印刷装置の情報処理プログラム及び印刷装置の情報処理方法
【課題】受信バッファ内の初期化によりセキュリティが確保されていることを、ユーザが誤解なく正しく確認できる。
【解決手段】プリンタ1に備えられたCPU231に対し、印刷バッファ領域261内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類し、印刷バッファ領域261内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる外部端末400からの問い合わせコマンドを受け付け、問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、情報分類結果に応じて、印刷バッファ領域261内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定し、判定結果に基づき、外部端末400に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力する。
【解決手段】プリンタ1に備えられたCPU231に対し、印刷バッファ領域261内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類し、印刷バッファ領域261内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる外部端末400からの問い合わせコマンドを受け付け、問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、情報分類結果に応じて、印刷バッファ領域261内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定し、判定結果に基づき、外部端末400に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を操作する操作端末において実行される、印刷装置の情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作端末からの操作によって被印刷媒体に対し所望の印刷を行う印刷装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置では、操作端末から印刷データが送信されると、その印刷データは受信バッファ(バッファ)で受信され、いったん記憶される。そして、被印刷媒体に対し、印刷手段が上記印刷データに対応した印刷を行う。また、この従来技術では、ユーザがいったん指示した印刷をキャンセルしたい場合、印刷の途中で受信バッファ内の印刷データを削除可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、個人情報に対するセキュリティの向上等の観点から、印刷が完了した後には、印刷データ等を含む受信バッファ内のデータやコマンドを完全に初期化したい、というユーザのニーズが生じている。また、その際、受信バッファ内が初期化された状態を視覚的に認識したい、というユーザのニーズも生じつつある。
【0005】
これに対応する場合、例えば、受信バッファ内の初期化を行うために操作端末から初期化コマンドを送信したり、あるいは初期化後の受信バッファ内の状態を可視化するために操作端末から問い合わせコマンドを送信することが考えられる。しかしながらこの場合、受信バッファ内の初期化が完了しても、当該初期化コマンドや問い合わせコマンド自体が受信バッファ内に残る。このため、ユーザにとって、初期化されて何もなくなったはずの受信バッファ内に上記コマンドが残って見えることとなり、セキュリティが確保されていないのではないかという誤解が生じる可能性がある。上記従来技術では、印刷途中の受信バッファ内の削除処理にとどまり、印刷後の初期化やその可視化による上記のような問題については特に配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、受信バッファ内の初期化によりセキュリティが確保されていることを、ユーザが誤解なく正しく確認できる、印刷装置の情報処理プログラム及び印刷装置の情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置の情報処理プログラムは、操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に前記印刷データに対応した印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置に備えられた演算手段に対し、前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、を実行させる。
【0008】
本願発明の対象となる印刷装置は、操作端末からの印刷操作によって印刷を実行する。すなわち、操作端末から印刷データが送信されると、その印刷データは受信バッファで受信され、いったん記憶される。搬送手段によって被印刷媒体が搬送され、その搬送される被印刷媒体に対し、印刷手段が上記印刷データに対応した印刷を行う。
【0009】
本願発明の情報処理プログラムでは、印刷装置の演算手段が実行する手順として、情報分類手順と、情報判定手順とを設けている。情報分類手順では、受信バッファ内のコマンドやデータが、セキュリティの観点から2つの種類に分類される。具体的には、セキュリティの観点からも表示出力や印刷出力をしてもかまわない第1種情報と、セキュリティの観点からは表示出力や印刷出力をすることが不適当である第2種情報と、に分類される。そして、問い合わせ受け付け手順で操作端末から上記問い合わせコマンドが受け付けられると、その後の情報判定手順で、受信バッファ内が第1種情報のみであるか、第2種情報も含まれているか、が判定される。
【0010】
そして、判定結果出力手順で、上記判定結果に対応した判定結果情報が操作端末へ送信出力される。これにより、操作端末では、例えば、受信バッファ内に第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを表示して、ユーザに対し確実に視覚的に報知することができる。あるいは、判定結果出力手順で、上記判定結果を印刷手段により印字出力するようにしてもよい。この場合も、被印刷媒体に対する当該印刷内容により、ユーザは、例えば、受信バッファ内に第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0011】
以上のようにして、本願発明においては、ユーザが受信バッファ内の状態を誤解することなく確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受信バッファ内の初期化によりセキュリティが確保されていることを、ユーザが誤解なく正しく確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるプリンタを備えた印刷処理システムを表すシステム構成図である。
【図2】プリンタの概略構成を表す斜視図である。
【図3】図2に示すプリンタにおいて、筐体のトップカバーを外した状態を前方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図4】図2中F−F断面による断面図、及び、G−G断面による断面図である。
【図5】外部端末及びプリンタの電気的構成を表す機能ブロック図である。
【図6】FLASH ROMの記憶領域を示す模式図である。
【図7】SRAMの記憶領域を示す模式図である。
【図8】プリンタと外部端末との間のデータの流れを示す機能ブロック図である。
【図9】比較例において実行する手法を説明するための説明図である。
【図10】実施形態において実行する手法を説明するための説明図である。
【図11】比較例において実行する手法を説明するための説明図である。
【図12】実施形態において実行する手法を説明するための説明図である。
【図13】CPUにより実行される、印刷データに基づく印刷処理に関する制御手順を表すフローチャートである。
【図14】CPUにより実行される、印刷バッファ領域に対するバッファ内表示処理に関する制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<印刷処理システム>
本実施形態の印刷装置を備えた印刷処理システムを、図1により説明する。
【0016】
図1において、この印刷処理システムLSでは、プリンタ1(印刷装置)を操作するための外部端末400(操作端末)と、上記外部端末400より受信した印刷データに対応した印刷を実行するプリンタ1とが、USB(Universal Serial Bus)ケーブル9によって接続されている。
【0017】
外部端末400は、例えば、一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータであり、液晶ディスプレイ等の表示部401と、キーボードやマウス等の操作部402とを有している。また、外部端末400の適宜の箇所(例えば背面部)には、上記USBケーブル9の端部の第1コネクタ9Hを着脱可能に装着するホスト用ソケット419(後述の図5参照)が設けられている。
【0018】
プリンタ1の側面には、上記USBケーブル9の上記第1コネクタ9Hとは反対側の端部の第2コネクタ9Tを着脱可能に装着するターゲット用ソケット109(後述の図3参照)が設けられている。
【0019】
USBケーブル9は、接続機器をホストとして機能させる上記第1コネクタ9H(例えばいわゆるシリーズAプラグであるUSBコネクタ)と、接続機器をターゲットとして機能させる上記第2コネクタ9T(例えばいわゆるシリーズBプラグであるUSBコネクタ)とを、それぞれ備えている(図1中の各拡大図を参照)。USBケーブル9は、この例では、上記プリンタ1のターゲット用ソケット109(内部にUSBポートを備える)に対し第2コネクタ9Tが装着(接続)され、上記外部端末400のホスト用ソケット419に対し第1コネクタ9Hが装着されている。したがって、プリンタ1と外部端末400との間の機能的関係では、プリンタ1がターゲット機器として機能し、外部端末400がホスト機器として機能する。
【0020】
<プリンタの構成>
次に、プリンタ1の構成について図2乃至図4に基づき説明する。なお、これら図2乃至図4では、図2中の右下方向を右方、左上方向を左方、右上方向を後方、左下方向を前方、上方向を上方、下方向を下方、と定義する(各図の矢印の図示参照)。
【0021】
図2乃至図4に示すように、プリンタ1は、装置外郭を構成する略箱形形状の筐体100を備えている。この筐体100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102とを備えている。トップカバー101は、固定部101Aと開閉蓋101Bとを備えている。
【0022】
トップカバー101の開閉蓋101Bの下方(筐体100の内部)には、ロール収納部161が設けられている(図3、図4参照)。このロール収納部161には、ロール紙Sが両端部を支持部材162(図3参照)によって回転可能に軸支されて収納されており、これによってロール収納部161から連続的にロール紙S(被印刷媒体)を供給可能である。このとき、開閉蓋101Bはヒンジ部Hを介しアンダーカバー102の後端部に対して回転可能に連結されており、開閉蓋101Bを開き状態とすることで、ロール収納部161を装置外部に露出させ、ロール紙Sの装着や交換を容易に行うことができる。トップカバー101の前後方向略中央部には、印字後のロール紙Sを排出するための排出口107が設けられている。
【0023】
開閉蓋101Bの前方側端部には、プラテンローラ111(搬送手段;図4参照)が回転自在に支持されている。プラテンローラ111は、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、ロール紙Sを搬送する。
【0024】
上記のように搬送されるロール紙Sに対し、プラテンローラ111に所定の圧接力で接触するサーマルラインヘッド112(印刷手段;図3、図4参照)によって、所望の印字が形成される。このとき、上記プラテンローラ111を回転駆動する駆動力を発生する駆動モータが筐体100の内部に設けられており、開閉蓋101Bの閉じ状態において、上記モータの駆動力が図示しないギア機構によってプラテンローラ111に伝達される。なお、上記駆動モータは、筐体100内部の後方にかけて配置された制御基板170(図4(a)参照)に設けたローラ駆動回路244(後述の図5参照)よって、その駆動が制御される。筐体100内の制御基板170の下方には、アンダーカバー102の下面側からバッテリ電源が挿入されて配置されるバッテリ電源収納部163(図4(a)参照)が備えられている。
【0025】
<プリンタの概略動作>
上記構成において、印刷時には、上記外部端末400より、アンダーカバー102に設けたターゲット用ソケット109(図3参照)に装着された上記USBケーブルを介し、プリンタ1に対し、印刷データが送信される。また、上記駆動モータの駆動力に基づくプラテンローラ111の回転によってロール収納部161からロール紙Sが繰り出される。繰り出されたロール紙Sは、サーマルラインヘッド112とプラテンローラ111との間に挿通され、そのロール紙Sに対しサーマルラインヘッド112が上記印刷データに基づいた所望の態様の印刷を行う。印刷後のロール紙Sは、排出口107から筐体100の外部へと排出される。このとき、筐体101内に設けたメインシャーシ部材150(図3参照)に、排出口107の内側において当該排出口107に沿うように固定歯160が取り付けられている。ユーザは、上記のようにして印刷が完了し排出口107から排出されたロール紙Sの端部を、この固定歯160を用いて手動で切断することができる。
【0026】
<電気的構成>
次に、上記構成の外部端末400及びプリンタ1の電気的構成を、図5を用いて説明する。
【0027】
<プリンタの電気的構成>
図5に示すように、プリンタ1は、装置全体の制御を司るCPU231(演算手段)と、制御プログラム(後述の図13や図14に示す情報処理プログラムを含む)等を記憶し、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性記憶素子であるFLASH ROM234と、CPU231が制御プログラムを実行する場合において発生する一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるSRAM233と、プリンタ1のパラメータ情報や履歴情報等が記憶される不揮発性記憶素子であるEEPROM235とを備えている。そして、CPU231よりFLASH ROM234、SRAM233、及びEEPROM235に記憶されている情報を参照可能なように、双方間はバスを介して接続されている。
【0028】
またプリンタ1は、入出力インタフェース236を備えている。入出力インタフェース236は、CPU231と、CPU231に接続される各種デバイス(駆動回路243、駆動回路244、USBコントローラ242)との間に挿入される。そして、入出力信号間の電圧変換処理、インピーダンス変換処理、タイミング調整処理等を行うことにより、CPU231から上記各種デバイスに対して出力される信号を各種デバイスにて認識可能となると共に、各種デバイスよりCPU231に対して送信される信号をCPU231にて認識可能となる。
【0029】
またプリンタ1は、上記サーマルラインヘッド112を制御可能な駆動回路243を備えている。駆動回路243は、サーマルラインヘッド112を制御してロール紙Sに上記印刷データを印刷させることが可能なように、サーマルラインヘッド112と電気的に接続されている。また駆動回路243は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0030】
またプリンタ1は、前述の駆動モータによる上記プラテンローラ111の駆動を制御可能な駆動回路244を備えている。駆動回路244は、サーマルラインヘッド112によるロール紙Sへの印刷データの印字時において、プラテンローラ111を制御してロール紙Sを送出させることが可能なように、上記駆動モータと電気的に接続されている。また駆動回路244は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0031】
またプリンタ1は、USBコントローラ242を備えている。USBコントローラ242は、上記ターゲット用ソケット109に装着された上記USBケーブル9を介し外部端末400と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。そして、USBケーブル9を介して外部端末400より受信した信号をCPU231にて認識可能とするために、又はCPU231より送信された信号をUSBケーブル9を介して外部端末400に送信することが可能なように、USBコントローラ242と入出力インタフェース236とは電気的に接続されている。
【0032】
なお、上記CPU231、SRAM233、FLASH ROM234、EEPRPM235、駆動回路243,244、及びUSBコントローラ242等は、上記制御基板170に設けられている。
【0033】
<外部端末の電気的構成>
次に、外部端末400の電気的構成について説明する。外部端末400は、全体の制御を司るCPU410と、CPU410の起動時において読み出されるBIOSプログラム等が記憶されているROM403と、OSやアプリケーションの実行ファイル等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)406と、CPU410によりOSやアプリケーションが実行されている場合において必要となる一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるRAM404等を備えている。そして、CPU410よりROM403、RAM404、及びHDD406に記憶されている情報を参照可能なように、それぞれCPU410とバス409を介して接続した状態となっている。
【0034】
また外部端末400は、表示制御部407を備えている。表示制御部407は、表示データを記憶する表示用RAM(図示せず)を備えており、表示部401に制御信号を送信して表示データを表示させるために、表示部401とビデオケーブルを介して電気的に接続されている。また、表示制御部407は、CPU410からの表示制御が可能なように、バス409と電気的に接続している。
【0035】
また外部端末400は、USBコントローラ408を備えている。USBコントローラ408は、周辺機器がUSBインタフェースを介してCPU410と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。図5に示す例では、上記ホスト用ソケット419に装着されたUSBケーブル9を介しプリンタ1がUSBコントローラ408に接続されるとともに、操作部402もUSBコントローラ408に接続された状態となっている。そして、操作部402の操作内容をCPU410にて検出可能なように、また、プリンタ1とCPU410との間で通信が可能なように、USBコントローラ408とバス409とは電気的に接続されている。
【0036】
<プリンタの記憶領域>
次に、プリンタ1が備える記憶素子である上記FLASH ROM234及びSRAM233の記憶領域について、図6及び図7を参照して説明する。
【0037】
図6を参照し、FLASH ROM234の記憶領域について説明する。FLASH ROM234には、制御プログラム領域251が設けられている。制御プログラム領域251には、CPU231が各種デバイスを制御して処理を実行する場合の制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、CPU231が各種処理を実行する場合において、CPU231より読み出される。また、制御プログラム領域251には、アプリケーションプログラム領域252、USBデバイスドライバ領域253、及びその他の領域が設けられている。
【0038】
制御プログラム領域251のうちアプリケーションプログラム領域252には、CPU231が実行する制御プログラムのうち、上位レベルの制御プログラム(ファイル操作(書き込み、読み出し)、ファイルの内容に基づく判断、各種ドライバプログラムへの命令等)が記憶されている。
【0039】
制御プログラム領域251のうちUSBデバイスドライバ領域253には、USBケーブル9を介した通信のプロトコル制御を実行するUSBデバイスドライバが記憶されている。具体的には、USBデバイスドライバとして、マスストレージクラスドライバとプリンタクラスドライバとが記憶されている。これらは、プリンタ1がUSBケーブル9を介して外部端末400と通信を行う場合において、必要に応じていずれかのUSBデバイスドライバがCPU231より読み出され使用される。
【0040】
CPU231により、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバが選択され使用される場合には、プリンタ1はパソコンより印刷デバイスとして認識される。これにより、従来の一般的な印刷装置の使用方法と同様に、外部端末400からプリンタ1に対して印刷データを送信することによって、プリンタ1にてロール紙Sに印刷を行うことが可能となる。以下、印刷デバイスとして認識されるような駆動状態を「印刷デバイス状態」という。
【0041】
またCPU231により、USBデバイスドライバとしてマスストレージクラスドライバが選択され使用される場合には、プリンタ1は外部端末400より記憶デバイスとして認識される。これにより、プリンタ1内の特定の記憶領域(FLASH ROM234のディスク領域254、後述)が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。以下、記憶デバイスとして認識されるような駆動状態を「記憶デバイス状態」という。
【0042】
またFLASH ROM234には、ディスク領域254が設けられている。ディスク領域254には、外部端末400よりプリンタ1が記憶デバイスとして認識されている状態において、外部端末400の記憶領域として使用可能なように設定されている。ディスク領域254には、印刷データを編集するためのプログラム(クイックエディタ)の実行ファイルであるクイックエディタ実行ファイルが少なくとも記憶される(クイックエディタの詳細については後述する。)。また、プリンタ1の駆動状態を切り替えるためのプログラムの実行ファイルである切替プログラム実行ファイルが記憶される。また、エディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0043】
また、FLASH ROM234には、ローカル領域255が設けられている。ローカル領域255は、ディスク領域254のように外部端末400より閲覧することはできないように設定されている。ローカル領域255には、プログラムのパラメータデータ等が記憶される。
【0044】
次に、図7を参照し、SRAM233の記憶領域について説明する。SRAM233には、ロール紙Sに印字を行う場合に外部端末400から受信されて取得された印刷データが一時的に記憶される印刷バッファ領域261(受信バッファ)が設けられている。また、その他の記憶領域が設けられている。
【0045】
<外部端末の記憶領域>
次に、外部端末400が備えるHDD406及びRAM404の記憶領域について説明する。HDD406には、図示しないが、印刷データを編集するためのプログラム(フルエディタ)の実行ファイルであるフルエディタ実行ファイルが記憶される。また、RAM404には、図示しないが、フルエディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0046】
<クイックエディタとフルエディタ>
次に、プリンタ1のFLASH ROM234中のディスク領域254に記憶されるクイックエディタ実行ファイルと、外部端末400のHDD406に記憶されるフルエディタ実行ファイルとの相違点について説明する。双方とも、プリンタ1にて印刷処理を行う場合に必要な印刷データを作成するためのプログラムであり、外部端末400にて実行可能なプログラムの実行ファイルである。そして、外部端末400にてこれらの実行プログラムを起動することにより、ユーザは、表示部401に表示されるエディタプログラムに基づいて印刷データを作成することが可能となる。そして、作成された印刷データに基づく印字が、プリンタ1のサーマルラインヘッド112によって形成される。
【0047】
ここで、クイックエディタ、及びフルエディタでは、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)を編集して作成することが可能である。従って、作成される印刷データには、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)等が含まれる。ここで、フルエディタを使用して印刷データを作成する場合には、プリンタ1にて印刷可能なほぼすべての印刷条件を利用することが可能となっている。一方、クイックエディタを使用して印刷データを作成する場合には、プリンタ1にて印刷可能な印刷条件のうち一部分のみ利用することが可能となっている。そのため、フルエディタ実行ファイルのデータ容量は、クイックエディタ実行ファイルのデータ容量と比較して大きい。従って、フルエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有する外部端末400のHDD406に記憶され、クイックエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有することができないプリンタ1のFLASH ROM234に記憶される。
【0048】
また、クイックエディタがユーザにより外部端末400にて使用されるためには、プリンタ1のFLASH ROM234よりクイックエディタ実行ファイルがUSBケーブル9を経由して外部端末400に転送され、外部端末400のRAM404に記憶された状態とされなければならない。外部端末400のRAM404にクイックエディタ実行ファイルが記憶された状態で、クイックエディタは起動可能となる。
【0049】
また、フルエディタを使用して作成した印刷データは、印刷デバイスとして認識した状態のプリンタ1に対して送信され、プリンタ1にて印刷処理が実行される。従って、プリンタ1に対して印刷データを送信するためには、あらかじめプリンタ1に対して印刷データを転送可能とするためのプリンタドライバがインストールされていなければならない。一方、クイックエディタを使用して作成した印刷データは、記憶デバイスとして認識した状態のプリンタ1に対して転送され、FLASH ROM234のディスク領域254に直接記憶された状態で、プリンタ1にて印刷処理が実行される。従って、フルエディタを使用した場合の印刷処理とは異なり、プリンタ1に対して印刷データを送信するためのプリンタドライバは必要としない。
【0050】
<データの流れ>
次に、プリンタ1のCPU231が外部端末400と通信を行う場合における、プリンタ1内のデータの流れについて、図8を参照して説明する。
【0051】
図8に示すように、FLASH ROM234は、制御プログラムとしてアプリケーションプログラム256とUSBデバイスドライバ257とを備えている。また、USBデバイスドライバ257として、前述のプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とを備えている。前述したように、USBデバイスドライバ257は、実際にUSBコントローラ242を制御して外部端末400とUSBケーブル9とを介した通信を実行する場合において、事前にCPU231により読み出されて使用される。
【0052】
CPU231は、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とのいずれかを選択して読み出し、使用することによって、外部端末400とUSBケーブル9を介した通信を実行している。そして、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてマスストレージクラスドライバ259を選択した場合には、外部端末400はプリンタ1を記憶デバイスとして認識する。これにより、外部端末400がプリンタ1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、FLASH ROM234のディスク領域254が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。
【0053】
また、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてプリンタクラスドライバ258を選択した場合には、外部端末400はプリンタ1を印刷デバイスとして認識する。これにより、外部端末400がプリンタ1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、外部端末400よりプリンタ1に対して印刷データを転送し印刷指示を行うことによって、プリンタ1に印刷処理を実行させることが可能な状態となる。
【0054】
そして、選択され読み出されたUSBデバイスドライバに基づいて、USBコントローラ242が制御されることにより、USBケーブル9を介して外部端末400と通信を行うことが可能となる。
【0055】
<本実施形態の特徴>
以上において、本実施形態の特徴は、例えば印刷実行時に印刷データやコマンド等が受信される印刷バッファ領域261に対して、セキュリティ確保のために実行される消去処理や表示処理の内容にある。以下、その内容の詳細を、図9、図10、図11、及び図12を用いて説明する。
【0056】
上述したように、本実施形態のプリンタ1は、外部端末400からの所定の印刷操作によって印刷を実行する。外部端末400から印刷データが送信されると、その印刷データは上記SRAM233の印刷バッファ領域261で受信され、いったん記憶される。そして、プラテンローラ111によってロール紙Sが搬送されると、その搬送されるロール紙Sに対し、サーマルラインヘッド112が通電制御されて上記印刷データに対応した印刷を行う。
【0057】
ここで、個人情報に対するセキュリティの向上等の観点から、例えば上記のように印刷が完了した後には、印刷データ等を含む印刷バッファ領域261内のデータやコマンドを完全に初期化したい、というユーザのニーズがある。また、その際、印刷バッファ領域261内が初期化された状態を視覚的に認識したい、というユーザのニーズもある。
【0058】
<比較例(その1)>
図9は、このような場合に対応する比較例を表している。この例では、印刷データ・コマンドとしての「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」が外部端末400から印刷バッファ領域261により受信され(図中「ア」の状態)、これによってプリンタ1においてロール紙Sにテキスト文字「ABC」「DEF」が印字形成された場合を示している。この例では、このような印刷が終了した後、上記の初期化のニーズに対応し、自動的に(又はユーザの適宜の手動操作により)外部端末400から印刷バッファ領域261内の初期化を行うための初期化コマンド(図示省略)が送信され、印刷バッファ領域261内の初期化(コマンド・データ消去)が行われている(図中「イ」の状態)。
【0059】
さらに、上記の初期化された状態の視覚的認識のニーズに対応し、初期化後の印刷バッファ領域261内の状態を可視化するために外部端末400から確認(問い合わせ)コマンド(この例では「GET BUFFER」)が送信されている。しかしながらこの場合、上記(イ)の状態のように印刷バッファ領域261内の初期化が正しく完了していたとしても、上記確認コマンドが印刷バッファ領域261で受信されることによって当該確認コマンド(あるいは前述の初期化コマンド)自体が印刷バッファ領域261内に残ってしまう(図中「ウ」の状態)。この結果、ユーザには、外部端末400の表示部401において、初期化されて何もなくなったはずの印刷バッファ領域261内に上記確認コマンドが残って見える(画面401A参照)こととなり、セキュリティが確保されていないのではないかという誤解が生じる可能性がある。
【0060】
<実施形態の手法(その1)>
そこで、本実施形態では、印刷バッファ領域261内のコマンドやデータが、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)してもよい第1種情報と、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)することが不適当な第2種情報と、に分類される。例えば、上記「GET BUFFER」のような印刷バッファ領域261内の状態を可視化するための確認(問い合わせ)コマンドは、それ自体は第三者に見られても差し支えないものであるため、第1種情報に分類される。これに対して、上記「”USER ABC”PRINT」「”USER DEF”PRINT」のような印刷データや当該印刷データを含むコマンドは、それ自体が印字内容を表し、個人情報等を含む可能性があることから、第2種情報に分類される。
【0061】
そして、図10に示すように、本実施形態では、前述の(ウ)に示す状態はセキュリティ上問題のない第1種情報としての上記確認コマンドが残っているだけであるため、安全であることを示す「SAFETY」の文字(第1種表示)と、当該確認コマンド「GET BUFFER」自体とが、外部端末400の表示部401の画面401Pに表示される。
【0062】
<比較例(その2)>
一方、図11に示すように、前述したような印刷バッファ領域261の自動初期化機能がない場合、初期化がなされないまま、誤操作又は何らかの過誤によって上記確認(問い合わせ)コマンド「GET BUFFER」が外部端末400から送信される場合も考えられる。この場合、前述の(ア)の状態にさらに当該確認コマンド(あるいは前述の初期化コマンド)自体が加わる形で、印刷バッファ領域261内には、「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」の印刷データ・コマンドと、「GET BUFFER」の確認コマンドとが残った状態となり(図中「エ」の状態)、これらすべてが外部端末400の表示部401において見え(画面401B参照)、セキュリティ上非常に好ましくない。
【0063】
<実施形態の手法(その2)>
前述したように、本実施形態では、上記「GET BUFFER」は第1種情報に分類されるものの、上記「”USER ABC”PRINT」「”USER DEF”PRINT」は第2種情報に分類される。そして、本実施形態では、上記(エ)に示す状態のように印刷バッファ領域261内に少なくとも上記第2種情報が含まれている場合には、図12に示すように、セキュリティ上危険であることを示す「WARNING」の警告表示(第2種表示)が外部端末400の表示部401の画面401Qで行われるとともに、印刷バッファ領域261内のデータやコマンドの内容は一切表示されない。
【0064】
<制御手順>
上記の手法を実現するために、プリンタ1のCPU231が実行する制御手順を図13及び図14により説明する。図13は上記印刷データに基づく印刷処理に関する制御手順を表しており、図14は上記印刷バッファ領域261に対する前述のバッファ内表示処理に関する制御手順を表しており、これら2つのフローは同時並行してCPU231によって行われる。このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、1つのCPU231に行わせることができる。
【0065】
<印刷処理>
図13に示す印刷処理では、まず、ステップS10で、CPU231は、外部端末400から印刷指示があったかどうかを判定する。具体的には、前述の「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」のような、印刷データ「ABC」「DEF」を含む印刷データ・コマンドが外部端末400から出力されてCPU231で入力されたかどうか、を判定する。印刷データ・コマンドが入力されるまでは判定が満たされず(S10:NO)ループ待機し、印刷データ・コマンドが入力されたら判定が満たされ(S10:YES)、ステップS20に移る。
【0066】
ステップS20では、CPU231は、前述したように、駆動回路243,244を介してプラテンローラ111及びサーマルラインヘッド112を制御し、ロール紙Sを搬送しつつ上記ステップS10で取得された印刷データに対応した印刷(印字形成)を行う。その後、ステップS30に移る。
【0067】
ステップS30では、CPU231は、例えば上記操作部402を介したユーザの適宜の操作によりセキュリティモードが選択されているか否かを判定する。すなわち、本実施形態のプリンタ1では、図10を用いて説明した、印刷バッファ領域261内の自動初期化(コマンド・データの消去)を行うセキュリティモードと、そのような自動初期化を行わない通常モードとの2つのモードが予め用意されている。このステップS30では、CPU231は、上記セキュリティモードが選択されているか通常モードが選択されているか、を判定する。セキュリティモードが選択されていればステップS30の判定が満たされ(S30:YES)、ステップS40に移る。
【0068】
本実施形態では、セキュリティモードが選択されている場合には、プリンタ1の印刷が終了したら、外部端末400から自動的に印刷バッファ領域261内を初期化するための初期化コマンドが出力される(前述の図10の(イ)の状態を参照)。ステップS40では、CPU231は、上記外部端末400からの初期化コマンドを受け付ける。その後、後述するステップS70に移る。
【0069】
一方、上記ステップS30において、ユーザにより通常モードが選択されていた場合には、判定が満たされず(S30:NO)、ステップS50に移る。本実施形態のプリンタ1では、図10を用いて前述したように、印刷バッファ領域261内の初期化(コマンド・データの消去)をユーザの手動操作で指示することもできる。このステップS50では、CPU231は、ユーザによる外部端末400の操作部402によって、印刷バッファ領域261内を初期化する操作指示があったか否かを判定する。初期化指示がなかった場合には判定が満たされず(S:NO)、このフローを終了する。初期化指示があった場合には判定が満たされ(S50:YES)、ステップS60に移る。
【0070】
ステップS60では、CPU231は、上記ステップS40と同様、ステップS50での初期化指示によって外部端末400から出力される上記初期化コマンドを受け付ける。その後、ステップS70に移る。なお、このステップS60と上記ステップS40とが、各請求項記載の初期化受付手順に相当する。
【0071】
ステップS70では、上記ステップS40又はステップS60で受け付けた初期化コマンドに対応し、CPU231は、それまで存在していた印刷バッファ領域261内のすべてのコマンド及びデータの消去(=初期化)を行う。但し、図10を用いて前述したように、この消去を行った後も、上記ステップS40又はステップS60で受け付けた初期化コマンド自体が、印刷バッファ領域261内に残る場合もある。このステップS70が、各請求項記載の初期化処理手順に相当する。ステップS70が完了したら、このフローを終了する。
【0072】
<バッファ内表示処理>
図13に示すバッファ内表示処理では、まず、ステップS110で、CPU231は、外部端末400から印刷バッファ領域261内の状態の問い合わせがあったか否かを判定する。すなわち、前述したように、本実施形態では、セキュリティの観点から、例えばユーザが操作部402を適宜に操作することにより、外部端末400からプリンタ1へ印刷バッファ領域261内のデータやコマンドの状態を問い合わせる確認コマンド(前述の例では「GET BUFFER」)を出力することができる。このステップS110では、CPU231は、上記確認コマンドが外部端末400から入力されたか否かを判定する。確認コマンドが入力されるまではステップS110の判定が満たされず(S110:NO)、ループ待機する。確認コマンドが入力されたらステップS110の判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。なお、このステップS110が、各請求項記載の問い合わせ受付手段に相当する。
【0073】
ステップS120では、CPU231は、この時点で、印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在しているか否かを判定する。印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在していなければステップS120の判定が満たされず(S120:NO)、後述のステップS150に移る。印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在していればステップS120の判定が満たされ(S120:YES)、ステップS130に移る。
【0074】
ステップS130では、前述したように、CPU231は、印刷バッファ領域261内に存在するコマンドやデータを、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)してもよい上記第1種情報と、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)することが不適当な上記第2種情報と、に分類する。その後、ステップS140に移る。なお、このステップS130が各請求項記載の情報分類手順に相当する。また、この情報分類は、このように外部端末400から問い合わせがあった場合に実行するのに限られず、問い合わせがある前に、適宜のタイミングで実行するようにしてもよい。
【0075】
ステップS140では、CPU231は、上記ステップS130での分類結果に応じて、印刷バッファ領域261内に、安全な情報(=上記第1種情報)のみが存在しているか、あるいは、第2種情報も含まれているか、を判定する。印刷バッファ領域261内が第1種情報のみであった場合にはステップS140の判定が満たされ(S140:YES)、ステップS150に移る。印刷バッファ領域261内に少なくとも第2種情報が含まれていた場合にはステップS140の判定が満たされず(S140:NO)、後述のステップS160に移る。なお、このステップS140が、各請求項記載の情報判定手順に相当する。
【0076】
ステップS150では、CPU231は、印刷バッファ領域261内の全データ・コマンドの内容を表示部402で表示するための表示信号(但しステップS120の判定が満たされず移行してきたこの場合はデータ・コマンドが存在しないので空情報信号)と、セキュリティ上安全であることを表示部402で表すための表示信号(前述の例では「SAFETY」の文字)と、を外部端末400に出力する。なお、これら2つの表示信号が各請求項記載の判定結果情報に相当している。これにより、図10に例示したように、表示部402での所定の画面401Pにおいて、「SAFETY」の文字(=第1種表示)と、印刷バッファ領域261内のデータ・コマンドが表示される。
【0077】
一方、ステップS160では、CPU231は、セキュリティ上危険であることを表示部402で表すための表示信号(前述の例では「WARNING!!」の文字)のみを外部端末400に出力する。なお、この表示信号が各請求項記載の判定結果情報に相当している。すなわち、印刷バッファ領域261内のデータ・コマンドの内容については表示部402では表示しないようにする。これにより、図12に例示したように、表示部402での所定の画面401Qにおいて、「WARNING!!」の文字(=第2種表示)のみが表示される。
【0078】
上記ステップS150又はステップS160が完了したら、このフローを終了する。なお、上記ステップS150及びステップS160が、各請求項記載の判定結果出力手順に相当する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態においては、印刷バッファ領域261内のコマンドやデータが、セキュリティの観点からも表示出力や印刷出力をしてもかまわない第1種情報と、セキュリティの観点からは表示出力や印刷出力をすることが不適当である第2種情報と、に分類される(ステップS130)。そして、外部端末400末から確認コマンドが受け付けられると、印刷バッファ領域261内が上記第1種情報のみであるか、上記第2種情報も含まれているか、が判定される(ステップS140)。そして、上記判定結果に対応した上記判定結果情報が操作端末へ送信出力される。これにより、外部端末400の表示部402において、例えば、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを表示(図10の画面401P参照)して、ユーザに対し確実に視覚的に報知することができる。この結果、ユーザは印刷バッファ領域261内の状態を誤解することなく確認することができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみである場合には、印刷バッファ領域261内のすべての情報(コマンド及びデータ)と当該判定に対応する上記第1種表示(上記の例では「SAFETY」)とが外部端末400で表示され(ステップS150)、印刷バッファ領域261内に上記第2種情報も含まれる場合には、印刷バッファ領域261内の情報を表示せず上記第2種表示(上記の例では「WARNING!!」)が外部端末400で表示される(ステップS160)。
【0081】
これにより、ユーザは、外部端末400に表示される第1種表示や第2種表示により、セキュリティの観点からの印刷バッファ領域261内の状態を正確に認識することができる。また、第1種情報のみが印刷バッファ領域261内に存在する場合には、第1種表示のみならず印刷バッファ領域261内のすべての情報内容を表示することで、ユーザに対し、正しく情報の分類が行われ、セキュリティが確保されているという安心感を確実に与えることができる。そして、第2種情報も印刷バッファ領域261内に存在する場合には、第2種表示のみとして印刷バッファ領域261内の情報内容を表示しないようにすることで、セキュリティを確保することができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、外部端末400から受信された印刷データは上記第2種情報に分類されると共に、問い合わせ(確認)コマンドは上記第1種情報に分類される。すなわち、印刷データには種々の個人情報が含まれうることから、第2種情報に分類することにより、個人情報に対するセキュリティを確保することができる。一方、確認コマンドは、単なる情報問い合わせの内容であることから、印刷バッファ領域261内に存在する姿が視覚的に視認できてもセキュリティ上は何ら問題はない。したがって、確認コマンドは上記第1種情報に分類することで、ステップS150で前述の第1種表示を行ったり当該確認コマンドの内容自体を表示し、ユーザに無用な誤解を与えるのを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、外部端末400からの上記初期化コマンドによって印刷バッファ領域261のコマンド及びデータを初期化し、かつ、そのときに受け付けられて印刷バッファ領域261存在する初期化コマンドを、第1種情報に分類する。初期化コマンドに応じて印刷バッファ領域261内のコマンド及びデータを初期化する(ステップS70)ことにより、個人情報等に対するセキュリティの向上を図ることができる。また初期化コマンド自体は、単なる情報初期化の内容であることから、印刷バッファ領域261内に存在する姿が視覚的に視認できてもセキュリティ上は何ら問題はない。したがって、初期化コマンドを上記第1種情報に分類することで、ステップS150で前述の第1種表示を行ったり当該初期化コマンドの内容自体を表示し、ユーザに無用な誤解を与えるのを防止することができる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0085】
(1)「SAFETY」表示等のみとする場合
すなわち、上記実施形態においては、外部端末400から印刷バッファ領域261内の状態の問い合わせがあったとき、印刷バッファ領域261内にセキュリティ上問題のないコマンドやデータ(第1種情報)のみがあった場合には、ステップS130で、「SAFETY」表示と、印刷バッファ領域261内の全コマンド・データの表示とを、外部端末400の表示部401で表示したが、これに限られない。すなわち、ステップS160と同様、「SAFETY」表示のみを行い、印刷バッファ領域261内のコマンド・データの表示は省略してもよい。この場合も同様の効果を得る。この場合は「SAFETY」表示が各請求項記載の判定結果情報に相当する。さらに進んで、印刷バッファ領域261内にセキュリティ上問題のないコマンドやデータ(第1種情報)のみがあった場合には「SAFETY」表示すら行わない(空白表示とする)ようにしてもよい。この場合は当該空白表示が各請求項記載の判定結果情報に相当する。
【0086】
(2)第1種情報及び第2種情報のバリエーション
以上においては、外部端末400から取得された、セキュリティの観点から出力してもよい第1種情報として、上記確認コマンドを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、前述の初期化コマンドや、具体的な印刷データを含まない印刷開始要求コマンドや、プリンタ1の各種ステータス(「アイドル中」「印刷中」「カバーオープン」「エラー」等)の取得を要求するコマンド(例えば「GET STATUS」)、等も、それ自体は第三者に見られても差し支えないものであるため、第1種情報に分類される。
【0087】
同様に、上記では、外部端末400から取得された、セキュリティの観点から出力することが不適当な第2種情報として、上記印刷データや当該印刷データを含むコマンドを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ユーザがパスワードを設定するためのコマンドや、プリンタ1や外部端末400がネットワーク通信を行うための各種設定(IPアドレス、無線LAN接続認証キー情報、等)を行う設定コマンドや、プリンタ1内に定型印刷用のテンプレートを設定記憶可能な場合に使用されるテンプレートデータ転送コマンド、等は、それ自体が秘匿すべき情報等を含む可能性があることから、第2種情報に分類される。
【0088】
(3)印刷出力を行う場合
以上においては、外部端末400からの上記確認コマンドの入力に応じ、ステップS130やステップS160で、印刷バッファ領域261内の状態に対応した表示を外部端末400の表示部401で行ったが、これに限られない。すなわち、当該表示に代えて、CPU231の制御により、同等の内容(印刷バッファ領域261内の状態に対応した、例えば上記図10の画面401Pや上記図12の画面401Qの内容)をロール紙Sに対しサーマルラインヘッド112で印刷するようにしてもよい。この場合も、前述と同様、ロール紙Sに対する当該印刷内容により、ユーザは、例えば、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを、確実に視覚的に認識することができ、前述と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(4)その他
また、以上においては、本発明の適用対象の印刷装置として、バッテリ電源によりロール紙Sに対し所望の印字を行うプリンタ1において、印刷を行うためのコマンドファイル、及び、ユーティリティ設定を行うためのコマンドファイルを与える場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、プリンタとして、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷する通常のプリンタや、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置、に対し、本発明の手法を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0090】
なお、以上において、図5、図8に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0091】
また、図13、図14に示すフローは本発明を当該フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0092】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0093】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0094】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 プリンタ(印刷装置)
111 プラテンローラ(搬送手段)
112 サーマルラインヘッド(印刷手段)
231 CPU(演算手段)
261 印刷バッファ領域(受信バッファ)
400 外部端末(操作端末)
S ロール紙(被印刷媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を操作する操作端末において実行される、印刷装置の情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作端末からの操作によって被印刷媒体に対し所望の印刷を行う印刷装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置では、操作端末から印刷データが送信されると、その印刷データは受信バッファ(バッファ)で受信され、いったん記憶される。そして、被印刷媒体に対し、印刷手段が上記印刷データに対応した印刷を行う。また、この従来技術では、ユーザがいったん指示した印刷をキャンセルしたい場合、印刷の途中で受信バッファ内の印刷データを削除可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、個人情報に対するセキュリティの向上等の観点から、印刷が完了した後には、印刷データ等を含む受信バッファ内のデータやコマンドを完全に初期化したい、というユーザのニーズが生じている。また、その際、受信バッファ内が初期化された状態を視覚的に認識したい、というユーザのニーズも生じつつある。
【0005】
これに対応する場合、例えば、受信バッファ内の初期化を行うために操作端末から初期化コマンドを送信したり、あるいは初期化後の受信バッファ内の状態を可視化するために操作端末から問い合わせコマンドを送信することが考えられる。しかしながらこの場合、受信バッファ内の初期化が完了しても、当該初期化コマンドや問い合わせコマンド自体が受信バッファ内に残る。このため、ユーザにとって、初期化されて何もなくなったはずの受信バッファ内に上記コマンドが残って見えることとなり、セキュリティが確保されていないのではないかという誤解が生じる可能性がある。上記従来技術では、印刷途中の受信バッファ内の削除処理にとどまり、印刷後の初期化やその可視化による上記のような問題については特に配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、受信バッファ内の初期化によりセキュリティが確保されていることを、ユーザが誤解なく正しく確認できる、印刷装置の情報処理プログラム及び印刷装置の情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置の情報処理プログラムは、操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に前記印刷データに対応した印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置に備えられた演算手段に対し、前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、を実行させる。
【0008】
本願発明の対象となる印刷装置は、操作端末からの印刷操作によって印刷を実行する。すなわち、操作端末から印刷データが送信されると、その印刷データは受信バッファで受信され、いったん記憶される。搬送手段によって被印刷媒体が搬送され、その搬送される被印刷媒体に対し、印刷手段が上記印刷データに対応した印刷を行う。
【0009】
本願発明の情報処理プログラムでは、印刷装置の演算手段が実行する手順として、情報分類手順と、情報判定手順とを設けている。情報分類手順では、受信バッファ内のコマンドやデータが、セキュリティの観点から2つの種類に分類される。具体的には、セキュリティの観点からも表示出力や印刷出力をしてもかまわない第1種情報と、セキュリティの観点からは表示出力や印刷出力をすることが不適当である第2種情報と、に分類される。そして、問い合わせ受け付け手順で操作端末から上記問い合わせコマンドが受け付けられると、その後の情報判定手順で、受信バッファ内が第1種情報のみであるか、第2種情報も含まれているか、が判定される。
【0010】
そして、判定結果出力手順で、上記判定結果に対応した判定結果情報が操作端末へ送信出力される。これにより、操作端末では、例えば、受信バッファ内に第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを表示して、ユーザに対し確実に視覚的に報知することができる。あるいは、判定結果出力手順で、上記判定結果を印刷手段により印字出力するようにしてもよい。この場合も、被印刷媒体に対する当該印刷内容により、ユーザは、例えば、受信バッファ内に第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0011】
以上のようにして、本願発明においては、ユーザが受信バッファ内の状態を誤解することなく確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受信バッファ内の初期化によりセキュリティが確保されていることを、ユーザが誤解なく正しく確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるプリンタを備えた印刷処理システムを表すシステム構成図である。
【図2】プリンタの概略構成を表す斜視図である。
【図3】図2に示すプリンタにおいて、筐体のトップカバーを外した状態を前方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図4】図2中F−F断面による断面図、及び、G−G断面による断面図である。
【図5】外部端末及びプリンタの電気的構成を表す機能ブロック図である。
【図6】FLASH ROMの記憶領域を示す模式図である。
【図7】SRAMの記憶領域を示す模式図である。
【図8】プリンタと外部端末との間のデータの流れを示す機能ブロック図である。
【図9】比較例において実行する手法を説明するための説明図である。
【図10】実施形態において実行する手法を説明するための説明図である。
【図11】比較例において実行する手法を説明するための説明図である。
【図12】実施形態において実行する手法を説明するための説明図である。
【図13】CPUにより実行される、印刷データに基づく印刷処理に関する制御手順を表すフローチャートである。
【図14】CPUにより実行される、印刷バッファ領域に対するバッファ内表示処理に関する制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<印刷処理システム>
本実施形態の印刷装置を備えた印刷処理システムを、図1により説明する。
【0016】
図1において、この印刷処理システムLSでは、プリンタ1(印刷装置)を操作するための外部端末400(操作端末)と、上記外部端末400より受信した印刷データに対応した印刷を実行するプリンタ1とが、USB(Universal Serial Bus)ケーブル9によって接続されている。
【0017】
外部端末400は、例えば、一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータであり、液晶ディスプレイ等の表示部401と、キーボードやマウス等の操作部402とを有している。また、外部端末400の適宜の箇所(例えば背面部)には、上記USBケーブル9の端部の第1コネクタ9Hを着脱可能に装着するホスト用ソケット419(後述の図5参照)が設けられている。
【0018】
プリンタ1の側面には、上記USBケーブル9の上記第1コネクタ9Hとは反対側の端部の第2コネクタ9Tを着脱可能に装着するターゲット用ソケット109(後述の図3参照)が設けられている。
【0019】
USBケーブル9は、接続機器をホストとして機能させる上記第1コネクタ9H(例えばいわゆるシリーズAプラグであるUSBコネクタ)と、接続機器をターゲットとして機能させる上記第2コネクタ9T(例えばいわゆるシリーズBプラグであるUSBコネクタ)とを、それぞれ備えている(図1中の各拡大図を参照)。USBケーブル9は、この例では、上記プリンタ1のターゲット用ソケット109(内部にUSBポートを備える)に対し第2コネクタ9Tが装着(接続)され、上記外部端末400のホスト用ソケット419に対し第1コネクタ9Hが装着されている。したがって、プリンタ1と外部端末400との間の機能的関係では、プリンタ1がターゲット機器として機能し、外部端末400がホスト機器として機能する。
【0020】
<プリンタの構成>
次に、プリンタ1の構成について図2乃至図4に基づき説明する。なお、これら図2乃至図4では、図2中の右下方向を右方、左上方向を左方、右上方向を後方、左下方向を前方、上方向を上方、下方向を下方、と定義する(各図の矢印の図示参照)。
【0021】
図2乃至図4に示すように、プリンタ1は、装置外郭を構成する略箱形形状の筐体100を備えている。この筐体100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102とを備えている。トップカバー101は、固定部101Aと開閉蓋101Bとを備えている。
【0022】
トップカバー101の開閉蓋101Bの下方(筐体100の内部)には、ロール収納部161が設けられている(図3、図4参照)。このロール収納部161には、ロール紙Sが両端部を支持部材162(図3参照)によって回転可能に軸支されて収納されており、これによってロール収納部161から連続的にロール紙S(被印刷媒体)を供給可能である。このとき、開閉蓋101Bはヒンジ部Hを介しアンダーカバー102の後端部に対して回転可能に連結されており、開閉蓋101Bを開き状態とすることで、ロール収納部161を装置外部に露出させ、ロール紙Sの装着や交換を容易に行うことができる。トップカバー101の前後方向略中央部には、印字後のロール紙Sを排出するための排出口107が設けられている。
【0023】
開閉蓋101Bの前方側端部には、プラテンローラ111(搬送手段;図4参照)が回転自在に支持されている。プラテンローラ111は、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、ロール紙Sを搬送する。
【0024】
上記のように搬送されるロール紙Sに対し、プラテンローラ111に所定の圧接力で接触するサーマルラインヘッド112(印刷手段;図3、図4参照)によって、所望の印字が形成される。このとき、上記プラテンローラ111を回転駆動する駆動力を発生する駆動モータが筐体100の内部に設けられており、開閉蓋101Bの閉じ状態において、上記モータの駆動力が図示しないギア機構によってプラテンローラ111に伝達される。なお、上記駆動モータは、筐体100内部の後方にかけて配置された制御基板170(図4(a)参照)に設けたローラ駆動回路244(後述の図5参照)よって、その駆動が制御される。筐体100内の制御基板170の下方には、アンダーカバー102の下面側からバッテリ電源が挿入されて配置されるバッテリ電源収納部163(図4(a)参照)が備えられている。
【0025】
<プリンタの概略動作>
上記構成において、印刷時には、上記外部端末400より、アンダーカバー102に設けたターゲット用ソケット109(図3参照)に装着された上記USBケーブルを介し、プリンタ1に対し、印刷データが送信される。また、上記駆動モータの駆動力に基づくプラテンローラ111の回転によってロール収納部161からロール紙Sが繰り出される。繰り出されたロール紙Sは、サーマルラインヘッド112とプラテンローラ111との間に挿通され、そのロール紙Sに対しサーマルラインヘッド112が上記印刷データに基づいた所望の態様の印刷を行う。印刷後のロール紙Sは、排出口107から筐体100の外部へと排出される。このとき、筐体101内に設けたメインシャーシ部材150(図3参照)に、排出口107の内側において当該排出口107に沿うように固定歯160が取り付けられている。ユーザは、上記のようにして印刷が完了し排出口107から排出されたロール紙Sの端部を、この固定歯160を用いて手動で切断することができる。
【0026】
<電気的構成>
次に、上記構成の外部端末400及びプリンタ1の電気的構成を、図5を用いて説明する。
【0027】
<プリンタの電気的構成>
図5に示すように、プリンタ1は、装置全体の制御を司るCPU231(演算手段)と、制御プログラム(後述の図13や図14に示す情報処理プログラムを含む)等を記憶し、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性記憶素子であるFLASH ROM234と、CPU231が制御プログラムを実行する場合において発生する一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるSRAM233と、プリンタ1のパラメータ情報や履歴情報等が記憶される不揮発性記憶素子であるEEPROM235とを備えている。そして、CPU231よりFLASH ROM234、SRAM233、及びEEPROM235に記憶されている情報を参照可能なように、双方間はバスを介して接続されている。
【0028】
またプリンタ1は、入出力インタフェース236を備えている。入出力インタフェース236は、CPU231と、CPU231に接続される各種デバイス(駆動回路243、駆動回路244、USBコントローラ242)との間に挿入される。そして、入出力信号間の電圧変換処理、インピーダンス変換処理、タイミング調整処理等を行うことにより、CPU231から上記各種デバイスに対して出力される信号を各種デバイスにて認識可能となると共に、各種デバイスよりCPU231に対して送信される信号をCPU231にて認識可能となる。
【0029】
またプリンタ1は、上記サーマルラインヘッド112を制御可能な駆動回路243を備えている。駆動回路243は、サーマルラインヘッド112を制御してロール紙Sに上記印刷データを印刷させることが可能なように、サーマルラインヘッド112と電気的に接続されている。また駆動回路243は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0030】
またプリンタ1は、前述の駆動モータによる上記プラテンローラ111の駆動を制御可能な駆動回路244を備えている。駆動回路244は、サーマルラインヘッド112によるロール紙Sへの印刷データの印字時において、プラテンローラ111を制御してロール紙Sを送出させることが可能なように、上記駆動モータと電気的に接続されている。また駆動回路244は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0031】
またプリンタ1は、USBコントローラ242を備えている。USBコントローラ242は、上記ターゲット用ソケット109に装着された上記USBケーブル9を介し外部端末400と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。そして、USBケーブル9を介して外部端末400より受信した信号をCPU231にて認識可能とするために、又はCPU231より送信された信号をUSBケーブル9を介して外部端末400に送信することが可能なように、USBコントローラ242と入出力インタフェース236とは電気的に接続されている。
【0032】
なお、上記CPU231、SRAM233、FLASH ROM234、EEPRPM235、駆動回路243,244、及びUSBコントローラ242等は、上記制御基板170に設けられている。
【0033】
<外部端末の電気的構成>
次に、外部端末400の電気的構成について説明する。外部端末400は、全体の制御を司るCPU410と、CPU410の起動時において読み出されるBIOSプログラム等が記憶されているROM403と、OSやアプリケーションの実行ファイル等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)406と、CPU410によりOSやアプリケーションが実行されている場合において必要となる一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるRAM404等を備えている。そして、CPU410よりROM403、RAM404、及びHDD406に記憶されている情報を参照可能なように、それぞれCPU410とバス409を介して接続した状態となっている。
【0034】
また外部端末400は、表示制御部407を備えている。表示制御部407は、表示データを記憶する表示用RAM(図示せず)を備えており、表示部401に制御信号を送信して表示データを表示させるために、表示部401とビデオケーブルを介して電気的に接続されている。また、表示制御部407は、CPU410からの表示制御が可能なように、バス409と電気的に接続している。
【0035】
また外部端末400は、USBコントローラ408を備えている。USBコントローラ408は、周辺機器がUSBインタフェースを介してCPU410と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。図5に示す例では、上記ホスト用ソケット419に装着されたUSBケーブル9を介しプリンタ1がUSBコントローラ408に接続されるとともに、操作部402もUSBコントローラ408に接続された状態となっている。そして、操作部402の操作内容をCPU410にて検出可能なように、また、プリンタ1とCPU410との間で通信が可能なように、USBコントローラ408とバス409とは電気的に接続されている。
【0036】
<プリンタの記憶領域>
次に、プリンタ1が備える記憶素子である上記FLASH ROM234及びSRAM233の記憶領域について、図6及び図7を参照して説明する。
【0037】
図6を参照し、FLASH ROM234の記憶領域について説明する。FLASH ROM234には、制御プログラム領域251が設けられている。制御プログラム領域251には、CPU231が各種デバイスを制御して処理を実行する場合の制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、CPU231が各種処理を実行する場合において、CPU231より読み出される。また、制御プログラム領域251には、アプリケーションプログラム領域252、USBデバイスドライバ領域253、及びその他の領域が設けられている。
【0038】
制御プログラム領域251のうちアプリケーションプログラム領域252には、CPU231が実行する制御プログラムのうち、上位レベルの制御プログラム(ファイル操作(書き込み、読み出し)、ファイルの内容に基づく判断、各種ドライバプログラムへの命令等)が記憶されている。
【0039】
制御プログラム領域251のうちUSBデバイスドライバ領域253には、USBケーブル9を介した通信のプロトコル制御を実行するUSBデバイスドライバが記憶されている。具体的には、USBデバイスドライバとして、マスストレージクラスドライバとプリンタクラスドライバとが記憶されている。これらは、プリンタ1がUSBケーブル9を介して外部端末400と通信を行う場合において、必要に応じていずれかのUSBデバイスドライバがCPU231より読み出され使用される。
【0040】
CPU231により、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバが選択され使用される場合には、プリンタ1はパソコンより印刷デバイスとして認識される。これにより、従来の一般的な印刷装置の使用方法と同様に、外部端末400からプリンタ1に対して印刷データを送信することによって、プリンタ1にてロール紙Sに印刷を行うことが可能となる。以下、印刷デバイスとして認識されるような駆動状態を「印刷デバイス状態」という。
【0041】
またCPU231により、USBデバイスドライバとしてマスストレージクラスドライバが選択され使用される場合には、プリンタ1は外部端末400より記憶デバイスとして認識される。これにより、プリンタ1内の特定の記憶領域(FLASH ROM234のディスク領域254、後述)が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。以下、記憶デバイスとして認識されるような駆動状態を「記憶デバイス状態」という。
【0042】
またFLASH ROM234には、ディスク領域254が設けられている。ディスク領域254には、外部端末400よりプリンタ1が記憶デバイスとして認識されている状態において、外部端末400の記憶領域として使用可能なように設定されている。ディスク領域254には、印刷データを編集するためのプログラム(クイックエディタ)の実行ファイルであるクイックエディタ実行ファイルが少なくとも記憶される(クイックエディタの詳細については後述する。)。また、プリンタ1の駆動状態を切り替えるためのプログラムの実行ファイルである切替プログラム実行ファイルが記憶される。また、エディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0043】
また、FLASH ROM234には、ローカル領域255が設けられている。ローカル領域255は、ディスク領域254のように外部端末400より閲覧することはできないように設定されている。ローカル領域255には、プログラムのパラメータデータ等が記憶される。
【0044】
次に、図7を参照し、SRAM233の記憶領域について説明する。SRAM233には、ロール紙Sに印字を行う場合に外部端末400から受信されて取得された印刷データが一時的に記憶される印刷バッファ領域261(受信バッファ)が設けられている。また、その他の記憶領域が設けられている。
【0045】
<外部端末の記憶領域>
次に、外部端末400が備えるHDD406及びRAM404の記憶領域について説明する。HDD406には、図示しないが、印刷データを編集するためのプログラム(フルエディタ)の実行ファイルであるフルエディタ実行ファイルが記憶される。また、RAM404には、図示しないが、フルエディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0046】
<クイックエディタとフルエディタ>
次に、プリンタ1のFLASH ROM234中のディスク領域254に記憶されるクイックエディタ実行ファイルと、外部端末400のHDD406に記憶されるフルエディタ実行ファイルとの相違点について説明する。双方とも、プリンタ1にて印刷処理を行う場合に必要な印刷データを作成するためのプログラムであり、外部端末400にて実行可能なプログラムの実行ファイルである。そして、外部端末400にてこれらの実行プログラムを起動することにより、ユーザは、表示部401に表示されるエディタプログラムに基づいて印刷データを作成することが可能となる。そして、作成された印刷データに基づく印字が、プリンタ1のサーマルラインヘッド112によって形成される。
【0047】
ここで、クイックエディタ、及びフルエディタでは、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)を編集して作成することが可能である。従って、作成される印刷データには、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)等が含まれる。ここで、フルエディタを使用して印刷データを作成する場合には、プリンタ1にて印刷可能なほぼすべての印刷条件を利用することが可能となっている。一方、クイックエディタを使用して印刷データを作成する場合には、プリンタ1にて印刷可能な印刷条件のうち一部分のみ利用することが可能となっている。そのため、フルエディタ実行ファイルのデータ容量は、クイックエディタ実行ファイルのデータ容量と比較して大きい。従って、フルエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有する外部端末400のHDD406に記憶され、クイックエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有することができないプリンタ1のFLASH ROM234に記憶される。
【0048】
また、クイックエディタがユーザにより外部端末400にて使用されるためには、プリンタ1のFLASH ROM234よりクイックエディタ実行ファイルがUSBケーブル9を経由して外部端末400に転送され、外部端末400のRAM404に記憶された状態とされなければならない。外部端末400のRAM404にクイックエディタ実行ファイルが記憶された状態で、クイックエディタは起動可能となる。
【0049】
また、フルエディタを使用して作成した印刷データは、印刷デバイスとして認識した状態のプリンタ1に対して送信され、プリンタ1にて印刷処理が実行される。従って、プリンタ1に対して印刷データを送信するためには、あらかじめプリンタ1に対して印刷データを転送可能とするためのプリンタドライバがインストールされていなければならない。一方、クイックエディタを使用して作成した印刷データは、記憶デバイスとして認識した状態のプリンタ1に対して転送され、FLASH ROM234のディスク領域254に直接記憶された状態で、プリンタ1にて印刷処理が実行される。従って、フルエディタを使用した場合の印刷処理とは異なり、プリンタ1に対して印刷データを送信するためのプリンタドライバは必要としない。
【0050】
<データの流れ>
次に、プリンタ1のCPU231が外部端末400と通信を行う場合における、プリンタ1内のデータの流れについて、図8を参照して説明する。
【0051】
図8に示すように、FLASH ROM234は、制御プログラムとしてアプリケーションプログラム256とUSBデバイスドライバ257とを備えている。また、USBデバイスドライバ257として、前述のプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とを備えている。前述したように、USBデバイスドライバ257は、実際にUSBコントローラ242を制御して外部端末400とUSBケーブル9とを介した通信を実行する場合において、事前にCPU231により読み出されて使用される。
【0052】
CPU231は、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とのいずれかを選択して読み出し、使用することによって、外部端末400とUSBケーブル9を介した通信を実行している。そして、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてマスストレージクラスドライバ259を選択した場合には、外部端末400はプリンタ1を記憶デバイスとして認識する。これにより、外部端末400がプリンタ1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、FLASH ROM234のディスク領域254が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。
【0053】
また、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてプリンタクラスドライバ258を選択した場合には、外部端末400はプリンタ1を印刷デバイスとして認識する。これにより、外部端末400がプリンタ1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、外部端末400よりプリンタ1に対して印刷データを転送し印刷指示を行うことによって、プリンタ1に印刷処理を実行させることが可能な状態となる。
【0054】
そして、選択され読み出されたUSBデバイスドライバに基づいて、USBコントローラ242が制御されることにより、USBケーブル9を介して外部端末400と通信を行うことが可能となる。
【0055】
<本実施形態の特徴>
以上において、本実施形態の特徴は、例えば印刷実行時に印刷データやコマンド等が受信される印刷バッファ領域261に対して、セキュリティ確保のために実行される消去処理や表示処理の内容にある。以下、その内容の詳細を、図9、図10、図11、及び図12を用いて説明する。
【0056】
上述したように、本実施形態のプリンタ1は、外部端末400からの所定の印刷操作によって印刷を実行する。外部端末400から印刷データが送信されると、その印刷データは上記SRAM233の印刷バッファ領域261で受信され、いったん記憶される。そして、プラテンローラ111によってロール紙Sが搬送されると、その搬送されるロール紙Sに対し、サーマルラインヘッド112が通電制御されて上記印刷データに対応した印刷を行う。
【0057】
ここで、個人情報に対するセキュリティの向上等の観点から、例えば上記のように印刷が完了した後には、印刷データ等を含む印刷バッファ領域261内のデータやコマンドを完全に初期化したい、というユーザのニーズがある。また、その際、印刷バッファ領域261内が初期化された状態を視覚的に認識したい、というユーザのニーズもある。
【0058】
<比較例(その1)>
図9は、このような場合に対応する比較例を表している。この例では、印刷データ・コマンドとしての「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」が外部端末400から印刷バッファ領域261により受信され(図中「ア」の状態)、これによってプリンタ1においてロール紙Sにテキスト文字「ABC」「DEF」が印字形成された場合を示している。この例では、このような印刷が終了した後、上記の初期化のニーズに対応し、自動的に(又はユーザの適宜の手動操作により)外部端末400から印刷バッファ領域261内の初期化を行うための初期化コマンド(図示省略)が送信され、印刷バッファ領域261内の初期化(コマンド・データ消去)が行われている(図中「イ」の状態)。
【0059】
さらに、上記の初期化された状態の視覚的認識のニーズに対応し、初期化後の印刷バッファ領域261内の状態を可視化するために外部端末400から確認(問い合わせ)コマンド(この例では「GET BUFFER」)が送信されている。しかしながらこの場合、上記(イ)の状態のように印刷バッファ領域261内の初期化が正しく完了していたとしても、上記確認コマンドが印刷バッファ領域261で受信されることによって当該確認コマンド(あるいは前述の初期化コマンド)自体が印刷バッファ領域261内に残ってしまう(図中「ウ」の状態)。この結果、ユーザには、外部端末400の表示部401において、初期化されて何もなくなったはずの印刷バッファ領域261内に上記確認コマンドが残って見える(画面401A参照)こととなり、セキュリティが確保されていないのではないかという誤解が生じる可能性がある。
【0060】
<実施形態の手法(その1)>
そこで、本実施形態では、印刷バッファ領域261内のコマンドやデータが、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)してもよい第1種情報と、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)することが不適当な第2種情報と、に分類される。例えば、上記「GET BUFFER」のような印刷バッファ領域261内の状態を可視化するための確認(問い合わせ)コマンドは、それ自体は第三者に見られても差し支えないものであるため、第1種情報に分類される。これに対して、上記「”USER ABC”PRINT」「”USER DEF”PRINT」のような印刷データや当該印刷データを含むコマンドは、それ自体が印字内容を表し、個人情報等を含む可能性があることから、第2種情報に分類される。
【0061】
そして、図10に示すように、本実施形態では、前述の(ウ)に示す状態はセキュリティ上問題のない第1種情報としての上記確認コマンドが残っているだけであるため、安全であることを示す「SAFETY」の文字(第1種表示)と、当該確認コマンド「GET BUFFER」自体とが、外部端末400の表示部401の画面401Pに表示される。
【0062】
<比較例(その2)>
一方、図11に示すように、前述したような印刷バッファ領域261の自動初期化機能がない場合、初期化がなされないまま、誤操作又は何らかの過誤によって上記確認(問い合わせ)コマンド「GET BUFFER」が外部端末400から送信される場合も考えられる。この場合、前述の(ア)の状態にさらに当該確認コマンド(あるいは前述の初期化コマンド)自体が加わる形で、印刷バッファ領域261内には、「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」の印刷データ・コマンドと、「GET BUFFER」の確認コマンドとが残った状態となり(図中「エ」の状態)、これらすべてが外部端末400の表示部401において見え(画面401B参照)、セキュリティ上非常に好ましくない。
【0063】
<実施形態の手法(その2)>
前述したように、本実施形態では、上記「GET BUFFER」は第1種情報に分類されるものの、上記「”USER ABC”PRINT」「”USER DEF”PRINT」は第2種情報に分類される。そして、本実施形態では、上記(エ)に示す状態のように印刷バッファ領域261内に少なくとも上記第2種情報が含まれている場合には、図12に示すように、セキュリティ上危険であることを示す「WARNING」の警告表示(第2種表示)が外部端末400の表示部401の画面401Qで行われるとともに、印刷バッファ領域261内のデータやコマンドの内容は一切表示されない。
【0064】
<制御手順>
上記の手法を実現するために、プリンタ1のCPU231が実行する制御手順を図13及び図14により説明する。図13は上記印刷データに基づく印刷処理に関する制御手順を表しており、図14は上記印刷バッファ領域261に対する前述のバッファ内表示処理に関する制御手順を表しており、これら2つのフローは同時並行してCPU231によって行われる。このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、1つのCPU231に行わせることができる。
【0065】
<印刷処理>
図13に示す印刷処理では、まず、ステップS10で、CPU231は、外部端末400から印刷指示があったかどうかを判定する。具体的には、前述の「”USER ABC”PRINT」及び「”USER DEF”PRINT」のような、印刷データ「ABC」「DEF」を含む印刷データ・コマンドが外部端末400から出力されてCPU231で入力されたかどうか、を判定する。印刷データ・コマンドが入力されるまでは判定が満たされず(S10:NO)ループ待機し、印刷データ・コマンドが入力されたら判定が満たされ(S10:YES)、ステップS20に移る。
【0066】
ステップS20では、CPU231は、前述したように、駆動回路243,244を介してプラテンローラ111及びサーマルラインヘッド112を制御し、ロール紙Sを搬送しつつ上記ステップS10で取得された印刷データに対応した印刷(印字形成)を行う。その後、ステップS30に移る。
【0067】
ステップS30では、CPU231は、例えば上記操作部402を介したユーザの適宜の操作によりセキュリティモードが選択されているか否かを判定する。すなわち、本実施形態のプリンタ1では、図10を用いて説明した、印刷バッファ領域261内の自動初期化(コマンド・データの消去)を行うセキュリティモードと、そのような自動初期化を行わない通常モードとの2つのモードが予め用意されている。このステップS30では、CPU231は、上記セキュリティモードが選択されているか通常モードが選択されているか、を判定する。セキュリティモードが選択されていればステップS30の判定が満たされ(S30:YES)、ステップS40に移る。
【0068】
本実施形態では、セキュリティモードが選択されている場合には、プリンタ1の印刷が終了したら、外部端末400から自動的に印刷バッファ領域261内を初期化するための初期化コマンドが出力される(前述の図10の(イ)の状態を参照)。ステップS40では、CPU231は、上記外部端末400からの初期化コマンドを受け付ける。その後、後述するステップS70に移る。
【0069】
一方、上記ステップS30において、ユーザにより通常モードが選択されていた場合には、判定が満たされず(S30:NO)、ステップS50に移る。本実施形態のプリンタ1では、図10を用いて前述したように、印刷バッファ領域261内の初期化(コマンド・データの消去)をユーザの手動操作で指示することもできる。このステップS50では、CPU231は、ユーザによる外部端末400の操作部402によって、印刷バッファ領域261内を初期化する操作指示があったか否かを判定する。初期化指示がなかった場合には判定が満たされず(S:NO)、このフローを終了する。初期化指示があった場合には判定が満たされ(S50:YES)、ステップS60に移る。
【0070】
ステップS60では、CPU231は、上記ステップS40と同様、ステップS50での初期化指示によって外部端末400から出力される上記初期化コマンドを受け付ける。その後、ステップS70に移る。なお、このステップS60と上記ステップS40とが、各請求項記載の初期化受付手順に相当する。
【0071】
ステップS70では、上記ステップS40又はステップS60で受け付けた初期化コマンドに対応し、CPU231は、それまで存在していた印刷バッファ領域261内のすべてのコマンド及びデータの消去(=初期化)を行う。但し、図10を用いて前述したように、この消去を行った後も、上記ステップS40又はステップS60で受け付けた初期化コマンド自体が、印刷バッファ領域261内に残る場合もある。このステップS70が、各請求項記載の初期化処理手順に相当する。ステップS70が完了したら、このフローを終了する。
【0072】
<バッファ内表示処理>
図13に示すバッファ内表示処理では、まず、ステップS110で、CPU231は、外部端末400から印刷バッファ領域261内の状態の問い合わせがあったか否かを判定する。すなわち、前述したように、本実施形態では、セキュリティの観点から、例えばユーザが操作部402を適宜に操作することにより、外部端末400からプリンタ1へ印刷バッファ領域261内のデータやコマンドの状態を問い合わせる確認コマンド(前述の例では「GET BUFFER」)を出力することができる。このステップS110では、CPU231は、上記確認コマンドが外部端末400から入力されたか否かを判定する。確認コマンドが入力されるまではステップS110の判定が満たされず(S110:NO)、ループ待機する。確認コマンドが入力されたらステップS110の判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。なお、このステップS110が、各請求項記載の問い合わせ受付手段に相当する。
【0073】
ステップS120では、CPU231は、この時点で、印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在しているか否かを判定する。印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在していなければステップS120の判定が満たされず(S120:NO)、後述のステップS150に移る。印刷バッファ領域261内にコマンドやデータが存在していればステップS120の判定が満たされ(S120:YES)、ステップS130に移る。
【0074】
ステップS130では、前述したように、CPU231は、印刷バッファ領域261内に存在するコマンドやデータを、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)してもよい上記第1種情報と、セキュリティの観点から出力(この例では表示出力)することが不適当な上記第2種情報と、に分類する。その後、ステップS140に移る。なお、このステップS130が各請求項記載の情報分類手順に相当する。また、この情報分類は、このように外部端末400から問い合わせがあった場合に実行するのに限られず、問い合わせがある前に、適宜のタイミングで実行するようにしてもよい。
【0075】
ステップS140では、CPU231は、上記ステップS130での分類結果に応じて、印刷バッファ領域261内に、安全な情報(=上記第1種情報)のみが存在しているか、あるいは、第2種情報も含まれているか、を判定する。印刷バッファ領域261内が第1種情報のみであった場合にはステップS140の判定が満たされ(S140:YES)、ステップS150に移る。印刷バッファ領域261内に少なくとも第2種情報が含まれていた場合にはステップS140の判定が満たされず(S140:NO)、後述のステップS160に移る。なお、このステップS140が、各請求項記載の情報判定手順に相当する。
【0076】
ステップS150では、CPU231は、印刷バッファ領域261内の全データ・コマンドの内容を表示部402で表示するための表示信号(但しステップS120の判定が満たされず移行してきたこの場合はデータ・コマンドが存在しないので空情報信号)と、セキュリティ上安全であることを表示部402で表すための表示信号(前述の例では「SAFETY」の文字)と、を外部端末400に出力する。なお、これら2つの表示信号が各請求項記載の判定結果情報に相当している。これにより、図10に例示したように、表示部402での所定の画面401Pにおいて、「SAFETY」の文字(=第1種表示)と、印刷バッファ領域261内のデータ・コマンドが表示される。
【0077】
一方、ステップS160では、CPU231は、セキュリティ上危険であることを表示部402で表すための表示信号(前述の例では「WARNING!!」の文字)のみを外部端末400に出力する。なお、この表示信号が各請求項記載の判定結果情報に相当している。すなわち、印刷バッファ領域261内のデータ・コマンドの内容については表示部402では表示しないようにする。これにより、図12に例示したように、表示部402での所定の画面401Qにおいて、「WARNING!!」の文字(=第2種表示)のみが表示される。
【0078】
上記ステップS150又はステップS160が完了したら、このフローを終了する。なお、上記ステップS150及びステップS160が、各請求項記載の判定結果出力手順に相当する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態においては、印刷バッファ領域261内のコマンドやデータが、セキュリティの観点からも表示出力や印刷出力をしてもかまわない第1種情報と、セキュリティの観点からは表示出力や印刷出力をすることが不適当である第2種情報と、に分類される(ステップS130)。そして、外部端末400末から確認コマンドが受け付けられると、印刷バッファ領域261内が上記第1種情報のみであるか、上記第2種情報も含まれているか、が判定される(ステップS140)。そして、上記判定結果に対応した上記判定結果情報が操作端末へ送信出力される。これにより、外部端末400の表示部402において、例えば、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを表示(図10の画面401P参照)して、ユーザに対し確実に視覚的に報知することができる。この結果、ユーザは印刷バッファ領域261内の状態を誤解することなく確認することができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみである場合には、印刷バッファ領域261内のすべての情報(コマンド及びデータ)と当該判定に対応する上記第1種表示(上記の例では「SAFETY」)とが外部端末400で表示され(ステップS150)、印刷バッファ領域261内に上記第2種情報も含まれる場合には、印刷バッファ領域261内の情報を表示せず上記第2種表示(上記の例では「WARNING!!」)が外部端末400で表示される(ステップS160)。
【0081】
これにより、ユーザは、外部端末400に表示される第1種表示や第2種表示により、セキュリティの観点からの印刷バッファ領域261内の状態を正確に認識することができる。また、第1種情報のみが印刷バッファ領域261内に存在する場合には、第1種表示のみならず印刷バッファ領域261内のすべての情報内容を表示することで、ユーザに対し、正しく情報の分類が行われ、セキュリティが確保されているという安心感を確実に与えることができる。そして、第2種情報も印刷バッファ領域261内に存在する場合には、第2種表示のみとして印刷バッファ領域261内の情報内容を表示しないようにすることで、セキュリティを確保することができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、外部端末400から受信された印刷データは上記第2種情報に分類されると共に、問い合わせ(確認)コマンドは上記第1種情報に分類される。すなわち、印刷データには種々の個人情報が含まれうることから、第2種情報に分類することにより、個人情報に対するセキュリティを確保することができる。一方、確認コマンドは、単なる情報問い合わせの内容であることから、印刷バッファ領域261内に存在する姿が視覚的に視認できてもセキュリティ上は何ら問題はない。したがって、確認コマンドは上記第1種情報に分類することで、ステップS150で前述の第1種表示を行ったり当該確認コマンドの内容自体を表示し、ユーザに無用な誤解を与えるのを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、外部端末400からの上記初期化コマンドによって印刷バッファ領域261のコマンド及びデータを初期化し、かつ、そのときに受け付けられて印刷バッファ領域261存在する初期化コマンドを、第1種情報に分類する。初期化コマンドに応じて印刷バッファ領域261内のコマンド及びデータを初期化する(ステップS70)ことにより、個人情報等に対するセキュリティの向上を図ることができる。また初期化コマンド自体は、単なる情報初期化の内容であることから、印刷バッファ領域261内に存在する姿が視覚的に視認できてもセキュリティ上は何ら問題はない。したがって、初期化コマンドを上記第1種情報に分類することで、ステップS150で前述の第1種表示を行ったり当該初期化コマンドの内容自体を表示し、ユーザに無用な誤解を与えるのを防止することができる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0085】
(1)「SAFETY」表示等のみとする場合
すなわち、上記実施形態においては、外部端末400から印刷バッファ領域261内の状態の問い合わせがあったとき、印刷バッファ領域261内にセキュリティ上問題のないコマンドやデータ(第1種情報)のみがあった場合には、ステップS130で、「SAFETY」表示と、印刷バッファ領域261内の全コマンド・データの表示とを、外部端末400の表示部401で表示したが、これに限られない。すなわち、ステップS160と同様、「SAFETY」表示のみを行い、印刷バッファ領域261内のコマンド・データの表示は省略してもよい。この場合も同様の効果を得る。この場合は「SAFETY」表示が各請求項記載の判定結果情報に相当する。さらに進んで、印刷バッファ領域261内にセキュリティ上問題のないコマンドやデータ(第1種情報)のみがあった場合には「SAFETY」表示すら行わない(空白表示とする)ようにしてもよい。この場合は当該空白表示が各請求項記載の判定結果情報に相当する。
【0086】
(2)第1種情報及び第2種情報のバリエーション
以上においては、外部端末400から取得された、セキュリティの観点から出力してもよい第1種情報として、上記確認コマンドを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、前述の初期化コマンドや、具体的な印刷データを含まない印刷開始要求コマンドや、プリンタ1の各種ステータス(「アイドル中」「印刷中」「カバーオープン」「エラー」等)の取得を要求するコマンド(例えば「GET STATUS」)、等も、それ自体は第三者に見られても差し支えないものであるため、第1種情報に分類される。
【0087】
同様に、上記では、外部端末400から取得された、セキュリティの観点から出力することが不適当な第2種情報として、上記印刷データや当該印刷データを含むコマンドを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ユーザがパスワードを設定するためのコマンドや、プリンタ1や外部端末400がネットワーク通信を行うための各種設定(IPアドレス、無線LAN接続認証キー情報、等)を行う設定コマンドや、プリンタ1内に定型印刷用のテンプレートを設定記憶可能な場合に使用されるテンプレートデータ転送コマンド、等は、それ自体が秘匿すべき情報等を含む可能性があることから、第2種情報に分類される。
【0088】
(3)印刷出力を行う場合
以上においては、外部端末400からの上記確認コマンドの入力に応じ、ステップS130やステップS160で、印刷バッファ領域261内の状態に対応した表示を外部端末400の表示部401で行ったが、これに限られない。すなわち、当該表示に代えて、CPU231の制御により、同等の内容(印刷バッファ領域261内の状態に対応した、例えば上記図10の画面401Pや上記図12の画面401Qの内容)をロール紙Sに対しサーマルラインヘッド112で印刷するようにしてもよい。この場合も、前述と同様、ロール紙Sに対する当該印刷内容により、ユーザは、例えば、印刷バッファ領域261内に上記第1種情報のみが残った状態であり、セキュリティ上問題のあるコマンドや情報が存在しない状態であることを、確実に視覚的に認識することができ、前述と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(4)その他
また、以上においては、本発明の適用対象の印刷装置として、バッテリ電源によりロール紙Sに対し所望の印字を行うプリンタ1において、印刷を行うためのコマンドファイル、及び、ユーティリティ設定を行うためのコマンドファイルを与える場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、プリンタとして、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷する通常のプリンタや、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置、に対し、本発明の手法を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0090】
なお、以上において、図5、図8に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0091】
また、図13、図14に示すフローは本発明を当該フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0092】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0093】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0094】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 プリンタ(印刷装置)
111 プラテンローラ(搬送手段)
112 サーマルラインヘッド(印刷手段)
231 CPU(演算手段)
261 印刷バッファ領域(受信バッファ)
400 外部端末(操作端末)
S ロール紙(被印刷媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に前記印刷データに対応した印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置に備えられた演算手段に対し、
前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、
前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、
前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、
を実行させるための印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記判定結果出力手順では、
前記情報判定手順で前記受信バッファ内には前記第1種情報のみであると判定された場合には、前記受信バッファ内のすべての情報と当該判定に対応する第1種表示とを前記操作端末で表示するための表示信号を出力し、
前記情報判定手順で前記受信バッファ内には前記第2種情報が含まれると判定された場合には、前記受信バッファ内の情報を表示せず当該判定に対応する第2種表示を前記操作端末で表示するための表示信号を出力する、
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記情報判定手順では、
前記操作端末から受信され前記受信バッファ内に存在する前記印刷データを前記第2種情報に分類すると共に、
前記問い合わせ受け付け手順で受け付けられて前記受信バッファ内に存在する前記問い合わせコマンドを、前記第1種情報に分類する
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記演算手段に対し、さらに、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータを初期化する初期化コマンドを受け付ける初期化受け付け手順と、
前記初期化受け付け手順で前記初期化コマンドを受け付けたときに、前記受信バッファ内のコマンド及びデータを初期化する初期化処理手順と、
を実行させ、
前記情報判定手順では、
前記初期化処理手順で初期化された後の受信バッファ内に、前記初期化受け付け手順で受け付けられて存在する前記初期化コマンドを、前記第1種情報に分類する
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項5】
操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に所望の印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置が実行する、印刷装置の情報処理方法であって、
前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、
前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、
前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、
を有することを特徴とする印刷装置の情報処理方法。
【請求項1】
操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に前記印刷データに対応した印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置に備えられた演算手段に対し、
前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、
前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、
前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、
を実行させるための印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記判定結果出力手順では、
前記情報判定手順で前記受信バッファ内には前記第1種情報のみであると判定された場合には、前記受信バッファ内のすべての情報と当該判定に対応する第1種表示とを前記操作端末で表示するための表示信号を出力し、
前記情報判定手順で前記受信バッファ内には前記第2種情報が含まれると判定された場合には、前記受信バッファ内の情報を表示せず当該判定に対応する第2種表示を前記操作端末で表示するための表示信号を出力する、
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記情報判定手順では、
前記操作端末から受信され前記受信バッファ内に存在する前記印刷データを前記第2種情報に分類すると共に、
前記問い合わせ受け付け手順で受け付けられて前記受信バッファ内に存在する前記問い合わせコマンドを、前記第1種情報に分類する
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷装置の情報処理プログラムにおいて、
前記演算手段に対し、さらに、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータを初期化する初期化コマンドを受け付ける初期化受け付け手順と、
前記初期化受け付け手順で前記初期化コマンドを受け付けたときに、前記受信バッファ内のコマンド及びデータを初期化する初期化処理手順と、
を実行させ、
前記情報判定手順では、
前記初期化処理手順で初期化された後の受信バッファ内に、前記初期化受け付け手順で受け付けられて存在する前記初期化コマンドを、前記第1種情報に分類する
ことを特徴とする印刷装置の情報処理プログラム。
【請求項5】
操作端末から、印刷データを含む少なくとも1つのデータ及びコマンドを受信可能な受信バッファと、被印刷媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被印刷媒体に所望の印刷を行う印刷手段とを有する印刷装置が実行する、印刷装置の情報処理方法であって、
前記受信バッファ内に存在するコマンド及びデータを、セキュリティの観点から出力可能な第1種情報と、セキュリティの観点から出力不適な第2種情報と、のいずれかに分類する情報分類手順と、
前記受信バッファ内のコマンド及びデータの状態を問い合わせる操作端末からの問い合わせコマンドを受け付ける問い合わせ受け付け手順と、
前記問い合わせ受け付け手順で前記問い合わせコマンドを受け付けたことを契機に、前記情報分類手順での分類結果に応じて、前記受信バッファ内には、第2種情報が含まれず第1種情報のみであるか、あるいは、第2種情報が含まれているか、を判定する情報判定手順と、
前記情報判定手順での判定結果に基づき、前記操作端末に対し当該判定結果に対応した判定結果情報を送信出力するか、若しくは、前記印刷手段を制御して当該判定結果を印字出力する、判定結果出力手順と、
を有することを特徴とする印刷装置の情報処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−95026(P2013−95026A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238833(P2011−238833)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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