説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】ノズルから吐出される液体が温まる前であっても速やかに印刷を行う。
【解決手段】本発明に係る印刷装置は、液体を吐出するノズルと、前記液体の温度を検出する温度センサーと、受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーであって、前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行するコントローラーと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置の一例として、紙やフィルム等の各種媒体にインク等の液体を吐出して、画像の印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。このインクジェットプリンターは、ホストコンピューターから受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して印刷処理を実行している(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−82969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このインクジェットプリンターでは、電源投入直後や待機状態にあるとき等に、ホストコンピューターからの印刷ジョブを受信した場合であっても、ノズルから吐出される液体が温まるまで印刷を開始することができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノズルから吐出される液体が温まる前であっても速やかに印刷を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための主たる発明は、
液体を吐出するノズルと、
前記液体の温度を検出する温度センサーと、
受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーであって、
前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行するコントローラーと、
を備えたとことを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】印刷システム1000の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタードライバーが行う処理の概要を説明する図である。
【図3】印刷モードを設定するときの設定画面の一例を示した図である。
【図4】プリンター1のヘッド31周辺の概略図である。
【図5】キャリッジ21の横面の概略図である。
【図6】図6A及び図6Bは、キャリッジ21とインクカートリッジ37との位置関係を示す概略図である。
【図7】ヘッド31のノズルの概略図である。
【図8】ヘッド31のうちのノズル群の周辺の断面図である。
【図9】ヘッド制御部HCのブロック図である。
【図10】各信号のタイミングを説明する説明図である。
【図11】プリンター1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】印刷ジョブと印刷順序との関係を説明するための図である。
【図13】「温度調整なし」の印刷モードにおける駆動波形の補正を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
即ち、液体を吐出するノズルと、
前記液体の温度を検出する温度センサーと、
受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーであって、
前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行するコントローラーと、
を備えたとことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズルから吐出される液体の温度が目標温度の範囲外であっても速やかに印刷を行うことができる。
【0010】
また、かかる印刷装置であって、
前記印刷モードが設定された印刷ジョブは、ノズルチェック用のテストパターンを印刷する印刷ジョブであることとしてもよい。
このような印刷装置によれば、液体が温まるまでの待ち時間を、テストパターンを形成する時間として有効利用することができる。
【0011】
また、かかる印刷装置であって、
前記ノズルに対応して設けられ、駆動波形を有する駆動信号が印加されることによって駆動する駆動素子と、
前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
を有し、
前記コントローラーは、前記印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記印刷モードが設定されていない印刷ジョブを受け付けた場合の駆動波形とは異なる駆動波形を有する駆動信号を、前記駆動信号生成部に生成させることとしてもよい。
このような印刷装置によれば、駆動波形を変えることによって強制的に液体を吐出することができるため、ノズルから吐出される液体の温度が目標温度の範囲外であっても、できるだけ良い印刷画質にすることが可能となる。
【0012】
また、かかる印刷装置であって、
前記コントローラーは、前記印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、ユーザーからの指示入力があった後に前記印刷処理を実行することとしてもよい。
このような印刷装置によれば、ユーザーの意向に関わらず自動的に印刷処理が開始されることを回避することができる。
【0013】
また、液体を吐出するノズルと、前記液体の温度を検出する温度センサーと、受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーと、を備えた印刷装置を準備することと、
前記コントローラーが、前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行することと、
を有することを特徴とする印刷方法である。
このような印刷方法によれば、ノズルから吐出される液体の温度が目標温度の範囲外であっても速やかに印刷を行うことができる。
【0014】
以下の実施形態では、印刷装置としてインクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」という)を例に挙げて説明する。
【0015】
===実施の形態===
<<<印刷システムの構成について>>>
図1は、印刷システム1000の構成を説明する図である。本実施形態における印刷システム1000は、プリンター1と、印刷制御装置としてのコンピューター装置1100と、表示装置1200と、入力装置1300と、記録再生装置1400とを有している。
【0016】
コンピューター装置1100は、プリンター1、表示装置1200、入力装置1300、及び記録再生装置1400と、ケーブル等の有線または無線によりデータ通信可能に接続されている。このコンピューター装置1100は、プリンター1との間でデータの送受信を行うためのインターフェース部と、コンピューター装置1100全体の制御を行うための演算処理装置としてのCPUと、プリンタードライバー等のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するコンピューター側メモリーと、を有しており、プリンター1に印刷させようとする画像の印刷データを作成してプリンター1に出力するようになっている。
【0017】
表示装置1200は、アプリケーションプログラムやプリンタードライバー等のユーザーインターフェースを表示する。
【0018】
入力装置1300は、例えばキーボードやマウスからなり、表示装置1200に表示されたユーザーインターフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタードライバーの設定等に用いられる。
【0019】
記録再生装置1400は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置やCD−ROMドライブ装置により構成されている。
【0020】
本実施形態に係るコンピューター装置1100には、プリンタードライバーがインストールされている。このプリンタードライバーは、表示装置1200にユーザーインターフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクやCD−ROMなどの各種記憶媒体(コンピューター読み取り可能な記録媒体等)に記憶されている。または、プリンタードライバーは、インターネットなど、各種通信手段を通じてダウンロードすることも可能である。
【0021】
<プリンタードライバーについて>
図2は、プリンタードライバーが行う基本的な処理を概略的に説明する図である。
【0022】
コンピューター装置1100では、当該コンピューター装置1100に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバー1102やアプリケーションプログラム1104、プリンタードライバー1110などのコンピュータープログラムが動作している。ビデオドライバー1102は、アプリケーションプログラム1104やプリンタードライバー1110からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェース等を表示装置1200に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム1104は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム1104のユーザーインターフェースを介して、アプリケーションプログラム1104により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム1104は、印刷の指示を受けると、プリンタードライバー1110に画像データを出力する。
【0023】
プリンタードライバー1110は、アプリケーションプログラム1104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンター1に出力する。ここで、印刷データとは、プリンター1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。また、コマンドデータとは、プリンター1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する媒体上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0024】
プリンタードライバー1110は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換するために、解像度変換処理部1112と、色変換処理部1114と、ハーフトーン処理部1116と、ラスタライズ処理部1118とを備えている。以下に、プリンタードライバー1110の各処理部1112、1114、1116、1118が行う各種の処理について説明する。
【0025】
解像度変換処理部1112は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。解像度変換処理とは、例えば、媒体に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム1104から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0026】
色変換処理部1114は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する色変換処理を行う。なお、CMYKデータは、プリンター1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタードライバー1110が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0027】
ハーフトーン処理部1116は、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、例えば、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換する処理のことである。このハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンター1がドットを分散して形成できるように画素データを作成する。ハーフトーン処理部1116は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリーを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば、720dpi×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。
【0028】
ラスタライズ処理部1118は、マトリクス状の画像データを、プリンター1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これによりラスタライズ処理されたデータは、プリンター1に出力される。
【0029】
<プリンタードライバーの設定について>
プリンタードライバー1110のユーザーインターフェースについて、図3を用いて説明する。図3は、印刷モードを設定するときの設定画面の一例を示したものである。
【0030】
プリンタードライバー1110のユーザーインターフェースは、ビデオドライバー1102を介して、表示装置1200に表示される。ユーザーは、入力装置1300を用いて、印刷モード、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔。720dpi、360dpi等)、印刷に用いられる媒体の種類(普通紙、光沢紙等)、印刷する画像の種類(カラー印刷、モノクロ印刷等)など、プリンタードライバー1110の各種の設定を行うことができる。
【0031】
本実施形態においては、図3に示すように、ユーザーは、印刷モードの設定画面において、「温度調整あり」の印刷モード又は「温度調整なし」の印刷モードを選択することができる。具体的には、ユーザーは、入力装置1300を用いて、各印刷モードに対応して設けられたチェックボックスのいずれかを選択入力した後、OKボタンを押すための操作入力することにより、印刷モードを設定することができる。プリンタードライバー1110は、ユーザーにより設定された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。なお、これらの印刷モードについては、追って詳述する。
【0032】
<<<プリンター1の構成例について>>>
以下、図1、図4乃至図8を参照しながら印刷装置の一例としてのプリンター1について説明する。図4は、プリンター1のヘッド周辺の概略図である。図5は、キャリッジ21の横面の概略図である。図6A及び図6Bは、キャリッジ21とインクカートリッジ37との位置関係を示す概略図である。図7は、ヘッド31のノズルの概略図である。図8は、ヘッド31のうちのノズル群の周辺の断面図である。ここでは、図の紙面に向かう方向に複数のノズルが並ぶようなノズル群の断面を示している。また、ヘッド31の上方には加熱ユニット80の断面図を示している。
【0033】
プリンター1は、紙、フィルム等の媒体に向けて、電磁波の一例としての紫外線(以下、UV)の照射によって硬化する電磁波硬化型インクの一例としての紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を吐出することにより、媒体に画像を印刷する装置である。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。なお、本実施形態のプリンター1は、CMYKの4色のUVインクを用いて画像を印刷する。
【0034】
このプリンター1は、図1に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット10、移動部の一例としてのキャリッジユニット20、ヘッド部の一例としてのヘッドユニット30、インク供給部の一例としてのインク供給ユニット35、照射ユニット40、検出器群50、コントローラー60、及び加熱部の一例としての加熱ユニット80を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、インク供給ユニット35、照射ユニット40、加熱ユニット80)を制御する。コントローラー60は、コンピューター装置1100から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0035】
搬送ユニット10は、媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット10は、図5に示すように、給紙ローラー(不図示)と、搬送ローラー13と、プラテン14と、排紙ローラー15とを有する。給紙ローラーは、紙挿入口に挿入された媒体をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー13は、給紙ローラーによって給紙された媒体を印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーターによって駆動される。プラテン14は、印刷中の媒体を支持する。排紙ローラー15は、媒体をプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0036】
キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター(不図示)とを有する。キャリッジ21は、図4及び図5に示すように、後述するヘッド31、仮硬化用照射部41、42及び加熱ユニット80を備えており、当該ヘッド31、仮硬化用照射部41、42及び加熱ユニット80を移動方向に移動させるためのものである。
【0037】
すなわち、キャリッジ21は、キャリッジモーターによって駆動されて移動方向に移動する。そして、キャリッジ21の当該移動により、当該キャリッジ21に設けられたヘッド31、仮硬化用照射部41、42及び加熱ユニット80も移動することとなる。なお、キャリッジ21は、図4乃至図6Bに示すように、移動方向に沿ったガイド軸24に支持されており、ガイド軸24に沿って往復移動する。
【0038】
ヘッドユニット30は、複数のノズルを有するヘッド31を備える。このヘッド31は、媒体にUVインクを吐出するものである。ヘッド31は、キャリッジ21に設けられているため、キャリッジ21が前記移動方向に移動すると、ヘッド31も前記移動方向に移動する。そして、ヘッド31が前記移動方向に移動しながらUVインクを断続的に吐出することによって、前記移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が媒体に形成される。なお、以下、ヘッド31の移動について、図4の一端側から他端側に向かって移動することを往動と呼び、他端側から一端側に移動することを復動と呼ぶ。本実施形態では、往動の期間中及び復動の期間中にUVインクの吐出が行われる。すなわち、本実施の形態に係るプリンター1は双方向印刷を行う。
ヘッド31の下面にはUVインクを吐出するための複数のノズルが設けられている。本実施形態のヘッド31は、図7に示すように、CMYKのインク色毎に複数のノズルを有する。複数のノズルは、一定のノズルピッチで、前記搬送方向に並んでいる。このようにヘッド31には、CMYK4色分のノズル列Nc、Nm、Ny、Nkが形成されている。
【0039】
本実施形態では、各ノズル列には、搬送方向に並ぶ180個のノズルがノズルピッチD(例えば360dpi)で設けられている。また、各ノズル列のノズルには、搬送方向下流側のノズルほど若い番号が付されている。各ノズルには、各ノズルからUVインクを吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。このピエゾ素子を駆動信号によって駆動させることにより、前記各ノズルから滴状のUVインクが噴射される。吐出されたUVインクは、媒体に着弾してドットを形成する。なお、ヘッドユニット30の詳細については後述する。
【0040】
インク供給ユニット35は、インクカートリッジ37を有する。このインクカートリッジ37は、UVインクを貯留しており、ヘッド31によるUVインクの吐出に起因してヘッド31内のUVインクの量が減った際に、ヘッド31へUVインクを供給(補給)する役割を果たす。インクカートリッジ37は、本実施の形態においては、図6A及び図6Bに示すように、プリンター1の筐体1aの前記移動方向における中央部に着脱可能に設けられている。なお、図を分かり易くするために、図6A及び図6Bには、一つのインクカートリッジ37のみが表されているが、インクカートリッジ37は、UVインクの色毎に設けられている(本実施の形態においては、CMYKの4色なので、4つのインクカートリッジ37が存在する)。
【0041】
照射ユニット40は、媒体に着弾したUVインクに向けてUVを照射するものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより、硬化する。本実施形態の照射ユニット40は、ヘッド31により吐出された媒体上のUVインクにUVを照射して、UVインクを仮硬化させる仮硬化用照射部41、42と前記媒体上のUVインクにUVを照射して、UVインクを本硬化させる本硬化用照射部43とを備えている。なお、仮硬化とは、媒体に着弾したUVインクの流動(ドットの広がり)を抑えるためのものであり、本硬化とは、UVインクを完全に硬化させるためのものである。仮硬化用照射部41、42及び本硬化用照射部43は、それぞれ媒体に向けてUVを照射するための光源を備えている。
【0042】
仮硬化用照射部41、42は、図4に示すように、それぞれキャリッジ21に搭載されている。仮硬化用照射部41は、キャリッジ21の前記移動方向の一端側に設けられ、仮硬化用照射部42は、キャリッジ21の前記移動方向の他端側に設けられている。したがって、キャリッジ21の移動に伴って、ヘッド31と仮硬化用照射部41、42とは一体的に移動方向に移動する。換言すると、ヘッド31の各色のノズル列が往復移動する際、仮硬化用照射部41、42は、各色のノズル列に対する相対位置を維持しながら往復移動する。この際に仮硬化用照射部41、42から、媒体に向けてUVが照射される。具体的には、往動の期間には仮硬化用照射部41からUVが照射され、復動の期間には仮硬化用照射部42からUVが照射される。このように仮硬化は、ヘッド31が前記移動方向に移動する期間に行われるものであり、ドットを形成するのと同じパスにおいて行なわれる。
【0043】
本硬化用照射部43は、ヘッド31よりも搬送方向下流側に設けられており、前記移動方向の長さが印刷対象となる媒体の幅よりも長くなっている。そして、本硬化用照射部43は、移動することなく媒体に向けてUVを照射する。この構成により、パスによってドットの形成された媒体が、搬送動作によって本硬化用照射部43の下まで搬送されると、本硬化用照射部43によるUVの照射を受けるようになっている。
【0044】
なお、本硬化用照射部43による照射は、パス(インク吐出)と搬送を交互に行なう搬送によって媒体が本硬化用照射部43に達したら行なわれてもよいし、本硬化用照射部43がより搬送方向下流にあり、1頁などの所定の印刷が完了した後に媒体を排出する搬送動作によって媒体が本硬化用照射部43に達したら行なわれてもよい。
【0045】
なお、本実施形態では、仮硬化用照射部41、42の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いている。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射量を容易に変更することが可能である。また、本硬化用照射部43の光源としては、ランプ(メタルハライドランプ、水銀ランプなど)を用いている。
【0046】
加熱ユニット80は、ノズル列ごとに設けられており、ノズル列に属する各ノズルに供給されるUVインクを目標温度の範囲内に加熱するものである。この加熱ユニット80は、図8に示すように、加熱体の一例としてのヒーター81と、UVインクが流れる流路となる加熱用流路部82と、を有している。本実施形態に係る加熱ユニット80は、図5に示すように、キャリッジ21に設けられているため、キャリッジ21が前記移動方向に移動すると、加熱ユニット80も前記移動方向に移動する。
【0047】
ヒーター81は、加熱用流路部82の近傍に配置されたニクロム線を有している。そして、ヒーター81は、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、加熱用流路部82内のUVインクに熱を伝導させることができる。
【0048】
加熱用流路部82は、インク供給用チューブ72から受け取ったUVインクをヘッド31へと送る役割を果たす。すなわち、加熱用流路部82を流れるUVインクは、ヒーター81によって目標温度の範囲内に加熱された後にヘッド31へ送られることになる。
【0049】
検出器群50には、リニア式エンコーダー、ロータリー式エンコーダー、紙検出センサー、光学センサー等が含まれる。リニア式エンコーダーは、キャリッジ21の前記移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダーは、搬送ローラー13の回転量を検出する。紙検出センサーは、給紙中の媒体の先端の位置を検出する。光学センサーは、キャリッジ21に取付けられている発光部と受光部により、媒体の有無を検出する。そして、光学センサーは、キャリッジ21によって移動しながら媒体の端部の位置を検出し、媒体の幅を検出することができる。また、光学センサーは、状況に応じて、媒体の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0050】
また、検出器群50には、ヘッド31内に貯留されるUVインクの温度を検出する温度センサー51が含まれる。
【0051】
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65(駆動信号生成部)を有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター装置1100とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。駆動信号生成回路65は、共通駆動信号COMを生成する。この共通駆動信号COMは、本体側(コントローラー60)からヘッド側(ヘッドユニット30)へ送信される。
【0052】
<<<ヘッドユニット30について>>>
<ヘッド31の構成>
ヘッド31は、図8に示すように、駆動ユニット32と、駆動ユニット32を収納するためのケース33と、ケース33に装着される流路ユニット34とを備えている。
【0053】
駆動ユニット32は、複数のピエゾ素子321によって構成されるピエゾ素子群と、このピエゾ素子群が固定される固定板323と、各ピエゾ素子321に給電するためのフレキシブルケーブル324とを有している。各ピエゾ素子321は、所謂片持ち梁の状態で固定板323に取り付けられている。固定板323は、ピエゾ素子321からの反力を受け止め得る剛性を備えた板状部材である。フレキシブルケーブル324は、可撓性を有するシート状の配線基板であり、固定板323とは反対側となる固定端部の側面でピエゾ素子321と電気的に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル324の表面には、ピエゾ素子321の駆動等を制御するための制御用ICであるヘッド制御部HCが実装されている。このヘッド制御部HCは、ノズル列毎にそれぞれ設けられる。なお、ヘッド制御部HCの詳細については後述する。
【0054】
ケース33は、駆動ユニット32を収納可能な収納空部331を有する直方体ブロック状の外形である。このケース33の先端面には上記の流路ユニット34が接合される。この収納空部331は、駆動ユニット32が丁度嵌合可能な大きさである。また、このケース33には、インク供給路332も形成されている。インク供給路332は、温調用流路部82内においてヒーター81によって目標温度の範囲内に調整されたUVインクをリザーバ341cに供給するための供給路である。
【0055】
流路ユニット34は、流路形成基板341と、ノズルプレート342と、弾性板343とを有し、流路形成基板341がノズルプレート342と弾性板343に挟まれるようにそれぞれを積層して一体的に構成される。ノズルプレート342は、ノズルが形成されたステンレス鋼製の薄いプレートである。図7に示すように、2つのノズル列は互いに移動方向に並んで形成されている。流路形成基板341には、圧力室341a及びインク供給口341bとなる空部が各ノズルに対応して複数形成される。リザーバ341cは、インクカートリッジに貯留されたUVインクを各圧力室341aに供給するための液体貯留室であり、インク供給口341bを通じて対応する圧力室341aの他端と連通している。そして、インクカートリッジからのUVインクは、加熱ユニット80を経由してインク供給路332に流入し、このインク供給路332を通ってリザーバ341c内に導入されるようになっている。また、リザーバ341cの近傍には温度センサー51が設けられている。この温度センサー51は、ヘッド内のUVインクの温度を検出するものである。
【0056】
駆動ユニット32は、ピエゾ素子321の自由端部を流路ユニット34側に向けた状態で収納空部331内に挿入され、この自由端部の先端面が対応する島部343aに接着される。また、固定板323の背面が収納空部331を区画するケース33の内壁面に接着される。この収納状態でフレキシブルケーブル324を介してピエゾ素子321に駆動信号を供給すると、ピエゾ素子321は伸縮して圧力室341aの容積を膨張・収縮させる。このような圧力室341aの容積変化により、圧力室341a内のインクには圧力変動が生じる。そして、このインク圧力の変動を利用することでノズルからインク滴を吐出させることができる。
【0057】
<ヘッド制御部HC>
(ヘッド制御部HCの動作)
図9は、ヘッド制御部HCのブロック図であり、図10は、各信号のタイミングの説明図である。
【0058】
ヘッド制御部HCは、ノズル列それぞれに対応して設けられている。このヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ91Aと、第2シフトレジスタ91Bと、第1ラッチ回路92Aと、第2ラッチ回路92Bと、デコーダー93と、制御ロジック94と、スイッチ96を備えている。そして、制御ロジック94を除いた各部(すなわち、第1シフトレジスタ91A、第2シフトレジスタ91B、第1ラッチ回路92A、第2ラッチ回路92B、デコーダー93、スイッチ96)は、それぞれピエゾ素子321毎に設けられる。なお、ピエゾ素子321は、ノズルからインクを吐出するために駆動される素子(駆動素子)であり、ヘッド31においてノズル毎に設けられている。
【0059】
ヘッド制御部HCには、共通駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、画素データSI、クロック信号CLKが入力される。以下、これらの信号について説明する。
【0060】
駆動信号COMは、繰り返し周期T毎に繰り返し生成される。この繰り返し周期Tは、キャリッジ21が所定距離移動するために要する時間である。このように、キャリッジ21が所定距離移動する毎に、同じ波形COMが駆動信号生成回路65から繰り返し生成される。そして、この共通駆動信号COMは、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成される第1波形部SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で生成される第3波形部SS13とを有する。ここで、第1波形部SS11は駆動パルスPS1を有している。また、第2波形部SS12は駆動パルスPS2を、第3波形部SS13は駆動パルスPS3をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1、駆動パルスPS2及び駆動パルスPS3は、後で詳述する大ドットの形成時にピエゾ素子321へ印加されるものであり、互いに同じ波形をしている。また、駆動パルスPS1と駆動パルスPS2は、後で詳述する中ドットの形成時にも、ピエゾ素子321へ印加されるものである。また、駆動パルスPS1は、後で詳述する小ドットの形成時にも、ピエゾ素子321へ印加されるものである。なお、駆動パルスがピエゾ素子321に印加されない場合は、インクが噴射されない(ドットが形成されない)。
【0061】
この駆動信号COMは、ピエゾ素子321毎に設けられたスイッチ96にそれぞれ入力されている。スイッチ96は、駆動信号COMをピエゾ素子321に印加するか否かのオン/オフ制御を行う。このオン/オフ制御により、駆動信号COMの一部分を、選択的にピエゾ素子321へ印加させることができ、これにより、ドットの大きさを変更することができる。このように、各波形部は、ピエゾ素子321へ印加される一単位である。
【0062】
ラッチ信号LATは、繰り返し周期T(1画素の区間をヘッド31が移動する期間)を示す信号である。すなわち、ラッチ信号LATは、キャリッジ21が所定距離移動する毎に出力されるリニア式エンコーダーの信号に基づいて、コントローラー60によって生成され、制御ロジック94とラッチ回路(第1ラッチ回路92A、第2ラッチ回路92B)に入力される。
【0063】
チェンジ信号CHは、繰り返し周期Tを3等分した期間を示す信号である。チェンジ信号CHは、リニア式エンコーダーの信号に基づいてコントローラー60によって生成され、制御ロジック94に入力される。
【0064】
画素データSIは、画素毎の階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)を示す信号である。この画素データは、1個のノズルに対して2ビットずつで構成されている。例えば、ノズル数が180個の場合、2ビット×180の画素データSIが繰り返し周期T毎にコントローラー60から送られてくることになる。なお、画素データSIは、第1シフトレジスタ91A及び第2シフトレジスタ91Bに入力される。
【0065】
クロック信号CLKは、コントローラー60から送られる画素データSIを、各シフトレジスタ(第1シフトレジスタ91A、第2シフトレジスタ91B)にセットする際に用いられる信号である。
【0066】
次に、ヘッド制御部HCで生成される信号について説明する。ヘッド制御部HCでは、選択信号q0〜q3、スイッチ制御信号SW、印加信号が生成される。
【0067】
選択信号q0〜q3は、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHに基づいて、制御ロジック94で生成される。そして生成された選択信号q0〜q3は、ピエゾ素子321毎に設けられたデコーダー93にそれぞれ入力される。
【0068】
スイッチ制御信号SWは、各ラッチ回路(第1ラッチ回路92A、第2ラッチ回路92B)にラッチされた画素データ(2ビット)に基づいて、選択信号q0〜q3の何れかがデコーダー93によって選択されたものである。各デコーダー93で生成されたスイッチ制御信号SWは、対応するスイッチ96にそれぞれ入力される。
【0069】
印加信号は、共通駆動信号COMとスイッチ制御信号に基づいてスイッチ96から出力される。この印加信号は、各スイッチ96と対応するピエゾ素子321にそれぞれ印加される。
【0070】
(画素データとドットの関係)
まず、ドットの非形成の場合(画素データSIがデータ[00]の場合)について説明する。画素データ[00]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信号q0が出力される。選択信号q0は、画素データSIが[00]であるノズルに対し、任意の時点で、スイッチ96をオンするかオフするかを示す信号で、制御ロジック94が出力するが、制御ロジック94は、ラッチ信号LATかチェンジ信号CHのパルスごとに(予め定められたとおりに)値が規定される(なお、選択信号q1〜q3も同様である)。これにより、期間Tにおいてスイッチ96がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号COMの駆動パルスはピエゾ素子321へ印加されない。この場合、ノズルからはインク滴は吐出されない。
【0071】
次に、小ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[01]の場合)について説明する。画素データ[01]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信号q1が出力される。これにより、期間T11においてスイッチ96がオン状態になり、期間T12及び期間T13においてスイッチ96がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1がピエゾ素子321へ印加され、ノズルからは小ドットに対応する量のインク滴が噴射される。
【0072】
次に、中ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[10]の場合)について説明する。画素データ[10]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信号q2が出力される。これにより、期間T11及び期間T12においてスイッチ96がオン状態になり、期間T13ではスイッチ96がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波形部SS12が有する駆動パルスPS2がピエゾ素子321へ印加され、ノズルからは中ドットに対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射される
次に、大ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[11]の場合)について説明する。画素データ[11]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信号q3が出力される。これにより、期間T11、期間T12及び期間T13においてスイッチ96はオン状態になる。この結果、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波形部SS12が有する駆動パルスPS2と、共通駆動信号COMの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3とがピエゾ素子417へ順に印加され、ノズルからは大ドットに対応する量のインク滴(大インク滴)が吐出される。
【0073】
<<<印刷モードについて>>>
本実施形態に係るプリンター1にあっては、印刷モードとして、「温度調整なし」の印刷モードと、「温度調整あり」の印刷モードとを備えている。
【0074】
「温度調整なし」の印刷モードは、印刷画質よりも印刷処理を開始することを優先するモードであって、電源投入直後や待機状態にあるとき等に、UVインクの温度が目標とする温度範囲に達していなくても速やかに印刷を行うためのモードである。
【0075】
従来のプリンターでは、電源投入直後や待機状態にあるとき等に、コンピューター装置からの印刷ジョブを受信した場合であっても、ノズルから吐出されるUVインクが温まるまで印刷を開始することができなかった。これは、プリンター1において印刷を長い期間停止すると、ノズルに連通する圧力室341aなどに充填されたUVインクの温度が低下することによってインク粘度が高くなり、ノズルからUVインクが正常に吐出されなくなるためである。
【0076】
しかしながら、この「温度調整なし」の印刷モードを実行すれば、後述する「温度調整あり」の印刷モードを実行するときよりも印刷画質が低下するものの、ヘッド内に充填されたUVインクが温まるまで待つことなく速やかに印刷を行うことが可能となる。このことから、「温度調整なし」の印刷モードを設定することにより、UVインクが温まるまでの待ち時間を、試し刷り印刷や、ノズルチェック用のテストパターン印刷などを行う時間として有効利用することが可能となる。
【0077】
これに対して、「温度調整あり」の印刷モードは、ノズルから吐出されるUVインクの温度が目標温度の範囲内になるまで待ってから、通常の印刷処理を実行するモードである。この「温度調整あり」の印刷モードでは、ヘッド内のUVインクが充分に温められた状態になっていることから、適正な粘度のUVインクがノズルから吐出され、吐出不良を発生させることはない。このため、インクが温まるまでの待ち時間が生じるものの、「温度調整なし」の印刷モードを実行するときよりも印刷画質を向上させることができる。
【0078】
<<<プリンター1の動作について>>>
図11は、プリンター1の動作を説明するためのフローチャートである。図12は、プリンター1が受け付けた印刷ジョブとプリンター1の印刷順序との関係を説明するための図である。
【0079】
先ず、コントローラー60は、図11に示すように、温度センサー51によって検出された検出温度を取得し、当該検出温度と予め設定した目標温度とを比較する(S101)。
【0080】
次いで、コントローラー60は、温度センサー51の検出温度が目標温度の範囲内である場合には(S101:YES)、「温度調整あり」の印刷モードによる印刷処理を開始する(S102)。すなわち、コントローラー60は、図12に示すように、ジョブナンバーの小さいものから順番に(印刷ジョブを受け付けた順番に)印刷処理を実行する。なお、この印刷処理については追って具体的に説明する。
【0081】
一方で、コントローラー60は、温度センサー51の検出温度が目標温度の範囲外である場合には(S101:NO)、RAMに記憶された複数の印刷ジョブを参照することにより、受け付けた印刷ジョブの中に「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブが存在するか否か判定する(S103)。
【0082】
「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブが存在しない場合には(S103:NO)、コントローラー60は、ノズルから吐出されるUVインクを加熱ユニット80に加熱させることにより、当該UVインクの温度が目標温度の範囲内になるまで待機する(S104)。
【0083】
一方で、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブが存在する場合には(S103:YES)、コントローラー60は、ユーザーに対してメッセージ等の通知を行う(S105)。具体的には、コントローラー60は「温度調整なし」の印刷モードで印刷を行う旨の信号をコンピューター装置1100へ送信し、コンピューター装置1100はその旨の信号に対応するメッセージを表示装置1200に表示させる。
【0084】
次いで、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードで印刷を行うことに対してユーザーによる承認があったか判定する(S106)。具体的には、表示装置1200に表示されたメッセージを確認したユーザーが、入力装置1300を用いて「温度調整なし」の印刷モードで印刷を行うことを許可する旨の操作入力を行うと、その旨の信号がコンピューター装置1100からプリンター1へ送信される。コントローラー60は、かかる信号に基づいて判定を行なう。
【0085】
当該ユーザーによる承認が得られなかったときは(S106:NO)、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードをキャンセルし、ノズルから吐出されるUVインクを加熱ユニット80に加熱させることにより、当該UVインクの温度が目標温度の範囲内になるまで待機する(S104)。
【0086】
一方で、当該ユーザーによる承認が得られたときは(S106:YES)、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードによる印刷処理を実行する(S107)。すなわち、コントローラー60は、図12に示すように、受け付けた複数の印刷ジョブのうち、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブについて、他の印刷ジョブよりも優先して印刷処理を行う。すなわち、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブがジョブナンバー3、4に対応する印刷ジョブであることから、ジョブナンバー3、4の印刷ジョブについて優先して印刷処理を行い、その後にUVインクが温まるのを待ってから、ジョブナンバー1、2、5の印刷ジョブについて順次に印刷処理を実行する。なお、この印刷処理については追って具体的に説明する。
【0087】
<印刷処理>
次いで、プリンター1の印刷動作について説明する。
本実施の形態に係るプリンター1は、所謂インターレース印刷を実行する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいてインターレース印刷を行なう際、プリンター1の各ユニットに以下の処理を行わせる。
【0088】
まず、コントローラー60は、給紙ローラーを回転させ、印刷すべき媒体を搬送ローラー13の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター(不図示)を駆動させることによって搬送ローラー13を回転させる。搬送ローラー13が所定の回転量にて回転すると、媒体は所定の搬送量にて搬送される。
【0089】
媒体がヘッド31の下部まで搬送されると、コントローラー60は、キャリッジユニット20を制御することにより、キャリッジモーターを回転させる。このキャリッジモーターの回転に応じて、キャリッジ21が前記移動方向に移動(具体的には、往動)する。また、キャリッジ21が移動することによって、キャリッジ21に設けられたヘッド31及び仮硬化用照射部41、42も前記移動方向に移動する。コントローラー60は、ヘッド31及び仮硬化用照射部41、42が移動(往動)している間に、ヘッド31に目標温度に近づけたインク滴を断続的に吐出させ、仮硬化用照射部41にUV照射を行なわせる(仮硬化用照射部42からのUV照射は行なわれない)。すなわち、コントローラー60は、キャリッジユニット20、ヘッド31、仮硬化用照射部41を制御することにより、ヘッド31を媒体に対して移動(往動)させながら、目標温度に近づけたUVインクを媒体に吐出する吐出動作をヘッド31に実行させ、かつ、仮硬化用照射部41を媒体に対して移動(往動)させながら、媒体上のUVインクにUVを照射する照射動作を仮硬化用照射部41に実行させる。
【0090】
そして、この1パス目のUVインク吐出動作及び照射動作により、前記移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。
【0091】
次に、コントローラー60は、搬送ユニット10を制御して、搬送モーターを駆動させる。搬送モーターは、コントローラー60からの指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーターは、この駆動力を用いて搬送ローラー13を回転させる。搬送ローラー13が所定の回転量にて回転すると、媒体は所定の搬送量にて搬送される。
【0092】
次に、コントローラー60は、キャリッジユニット20を制御することにより、キャリッジモーターを回転させる。このキャリッジモーターの回転に応じて、キャリッジ21が前記移動方向に移動(具体的には、復動)する。また、キャリッジ21が移動することによって、キャリッジ21に設けられたヘッド31及び仮硬化用照射部41、42も前記移動方向に移動する。コントローラー60は、ヘッド31及び仮硬化用照射部41、42が移動(復動)している間に、ヘッド31に目標温度に近づけたインク滴を断続的に吐出させ、仮硬化用照射部42にUV照射を行なわせる(仮硬化用照射部41からのUV照射は行なわれない)。すなわち、コントローラー60は、キャリッジユニット20、ヘッド31、仮硬化用照射部42を制御することにより、ヘッド31を媒体に対して移動(復動)させながら、目標温度に近づけたUVインクを媒体に吐出する吐出動作をヘッド31に実行させ、かつ、仮硬化用照射部42を媒体に対して移動(復動)させながら、媒体上のUVインクにUVを照射する照射動作を仮硬化用照射部42に実行させる。
【0093】
そして、この2パス目のUVインク吐出動作及び照射動作により、前記移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。
【0094】
以降、コントローラー60は、媒体の搬送と、(3パス以降の)UVインクの吐出及びUVインクへの仮硬化処理と、を繰り返し、媒体の各画素にドットを形成していく。
【0095】
なお、搬送ユニット10により媒体が搬送されて、媒体上のドット(UVインク)が本硬化用照射部43の下部に至ると、コントローラー60が本硬化用照射部43を制御し、本硬化用照射部43によりUVインクにUVインクが照射される。そして、このことにより、UVインクの本硬化が行なわれる。
そして、印刷の終わった媒体は、排紙ローラーによって、排出される。
【0096】
<<<本実施の形態に係るプリンター1の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係るプリンター1は、UVインクを吐出するノズルと、前記UVインクの温度を検出する温度センサー51と、受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルからUVインクを吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラー60であって、前記UVインクの温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う「温度調整なし」印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記温度センサー51の検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行するコントローラー60と、を備えている。そして、このことにより、プリンター1は、電源投入直後や待機状態にあるとき等に、コンピューター装置1100からの印刷ジョブを受信した場合であっても、インク粘度が高いUVインクを強制的に吐出させることができるため、ヘッド内に充填されたUVインクが温まるまで待つことなく速やかに印刷を行うことが可能となる。
【0097】
また、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブは、ノズルチェック用のテストパターンを印刷する印刷ジョブであることとしてもよい。このため、「温度調整なし」の印刷モードを設定することにより、UVインクが温まるまでの待ち時間を、ノズルチェック用のテストパターンを印刷する時間として有効利用することが可能となる。
【0098】
また、詳細については後述するが、前記ノズルに対応して設けられ、駆動波形を有する駆動信号COMが印加されることによって駆動するピエゾ素子321と、前記駆動信号COMを生成する駆動信号生成回路65と、を有し、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、「温度調整なし」の印刷モードが設定されていない印刷ジョブを受け付けた場合の駆動波形とは異なる駆動波形を有する駆動信号COMを、駆動信号生成回路65に生成させるようにしてもよい。このため、駆動波形を変えることによって、粘性の高いUVインクを強制的に吐出させることができるようになるため、「温度調整なし」の印刷モードを実行した場合であっても、印刷画質をなるべく良くすることができる。
【0099】
また、コントローラー60は、「温度調整なし」の印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、ユーザーからの指示入力があった後に印刷処理を実行するようにしてもよい。このため、ユーザーの意向に関わらず自動的に印刷処理が開始されることを回避することができる。
【0100】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として印刷装置について記載されているが、印刷方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0101】
<印刷装置>
上記の実施形態においては、印刷装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する印刷装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の印刷装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、印刷装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。印刷装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する印刷装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する印刷装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する印刷装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する印刷装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する印刷装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する印刷装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の印刷装置に本発明を適用することができる。
【0102】
<駆動信号>
上記の実施形態においては、「温度調整なし」の印刷モードを実行する場合と「温度調整あり」の印刷モードを実行する場合のいずれにおいても、同じ駆動波形を持つ駆動信号COMが駆動信号生成回路65により生成される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、駆動信号生成回路65は、「温度調整なし」の印刷モードを実行する場合に使用する駆動波形が「温度調整あり」の印刷モードを実行する場合の駆動波形と異なるように駆動信号COMを形成してもよい。
【0103】
具体的には、図13に示すように、「温度調整なし」の印刷モードを実行する場合の最高電位をVH1とし、「温度調整あり」の印刷モードを実行する場合の最高電位をVH2とする。そして、最高電位VH1をVH2よりも大きくすることで、中間電位Vcから最高電位VH1までの電圧変化が大きくなり、強い力で圧力室341aを膨張させることができる。また、最高電位VH1から最低電位VLまでの電圧変化が大きくなり、強い力で圧力室341aを収縮させることができる。その結果、強い力でノズルからUVインクが噴射されるようになるため、「温度調整なし」の印刷モードにおいてノズルから噴射され難い高粘度のUVインクであっても噴射させ易くすることができる。
【0104】
また、図13に示すように、「温度調整なし」の印刷モードの駆動波形について、電圧上昇時の傾斜角を緩やかにすることで、圧力室341aをゆっくりと膨張させることもできる。これにより、「温度調整なし」の印刷モードにおいて、ノズルから高粘度のUVインクを吐出する場合であっても、メニスカスを壊さないように維持することが可能となる。
【0105】
また、図13に示すように、「温度調整なし」の印刷モードの駆動波形について、電圧下降時の傾斜角を急にすることで、圧力室341aを急速に収縮させることもできる。これにより、高粘度のUVインクを急速に押出してインク滴を勢いよく飛ばすことが可能となる。
【0106】
<「温度調整なし」の印刷モード>
上記の実施形態に係る「温度調整なし」の印刷モードにおいて、さらに高速で印刷処理を実行するために、「温度調整あり」の印刷モードにより印刷されるときの画像の一部を省いて印刷処理を実行するようにしてもよい。つまり、「温度調整あり」の印刷モードの印刷画像を所定の割合で間引きする「ドラフト印刷」を実行するようにしてもよい。これにより、印刷速度を飛躍的に向上させて、印刷処理をより高速で実行することができる。
【0107】
なお、このドラフト印刷を行う場合には、「温度調整あり」の印刷モードに比べて、形成するラスタラインの本数が少ないことから、「温度調整なし」の印刷モードにて設定される解像度は、「温度調整あり」の印刷モードに対応する解像度に比べて低いことになる。
【符号の説明】
【0108】
1 プリンター、1a 筐体、10 搬送ユニット、
13 搬送ローラー、14 プラテン、15 排紙ローラー、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、
21a 一端部、21b 他端部、
24 ガイド軸、30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
35 インク供給ユニット、37 インクカートリッジ、
40 照射ユニット、41 仮硬化用照射部、
42 仮硬化用照射部、43 本硬化用照射部、
50 検出器群、51 温度センサー、
60 コントローラー、61 インターフェース部、
62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成回路、72 インク供給用チューブ、
80 加熱ユニット、81 ヒーター、82 加熱用流路部、
1000 印刷システム、1100 コンピューター装置、
1200 表示装置、1300 入力装置、
1400 記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記液体の温度を検出する温度センサーと、
受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーであって、
前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行するコントローラーと、
を備えたとことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷モードが設定された印刷ジョブは、ノズルチェック用のテストパターンを印刷する印刷ジョブであることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
前記ノズルに対応して設けられ、駆動波形を有する駆動信号が印加されることによって駆動する駆動素子と、
前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
を有し、
前記コントローラーは、前記印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、前記印刷モードが設定されていない印刷ジョブを受け付けた場合の駆動波形とは異なる駆動波形を有する駆動信号を、前記駆動信号生成部に生成させることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記コントローラーは、前記印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合には、ユーザーからの指示入力があった後に前記印刷処理を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
液体を吐出するノズルと、前記液体の温度を検出する温度センサーと、受け付けた複数の印刷ジョブのそれぞれに応答して前記ノズルから液体を吐出して印刷を行う印刷処理を実行するコントローラーと、を備えた印刷装置を準備することと、
前記コントローラーが、前記液体の温度が予め設定した目標温度の範囲外であっても印刷を行う印刷モードが設定された印刷ジョブを受け付けた場合、前記温度センサーの検出温度が前記目標温度の範囲外のときに、前記印刷処理を実行することと、
を有することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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