説明

印刷装置および印刷システム

【課題】
第3者である他人が、所定の個人のICカードを不正に用いて印刷装置を使用した又は使用を企てた場合にその事実をICカードの所有者である所定の個人に通知することにより、印刷装置の不正使用を防止しセキュリティを向上させることが可能な印刷装置および印刷システムを提供する。
【解決手段】
カード識別情報を読み取るカード情報読み取り部と、カード識別情報、上位装置を識別するための固有情報、及びユーザの通知アドレスを対応付けた管理テーブルを格納する管理テーブル格納部と、通知情報を作成するユーザ通知情報作成手段と、通知情報を通知アドレス情報に基づいて送信するユーザ通知情報送信手段と、カード識別情報に基づき、カード識別情報を読み取った旨の通知情報をユーザ通知情報作成手段に作成させ、通知情報をユーザの通知アドレス宛に送信するようユーザ通知情報送信手段を制御するジョブ処理部とを備えた印刷装置及び印刷システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードによって認証印刷を行う印刷装置および印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、IC(Integrated Circuits)上に認証情報を記載したICカードを用いた認証印刷においては、印刷の実行指示を出力するPC(Personal Computer)等の上位装置か印刷装置、またはその双方に対して、個人が所有するICカードに記載されている認証情報を読み込ませる方法により、特定の個人を認証していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、他人がICカードを盗用、偽造等することによって所定の個人になりすますことが可能であり、第3者である他人が印刷装置等から不正に何度でも印刷データを入手することができてしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、第3者である他人が、所定の個人のICカードを不正に用いて印刷装置を使用した、または使用を企てた場合に、その事実をICカードの所有者である所定の個人に通知することにより、印刷装置の不正使用を防止し、セキュリティを向上させることが可能な印刷装置および印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる印刷装置は、上位装置から送信された印刷データに対して認証印刷を行う印刷装置であって、上位装置を使用するユーザのカード識別情報を読み取るカード情報読み取り部と、カード識別情報、上位装置を識別するための固有情報、及びユーザの通知アドレスを対応付けた管理テーブルを格納する管理テーブル格納部と、ユーザに対して通知される通知情報を作成するユーザ通知情報作成手段と、ユーザ通知情報作成手段により作成された通知情報を通知アドレス情報に基づいて送信するユーザ通知情報送信手段と、カード情報読み取り部が読み取ったカード識別情報に基づき、カード識別情報を読み取った旨の通知情報をユーザ通知情報作成手段に作成させるとともに、通知情報を管理テーブル上で対応付けられたユーザの通知アドレス宛に送信するようユーザ通知情報送信手段を制御するジョブ処理部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる印刷システムは、上記記載の印刷装置と、作成した印刷データに自身の固有情報を付加させて印刷装置に送信する上位装置とを備えた印刷システムであって、上位装置は、自身の固有情報を格納する上位装置固有情報格納部と、カード識別情報を読み取る上位装置カード情報読み取り部と、上位装置カード情報読み取り部が読み取ったカード識別情報と、上位装置固有情報格納部に格納された固有情報と、を印刷データに付加させて印刷装置に送信する上位装置送信部を備え、印刷装置は、受信した情報からカード識別情報、及び固有情報を抽出し、抽出されたカード識別情報と固有情報との組み合わせが印刷装置が備える管理テーブル上で対応付けられた組み合わせに一致する場合に、印刷データをジョブデータ格納部に格納させる格納処理部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第3者である他人が、所定の個人のICカードを不正に用いて印刷装置を使用した、または使用を企てた場合に、その事実をICカードの所有者である所定の個人に通知することにより、印刷装置の不正使用を防止し、セキュリティを向上させることが可能な印刷装置および印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態にかかる印刷システムの構成例の一例を説明する図である。
【図2】第1の実施形態にかかる印刷システムの機能ブロック図である。
【図3】印刷データ格納部を説明する図である。
【図4】IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブルを説明する図である。
【図5】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図6】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図7】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図8】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図9】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図10】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図11】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図12】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図13】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図14】第1の実施形態にかかる電子メールの内容を説明する図である。
【図15】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図16】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図17】第1の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図18】第2の実施形態にかかる印刷システムの構成例の一例を説明する図である。
【図19】第2の実施形態にかかる印刷システムの機能ブロック図である。
【図20】印刷データ格納部を説明する図である。
【図21】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図22】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図23】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図24】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図25】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【図26】第2の実施形態にかかる印刷システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態においては、本発明を適用した印刷装置としてのプリンタ200と、上位装置としてのPC1−1、PC1−2、・・・PC1−nとが、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して接続されることにより構築された印刷システムについて説明する。本実施形態にかかる印刷システムにおいて、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nは、アプリケーションを用いて作成・編集した印刷データを印刷ジョブデータとしてLANケーブルを介してプリンタ200に送信することが可能である。そして、プリンタ200は、ICカードを用いたユーザ認証の成否に基づき、LANケーブルを介して受信した印刷ジョブデータの印刷データに対応する画像を記録媒体上に印刷することができる。
【0012】
このような機能を備えたプリンタ200、及びPC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの構成について、図1、及び図2を用いて説明する。
【0013】
図1は、プリンタ200と、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nとが、LANケーブル9を介して接続されて構築された印刷システムの構成例の一例を説明する図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態においては、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nは、LANケーブル9を介してカードリーダ30を備えたプリンタ200を共有しており、それぞれのPC1−1、PC1−2、・・・PC1−nは、アプリケーションを用いて作成した印刷データを印刷ジョブとしてLANケーブル9を介してプリンタ200に送信することが可能であるとともに、プリンタ200は、LANケーブル9を介して受信した印刷ジョブの印刷データに基づき記録媒体上に画像を印刷することができる。
【0015】
図2は、プリンタ200、及びPC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの構成を説明するための機能ブロック図である。なお、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nには、それぞれ1台につき1名のユーザが割り当てられている。そして、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nは、それぞれ略同一の構成を有するとともに、略同一の動作を実行するため、ここでの説明は、PC1−1を用いて説明する。なお、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nにおいて、何れかの装置を特定しない、つまり、任意の装置を説明する場合には、単にPCと表記する場合がある。
【0016】
まず、PC1−1について説明する。PC1−1は、アプリケーション2と、ドライバ3と、通信部4と、固有情報5と、を備える。
【0017】
アプリケーション2は、図示せぬ入力手段を介してユーザにより入力された内容に基づき、例えば、文書や画像等の作成、又は編集を行うとともに、印刷動作の開始指令の入力を受付ける。そして、アプリケーション2は、ユーザによる印刷動作の開始指令の入力を受付けると、作成、又は編集した文書や画像等に基づく印刷データをドライバ3に対して出力する。
【0018】
ドライバ3は、アプリケーション2により入力された印刷データを、例えば、PDL(Page Description Language)等のプリンタ200が解釈可能なプリンタ言語の印刷データに変換し、PC1−1の固有情報5を付加して通信部4に出力する。なお、固有情報5とは、例えば、PC1−1に対して個別に割り当てられたIP(Internet Protocol)アドレスや、MAC(Media Access Control)等の複数存在するPCからPC1−1を一意に識別できるデータとする。そして、本実施形態においては、固有情報5は、IPアドレスとする。
【0019】
通信部4は、ドライバ3から固有情報5が付加された印刷データが入力されると、これを印刷ジョブデータとしてLANケーブル9を介してプリンタ200に送信する。
【0020】
次に、プリンタ200について説明する。プリンタ200は、通信部10と、カード情報読み取り部としての非接触カード情報受信部30と、印刷許可判定部40と、ジョブ処理部50と、印刷部60と、ユーザ通知情報作成部としての電子メール作成部70と、ユーザ通知情報送信手段としての電子メール送信部80と、管理テーブル格納部としての印刷データ格納部100、及びIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110と、を備える。
【0021】
通信部10は、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの各PCから送信される印刷ジョブデータを受信する。前述したように、通信部10が受信する印刷ジョブデータは、各PCの固有情報5と印刷データとが含まれている。そして、通信部10は、受信した印刷ジョブデータをそのままの形式でジョブ処理部50に出力する。
【0022】
非接触カード情報受信部30は、ICカードに格納された情報を読み取るための図示せぬ読み取り装置を備え、例えば、ICカードのカードタッチ、又はICカードの挿入により、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDを印刷許可判定部40に出力する。
【0023】
印刷許可判定部40は、非接触カード情報受信部30により入力されたユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDに対応付けられたユーザが占有して使用するPCのIPアドレスと電子メールアドレスとを取得し、ジョブ処理部50に出力する。
【0024】
ジョブ処理部50は、通信部10から入力された印刷ジョブデータからIPアドレスを抽出するとともに、抽出したIPアドレスと印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100に格納させる。また、ジョブ処理部50に含まれるジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から入力されたIPアドレスに基づき印刷データ格納部100を検索する。ここで、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されている場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「印刷」という信号を電子メール作成部70に出力する。一方、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されていない場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「データなし」という信号を電子メール作成部70に出力する。そして、ジョブ処理部50は、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されている場合において、これらの印刷データを読み出すとともに、解析し、印刷画像データを作成する印刷画像データ作成部52を備え、印刷画像データ作成部52において作成された印刷画像データは、印刷部60に出力される。
【0025】
印刷部60は、印刷画像データ作成部52により作成された印刷画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する。本実施形態の印刷部60に適用される画像形成方式には、特に限定はなく、例えば、電子写真方式や、インクジェット方式等の画像形成方式を用いることができる。
【0026】
電子メール作成部70は、ジョブ処理部50から入力された電子メールアドレスを宛先とした電子メールを作成する。このとき作成される電子メールの本文内容は、ジョブ処理部50から入力された実績としての信号「印刷」、又は「データなし」の何れかの場合によって異なる。電子メール作成部70により作成された電子メールは、電子メール送信部80を介して通信部10に出力され、更に通信部10により該当する電子メールアドレスの宛先に送信される。
【0027】
印刷データ格納部100は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置から構成され、IPアドレスと、当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データと、を対応付けて格納する。図3は、例えば、192.168.10.1のIPアドレスが割り振られたPC、及び192.168.10.4のIPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが格納されている様子を説明する図である。
【0028】
IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110は、例えば、RAM,HDD等から構成された記憶装置に、IPアドレスと、当該IPアドレスが割り振られたPCを占有して使用するユーザのユーザIDと、当該ユーザ宛ての電子メールアドレスと、をテーブル形式に対応付けて格納したものである。図4は、例えば、192.168.10.1のIPアドレスと、192.168.10.1のIPアドレスが割り振られたPCを占有して使用するユーザのユーザIDであるA00001と、当該ユーザ宛ての電子メールアドレスであるtokyo01@***.comと、がテーブル形式に対応付けられて格納されている様子を説明する図である。
【0029】
次に、上記構成を備えた印刷システムの動作について図5、図6、図7、図8、図9、図10、及び図11を用いて説明する。
【0030】
本実施形態にかかる動作として、ここでは、ICカードを用いた認証印刷において、プリンタ200がICカードに格納されているユーザIDを読み取ったタイミングで、非接触カード情報受信部30におけるICカードの読み取り処理が実行された、あるいは、更に印刷データの出力処理が実行された旨の電子メールを当該ICカードの所有者の電子メールアドレス宛てに送信する場合の例について説明する。
【0031】
本実施形態にかかる動作は、ジョブ蓄積系と、ジョブ出力系と、の2つの動作から構成される。ここで、ジョブ蓄積系の動作とは、任意のPCから送信された印刷ジョブデータをプリンタ200が受信し、受信した印刷ジョブデータを印刷データ格納部100に格納する動作である。また、ジョブ出力系の動作とは、プリンタ200の非接触カード情報受信部30が、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDに対応する印刷データが印刷データ格納部100に格納されている場合に、プリンタ200が当該印刷データに基づく画像を記録媒体上に印刷する動作である。そして、上記ジョブ蓄積系と、ジョブ出力系と、はユーザの任意によって逐次実行される動作であり、相互にソフトウェア的なイベントの受け渡しによって実行される動作ではない。
【0032】
図5は、ジョブ蓄積系の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS110において、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの任意のPCが通信部4を介して印刷ジョブデータをプリンタ200に送信する。前述したように、PCからプリンタ200に対して送信される印刷ジョブデータには、プリンタ200が印刷処理を実行するに必要な印刷データと、当該PCに割り振られたIPアドレスが含まれる。
【0033】
次に、ステップS120において、プリンタ200の通信部10は、LANケーブル9を介してPCから送信された印刷ジョブデータを受信する。そして通信部10は、受信した印刷ジョブデータをジョブ処理部50に出力する。
【0034】
印刷ジョブデータが入力されたジョブ処理部50は、印刷ジョブデータに含まれるIPアドレスを抽出するとともに、抽出したIPアドレスと印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100に格納させる(ステップS130)。
【0035】
次に、図5で説明した各ステップにかかる動作について、図6、図7、及び図8を用いてより詳細に説明する。
【0036】
図6は、図5のステップS110にかかるジョブデータ送信処理を説明するフローチャートである。なお、本処理は、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの何れかのPCが実行する処理であり、PCに対する入力はなく、PCが出力するのは印刷ジョブデータである。
【0037】
PCのアプリケーション2は、ユーザによる印刷動作の開始指令の入力に基づき、作成、又は編集した文書や画像等に基づく印刷データをドライバ3に対して出力する。そして、ドライバ3は、ドライバ3は、アプリケーション2により入力された印刷データを、例えば、PDL等のプリンタ200が解釈可能なプリンタ言語の印刷データに変換し、PCの固有情報5を付加して印刷ジョブデータとし(ステップS111)、通信部4に出力する。
【0038】
通信部4は、入力され印刷ジョブデータをLANケーブル9を介してプリンタ200に送信する(ステップS112)。
【0039】
次に、図5のステップS120にかかるジョブデータ受信処理について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、プリンタ200の通信部10が実行する処理である。そして、通信部10に対して入力されるのは印刷ジョブデータであり、出力も同印刷ジョブデータである。
【0040】
プリンタ200の通信部10は、PCから送信された印刷ジョブデータを受信すると(ステップS121)、これをこのままの形式でジョブ処理部50に出力する(ステップS122)。
【0041】
次に、図5のステップS130にかかるジョブデータ格納処理について図8のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、ジョブ処理部50が実行する処理である。そして、ジョブ処理部50に対して入力されるのは印刷ジョブデータであるが、ジョブ処理部50が出力するデータはない。
【0042】
ジョブ処理部50は、通信部10から印刷ジョブデータが入力されると(ステップS131)、印刷ジョブデータに含まれるIPアドレスを抽出し(ステップS132)、抽出したIPアドレスと印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100に格納させる(ステップS133)。
【0043】
次に、ジョブ出力系の動作について説明する。図9は、ジョブ出力系の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS210において、プリンタ200の非接触カード情報受信部30は、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDを印刷許可判定部40に出力する。
【0044】
ユーザIDが入力された印刷許可判定部40は、当該ユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDに対応付けられたユーザが占有して使用するPCのIPアドレスと電子メールアドレスとを検索する。ここで、該当するIPアドレスと電子メールアドレスとがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されている場合、これらをジョブ処理部50に出力する(ステップS220)。
【0045】
IPアドレスと電子メールアドレスとが入力されたジョブ処理部50ののジョブデータ解析部51は、入力されたIPアドレスに基づき、当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが印刷データ格納部100に格納されているか否かを検索する。ここで、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されている場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「印刷」という信号を電子メール作成部70に出力する。一方、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されていない場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「データなし」という信号を電子メール作成部70に出力する(ステップS230)。
【0046】
ステップS240において、電子メールアドレスと上記実績にかかる信号とが入力されると、電子メール作成部70は、取得した電子メールアドレス宛ての電子メールを新たに作成し、これを電子メール送信部80に出力する。なお、電子メール作成部70が作成する電子メールの内容は、入力された上記実績にかかる信号によって異なる。
【0047】
電子メール作成部70により作成された電子メールが入力されると、電子メール送信部80は、通信部10を介して電子メールアドレス宛てに当該電子メールを送信する(ステップS250)。
【0048】
なお、IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが印刷データ格納部100に格納されている場合において、印刷画像データ作成部52は、これらの印刷データを読み出すとともに、解析し、印刷画像データを作成する(ステップS260)。印刷画像データ作成部52において作成された印刷画像データは、印刷部60に出力される。
【0049】
印刷画像データ作成部52により作成された印刷画像データが入力された印刷部60は、印刷画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する(ステップS270)。
【0050】
次に、図9で説明した各ステップにかかる動作について、図10、図11、図12、図13、図15、図16、及び図17を用いてより詳細に説明する。
【0051】
図10は、図9のステップS210にかかる非接触カード情報受信処理を説明するフローチャートである。なお、本処理は、非接触カード情報受信部30が実行する処理である。そして、非接触カード情報受信部30に対して入力されるのはユーザIDであり、出力も同ユーザIDである。
【0052】
非接触カード情報受信部30は、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り(ステップS211)、当該ユーザIDを印刷許可判定部40に出力する(ステップS212)。
【0053】
次に、図9のステップS220にかかる印刷許可判定処理について図11のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、印刷許可判定部40が実行する処理である。そして、印刷許可判定部40に対して入力されるのはユーザIDであり、印刷許可判定部40が出力するのはIPアドレスと電子メールアドレスとである。
【0054】
非接触カード情報受信部30からユーザIDが入力されると(ステップS221)、印刷許可判定部40は、当該ユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDに対応付けられたユーザが占有して使用するPCのIPアドレスと電子メールアドレスとがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されているか否かを確認する(ステップS222)。ここで、該当するIPアドレスと電子メールアドレスとがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されている場合、すなわち、ユーザIDが有効である場合(ステップS223/Y)、これらを取得するとともに(ステップS224)、取得したIPアドレスと電子メールアドレスとをジョブ処理部50に出力する(ステップS225)。一方、該当するIPアドレスと電子メールアドレスとがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されていない場合、すなわち、ユーザIDが無効である場合(ステップS223/N)、一連の処理を終了する。
【0055】
次に、図9のステップS230にかかる印刷データ検索処理について図12のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、ジョブ処理部50のジョブデータ解析部51が実行する処理である。そして、ジョブデータ解析部51に対して入力されるのはIPアドレスと電子メールアドレスとであり、ジョブデータ解析部51が出力するのは印刷データ、電子メールアドレス、及び実績にかかる信号である。
【0056】
印刷許可判定部40からIPアドレスと電子メールアドレスとが入力されると(ステップS231)、ジョブデータ解析部51は、入力されたIPアドレスに基づき、当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが印刷データ格納部100に格納されているか否かを検索する(ステップS232)。ここで、当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが格納されている場合(ステップS233/Y)、ジョブデータ解析部51は、実績として「印刷」を設定する(ステップS234)。
【0057】
そして、ジョブデータ解析部51は、当該IPアドレスが割り振られたPCが送信元となっている印刷データを全て読み出す(ステップS235)。そして、ジョブデータ解析部51は、読み出した印刷データを印刷画像データ作成部52に出力するとともに(ステップS236)、ステップS234において設定した実績としての「印刷」の信号とステップS231において取得した電子メールアドレスとを電子メール作成部70に通知する(ステップS238)。
【0058】
一方、当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが格納されていない場合(ステップS233/N)、ジョブデータ解析部51は、実績として「データなし」を設定する(ステップS237)。
【0059】
そして、ジョブデータ解析部51は、ステップS237において設定した実績としての「データなし」の信号とステップS231において取得した電子メールアドレスとを電子メール作成部70に通知する(ステップS238)。
【0060】
次に、図9のステップS240にかかる電子メール作成処理について図13のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、電子メール作成部70が実行する処理である。そして、電子メール作成部70に対して入力されるのは実績にかかる信号と電子メールアドレスとであり、電子メール作成部70が出力するのは電子メールデータである。
【0061】
ジョブデータ解析部51から実績にかかる信号と電子メールアドレスとが入力されると(ステップS241)、電子メール作成部70は、入力された電子メールアドレスを宛先にした新規電子メールを作成する(ステップS242)。
【0062】
ステップS242において作成された新規電子メールの内容は、入力された実績にかかる信号によって異なる。すなわち、実績にかかる信号が「印刷」である場合(ステップS243/「印刷」)、電子メール作成部70は、本文を「印刷しました」とする内容に設定する(ステップS244)、一方、実績にかかる信号が「データなし」である場合(ステップS243/「データなし」)、電子メール作成部70は、本文を「印刷データがありません」とする内容に設定する(ステップS245)。そして、電子メール作成部70は、ステップS244、又はステップS245において設定した内容の電子メールデータを電子メール送信部80に出力する(ステップS246)。
【0063】
ここで、電子メール作成部70が作成する電子メールデータの作成例の一例を図14に示す。図14の(a)は、実績にかかる信号が「印刷」である場合の電子メールの作成例を表し、図14(b)は、実績にかかる信号が「データなし」である場合の電子メールの作成例である。
【0064】
次に、図9のステップS250にかかる電子メール送信処理について図15のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、電子メール送信部80が実行する処理である。そして、電子メール送信部80に対して入力されるのは電子メールデータであり、電子メール送信部80が出力するのは電子メールである。
【0065】
電子メール作成部70から電子メールデータが入力されると(ステップS251)、電子メール送信部80は、宛先の電子メールアドレスを判別する(ステップS252)。そして、電子メール送信部80は、通信部10を介してステップS252において判別した電子メールアドレス宛てに当該電子メールを送信する(ステップS253)。
【0066】
次に、図9のステップS260にかかる印刷画像作成処理について図16のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、印刷画像データ作成部52が実行する処理である。そして、印刷画像データ作成部52に対して入力されるのは印刷データであり、印刷画像データ作成部52が出力するのは印刷画像データである。
【0067】
図12のステップS236において、ジョブデータ解析部51から印刷データが入力されると(ステップS261)、印刷画像データ作成部52は、逐次入力された印刷データを印刷画像データに変換する(ステップS262)。そして、印刷画像データ作成部52は、作成した印刷画像データを印刷部60に出力する(ステップS263)。
【0068】
次に、図9のステップS270にかかる印刷処理について図17のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は印刷部60が実行する処理である。そして、印刷部60に対して入力されるのは、印刷画像データであり、印刷部60が出力するのは印刷画像データに基づく画像が印刷された印刷物である。
【0069】
印刷画像データ作成部52から印刷画像データが入力されると(ステップS271)、印刷部60は、印刷画像データが存在する間、印刷画像データに基づく画像を記録媒体に逐次印刷する(ステップS272)。そして、印刷部60は、印刷が終了した印刷画像データを逐次破棄する(ステップS273)。印刷画像データが全て無くなると、印刷部60は印刷にかかる処理を終了する。
【0070】
以上のように、第1の実施形態によれば、各ユーザが占有的に使用するPCを割り当て、当該PCの固有情報と当該ユーザのユーザID、及び当該ユーザの電子メールアドレスを対応付けてプリンタに格納させることにより、プリンタが備えるカード情報受信部がICカードに格納されているユーザIDを読み取ったタイミングで、当該ICカードの正当な使用者のPCに対してICカードに格納されているユーザIDが読み取られた旨の通知することができる。したがって、例えば、第3者が他人のICカードを用いてプリンタを不正に使用した、又は使用を企てた場合に、その旨がICカードの正当な使用者に電子メールを介して通知されるため、セキュリティの向上を図ることができる。また、プリンタからICカード利用者に対して上記旨が通知されることを周知にすることにより、ICカードやプリンタの不正使用を抑制することができる。
【0071】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に説明においても、本発明を適用した印刷装置としてのプリンタ200’と、カードリーダCR−1、CR−2、・・・CR−nをそれぞれ備えたPC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nとが、LANケーブルを介して接続されることにより構築された印刷システムについて説明する。本実施形態にかかる印刷システムにおいて、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nは、アプリケーションを用いて作成・編集した印刷データを印刷ジョブデータとしてLANケーブルを介してプリンタ200’に送信することが可能である。そして、プリンタ200’は、ICカードを用いたユーザ認証の成否に基づき、LANケーブルを介して受信した印刷ジョブデータの印刷データに対応する画像を記録媒体上に印刷することができる。なお、本実施形態の説明においては、第1の実施形態で説明した構成・機能と同一な箇所については同一の符合を付し、主に異なる箇所について説明する。
【0072】
図18は、プリンタ200’と、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nとがLANケーブル9を介して接続されて構築された印刷システムの構成例の一例を説明する図である。
【0073】
図18に示すように、本実施形態においては、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nのそれぞれのPCはカードリーダCR−1、CR−2、・・・CR−nを備え、LANケーブル9を介してカードリーダ30を備えたプリンタ200’を共有している。そして、それぞれのPC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nは、アプリケーションを用いて作成した印刷データを印刷ジョブとしてLANケーブル9を介してプリンタ200’に送信することが可能であるとともに、プリンタ200’は、LANケーブル9を介して受信した印刷ジョブの印刷データに基づき記録媒体上に画像を印刷することができる。
【0074】
図19は、プリンタ200’、及びPC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nの構成を説明するための機能ブロック図である。なお、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nには、それぞれ1台につき1名のユーザが割り当てられている。そして、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nは、それぞれ略同一の構成を有するとともに、略同一の動作を実行するため、ここでの説明は、PC1’−1を用いて説明する。なお、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−n、及びカードリーダCR−1、CR−2、・・・CR−nにおいて、何れかの装置を特定しない、つまり、任意の装置を説明する場合には、単にPC、及びCRと表記する場合がある。
【0075】
まず、PC1’−1について説明する。PC1’−1は、アプリケーション2と、ドライバ3と、通信部4と、固有情報5と、カードリーダCR1−1と、を備える。
【0076】
アプリケーション2は、図示せぬ入力手段を介してユーザにより入力された内容に基づき、例えば、文書や画像等の作成、又は編集を行うとともに、印刷動作の開始指令の入力を受付ける。そして、アプリケーション2は、ユーザによる印刷動作の開始指令の入力を受付けると、作成、又は編集した文書や画像等に基づく印刷データをドライバ3に対して出力する。
【0077】
ドライバ3は、アプリケーション2により入力された印刷データを、例えば、PDL等のプリンタ200’が解釈可能なプリンタ言語の印刷データに変換する。また、ドライバ3は、カードリーダCR1−1を介して当該PC1’−1を占有して使用するユーザのICカードに格納されているユーザIDを読み取る。そして、ドライバ3は、読み取ったユーザIDとPC1’−1の固有情報5とを印刷データに付加して通信部4に出力する。なお、固有情報5とは、例えば、PC1’−1に対して個別に割り当てられたIPアドレスや、MACアドレス等の複数存在するPCからPC1’−1を一意に識別できるデータとする。そして、本実施形態においては、固有情報5は、IPアドレスとする。
【0078】
通信部4は、ドライバ3から、ユーザID、及び固有情報5が付加された印刷データが入力されると、これを印刷ジョブデータとしてLANケーブル9を介してプリンタ200’に送信する。
【0079】
次に、プリンタ200’について説明する。プリンタ200’は、通信部10と、非接触カード情報受信部30と、印刷許可判定部40と、ジョブ処理部50’と、印刷部60と、電子メール作成部70と、電子メール送信部80と、印刷データ格納部100と、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110と、を備える。
【0080】
通信部10は、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nの各PCから送信される印刷ジョブデータを受信する。前述したように、通信部10が受信する印刷ジョブデータは、ユーザID、各PCの固有情報5、及び印刷データが含まれている。そして、通信部10は、受信した印刷ジョブデータをそのままの形式でジョブ処理部50’に出力する。
【0081】
非接触カード情報受信部30は、ICカードに格納された情報を読み取るための図示せぬ読み取り装置を備え、例えば、ICカードのカードタッチ、又はICカードの挿入により、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDを印刷許可判定部40に出力する。
【0082】
印刷許可判定部40は、非接触カード情報受信部30により入力されたユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDに対応付けられたユーザが占有して使用するPCのIPアドレスと電子メールアドレスとを取得し、ジョブ処理部50’に出力する。
【0083】
ジョブ処理部50’は、通信部10から入力された印刷ジョブデータから、ユーザID、及びIPアドレスを抽出する。そして、ジョブ処理部50’のID判定部53は、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しいか否かを判定する。ここで、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しい場合、印刷ジョブデータをジョブ処理部50’に出力する。そして、ジョブ処理部50’は、ユーザID、IPアドレス、及び印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100’に格納させる。なお、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しくない場合、ID判定部53は、当該印刷ジョブデータを破棄して処理を終了する。また、ジョブ処理部50’に含まれるジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から入力されたIPアドレスに基づき印刷データ格納部100を検索する。ここで、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されている場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「印刷」という信号を電子メール作成部70に出力する。一方、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されていない場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「データなし」という信号を電子メール作成部70に出力する。そして、ジョブ処理部50は、当該IPアドレスが割り当てられたPCから送信された印刷データが格納されている場合において、これらの印刷データを読み出すとともに、解析し、印刷画像データを作成する印刷画像データ作成部52を備え、印刷画像データ作成部52において作成された印刷画像データは、印刷部60に出力される。
【0084】
印刷部60は、印刷画像データ作成部52により作成された印刷画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する。本実施形態の印刷部60に適用される画像形成方式には、特に限定はなく、例えば、電子写真方式や、インクジェット方式等の画像形成方式を用いることができる。
【0085】
電子メール作成部70は、ジョブ処理部50から入力された電子メールアドレスを宛先とした電子メールを作成する。このとき作成される電子メールの本文内容は、ジョブ処理部50から入力された実績としての信号「印刷」、又は「データなし」の何れかの場合によって異なる。電子メール作成部70により作成された電子メールは、電子メール送信部80を介して通信部10に出力され、更に通信部10により該当する電子メールアドレスの宛先に送信される。
【0086】
印刷データ格納部100’は、例えば、RAM、HDD等の記憶装置から構成され、ユーザID、IPアドレス、及び当該IPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データと、を対応付けて格納する。図20は、例えば、A00001のユーザIDに対して192.168.10.1のIPアドレスが割り振られたPC、及びD00004のユーザIDに対して192.168.10.4のIPアドレスが割り振られたPCから送信された印刷データが格納されている様子を説明する図である。
【0087】
IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110は、例えば、RAM,HDD等から構成された記憶装置に、IPアドレスと、当該IPアドレスが割り振られたPCを占有して使用するユーザのユーザIDと、当該ユーザ宛ての電子メールアドレスと、をテーブル形式に対応付けて格納したものである。
【0088】
次に、上記構成を備えた印刷システムの動作について図21、図22、図23、図24、図25、及び図26を用いて説明する。
【0089】
本実施形態にかかるPCは、送信する印刷データにICカードに格納されているユーザIDと当該ユーザが占有して使用するPCのIPアドレスとを付加し、印刷ジョブデータとしてプリンタ200’に送信する。そして、プリンタ200’は、受信した印刷ジョブデータに含まれるユーザIDとIPアドレスとの組み合わせの正当性を判定して、当該組み合わせが正しい場合に、印刷ジョブとしてプリンタ200’内に格納し、当該組み合わせが正しくない場合には、上記印刷ジョブデータを破棄する。
【0090】
上記の本実施形態にかかる動作は、ジョブ蓄積系と、ジョブ出力系と、の2つの動作から構成される。ここで、ジョブ蓄積系の動作とは、任意のPCから送信された印刷ジョブデータをプリンタ200’が受信し、受信した印刷ジョブデータに含まれるユーザIDとIPアドレスとの組み合わせの正当性を判定して、当該組み合わせが正しい場合に、印刷ジョブとしてプリンタ200’内に格納し、当該組み合わせが正しくない場合には、上記印刷ジョブデータを破棄する動作である。また、ジョブ出力系の動作とは、プリンタ200’の非接触カード情報受信部30が、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDに対応する印刷データが印刷データ格納部100’に格納されている場合に、プリンタ200’が当該印刷データに基づく画像を記録媒体上に印刷する動作である。そして、上記ジョブ蓄積系と、ジョブ出力系と、はユーザの任意によって逐次実行される動作であり、相互にソフトウェア的なイベントの受け渡しによって実行される動作ではない。
【0091】
図21は、ジョブ蓄積系の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS310において、PC1’−1、PC1’−2、・・・PC1’−nの任意のPCが通信部4を介して印刷ジョブデータをプリンタ200’に送信する。前述したように、PCからプリンタ200’に対して送信される印刷ジョブデータには、プリンタ200’が印刷処理を実行するに必要な印刷データ、当該PCに割り振られたIPアドレス、及び当該PCが備えるカードリーダCRが読み取ったユーザIDが含まれる。
【0092】
次に、ステップS320において、プリンタ200’の通信部10は、LANケーブル9を介してPCから送信された印刷ジョブデータを受信する。そして通信部10は、受信した印刷ジョブデータをジョブ処理部50’に出力する。
【0093】
印刷ジョブデータが入力されたジョブ処理部50’は、印刷ジョブデータに含まれるユーザID、及びIPアドレスを抽出する。そして、ジョブ処理部50’のID判定部53は、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しいか否かを判定する(ステップS330)。ここで、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しい場合、ジョブ処理部50’は、ユーザID、IPアドレス、及び印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100’に格納させる。なお、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しくない場合、ジョブ処理部50’は、当該印刷ジョブデータを破棄して処理を終了する。抽出したIPアドレスと印刷データとを対応付けて印刷データ格納部100’に格納させる(ステップS340)。
【0094】
次に、図21で説明した各ステップにかかる動作について、図22、図23、及び図24を用いてより詳細に説明する。
【0095】
図22は、図21のステップS310にかかるジョブデータ送信処理を説明するフローチャートである。なお、本処理は、PC1−1、PC1−2、・・・PC1−nの何れかのPCが実行する処理である。そして、PCに対する入力はユーザIDであり、PCが出力するのは印刷ジョブデータである。
【0096】
PCのアプリケーション2は、ユーザによる印刷動作の開始指令の入力に基づき、作成、又は編集した文書や画像等に基づく印刷データをドライバ3に対して出力する。そして、ドライバ3は、ドライバ3は、アプリケーション2により入力された印刷データを、例えば、PDL等のプリンタ200’が解釈可能なプリンタ言語の印刷データに変換する。そして、ドライバ3は、カードリーダCRを介して当該PCを占有して使用するユーザのICカードに格納されているユーザIDを読み取り、印刷データに付加する(ステップS311)。更に、ドライバ3は、当該PCの固有情報5を取得し、上記印刷データに付加して印刷ジョブデータとし(ステップS312)、当該印刷ジョブデータを通信部4に出力する。
【0097】
通信部4は、入力され印刷ジョブデータをLANケーブル9を介してプリンタ200’に送信する(ステップS313)。
【0098】
図21のステップS320にかかるジョブデータ受信処理は、第1の実施形態の図7で説明した処理と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0099】
次に、図21のステップS330にかかるIDデータ判定処理について図23のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、ジョブ処理部50’、及びID判定部53が実行する処理である。そして、ID判定部53に対して入力されるのは印刷ジョブデータであり、出力も同印刷ジョブデータである。
【0100】
ステップ331において、印刷ジョブデータを受信すると、ジョブ処理部50’は受信した印刷ジョブデータからIPアドレスを抽出する(ステップS332)。更に、ジョブ処理部50’は、当該印刷ジョブデータからユーザIDを抽出する(ステップS333)。
【0101】
ジョブ処理部50’がIPアドレス、及びユーザIDを抽出すると、ID判定部53は、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照する(ステップS334)。抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しい場合(ステップS335/Y)、ID判定部53は、当該印刷ジョブデータをユーザID−IPアドレス−印刷データの形式に変更し、ジョブ処理部50’に出力する(ステップS336)。なお、抽出したIPアドレスとユーザIDとの組み合わせが正しくない場合、ID判定部53は、当該印刷ジョブデータを破棄して処理を終了する(ステップS337)。
【0102】
次に、図21のステップS340にかかるジョブデータ格納処理について図24のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、ジョブ処理部50’が実行する処理である。そして、ジョブ処理部50’に対して入力されるのは印刷ジョブデータであるが、ジョブ処理部50’が出力するデータはない。
【0103】
ジョブ処理部50’は、ID判定部53から印刷ジョブデータが入力されると(ステップS341)、当該印刷ジョブデータをユーザID−IPアドレス−印刷データの形式で印刷データ格納部100’に格納させる(ステップS342)。
【0104】
次に、ジョブ出力系の動作について説明する。図25は、ジョブ出力系の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS410において、プリンタ200’の非接触カード情報受信部30は、ICカードに格納されているユーザIDを読み取り、当該ユーザIDを印刷許可判定部40に出力する。
【0105】
次に、印刷許可判定部40から入力されたユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDを使用するユーザの電子メールアドレスを取得し、取得した電子メールアドレスとユーザIDとをジョブ処理部50’に出力する(ステップS420)。
【0106】
ユーザIDと電子メールアドレスとが入力されたジョブ処理部50’のジョブデータ解析部51は、入力されたユーザIDに基づき、当該ユーザIDに対応した印刷データが印刷データ格納部100’に格納されているか否かを検索する。ここで、当該ユーザIDに対応した印刷データが格納されている場合、ジョブデータ解析部51は、これらの印刷データを全て読み出すとともに、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「印刷」という信号を電子メール作成部70に出力する。一方、当該ユーザIDに対応した印刷データが格納されていない場合、ジョブデータ解析部51は、印刷許可判定部40から取得した電子メールアドレスと、実績としての「データなし」という信号を電子メール作成部70に出力する(ステップS430)。
【0107】
ステップS440において、電子メールアドレスと上記実績にかかる信号とが入力されると、電子メール作成部70は、取得した電子メールアドレス宛ての電子メールを新たに作成し、これを電子メール送信部80に出力する。なお、電子メール作成部70が作成する電子メールの内容は、入力された上記実績にかかる信号によって異なる。
【0108】
電子メール作成部70により作成された電子メールが入力されると、電子メール送信部80は、通信部10を介して電子メールアドレス宛てに当該電子メールを送信する(ステップS450)。
【0109】
なお、ジョブデータ解析部51から印刷データが入力された印刷画像データ作成部52は、これらの印刷データを解析し、印刷画像データを作成する(ステップS460)。印刷画像データ作成部52において作成された印刷画像データは、印刷部60に出力される。
【0110】
印刷画像データ作成部52により作成された印刷画像データが入力された印刷部60は、印刷画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する(ステップS470)。
【0111】
次に、図25で説明した各ステップにかかる動作について、図26を用いてより詳細に説明する。なお、図25のステップS410(非接触カード情報受信処理)、ステップS440(電子メール作成処理)、ステップS450(電子メール送信処理)、ステップS460(印刷画像作成処理)、及びステップS470(印刷処理)に係る処理は、第1の実施形態で説明した処理と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0112】
次に、図25のステップS420にかかる印刷許可判定処理について図26のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、印刷許可判定部40が実行する処理である。そして、印刷許可判定部40に対して入力されるのはユーザIDであり、印刷許可判定部40が出力するのはユーザIDと電子メールアドレスである。
【0113】
非接触カード情報受信部30からユーザIDが入力されると(ステップS421)、印刷許可判定部40は、当該ユーザIDに基づき、IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110を参照し、当該ユーザIDがプリンタ200’に登録されているか否かを判定する(ステップS422)。ここで、該当するユーザIDがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されている場合、すなわち、ユーザIDが有効である場合(ステップS423/Y)、当該ユーザIDに対応する電子メールアドレスを取得し、ユーザIDとともにジョブ処理部50に’出力する(ステップS424)。一方、該当するユーザIDがIPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル110に格納されていない場合、すなわち、ユーザIDが無効である場合(ステップS423/N)、一連の処理を終了する。
【0114】
次に、図25のステップS430にかかる印刷データ検索処理について説明する。なお、本処理は、ジョブ処理部50のジョブデータ解析部51が実行する処理である。そして、ジョブデータ解析部51に対して入力されるのはユーザIDと電子メールアドレスとであり、ジョブデータ解析部51が出力するのは印刷データ、電子メールアドレス、及び実績にかかる信号である。
【0115】
印刷許可判定部40からユーザIDと電子メールアドレスとが入力されると、ジョブデータ解析部51は、入力されたユーザIDに基づき、当該ユーザIDに対応した印刷データが印刷データ格納部100’に格納されているか否かを検索する。ここで、ユーザIDに対応した印刷データが印刷データ格納部100’に格納されている場合、ジョブデータ解析部51は、実績として「印刷」を設定する。
【0116】
そして、ジョブデータ解析部51は、当該ユーザIDに対応した印刷データを全て読み出す。そして、ジョブデータ解析部51は、読み出した印刷データを印刷画像データ作成部52に出力するとともに、設定した実績としての「印刷」の信号と取得した電子メールアドレスとを電子メール作成部70に通知する。
【0117】
一方、当該ユーザIDに対応した印刷データが印刷データ格納部100’に格納されていない場合、ジョブデータ解析部51は、実績として「データなし」を設定する。
【0118】
そして、ジョブデータ解析部51は、設定した実績としての「データなし」の信号とステップ取得した電子メールアドレスとを電子メール作成部70に通知する。
【0119】
以上のように、第2の実施形態によれば、各PCから送信される印刷ジョブデータに当該PCの固有情報と、これを送信したユーザのID情報を付加し、上記印刷ジョブデータを受信したプリンタ側で、当該印刷ジョブデータを送信したユーザのIDと当該ユーザが占有的に使用しているPCの固有情報の組み合わせを判定し、組み合わせが正当なものだけを印刷対象として格納する。したがって、第3者が他人のICカード、又は他人のPCを使用して不正に印刷物を取得することを未然に防止することができる。
【0120】
本発明にかかる第1の実施形態、及び第2の実施形態の説明においては、本発明をプリンタに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ファクシミリ装置、複写装置、又はMFP等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
2 アプリケーション
3 ドライバ
4 通信部
5 固有情報
9 LANケーブル
10 通信部
30 非接触カード情報受信部
40 印刷許可判定部
50 ジョブ処理部
51 ジョブデータ解析部
52 印刷画像データ作成部
60 印刷部
70 電子メール作成部
80 電子メール送信部
100 印刷データ格納部
110 IPアドレス−ユーザID−メールアドレス管理テーブル
200 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置から送信された印刷データに対して認証印刷を行う印刷装置であって、
前記上位装置を使用するユーザのカード識別情報を読み取るカード情報読み取り部と、
前記カード識別情報、前記上位装置を識別するための固有情報、及び前記ユーザの通知アドレスを対応付けた管理テーブルを格納する管理テーブル格納部と、
前記ユーザに対して通知される通知情報を作成するユーザ通知情報作成手段と、
前記ユーザ通知情報作成手段により作成された前記通知情報を前記通知アドレス情報に基づいて送信するユーザ通知情報送信手段と、
前記カード情報読み取り部が読み取った前記カード識別情報に基づき、前記カード識別情報を読み取った旨の通知情報を前記ユーザ通知情報作成手段に作成させるとともに、当該通知情報を前記管理テーブル上で対応付けられた前記ユーザの通知アドレス宛に送信するよう前記ユーザ通知情報送信手段を制御するジョブ処理部とを備えること
を特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ジョブ処理部は、
前記カード情報読み取り部が読み取った前記カード識別情報に該当する印刷データが無い場合、前記ユーザ通知情報作成手段に該認証を行ったユーザが本人か確認を促す確認通知を作成させ、前記ユーザ通知情報作成手段に該確認通知を送信させること
を特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記上位装置が自身の固有情報を付加させて送信した印刷データを印刷ジョブデータとして格納するジョブデータ格納部を備え、
前記ジョブ処理部は、
前記カード情報読み取り部が読み取った前記カード識別情報に対応する前記上位装置の前記固有情報を有する印刷ジョブデータが前記ジョブデータ格納部に格納されている場合、当該印刷データを出力させること
を特徴とする請求項1、又は請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ユーザ通知情報作成手段は、
前記カード情報読み取り部が読み取った前記カード識別情報に対応する前記上位装置の前記固有情報を有する印刷ジョブデータが前記ジョブデータ格納部に格納されているか否かを判断するジョブデータ判断部と、
前記ジョブデータ判断部による判断結果に基づき、前記印刷データが出力された旨を表す第1のメッセージ、又は前記印刷ジョブデータが前記ジョブデータ格納部に格納されていない旨を表す第2のメッセージの何れかのメッセージを作成するメッセージ作成部とを備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記固有情報は、
前記上位装置に割り当てられたIPアドレスであること
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記固有情報は、
前記上位装置に割り当てられたMACアドレスであること
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印刷装置と、
作成した印刷データに自身の固有情報を付加させて前記印刷装置に送信する上位装置とを備えた印刷システムであって、
前記上位装置は、
自身の固有情報を格納する上位装置固有情報格納部と、
前記カード識別情報を読み取る上位装置カード情報読み取り部と、
前記上位装置カード情報読み取り部が読み取った前記カード識別情報と、前記上位装置固有情報格納部に格納された前記固有情報と、を印刷データに付加させて前記印刷装置に送信する上位装置送信部を備え、
前記印刷装置は、
受信した情報から前記カード識別情報、及び前記固有情報を抽出し、抽出された前記カード識別情報と前記固有情報との組み合わせが当該印刷装置が備える管理テーブル上で対応付けられた組み合わせに一致する場合に、前記印刷データを前記ジョブデータ格納部に格納させる格納処理部を備えること
を特徴とする印刷システム。
【請求項8】
前記固有情報は、
前記上位装置に割り当てられたIPアドレスであること
を特徴とする請求項7記載の印刷システム。
【請求項9】
前記固有情報は、
前記上位装置に割り当てられたMACアドレスであること
を特徴とする請求項7記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−240501(P2011−240501A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111757(P2010−111757)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】