙を爪台と爪とで把持するグリッパ(図示せず)を円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。
【0047】
排紙装置5は、無端状に構成されたチェーンに複数のグリッパを備えたチェーン搬送装置から構成している。尚、本実施形態では、排紙装置5を備えた印刷機を示しているが、排紙装置5を省略した印刷機であってもよい。又、本実施形態では、印刷用紙として枚葉紙を用いているが、連続する長尺な用紙であってもよい。
【0048】
次に、前記構成の操作具33を用いて乾燥部本体18を乾燥位置と退避位置とに手動で移動させる手順について説明する。例えば、印刷用紙が詰まってしまい、異常が発生したとして印刷機に備えている制御部が印刷機の運転を停止するとともに、乾燥部本体18への電源供給を遮断する。この印刷機の運転停止を確認した作業者(オペレータ)は、乾燥装置3のところまで移動し、図2で示す後方側に倒れ込んでいる操作具33を持って二点鎖線で示す前方側へ倒れ込む位置まで揺動操作することによって、リンク機構34を介して乾燥部本体18を乾燥位置から退避位置へ収納部19の外部から容易かつ迅速に手動で移動操作することができる。尚、印刷機に、印刷用紙が詰まったことを検出する検出手段からの検出信号に基づいて報知する報知手段を設けて、作業者(オペレータ)が報知手段からの情報に基づいて印刷用紙が詰まったことを確認するようにしてもよい。報知手段としては、ブザーやアナウンスなどの音声を発生する構成の他、回転表示灯やランプあるいはモニターなどに表示する表示部により構成してもよい。
【0049】
また、前記乾燥部本体18を乾燥位置と退避位置とに自動で移動操作する場合には、例えば操作具33の回動軸30を回転させるアクチュエータとしての電動モータ(図示せず)を備えさせることになる。そして、印刷用紙が詰まってしまい、異常が発生した場合には、印刷機に備えている制御部が印刷機の運転を停止するとともに、乾燥部本体18への電源供給を遮断する。これを確認してスイッチを押す、又は印刷機の運転停止信号や印刷用紙が詰まったことを検出する検出手段からの検出信号に基づいて電動モータ(図示せず)を作動させて回動軸30を一方向に回転させることによって、乾燥部本体18を乾燥位置から退避位置に移動させることができる。印刷用紙が詰まったことを検出する検出手段としての紙センサは、乾燥装置3内に設けることが好ましいが、乾燥装置3内が高温になるため、乾燥装置3の前後、例えば図2に示すように、乾燥装置3の後側の第1ニスユニット54の渡し胴57に受け渡されて搬送される印刷用紙の通過を検出する紙センサ(異常検出手段)Sを設けている。そして、フィーダ装置7から一枚ずつ送り出される印刷用紙を検出するために、該フィーダ装置7に送り出し検出用センサ(図示せず)を配置し、その送り出し検出用センサからの送り出し信号が出力されてから、所定時間経過しても前記紙センサSから印刷用紙の通過信号が出力されない場合に、印刷用紙が詰まったことを検出する検出信号を紙センサSから印刷機の制御部に出力する。尚、異常が解消されて印刷作業を再開する場合には、スイッチを押す、又は印刷機の運転再開信号に基づいて電動モータ(図示せず)を作動させて回動軸30を前記とは反対となる他方向に回転させることによって、乾燥部本体18を退避位置から乾燥位置に移動操作してもよい。また、乾燥部本体18の退避位置への移動をトリガとして、内扉39を内側開放位置へ自動移動させるようにしてもよい。このようにすれば、用紙詰まり等によるメンテナンスのために外扉40を開けても、乾燥面22Aが内扉39でカバーされており、安全面で優れたものとなる。また、回動軸30をアクチュエータの故障などにより回転操作できない場合でも、乾燥部本体18を乾燥位置から退避位置に手動により移動操作する前記操作具33を備えさせて実施することもできる。
【0050】
尚、本発明に係る印刷機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、実施形態で示した乾燥部本体18の下面(乾燥面)及びIRランプの形状を、乾燥胴16の表面に沿うように湾曲形状に構成してもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、内扉39を、開口19Kの上端から下端近傍位置まで閉じることができる上下長さの扉にしているが、開口19Kを完全に閉じることができる長さに構成した内扉であれば、外扉40を省略してもよい。例えば、図6(a),(b),(c)に示すように、内扉39を、内扉本体65と、内扉本体65に対して出し入れ自在な補助板66とから構成することができる。内扉本体65は、前方に位置する平板状の板部65Aと、板部65Aの左右両端から後方に折り曲げられた一対の横板部65B,65Bと、横板部65B,65Bの後端から左右方向内側に折り曲げられた後板部65C,65Cと、左側の横板部65Bの下端部に形成された貫通孔65Kにバネ(図示せず)により入り込む側に移動付勢された係止ピン65Pとを備えている。他方の補助板66は、平板状の補助板本体66Aと、この補助板本体66Aの左右両端から後方に折り曲げられた一対の横板部66B,66Bとからなり、左側の横板部66Bの下端部に前記係止ピン65Pの先端が入り込んで係止する貫通孔66Kが形成されている。従って、図6(a)に、内扉本体65の下端から補助板本体66Aを突出させることによって、開口19Kを閉じることができる長さにすることができる。この状態から、補助板本体66Aの下端面が内扉本体65の下端面に一致するまで補助板本体66Aを上方に移動させることによって、係止ピン65Pが補助板本体66Aの貫通孔66Kに入り込んで、補助板本体66Aが内扉本体65内に収納された状態で保持できるようになっている(図6(a)の二点鎖線及び図6(c)参照)。そして、この状態にすることによって、図3の一点鎖線で示す内側開放位置に内扉39を位置させることができるようになっている。内扉39を内側の開放位置から閉じ位置へ移動して開口19Kを閉じる場合には、係止ピン65Pをバネ(図示せず)の付勢力に抗して貫通孔66Kから引き抜くことによって、内扉本体65から補助板本体66Aが下方へ自重で下降して図6(a)の実線で示す状態になる。
【0053】
また、前記内扉39を、図7(a),(b)に示すように構成してもよい。金属製で平板状の扉本体67と、この扉本体67の下端に蝶番68を介して揺動自在に連結される金属製で板状の補助体69とを備え、補助体69の下端部表面には、扉本体67の表面に吸着可能な永久磁石70が取り付けられている。従って、図7(a)に示す扉本体67の下端に補助体69を位置させた状態にすることによって、開口19Kを閉じることができる長さにすることができる。この状態から、扉本体67に対して補助体69を上方へ揺動させて扉本体67の下端部表面に補助体69を対向させることによって、永久磁石70の吸着作用で補助体69を扉本体67に重ね合わせた状態で固定することができる(図7(b)参照)。そして、この状態にすることによって、図3の一点鎖線で示す内側開放位置に内扉39を位置させることができるようになっている。また、内扉39の上下寸法が3段階に調整できるように構成しておけば、例えば、図3において内扉39の内側開放位置で乾燥部本体18に備えているボルト26を露出することができる内扉39の寸法(最も短い寸法)と、図4において内扉39の内側の開放位置で乾燥部本体18の乾燥面22Aの全面を覆うことができる内扉39の寸法(最も長い寸法)と、開口19Kを閉じることができる内扉39の寸法(最長と最短の中間の寸法)の3段階に調節することができる。
【0054】
前記実施形態では、乾燥部本体18を回動により乾燥位置と退避位置とに移動させるように構成したが、図8(a),(b)に示すように、回動以外で乾燥部本体18を乾燥位置と退避位置とに移動させる構成であってもよい。図8(a)では、乾燥部本体18を前後方向にスライド移動すべく案内する一対の案内部材(図示せず)を設けて、乾燥部本体18を一対の案内部材にて実線で示す乾燥位置と二点鎖線で示す退避位置とに前後方向に移動させる構成であってもよい。この場合、図8(a)中左側に設けた扉71を上端の回動軸により上方に揺動させることにより、退避位置に位置している乾燥部本体18の乾燥面22Aを覆うようにしてもよい(図8(a)では、乾燥面22Aの一部を覆っているが、全部を覆ってもよい)。また、図8(b)では、乾燥部本体18を上下方向にスライド移動すべく案内する一対の案内部材(図示せず)を設けて、乾燥部本体18を一対の案内部材にて実線で示す乾燥位置と二点鎖線で示す退避位置とに昇降させる構成であってもよい。この場合、図8(b)中右側に設けた扉72を上端の回動軸により上方に揺動させることにより、退避位置に位置している乾燥部本体18の乾燥面22Aを覆うようにしてもよい(図8(b)では、乾燥面22Aの一部を覆っているが、全部を覆ってもよい)。
【0055】
また、前記実施形態では、収納部を構成するケーシング19Cの外部に、操作具33及びリンク機構34を配置したが、リンク機構34をケーシング19C内に配置し、リンク機構34に連結される操作具33の操作レバー部36をケーシング19Cの外部(上方又は横側方)に突出させた構成にしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、内扉39を揺動式に構成したが、スライド式に構成してもよい。また、内扉39を乾燥部本体18の乾燥面22Aを覆うカバー部材に構成したが、内扉39とは別のカバー部材で乾燥部本体18の乾燥面22Aを覆う構成であってもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、乾燥装置としてIRランプを用いたが、熱風を放射する熱風乾燥装置やヒータなどであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…第1印刷装置、2…第2印刷装置、3…乾燥装置、4…処理装置、5…排紙装置、6…紙積み台、7…フィーダ装置、8…給紙部、9〜12…印刷ユニット、9A〜12A…印刷用圧胴、9B〜12B…渡し胴、13…印刷胴、14…渡し胴、15…インクジェットヘッド、16…乾燥胴、16A…表面、17…渡し胴、18…乾燥部本体、19…収納部、19A,19B…ステップ、19C…ケーシング、19K…開口、19a…側壁、20…操作手段、21…ランプ、22…ケース、22A…乾燥面、23…ケーブル、24…ブラケット、25…支持部材、25A…凹部、26…ボルト(調整部)、27…角材、28…板部材、29…取付部材、29A…ボルト挿通孔、30…回動軸、31,31…揺動部材、32…ボルト、33…操作具、34…リンク機構、35…揺動部、36…操作レバー部、37,38…リンク、39…内扉(カバー部材)、39A…取手、40…外扉、40A…取手、41…回転軸、42…フック、43…棒状体、44…収納ボックス、45…,46…側壁、47…連結部材、48…揺動アーム、49…センサ、50…ガスダンパー、51…軸、52…煙検知器、53…ダクト、54,55…ニスユニット、56,58…ニス胴、57,59…渡し胴、60…ストッパー、61…ボルト、62…係止部材、63,64…側壁、65…内扉本体、65A…板部、65B…横板部、65C…後板部、65K…貫通孔、65P…係止ピン、66…補助板、66A…補助板本体、66B…横板部、66K…貫通孔、67…扉本体、68…蝶番、69…補助体、70…永久磁石、71,72…扉、S…異常検出手段(紙センサ)、X1,X2…軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷されて搬送されてきた印刷用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置を備えた印刷機であって、
前記乾燥装置は、印刷用紙上のインクを乾燥させるべく該印刷用紙に対して熱を放出する乾燥面が印刷用紙に接近した乾燥位置と該印刷用紙から乾燥面が離間した退避位置とに移動自在に構成された乾燥部本体と、前記退避位置にある乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うカバー部材とを備えていることを特徴とする印刷機。
【請求項2】
前記乾燥部本体は、印刷機の内部と外部とを連通する開口が形成された収納部内に配置されており、前記カバー部材は、該開口を閉じる閉塞位置と前記収納部の内部に位置して前記開口を開放する内側開放位置との間に移動自在に構成された扉であり、前記内側開放位置で前記退避位置に位置している乾燥部本体の乾燥面の少なくとも一部を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記乾燥部本体は、印刷用紙を搬送する胴の上方に配置され、前記収納部において回動することによって乾燥位置と退避位置とに移動するよう構成され、
前記開口は、前記収納部における印刷用紙の搬送方向一端部に形成され、
前記乾燥部本体の回動中心は、前記収納部の内部のうちの搬送方向他端側に配置され、
更に、前記乾燥部本体は、乾燥位置において乾燥面が胴の表面に向くように、かつ、退避位置において乾燥面が前記開口に向くように構成されており、
前記扉は、内側開放位置に位置したときに、前記退避位置にある乾燥部本体の乾燥面に対向して該乾燥面の少なくとも一部を覆うように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷機。
【請求項4】
前記乾燥部本体は、印刷用紙の幅方向に移動自在に構成され、印刷用紙の幅方向における該乾燥部本体の位置を調整するための調整部を備え、前記カバー部材は、前記乾燥部本体が乾燥位置に位置した状態で、前記位置調整が可能となるように前記調整部を露出させることができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷機。
【請求項5】
前記乾燥部本体は、印刷用紙の幅方向に移動自在に構成され、印刷用紙の幅方向における該乾燥部本体の位置を調整するための調整部を備え、前記カバー部材である扉は、前記乾燥部本体が乾燥位置に位置した状態で前記内側開放位置に位置することによって、前記調整部を前記開口から操作できるように露出させるように構成されていることを特徴とする請求項2〜4の少なくともいずれか1項に記載の印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−139873(P2012−139873A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293173(P2010−293173)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】