説明

印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 リプリントのための記憶部に、同じ内容の印刷データが複数残らないようにする。
【解決手段】
データ処理装置から受信して保持手段に保持される印刷ジョブを再印刷処理する印刷装置であって、前記印刷ジョブの再印刷を実行するリプリントモードを設定する設定手段と、前記リプリントモードが設定されている状態で、前記データ処理装置から印刷ジョブを受信する毎に、当該受信した印刷ジョブと重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されているかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段が重複する印刷ジョブが前記保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されていると判断した場合、前記保持手段に保持された前記重複する印刷ジョブを消去する消去手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信して保持される印刷ジョブを再印刷処理する印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるドキュメントの印刷後に同じドキュメントをもう一部印刷したいというユーザ要求がある。この要求に対して、データ処理装置から印刷データを再送することなく、画像形成装置のパネル操作による再印刷(以降、リプリントと呼ぶ)指示に従ってそのドキュメントの印刷を行うリプリント機能がある(例えば、特許文献1)。
通常の印刷処理では、印刷装置は、データ処理装置から送信された印刷データを印刷装置内部の記憶装置に保存し、印刷処理が終了したあとに保存した印刷データを削除する。しかし、このリプリント機能を有する印刷装置は、印刷処理が終了したあとも印刷データを削除しないで、記憶装置の空きがなくなるまで保存し続ける。それによって、ユーザは、データ処理装置から印刷データを再送することなく、印刷装置のパネル操作によるリプリント指示によって一度印刷した画像を再度印刷することができる。
このリプリント機能を用いる場合、印刷装置は、受信した印刷ジョブを記憶装置内のリプリント用の記憶部に自動的に保存していく。そのため、リプリント用の記憶部がフルになったときに、次に受信する印刷ジョブを保存するための領域を空けるために記憶部内のいずれかのジョブを削除しなければならない。
ここで、特許文献1の場合、印刷装置は、印刷ジョブの受信時に、リプリント用記憶領域に保存しているジョブのうち保存した日時情報の最も古いジョブを削除して次のジョブを保存するための領域を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−63158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、同じ内容の印刷データが複数記憶されていても、一番古い印刷ジョブが消去されてしまう。そのため、例えば、同じ内容の印刷データを複数回続けて受信して印刷した場合に、リプリント用記憶領域には同じ印刷データが複数記憶されてしまう。それによって、ユーザがリプリントを希望する印刷データがリプリント用の記憶部に残っていない可能性が高くなってしまう。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、リプリントのための記憶部に、同じ内容の印刷データが複数残らないようにする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の印刷装置は以下に示す構成を備える。
データ処理装置から受信して保持手段に保持される印刷ジョブを再印刷処理する印刷装置であって、前記印刷ジョブの再印刷を実行するリプリントモードを設定する設定手段と、前記リプリントモードが設定されている状態で、前記データ処理装置から印刷ジョブを受信する毎に、当該受信した印刷ジョブと重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されているかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段が重複する印刷ジョブが前記保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されていると判断した場合、前記保持手段に保持された前記重複する印刷ジョブを消去する消去手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、リプリントのための記憶部に、同じ内容の印刷データが複数残らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】印刷装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示したコントローラの構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したコントローラのデータフロー制御の流れを示す図である。
【図4】保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】リプリント指示を受け付けるためのUI画面の一例を示す図である。
【図6】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図9】印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
(プリンタのシステム構成の説明)
【0009】
図1は、本実施形態を示す印刷装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
図1において、データ処理装置101は、例えば、コンピュータであり、USBケーブルまたはネットワークを介して印刷装置102に接続されている。データ処理装置101は、コンピュータ上のアプリケーションソフトを用いて画像データを生成し、生成された画像データをプリンタドライバを介して印刷データ変換し、変換された印刷データを印刷装置102に送信する。この印刷データには、プリンタドライバを介して、ユーザから受け付けた印刷設定が含まれる。
印刷装置(プリンタ)102は、データ処理装置101から受信した印刷データに従って印刷を実行する。本実施形態では、印刷装置102の例としてレーザビームプリンタを用いて説明する。しかしながら、印刷装置102は、レーザビームプリンタに限られるものではなく、インクジェットプリンタ等他のプリント方式のプリンタでもよい。
本実施形態における印刷装置102は、データ処理装置から受信した印刷データを記憶部に記憶しておき、記憶された印刷データを再印刷(リプリント)する機能を有する。
印刷装置102は、コントローラ302、プリンタエンジン303、パネル部301を有する。
コントローラ302は、データ処理装置101から送信される印刷データ(PDLデータ)に基づいて、ページ毎にラスタデータを生成し、プリンタエンジン303に送出する。
プリンタエンジン303は、コントローラ302から供給されるラスタデータに基づいて、感光ドラム上に潜像を形成し、その潜像を記録媒体上に転写・定着(電子写真方式)することにより画像を記録する。
パネル部301は、表示部とハードキーによって構成される。パネル部301は、ハードキーを介して、ユーザからの所望の動作指示や設定指示を受け付け、受け付けた指示をコントローラ302に伝える。また、パネル部301は、コントローラ302の指示に従って、印刷装置102のステータスやユーザへの警告を表示部に表示する。なお、パネル部301は、表示部にタッチパネルシートを備え、当該タッチパネルシートを介してユーザからの指示を受け付けるようにしてもよい。
(コントローラのシステム構成の説明)
【0010】
図2は、図1に示したコントローラ302の構成例を示すブロック図である。
コントローラ302のCPU409は、印刷装置102を統括的に制御する。
パネルインタフェース部401は、パネル部301とのデータ通信を行う。パネルインタフェース部401は、パネル部301を介してユーザが入力した設定および指示の内容を受け付け、受け付けた指示をCPU409に転送する。
ホストインタフェース部402は、ネットワークを介してホストコンピュータ等のデータ処理装置101と双方向に通信接続する。
中間データ作成部403は、ホストインタフェース部402を介してデータ処理装置101から受信した印刷ジョブを印刷装置102内部で扱いやすい形である中間データに変換する処理を行う。
ROM404は、本発明で説明する処理や、その他印刷装置102の行う制御プログラムコードを保持する。
RAM405は、CPU409のワークメモリとして機能する。CPU409がRAM405に格納するデータには何種類かある。例えば、ホストインタフェース部402を介して受信した印刷データ、印刷データを解釈して生成される中間データ、中間データをレンダリングして生成されるビットマップ、その他の処理に必要な一時的な各種処理ステータスなどがある。
二次ストレージ421は、ホストインタフェース部402を介して受信した印刷データやその他のログ情報などを保存する。二次ストレージ421の例として、HDDやSDカード、SSDなどがある。
エンジンインタフェース部406は、プリンタエンジン303と通信する。CPU409は、エンジンインタフェース部406を介して、プリンタエンジン303の状態を認識したりすることができる。
DMA制御部(DMAC)407は、CPU409とは独立してRAM405に対するダイレクトメモリアクセスを制御する。例えば、DMA制御部407は、CPU409の指示に従って、RAM405内に格納されているビットマップデータを、エンジンインタフェース部406に転送する。
【0011】
レンダリング部408は、RAM405に格納された中間データを、ビットマップイメージに展開する。
不揮発性メモリEEPROM410は、印刷装置102の設定情報を保持する。メディアインタフェース部411は、USBメモリ等のリムーバブルメディア304から画像データ、プログラムデータ、機器設定データ等の各種データを読み取ったり書き込んだりする。
【0012】
これらの構成は、CPUバス420によって接続されている。
【0013】
(印刷ジョブのデータフロー制御の説明)
図3は、図1に示したコントローラ302のデータフロー制御の流れを示す図である。
図3において、受信バッファ501は、RAM405に論理的に確保される。ジョブスプール領域502は、二次ストレージ421に論理的に確保される。受信バッファ501は、通常ジョブスプール領域502より容量が小さい。イメージスプール領域503は、RAM405に論理的に確保される。
ホストインタフェース部402は、受信バッファ501が空であれば、データ処理装置101より印刷データを受信し、受信バッファ501に保存する(S601)。また、CPU409は、受信バッファ501に印刷データが保存されたという通知を受けたときに、ジョブスプール領域502に受信バッファ501の容量と同じサイズの空きがあることを確認する。次に、CPU409は、空きがなければ空きができるまで待機し、空きがあればジョブスプール領域502に印刷データを印刷ジョブとして保存するとともに、受信バッファ501のデータを消去して受信バッファ501を空にする(S602)。
【0014】
なお、図6、図7、図8において後述するように、CPU409は、一方でジョブスプール領域502に保存されている保存ジョブを消去する処理も非同期に行っている。さらに、中間データ作成部403は、イメージスプール領域503に所定のサイズの空きがあるという条件のもとで、ジョブスプール領域502に保存されている印刷ジョブを読み出し、PDL解釈処理(中間データ作成処理)を行う。
そして、中間データ作成部403によって作成された中間データは、RAM405に論理的に確保された不図示のバッファに保存される。レンダリング部408は、不図示のバッファに保存されている中間データに従ってレンダリング処理を開始し、レンダリング処理によって生成されるビットマップイメージをイメージスプール領域503に保存する(S603)。エンジンインタフェース部406は、プリンタエンジン303と同期を取りながら、DMA制御部407を介してイメージスプール領域503のビットマップイメージをプリンタエンジン303に転送する(S604)。
【0015】
(リプリントモードの説明)
本実施形態における印刷装置102は、データ処理装置101より印刷データを受信して印刷する通常モードの他にリプリントモードを備えており、リプリントモードと通常モードを本体のユーザメニューの設定によって切り替えることができる。
ここで、リプリントモードは、一度印刷した印刷ジョブをジョブスプール領域502に保存したままにしておいて、別のタイミングでその保存されている印刷ジョブをユーザからの印刷指示に従って再度印刷するプリントモードのことである。
プリントモードがリプリントモードに設定されているときには、CPU409は、印刷ジョブが終了してもジョブスプール領域502に自動保存した保存ジョブデータを消去しないまま残しておくように制御する。
また、CPU409は、リプリントモードに設定されているときには、図4において後述する保存ジョブ管理テーブルに従って保存ジョブを管理する。
【0016】
また、CPU409は、ジョブスプール領域502の保存ジョブを、パネルインタフェース部401を介してパネル部301にリプリント可能なジョブリストとして表示する。リプリント可能なジョブリストを示すパネル部301の表示画面は図5において後述する。リプリント可能なジョブリストの選択および表示処理手順に関しては、図9において後述する。
CPU409は、パネル部301に表示したリプリント可能なジョブリストに対して、パネル部301を介してユーザからリプリント指示を受け付けた場合、その指示対象の保存ジョブをプリンタエンジン303に出力して印刷する。
【0017】
また、CPU409は、リプリントモードに設定されているときと、通常プリントモードに設定されているときとで、ジョブスプール領域502に保存した保存ジョブの消去タイミングを変える制御を実行する。プリントモードがリプリントモードに設定されているときの保存ジョブの消去処理手順については、図7および図8において後述する。通常プリントモードに設定されているときの保存ジョブの消去処理手順については、図6において後述する。
【0018】
(保存ジョブ管理テーブルの説明)
図4は、図2に示した二次ストレージ421で管理される保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
図4に示す保存ジョブ管理テーブルTAB1は、ジョブスプール領域502に保存されている保存ジョブを管理するための保存ジョブ管理テーブルである。
CPU409は、受信バッファ501に保存されている印刷データをジョブスプール領域502に転送するときに、その転送データが新規印刷ジョブのデータかどうかを判断する。CPU409は、転送される印刷データが新規印刷データであると判断したときにはその印刷データのジョブ管理情報を抽出して保存ジョブ管理テーブルTAB1に新規に登録する。ここで、ジョブ管理情報には、ジョブID、ジョブオーナー、ジョブ名、ジョブサイズ、ジョブ生成日時等が含まれる。ジョブIDは、ジョブごとに一意に割り振られる識別子である。ジョブサイズは、ジョブに対応する印刷データのデータサイズである。ジョブ生成日時は、印刷装置102によって受け付けられた日時である。これらジョブID、ジョブサイズ、ジョブ生成日時は、印刷データの受信時に印刷装置102によって付与される。ジョブオーナー(オーナー名)は、データ処理装置101を識別する識別番号、または、データ処理装置101にログインしているユーザのユーザIDである。ジョブ名は、データ処理装置101で印刷データの元となった画像ファイルまたは文書ファイルのファイル名である。これらジョブオーナー、ジョブ名は、データ処理装置によって付与される。
【0019】
また、CPU409は、エンジンインタフェース部406からの印刷終了通知に従って、対象ジョブの最終印刷時刻を登録、あるいは更新する。その他に、CPU409は、新規の印刷データとして保存ジョブ管理テーブルTAB1に登録する時と、パネル部301を介してユーザからリプリント指示を受けた時と、エンジンインタフェース部406からの印刷終了通知時にも、印刷状態情報を更新する。また、CPU409は、後述する図7および図8の消去処理手順に従って消去予約情報(消去情報)を更新する。
【0020】
(リプリント指示画面の説明)
図5は、図2に示したパネル部301に表示されるUI画面の一例を示す図である。
図5の(A)は、ジョブスプール領域502に保存されているジョブ(データ処理装置における1回の印刷指示によって送信された印刷データに対応するデータ群)を操作するためのジョブメニュー画面である。このジョブメニュー画面において、パネル部301を介して「リプリント」が選択されたとき、CPU409は、保存ジョブ管理テーブルのジョブオーナー情報に従って図5の(B)を表示する。
【0021】
図5(B)は、リプリント可能なオーナーリストを示す画面で、リプリント指示するジョブオーナー情報を入力するための画面である。例えばこの画面において、パネル部301を介して「UID0004」が選択されたとき、CPU409は、ジョブオーナー「UID0004」に対応するジョブ名情報に従って図5の(C)を表示する。
図5(C)は、ジョブオーナー「UID0004」がリプリント可能なジョブリストを示す画面で、リプリント指示するジョブ情報を入力するための画面である。例えばこの画面において、パネル部301を介してユーザから「分担表」が選択されたとする。この時、CPU409は、ジョブ名「分担表」に対応するジョブID情報(JID001)を取得するとともに図5の(D)を表示する。
【0022】
図5の(D)は、リプリント開始の確認画面である。例えばこの画面において、パネル部301を介して「はい」が選択されたとき、CPU409は、ジョブID「JID001」のリプリント開始を受け付けたと判断し、ジョブID「JID」に対応する印刷データに従った印刷をプリンタエンジン303に実行させる。
【0023】
(通常プリントモード時のジョブ消去処理)
図6は、本実施形態を示す印刷装置102の制御を説明するフローチャートである。本例は、CPU409がジョブスプール領域の保存ジョブを消去する処理例である。なお、各ステップは、CPU409がROM404内の制御プログラムをRAM405にロードして実行することで実現される。
CPU409の保存ジョブを消去する処理手順は、二次ストレージ421を使う場合と使わない場合とで異なる。二次ストレージ421を使う場合、CPU409は、ユーザの指示による保存ジョブを生成することができる。CPU409は、ユーザから削除指示がない限り、ユーザ指示による保存ジョブの消去を行わない。
まず、S101において、CPU409は、二次ストレージ421を使う設定になっているかどうかを判断する。ここで、二次ストレージ421を使う設定になっていると判断された場合、CPU409は、S102において、エンジンインタフェース部406からの印刷ジョブのジョブ終了通知があるまで待つ。
【0024】
次に、S103において、CPU409は、エンジンインタフェース部406からの印刷ジョブのジョブ終了通知を受付けたら、終了通知対象の印刷ジョブがユーザに保存指示されている印刷ジョブであるかどうかを判断する。ここで、CPU409は、終了通知対象の印刷ジョブがユーザに保存指示されている印刷ジョブであると判断した場合、印刷ジョブの消去を実行せずにS102からの処理を繰り返す。
一方、S103において、CPU409が終了通知対象の印刷ジョブがユーザに保存指示されている印刷ジョブでないと判断した場合、S104において、終了通知対象の保存印刷ジョブをジョブスプール領域502から消去する。具体的には、CPU409は、終了通知対象の保存印刷ジョブをジョブスプール領域502から消去した後、処理を終了する。
【0025】
一方、S101において二次ストレージ421を使う設定になっていないとが判断された場合、CPU409は、S105において、中間データ作成部403からのPDL解釈終了通知があるまで待つ。そして、CPU409は、中間データ作成部403からのPDL解釈終了通知を受け付けたら、S106において、終了通知対象の保存印刷ジョブをジョブスプール領域502から消去する。具体的に、CPU409は、終了通知対象の保存印刷ジョブをジョブスプール領域502から消去した後、処理を終了する。
【0026】
(リプリントモード時におけるジョブ受信時のジョブ消去処理)
図7は、本実施形態を示す印刷装置102の制御を説明するフローチャートである。本例は、CPU409が、印刷装置102がリプリントモードで動作している場合に、ジョブの受信時に、保存印刷ジョブを消去する処理例である。なお、各ステップは、CPU409がROM404から制御プログラムをRAM405にロードして実行することで実現される。
まず、CPU409は、ホストインタフェース部402から印刷ジョブの受信通知を待つ。印刷ジョブの受信通知は、ホストインタフェース部402が図3におけるS601において、データ処理装置101から印刷ジョブを受信し、受信バッファ501に保存することによって発生する。
ホストインタフェース部402から印刷ジョブの受信通知があったら、CPU409は、ジョブスプール領域502に所定サイズの空きがあるかどうかを判断する。ここで、所定サイズの空きとは、例えば受信バッファ501と同じサイズの空きでよい。
【0027】
なお、CPU409は、ジョブスプール領域502全体のサイズから、保存ジョブ管理テーブルTAB1の中のジョブサイズの合計値を引いた値を求める。さらに、CPU409は、求めた差分が、受信バッファ501のサイズより小さければ、いずれかの保存印刷ジョブを消去しジョブスプール領域502に空きを作る。消去する保存印刷ジョブの判断基準としては、例えば保存ジョブ管理テーブルTAB1の最終印刷時刻が一番古い印刷ジョブを消去するといった判断基準でも良い。
CPU409は、ジョブスプール領域502に必要なサイズの空きを確保したら受信バッファ501の印刷ジョブをジョブスプール領域502に保存印刷ジョブとして保存し、S202に進む。
【0028】
次に、S202において、CPU409は、ジョブスプール領域502に既に保存されていた全ての保存済印刷ジョブと、S201でジョブスプール領域502に保存された保存印刷ジョブとのジョブ管理情報とをそれぞれ比較する。これにより、CPU409は保存済等価印刷ジョブがジョブスプール領域502に保存されているかどうかを判断することができる。具体的には、リプリントモードが設定されている状態で、CPU409がデータ処理装置101から印刷ジョブを受信する毎に、重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとしてジョブスプール502に保持されているかどうかを判断する。
なお、ジョブ管理情報には、ジョブID、ジョブオーナー、ジョブ名、ジョブサイズ、ジョブ生成日時等が含まれる。
ここで、保存済等価印刷ジョブが存在しないと判断された場合、CPU409は、S201からの処理を繰り返す。ここで、保存済等価印刷ジョブとは、ジョブ識別情報中のオーナー名、ジョブ名が一致する印刷ジョブを意味する。ただし、他のジョブ識別情報を加えて判断したり、オーナー名及びジョブ名のいずれかのジョブ識別情報で判断したりする構成としてもよい。
一方、S202で、保存済等価ジョブが存在すると判断された場合、CPU409は、S203において、該当する保存済等価印刷ジョブが印刷中もしくは印刷予約済か否かを判断する。ここで、該当する保存済等価印刷ジョブが印刷中もしくは印刷予約済であると判断された場合、CPU409は、S204において、該当する保存済等価印刷ジョブに対して消去予約情報を設定する。
【0029】
この時、CPU409は、保存ジョブ管理テーブルTAB1の消去予約情報を更新する。
一方、S203で、該当する保存済等価印刷ジョブが印刷中でなく印刷予約もなければ、CPU409は、S205において、該当する保存済等価印刷ジョブをジョブスプール領域502から消去する。この時、CPU409は、保存ジョブ管理テーブルTAB1の印刷ジョブに関わるジョブ管理情報も消去する。なお、S204の消去予約処理もしくはS205の消去処理が終了したら、CPU409は、S201からの処理を繰り返す。
これにより、印刷ジョブを受信する毎に、重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとしてジョブスプール領域502に保持されていると判別した場合、ジョブスプール領域502に保持された重複する印刷ジョブを直ちに消去することができる。
【0030】
(リプリントモード時におけるジョブ完了時のジョブ消去処理)
図8は、本実施形態を示す印刷装置102の制御を説明するフローチャートである。本例は、CPU409がリプリントモード時のジョブ実行完了時に、保存印刷ジョブを消去する処理例である。なお、各ステップは、CPU409がROM404から制御プログラムをRAM405にロードして実行することで実現される。
まず、S301で、CPU409は、エンジンインタフェース部406からの印刷終了通知を待つ。ここで、印刷終了通知は、印刷終了時のプリンタエンジン303の状態変化によって発生する。エンジンインタフェース部406からの印刷終了通知が発生したと判断された場合、CPU409はS302に処理を進める。そして、S302で、CPU409は、S302においてジョブスプール領域502に保存された保存印刷ジョブを検索して、判断前の印刷ジョブが存在するかどうかを判断する。具体的に、CPU409は、保存ジョブ管理テーブルTAB1の各保存印刷ジョブに対して消去予約情報と印刷状態情報を確認する。ここで、判断前の印刷ジョブが存在すると判断した場合は、S303へ進む。
次に、S303において、CPU409は、各印刷ジョブに対して消去予約情報の設定有無を確認し、消去予約がないと判断した場合、S306で、そのまま保存印刷ジョブを保存して、S302へ戻り、同様の処理を繰り返す。
【0031】
一方、S303で、消去予約があると判断された場合、S304において、CPU409は、印刷ジョブに対する印刷状態を確認する。ここで、CPU409が印刷中もしくは印刷予約された保持状態であると判断した場合、S306において、そのまま保存印刷ジョブを保存して、S302へ戻り、同様の処理を繰り返す。
一方、S304で、印刷状態を確認し、印刷中でなく印刷予約もないとCPU409が判断した場合、S305に処理を進める。そして、S305において、CPU409は、保存印刷ジョブをジョブスプール領域から消去し、保存ジョブ管理テーブルTAB1からも消去して、S302からの処理を繰り返す。
一方、S302において判断前の印刷ジョブがなくなった後は、CPU409は、S301からの処理を繰り返す。
これにより、スプールされた印刷ジョブを印刷処理を完了する毎に、重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとしてジョブスプール領域502に保持され、消去予約されている重複する印刷ジョブを消去することができる。
【0032】
図9は、本実施形態を示す印刷装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、CPU409がリプリントジョブ選択時に、リプリント候補のジョブリストを表示する際の表示する保存ジョブ判断手順と表示手順例である。なお、各ステップは、CPU409がROM404から制御プログラムをRAM405にロードして実行することで実現される。
まず、CPU409は、パネル部301を介してユーザからジョブリスト表示の指示と、表示条件とを受け付ける。ここで、表示条件の例として、図5の(B)のオーナー名や、図5の(C)のオーナー名とジョブ名等がある。
そして、S401で、CPU409は、ジョブスプール領域502に保存された保存印刷ジョブから、すなわち保存ジョブ管理テーブルTAB1から、表示条件に合致する保存ジョブを検索して、対応する印刷ジョブが存在するかどうかを判断する。ここで、条件に合致する印刷ジョブがあるとCPU409が判断した場合、S402へ処理を進める。そして、S402で、CPU409は、表示条件に合致する保存印刷ジョブに対して、保存ジョブ管理テーブルTAB1上の該当保存印刷ジョブの管理情報を参照して、消去予約の有無を判断する。
【0033】
ここで、消去予約がないとCPU409が判断した場合、S403においてリプリント可能ジョブとしてジョブリストに表示して、S401へ戻る。
一方、S402で、消去予約があるとCPU409が判断した場合は、S404へ進む。そして、S404で、CPU409は、当該保存印刷ジョブをリプリントしない印刷ジョブとして扱い、ジョブリストには表示しない制御を行う。そして、CPU409は、表示条件に合致する全ての保存印刷ジョブに対してジョブリスト表示の判断を完了させた後、図5の(C)に示すようにリプリント可能な候補を選択するためのリプリント可能なジョブリストメニュー表示を終了する。
これにより、ジョブスプール領域502に保持される保存済みの印刷ジョブに対する消去予約情報の設定状態に応じて、保存済みの印刷ジョブを再印刷可能なジョブとしてパネル部301の表示部に一覧表示することができる。したがって、ユーザは、再印刷させたい印刷ジョブの一覧を表示する際に、重複する印刷ジョブを表示させずに済み、ユーザが意図する印刷ジョブを混乱することなく確実に選択できる。
本実施形態によれば、リプリント用の保存印刷ジョブにおける同じ印刷ジョブを消去可能な早いタイミングで消去することができる。また、重複する印刷ジョブを消去し、重複しないジョブを多くジョブスプール領域502に残すことができるので、ユーザが後でリプリントしたいと思う印刷データがジョブスプール領域502に残っている可能性が高くなる。
また、リプリント用のジョブリストにも重複して保存した印刷ジョブを表示しないので、ユーザに直感的にわかりやすいジョブリストを提供することが可能となる。
【0034】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、図7のS202で、ジョブが重複していると判断する条件として、オーナー名とジョブ名を用いる例を説明した。つまり、印刷ジョブのオーナー名とジョブ名が同じであれば、ジョブスプール領域502に保持された印刷ジョブは削除される。この場合、オーナー名とジョブ名が等しければジョブサイズが異なっていても、ジョブスプール領域502に保持された印刷ジョブは削除される。そのため、印刷データの内容が修正されて異なる場合でも、ジョブスプール領域502の印刷ジョブは削除される。
そこで、CPU409が、ジョブが重複していると判断するための条件を、パネル部301またはデータ処理装置101を介してユーザが指定できるように構成しても良い。ユーザによって指定された条件は、二次ストレージ421に記憶され、その後、ジョブが重複しているか否かを判定するためにCPU409によって参照される。
【0035】
〔第3実施形態〕
第1実施形態では、図8のS305において、CPU409は、消去予約があり印刷中でなく印刷予約もない保存印刷ジョブをジョブスプール領域からの消去と保存ジョブ管理テーブルからの消去を行う場合について説明した。しかしながら、ジョブスプール領域502に受信バッファの容量以上の空きがある場合は、消去処理を行わないように制御しても良い。
また、図7のS201において、最終印刷時刻が一番古い印刷ジョブを消去する判断基準を用いているが、最終印刷時刻が一番古い印刷ジョブよりも、消去予約がある保存印刷ジョブを優先的に消去するように制御してもよい。
【0036】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0037】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0038】
101 データ処理装置
102 印刷装置(プリンタ)
301 パネル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理装置から受信して保持手段に保持される印刷ジョブを再印刷する印刷装置であって、
前記印刷ジョブの再印刷を実行するリプリントモードを設定する設定手段と、
前記リプリントモードが設定されている状態で、前記データ処理装置から印刷ジョブを受信する毎に、当該受信した印刷ジョブと重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されているかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段が重複する印刷ジョブが前記保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されていると判断した場合、前記保持手段に保持された前記重複する印刷ジョブを消去する消去手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記判断手段が重複する印刷ジョブが前記保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されていると判断した場合、前記保存済みの印刷ジョブの保持状態が消去可能な状態かどうかを判別する判別手段と、
前記判別手段が前記保存済みの印刷ジョブの保持状態が消去可能な状態でないと判別した場合、前記保存済みの印刷ジョブに消去情報を設定する設定手段と、
を備え、
前記消去手段は、前記判別手段が前記保存済みの印刷ジョブの保持状態が消去可能な状態であると判別した場合、前記設定手段により消去情報が設定された前記保存済みの印刷ジョブを前記保持手段から消去することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記保持手段に保持される前記保存済みの印刷ジョブに対する消去情報の設定状態に応じて、前記保存済みの印刷ジョブを再印刷可能なジョブとして表示部に一覧表示する制御手段を備えることを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
データ処理装置から受信して保持手段に保持される印刷ジョブを再印刷する印刷装置の制御方法であって、
前記印刷ジョブの再印刷を実行するリプリントモードを設定する設定工程と、
前記リプリントモードが設定されている状態で、前記データ処理装置から印刷ジョブを受信する毎に、当該受信した印刷ジョブと重複する印刷ジョブが保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されているかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程が重複する印刷ジョブが前記保存済みの印刷ジョブとして前記保持手段に保持されていると判断した場合、前記保持手段に保持された前記重複する印刷ジョブを消去する消去工程と、
を備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−224035(P2012−224035A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95347(P2011−95347)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】