説明

印刷管理装置

【課題】 個々のネットワークプリンタがユーザ認証機能および課金計算管理機能を備えなくてもネットワーク印刷サービスシステムを構築でき、かつジョブ実行に対する課金にネットワーク資源の使用状況を正確に反映させることができるようにする。
【解決手段】 ジョブ発行装置2が接続されるパブリックネットワーク1と、プリンタ4が接続されるローカルネットワーク3との間に、印刷管理装置10を接続する。印刷管理装置10のジョブ受信解析部12では、ジョブ発行装置2からの、印刷データに対してユーザ識別情報が付加されたジョブから、そのユーザ識別情報を抽出する。認証部13では、そのユーザ識別情報が識別情報管理部11に登録されたものであるか否かを判断し、登録されたものであるときにのみ、データ送信部14がジョブ受信解析部12からの印刷データをプリンタ4に送信する。このとき、課金計算部15はローカルネットワーク3に送信されるデータのデータ量を課金情報として計算する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ジョブ発行装置、およびそのジョブ発行装置からのジョブにより印刷を行うプリンタが、ネットワーク上に接続されたネットワーク印刷システムにおいて、ジョブ発行装置からのジョブを受け付けるとともに、それに対してジョブ発行者に料金を課する印刷管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クライアント側のジョブ発行装置とサーバ側のプリンタがネットワーク上に接続されて、サーバ側でクライアント側からのジョブを受け付けて印刷を行うとともに、クライアントに対してジョブ実行ごとに料金を課するネットワーク印刷サービスシステムが考えられている。
【0003】また、このようなネットワーク印刷サービスシステムを含めて、一般にプリンタや複写機で印刷や複写を行った場合に、ユーザに対して課金をするときの課金対象としては、使用した用紙のサイズや、印刷または複写をした枚数などが考慮されている。
【0004】しかし、プリンタや複写機の実際上の負荷を考えるならば、用紙のサイズや使用枚数だけでなく、印刷や複写の処理に要した時間も、または用紙のサイズや使用枚数に代えて、印刷や複写の処理に要した時間が、課金対象として考慮されてしかるべきである。
【0005】そこで、特開平5−108961号では、印刷データからイメージデータを形成して印刷を行うプリンタで、イメージデータの形成に要した時間も課金対象として考慮することが示されている。
【0006】さらに、一般にシステムの使用に係る料金を、システムの使用後に、または使用前に、システムのユーザに通知することが知られている。
【0007】例えば、特開平3−270470号には、ファクシミリ装置で、送信後に通信料金を表示し、さらに、そのユーザごとの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えたときには、次の送信時に、その旨を表示して送信を禁止する考えが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなネットワーク印刷サービスシステムのサーバ側には、印刷要求をしたクライアントがクライアントとして登録された者であるか否かを判断して、登録された者であるときにのみ、その印刷要求を受け付けるユーザ認証機能と、ジョブに課する料金を計算して、管理者が必要に応じて随時、ユーザまたはそのユーザが属するグループごとの累計料金を算出することのできる課金計算管理機能とが必要となる。
【0009】しかしながら、既存のネットワークプリンタの多くは、このようなユーザ認証機能および課金計算管理機能を備えていない。また、上記のようなネットワーク印刷サービスシステムで、ネットワーク上に接続されるすべてのプリンタに、このような機能を持たせるとすると、ネットワーク印刷サービスシステム全体が非常に高価なものとなる。
【0010】そこで、この発明の第1の目的は、個々のネットワークプリンタがユーザ認証機能および課金計算管理機能を備えなくても上記のようなネットワーク印刷サービスシステムを構築することができるようにすることにある。
【0011】また、印刷データからイメージデータを形成するのに要する時間は、同じ内容の印刷データでも、プリンタのハードウエア構成によって大きく異なる。したがって、イメージデータの形成に要した時間をそのまま直接、課金対象とするのは、合理的でない。
【0012】上記のようなネットワーク印刷サービスシステムで合理的な課金をするには、印刷対象メディアや印刷時間などよりも、ネットワーク資源の使用状況が考慮されてしかるべきである。
【0013】そこで、この発明の第2の目的は、上記のようなネットワーク印刷サービスシステムで、ジョブ実行に対する課金にネットワーク資源の使用状況を正確に反映させることができるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】図1および図2に示して後述する実施形態の参照符号を各手段のあとの括弧内に引用すると、請求項1の発明では、印刷管理装置(10)を、ジョブ発行装置(2)が接続される第1のネットワーク(1)と、プリンタ(4)が接続される第2のネットワーク(3)との間に接続し、ユーザ識別情報を登録した識別情報管理部(11)と、上記ジョブ発行装置(2)からの、印刷データに対してユーザ識別情報が付加されたジョブから、そのユーザ識別情報を抽出するジョブ受信解析部(12)と、このジョブ受信解析部(12)からのユーザ識別情報が上記識別情報管理部(11)に登録されたものであるか否かを判断する認証部(13)と、この認証部(13)によって上記ジョブ受信解析部(12)からのユーザ識別情報が上記識別情報管理部(11)に登録されたものであるとされたときにのみ、上記ジョブ受信解析部(12)からの印刷データを上記プリンタ(4)に送信するデータ送信部(14)と、このデータ送信部(14)によって上記プリンタ(4)に印刷データが送信されたとき、当該ジョブに課する料金を計算して、その計算結果を登録する課金計算管理部(15,16)と、を備えるものとする。
【0015】請求項2の発明では、請求項1の発明の印刷管理装置(10)において、上記課金計算管理部(15,16)は、上記データ送信部(14)を通過するデータのデータ量に応じて当該ジョブに課する料金を算出するものとする。
【0016】
【作用】上記のように構成した請求項1の発明の印刷管理装置(10)においては、第1のネットワーク(1)上のジョブ発行装置(2)からのジョブが、当該印刷管理装置(10)のジョブ受信解析部(12)により受信解析されて、ジョブ中のユーザ識別情報が抽出され、当該印刷管理装置(10)の認証部(13)において、そのユーザ識別情報が当該印刷管理装置(10)の識別情報管理部(11)に登録されたものであるか否かが判断されて、登録されたものであるときにのみ、ジョブ受信解析部(12)からの印刷データが、当該印刷管理装置(10)のデータ送信部(14)により第2のネットワーク(3)上のプリンタ(4)に送信されて、第2のネットワーク(3)上のプリンタ(4)において印刷がなされる。
【0017】また、データ送信部(14)によって第2のネットワーク(3)上のプリンタ(4)に印刷データが送信されたとき、当該印刷管理装置(10)の課金計算管理部(15,16)において、当該ジョブに課する料金が計算され、その計算結果が登録される。
【0018】すなわち、印刷要求をした者がユーザとして登録された者であるか否かを判断して、登録された者であるときにのみ、その印刷要求を受け付けるユーザ認証機能と、ジョブに課する料金を計算して、管理者が必要に応じて随時、ユーザまたはそのユーザが属するグループごとの累計料金を算出することのできる課金計算管理機能は、いずれも、ジョブ発行装置(2)側の第1のネットワーク(1)とプリンタ(4)側の第2のネットワーク(3)との間に接続された、請求項1の発明の印刷管理装置(10)が備え、第2のネットワーク(3)上の個々のプリンタ(4)は備える必要がない。
【0019】上記のように構成した請求項2の発明の印刷管理装置(10)においては、当該印刷管理装置(10)の課金計算管理部(15,16)において、データ送信部(14)から第2のネットワーク(3)上に送信されるデータのデータ量に応じて当該ジョブに課する料金が算出されるので、ジョブ実行に対する課金にネットワーク資源の使用状況が正確に反映され、合理的な課金がなされる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の印刷管理装置を備えるネットワーク印刷サービスシステムの一例のシステム構成を示し、パブリックネットワーク1上にジョブ発行装置2が複数接続され、そのパブリックネットワーク1に対して、それぞれ印刷管理装置10を介してローカルネットワーク3が複数接続され、それぞれのローカルネットワーク3上にプリンタ4がそれぞれ複数接続されたものである。
【0021】パブリックネットワーク1およびローカルネットワーク3としては、それぞれイーサネット(Ethernet:Xerox社等の登録商標)などのLAN(ローカルエリアネットワーク)が用いられる。
【0022】ジョブ発行装置2は、それぞれパーソナルコンピュータやワークステーションなどからなり、パブリックネットワーク1を通じて印刷管理装置10に印刷ジョブを発行するものである。
【0023】そのジョブは、例えばポストスクリプト(PostScript:AdobeSystems社の登録商標)などのページ記述言語で表現された印刷データに対して、当該ジョブを発行するユーザの識別コードと、送信元アドレスおよび送信先アドレスが付加されたものである。
【0024】送信元アドレスは、当該ジョブを発行するパブリックネットワーク1上のジョブ発行装置2を示し、送信先アドレスは、当該ジョブの印刷データによって印刷を行うべきローカルネットワーク3上のプリンタ4を指示するものである。
【0025】プリンタ4は、それぞれ、それが接続されたローカルネットワーク3に接続された印刷管理装置10から後述するように送信された印刷データによって印刷を行うものである。
【0026】図2は、それぞれの印刷管理装置10の一例を示し、この例の印刷管理装置10は、識別情報管理部11、ジョブ受信解析部12、認証部13、データ送信部14、課金計算部15、課金情報管理部16、識別情報更新部17、拒否メッセージ生成送信部18、課金集計部21、表示装置部22および印刷データ生成部23を備えて構成される。
【0027】識別情報管理部11は、当該印刷管理装置10側のプリンタ4によって印刷することが許可された者のユーザ識別コードが、管理者によってあらかじめ登録される管理データベースで、そのユーザ識別コードは、管理者の操作にもとづいて、識別情報更新部17により適宜、追加登録または削除される。
【0028】なお、同一のユーザのユーザ識別コードが図1のネットワーク印刷サービスシステムの両側の印刷管理装置10の識別情報管理部11に登録されることも可能である。
【0029】ジョブ受信解析部12は、ジョブ発行装置2からパブリックネットワーク1を通じて印刷管理装置10に送信されたジョブを受信して、受信バァファに格納するとともに、そのジョブを解析して、上記の印刷データ、ユーザ識別コード、送信元アドレスおよび送信先アドレスを抽出する。
【0030】認証部13は、このジョブ受信解析部12からのユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものであるか否かを判断して、登録されたものでないときには、後述するようにジョブの受け付けを拒否するとともに、登録されたものであるときには、さらに課金情報管理部16からの課金情報によって、そのユーザまたはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えているか否かを判断して、限度額を超えているときには、やはりジョブの受け付けを拒否するとともに、限度額を超えていないときには、最終的にジョブを受け付けるものである。
【0031】データ送信部14は、このように認証部13によってジョブが受け付けられたときに、ジョブ受信解析部12からの印刷データをルーティングして、ローカルネットワーク3を通じて、ジョブ受信解析部12からの送信先アドレスで指示されたプリンタ4に送信するものである。
【0032】課金計算部15は、このデータ送信部14によってプリンタ4にデータが送信されたとき、当該ジョブに課する料金を計算して、その計算結果をユーザ識別コードで示されるユーザごとに課金情報管理部16に登録するものである。
【0033】この場合、課金計算部15は、データ送信部14からローカルネットワーク3上に送信されるデータのデータ量を計測し、その計測結果からあらかじめ定められた算出式により算出した値を、当該ジョブに課する料金とする。
【0034】課金情報管理部16は、このように課金計算部15で得られた課金情報が、識別情報管理部11に登録されたユーザごとに登録される管理データベースである。
【0035】拒否メッセージ生成送信部18は、上記のようにジョブ受信解析部12からのユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものでないために、またはユーザもしくはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えているために、認証部13がジョブの受け付けを拒否するとき、その旨のメッセージを生成して、パブリックネットワーク1を通じて、ジョブ受信解析部12からの送信元アドレスに示されたジョブ発行装置2に送信するものである。
【0036】課金集計部21は、管理者の必要に応じた操作にもとづいて、課金情報管理部16からの課金情報によって、識別情報管理部11に登録されたユーザ、またはそのユーザが属するグループごとに、累計料金またはジョブごとの料金と累計料金を算出し、その算出結果を表示装置部22に供給して表示させるものである。
【0037】印刷データ生成部23は、管理者の必要に応じた操作にもとづいて、課金集計部21からの上記の算出結果を印刷データに変換してデータ送信部14に送出するもので、これにより、その印刷データがデータ送信部14からローカルネットワーク3を通じてプリンタ4に送信されて印字出力される。
【0038】図3は、上記の印刷管理装置10が行うジョブ処理ルーチンの一例を示し、そのジョブ処理ルーチン100は、ジョブ受信解析部12がジョブ発行装置2からのジョブを受信して受信バァファに格納することによって開始して、まずステップ101において、ジョブ受信解析部12がジョブを解析してユーザ識別コードを抽出し、次にステップ102において、認証部13が識別情報管理部11を参照し、さらにステップ103に進んで、認証部13がジョブ受信解析部12からのユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものであるか否かを判断する。
【0039】そして、ジョブ受信解析部12からのユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものであるときには、ステップ103からステップ104に進んで、認証部13が課金情報管理部16を参照し、さらにステップ105に進んで、認証部13が、そのユーザまたはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えているか否かを判断する。
【0040】そして、そのユーザまたはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えていないときには、当該ジョブを受け付けるものとして、ステップ105からステップ106に進んで、ジョブ受信解析部12が送信先アドレスを抽出する。
【0041】次に、ステップ107に進んで、データ送信部14がジョブ受信解析部12からの印刷データをルーティングし、さらにステップ108に進んで、データ送信部14がローカルネットワーク3を通じて、ジョブ受信解析部12からの送信先アドレスで指示されたプリンタ4に印刷データを送信するとともに、課金計算部15がデータ送信部14からローカルネットワーク3上に送信されるデータのデータ量を計測し、その計測結果を課金情報管理部16に登録して、ジョブ処理を終了する。
【0042】ステップ103で認証部13が、ジョブ受信解析部12からのユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものではないと判断したとき、またはステップ105で認証部13が、そのユーザまたはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えていると判断したときには、ステップ103または105からステップ109に進んで、拒否メッセージ生成送信部18が、そのジョブを拒否する旨のメッセージを、その理由とともに生成して、パブリックネットワーク1を通じて、ジョブ受信解析部12からの送信元アドレスに示されたジョブ発行装置2に送信し、さらにステップ110に進んで、ジョブ受信解析部12が受信バァファに格納されたジョブを消去して、ジョブ処理を終了する。
【0043】図4は、上述したようなネットワークを介したデータの送受信に必要な印刷管理装置10内のネットワークプロトコルの一例を示し、そのネットワークプロトコルは、物理・データリンク層31、ネットワーク層32、トランスポート層33およびアプリケーション層34からなる階層化されたプロトコルスタック30を構成して、ジョブ発行装置2側のイーサネット物理媒体1aおよびプリンタ4側のイーサネット物理媒体3aに接続される。
【0044】そして、この例では、標準的なネットワークプロトコルであるTCP/IPを利用したプリンティングプロトコルによりジョブ発行装置2から印刷ジョブが送信されたとき、ネットワーク層32により送信元アドレスおよび送信先アドレスが抽出され、アプリケーション層34によりユーザ識別コードが抽出される。
【0045】図5は、図3に示したジョブ処理ルーチン100において、ステップ105で認証部13がジョブを受け付けると判断した場合の、以後のデータ送信および課金計算管理に係る具体的な処理の一例を示す。
【0046】すなわち、その送信課金処理ルーチン200では、認証部13によるジョブ受付の判断後、まずステップ201において、図3のステップ106に示したようにジョブ受信解析部12が送信先アドレスを抽出し、次にステップ202に進んで、ジョブ受信解析部12が、その送信先アドレスで指示されたプリンタが当該印刷管理装置側のプリンタであるか否かを判断する。
【0047】そして、その送信先アドレスで指示されたプリンタが当該印刷管理装置側のプリンタであるときには、ステップ202からステップ203に進んで、データ送信部14が送信パケットを構築する。
【0048】この送信パケットの構築は、ジョブ発行装置2からの上記のようなプリンティングプロトコルによる図6(A)に示すようなデータを分割し、同図(B)に示すように、その分割したデータDAに対してヘッダHEを付加するものである。
【0049】次に、ステップ204に進んで、課金計算部15が、その送信パケットPAのパケットサイズを計測し、さらにステップ205に進んで、課金計算部15が、その計測値により課金カウンタをインクリメントする。
【0050】次に、ステップ206に進んで、データ送信部14が上記のように構築した送信パケットPAを、ローカルネットワーク3を構成する図6(B)に示すイーサネット伝送ケーブル3c上に送信し、さらにステップ207に進んで、データ送信部14がパケット送信に成功したか否かを判断する。
【0051】そして、送信に失敗したときには、ステップ207からステップ208に進んで、課金計算部15がステップ205でインクリメントした課金カウンタをデクリメントし、さらにステップ209に進んで、データ再送のための時間をおいた後、ステップ203に戻って、データ送信部14および課金計算部15が、上記の送信パケットの構築、パケットサイズの計測、課金カウンタのインクリメント、およびパケットの送信を再び試みる。
【0052】ステップ207でデータ送信部14が送信に成功したと判断したときには、ステップ207からステップ210に進んで、データ送信部14が、その送信したパケットが最終パケットであるか否かを判断し、最終パケットでないときには、ステップ210からステップ203に戻って、上記の送信パケットの構築、パケットサイズの計測、課金カウンタのインクリメント、およびパケットの送信を繰り返す。
【0053】ステップ210でデータ送信部14が、その送信したパケットが最終パケットであると判断したときには、ステップ210からステップ211に進んで、課金計算部15が課金カウンタのカウント値を当該ジョブに課する料金の情報として課金情報管理部16に登録して、送信課金処理を終了する。
【0054】ステップ202でジョブ受信解析部12が、送信先アドレスで指示されたプリンタが当該印刷管理装置側のプリンタではないと判断したとき、すなわち図1のネットワーク印刷サービスシステムにおける他方の印刷管理装置側のプリンタであると判断したときには、ステップ202からステップ212に進んで、ジョブ受信解析部12が受信バッファに格納されたジョブを消去して、送信課金処理を終了する。
【0055】図3の例は、ジョブ中のユーザ識別コードが識別情報管理部11に登録されたものでないために、またはユーザもしくはそのユーザが属するグループの累計料金があらかじめ定められた限度額を超えているために、ジョブを拒否するときには、その旨のメッセージをジョブ送信元のジョブ発行装置2に送信するとともに、受信バァファから印刷データを廃棄する場合であるが、印刷データを直ちに廃棄しないで一定時間の間、ジョブ発行者からの再印刷指示を待つようにし、そして再印刷指示を受け取ったときには、上述したような認証処理を行った後、保存しておいた印刷データをプリンタ4に送信するようにしてもよい。
【0056】ただし、この場合、再印刷指示が認証されるために、ジョブ拒否後、再印刷指示前に、ジョブ発行者は自己のユーザ識別コードの識別情報管理部11への登録、または自己もしくは自己が属するグループの累計料金の限度額の変更を、管理者に依頼して印刷管理装置10側で実行しておいてもらう必要がある。
【0057】これによって、ジョブ発行者は同じ印刷データを再度送信し直す必要がなく、ネットワーク資源を無駄に消費することなく、印刷を行うことができる。
【0058】上述した実施形態によれば、ローカルネットワーク3上の個々のプリンタ4がユーザ認証機能および課金計算管理機能を備えなくてもネットワーク印刷サービスシステムを構築することができ、ネットワーク印刷サービスシステムを低廉に構成することができる。
【0059】しかも、印刷管理装置10からローカルネットワーク3上に送信されるデータのデータ量に応じて当該ジョブに課する料金が算出されるので、ジョブ実行に対する課金にネットワーク資源の使用状況が正確に反映されて、合理的な課金がなされる。
【0060】また、ユーザまたはそのユーザが属するグループごとに累計料金の限度額が設定されて、累計料金が限度額を超えるときにはジョブの受け付けが拒否されるので、システムの実際上の運用を考慮した、きめ細かな課金管理が可能となる。
【0061】さらに、課金集計部21、表示装置部22および印刷データ生成部23が設けられて、管理者が必要に応じて随時、ユーザまたはそのユーザが属するグループごとの累計料金、またはジョブごとの料金と累計料金を算出して、その算出結果を表示し、またはプリンタ4によって印字出力することができるので、管理者はプリンタ4の使用状況などを正確かつ容易に把握することができ、システムの保守管理などに好都合となる。
【0062】
【発明の効果】上述したように、請求項1の発明によれば、個々のネットワークプリンタがユーザ認証機能および課金計算管理機能を備えなくてもネットワーク印刷サービスシステムを構築することができ、ネットワーク印刷サービスシステムを低廉に構成することができる。
【0063】請求項2の発明によれば、さらにジョブ実行に対する課金にネットワーク資源の使用状況を正確に反映させることができ、合理的な課金が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の印刷管理装置を備えるネットワーク印刷サービスシステムの一例のシステム構成を示す図である。
【図2】この発明の印刷管理装置の一例を示すブロック図である。
【図3】図2の印刷管理装置が実行するジョブ処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】図2の印刷管理装置内のネットワークプロトコルの一例を示す図である。
【図5】図2の印刷管理装置が実行する送信課金処理ルーチンの具体例を示すフローチャートである。
【図6】送信パケットの構築および送信の説明に供する図である。
【符号の説明】
1 パブリックネットワーク(第1のネットワーク)
2 ジョブ発行装置
3 ローカルネットワーク(第2のネットワーク)
4 プリンタ
10 印刷管理装置
11 識別情報管理部
12 ジョブ受信解析部
13 認証部
14 データ送信部
15 課金計算部(課金計算管理部)
16 課金情報管理部(課金計算管理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】ジョブ発行装置が接続される第1のネットワークと、プリンタが接続される第2のネットワークとの間に接続され、ユーザ識別情報を登録した識別情報管理部と、上記ジョブ発行装置からの、印刷データに対してユーザ識別情報が付加されたジョブから、そのユーザ識別情報を抽出するジョブ受信解析部と、このジョブ受信解析部からのユーザ識別情報が上記識別情報管理部に登録されたものであるか否かを判断する認証部と、この認証部によって上記ジョブ受信解析部からのユーザ識別情報が上記識別情報管理部に登録されたものであるとされたときにのみ、上記ジョブ受信解析部からの印刷データを上記プリンタに送信するデータ送信部と、このデータ送信部によって上記プリンタに印刷データが送信されたとき、当該ジョブに課する料金を計算して、その計算結果を登録する課金計算管理部と、を備える印刷管理装置。
【請求項2】請求項1の印刷管理装置において、上記課金計算管理部は、上記データ送信部を通過するデータのデータ量に応じて当該ジョブに課する料金を算出する印刷管理装置。

【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平9−185474
【公開日】平成9年(1997)7月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−352970
【出願日】平成7年(1995)12月27日
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)