説明

印刷装置、印刷システム及び印刷方法

【課題】印刷された用紙に切断、折目付けなどの所定の加工を効率よく施す印刷装置を提供する。
【解決手段】紙送り量Sreqの紙送り要求があった際、そのまま要求紙送り量Sreqの紙送りをすると、実際のカット位置(▼位置)がカッタ16を過ぎてしまうと判断すると、要求紙送り量SreqをSAとSBに分割する(同図(a))。そしてまず紙送り量SAだけ用紙5を送り出すことにより、実際のカット位置がカッタ16に丁度到達する。そして、用紙5が停止した状態でカッタ用モータを駆動させることによりカッタ16を作動させて用紙5をカット位置で切断する(同図(b))。用紙5の切断後、紙送りモータを駆動させて残りの紙送り量SBだけ用紙5を送り出す(同図(c))。また残りの紙送り量SBの紙送りをするときにも同様の処理をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された用紙上の所定位置に加工を施す加工器を備えた印刷装置、印刷システム及び印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタには印刷に使用される用紙にロール紙を使用するものがある。ロール紙への印刷は連続的に行われ、印刷された用紙は長く連続的に繋がる状態にあるため、所定位置でカットする必要がある。
【0003】
従来は、印刷が終了したときに用紙の印刷された最終端位置を人がカットできる位置まで用紙を自動で送り出すプリンタはあった。印刷の最終端位置は印刷前にユーザが予め設定したページのレイアウトデータ(ページ長、トップマージン、ボトムマージンなど)を基に判断し、その印刷の最終端位置が予め記憶された人がカットし易い位置まで紙送りモータを駆動させてロール紙を送り出す制御を行っていた。この場合、最終的な用紙のカットは人が行っており、また最終端位置でカットした用紙をさらに細かくカットするのは人が行っていた。
【0004】
また印刷ヘッドを有するキャリッジが主走査方向に往復移動しながら印刷ヘッドにより印刷は行われるが、このキャリッジにカッタを設け、キャリッジの移動時に用紙をカットする機能を備えた印刷装置も知られている。これも印刷終了後の印刷の最終端位置をカットするものであった。
【0005】
特許文献1には、カッタを備えたシリアル記録装置において、次行分の紙送りをすると、記録用紙の先端から次行の印刷位置までの長さ(TOF+L2+L3)が印刷位置とカッタとの距離L0よりも長くなる場合には、記録用紙の切断位置がカッタに位置するように1行分よりも短い距離L4だけ紙送りをする。そして、カッタを作動させて用紙を切断する技術が開示されている。用紙切断後は、切断位置調整のための紙送り量L4と1行分の紙送り量L3との差分ΔL=L3−L4だけ記録用紙を紙送りして、記録ヘッドと記録用紙との相対位置を調整する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、テープ切断手段を備えたテーププリンタにおいて、判断手段により、前部マージン長さが、印刷位置と切断位置との離間距離よりも短いと判断された場合、テープ送り手段及びテープ印刷手段を制御して、前部マージン長さと離間距離との差分だけテープ状部材を送りつつテープ状部材に印刷を行う。その後、テープ送り及び印刷を中断し、テープ切断手段によるテープ状部材の切断後にテープ送り及び印刷を開始する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−254770号公報(例えば明細書段落[0016]、[0021]、図5、図6、図8、図9等)
【特許文献2】特開平10−230653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のプリンタは、用紙に印刷された最終ページの最後端位置はカットできるものの、複数ページ印刷されている長尺の用紙から1ページずつカットするのは人が手作業で行わなければならなかった。あるいはプリンタの下流の工程にカット装置を設置して連続工程とすることで対応せざるを得なかった。この場合、ユーザがカット装置などの設備を別途用意する必要があった。
【0008】
また印刷された用紙のカットだけでなく例えば折目付けなどの加工を用紙に施す要求もあった。例えば音楽CDやMD、フロッピィディスク等のケースに装着される化粧紙は折り曲げてケースに装着されるので、この種の化粧紙を印刷するときには印刷過程で折目付けを行うのが効率的である。しかし、これらの工程もプリンタと別途用意された装置により行われるのが通常であった。
【0009】
なお、用紙にカットや折目付けの加工を施すために印刷が途中で長く中断されると、その中断箇所にスジが入るなど印刷画質が低下する問題が発生し易くなるので、用紙に加工を施すことを目的とする印刷の中断はなるべく短時間で済ませる必要がある。さらに印刷した用紙を一旦巻き戻して用紙に加工を施すのは、印刷が施された用紙のこすれによって印刷画質に傷がつくなどの不具合が発生することが心配される。
【0010】
また、特許文献1や特許文献2のプリンタでは、印刷途中で人手を介さずに自動でカット(加工)を施すことができるうえ、用紙の切断後に用紙を巻き戻す必要もなく、連続して印刷することができる。しかしながら、切断と折目付けなどの複数種の加工を施すべく複数の加工手段を設けた場合にも、連続して印刷をしつつ用紙に複数種の加工を適切に施すことが要望されている。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、印刷された用紙は紙送り方向に送り出される過程で切断や折目付けなどの所定の加工が施され、用紙の後戻りを伴わないため、印刷された用紙に切断、折目付けなどの所定の加工を効率よく施すことができるうえ、複数の加工手段を備えた構成であったとしても、適切に加工を施すことができる印刷装置、印刷システム及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段とを有する印刷装置において、前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理することを要旨とする。なお、「用紙上の仮想ライン」とは、加工手段により加工を施す用紙上の位置である。これはあくまで用紙上のものであり、かつ仮想ラインは加工したい用紙上の位置が複数存在すれば、それに対応して複数存在しても全く問題ない。また、ここでいう用紙とは、純粋な紙に限定されるものではなく印刷媒体であればよい。例えばプラスチック製のフィルムやシート、または金属製のフィルムやシートでもよい。以下の請求項において同様である。
【0013】
この発明によれば、用紙搬送と印刷実行が交互に行われ、必要に応じて用紙を停止させた上で加工を行うよう印刷手段と搬送手段と加工手段が制御される。そして、制御手段によって用紙上の仮想ラインが、搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理される。用紙上の仮想ラインに対して加工手段により加工が施される。
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置において、前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換し、継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、前記加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断し、越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで停止した用紙に対し、前記継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御することを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、用紙上の仮想ラインを、搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、加工手段による加工が施されるべき加工位置であって印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を論理的な絶対位置に変換される。継続するデータを印刷すべく所定量の紙送りを実行する際、用紙上の仮想ラインが、加工手段の加工位置を越えるか否かが論理的な絶対位置で判断される。越えると判断された場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、第1の紙送り量の用紙搬送が当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行されることにより、仮想ラインが加工位置に達したところで停止した用紙に対し、継続するデータの印刷を留保した上で、用紙上の仮想ラインに加工が施されるよう加工手段が制御される。
【0016】
従って、印刷のための紙送り方向に用紙を紙送りするだけで戻すことなく用紙上の仮想ラインに加工が施されるため、用紙に加工を施す作業が加わっても印刷時間がさほど長くならない。また、加工を施す際に用紙を後戻りさせないことから、加工に要する印刷中断時間が比較的短く済む。このため、例えば印刷中断時間が長いときに危惧される印刷むらも起き難い。さらに用紙を後戻りさせた後に加工し再び紙送り方向へ送る方法を採用すると、例えば搬送手段の動力を伝達するギヤのバックラッシュ(遊び)により用紙の位置が微妙にずれ、印刷精度を低下させる原因になるが、用紙が後戻りしないことからその種の印刷むらも心配ない。よって、印刷された用紙は紙送り方向に送り出される過程で切断や折目付けなどの所定の加工が施され、用紙の後戻りを伴わないため、印刷された用紙に切断、折目付けなどの所定の加工を効率よく施すことができる。さらに、複数の加工手段を備えた構成であったとしても、適切に加工を施すことができる。
【0017】
本発明の印刷装置では、前記仮想ライン及び加工位置は、前記加工手段と前記印刷ヘッドとの距離分だけシフトさせた前記印刷ヘッドに対応する用紙上の位置として管理することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、加工手段が複数あった場合でも、加工位置を特にその加工内容まで区別しなくても管理することができる。
また、上記印刷装置の発明では、前記制御手段は、前記加工手段が用紙上の仮想ラインで用紙に加工を施した後、前記第2の紙送り量の用紙搬送を搬送手段に実行させ、その上で前記継続するデータの印刷を再開することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、さらに、加工手段が用紙上の仮想ラインで用紙に加工を施した後、第2の紙送り量の用紙搬送を搬送手段に実行させ、その上で継続するデータの印刷が再開される。
【0020】
上記印刷装置の発明では、前記用紙上の仮想ラインは、設定用紙サイズまたは用紙上の印刷領域またはユーザ指定を基に得られることが好ましい。
この発明によれば、上記発明の作用に加え、用紙上の仮想ラインは、設定用紙サイズまたは用紙上の印刷領域またはユーザ指定を基に得られる。
【0021】
上記印刷装置の発明では、前記加工とは用紙を切断すること、又は用紙に折り目を付けること、または用紙にミシン目をつけることのいずれかであることが好ましい。
この発明によれば、上記発明の作用に加え、加工手段による加工として用紙は切断されるか、又は用紙に折り目を付けられるか、または用紙にミシン目がつけられる。
【0022】
上記印刷装置の発明では、さらに、前記用紙上の任意の位置を、加工を施すべき仮想ラインとして指定可能な加工位置指定手段を備えることが好ましい。
この発明によれば、用紙搬送と印刷実行が交互に行われ、必要に応じて用紙が停止された上で加工を行うよう印刷手段と搬送手段と加工手段が制御される。さらに、加工位置指定手段によって用紙上の任意の位置に加工を施すべき仮想ラインを指定できる。
【0023】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置と、ホストコンピュータとを備えた印刷システムにおいて、前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な位置で管理することを要旨とする。
【0024】
この発明によれば、用紙搬送と印刷実行が交互に行われ、必要に応じて用紙を停止させた上で加工を行うよう印刷手段と搬送手段と加工手段が制御される。そして、制御手段によって用紙上の仮想ラインが、搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な位置で管理される。用紙上の仮想ラインに対して加工手段により加工が施される。
【0025】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置と、ホストコンピュータとを備えた印刷システムにおいて、前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換し、継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、前記加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断し、越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで停止した用紙に対し、前記継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御することを要旨とする。
【0026】
この発明によれば、用紙上の仮想ラインを、搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、加工手段による加工が施されるべき加工位置であって印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を論理的な絶対位置に変換される。継続するデータを印刷すべく所定量の紙送りを実行する際、用紙上の仮想ラインが、加工手段の加工位置を越えるか否かが論理的な絶対位置で判断される。越えると判断された場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、第1の紙送り量の用紙搬送が当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行されることにより、仮想ラインが加工位置に達したところで停止した用紙に対し、継続するデータの印刷を留保した上で、用紙上の仮想ラインに加工が施されるよう加工手段が制御される。
【0027】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置の印刷方法であって、前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理する工程と、用紙上の仮想ラインが加工手段による加工実施位置に達したと判断すると、搬送手段を制御して用紙を停止させる工程と、継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御する工程と、を有することを要旨とする。
【0028】
この発明によれば、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理される。用紙上の仮想ラインが加工手段による加工実施位置に達したと判断されると、搬送手段を制御して用紙を停止させる。そして、停止した用紙に対して、継続するデータの印刷を留保した上で、用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段が制御される。
【0029】
上記目的を達成するために本発明は、印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置の印刷方法であって、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理する工程と、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換する工程と、継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断する工程と、越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで用紙を停止させる工程と、停止した用紙に対し、継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御する工程と、を有することを要旨とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6を用いて説明する。
図4は、プリンタの概略構成図である。同図に示すように、印刷装置としてのプリンタ1は、ケース2内に装填されたロール紙3から連続的に送出される用紙に印刷を施すロール紙対応型のインクジェット式プリンタである。プリンタ1は、実際は複数の印刷ユニットが上下に複数段積まれて一台が構成されるが、同図ではそのうち1ユニットのみ図示している。
【0031】
ケース2内には、ロール紙3を回転可能に支持するロール紙軸4と、ロール紙3から送出される用紙(連続紙)5を案内するために用紙経路に沿って所定の間隔で配置された給紙ローラ6、紙送りローラ7、排紙ローラ8とを備えている。給紙ローラ6と紙送りローラ7との間には、プラテン9が配置されている。プラテン9の上方には、印刷ヘッド10を下面に有するキャリッジ11が主走査方向(同図の紙面直交方向)に往復移動可能に設けられている。
【0032】
給紙ローラ6と紙送りローラ7間に案内された用紙に対し、キャリッジ11はキャリッジモータ12の駆動によりタイミングベルト(図示せず)を介して主走査方向に移動する。このキャリッジ11の移動時に印刷ヘッド10からはキャリッジ11に装着されたインクカートリッジ(カラーインク用及び黒インク用)13から供給されるインクが吐出されることにより、用紙5の上面に印刷が行われる。
【0033】
紙送りローラ7と排紙ローラ8との間には、加工器としての折り器15およびカッタ16が配置されている。紙送りローラ7と排紙ローラ8との間の用紙送り過程で、折り器15による用紙に折り目を付ける加工と、カッタ16による用紙をカットする加工とが行えるようになっている。カッタ16の下方にはカットされた切り屑を回収するダストボックス(図示せず)が配置されている。
【0034】
ロール紙軸4はロール紙モータ20により駆動され、印刷時の紙送りのタイミングに合わせて駆動される。給紙ローラ6の駆動ローラ6aは給紙モータ21により図示しないギヤ機構を介して駆動される。また、紙送りローラ7の駆動ローラ7aと排紙ローラ8の駆動ローラ8aは、紙送りモータ22により図示しないギヤ機構を介して同期駆動される。本実施形態では、紙送りモータ22は、ステッピングモータからなる。
【0035】
また、折り器15は可動エッジ15aと固定エッジ15bからなり、可動エッジ15aはアクチュエータとしての折器用モータ23により図示しない機構を介して、用紙5を幅方向に横断し切る範囲を主走査方向に移動するよう駆動される。可動エッジ15aが用紙5を横切ることにより用紙5に折り目が付けられる。
【0036】
一方、カッタ16は可動刃16aと固定刃16bからなり、可動刃16aはアクチュエータとしてのカッタ用モータ24により図示しない機構を介して、用紙5を幅方向に横断し切る範囲を主走査方向に移動するよう駆動される。可動刃16aが用紙5を横切ることにより用紙5は切断される。
【0037】
図1は、印刷システムの概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、印刷システムは、プリンタ1とホストコンピュータ(PC)31とを備えている。
【0038】
ホストコンピュータ31には、記録媒体としてのCD−ROMから読取りをすることにより、ビデオドライバ用プログラム及びドライバプログラムとしてのプリンタドライバ用プログラムがインストールされている。これら各プログラムとCPUとによりホストコンピュータ31内には、ビデオドライバ32とプリンタドライバ33が構築されている。またホストコンピュータ31には画像処理用アプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという)34が、記録媒体としてのCD−ROMから読取りをすることによりインストールされており、このアプリケーション34はCPUにより実行されることで画像データを取り扱う各種処理を行う。アプリケーション34は、例えばスキャナやデジタルカメラから画像データを取り込む処理や、画像データの加工などする処理、画像データをビデオドライバ32に送って表示装置35の画面35Aに画像を表示させる処理、画面35Aに表示された画像をプリンタ1に印刷させるために画像データをプリンタドライバ33に送り出す処理などを司る。
【0039】
例えば入力装置(キーボード及びマウス等)36を用いて印刷指令の操作がなされると、ビデオバッファ(図示せず)に格納された画像データはプリンタドライバ33に送られて印刷データPDに変換されてプリンタ1に転送される。このための印刷処理を行うためにプリンタドライバ33は、解像度変換処理部37、色変換処理部38、ハーフトーン処理部39およびラスタライズ処理部40およびコマンド生成部41を備えている。
【0040】
解像度変換処理部37は、アプリケーション34から受け取った画像データの解像度を、プリンタ1が印刷するための印刷解像度に変換する。色変換処理部38は、解像度変換処理部37から画像データを受け取って、RGB階調値の画像データをプリンタ1で使用するCMYK階調値のデータに変換する色変換処理を行う。この色変換処理は、色変換テーブル(ルックアップテーブル)(図示せず)を参照して行われる。
【0041】
ハーフトーン処理部39は、色変換処理後のCMYK画像データを受け取って、プリンタ1が表現可能な4階調のCMYKドットデータに変換するハーフトーン処理を行う。4階調のドットデータによって、大中小3種類のドット面積(インク吐出量)と、ドット形成せずの4つの状態が区別される。
【0042】
ラスタライズ処理部40は、ハーフトーン処理部39から各色インクドット毎のドットデータを受け取って、4階調のドットデータをドットの形成順序を考慮しながらプリンタ1に転送すべき順序に並び替えるインターレース処理を行う。コマンド生成部41は、インターレース処理後にコマンドを付して印刷データPDとしてプリンタ1に出力する。印刷データPDはパケット通信によりプリンタ1に転送される。
【0043】
また、プリンタドライバ33には、レイアウト位置受付部42および設定画面表示データ記憶部43が備えられている。設定画面表示データ記憶部43には設定画面表示用データ(入力画面表示用データ)が記憶されている。レイアウト位置受付部42は、入力装置36の操作により設定画面表示の要求を受け取ると、記憶部43から設定画面表示用データを読み出してビデオドライバ32を介して画面35Aに図2に示す設定画面(入力画面)45を表示させる表示制御機能も備えている。この設定画面45はページレイアウトを入力指定するためのものである。ユーザは、画面35A上の設定画面45を見ながら入力装置36を操作して印刷ページのレイアウト設定ができるようになっている。
【0044】
図2に示すように、レイアウト設定画面45には、1ページについて、ページ長PL、トップマージンTM、ボトムマージンBM、カット位置C1,C2、折目位置F1,F2を入力欄46に入力指定することが可能である。入力装置36の操作によりページ画47上のライン(同図破線)を上下にシフトできるようになっている。例えばマウス操作によってラインをシフトすると入力欄46にそのラインの位置に応じた各値を指定することができ、また例えばキーボード操作によって入力欄46に数値を入力すれば、それに対応する位置にラインがシフトする。これらの値PL.TM,BM,C1,C2,F1,F2を全て入力した後にOKボタン48を操作すると、これらのページデータPL,TM,BMおよび加工位置データC1,C2,F1,F2はレイアウト位置受付部42に受け付けられる。以下、加工器により加工を施す用紙上の位置を「用紙上の仮想ライン」と呼ぶ。よって、「用紙上の仮想ライン」は、あくまで加工器により加工を施す用紙上の位置であるため、加工したい用紙上の位置が複数存在すれば、それに対応して仮想ラインも複数存在する。なお、図2の設定画面45で設定できる用紙上の仮想ラインとしてその他にミシン目があり、プリンタ1にミシン目加工器(図示せず)が搭載された場合は、ミシン目の仮想ラインもレイアウト設定することが可能となっている。よって、この実施形態では、カット位置C1,C2、折目位置F1,F2およびミシン目が、用紙上の仮想ラインの位置に相当する。
【0045】
また、レイアウト設定をするために最小限必要なページ画47に相当する単位領域(通常1ページ)が印刷単位に相当する。なお、ページ画47には、印刷画像(図示省略)も表示されるようになっており、ユーザは印刷画像の位置を確認しながら、ページ画47上の任意の位置に各加工位置C1,C2,F1,F2等を入力指定することが可能である。
【0046】
コマンド生成部41は、レイアウト位置受付部42からページデータPL,TM,BMおよび加工位置データ(仮想ラインデータ)C1,C2,F1,F2を受け取ってこれらのデータを基に印刷データPDのヘッダPHにコマンドを付与する。すなわち、ページデータPL,TM,BMに基づき紙送りコマンドを付与する。紙送りコマンドでは、紙送り命令とその紙送り量が指定されている。また加工位置データとしてのカット位置データC1,C2に基づきカット位置指定コマンドが印刷データPDのヘッダPHに付され、加工位置データとしての折目位置データF1,F2に基づき折目位置指定コマンドが印刷データPDのヘッダPHに付される。なお、加工位置コマンド、折目位置コマンド、(ミシン目コマンド)は、仮想ライン指定データに相当する。
【0047】
プリンタ1には、制御部50と、各モータ12,22〜24と、印刷ヘッド10と、これら10,12,22〜24を駆動制御するためのモータ駆動回路51〜54およびヘッド駆動回路55が備えられている。
【0048】
制御部50には、コマンド解析部61、イメージ展開部62、印刷実行部63、絶対位置カウンタ64、位置算出部65、位置記憶部66、紙送加工制御部67および加工実行部68が備えられている。また、印刷実行部63、紙送加工制御部67、加工実行部68及びモータ駆動回路52,53,54により制御手段は構成される。
【0049】
コマンド解析部61は、印刷データPDのヘッダPHに付されたコマンドを解析する。ヘッダPHにカット位置指定コマンドまたは折目位置指定コマンドがある場合、それを解析することによりページ上における相対位置として示されるカット位置Cまたは折目位置Fを取得する。またコマンド解析部61は紙送りコマンドを解析して紙送り量Sreqを取得する。この解析して取得したカット位置C、折目位置F、紙送り量Sreqのデータは、位置算出部65に送られる。またコマンド解析後の印刷データは次のイメージ展開部62に送られる。
【0050】
イメージ展開部62ではデータ展開が行われる。データ展開後のデータは印刷実行部63に送られる。印刷実行部63はイメージ展開後のデータを基に印刷ヘッド10を所定の色のインク滴を所定のドットパターンで吐出するようヘッド駆動回路55を介して印刷ヘッド10のインク吐出制御(圧電制御)を実行する。
【0051】
また印刷実行部63は、キャリッジモータ12をモータ駆動回路51を介して駆動制御し、印刷するためにキャリッジ11を主走査方向に往復移動させる。さらに印刷実行部63は、紙送りモータ22をモータ駆動回路52を介して駆動制御し、用紙5の紙送りが必要なときに所定紙送り量の紙送りがなされるように紙送りモータ22を駆動させる。印刷実行部63はモータ駆動回路52に紙送りモータ22を駆動させるステップ数を指令する。紙送り量については、紙送加工制御部67から指示された紙送り量に従う。
【0052】
絶対位置カウンタ(以下、位置カウンタという)64は、例えば4バイトからなるカウンタであり、プリンタ1の電源オン時にリセットされ、それ以後の紙送りモータ22のステップ数を計数する。本例では、印刷ヘッド10の所定基準位置(ヘッド位置)を位置カウンタ64のカウント値に基づいて管理している。このヘッド位置のカウント値から現在の印刷位置(記録位置)を管理している。すなわち、プリンタ1の電源オン時に位置カウンタ64はリセットされ、その後、例えば給紙された用紙5の先端が紙検出センサ(図示せず)に検知され、さらにその位置から所定ステップ数の紙送りがなされて用紙5が頭出しされると、そのときの位置カウンタ64のカウント値が現在ヘッド位置とされる。例えば用紙のこの頭出し完了時のカウント値が「1000」であれば、この頭出し位置から所定ステップ数(カウント値換算で例えば「200」とする)の紙送りがなされた現在ヘッド位置(印刷位置)は「1200」となる。こうしてプリンタ1が電源オフされない限り、位置カウンタ64は紙送りモータ22の駆動ステップ数を加算し続け、例えばロール紙交換などで用紙の頭出しが再度なされるとその度にヘッド位置のカウント値を位置カウンタ64から取得し直す。このように現在ヘッド位置(現在の印刷位置)は、位置カウンタ64のカウント値(累積値)によって絶対位置で管理されている。絶対位置カウンタ64では用紙上の論理的な位置が固有のアドレスとしてカウント値で特定できる。例えばロール紙などの長尺紙でまだ給紙されていない部分も用紙上の論理的な位置として指定することが可能になる。なお、位置カウンタ64は電源のオンオフに関わらず駆動ステップ数を加算し続けてもよい。
【0053】
位置算出部65は、コマンド解析部61から受け取った相対位置で示されるカット位置Cを絶対位置で示されるカット位置ACに変換する計算をする。また相対位置で示される折目位置Fを絶対位置で示される折目位置AFに変換する計算をする。ここで、プリンタ1に既に送られてきた印刷処理前のページについての印刷データは受信バッファ(図示せず)に蓄積されており、位置算出部65は受信バッファに蓄積された印刷データのコマンド情報に基づき、現在の印刷位置(ヘッド位置)を基準にしたカット位置Cや折目位置Fの相対位置は認識できている。そして現在の印刷位置(絶対位置)Ppreが位置カウンタ64のカウント値から知ることができることから、カット位置Cや折目位置Fの絶対位置AC,AFを算出することができる。
【0054】
本実施形態では、用紙5上に2種類ある仮想ライン位置AC,AFを個別に管理するのではなく、仮想ライン位置は全てヘッド位置の値(絶対位置)に換算して管理している。すなわち、用紙5上の仮想カットラインとカッタ16とが丁度一致するときの現在印刷位置(絶対位置)Ppreの値をカット位置Pとし、用紙5上の仮想折目ラインと折り器15とが丁度一致するときの現在印刷位置(絶対位置)Ppreの値を折目位置Pとしている。つまり全ての仮想ライン位置は現在印刷位置換算値Pn(但しn=1,2,…,Kで、P1<P2<…<PK) で管理している。すなわち、カット位置は実際の仮想カットライン位置ACよりも印刷ヘッド10とカッタ16間の距離(カウンタ値相当)Sc 分大きな値Pn(=AC−Sc)で管理され、折目位置は実際の仮想折目ライン位置AFよりも印刷ヘッド10と折り器15間の距離(カウンタ値相当)Sf 分大きな値Pn(=AF−Sf)で管理されている。ここで、印刷ヘッド10の記録位置とカッタ16間の距離に相当するカウント値Scと、印刷ヘッド10の記録位置と折り器15間の距離に相当するカウント値Sfは、メモリ(記憶手段)に記憶されており、この値Sc,Sfを用いて値AC,AFをそれぞれPn(=AC−Sc)、Pn(=AF−Sf)に変換する。また、Pnの添字「n」は、処理前の加工位置について小さい方から順に付される番号である。
【0055】
よって、カット位置と折目位置を特にその加工内容までは区別しておらず、現在位置基準で次にくるカット位置または折目位置を単に加工位置P1として管理し、さらにその次にくるカット位置または折目位置を単に加工位置P2として管理している。また、2つの加工位置P1,P2が等しい(P1=P2)ときは、用紙5上の仮想カットラインがカッタ16に一致し、かつ用紙5上の実際の仮想折目ラインが折り器15に一致する用紙位置にあるときである。そして、加工位置P1,P2で行うべき加工の種類(カット動作か折目付け動作か)は、カットコマンドまたは折目コマンドに基づき別途判断する。位置算出部65は、算出された加工位置Pn と、それに対応する加工内容(カット動作または折目付け動作)のデータとを位置記憶部66に記憶する。位置記憶部66には、これから実行される加工についての全ての加工位置Pn と、それぞれに対応する加工内容を判断するために使う参照テーブルが記憶される。
【0056】
紙送加工制御部67はその記憶部に紙送り加工制御用プログラムを記憶している。図5にフローチャートで示す紙送り加工制御ルーチンは、印刷された用紙5の紙送り制御と、用紙の加工位置に加工を施す加工制御とを行うためのものである。紙送加工制御部67は、印刷実行部63が次回の紙送りを指令するのに先立ち、このルーチンを実行することで、紙送り制御と加工制御のスケジュールを立てる。
【0057】
以下、図5の紙送り加工制御ルーチンについて説明する。紙送加工制御部67は、このルーチン開始前に予め現在位置(絶対位置)Ppre、要求紙送り量Sreq、2つの加工位置P1,P2を読み込む。要求紙送り量Sreqはコマンド解析部61から送られて管理していたものを使用する。
【0058】
ステップ(以下、単に「S」と記す)10では、位置Psc=Ppre+Sreqを計算する。つまり現在位置Ppreから要求紙送り量Sreqの紙送りをしたときの絶対位置Pscを算出する。
【0059】
S20では、Psc<P1が成立するか否かを判断する。Psc<P1が成立すれば、要求紙送り量Sreqの紙送りをしても次の加工位置P1が対応する加工器に到達することはないので、S120に進んで、紙送りSreqを実行する。一方、Psc<P1が不成立のときはS30に進む。
【0060】
S30では、Psc=P1が成立するか否かを判断する。Psc=P1が成立すれば、要求紙送り量Sreqの紙送りをしたときに、丁度、加工位置P1が対応する加工器に到達することになるので、この場合はS70に進む。一方、Psc=P1が不成立のとき、つまりPsc>P1であるときには、要求紙送り量Sreqの紙送りをしてしまうと、加工位置P1が対応する加工器を過ぎてしまうため、この場合はS40に進む。
【0061】
S40では、紙送り量分割計算をする。すなわち、SA =P1−Ppre、SB=Sreq−SB を計算し、要求紙送り量SreqをSA とSB に分割する。
S50では、SA を要求紙送り量Sreqとする。
【0062】
S60では、SB を次回の要求紙送り量(Sreq)とする。
S70では、P1=P2であるか否かを判断する。つまり仮想カットラインと仮想折目ラインの両方がそれぞれ対応する加工器15,16に到達するかどうかを判断する。
P1=P2が成立すればS80に進む。一方、P1=P2が不成立のときはS90に進む。
【0063】
S80では、紙送りの次の処理としてカット動作と折目付動作をスケジュールする。
S90では、P1での処理はカット動作か否かを判断する。P1での処理がカット動作であればS100に進み、一方、P1での処理がカット動作でなければS110に進む。
【0064】
S100では、紙送りの次の処理としてカット動作をスケジュールする。
S110では、紙送りの次の処理として折目付動作をスケジュールする。
S120では、紙送り量Sreqを実行する。つまり加工位置P1が対応する加工器に到達しないときと、加工位置P1が対応する加工器に丁度到達するときは要求されたそのままの紙送り量Sreqの紙送りを実行する。また要求された紙送り量Sreqの紙送りをすると加工位置P1が対応する加工器を過ぎる場合は、要求紙送り量Sreqを分割したSA を新たな要求紙送り量Sreq(=SA)としてその分だけ紙送りを実行する。なお、S60において要求紙送り量Sreqを分割した残りの紙送り量SB を次回の要求紙送り量(Sreq)と設定した場合は、次回のこのルーチンを実行するときには、S60で設定した要求紙送り量Sreq(=SB)が使用される。そして残りの紙送り量Sreq(=SB)の紙送りをするときにも、次の加工位置P1が対応する加工器に到達するか、加工器を過ぎるかなどの判定がなされて、必要であればさらに残りの紙送り量Sreq(=SB)も分割される。
【0065】
次に、この紙送り加工制御が行われたときの紙送り・加工動作について図6を用いて説明する。なお、用紙5上に付されたハッチング領域は印刷領域である。
図6(a)の状態に用紙5が位置するときに紙送り量Sreqの紙送り要求があったとする。この際、そのまま要求紙送り量Sreqの紙送りをすると、用紙上の仮想カットライン位置(▼位置)がカッタ16を過ぎてしまうので(カット位置P1がヘッド位置を過ぎてしまうので)、要求紙送り量Sr eqをSAとSBに分割する。紙送り量SA は加工位置P1が現在位置Ppre にくるまでの値、すなわちSA =P1−Ppreとする。そして要求紙送り量SreqからこのSAを差し引いた残りの紙送り量SB(=Sreq−SA)を、次回の要求紙送り量Sreqとする。
【0066】
そして図6(b)に示すように、まず紙送り量SA だけ用紙5を送り出す。すると、用紙上の仮想カットライン位置(▼位置)がカッタ16に丁度到達する。そして、用紙5が停止した状態でカッタ用モータ24を駆動させることによりカッタ16を作動させて用紙5を仮想カットラインで切断する。
【0067】
さらに図6(c)に示すように、用紙5の切断後、紙送りモータ22を駆動させて残りの紙送り量SB だけ用紙5を送り出す。その結果、初期の要求紙送り量Sreqの紙送りが完了する。また、残りの紙送り量SB は次回の要求紙送り量Sreqとされるので、この残りの紙送りがなされる前にも、その残りの紙送り量SB の紙送りがなされたときに次の加工位置P1が、仮想カットラインが対応する加工器を過ぎる値か否かが同様に判断される。そしてその対応する加工器を過ぎる場合には残りの紙送り量SB がさらに2つに分割される。そしてさらに分割した紙送り量の紙送りがなされた後、加工器が作動されて、用紙5上の所定の仮想ラインに加工が施される。従って、要求紙送り量Sreqの紙送りがなされる過程で複数の仮想ラインが各々対応する加工器を過ぎるときには、要求紙送り量Sreq を分割して少しずつ紙送りがなされながら用紙の複数箇所の仮想ラインに加工が施される。また2つの加工位置P1,P2が同じ値であるときには、同じ用紙5の位置で折り器15とカッタ16が作動される。このとき折り器15とカッタ16はほぼ同時に作動される。もちろん両加工器15,16の作動タイミングは、一つずつ順番に作動させてもよい。
【0068】
また印刷データPD中に印刷終了コマンドがあれば、紙送加工制御部67は、印刷が終了したと判断する。そして、用紙5を最終の仮想カットライン(最終加工位置)で切断できるように要求紙送り量Sreqを設定する。つまり、最終カットラインとカッタ16間の距離、すなわち最終カット位置Pend がヘッド位置に到達するまでの距離に等しいカウンタ値相当のステップ値が要求紙送り量Sreqとして設定される。なお、最終加工位置は、最終ページの末端位置に設定することもできる。
【0069】
そして、この印刷終了後の紙送り時にも図5の紙送り加工制御ルーチンが実行される。このため、最終切断するために用紙5を送り出すときには、印刷ヘッド10とカッタ16との間の用紙5上に加工すべき仮想ラインが残っていれば、この印刷終了後に用紙5が送り出される過程で途中で一時停止しながら用紙5に加工が施される。そして最後に最終仮想カットラインで用紙5が切断される。この最終切断の後、紙送りモータ22が紙送り方向に駆動され、切断された用紙の排出を用紙センサ(図示せず)が検知した後、紙送りモータ22が逆転駆動されて用紙5はその先端部が紙送りローラ7に把持される状態まで戻される。そして次の印刷データが転送されてくるのを待つ。
【0070】
一方、印刷途中で紙ジャムが発生した場合は、印刷未領域の位置までマニュアル操作で紙送りを行う。この紙ジャム時のマニュアル操作後においても、位置記憶部66には加工位置Pn とそれぞれに対応する加工内容のデータが残っているので、プリンタ1はこれらの加工情報に基づいて再度印刷を再開する。
【0071】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)用紙5を紙送りする過程で用紙5に加工を施すことができる。つまり、印刷された用紙5は、紙送り方向に送り出されるだけで後戻りすることがなく切断や折目付けの加工が施される。従って、プリンタ1に加工器15,16を搭載して用紙5に加工を施す構成としても印刷時間のロスがさほどなく、しかも印刷面がローラ6,7等を繰り返し通ることによる印刷面の擦れによる傷等の心配もほとんどない。また加工を施す際に用紙5を後戻りさせないことから、加工に要する印刷中断時間が比較的短く済むので、印刷中断時間が長いときに危惧される印刷むら(色目変化のスジ)も起き難い。また用紙5を一旦後戻りさせて加工後、再び紙送り方向へ送る方法を採用した場合、紙送りモータ22の動力を駆動ローラ7a,8aに伝達するギヤ機構を構成するギヤのバックラッシュ(遊び)により用紙5の位置が微妙にずれ、これが印刷むらの原因になる。しかし、用紙5が後戻りしないことからギヤのバックラッシュに起因するこの種の印刷むらも心配ない。
【0072】
(2)印刷されない白紙部分のために1度の紙送り量が長いときでも、その紙送り量が加工位置に応じて分割されるので、必ず用紙上の仮想ラインが加工器と一致する位置で用紙5を停止させることができる。このため、1度の紙送り量が長いときにも用紙5を戻さずに加工を施すことができる。このことから、加工を施すための印刷停止時間を極力短くでき、例えば印刷中断時間が長いことが原因で印刷中断箇所で色目が変わる不具合が起き難い。
【0073】
(3)印刷終了時には、印刷データ中に印刷終了コマンドがあれば印刷終了と判断され、用紙5が自動で送り出されて最終ページ末端(最終カット位置)が自動で切断される。そして最終ページ末端で切断されるだけでなく、その紙送り途中に加工器を通過することになる仮想ラインがあれば、途中で一時停止しながら用紙5の仮想ラインに加工が施される。従って、印刷終了後も全ての仮想ラインに漏れなく自動で加工が施され、最終ページの末端も自動で切断される。このときも用紙5が紙送り方向に後戻りすることなく送り出されながら途中で一時停止して加工が施されるので、時間がかからずしかも印刷面に擦れによる傷等が発生し難い。
【0074】
(4)プリンタ1に搭載された折り器15とカッタ16により、用紙5を紙送り方向に送り出す途中で一時停止しながら順番に折目付け、切断の加工を施す構成であるため、カット位置や折目位置のレイアウトに依らず漏れなく加工を施すことができる。また折り器15とカッタ16を備えることから、CDケース等に装着される化粧紙を印刷する場合、その印刷された用紙5がプリンタ1から排出されるときには、化粧紙の印刷と折目付けと切断の全てが完了しているので、この種の印刷製品の生産性が非常に高くなる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について図7〜図9に基づいて説明する。この実施形態では、入力装置36から入力されたカット位置、折目位置、ミシン目位置などの加工位置データを基にプリンタドライバ33が紙送り量を計算する。そのため、プリンタ側で紙送り量を分割する計算の必要がなく、印刷データに付された紙送りコマンド通りの紙送り量で紙送りすればよい。また画面上で加工を施すべき仮想ライン位置の入力設定操作を簡単にしている。
【0076】
図7は、印刷システムの概略構成を示すブロック図である。
第1の実施形態と異なる部分は、プリンタドライバ33が、加工位置データを基に紙送り量を計算する紙送量算出部71を備える。コマンド生成部72は、紙送量算出部71により算出された紙送り量を基に紙送りコマンドを生成する。そして、この紙送りコマンドを付した印刷データがプリンタ1に送信(出力)される。プリンタ1側には第1の実施形態にあった位置算出部65はない。
【0077】
またプリンタドライバ33が備えるレイアウト位置設定部73は、設定画面表示データ記憶部74に記憶された各種データを基に画面表示を制御し、入力装置36を用いて画面上で加工位置データを設定変更するための支援を行う。このようにプリンタドライバ33は、加工位置データの設定変更支援処理と、加工位置データから紙送りコマンドを生成する紙送りコマンド生成処理を司る。
【0078】
プリンタドライバ33は、CD−ROMに記憶された印刷制御プログラムとしてのプリンタドライバ用プログラムがホストコンピュータ31にインストールされることにより構築される。レイアウト位置設定部73は、図9にフローチャートで示す加工位置設定変更支援プログラムを備える。
【0079】
まず加工位置設定変更を支援する画面処理について図8,図9に基づいて説明する。なお、このプリンタ1には、折り器15とカッタ16との間に用紙5にミシン目を施す図示しないミシン目加工器が配設されている。図8は設定画面75を示す。この設定画面75では、カッタ、折れ目、ミシン目の設定が可能である。これらの用紙上の仮想ライン位置の設定変更を支援するプログラムの1つが、図9のフローチャートである。
【0080】
図8に示すように、レイアウト設定画面75には、印刷単位としての1ページについて、ページ長PL、トップマージンTM、ボトムマージンBM、カット位置C1,C2、折目位置F1,F2、ミシン目位置M1,M2を入力装置36の操作によって入力指定することが可能である。設定画面75には、カットボタン76、折目ボタン77、ミシン目ボタン78、表示線設定ボタン79が用意されている。各ボタン76,77,78は、ページ画47上にカット位置(同図の黒三角の位置マーク)、折目位置(同図の白三角の位置マーク)、ミシン目位置(同図の白黒三角の位置マーク)を設定するためのものである。各ボタン76,77,78は操作されると、対応する各位置マークと、位置マークに対応する位置に線、すなわちカット線(同図実線)、折目線(同図破線)、ミシン目線(同図一点鎖線)がそれぞれ表示され、さらに対応する位置データの名称とともに入力欄46が表示される。つまり入力欄46は、ボタン76,77,78を操作した数だけ自動で設定される。
【0081】
また表示線設定ボタン79は、表示線の線種および線色を指定するためのものであり、ボタン76,77,78のうち1つを選択(有効)状態にして、表示線設定ボタン79を操作すると、同図に示す表示線選択画面80が表示される。この画面80上で線種と線色を選択すると、カット、折目、ミシン目のうち選択されたボタンに対応するものの表示線が選択した内容に設定される。なお、印刷単位とは、レイアウトを設定する単位である。
【0082】
入力装置36の操作によりページ画47では位置マークをマウス(同図マウス矢印)で選択して位置マークを上下にシフトできるようになっており、ラインをシフトすると入力欄46にそのラインの位置に応じた各値を指定することができ、また入力欄46に数値を入力すれば、それに対応する位置にラインがシフトする。これらの値PL.TM,BM,C1,C2,F1,F2を全て入力した後にOKボタン48を操作すると、これらのページデータPL,TM,BMおよび加工位置データC1,C2,F1,F2はレイアウト位置受付部42に受け付けられる。
【0083】
加工位置設定変更支援のための処理について図9のフローチャートに従って説明する。
まずS210〜S230の各処理は、カットボタン76、折目ボタン77、ミシン目ボタン78のうちいずれかが選択されたかを判断するための処理である。
S210ではカット選択かどうかを判断する。すなわちカットボタン76が選択されたか否かを判断する。S220では折目選択かどうかを判断する。すなわち折目ボタン77が選択されたか否かを判断する。S230ではミシン目選択かどうかを判断する。すなわちミシン目ボタン78が選択されたか否かを判断する。各S210〜S230において該当するボタンが選択されていないときには次のボタン選択判断の処理に移り、該当するボタンが選択されているときにはS240に進む。つまり、3つのボタン76〜78のうち1つが選択されるとS240に進む。
【0084】
S240では、選択された項目(カット、折目、ミシン目)のマークCM,FM,MMと指定線CL,FL,MLを表示させる。例えばカットボタン76が選択されたときには、マークCM(黒三角)と指定線MLが表示される。このとき指定線CLは表示線設定ボタン79を選択して開かれた表示線選択画面80上で予め設定された線種および線色で表示される。また、このとき表示される指定線CLの位置は例えばデフォルト値で必ずしもユーザの希望する位置とはなっていない。ユーザは指定線をマウスを使って位置操作して希望する位置を設定する。なお、図8では図示していないが、ページ画47には印刷画像も表示されるので、ユーザは印刷画像を見ながら、適切なカット位置、折目位置、ミシン目位置を設定できる。
【0085】
S250では、マークをマウスで選択して移動させたか否かを判断する。マークを移動させていないときは、次の操作がなされるまでそのまま待機する。ここでは、マウスによるマークの移動操作がなされたかの判断処理のみ示しているが、その他の操作(他のボタン選択操作など)がなされたときにもこの処理から抜けるようになっている。マークの移動操作があったときには次のS260に進む。
【0086】
S260では、マウスの移動方向へマークと指定線を移動させる表示処理を行う。例えばマウスを操作してマークを上方または下方へ移動させて位置調整することによりそれに連動して指定線が一緒にシフトし、ユーザの希望する位置に指定線が設定変更される。
【0087】
S270では、指定線の位置寸法を表示枠(入力欄)46内に表示させる処理を実行する。この結果、マウスで操作したマークに対応する入力欄46には指定線の位置寸法を示す数値が表示されるので、この数値をみながらユーザは指定線の位置調整を行うことができる。例えば図8に示すようにカットボタン76が選択された状態で、マウス(同図の矢印マークがそのポインタ)でマーク(黒三角マーク)を操作して指定線の位置調整をすると、入力欄46には同図に示すように指定線の位置寸法を示す数値(この例では「35」)が表示される。
【0088】
こうして設定画面75に用意されたボタン76〜78の操作と、マウスによるマークの位置調整操作とによって、ページ画47上にカット位置、折目位置、ミシン目位置を設定することができる。なお、入力欄46に入力表示された数値をキーボードを操作して変更すると、その入力欄46に対応する位置マークおよび指定線がその入力値の位置にシフトするようになっている。そして、カット位置、折目位置、ミシン目位置のうち希望するものを全て希望する位置に設定し終わると、設定画面75上のOKボタン48を操作し、用紙上に加工を施すべき各仮想ラインの位置を確定する。
【0089】
確定された各加工位置データ(カット位置データ、折目位置データ、ミシン目位置データ)およびその他のレイアウトデータ(トップマージンやボトムマージン)はレイアウト位置設定部73から紙送量算出部71に送られる。
【0090】
紙送量算出部71は、印刷条件データ、印刷データおよび各加工位置データを基に紙送り量を算出する。すなわちプリンタドライバ33に設定された印刷条件データから印刷時の紙送りピッチや改ページの紙送り量などのデータが定まる。また、ラスタライズ処理部40では印刷すべき画像中に余白部があればその余白部は紙送りの対象とされる。紙送量算出部71は、印刷条件データおよび印刷データから決まる紙送り量を、加工を施すべき仮想ラインが対応する加工器と一致する状態に停止するように適宜に分割処理し、これらの各種データを基に紙送り量を算出する。ページ画47における各位置データTM,BMCi,Fj,Mk(i,j,k=1,2,…)および印刷画のラスタデータから決まる印刷位置を基に、紙送り方向における印刷位置および加工位置で用紙が停止されるように紙送り量を計算する。コマンド生成部72は紙送量算出部71により求められた紙送り量をコマンドにして紙送りコマンド(印刷データコマンド)を生成し、これをヘッダに付して印刷データを作成する。すなわち、第1の実施形態の紙送りコマンドは、用紙上の印刷位置を印刷ヘッド位置に停止させる紙送り量を指示するものであった。これに対し、この実施形態のプリンタドライバ33が生成する紙送りコマンドは、用紙上の印刷位置を印刷ヘッド位置に停止させる紙送り量と、用紙上の仮想ラインを加工器と一致する位置に停止させる紙送り量とを指示する。
【0091】
加工器である折り器15、カッタ16およびミシン目加工器は、印刷ヘッド10の排出側にそれぞれ異なる距離離れた位置に配置されている。印刷ヘッド10と各加工器15,16等との各距離をそれぞれ考慮して、仮想ラインがそれと対応する加工器に一致した状態(仮想ラインに加工を施し得る位置状態)で停止する紙送りがなされ得る紙送り量が算出される。紙送りコマンドは紙送り命令と紙送り量とを含む。
【0092】
コマンド生成部72では、紙送りコマンドと共にその紙送り後に実行すべき処理を指示するコマンドも作成される。このコマンドには、加工のための紙送り後にどの加工器のアクチュエータを作動させるかを指令するコマンド(アクチュエータコマンド)が含まれている。すなわち、カッタ位置データから決まる紙送りコマンドの次の指示としてカッタ作動コマンドが設定され、折目位置データから決まる紙送りコマンドの次の指示として折器作動コマンドが設定される。さらにミシン目位置データから決まる紙送りコマンドの次の指示としてミシン目加工作動コマンドが設定される。このミシン目加工作動コマンドの指示に従って、加工実行部68はミシン目加工用モータ81をモータ駆動回路82を介して駆動制御する。なお、印刷データコマンドには、紙送りコマンドの他、印刷制御をするために必要な各種コマンドが含まれる。
【0093】
そして、コマンド生成部72で生成されたコマンドが付された印刷データPDが、プリンタドライバ33からプリンタ1に転送される。プリンタ1内のコマンド解析部61は印刷データPDに付されたコマンドを解析する。コマンド解析により得られた紙送り量と、その紙送り後に作動されるべきアクチュエータの種類を示す各データが位置算出部65に送られる。
【0094】
現在ヘッド位置(印刷位置)の絶対位置Ppreが、前記第1の実施形態と同様に、位置カウンタ64のカウント値から知ることができる。位置算出部65は、位置カウンタ64のカウント値(現在印刷位置Ppre)と紙送り量Sreqとに基づいて、処理前のページについてのカット位置AC、折目位置AF、ミシン目位置AMを算出する。その算出した位置データAC,AF,AMは位置記憶部66に記憶される。位置記憶部66に記憶された位置データは、アクチュエータを駆動するタイミングを決めるために使用するものであり、前記第1の実施形態のように紙送り量Sreqを分割変更するために使用するものではない。
【0095】
紙送加工制御部67は、コマンド解析より得られた紙送り量Sreqで紙送りするスケジュールを立てるとともに、位置カウンタ64のカウント値が位置記憶部66に記憶された位置データの値となったときに、それと対応するアクチュエータを作動させるスケジュールを立てる。
【0096】
印刷実行部63は、モータ駆動回路52に紙送りモータ22を駆動させるステップ数(紙送り量Sreq)を指令する。紙送りモータ22が紙送り量Sreqだけ駆動されることで用紙は紙送りされる。加工実行部68は、位置カウンタ64のカウント値が位置記憶部66に記憶された位置データに一致すると、紙送りモータ22の停止確認後、その位置データに対応するアクチュエータを駆動させる。すなわち、カウント値がカット位置ACに一致するとモータ駆動回路54を介してカッタ用モータ24が駆動され、用紙のカット動作が行われる。また、カウント値が折目位置AFに一致するとモータ駆動回路53を介して折器用モータ23が駆動され、用紙5に折り目を付ける折目付け加工が行われる。さらにカウント値がミシン目位置AMに一致するとモータ駆動回路82を介してミシン目加工用モータ81が駆動され、用紙5にミシン目を入れるミシン目加工が行われる。
【0097】
この実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果の他、次の効果が得られる。
(5)入力された加工位置データを基にホストコンピュータ31内のプリンタドライバ33が加工位置で停止させることを予め考慮して紙送り量を計算し、その紙送り量をコマンドにした紙送りコマンドを付した印刷データPDを作成する。よって、プリンタ1は、紙送りコマンドに従って紙送り制御をするだけで、用紙5上の仮想ラインが加工器15,16等に一致する状態に用紙5を停止させる紙送りをすることができる。このため、高い処理能力を持つホストコンピュータ31内のCPUが紙送り量を分割する計算処理を受け持つので、プリンタ1内のCPU等に負担がかからない。
【0098】
(6)設定画面75上において入力装置36を用いて加工位置データを入力する際、ボタン操作とマウス操作による指定線の位置調整により簡単に加工位置設定が可能なので、加工位置設定操作や設定変更操作が簡単である。また指定線の線種および線色を加工内容毎に異ならせて表示できるので、見分け易く、見易さの点でも設定操作がし易い。
【0099】
なお、実施の形態は、上記に限定されず次のような態様でも実施できる。
(変更例1) 第2の実施形態においては、印刷制御を行う印刷実行部63と、加工器用アクチュエータを制御する加工実行部68との2つに実行部に分けた構成としたが、1つの実行部にすることもできる。すなわち、1つのCPUまたは1つのASICが印刷制御および加工制御を実行するようにし、例えば1つのCPUおよびプログラムにより、印刷・加工のためのスケジュールを立てる紙送加工制御部67と、印刷・加工を実行する印刷加工実行部とが構成される。その他の前記絶対位置カウンタ64、位置算出部65および位置記憶部66は廃止または当該制御に使用しない。この場合、プリンタドライバ33が加工器用アクチュエータの作動命令をするために生成したアクチュエータコマンドが、印刷データのヘッダに紙送りコマンドと共に付されている。紙送加工制御部67は、コマンド解析部61のコマンド解析結果を基に紙送り量Sreqの紙送り動作および加工器用アクチュエータの作動のスケジュールを立てる。印刷加工実行部は紙送加工制御部67が立てたスケジュールに従って紙送りモータ22および加工器用アクチュエータ23,24,81を作動制御する。この構成によれば、紙送り動作と加工器用アクチュエータの作動は、コマンドに従って制御されるので、加工器用アクチュエータの作動タイミングを決めるために加工位置を管理することが不要になるので、プリンタ内のCPU等の一層の負担軽減に寄与する。
【0100】
(変更例2) 第1の実施形態において、加工器は、カッタと折り器に限定されない。印刷された用紙にミシン目を入れるミシン目加工器を追加してもよい。もちろん、これら以外の加工器を設けてもよい。要するに印刷された用紙に所定の加工を施す加工器であればよい。他の加工器であっても印刷された用紙にその紙送り過程で効率よく加工を施すことができる。
【0101】
(変更例3) 前記各実施形態では2つまたは3つの加工器を設けたが、1つの加工器を設けるだけでもよい。例えばカッタのみを設ける構成でもよい。また折り器のみを設ける構成でもよい。さらにミシン目加工器のみを設ける構成でもよい。これらいずれの構成であっても、1つの加工器により印刷された用紙にその紙送り過程で効率よく加工を施すことができる。
【0102】
(変更例4) 複数の加工器を設ける場合、カッタと折り器の組み合わせに限定されない。例えばミシン目加工器とカッタの組み合わせでもよい。またミシン目加工器と折り器の組み合わせでもよい。さらにカッタと折り器とミシン目加工器の3つ設けても構わない。これらいずれの構成であっても、印刷された用紙に複数の加工器によりその紙送り過程で効率よく複数種の加工を施すことができる。
【0103】
(変更例5) 印刷データに付される紙送りコマンドに加工のための紙送り量を始めから指定しておき、その紙送りは印刷用ではなく加工器の作動用である旨と、どの加工器(アクチュエータ)を作動せるかの旨を指定するコマンドとしておく。そして、プリンタ側ではそのコマンドの指示に従って紙送りモータおよび加工器のアクチュエータを作動制御する印刷用紙加工制御を採用することもできる。
【0104】
(変更例6) 加工位置を、位置カウンタ64のカウント値(絶対位置)により印刷ヘッド位置で管理して紙送り加工制御を行ったが、用紙の絶対位置を管理する基準位置は印刷ヘッド位置以外のどの位置をとってもよい。また、加工器が1つであれば、加工位置として用紙上の仮想ラインの位置を用いて紙送り加工制御を行ってもよい。
【0105】
(変更例7) 加工位置を指定するための入力画面表示用データや加工位置データを受け付ける受付処理用プログラム等は、プリンタドライバに備えられていることに限定されない。アプリケーションプログラムに設けられていても構わない。
【0106】
(変更例8) 用紙はロール紙に限定されず、プリンタもロール紙対応型のものに限定されない。用紙は長票でもよく、また長票を印刷できるプリンタであればよい。
(変更例9) キャリッジにカッタを設けて、前記実施形態と同様の紙送り加工制御を行ってもよい。この場合、アクチュエータはキャリッジモータとなる。
【0107】
(変更例10) 前記実施形態では、加工を施すときには印刷動作を一時的に停止したが、印刷動作と同時並列的に加工器を作動させても構わない。
(変形例11) 前記各実施形態では、ホストコンピュータ(PC)から受信した印刷データに基づき印刷を行うプリンタ(印刷装置)に適用したが、ホストコンピュータ(PC)を介さず単独で印刷できるいわゆるスタンドアロン型のプリンタに本発明を適用することもできる。スタンドアロン型のプリンタ(印刷装置)は読取装置を備え、読取装置のスロットに挿入されたメモリカードから画像データを読み取る。この画像データを印刷データに変換する変換処理を行う画像処理部と、該画像処理部で変換処理された印刷データに基づき印刷処理を行う印刷処理部とを有する制御装置(例えばCPUとASIC等)を本体に内蔵する。この場合、制御装置には、前記各実施形態と同様の機能を有する制御部50を備えるが、加工種類および加工位置などの加工条件指定情報(加工種類指定情報と仮想ライン指定データを含む)を、操作パネル上でユーザが入力設定できる機能も兼ね備えている。スタンドアロン型プリンタの本体に設けられた操作パネルには、例えば液晶表示部からなる表示装置(表示手段)の表示画面(設定画面)と、各種設定条件等を設定操作するための入力操作手段としての操作部(操作スイッチ)とが設けられている。設定画面では加工種類と仮想ライン位置の選択設定ができるようになっている。またスタンドアロン型プリンタは本体にモニタ装置を備え、ユーザが設定画面で選択した印刷画像がモニタ装置のモニタ画面にプレビュー表示される。前記第2の実施形態では、仮想ライン指定データをユーザがホストコンピュータ側で入力設定する構成であったが、スタンドアロン型プリンタでは、その本体の操作パネルを使ってユーザが設定画面を見ながら操作部を操作することで仮想ライン指定データをプリンタに直接入力設定できるように構成されている。加工位置については数値入力により微調整設定できるようになっており、その入力内容はモニタ画面の印刷画像上に反映され、加工位置は印刷画像上に例えば第2の実施形態と同様な加工内容の種別を識別できる線種や線色のライン等で描画される。メモリには設定画面表示用のメニューデータ、およびモニタ表示用の描画処理データと描画処理プログラムが記憶され、CPUが操作部からの入力データに基づき設定プログラムを実行することにより、上記表示処理および描画処理を含む設定処理が実行される。
【0108】
(変形例12) 仮想ライン指定データはユーザが入力操作手段(入力装置35)から入力する加工位置データ(仮想ラインデータ)から生成する方法に限定されない。例えば、他の設定情報から制御部(CPU)が、加工位置を判断して取得し、これを基に仮想ライン指定データを生成する方法を採用することもできる。例えば設定用紙サイズの情報に基づき制御部が設定用紙サイズで用紙がカットされる位置を仮想ライン指定データとして判断し取得するようにする。この場合、設定画面では用紙サイズを指定できるようになっており、制御装置(CPU)は設定用紙サイズの情報に基づき設定用紙サイズで用紙がカットされる位置を仮想ライン指定データとして判断し取得するようにする。また設定画面では印刷領域(例えばレイアウト情報等)を指定できるようになっており、制御装置(CPU)は指定された印刷領域の情報に基づき印刷領域毎に用紙がカットされる位置を仮想ライン指定データとして判断し取得するようにする。画像領域に応じて1カット(画像と画像の間のカット位置が1箇所)する場合は、隣接する画像の境界位置を仮想ライン指定データとし判断し取得する。2カット(画像と画像の間のカット位置が余白を切り捨てるために2箇所)する場合は、画像間の余白を除去できる二位置でカットするように仮想ライン指定データを判断し取得する。さらに用紙サイズや印刷領域の情報はユーザが直接指定した情報に限定されず、制御装置が用紙サイズセンサの検出情報や画像指定領域などの他の情報に基づき判断しても構わない。これらの構成によれば、プリンタ側で自動で加工位置(仮想ライン位置)を認識して適切な位置で用紙が加工される。よって、ユーザは加工位置(仮想ライン位置)の入力操作をしなくて済み、仮に自動で認識された加工位置が不適切な場合は、不適切な位置のみ訂正の入力操作をすれば済むので、ユーザの入力操作は軽減される。
【0109】
(変形例13) 加工器のアクチュエータを制御するためにカウンタ等により管理する仮想ライン位置は、用紙上の絶対位置に限定されない。用紙上の相対位置で仮想ライン位置を管理して加工器のアクチュエータを制御する方法も採用できる。
【0110】
前記実施形態及び別例から把握される技術的思想を、以下に記載する。
(1)印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段とを有する印刷装置において、用紙上の任意の位置に仮想ラインを入力設定する入力操作手段を備え、前記制御手段は、前記入力操作手段からの仮想ラインデータに基づき用紙上の仮想ラインの位置を取得するとともに、継続するデータを印刷すべく所定量の紙送りを実行する際、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう搬送手段を制御し、前記継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインで用紙に加工を施すよう加工手段を制御することを特徴とする印刷装置。
【0111】
(2)前記技術的思想(1)において、前記仮想ラインの設定画面を表示させる表示手段を備え、前記入力操作手段の操作により前記設定画面上で選択入力された仮想ラインデータに基づいて用紙上の仮想ラインの位置を取得することを特徴とする印刷装置。
【0112】
(3)前記技術的思想(2)において、記憶媒体から画像データを読み取る読取手段と、前記画像データに基づく印刷画像を画面に表示する表示手段と、前記画面において前記入力操作手段により指定された仮想ラインと対応する印刷画像上の位置に仮想ラインを描画する描画手段とを備えたことを特徴とする印刷装置。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施形態における印刷システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】ページレイアウト設定のための設定画面図。
【図3】印刷データ図。
【図4】プリンタの概略構成を示す模式側面図。
【図5】紙送り加工制御ルーチンのフローチャート。
【図6】(a)〜(c)紙送り加工制御を説明する説明図。
【図7】第2の実施形態における印刷システムの概略構成を示すブロック図。
【図8】ページレイアウト設定のための設定画面図。
【図9】加工位置設定支援処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0114】
1…印刷装置としてのプリンタ、3…ロール紙、5…用紙、10…印刷手段を構成する印刷ヘッド、11…キャリッジ、15…加工器としての折り器、16…加工器としてのカッタ、22…紙送り手段としての紙送りモータ(ステッピングモータ)、23…アクチュエータとしての折目用モータ、24…アクチュエータとしてのカット用モータ、31…ホストコンピュータ、33…プリンタドライバ(ドライバプログラム)、35…表示手段としての表示装置、36…加工位置指定手段および入力操作手段としての入力装置、37…印刷手段を構成する解像度変換部、38…印刷手段を構成する色変換処理部、39…印刷手段を構成するハーフトーン処理部、40…印刷手段を構成するラスタライズ処理部、41…コマンド付与手段としてのコマンド生成部、42…印刷制御手段および加工位置指定手段を構成するレイアウト位置受付部、43,74…設定画面表示データ記憶部、45…入力画面(設定画面)、52,53,54…制御手段を構成するモータ駆動回路、61…コマンド解析部、63…制御手段を構成する印刷実行部、64…絶対位置カウンタ
65…位置算出部、66…位置記憶部、67…制御手段を構成する紙送加工制御部68…制御手段を構成する加工実行部、71…紙送量算出部、72…コマンド生成部、73…加工位置指定手段を構成するレイアウト位置設定部、75…入力画面(設定画面)、81…ミシン目加工用モータ、Ppre,Psc…絶対位置、AC,AF…仮想ライン(絶対位置)、P1,P2…加工位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、
用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、
印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、
用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と
を有する印刷装置において、
前記制御手段は前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、
用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、
印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、
用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、
を有する印刷装置において、
前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換し、
継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、前記加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断し、
越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで停止した用紙に対し、前記継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記仮想ライン及び加工位置は、前記加工手段と前記印刷ヘッドとの距離分だけシフトさせた印刷ヘッドに対応する用紙上の位置として管理することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記加工手段が用紙上の仮想ラインで用紙に加工を施した後、前記第2の紙送り量の用紙搬送を搬送手段に実行させ、その上で前記継続するデータの印刷を再開することを特徴とする請求項2乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記用紙上の仮想ラインは、設定用紙サイズまたは用紙上の印刷領域またはユーザ指定を基に得られることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記加工とは用紙を切断すること、又は用紙に折り目を付けること、または用紙にミシン目をつけることのいずれかである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
さらに前記用紙上の任意の位置を仮想ラインとして指定可能な加工位置指定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置と、
ホストコンピュータと、
を備えた印刷システムにおいて、
前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な位置で管理することを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置と、
ホストコンピュータと、
を備えた印刷システムにおいて、
前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理するとともに、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換し、継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、前記加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断し、越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで停止した用紙に対し、前記継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段と、を有する印刷装置の印刷方法であって、
前記制御手段は、前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量の累積値で求まる用紙上の論理的な絶対位置で管理する工程と、
用紙上の仮想ラインが加工手段による加工実施位置に達したと判断すると、搬送手段を制御して用紙を停止させる工程と、
継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御する工程と、
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項11】
印刷ヘッドとキャリッジの駆動により用紙に印刷を行う印刷手段と、用紙を印刷ヘッドを挟んで上流から下流へ搬送する搬送手段と、印刷ヘッドより下流の固定位置で、用紙上の仮想ラインに対して加工を施す加工手段と、用紙搬送と印刷実行を交互に行い、必要に応じて用紙を停止させた上で前記加工を行うよう前記印刷手段と搬送手段と加工手段を制御する制御手段とを有する印刷装置の印刷方法であって、
前記用紙上の仮想ラインを、前記搬送手段に与えられる用紙の搬送量を複数の印刷単位に跨って累積した累積値で規定される用紙上の論理的な絶対位置で管理する工程と、前記加工手段による加工が施されるべき加工位置であって前記印刷単位における相対位置で指定された当該加工位置を前記論理的な絶対位置に変換する工程と、
継続するデータを印刷すべく前記所定量の紙送りを実行する場合、用紙上の仮想ラインが、加工手段の加工位置を越えるか否かを前記論理的な絶対位置で判断する工程と、
越えると判断した場合、用紙上の仮想ラインが加工手段の加工位置に達したところで用紙が停止するよう当該所定量の紙送りを第1の紙送り量と第2の紙送り量に分割する演算処理を行った上で、当該第1の紙送り量の用紙搬送を当該第2の紙送り量の用紙搬送に先んじて実行することにより、前記仮想ラインが前記加工位置に達したところで用紙を停止させる工程と、
停止した用紙に対し、継続するデータの印刷を留保した上で、該用紙上の仮想ラインに加工を施すよう加工手段を制御する工程と、
を有する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−216693(P2007−216693A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133045(P2007−133045)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【分割の表示】特願2002−94610(P2002−94610)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】