説明

印刷管理システム

【課題】ファイルに関するメッセージをそのファイルを印刷しようとするユーザに確実に伝達することのできる印刷管理システムを提供する
【解決手段】ファイルに対応付けてメッセージを登録するメッセージ管理テーブル50を画像形成装置10に設ける。端末装置30は印刷対象に選択されたファイルの情報を画像形成装置10に送信すると、画像形成装置10はそのファイルに対応付けてメッセージ管理テーブル50にメッセージが登録されているか否かを調べ、登録されている場合は該当メッセージを端末装置30に通知して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザへの通知機能を備えた印刷管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機などには、ユーザに各種の通知を行うものがある。
【0003】
たとえば、印刷終了など所定のイベントが発生したとき、電子メールでそのイベントの発生を、印刷ジョブの依頼者や指定されたユーザに通知する画像形成装置がある(特許文献1参照。)。
【0004】
また、多様な機能の使い方に不慣れなユーザに、管理者の作成したオリジナルの操作案内を通知するといった目的から、管理者等の作成した任意のメッセージとその表示タイミングとを設定できるようにした画像形成装置がある(たとえば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−192562号公報
【特許文献2】特開2002−67452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
会議資料などを印刷する場合、既に印刷されていることに気付かずに、出席者や主催者の誰かが重複して印刷してしまうことがある。また、会議資料などのファイルが更新されていることに気付かずに、古いバージョンを印刷出力してしまうこともある。
【0007】
特許文献1に開示の技術は、基本的に、印刷ジョブを投入したユーザ本人に、その印刷に係るイベントの発生(印刷終了やエラー発生など)を電子メールで通知する技術であり、上述した重複印刷や旧バージョンの印刷防止には貢献しない。また、既に印刷済みであることやバージョンアップされたことを関係者に電子メールで通知したとしても、その電子メールが印刷前に確認されないこともある。
【0008】
特許文献2に開示の技術は、印刷装置の故障やメンテナンス告知等のメッセージを、クライアントPCの画面上や印刷装置の操作パネル上に一定期間表示させるものであり、ファイルを印刷しようとしているユーザに重複印刷等を防止するためのメッセージを伝えることはできない。また、メッセージが不要なユーザに対してもメッセージの表示が行われるので、メッセージが不要なユーザにとっては、不要なメッセージの表示により表示領域が少なくなって作業効率が低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ファイルに関するメッセージをそのファイルを印刷しようとするユーザに確実に伝達することのできる印刷管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]ファイルに対応付けてメッセージを登録するメッセージ登録部と、
印刷対象に選択されたファイルに対応付けて前記メッセージ登録部に登録されているメッセージを、前記選択したユーザに通知するメッセージ通知部と、
を有する
ことを特徴とする印刷管理システム。
【0012】
上記発明では、ファイルに対応付けてメッセージを登録しておくと、ユーザがそのファイルを印刷しようとした際に、そのユーザに対してそのファイルに対応付けて登録されているメッセージが通知される。たとえば、ユーザが端末装置から印刷対象のファイルを選択して印刷指示を行うと、そのファイルに対応付けられているメッセージが該印刷指示を行ったユーザ(印刷依頼ユーザ)の端末装置の表示画面に表示される。なお、メッセージの通知は表示に限定されず、音声でメッセージを読み上げる方法でもよい。メッセージの登録は、ファイルの印刷時に行うようにしてもよいし、印刷とは別の独立した任意のタイミングで登録可能にしてもよい。
【0013】
[2]前記メッセージ登録部は、ファイルの印刷が実行された場合に、そのファイルに対応付けて、メッセージを登録する
ことを特徴とする[1]に記載の印刷管理システム。
【0014】
上記発明では、ファイルを印刷したとき、そのファイルに関するメッセージを登録する。たとえば、「会議資料として10部印刷済み」などのメッセージをその印刷時に登録することができる。
【0015】
[3]前記メッセージ通知部は、印刷対象に選択されたファイルと、前記メッセージ登録部に登録されているメッセージが対応付けされているファイルとの一致を、少なくともファイル名とファイルの更新日時とに基づいて判断する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の印刷管理システム。
【0016】
上記発明では、ファイル名と更新日時に基づいて、ファイルの一致を判断する。バージョン毎に別のメッセージを登録・表示することができる。
【0017】
[4]メッセージの通知対象となるユーザを登録するユーザ登録部をさらに備え、
前記メッセージ通知部は、前記選択したユーザが前記ユーザ登録部に登録されているユーザの場合に、前記通知を行う
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の印刷管理システム。
【0018】
上記発明では、メッセージの通知対象のユーザを限定することができる。通知対象のユーザは、ファイル毎に登録可能としてもよいし、メッセージを登録したユーザ毎に登録可能にしてもよい。また、印刷管理システム単位でもかまわない。
【0019】
[5]前記メッセージ通知部は、前記選択したユーザと、前記ユーザ登録部に登録されているユーザとの一致を、ユーザが使用する端末装置のネットワークアドレス、もしくは、端末装置へのログインIDに基づいて判断する
ことを特徴とする[4]に記載の印刷管理システム。
【0020】
[6]前記通知後に、前記選択されたファイルの印刷開始またはキャンセルの指示を受け付ける
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の印刷管理システム。
【0021】
上記発明では、印刷対象のファイルに対応付けされているメッセージを表示する場合は、そのメッセージを表示してから印刷の開始、キャンセルの選択操作を受ける。これにより、ユーザは、印刷しようとしたファイルに対応付けて登録されているメッセージを見て、この印刷を実行するか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る印刷管理システムによれば、ファイルに関するメッセージをそのファイルを印刷しようとするユーザに伝達することができ、たとえば、重複印刷や旧バージョンのファイルの印刷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷管理システムの構成例を示す説明図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】メッセージ管理テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】ユーザ管理テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】印刷管理システムの端末装置、画像形成装置が有する各機能およびデータの流れを示す説明図である。
【図7】印刷管理システムの印刷する際の処理シーケンスを示す流れ図である。
【図8】メッセージや伝言ユーザを設定する入力設定画面の一例を示す正面図である。
【図9】ファイル判定処理(図7のステップS201)の詳細を示す流れ図である。
【図10】ユーザ判定処理(図7のステップS203)の詳細を示す流れ図である。
【図11】メッセージ画面の一例を示す正面図である。
【図12】印刷とは別の独立した任意のタイミングでメッセージを登録する場合の処理シーケンスを示す流れ図である。
【図13】プリントサーバを設けた場合の印刷管理システムの構成例を示す説明図である。
【図14】複数の画像形成装置の中の1台がメッセージ管理テーブルやユーザ管理テーブルを一元管理する場合の印刷管理システムの構成例を示す説明図である。
【図15】ドキュメント管理装置にメッセージ管理テーブルやユーザ管理テーブルを保存する場合の印刷管理システムの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷管理システム5の構成例を示している。印刷管理システム5は、1または2以上の端末装置30と、端末装置30から受信した印刷データに基づく印刷などを行う画像形成装置10とから構成され、これらはLAN(Local Area Network)などのネットワーク2を介して通信可能に接続されている。
【0026】
印刷管理システム5では、ファイルに対応付けてメッセージを登録したメッセージ管理テーブル50を画像形成装置10などに保持し、画像形成装置10に対して端末装置30からファイルの印刷を行う際に、その印刷対象に選択されたファイルに対応付けされたメッセージがメッセージ管理テーブル50に登録されているか否かを調べ、登録されている場合はそのメッセージを端末装置30に表示する、機能を備えている。
【0027】
図2は、画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、端末装置30(以後、クライアントPCとも呼ぶ)から受信したデータに基づいて記録紙に画像形成(印刷)して出力するPCプリント機能を有するプリンタや複合機である。本例では、画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へ送信したりするスキャンジョブ、端末装置30から受信した印刷データに係る画像を記録紙上に形成して印刷出力するPCプリントジョブなどのジョブを実行する機能を備えた複合機となっている。
【0028】
画像形成装置10は、当該画像形成装置10の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11と、このCPU11に接続されたROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、スキャナ部14と、プリンタ部15と、表示部16と、操作部17と、画像処理部18と、ハードディスク装置19と、不揮発メモリ21と、ネットワークI/F部22とを備えている。
【0029】
CPU11ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM12には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することでジョブの実行など画像形成装置10の各機能が実現される。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。なお、その他の必要なプログラムはハードディスク装置19からRAM13にロードされて実行される。
【0030】
スキャナ部14は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。スキャナ部14は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサ、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段(モータなどを含む)と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0031】
プリンタ部15は、画像データに応じた画像を記録紙上に形成して出力する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザユニットと、現像装置と、転写装置と、分離装置と、クリーニング装置と、定着部とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。
【0032】
画像形成装置10の操作パネルは表示部16と操作部17を備えて構成される。表示部16は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。操作部17は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部17は、表示部16の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほかテンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0033】
画像処理部18は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0034】
ハードディスク装置19は、大容量不揮発の記憶装置であり、プログラムのほか、たとえば、印刷データや画像データ、ジョブ履歴の保存などに使用される。またメッセージ管理テーブル50や後述するユーザ管理テーブル60などもハードディスク装置19に保存される。不揮発メモリ21は、電源がオフされても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。
【0035】
ネットワークI/F部22は、ネットワーク2を通じて端末装置30やその他の画像形成装置10や外部装置、サーバなどとの間でデータを送受信して通信する機能を果たす。
【0036】
図3は、端末装置30(クライアントPC)の概略構成の一例を示している。端末装置30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、入出力I/F部34と、不揮発メモリ37と、ハードディスク装置38と、ネットワークI/F部39とを備えている。さらに入出力I/F部34を介して、キーボードやマウスなどの入力デバイス35と、液晶ディスプレイなどの表示装置36が接続されている。
【0037】
ROM32には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM33には、ハードディスク装置38からロードしたプログラムが記憶される。またRAM33は、CPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0038】
不揮発メモリ37は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)である。ハードディスク装置38は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや画像処理装置10のドライバプログラム、ミドルウェア、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0039】
ネットワークI/F部39は、LANなどのネットワーク2を介して画像形成装置10や他の端末装置30や外部装置、サーバなどと通信する機能を果たす。
【0040】
図4は、メッセージ管理テーブル50の一例を示している。メッセージ管理テーブル50には、ファイルを特定するための情報(ファイル情報)に対応付けてメッセージが登録される。メッセージはユーザが任意に入力して指定するほか、たとえば、予め用意された複数種類の規定メッセージの中から選択する方法で指定するようになっている。ファイルを特定するためのファイル情報は、ファイル名と、タイムスタンプ(更新日時)で構成される。
【0041】
図4では、メッセージ管理テーブル50に、2つのメッセージがそれぞれ個別のファイルに対応付けて登録されている例を示している。メッセージ管理テーブル50には、任意数のメッセージを登録することができる。
【0042】
図5は、ユーザ管理テーブル60の一例を示している。ユーザ管理テーブル60には、メッセージの通知対象のユーザが登録される。ユーザ管理テーブル60は、ユーザを一意に特定する情報として、ユーザIDとそのユーザが使用する端末装置30のIP(Internet Protocol)アドレスとが対応付けて登録されている。ユーザを特定する情報は、たとえば、ユーザのログインIDなどでもかまわない。なお、ここでは、ユーザ管理テーブル60は、ファイル毎に作成されて登録されるものとし、対応するファイルに紐付けされているものとする。たとえば、ファイル情報をキーに紐付けすればよい。
【0043】
次に、印刷管理システム5の動作について説明する。
【0044】
図6は印刷管理システム5の端末装置30、画像形成装置10が有する各機能およびデータの流れを示し、図7は印刷管理システム5における印刷処理の流れを示している。
【0045】
まず、端末装置30において、印刷対象のファイルが選択され、さらに、ユーザが希望する場合は、そのファイルに対応付けるメッセージの入力、およびこのメッセージの通知対象となるユーザ(伝言ユーザ)を特定する情報の入力などが行われる(図6:機能F1、図7ステップS101)。メッセージや伝言ユーザを特定する情報(伝言ユーザ情報)の入力は、端末装置30にインストールされている画像形成装置10のドライバプログラムが端末装置30の表示装置36に表示する図8に示すような入力設定画面70を通じて行われる。伝言ユーザ情報の入力内容は端末装置30側に保存され、次回の入力設定画面70にデフォルト表示されるようになっている。
【0046】
次に、端末装置30において印刷指示を受けると(図7:ステップS102)、端末装置30は印刷対象に選択されているファイルを特定するファイル情報(ファイル名、タイムスタンプ)、当該端末装置30を使用中のユーザ(印刷指示を行ったユーザ:印刷依頼ユーザとする)を特定する情報(たとえば、ユーザIDや当該端末装置30のIPアドレス)を画像形成装置10へ送信する(図6:機能F2、図7;ステップS103)。
【0047】
これらを受信した画像形成装置10は、ファイル情報によって特定されるファイルがメッセージの表示対象のファイルか否かを調べる(図6:機能G1、図7:ステップS201)。
【0048】
図9は、図7のステップS201(ファイル判定処理)の詳細を示している。端末装置30から受信したファイル情報を読み込み(ステップS241)、そのファイル情報でメッセージ管理テーブル50を検索する(ステップS242)。受信したファイル情報のファイル名と一致し(ステップS243;Yes)、かつ受信したファイル情報が示すタイムスタンプと一致するファイル情報がメッセージ管理テーブル50に登録されている場合は(ステップS244;Yes)、受信したファイル情報によって特定されたファイル(印刷対象に選択されたファイル)はメッセージ表示対象のファイルであると判断する(ステップS246、リターン)。
【0049】
ファイル名、タイムスタンプのいずれか1つでも一致しない場合は(ステップS243;No、またはステップS244;No)、受信したファイル情報によって特定されたファイルはメッセージ表示対象のファイルでないと判断する(ステップS245、リターン)。
【0050】
図7に戻って説明を続ける。画像形成装置10は、印刷対象に選択されたファイルがメッセージ表示対象のファイルでない場合は(ステップS202;No)、ステップS205へ移行する。印刷対象に選択されたファイルがメッセージ表示対象のファイルである場合は(ステップS202;Yes)、端末装置30から受信した情報の示す印刷依頼ユーザが、ユーザ管理テーブル60に登録されているメッセージ表示対象のユーザか否かを調べる(図6:機能G2、図7:ステップS203)。
【0051】
図10は、図7のステップS203(ユーザ判定処理)の詳細を示している。端末装置30から受信した印刷依頼ユーザを示す情報を読み込み(ステップS251)、該印刷依頼ユーザでユーザ管理テーブル60を検索する(ステップS252)。検索対象のユーザ管理テーブル60は、印刷対象のファイル(端末装置30から受信したファイル情報が示すファイル)に紐付けされているものである。
【0052】
印刷依頼ユーザと一致するユーザがユーザ管理テーブル60に登録されている場合(ステップS253;Yes)、今回の印刷依頼ユーザをメッセージ表示対象のユーザと判断する(ステップS255、リターン)。印刷依頼ユーザと一致するユーザがユーザ管理テーブル60に登録されていない場合は(ステップS253;No)、今回の印刷依頼ユーザはメッセージ表示対象のユーザでないと判断する(ステップS254、リターン)。たとえば、印刷依頼ユーザを特定する情報が端末装置30のIPアドレスである場合、ユーザ管理テーブル60にそのIPアドレスが登録してあれば、メッセージ表示対象のユーザであると判断し、登録されてなければメッセージ表示対象のユーザでないと判断する。
【0053】
図7に戻って説明を続ける。画像形成装置10は、印刷依頼ユーザがメッセージ表示対象のユーザでない場合は(ステップS204;No)、ステップS205へ移行する。ステップS205では、端末装置30に対して、印刷継続指示(メッセージ表示などを行わずにそのまま印刷を開始する指示)を送信する。
【0054】
メッセージ表示対象のユーザである場合は(ステップS204;Yes)、端末装置30から受信したファイル情報と一致するファイル情報に対応付けてメッセージ管理テーブル50に登録されているメッセージをメッセージ管理テーブル50から読み出し、該メッセージとその表示指示とを端末装置30に送信する(ステップS206)。
【0055】
メッセージとその表示指示とを画像形成装置10から受信した端末装置30は、受信したメッセージを表示装置36に表示し(ステップS104)、印刷を継続するか否かの選択を受け付ける(図6:機能F3、図7ステップS105)。たとえば、図11に示すようなメッセージ画面80を表示する。メッセージ画面80の下部には、画像形成装置10から受信したメッセージが表示される。また、メッセージ画面80には、印刷の実行を選択するための「はい」釦81と、印刷のキャンセルを選択するための「いいえ」釦82が表示される。
【0056】
端末装置30は、印刷のキャンセルが選択された場合は(図7:ステップS106;No)、今回の印刷指示をキャンセルして印刷中止する。
【0057】
印刷の実行が選択された場合は(ステップS106;Yes)、印刷対象に選択されているファイルの印刷データと、ステップS101において入力されたメッセージがあれば、メッセージの登録情報(登録するメッセージ本文と、伝言ユーザ情報と、印刷対象ファイルを特定するファイル情報)を画像形成装置10へ送信(印刷ジョブを送信)する(図6:機能F4、図7:ステップS107)。なお、伝言ユーザ情報を別途のタイミング(印刷時以外の適宜のタイミング)で登録する構成の場合は、伝言ユーザ情報は印刷データと共に送信する登録情報に含めなくてもよい。
【0058】
画像形成装置10は上記印刷ジョブを端末装置30から受信する(図6:機能G3、図7:ステップS210)。画像形成装置10は、受信した印刷ジョブの中にメッセージの登録情報が含まれていない場合は(S211、ステップS212;No)、受信した印刷データに基づく印刷を行って(図6:機能G5,図7:ステップS215)処理を終了する。
【0059】
受信した印刷ジョブの中にメッセージの登録情報が含まれている場合は(ステップS211、S212;Yes)、その登録情報に基づいて、メッセージをメッセージ管理テーブル50に登録する(図6:機能G4、図7:ステップS213)。すなわち、受信したファイル情報に対応付けて、受信したメッセージをメッセージ管理テーブル50に登録する。また、受信した登録情報の中に伝言ユーザ情報が含まれている場合はその伝言ユーザ情報を該当するユーザ管理テーブル60に登録する(ステップS214)。そして、受信した印刷データに基づく印刷を行って(図6:機能G5,図7:ステップS215)処理を終了する。
【0060】
このように、端末装置30から画像形成装置10に対して印刷を依頼する際に、その印刷対象のファイルに対応付けされているメッセージを該ファイルの印刷依頼ユーザに通知(メッセージを表示)するので、ファイルに対応付けて登録しておいたメッセージを、そのファイルを印刷しようとするユーザに確実に伝えることができる。
【0061】
次に、印刷の際とは別の独立した任意のタイミングでメッセージを登録する機能について説明する。
【0062】
図12は、印刷とは別の独立した任意のタイミングでメッセージを登録する場合における印刷管理システム5の動作を示している。端末装置30(特に画像形成装置10のドライバプログラム)は、所定のメッセージ登録画面にて、ファイルの選択を受け付け、さらにそのファイルに対応付けるメッセージの入力、およびこのメッセージの通知対象となるユーザ(伝言ユーザ情報)の入力などを受ける(図6:機能F5、図12:ステップS301)。
【0063】
その後、登録指示を受けると(ステップS302)、端末装置30は、ステップS301で入力された登録情報(メッセージ本文と、伝言ユーザ情報と、選択されたファイルのファイル情報)を画像形成装置10へ送信する(図6:機能F5、図12:ステップS303)。なお、伝言ユーザ情報を別途登録しておく構成の場合、伝言ユーザ情報は今回送信する登録情報に含めなくてもよい。
【0064】
画像形成装置10は上記登録情報を端末装置30から受信し(ステップS401)、その受信した登録情報に基づいて、メッセージをメッセージ管理テーブル50に登録する(ステップS402)。また、受信した情報の中に伝言ユーザ情報が含まれている場合はその伝言ユーザ情報をユーザ管理テーブル60に登録して(ステップS403)処理を終了する。
【0065】
このように、印刷とは別の独立したタイミングでメッセージを登録することができるので、たとえば、ファイルのバージョンを更新した場合などに、更新したこと示すメッセージを、更新前のファイルに対応付けて登録することができる。この登録を行っておけば、誰かが更新前のファイルを印刷しようとしたとき、ファイルが更新されている旨のメッセージを警告として表示することができる。
【0066】
なお、本発明の印刷管理システムの構成は図1に示すものに限定されない。図13はプリントサーバ91を設けた場合の印刷管理システム5Bの構成例を示している。プリントサーバ91は、メッセージの登録・表示に関して図1の印刷管理システム5の画像形成装置10が備えていた全ての機能を、すなわち、図6の機能G1、G2、G3、G4を備えたコンピュータ装置である。メッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60はプリントサーバ91に作成・保存される。端末装置30は、図1の構成で画像形成装置10に対して行っていた動作を全てプリントサーバ91に対して行う。プリントサーバ91は、図6の機能5に相当する機能として、端末装置30から受信した印刷データを画像形成装置10へ送信する。
【0067】
この場合、メッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60をプリントサーバ91が一元管理するので、端末装置30から指定した画像形成装置10がどの装置であっても、メッセージの登録・表示を行うことができる。たとえば、端末装置30(a)のユーザAがファイルabcを画像形成装置10(a)で印刷した際にそのファイルにメッセージを登録した場合において、ユーザBが端末装置30(b)からそのファイルabcを印刷しようとしたとき、ファイルabcに対応付けされたメッセージがユーザBの端末装置30(b)に表示される。
【0068】
図14は、複数の画像形成装置10の中の1台がメッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60を一元管理する場合の印刷管理システム5Cの構成例を示している。たとえば、マスタの画像形成装置10(c)は、印刷管理システム5bにおけるプリントサーバ91の機能を有している。
【0069】
図15は、ドキュメント管理装置93にメッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60を保存する場合の印刷管理システム5Dの構成例を示している。印刷管理システム5Dでは、ドキュメント管理装置93は、メッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60の記憶場所として利用される。
【0070】
印刷管理システム5Dの端末装置30は、ドキュメント管理装置93内のメッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60のアドレスを認識しており、これらに直接アクセスして、印刷対象に選択されたファイルに対応するメッセージが存在するか否かを調べ、存在する場合はメッセージ画面80を表示する等を行う。すなわち、図7において画像形成装置10が行っていた処理のうち、ステップS201からS206の処理を端末装置30側のドライバプログラム(画像形成装置10用のドライバプログラム)が行う。
【0071】
画像形成装置10もドキュメント管理装置93内のメッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60のアドレスを認識しており、これらにアクセスして書き込み・更新を行う。すなわち、画像形成装置10は、図7のステップS210からS215の処理を担当する。
【0072】
印刷管理システム5Dにおいてもメッセージ管理テーブル50やユーザ管理テーブル60は複数の画像形成装置10に対して1つであり、一元管理することができる。すなわち、どの端末装置30からどの画像形成装置10に対して印刷を行う場合にも、印刷対象のファイルに対応付けてメッセージを登録し、また表示することができる。
【0073】
なお、印刷管理システム5Dにおいて、メッセージの登録に関する処理についても、端末装置30側のドライバプログラムが行うように構成されてもよい。
【0074】
このように、本発明の印刷管理システムは各種のシステム構成をとることができ、いずれのシステム構成においても、ファイルに対応付けてメッセージを登録しておけば、そのファイルの印刷が行われる際に(印刷開始前)に該印刷を指示した印刷依頼ユーザにそのメッセージを通知することができる。これにより、会議資料などのファイルを印刷した場合、印刷済みである旨のメッセージをそのファイルに対応付けて登録しておけば、他の出席者や主催者の誰かがそのファイルを印刷しようとした際に、「印刷済み」であることを示すメッセージが表示されるので、既に印刷されていることに気付かずに重複印刷してしまうことが防止される。
【0075】
また、会議資料などのファイルを更新した場合に、旧バージョンのファイルにバージョンアップ版が存在することをメッセージとして登録すれば、誰かが旧バージョンのファイルを印刷しようとした際にバージョンアップ版が存在する旨のメッセージが表示されるので、旧バージョンを誤って印刷出力してしまうことが防止される。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0077】
実施の形態では、ファイルの一致確認を、ファイル名とタイムスタンプで行うようにしたが、ファイル名のみで行うようにしてもよい。この場合、更新版を印刷した際にそのファイルに「更新済み」であるメッセージを登録しておけば、誰かが旧バージョンのファイルを印刷しようとした際にも「更新済み」のメッセージが表示される。
【0078】
また、ファイルとメッセージとの対応付けは、ファイルの実体にメッセージを直接対応付けるようにしてもよい。たとえば、メッセージ管理テーブル50のファイル情報の部分にファイルの実体を保存してメッセージとの対応付けを行う構成でもかまわない。
【0079】
実施の形態では、ユーザ管理テーブル60に登録されているユーザにのみメッセージを通知するようにしたが、すべてのユーザに通知する構成でもかまわない。
【0080】
また、実施の形態ではユーザ管理テーブル60をファイル毎に個別に設けるようにしたが、たとえば、端末装置30毎にユーザ管理テーブル60を設ける構成でもよい。この場合、メッセージを登録する際に、ファイル情報およびメッセージに対応付けて、このメッセージを登録した端末装置30の識別情報(たとえばIPアドレス)をメッセージ管理テーブル50に登録する。また、ユーザ管理テーブル60は端末装置30毎(IPアドレス毎)に作成する。そして、あるファイルを印刷する際に、そのファイルに対応付けされたメッセージがメッセージ管理テーブル50に登録されている場合、そのファイル情報およびメッセージに対応付けてメッセージ管理テーブル50に登録されているIPアドレス(端末装置30の識別情報)をキーにして対応するユーザ管理テーブル60を特定し、これを参照して印刷依頼ユーザが伝言ユーザか否かを判定するようにすればよい。
【0081】
また、印刷管理システム単位にユーザ管理テーブル60を設ける構成でもかまわない。
【0082】
なお、印刷管理システム単位あるいは端末装置30毎にユーザ管理テーブル60を設ける場合、伝言ユーザ情報の登録処理は、ファイルを印刷するときに行う必要はなく、別途の任意のタイミングで行うようにすればよい。すなわち、伝言ユーザ情報の入力・登録のみを行うように図12に示す処理を変形したものを登録処理として設ければよい。
【0083】
実施の形態では画像形成装置10が複合機の場合を例に説明したが、端末装置からPCプリントジョブを受信して実行する装置であればよく、ネットワーク接続可能なプリンタなどでもかまわない。
【符号の説明】
【0084】
2…ネットワーク
5、5B、5C、5D…印刷管理システム
10…画像形成装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…スキャナ部
15…プリンタ部
16…表示部
17…操作部
18…画像処理部
19…ハードディスク装置(HDD)
21…不揮発メモリ
22…ネットワークI/F部
30…端末装置(クライアントPC)
31…CPU
32…ROM
33…RAM
34…入出力I/F部
35…入力デバイス
36…表示装置
37…不揮発メモリ
38…ハードディスク装置(HDD)
39…ネットワークI/F部
50…メッセージ管理テーブル
60…ユーザ管理テーブル
70…入力設定画面
80…メッセージ画面
81…「はい」釦
82…「いいえ」釦
91…プリントサーバ
93…ドキュメント管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルに対応付けてメッセージを登録するメッセージ登録部と、
印刷対象に選択されたファイルに対応付けて前記メッセージ登録部に登録されているメッセージを、前記選択したユーザに通知するメッセージ通知部と、
を有する
ことを特徴とする印刷管理システム。
【請求項2】
前記メッセージ登録部は、ファイルの印刷が実行された場合に、そのファイルに対応付けて、メッセージを登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷管理システム。
【請求項3】
前記メッセージ通知部は、印刷対象に選択されたファイルと、前記メッセージ登録部に登録されているメッセージが対応付けされているファイルとの一致を、少なくともファイル名とファイルの更新日時とに基づいて判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷管理システム。
【請求項4】
メッセージの通知対象となるユーザを登録するユーザ登録部をさらに備え、
前記メッセージ通知部は、前記選択したユーザが前記ユーザ登録部に登録されているユーザの場合に、前記通知を行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の印刷管理システム。
【請求項5】
前記メッセージ通知部は、前記選択したユーザと、前記ユーザ登録部に登録されているユーザとの一致を、ユーザが使用する端末装置のネットワークアドレス、もしくは、端末装置へのログインIDに基づいて判断する
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷管理システム。
【請求項6】
前記通知後に、前記選択されたファイルの印刷開始またはキャンセルの指示を受け付ける
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の印刷管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−53825(P2012−53825A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197675(P2010−197675)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】