説明

印刷装置及びそれに装填可能な媒体駆動ニップ・モジュール

【課題】数少ない駆動モータ又はアクチュエータで媒体駆動ニップの解放及び係合を容易に制御することのできる印刷装置を提供する。
【解決手段】本発明の印刷装置は、駆動ローラ(1)とこの駆動ローラと向かい合うアイドラ・ローラ(2)とから成る、少なくとも1つの媒体駆動ニップと、駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸(4)と、アイドラ・ローラに動作可能に接続されており、回転すると、アイドラ・ローラを駆動ローラに対して付勢された第1の位置と駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かすカム(12)と、駆動軸及びカムに動作可能に接続されており、駆動軸が順方向とは反対の逆方向に回転するときのみカムを回転させるように構成された一方向デバイス(17)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数少ない駆動モータ又はアクチュエータで媒体駆動ニップの解放及び係合を容易に制御することのできる印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、媒体通路駆動ローラ・ニップは、電気ソレノイド又は専用モータを用いてニップ解放機構を作動させることによって、解放(即ち、開放されて係合解除)されている。ニップ自体を駆動するのに1つのアクチュエータ(即ち、モータ)が必要とされると同時に、ニップ解放機構を駆動するのにもう1つのアクチュエータ(即ち、モータ又はソレノイド)が必要とされる。
【特許文献1】米国特許第5,678,159号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、少ない駆動モータ又はアクチュエータで媒体駆動ニップの解放及び係合を容易に制御することのできる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中の実施形態は、印刷装置(例えば、静電写真装置及び/又は処理、ゼログラフィック装置及び/又は処理)と、印刷装置などに装填可能で1つ以上の媒体駆動ニップを有するモジュールとを含む。駆動ニップはそれぞれ、互いに付勢された1組の対向するローラから成る。これらのローラは、駆動ローラと、この駆動ローラと向かい合って対応するアイドラ・ローラとから成る。駆動ローラは、モータによって駆動され、アイドラ・ローラは、駆動ローラに対して付勢され且つ駆動ローラと共に自由に回転し、これにより、1つの媒体(紙、透明紙、カード用紙など)が駆動ニップを通過する。駆動軸は、駆動ローラに動作可能に連結されている。駆動軸は、媒体が媒体駆動ニップを通過しているときには、順方向に回転している。
【0005】
さらに、1つ以上のカムがそれぞれ、可動支持体を介して、対応するアイドラ・ローラに動作可能に接続されている。この可動支持体は、カムの動きをアイドラ・ローラに伝える。カムは、回転すると、アイドラ・ローラを、駆動ローラに対して付勢された第1の位置と駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かす。一実施形態では、カムは、回転すると別々にアイドラ・ローラの組を動かして様々な媒体幅を受容するように、成形され配置される。従って、例えば、本明細書中の実施形態では、ある1セットのカムによって、外側の組のアイドラ・ローラだけが対応する駆動ローラに対して付勢され、幅の広い媒体を収容することができる一方、別の1セットのカムによって、内側の組のアイドラ・ローラだけが対応する駆動ローラに対して付勢され、より幅の狭い媒体を収容することができる。さらに、駆動ニップを個別に係合させることによって、媒体を位置合わせすることができる。
【0006】
クラッチ(一方向デバイス)が、駆動軸に動作可能に連結されている。本明細書中の実施形態では、カムシャフトが、カムに動作可能に連結されていると共に、(例えば、ギア及び/又はベルトによって)クラッチに動作可能に接続されている。本明細書中の実施形態の1つの特徴は、駆動軸が順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ、カムシャフト(及びゆえにカム自体)がクラッチによって回転される、という点である。従って、駆動軸の順動によって、媒体が駆動ニップを通過し、駆動軸の逆動によって、カムが回転しアイドラ・ローラの位置が制御される。このため、本明細書中の実施形態によれば、カムシャフト用の別個の駆動モータ又はアイドラ・ローラ用の個別のアクチュエータ若しくはその他同様のデバイスを備える必要なく、単なる駆動軸及び駆動モータの逆動によって、カムの動き(及びそれに伴う駆動ニップの解放)を容易に制御することができる。
【0007】
従って、単一の順方向においてのみニップを駆動するアプリケーションに関し、ニップ解放機構は、ニップ駆動の逆動を用いて駆動され得る。このストラテジーにより、駆動ニップ・アイドラは、ニップ駆動が作動していない(ニップに媒体がない)ときはいつでも、解放状態から係合状態に(又は、その逆に)変わることができる。一方ローラ・クラッチ又は揺動アーム装置を用いることによって、ニップ駆動モータの逆作動中に、ニップ解放機構が駆動される。駆動モータの順作動中には、このローラ・クラッチ又は揺動アームがニップ解放機構の駆動を阻止することによって、ニップ解放機構の状態を妨げることなく、通常のニップ駆動が行われる。
【0008】
本発明の請求項1の態様は、駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合うアイドラ・ローラとから成る、少なくとも1つの媒体駆動ニップと、前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、前記アイドラ・ローラに動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かすカムと、前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、を備える、印刷装置により提供される。
【0009】
本発明の請求項2の態様は、駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合う対応するアイドラ・ローラとから成る、複数の媒体駆動ニップと、前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、前記アイドラ・ローラに対応して動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かす複数のカムと、前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、を備える、印刷装置であって、前記カムが、回転すると前記アイドラ・ローラを個別に動かすように構成されている、前記印刷装置により提供される。
【0010】
本発明の請求項3の態様は、駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合う対応するアイドラ・ローラとから成る、複数の媒体駆動ニップと、前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、前記アイドラ・ローラに対応して動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かす複数のカムと、前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、を備える、印刷装置であって、前記カムが、回転すると前記アイドラ・ローラの組を個別に動かして様々な媒体幅を受容するように構成されている、前記印刷装置により提供される。
【0011】
本発明の請求項4の態様は、印刷装置に装填可能な媒体駆動ニップ・モジュールであって、駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合うアイドラ・ローラとから成る、少なくとも1つの媒体駆動ニップと、前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、前記アイドラ・ローラに動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かすカムと、前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、を備える、前記媒体駆動ニップ・モジュールにより提供される。
【発明の効果】
【0012】
本明細書中の実施形態の1つの特徴は、媒体がニップを通過する通常の順方向とは反対の逆方向に駆動軸が回転するときのみ、カムシャフト(及びゆえにカム自体)が一方クラッチ(一方向デバイス)の動作によって回転される、という点である。従って、駆動軸の順動によって、媒体が駆動ニップを通過し、駆動軸の逆動によって、カムが回転しアイドラ・ローラの位置が制御される。このため、本明細書中の実施形態によれば、カムシャフト用の別個の駆動モータ又はアイドラ・ローラ用の個別のアクチュエータ若しくはその他同様のデバイスを備える必要なく、単なる駆動軸の逆動によって、カムの動き(及びそれに伴う駆動ニップの解放又は係合)を容易に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記システム及び方法の様々な例示的実施形態を、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0014】
より詳細には、図1に示されているように、媒体駆動ニップは、駆動ローラ1及びアイドラ・ローラ2によって形成される。駆動ローラ1は、駆動ローラ・アセンブリ3の一部品として駆動され、この駆動ローラ・アセンブリ3は、シャフト若しくは駆動軸4及び駆動プーリ5も含む。駆動ローラ・アセンブリ3は、タイミング・ベルト6によって駆動され、このタイミング・ベルト6は、プーリの付いたモータ・アセンブリ7によって駆動される。或いは、駆動ローラ・アセンブリ3は、ギアトレインによって駆動することもできるし、駆動モータに直接取り付けることもできる。
【0015】
ニップが係合(負荷)状態にある場合(図1)、アイドラ・ローラ2は、荷重ばね8により駆動ローラ1に対して付勢される。荷重ばねは、アイドラ・シャフト9に荷重をかけ、このアイドラ・シャフト9は、アイドラ・ローラ2に荷重をかける。荷重ばね8は、アイドラ・スレッド若しくは可動支持体10に取り付けられている。アイドラ・シャフト9は、アイドラ・スレッド10におけるスロットによって拘束されているが、このスロットは、荷重ばね8がアイドラ・ローラ2に適切なニップ荷重をかけるのを妨げるわけではない。アイドラ・スレッド10は、その一端が、固定されたアイドラ・スレッド旋回軸11によって適所に保持されている。このアイドラ・スレッドのもう一端は、ニップ荷重カム12によって押し下げられる。このカム12は負荷位置に下がるまで回転されることに注意されたい。
【0016】
ニップが解放(無負荷)状態にある場合(図2)、アイドラ・ローラ2は、アイドラ・スレッド10によって駆動ローラ1の上方に浮かされる。アイドラ・シャフト9は、アイドラ・スレッド10におけるスロットの底部に位置する。アイドラ・スレッド10は、戻しばね(図示せず)によりニップ荷重カム12に逆らって引き上げられる。このカム12は無負荷位置に上がるまで回転されることに注意されたい。本明細書中の実施形態は、別のニップ荷重方法を用いて容易に実施されてもよい。例えば、アイドラ・ローラ2は、回転リンク機構を用いて負荷又は除荷することができる。
【0017】
この実施形態では、ニップ荷重カム12は、ギア14〜16によって駆動されるニップ荷重カムシャフト13を中心に回転される。この実施形態では、ギア16がローラ・クラッチ(一方向デバイス)17に固定されているが、このクラッチ17は、ギア14〜16のいずれに組み込んで同じ効果を得てもよい。(図1に示されているように)駆動軸4に隣接したギア16にクラッチ17を組み込むことによって、ギア14〜16は、駆動軸4が逆方向に回転するときのみ回転し、これにより、ギア14〜16の摩耗が軽減される。ローラ・クラッチ17は、(媒体駆動方向における)駆動ローラ1の順回転がギア16に作用せず、ころ軸受として機能するような向きにされる。駆動ローラの逆回転はローラ・クラッチ17をロックし、これにより、ギア16が駆動されて、カム12の異なる位置が選択される。
【0018】
クラッチ17は、例えば、一方向にのみ係合する内側ラチェットを含み得る、一方クラッチ(一方向デバイス)である。本明細書中で用いられるクラッチ、一方デバイス、及び一方向デバイスのような語は、一方向にのみ係合し逆方向には係合しないデバイスであれば、どのような形態のデバイスも含み得る。このような一方デバイスは、当業者には周知であり、このようなデバイスは全て、本明細書中で用いられる「クラッチ」、「一方デバイス」、及び「一方向デバイス」という語に含まれることが意図される。クラッチ17は、ギア16を駆動軸4に連結する。従って、駆動軸4が順方向に回転するときには、クラッチ17が自由に回転してギア16を回転させないので、駆動軸4が逆方向に回転するときのみ、ギア16は回転する。このため、ギア16は、逆方向にのみ回転すると共に、駆動軸4が逆方向に回転するときのみ回転する。
【0019】
駆動ローラ1が逆方向に駆動されるときのみカムシャフト13を駆動するのに、図5及び図6に示されている揺動アーム機構のような、異なる一方デバイス及び一方向デバイスを用いてもよい。より詳細には、図5及び図6に示されている装置は、揺動アーム連結部50、52、54、及び58以外は、図1〜図4に示された構造と実質的に同様である。この揺動アーム連結部は、ギア/ローラ50、52、及び54と、連結板58とを含む。図5に示されているような順方向においては、ベルト6は駆動ローラ1を順方向に駆動する。しかしながら、ベルト6が逆方向に駆動されると、連結板58とギア52との間にある圧縮部材によって連結板58にトルクが生じ、これにより、図6に示されているように、連結板58及び下方ギア/ローラ52がギア/ローラ54の方へ揺動する。ギア/ローラ52がギア/ローラ54と接触すると、揺動は止まり、ギア/ローラ52が回転し始める。この回転運動がカムシャフト13に伝わることにより、カムシャフト13が回転し、カムシャフトの回転に関して本開示に述べた全ての結果が得られる。ベルト6が順回転に戻ると、下方ギア/ローラ52を揺動させた逆向きのテンションは止まり、ギア/ローラ52は圧縮部材の効果により図5に示された位置に戻る。停止部材を用いて、このギア/ローラ52の戻り運動を制限してもよい。
【0020】
本明細書中の実施形態の1つの特徴は、順方向においてニップを駆動すると共に逆方向においてニップ解放機構を制御するのに1つのモータしか必要とされないため、そうでなければニップ解放機構を駆動するのに必要とされる少なくとも1つのアクチュエータが省かれる、という点である。この特徴は、図3に示されているような、複数の選択可能なニップを備えた駆動ローラ1の場合に有用となる。駆動ローラ・アセンブリ3は、6つの個別駆動ローラ1a〜1fを有し、これらの駆動ローラにはそれぞれ、対応するアイドラ及びニップ解放機構がある。この構造は、1組の駆動ローラが既知の媒体幅に関し最も幅広い可能なスタンスを取るのに有用である。図3では、内側の組の駆動ローラ1c及び1dのみが、これらに対応するアイドラを負荷している。この状態は、封筒のような幅の狭い媒体を送給するのに適している。より幅の広い媒体が選択されて送給される場合、駆動モータは、媒体がない間に逆回転することにより、その他のニップ組のうちの1組を選択して負荷することができる。本発明がなければ、同様のカムシャフトを駆動する別個のモータか、或いは、各アイドラ・アセンブリを個別に負荷又は除荷する多数のソレノイドが必要とされる。
【0021】
本明細書中の実施形態は、1組の同軸駆動ローラと共に用いることもでき、例えば、図4に示されているように、デスキュー若しくは位置合わせ機構に用いられ得る。2つの駆動ローラ・アセンブリ3a及び3bは、2つのベルト6a及び6b並びに2つのモータ7a及び7bによって、別々に駆動される。これらの駆動ローラ・アセンブリは、媒体を方向転換させる若しくは操縦するために、異なって駆動される。この操縦動作を用いて、媒体の位置合わせが適切に行われる。媒体を適切に操縦するために、各駆動ローラ・アセンブリ3から1つの駆動ローラのみが、クラッチの動作及び対応する駆動軸の逆動によって制御されると、媒体に対して負荷され得る。このようなタイプの位置合わせシステムでは、上述したようなこの実施形態を用いることによって、媒体に関し最も幅広い可能なスタンスを取ることができる。これらの条件によって、本明細書中の実施形態は、特にこのようなタイプの位置合わせシステムに適用可能となる。本明細書中の実施形態以前は、別個のモータを用いてカムシャフト・アセンブリを駆動していたことにより、費用及び複雑性が高かった。
【0022】
従って、先に詳細に示したように、本明細書中の実施形態は、印刷装置(例えば、静電写真装置及び/又は処理、ゼログラフィック装置及び/又は処理)と、印刷装置などに装填可能で1つ以上の媒体駆動ニップを有するモジュールとを含む。駆動ニップはそれぞれ、互いに付勢された1組の対向するローラから成る。これらのローラは、駆動ローラ1と、この駆動ローラ1と向かい合って対応するアイドラ・ローラ2とから成る。駆動ローラ1は、モータ7によって駆動され、アイドラ・ローラ2は、駆動ローラ1に対して付勢され且つ駆動ローラ1と共に自由に回転し、これにより、1つの媒体(紙、透明紙、カード用紙など)が駆動ニップを通過する。駆動軸4は、駆動ローラ1に動作可能に連結されている。駆動軸4は、媒体が媒体駆動ニップを通過しているときには、順方向に回転している。
【0023】
さらに、1つ以上のカム12がそれぞれ、可動支持体10を介して、対応するアイドラ・ローラ2に動作可能に接続されている。この可動支持体10は、カム12の動きをアイドラ・ローラ2に伝える。カム12は、回転すると、アイドラ・ローラ2を、駆動ローラ1に対して付勢された第1の位置と駆動ローラ1に接触しない第2の位置との間において動かす。一実施形態では、カム12は、回転すると個別にアイドラ・ローラ2の組を動かして様々な媒体幅を収容するように、成形され配置される。従って、例えば、本明細書中の実施形態では、ある1セットのカム12によって、外側の組のアイドラ・ローラ2だけが対応する駆動ローラ1に対して付勢され、幅の広い媒体を収容することができる一方、別の1セットのカム12によって、内側の組のアイドラ・ローラ2だけが対応する駆動ローラ1に対して付勢され、より幅の狭い媒体を収容することができる。
【0024】
クラッチ17が、駆動軸4に動作可能に連結されている。本明細書中の実施形態では、カムシャフト13が、カム12に動作可能に連結されていると共に、(例えば、ギア及び/又はベルトによって)クラッチ17に動作可能に接続されている。本明細書中の実施形態の1つの特徴は、駆動軸4が順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ、カムシャフト13(及びゆえにカム12自体)がクラッチ17によって回転される、という点である。従って、駆動軸4の順動によって、媒体が駆動ニップを通過し、駆動軸4の逆動によって、カム12が回転しアイドラ・ローラ2の位置が制御される。このため、本明細書中の実施形態によれば、カムシャフト13用の別個の駆動モータ又はアイドラ・ローラ2用の個別のアクチュエータ若しくはその他同様のデバイスを備える必要なく、単なる駆動軸4の逆動によって、カム12の動き(及びそれに伴う駆動ニップの解放)を容易に制御することができる。
【0025】
従って、単一の順方向においてのみニップを駆動するアプリケーション(適用装置)に関し、ニップ解放機構は、ニップ駆動の逆動を用いて駆動され得る。このストラテジーにより、駆動ニップ・アイドラは、ニップ駆動が作動していない(ニップに媒体がない)ときはいつでも、解放状態から係合状態に(又は、その逆に)変わることができる。一方ローラ・クラッチ17又は揺動アーム装置を用いることによって、ニップ駆動モータの逆作動中に、ニップ解放機構が駆動される。駆動モータの順作動中には、このローラ・クラッチ17又は揺動アームがニップ解放機構の駆動を阻止することによって、ニップ解放機構の状態を妨げることなく、通常のニップ駆動が行われる。
【0026】
前記実施形態は限られた数の特定構造を提示しているが、このような構造は本明細書中の実施形態を示すのに用いられた単なる例であり、本明細書中の実施形態はこれらの具体例に限定されない。例えば、駆動軸4とカムシャフト13とを接続するものとしてギア14〜16が示されているが、これらのギア14〜16の代わりに、ベルト及びプーリ・システム又はその他の代替構造を用いることもできる、ということは当業者には理解されるであろう。同様に、カム12とアイドラ・ローラ2とを付勢接続するのに、旋回アイドラ・スレッド10及びばねが用いられているが、本開示に添付した図面に示されている構造の代わりに、その他多くのタイプの付勢構造(例えば、弾性スレッド、付勢バンド若しくはストラップなど)を用いることもできる、ということは当業者には理解されるであろう。このような代替物は全て、本明細書中に説明した構造に含まれることが意図される。
【0027】
さらに、添付の図面に示された構造は特定の形状をしているが、これらの図面は単なる略図であって必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、これらの図面において選ばれた形状は単なる例として選択されたものである、ということは当業者には理解されるであろう。従って、本開示は、添付の図面に示されたものとは異なる形状のデバイスを含むことが意図される。例えば、カム12は、設計者が意図通りにアイドラ・ローラ2を動かすために必要とするどのような条件に応じて成形されてもよい。従って、本明細書中の実施形態は、駆動ローラを駆動するのと同じ駆動モータの動作によってニップ・ローラ間の間隙を開閉するのに、この駆動モータに動作可能に接続された一方デバイスの動作を利用する、全ての構造を含むことが意図される。繰り返しになるが、本明細書中の実施形態は、アイドラ・ローラを動かすデバイスを選択的に係合させるのに一方クラッチを用いることにより、必要とされる駆動モータ及び/又はアクチュエータの数を減らすと共に、ありとあらゆるこのような構造を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本明細書中の実施形態による駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【図2】本明細書中の実施形態による駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【図3】本明細書中の実施形態による駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【図4】本明細書中の実施形態による駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【図5】本明細書中の実施形態による揺動アーム形態の駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【図6】本明細書中の実施形態による揺動アーム形態の駆動ニップ・アセンブリの略図である。
【符号の説明】
【0029】
1 駆動ローラ
2 アイドラ・ローラ
3 駆動ローラ・アセンブリ
4 駆動軸
5 プーリ
6 ベルト
7 モータ
8 ばね
9 アイドラ・シャフト
10 アイドラ・スレッド
11 旋回軸
12 カム
13 カムシャフト
14、15、16、50、52、54 ギア
17 クラッチ
58 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合うアイドラ・ローラとから成る、少なくとも1つの媒体駆動ニップと、
前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、
前記アイドラ・ローラに動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かすカムと、
前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、
を備える、印刷装置。
【請求項2】
駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合う対応するアイドラ・ローラとから成る、複数の媒体駆動ニップと、
前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、
前記アイドラ・ローラに対応して動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かす複数のカムと、
前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、
を備える、印刷装置であって、
前記カムが、回転すると前記アイドラ・ローラを個別に動かすように構成されている、 前記印刷装置。
【請求項3】
駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合う対応するアイドラ・ローラとから成る、複数の媒体駆動ニップと、
前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、
前記アイドラ・ローラに対応して動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かす複数のカムと、
前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、
を備える、印刷装置であって、
前記カムが、回転すると前記アイドラ・ローラの組を個別に動かして様々な媒体幅を受容するように構成されている、
前記印刷装置。
【請求項4】
印刷装置に装填可能な媒体駆動ニップ・モジュールであって、
駆動ローラと、該駆動ローラと向かい合うアイドラ・ローラとから成る、少なくとも1つの媒体駆動ニップと、
前記駆動ローラに動作可能に連結されており、媒体が前記媒体駆動ニップを通過するとき順方向に回転するように構成された駆動軸と、
前記アイドラ・ローラに動作可能に接続されており、回転すると、前記アイドラ・ローラを前記駆動ローラに対して付勢された第1の位置と前記駆動ローラに接触しない第2の位置との間において動かすカムと、
前記駆動軸及び前記カムに動作可能に接続されており、前記駆動軸が前記順方向とは反対の逆方向に回転するときのみ前記カムを回転させるように構成された一方向デバイスと、
を備える、前記媒体駆動ニップ・モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−31152(P2007−31152A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199551(P2006−199551)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】