印刷装置およびその制御プログラム
【課題】 複数枚の印刷物の重なりを容易に判別できるようにすること。
【解決手段】 一実施形態における印刷装置は、印刷手段と、位置変更手段とを備えている。前記印刷手段は、少なくとも一辺と接するようにマーカMが付された印刷物を印刷する。前記位置変更手段は、前記印刷物にマーカMを付す位置を選択的に変更せしめる。
【解決手段】 一実施形態における印刷装置は、印刷手段と、位置変更手段とを備えている。前記印刷手段は、少なくとも一辺と接するようにマーカMが付された印刷物を印刷する。前記位置変更手段は、前記印刷物にマーカMを付す位置を選択的に変更せしめる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レシートやクレジット伝票等の各種印刷物を印刷する印刷装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店で商品を購入したときなどには、POS(Point Of Sales)端末に接続または内蔵された印刷装置から取引明細が印刷されたレシートが発行される。また、クレジットカードによって取引を決済すれば、その明細情報が印刷された店舗控え用、客用、クレジット事業者用のクレジット伝票が決済端末に内蔵または接続された印刷装置から発行される。
【0003】
客に渡されたレシートや客用のクレジット伝票は、客が出費を把握するために束ねられた状態で保管されることがある。また、店舗控え用およびクレジット事業者用のクレジット伝票は、店舗等で束ねられた状態で保管されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−251595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記レシートやクレジット伝票等の印刷物は、周囲に余白を残して印刷されることが多い。したがって、これら印刷物が束ねられた際に複数枚の印刷物が密着すると、正面、背面、および4側面のいずれの方向から見た場合でも当該複数枚の境界を目視できずに、その重なりを見落としてしまうことがある。
【0006】
このような事情から、複数枚の印刷物の重なりを容易に判別できるように何らかの手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態における印刷装置は、印刷手段と、位置変更手段とを備えている。
前記印刷手段は、少なくとも一辺と接するようにマーカが付された印刷物を印刷する。前記位置変更手段は、前記印刷物に前記マーカを付す位置を選択的に変更せしめる。
【0008】
また、一実施形態における制御プログラムは、印刷物を印刷する印刷部を備えた印刷装置の制御プログラムであって、前記印刷装置に、生成機能と、配置機能と、印刷制御機能と、位置変更機能とを実現させる。
前記生成機能は、所定の情報を配置した印刷データを生成する。前記配置機能は、前記生成機能によって生成された印刷データに対し、少なくとも前記印刷物の一辺と接する位置にマーカを配置する。前記印刷制御機能は、前記配置機能によって前記マーカが配置された印刷データに基づいて前記印刷部に印刷物を印刷させる。前記位置変更機能は、前記配置機能によって前記印刷データに対し前記マーカを配置する位置を選択的に変更せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における印刷ヘッドとレシート用紙との関係を示す図。
【図3】同実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図4】同実施形態におけるマーカ位置テーブルのデータ構造例を示す図。
【図5】同実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図6】同実施形態において発行される複数枚のレシートを示す図。
【図7】図6の各レシートをマーカが印刷された端部側の側方から見た図。
【図8】第2の実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図9】第3の実施形態におけるマーカ位置テーブルのデータ構造例を示す図。
【図10】同実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図11】第4の実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図12】第5の実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図13】第6の実施形態における印刷ヘッドとレシート用紙との関係を示す図。
【図14】同実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1〜第6の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。この実施形態では、印刷装置の一例として、小売店等で会計処理に使用されるPOS端末1を例示する。
【0012】
[要部構成]
図1は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、時計回路13(計時手段)、通信I/F(Interface)14、スキャナI/F15、キーボードコントローラ16、表示コントローラ17,18、カードリーダコントローラ19、プリンタコントローラ20、HDD(Hard Disk Drive)21、キーボード22、キャッシャ用表示器23、客用表示器24、カードリーダ25、およびレシートプリンタ26(印刷手段)を備えている。さらに、通信I/F14にLAN(Local Area Network)回線27が接続され、スキャナI/F15にバーコードスキャナ28が接続されている。
【0013】
ROM11、RAM12、時計回路13、通信I/F14、スキャナI/F15、キーボードコントローラ16、表示コントローラ17,18、カードリーダコントローラ19、プリンタコントローラ20、およびHDD21は、アドレスバスやデータバスにて構成されるバスライン30を介してCPU10に接続されている。
【0014】
ROM11は、CPU10が実行する動作プログラム等の固定的データを記憶している。なお、ROM11が記憶する動作プログラムには、レシート印刷の際に使用される乱数生成プログラム110が含まれる。
【0015】
RAM12は、処理場面に応じた各種の作業用記憶領域を形成する。例えば、レシートを印刷する際には、レシートの印刷データを記憶するための印刷データエリア120を形成する。
【0016】
時計回路13は、POS端末1のシステム日時を計時する。通信I/F14は、LAN回線27の接続先である外部機器とのデータの送受信を制御する。前記外部機器は、例えば当該POS端末1が設置された店舗のストアサーバである。
【0017】
バーコードスキャナ28は、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取り、バーコードが示すコードを出力する。スキャナI/F15は、バーコードスキャナ28から出力されるコードを取り込み、CPU10に通知する。
【0018】
キーボード22は、置数キー、PLU(Price Look Up)キー、小計キー、預り/現計キー等の各種操作キーを備え、押下げられた操作キーに応じたキー信号を出力する。キーボードコントローラ16は、キーボード22から出力されるキー信号を取り込んでCPU10に通知する。
【0019】
キャッシャ用表示器23は、LCD(Liquid Crystal Display)と、このLCDの表示面上に設けられたタッチパネルとで構成され、その表示面がキャッシャの立ち位置側に向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。表示コントローラ17は、CPU10からの指令に応じて各種の情報をキャッシャ用表示器23に表示させる。
【0020】
客用表示器24は、LCDあるいは簡易表示用のVFD(Vacuum Fluorescent Display)等によって構成され、その表示面が会計中の客の立ち位置側に向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。表示コントローラ18は、CPU10からの指令に応じて各種の情報を客用表示器24に表示させる。
【0021】
カードリーダ25は、クレジットカードやポイントカード等の各種カードから情報を読み取る磁気カードリーダあるいはICカードリーダである。カードリーダコントローラ19は、カードリーダ25がカードから読み取った情報を取り込んでCPU10に通知する。
【0022】
レシートプリンタ26は、レシート用紙に会計明細等を印刷してなるレシートを、POS端末1の筐体に設けられた図示せぬレシート発行口から発行するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ20は、CPU10からの指令に応じてレシートプリンタ26を駆動し、RAM12の印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づくレシートを発行させる。
【0023】
HDD21は、OS(Operating System)ファイルやアプリケーションファイルに加え、PLUファイル211と、マーカ位置テーブル212とを記憶している。PLUファイル211は、商品の識別子であるPLUコードに、その商品の名称や単価等を含む商品データを対応つけてなるレコードを、当該店舗で扱う商品分だけ組み合わせて構成されている。マーカ位置テーブル212の詳細については、図4の説明にて後述する。
【0024】
[レシートプリンタおよびレシート]
図2は、レシートプリンタ26の印刷ヘッド261とレシート用紙263との関係を示す模式図である。印刷ヘッド261は、多数の発熱素子をライン状に配設してなる発熱素子群262を有している。レシート用紙263は、用紙ロールから供給される連続紙であり、図示せぬ搬送機構によって発熱素子群262の配列方向に垂直な搬送方向(図中矢印にて示す)に搬送される。この搬送に併せて各発熱素子を選択的に発熱させると感熱紙であるレシート用紙263が部分的に発色し、文字や図形等が印刷される。印刷が完了すると、図示せぬカッタ機構によってレシート用紙263の印刷部分が切り離される。
【0025】
ここで、前記発熱素子群262の配列方向をX軸方向、レシート用紙263の搬送方向をY軸方向として定義する。本実施形態においては、発熱素子群262のX軸方向幅がレシート用紙263の同方向幅よりも長くなっている。したがって、レシート用紙263の全域に対して印刷が可能である。
【0026】
このような構成のレシートプリンタ26によって印刷されるレシートの印刷データの一例を、図3に示している。図示した印刷データ300のX軸方向右側辺は印刷時においてレシート用紙263のX軸方向右側辺と一致し、印刷データ300のX軸方向左側辺は印刷時においてレシート用紙263のX軸方向左側辺と一致する。このような印刷データ300中に、会計の年月日(「XXX年XX月XX日」)、会計対象商品の商品名称および単価(「たばこ ¥XXX」等)、小計額(「小計 ¥XXXX」)、現計額(「現計 ¥XXXX」)、および会計の時刻(「XXX XX時 XX分」)等の会計明細を示す情報が配置されている。
【0027】
これらの情報に加え、印刷データ300には、矩形かつ黒ベタのマーカMが1つ配置される。このマーカMは、印刷データ300のX軸方向右側辺に接するように定義された位置P1,P2,…P9のいずれかに配置される。位置P1は印刷データ300の右下角に位置決めされ、位置P9は右上角に位置決めされている。このように定義された位置P1,P9の間に、位置P2〜P8が等間隔で位置決めされている。
【0028】
なお、各位置P1〜P9の間隔は、レシートの長さに応じて変化させればよい。すなわち、会計明細等を示す情報が配置され、レシートのY軸方向長さが決定すると、当該長さに基づいて隣り合うもの同士が等間隔となるように位置P2〜P8を位置決めする。
【0029】
ここで、マーカ位置テーブル212のデータ構造例を図4に示す。マーカ位置テーブル212は、一桁のナンバ「1」,「2」,…「9」に対し、位置「P1」,「P2」,…「P9」を対応付けて構成されている。マーカMの配置位置は、このようなデータ構造のマーカ位置テーブル212と、乱数生成プログラム110の実行によって得られる一桁の乱数とを用いて決定される。すなわち、マーカ位置テーブル212において、生成された乱数と同値のナンバに対応付けられた位置がマーカMの配置位置になる。
【0030】
[会計処理]
次に、会計処理について説明する。
キーボード22が備えるPLUキーが押下げられると、CPU10は、ROM11に記憶された動作プログラムを実行して会計処理を開始する。会計処理においてCPU10が実行する処理のフローチャートを図5に示している。
【0031】
この処理において、先ずCPU10は、客が購入しようとする商品の登録を受け付ける(ステップS101)。このとき、キャッシャがバーコードスキャナ28を用いて商品に付されたバーコードを読み取ると、当該バーコードで示されるPLUコードがスキャナI/F15を介して入力される。PLUコードが入力されると、CPU10は、当該PLUコードに対応付けられた商品データをPLUファイル211から読み出し、RAM12に記憶する。このような流れの処理によって、客が購入しようとする各商品が登録される。
【0032】
客が購入しようとする全ての商品を登録し終えると、キャッシャは、キーボード22に設けられた小計キーを押下げる。小計キーが押下げられると、CPU10は、RAM12に記憶された商品データを元に小計額および現計額を算出し、表示コントローラ17,18を介してキャッシャ用表示器23,客用表示器24に当該小計額および現計額を表示させるとともに、代金の支払を受け付ける(ステップS102)。このとき、キャッシャが客からの預り金額をキーボード22の置数キーを操作して入力し、預り/現計キーを押下げると、CPU10は、当該預り金額と代金との差額を釣銭額として算出し、当該預り金額および釣銭額等を表示コントローラ17,18を介してキャッシャ用表示器23,客用表示器24に表示させる。この表示を見てキャッシャが釣銭を客に返す。
【0033】
預り/現計キーの押下げ時に、CPU10は、RAM12に記憶された商品データ、小計額、現計額、および時計回路13によって計時される年月日および日時を用いて会計明細等が配置されたレシートの印刷データを生成し、RAM12の印刷データエリア120に記憶する(ステップS103)。
【0034】
その後、CPU10は、ROM11に記憶された乱数生成プログラム110を実行し、1桁の乱数を生成する(ステップS104)。そして、生成した乱数と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS105)。
【0035】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS106)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS107)。以上で一連の会計処理が終了する。
【0036】
なお、ステップS104の処理は乱数生成手段を構成し、ステップS105,S106の処理は、印刷物であるレシートの側辺にマーカMを付す位置を選択的に変更せしめる位置変更手段を構成する。
【0037】
[作用]
作用について説明する。
図6は、別々の会計処理において発行される複数枚のレシートを示す模式図である。ここでは一例としてサイズが同一の8枚のレシート401,402,…408を図示している。レシート401,403,406は、乱数として「1」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「1」に対応付けられた位置「P1」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P1にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。レシート402,405,408は、乱数として「5」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「5」に対応付けられた位置「P5」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P5にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。レシート404,407は、乱数として「9」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「9」に対応付けられた位置「P9」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P9にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。
【0038】
レシート401,402,403,404,405,406,407,408をこの順で重ね、マーカMが印刷された端部側の側方から見た際の模式図を図7に示している。このように、各レシート401〜408には乱数に基づいて位置決めされるマーカMが付されているので、この束の中に何枚のレシートがあるのか容易に判別できる。
【0039】
ここで、いずれかのレシートとその下方のレシートが互いに密着しており、上方のレシートを手に取った際にその裏面に下方のレシートが張り付いていたとする。このような場合であっても側方からマーカMを確認すれば、その印刷位置の違いから2枚のレシートが重なっていることに気付くことができる。
【0040】
また、特に本実施形態ではマーカMを矩形のベタ黒で印刷するため、いずれかのレシートに下方のレシートが密着していれば、上方のレシートの印刷面からは下方のレシートのマーカMが透けて見え易い。このように透けて見えるマーカMを確認することでも、2枚のレシートが重なっていることに気付くことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、レシートが印刷される度にカウント値を変更するカウンタを設け、乱数に代えてこのカウンタのカウント値を用いてマーカMの配置位置を変更する点で、第1の実施形態と異なる。
【0042】
本実施形態におけるRAM12には、「1」から「9」までの数値をカウントするためのカウンタエリアが生成される。このカウンタエリアは、例えばPOS端末1に電源が投入されてシステムが起動された直後に生成され、システムがシャットダウンされる際に消去される。
【0043】
本実施形態における会計処理にてCPU10が実行する処理のフローチャートを図8に示している。会計処理が開始されると、CPU10は、第1の実施形態と同様に商品の登録を受け付け(ステップS201)、代金の支払を受け付け(ステップS202)、会計明細等の情報を配置したレシートの印刷データを生成する(ステップS203)。
【0044】
続いて、CPU10は、RAM12のカウンタを参照してそのカウント値を取得する(ステップS204)。そして、取得したカウント値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS205)。
【0045】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS206)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS207)。
【0046】
レシートプリンタ26がレシートを印刷発行した後、CPU10は、カウンタのカウント値を1つインクリメントする(ステップS208)。但し、カウンタのカウント値が「9」である場合には、カウント値を「1」に戻す。ステップS207の処理を以って一連の会計処理が終了する。
なお、ステップS205,S206の処理は、本実施形態における位置変更手段を構成する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態ではレシートが発行される度にカウンタのカウント値を変更し、そのカウント値に基づいてマーカMの配置位置を変更する。このようにした場合であっても、レシート毎にマーカMの配置位置が変更されるので、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、時計回路13によって計時される日時を用いてマーカMの配置位置を変更する点で、前記各実施形態と異なる。
【0049】
本実実施形態におけるマーカ位置テーブル212aのデータ構造例を図9に示している。マーカ位置テーブル212aは、日時に関する条件である「条件1」,「条件2」,…「条件9」に対し、位置「P1」,「P2」,…「P9」を対応付けて構成されている。各条件1〜9は、1つの日時に対して1つが成立するものであれば、例えば9分割された店舗の営業時間をそれぞれ示すものであってもよいし、店舗の異なる営業日をそれぞれ示すものであってもよい。
【0050】
本実施形態における会計処理においてCPU10が実行する処理のフローチャートを図10に示している。会計処理が開始されると、CPU10は、前記各実施形態と同様に商品の登録を受け付け(ステップS301)、代金の支払を受け付け(ステップS302)、会計明細等の情報を配置したレシートの印刷データを生成する(ステップS303)。
【0051】
続いて、CPU10は、時計回路13から現在の日時を取得する(ステップS304)。そして、取得した日時とマーカ位置テーブル212aの条件1〜条件9とを比較し、成立した条件に対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS305)。
【0052】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS306)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS307)。以上で一連の会計処理が終了する。
なお、ステップS305,S306の処理は、本実施形態における位置変更手段を構成する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では時計回路13が計時する日時に応じてマーカMの配置位置を変更する。このようにした場合であっても、マーカMの配置位置が時刻毎あるいは日付毎に変更されるので、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
この実施形態は、マーカMに加えて配置位置が固定されたマーカM1,M2,M3をレシートに印刷する点で、前記各実施形態と異なる。
【0055】
本実施形態において印刷されるレシートの印刷データの一例を、図11に示している。図示した印刷データ310には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。但し、印刷データ310の左上角,左下角,右上角には、位置が変動しないマーカM1,M2,M3がそれぞれ配置されている。位置P1は印刷データ310の右下角に位置決めされている。このように定義された位置P1とマーカM3の配置位置との間に、X軸方向右側辺と接するように位置P2〜P9が等間隔で位置決めされている。
【0056】
会計処理においては、印刷データ310中の位置P1〜P9のうち、第1の実施形態のように乱数を用いて決定される位置、第2の実施形態のようにカウンタを用いて決定される位置、あるいは第3の実施形態のように日時を用いて決定される位置にマーカMが配置され、マーカM,M1,M2,M3が印刷されたレシートが発行される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では配置位置が変動するマーカMに加え、配置位置が3隅に固定されたマーカM1,M2,M3がレシートに印刷される。このようにした場合であっても前記各実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
加えて、POS端末1で発行されたレシートと他のPOS端末等で発行されたレシートとが密着している場合に、これらレシートをいずれの側方から見た場合であってもその重なりに気付くことができる。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
この実施形態は、レシートのX軸方向の両端部にマーカMを印刷する点で、前記各実施形態と異なる。
【0060】
本実施形態において印刷されるレシートの印刷データの一例を、図12に示している。図示した印刷データ320には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。但し、X軸方向の両端部において、それぞれ右側辺,左側辺と接するように位置P1,P2,…P9が定義されている。右側辺に接する位置P1〜P9のいずれかにはマーカMRが配置され、左側辺に接する位置P1〜P9のいずれかにはマーカMLが配置される。
【0061】
本実施形態における会計処理は、第1の実施形態と同様の流れで進行する。但し、本実施形態における乱数生成プログラム110は、2桁の乱数を生成するように構成されている。したがって、ステップS104の処理において、CPU10は2桁の乱数を生成する。そして、ステップS105の処理において、CPU10は生成した乱数のいずれか1桁の値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMRの配置位置として決定する。さらに、生成した乱数の他の桁の値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMLの配置位置として決定する。
【0062】
その後、ステップS106の処理において、CPU10は印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMR,MLを追加して印刷データを完成させ、ステップS107の処理においてプリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態ではレシートのX軸方向の左右両端部に乱数によって位置を変更しつつマーカMR,MLを印刷する。このようにすれば、マーカMR,MLが印刷されたいずれの端部を側方から見た場合であっても複数枚のレシートの密着に気付くことができる。
【0064】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
本実施形態は、レシートプリンタ26の発熱素子群262の幅がレシート用紙263の幅よりも短い点で、前記各実施形態と異なる。
【0065】
図13は、本実施形態におけるレシートプリンタ26の印刷ヘッド261とレシート用紙263との関係を説明するための模式図である。既述の通り、本実施形態における発熱素子群262のX軸方向幅は、レシート用紙263の同方向幅よりも短い。したがって、マーカMをレシートのX軸方向の左側辺に接するようにも、右側辺に接するようにも印刷することができない。
【0066】
そこで、本実施形態では、印刷データのY軸方向の下辺に接するようにマーカMを配置するための位置P1〜P9を定義する。このように位置P1〜P9が定義された印刷データの一例を図14に示している。図示した印刷データ330には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。図中のY軸方向に付された2本の破線は発熱素子群262の幅を示すものである。位置P1はY軸方向の下辺および左方の破線と接するように位置決めされ、位置P9はY軸方向の下辺および右方の破線と接するように位置決めされている。このように定義された位置P1,P9の間に、それぞれY軸方向の下辺と接するように位置P2〜P8が等間隔で位置決めされている。また、通常、Y軸方向端部の幅はX軸方向端部の幅よりも短くなるため、マーカMの大きさを前記各実施形態に示したものより小さくしている。このような印刷データ330に基づいて印刷されるレシートは、Y軸方向の下辺に沿って前記カッタ機構によって切断される。したがって、レシートの下辺と接するようにマーカMが印刷された状態となる。
【0067】
会計処理においては、印刷データ330中の位置P1〜P9のうち、第1の実施形態のように乱数を用いて決定される位置、第2の実施形態のようにカウンタを用いて決定される位置、あるいは第3の実施形態のように日時を用いて決定される位置にマーカMが配置され、このマーカMが印刷されたレシートが発行される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態ではレシートのY軸方向の下辺と接するようにマーカMを印刷する。このようにしても、マーカMが印刷された端部を側方から見ることで複数枚のレシートの密着に気付くことができる。
【0069】
(変形例)
なお、前記各実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0070】
(1)前記各実施形態では、POS端末1から発行されるレシートにマーカを付す場合を例示した。しかしながら、前記各実施形態において開示した構成を変形して他種の装置に適用することができる。例えば、クレジットカードによる決済を処理する決済端末に前記各実施形態において開示した構成を適用してもよい。この場合にあっては、決済端末から決済の度に発行される店舗控え伝票、客用伝票、クレジット事業者用伝票のそれぞれにマーカを印刷してもよいし、いずれか1つあるいは2つの伝票にマーカを印刷してもよい。
【0071】
(2)第1の実施形態では乱数に応じてマーカの配置位置を変更させ、第2の実施形態ではレシートが発行される毎にマーカの配置位置を変更させ、第3の実施形態では日時に応じてマーカの配置位置を変更させる場合を例示した。しかしながら、マーカの配置位置は、他の条件に基づいて変更させてもよい。例えば、例えばレシートの発行数が予め定められた回数に達する毎にマーカの配置位置を変更させてもよいし、客が購入した商品数に応じてマーカの配置位置を変更させてもよい。あるいは小計額や現計額に応じてマーカの配置位置を変更させてもよい。
【0072】
(3)第5の実施形態では2つのマーカの配置位置を変更させる場合を例示し、他の実施形態では1つのマーカの配置位置を変更させる場合を例示した。しかしながら、より多数のマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよい。例えば、レシートの4辺それぞれと接する4つのマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよいし、いずれか1辺と接する複数のマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよい。
【0073】
(4)前記各実施形態では、位置P1〜P9の中でマーカの配置位置を変更する場合を例示した。しかしながら、より多数あるいは少数の位置の中でマーカの配置位置を変更してもよい。また、マーカの配置位置を隣り合う配置位置同士が一部重なるように定義してもよいし、位置P1〜P9のような配置位置を定義せずに所定の計算式を用いるなどして得られる位置にマーカを配置するようにしてもよい。
【0074】
(5)前記各実施形態では、矩形かつ黒ベタのマーカを印刷する場合を例示した。しかしながら、円形、星型、三角形その他の多角形のようにマーカの形状を変更してもよいし、マーカの内側を塗りつぶさずに縁取りのみしてもよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
M…マーカ、1…POS端末、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…時計回路、26…レシートプリンタ、110…乱数生成プログラム、120…印刷データエリア、212,212a…マーカ位置テーブル、261…印刷ヘッド、262…発熱素子群、263…レシート用紙、401〜408…レシート
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レシートやクレジット伝票等の各種印刷物を印刷する印刷装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店で商品を購入したときなどには、POS(Point Of Sales)端末に接続または内蔵された印刷装置から取引明細が印刷されたレシートが発行される。また、クレジットカードによって取引を決済すれば、その明細情報が印刷された店舗控え用、客用、クレジット事業者用のクレジット伝票が決済端末に内蔵または接続された印刷装置から発行される。
【0003】
客に渡されたレシートや客用のクレジット伝票は、客が出費を把握するために束ねられた状態で保管されることがある。また、店舗控え用およびクレジット事業者用のクレジット伝票は、店舗等で束ねられた状態で保管されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−251595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記レシートやクレジット伝票等の印刷物は、周囲に余白を残して印刷されることが多い。したがって、これら印刷物が束ねられた際に複数枚の印刷物が密着すると、正面、背面、および4側面のいずれの方向から見た場合でも当該複数枚の境界を目視できずに、その重なりを見落としてしまうことがある。
【0006】
このような事情から、複数枚の印刷物の重なりを容易に判別できるように何らかの手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態における印刷装置は、印刷手段と、位置変更手段とを備えている。
前記印刷手段は、少なくとも一辺と接するようにマーカが付された印刷物を印刷する。前記位置変更手段は、前記印刷物に前記マーカを付す位置を選択的に変更せしめる。
【0008】
また、一実施形態における制御プログラムは、印刷物を印刷する印刷部を備えた印刷装置の制御プログラムであって、前記印刷装置に、生成機能と、配置機能と、印刷制御機能と、位置変更機能とを実現させる。
前記生成機能は、所定の情報を配置した印刷データを生成する。前記配置機能は、前記生成機能によって生成された印刷データに対し、少なくとも前記印刷物の一辺と接する位置にマーカを配置する。前記印刷制御機能は、前記配置機能によって前記マーカが配置された印刷データに基づいて前記印刷部に印刷物を印刷させる。前記位置変更機能は、前記配置機能によって前記印刷データに対し前記マーカを配置する位置を選択的に変更せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における印刷ヘッドとレシート用紙との関係を示す図。
【図3】同実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図4】同実施形態におけるマーカ位置テーブルのデータ構造例を示す図。
【図5】同実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図6】同実施形態において発行される複数枚のレシートを示す図。
【図7】図6の各レシートをマーカが印刷された端部側の側方から見た図。
【図8】第2の実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図9】第3の実施形態におけるマーカ位置テーブルのデータ構造例を示す図。
【図10】同実施形態においてCPUが実行する処理のフローチャート。
【図11】第4の実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図12】第5の実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【図13】第6の実施形態における印刷ヘッドとレシート用紙との関係を示す図。
【図14】同実施形態におけるレシートの印刷データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1〜第6の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。この実施形態では、印刷装置の一例として、小売店等で会計処理に使用されるPOS端末1を例示する。
【0012】
[要部構成]
図1は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、時計回路13(計時手段)、通信I/F(Interface)14、スキャナI/F15、キーボードコントローラ16、表示コントローラ17,18、カードリーダコントローラ19、プリンタコントローラ20、HDD(Hard Disk Drive)21、キーボード22、キャッシャ用表示器23、客用表示器24、カードリーダ25、およびレシートプリンタ26(印刷手段)を備えている。さらに、通信I/F14にLAN(Local Area Network)回線27が接続され、スキャナI/F15にバーコードスキャナ28が接続されている。
【0013】
ROM11、RAM12、時計回路13、通信I/F14、スキャナI/F15、キーボードコントローラ16、表示コントローラ17,18、カードリーダコントローラ19、プリンタコントローラ20、およびHDD21は、アドレスバスやデータバスにて構成されるバスライン30を介してCPU10に接続されている。
【0014】
ROM11は、CPU10が実行する動作プログラム等の固定的データを記憶している。なお、ROM11が記憶する動作プログラムには、レシート印刷の際に使用される乱数生成プログラム110が含まれる。
【0015】
RAM12は、処理場面に応じた各種の作業用記憶領域を形成する。例えば、レシートを印刷する際には、レシートの印刷データを記憶するための印刷データエリア120を形成する。
【0016】
時計回路13は、POS端末1のシステム日時を計時する。通信I/F14は、LAN回線27の接続先である外部機器とのデータの送受信を制御する。前記外部機器は、例えば当該POS端末1が設置された店舗のストアサーバである。
【0017】
バーコードスキャナ28は、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取り、バーコードが示すコードを出力する。スキャナI/F15は、バーコードスキャナ28から出力されるコードを取り込み、CPU10に通知する。
【0018】
キーボード22は、置数キー、PLU(Price Look Up)キー、小計キー、預り/現計キー等の各種操作キーを備え、押下げられた操作キーに応じたキー信号を出力する。キーボードコントローラ16は、キーボード22から出力されるキー信号を取り込んでCPU10に通知する。
【0019】
キャッシャ用表示器23は、LCD(Liquid Crystal Display)と、このLCDの表示面上に設けられたタッチパネルとで構成され、その表示面がキャッシャの立ち位置側に向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。表示コントローラ17は、CPU10からの指令に応じて各種の情報をキャッシャ用表示器23に表示させる。
【0020】
客用表示器24は、LCDあるいは簡易表示用のVFD(Vacuum Fluorescent Display)等によって構成され、その表示面が会計中の客の立ち位置側に向くようにPOS端末1の筐体に取り付けられている。表示コントローラ18は、CPU10からの指令に応じて各種の情報を客用表示器24に表示させる。
【0021】
カードリーダ25は、クレジットカードやポイントカード等の各種カードから情報を読み取る磁気カードリーダあるいはICカードリーダである。カードリーダコントローラ19は、カードリーダ25がカードから読み取った情報を取り込んでCPU10に通知する。
【0022】
レシートプリンタ26は、レシート用紙に会計明細等を印刷してなるレシートを、POS端末1の筐体に設けられた図示せぬレシート発行口から発行するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ20は、CPU10からの指令に応じてレシートプリンタ26を駆動し、RAM12の印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づくレシートを発行させる。
【0023】
HDD21は、OS(Operating System)ファイルやアプリケーションファイルに加え、PLUファイル211と、マーカ位置テーブル212とを記憶している。PLUファイル211は、商品の識別子であるPLUコードに、その商品の名称や単価等を含む商品データを対応つけてなるレコードを、当該店舗で扱う商品分だけ組み合わせて構成されている。マーカ位置テーブル212の詳細については、図4の説明にて後述する。
【0024】
[レシートプリンタおよびレシート]
図2は、レシートプリンタ26の印刷ヘッド261とレシート用紙263との関係を示す模式図である。印刷ヘッド261は、多数の発熱素子をライン状に配設してなる発熱素子群262を有している。レシート用紙263は、用紙ロールから供給される連続紙であり、図示せぬ搬送機構によって発熱素子群262の配列方向に垂直な搬送方向(図中矢印にて示す)に搬送される。この搬送に併せて各発熱素子を選択的に発熱させると感熱紙であるレシート用紙263が部分的に発色し、文字や図形等が印刷される。印刷が完了すると、図示せぬカッタ機構によってレシート用紙263の印刷部分が切り離される。
【0025】
ここで、前記発熱素子群262の配列方向をX軸方向、レシート用紙263の搬送方向をY軸方向として定義する。本実施形態においては、発熱素子群262のX軸方向幅がレシート用紙263の同方向幅よりも長くなっている。したがって、レシート用紙263の全域に対して印刷が可能である。
【0026】
このような構成のレシートプリンタ26によって印刷されるレシートの印刷データの一例を、図3に示している。図示した印刷データ300のX軸方向右側辺は印刷時においてレシート用紙263のX軸方向右側辺と一致し、印刷データ300のX軸方向左側辺は印刷時においてレシート用紙263のX軸方向左側辺と一致する。このような印刷データ300中に、会計の年月日(「XXX年XX月XX日」)、会計対象商品の商品名称および単価(「たばこ ¥XXX」等)、小計額(「小計 ¥XXXX」)、現計額(「現計 ¥XXXX」)、および会計の時刻(「XXX XX時 XX分」)等の会計明細を示す情報が配置されている。
【0027】
これらの情報に加え、印刷データ300には、矩形かつ黒ベタのマーカMが1つ配置される。このマーカMは、印刷データ300のX軸方向右側辺に接するように定義された位置P1,P2,…P9のいずれかに配置される。位置P1は印刷データ300の右下角に位置決めされ、位置P9は右上角に位置決めされている。このように定義された位置P1,P9の間に、位置P2〜P8が等間隔で位置決めされている。
【0028】
なお、各位置P1〜P9の間隔は、レシートの長さに応じて変化させればよい。すなわち、会計明細等を示す情報が配置され、レシートのY軸方向長さが決定すると、当該長さに基づいて隣り合うもの同士が等間隔となるように位置P2〜P8を位置決めする。
【0029】
ここで、マーカ位置テーブル212のデータ構造例を図4に示す。マーカ位置テーブル212は、一桁のナンバ「1」,「2」,…「9」に対し、位置「P1」,「P2」,…「P9」を対応付けて構成されている。マーカMの配置位置は、このようなデータ構造のマーカ位置テーブル212と、乱数生成プログラム110の実行によって得られる一桁の乱数とを用いて決定される。すなわち、マーカ位置テーブル212において、生成された乱数と同値のナンバに対応付けられた位置がマーカMの配置位置になる。
【0030】
[会計処理]
次に、会計処理について説明する。
キーボード22が備えるPLUキーが押下げられると、CPU10は、ROM11に記憶された動作プログラムを実行して会計処理を開始する。会計処理においてCPU10が実行する処理のフローチャートを図5に示している。
【0031】
この処理において、先ずCPU10は、客が購入しようとする商品の登録を受け付ける(ステップS101)。このとき、キャッシャがバーコードスキャナ28を用いて商品に付されたバーコードを読み取ると、当該バーコードで示されるPLUコードがスキャナI/F15を介して入力される。PLUコードが入力されると、CPU10は、当該PLUコードに対応付けられた商品データをPLUファイル211から読み出し、RAM12に記憶する。このような流れの処理によって、客が購入しようとする各商品が登録される。
【0032】
客が購入しようとする全ての商品を登録し終えると、キャッシャは、キーボード22に設けられた小計キーを押下げる。小計キーが押下げられると、CPU10は、RAM12に記憶された商品データを元に小計額および現計額を算出し、表示コントローラ17,18を介してキャッシャ用表示器23,客用表示器24に当該小計額および現計額を表示させるとともに、代金の支払を受け付ける(ステップS102)。このとき、キャッシャが客からの預り金額をキーボード22の置数キーを操作して入力し、預り/現計キーを押下げると、CPU10は、当該預り金額と代金との差額を釣銭額として算出し、当該預り金額および釣銭額等を表示コントローラ17,18を介してキャッシャ用表示器23,客用表示器24に表示させる。この表示を見てキャッシャが釣銭を客に返す。
【0033】
預り/現計キーの押下げ時に、CPU10は、RAM12に記憶された商品データ、小計額、現計額、および時計回路13によって計時される年月日および日時を用いて会計明細等が配置されたレシートの印刷データを生成し、RAM12の印刷データエリア120に記憶する(ステップS103)。
【0034】
その後、CPU10は、ROM11に記憶された乱数生成プログラム110を実行し、1桁の乱数を生成する(ステップS104)。そして、生成した乱数と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS105)。
【0035】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS106)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS107)。以上で一連の会計処理が終了する。
【0036】
なお、ステップS104の処理は乱数生成手段を構成し、ステップS105,S106の処理は、印刷物であるレシートの側辺にマーカMを付す位置を選択的に変更せしめる位置変更手段を構成する。
【0037】
[作用]
作用について説明する。
図6は、別々の会計処理において発行される複数枚のレシートを示す模式図である。ここでは一例としてサイズが同一の8枚のレシート401,402,…408を図示している。レシート401,403,406は、乱数として「1」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「1」に対応付けられた位置「P1」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P1にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。レシート402,405,408は、乱数として「5」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「5」に対応付けられた位置「P5」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P5にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。レシート404,407は、乱数として「9」が生成され(ステップS104)、マーカ位置テーブル212中のナンバ「9」に対応付けられた位置「P9」がマーカMの配置位置として決定され(ステップS105)、印刷データエリア120に記憶された印刷データ中の位置P9にマーカMが追加され(ステップS106)、この印刷データに基づいて印刷されたものである(ステップS107)。
【0038】
レシート401,402,403,404,405,406,407,408をこの順で重ね、マーカMが印刷された端部側の側方から見た際の模式図を図7に示している。このように、各レシート401〜408には乱数に基づいて位置決めされるマーカMが付されているので、この束の中に何枚のレシートがあるのか容易に判別できる。
【0039】
ここで、いずれかのレシートとその下方のレシートが互いに密着しており、上方のレシートを手に取った際にその裏面に下方のレシートが張り付いていたとする。このような場合であっても側方からマーカMを確認すれば、その印刷位置の違いから2枚のレシートが重なっていることに気付くことができる。
【0040】
また、特に本実施形態ではマーカMを矩形のベタ黒で印刷するため、いずれかのレシートに下方のレシートが密着していれば、上方のレシートの印刷面からは下方のレシートのマーカMが透けて見え易い。このように透けて見えるマーカMを確認することでも、2枚のレシートが重なっていることに気付くことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、レシートが印刷される度にカウント値を変更するカウンタを設け、乱数に代えてこのカウンタのカウント値を用いてマーカMの配置位置を変更する点で、第1の実施形態と異なる。
【0042】
本実施形態におけるRAM12には、「1」から「9」までの数値をカウントするためのカウンタエリアが生成される。このカウンタエリアは、例えばPOS端末1に電源が投入されてシステムが起動された直後に生成され、システムがシャットダウンされる際に消去される。
【0043】
本実施形態における会計処理にてCPU10が実行する処理のフローチャートを図8に示している。会計処理が開始されると、CPU10は、第1の実施形態と同様に商品の登録を受け付け(ステップS201)、代金の支払を受け付け(ステップS202)、会計明細等の情報を配置したレシートの印刷データを生成する(ステップS203)。
【0044】
続いて、CPU10は、RAM12のカウンタを参照してそのカウント値を取得する(ステップS204)。そして、取得したカウント値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS205)。
【0045】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS206)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS207)。
【0046】
レシートプリンタ26がレシートを印刷発行した後、CPU10は、カウンタのカウント値を1つインクリメントする(ステップS208)。但し、カウンタのカウント値が「9」である場合には、カウント値を「1」に戻す。ステップS207の処理を以って一連の会計処理が終了する。
なお、ステップS205,S206の処理は、本実施形態における位置変更手段を構成する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態ではレシートが発行される度にカウンタのカウント値を変更し、そのカウント値に基づいてマーカMの配置位置を変更する。このようにした場合であっても、レシート毎にマーカMの配置位置が変更されるので、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、時計回路13によって計時される日時を用いてマーカMの配置位置を変更する点で、前記各実施形態と異なる。
【0049】
本実実施形態におけるマーカ位置テーブル212aのデータ構造例を図9に示している。マーカ位置テーブル212aは、日時に関する条件である「条件1」,「条件2」,…「条件9」に対し、位置「P1」,「P2」,…「P9」を対応付けて構成されている。各条件1〜9は、1つの日時に対して1つが成立するものであれば、例えば9分割された店舗の営業時間をそれぞれ示すものであってもよいし、店舗の異なる営業日をそれぞれ示すものであってもよい。
【0050】
本実施形態における会計処理においてCPU10が実行する処理のフローチャートを図10に示している。会計処理が開始されると、CPU10は、前記各実施形態と同様に商品の登録を受け付け(ステップS301)、代金の支払を受け付け(ステップS302)、会計明細等の情報を配置したレシートの印刷データを生成する(ステップS303)。
【0051】
続いて、CPU10は、時計回路13から現在の日時を取得する(ステップS304)。そして、取得した日時とマーカ位置テーブル212aの条件1〜条件9とを比較し、成立した条件に対応付けられた位置をマーカMの配置位置として決定する(ステップS305)。
【0052】
マーカMの配置位置を決定すると、CPU10は、印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMを追加して、印刷データを完成させる(ステップS306)。かくして印刷データが完成すると、CPU10は、プリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる(ステップS307)。以上で一連の会計処理が終了する。
なお、ステップS305,S306の処理は、本実施形態における位置変更手段を構成する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では時計回路13が計時する日時に応じてマーカMの配置位置を変更する。このようにした場合であっても、マーカMの配置位置が時刻毎あるいは日付毎に変更されるので、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
この実施形態は、マーカMに加えて配置位置が固定されたマーカM1,M2,M3をレシートに印刷する点で、前記各実施形態と異なる。
【0055】
本実施形態において印刷されるレシートの印刷データの一例を、図11に示している。図示した印刷データ310には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。但し、印刷データ310の左上角,左下角,右上角には、位置が変動しないマーカM1,M2,M3がそれぞれ配置されている。位置P1は印刷データ310の右下角に位置決めされている。このように定義された位置P1とマーカM3の配置位置との間に、X軸方向右側辺と接するように位置P2〜P9が等間隔で位置決めされている。
【0056】
会計処理においては、印刷データ310中の位置P1〜P9のうち、第1の実施形態のように乱数を用いて決定される位置、第2の実施形態のようにカウンタを用いて決定される位置、あるいは第3の実施形態のように日時を用いて決定される位置にマーカMが配置され、マーカM,M1,M2,M3が印刷されたレシートが発行される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では配置位置が変動するマーカMに加え、配置位置が3隅に固定されたマーカM1,M2,M3がレシートに印刷される。このようにした場合であっても前記各実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
加えて、POS端末1で発行されたレシートと他のPOS端末等で発行されたレシートとが密着している場合に、これらレシートをいずれの側方から見た場合であってもその重なりに気付くことができる。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
この実施形態は、レシートのX軸方向の両端部にマーカMを印刷する点で、前記各実施形態と異なる。
【0060】
本実施形態において印刷されるレシートの印刷データの一例を、図12に示している。図示した印刷データ320には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。但し、X軸方向の両端部において、それぞれ右側辺,左側辺と接するように位置P1,P2,…P9が定義されている。右側辺に接する位置P1〜P9のいずれかにはマーカMRが配置され、左側辺に接する位置P1〜P9のいずれかにはマーカMLが配置される。
【0061】
本実施形態における会計処理は、第1の実施形態と同様の流れで進行する。但し、本実施形態における乱数生成プログラム110は、2桁の乱数を生成するように構成されている。したがって、ステップS104の処理において、CPU10は2桁の乱数を生成する。そして、ステップS105の処理において、CPU10は生成した乱数のいずれか1桁の値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMRの配置位置として決定する。さらに、生成した乱数の他の桁の値と同値のナンバをマーカ位置テーブル212から検索し、発見したナンバに対応付けられた位置をマーカMLの配置位置として決定する。
【0062】
その後、ステップS106の処理において、CPU10は印刷データエリア120に記憶した印刷データの当該決定した配置位置にマーカMR,MLを追加して印刷データを完成させ、ステップS107の処理においてプリンタコントローラ20にレシートプリンタ26を駆動させ、印刷データエリア120に記憶された印刷データに基づいてレシートを印刷発行させる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態ではレシートのX軸方向の左右両端部に乱数によって位置を変更しつつマーカMR,MLを印刷する。このようにすれば、マーカMR,MLが印刷されたいずれの端部を側方から見た場合であっても複数枚のレシートの密着に気付くことができる。
【0064】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
本実施形態は、レシートプリンタ26の発熱素子群262の幅がレシート用紙263の幅よりも短い点で、前記各実施形態と異なる。
【0065】
図13は、本実施形態におけるレシートプリンタ26の印刷ヘッド261とレシート用紙263との関係を説明するための模式図である。既述の通り、本実施形態における発熱素子群262のX軸方向幅は、レシート用紙263の同方向幅よりも短い。したがって、マーカMをレシートのX軸方向の左側辺に接するようにも、右側辺に接するようにも印刷することができない。
【0066】
そこで、本実施形態では、印刷データのY軸方向の下辺に接するようにマーカMを配置するための位置P1〜P9を定義する。このように位置P1〜P9が定義された印刷データの一例を図14に示している。図示した印刷データ330には、図3に示した印刷データ300と同一の情報が配置されている。図中のY軸方向に付された2本の破線は発熱素子群262の幅を示すものである。位置P1はY軸方向の下辺および左方の破線と接するように位置決めされ、位置P9はY軸方向の下辺および右方の破線と接するように位置決めされている。このように定義された位置P1,P9の間に、それぞれY軸方向の下辺と接するように位置P2〜P8が等間隔で位置決めされている。また、通常、Y軸方向端部の幅はX軸方向端部の幅よりも短くなるため、マーカMの大きさを前記各実施形態に示したものより小さくしている。このような印刷データ330に基づいて印刷されるレシートは、Y軸方向の下辺に沿って前記カッタ機構によって切断される。したがって、レシートの下辺と接するようにマーカMが印刷された状態となる。
【0067】
会計処理においては、印刷データ330中の位置P1〜P9のうち、第1の実施形態のように乱数を用いて決定される位置、第2の実施形態のようにカウンタを用いて決定される位置、あるいは第3の実施形態のように日時を用いて決定される位置にマーカMが配置され、このマーカMが印刷されたレシートが発行される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態ではレシートのY軸方向の下辺と接するようにマーカMを印刷する。このようにしても、マーカMが印刷された端部を側方から見ることで複数枚のレシートの密着に気付くことができる。
【0069】
(変形例)
なお、前記各実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0070】
(1)前記各実施形態では、POS端末1から発行されるレシートにマーカを付す場合を例示した。しかしながら、前記各実施形態において開示した構成を変形して他種の装置に適用することができる。例えば、クレジットカードによる決済を処理する決済端末に前記各実施形態において開示した構成を適用してもよい。この場合にあっては、決済端末から決済の度に発行される店舗控え伝票、客用伝票、クレジット事業者用伝票のそれぞれにマーカを印刷してもよいし、いずれか1つあるいは2つの伝票にマーカを印刷してもよい。
【0071】
(2)第1の実施形態では乱数に応じてマーカの配置位置を変更させ、第2の実施形態ではレシートが発行される毎にマーカの配置位置を変更させ、第3の実施形態では日時に応じてマーカの配置位置を変更させる場合を例示した。しかしながら、マーカの配置位置は、他の条件に基づいて変更させてもよい。例えば、例えばレシートの発行数が予め定められた回数に達する毎にマーカの配置位置を変更させてもよいし、客が購入した商品数に応じてマーカの配置位置を変更させてもよい。あるいは小計額や現計額に応じてマーカの配置位置を変更させてもよい。
【0072】
(3)第5の実施形態では2つのマーカの配置位置を変更させる場合を例示し、他の実施形態では1つのマーカの配置位置を変更させる場合を例示した。しかしながら、より多数のマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよい。例えば、レシートの4辺それぞれと接する4つのマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよいし、いずれか1辺と接する複数のマーカをその配置位置を変更させながら印刷してもよい。
【0073】
(4)前記各実施形態では、位置P1〜P9の中でマーカの配置位置を変更する場合を例示した。しかしながら、より多数あるいは少数の位置の中でマーカの配置位置を変更してもよい。また、マーカの配置位置を隣り合う配置位置同士が一部重なるように定義してもよいし、位置P1〜P9のような配置位置を定義せずに所定の計算式を用いるなどして得られる位置にマーカを配置するようにしてもよい。
【0074】
(5)前記各実施形態では、矩形かつ黒ベタのマーカを印刷する場合を例示した。しかしながら、円形、星型、三角形その他の多角形のようにマーカの形状を変更してもよいし、マーカの内側を塗りつぶさずに縁取りのみしてもよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
M…マーカ、1…POS端末、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…時計回路、26…レシートプリンタ、110…乱数生成プログラム、120…印刷データエリア、212,212a…マーカ位置テーブル、261…印刷ヘッド、262…発熱素子群、263…レシート用紙、401〜408…レシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一辺と接するようにマーカが付された印刷物を印刷する印刷手段と、
前記印刷物に前記マーカを付す位置を選択的に変更せしめる位置変更手段と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
乱数を生成する乱数生成手段をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記乱数生成手段によって生成された乱数に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段によって前記印刷物が印刷される度にカウント値を変更するカウンタを備え、
前記位置変更手段は、前記カウンタのカウント値に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
日時を計時する計時手段をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記計時手段によって計時される日時に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷物には、少なくとも一辺と接する複数のマーカが付され、
前記位置変更手段は、前記複数のマーカの全て又はいずれかを前記印刷物に付す位置を選択的に変更せしめることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷物を印刷する印刷部を備えた印刷装置の制御プログラムであって、
前記印刷装置に、
所定の情報を配置した印刷データを生成する生成機能と、
前記生成機能によって生成された印刷データに対し、少なくとも前記印刷物の一辺と接する位置にマーカを配置する配置機能と、
前記配置機能によって前記マーカが配置された印刷データに基づいて前記印刷部に印刷物を印刷させる印刷制御機能と、
前記配置機能によって前記印刷データに対し前記マーカを配置する位置を選択的に変更せしめる位置変更機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【請求項1】
少なくとも一辺と接するようにマーカが付された印刷物を印刷する印刷手段と、
前記印刷物に前記マーカを付す位置を選択的に変更せしめる位置変更手段と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
乱数を生成する乱数生成手段をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記乱数生成手段によって生成された乱数に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段によって前記印刷物が印刷される度にカウント値を変更するカウンタを備え、
前記位置変更手段は、前記カウンタのカウント値に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
日時を計時する計時手段をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記計時手段によって計時される日時に応じて前記マーカを付す位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷物には、少なくとも一辺と接する複数のマーカが付され、
前記位置変更手段は、前記複数のマーカの全て又はいずれかを前記印刷物に付す位置を選択的に変更せしめることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷物を印刷する印刷部を備えた印刷装置の制御プログラムであって、
前記印刷装置に、
所定の情報を配置した印刷データを生成する生成機能と、
前記生成機能によって生成された印刷データに対し、少なくとも前記印刷物の一辺と接する位置にマーカを配置する配置機能と、
前記配置機能によって前記マーカが配置された印刷データに基づいて前記印刷部に印刷物を印刷させる印刷制御機能と、
前記配置機能によって前記印刷データに対し前記マーカを配置する位置を選択的に変更せしめる位置変更機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−20454(P2012−20454A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159105(P2010−159105)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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