説明

印刷装置

【課題】仕分け専用の装置を使用することなく、印刷時間の短縮を図りながら用紙の仕分けを容易に行える印刷装置を提供する。
【解決手段】1版分の長さ内に片面印刷用の画像が製版されたマスタ14を印刷ドラム11に巻装し、押圧部材12で印刷用紙を印刷ドラムに押圧してその片面に印刷する片面印刷と、1版分の長さ内に第1の画像と第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムに巻装し、押圧部材で印刷用紙を印刷ドラムに押圧してその表面に印刷し、表面印刷された印刷用紙を反転再給紙部から給紙してその裏面に印刷を行う両面印刷とが可能な印刷装置において、異なるサイズの印刷用紙をそれぞれ備えて給紙可能な複数の給紙部401〜403と、片面印刷と両面印刷の動作を制御するとともに、製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なるサイズの用紙を仕分け時期に給紙するように給紙部を選択する制御手段30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙の両面に印刷可能な印刷装置に関し、特にサイズの異なる印刷用紙を収納した複数の給紙部を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
製版部を備えた印刷装置では、製版部により1版分の長さ内に第1の画像と第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で印刷用紙を印刷ドラムの外周面に押圧し、用紙片面に印刷する片面印刷と、片面印刷された印刷用紙を反転再給紙部から再給紙してその他面にも印刷を行う両面印刷が可能なものが、多数提案されている。
このような印刷装置を含む画像形成装置では、画像形成した用紙を排紙トレイに排出して積載するが、排紙時に仕分けを行うものがある。一般に仕分けを行う場合には、画像形成装置のオプションとして、仕分けユニット、仕分け用テープマーカー、ソータユニット等の画像形成装置とは個別な仕分け装置を取り付けて、仕分けを行っている。このような仕分け装置を備えたものとしては、例えば特許文献1,2が挙げられる。また、特許文献3には、画像形成機能毎に作像色を変更することで仕分けを行う構成が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−50159号公報
【特許文献2】特公平7−5213号公報
【特許文献3】特開2001−94718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の仕分け装置は、画像形成装置に対してオプションで後付けするため、画像形成装置と別途に費用がかかり、コストアップになるとともに、仕分け装置の分だけ装置全体が大型化することが否めない。また、仕分けユニット、テープマーカーを使用する場合、仕分け時に画像形成動作(印刷動作)を停止し仕分けを行うため、画像形成(印刷終了)までに時間を要してしまう。
特許文献3のように、画像形成機能毎に作像色を変更する場合には、特許文献1,2のような仕分け装置を必要としないが、作像色を変更しても、それらが排紙トレイ上で積載されてしまうと、色の変化している場所を見つけるには積載されている用紙束を崩さなければ仕分けすることができないので、仕分け作業が煩雑になってしまう。
本発明は、仕分け専用の装置を使用することなく、印刷時間の短縮を図りながら用紙の仕分けを容易に行える印刷装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、製版部により1版分の長さ内に片面印刷用の画像が製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で印刷用紙を前記印刷ドラムに押圧してその片面に印刷する片面印刷と、製版部により1版分の長さ内に第1の画像と第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、押圧部材で印刷用紙を印刷ドラムに押圧してその表面に印刷し、表面印刷された印刷用紙を反転再給紙部から給紙してその裏面に印刷を行う両面印刷とが可能な印刷装置において、異なるサイズの印刷用紙をそれぞれ備えて給紙可能な複数の給紙部と、片面印刷と両面印刷の動作を制御するとともに、マスタに製版する製版サイズに合わせて使用する用紙サイズとは異なるサイズの用紙を仕分け時期に給紙するように、給紙部を選択し、選択した給紙部の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の印刷装置において、仕分け時期は、片面印刷終了後に新たにマスタを製版して片面印刷を行うときであり、制御手段は、新たに製版したマスタの版付け時に、片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、両面印刷を実行することを実行することを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1記載の印刷装置において、仕分け時期は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して片面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後であり、制御手段は、1つのクラスに対する印刷終了後に片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる両面印刷を実行することを特徴としている。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1記載の印刷装置において、仕分け時期は、両面印刷終了後に新たにマスタを製版して両面印刷を行うときであり、制御手段は、前記新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して片面印刷を実行することを特徴としている。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1記載の印刷装置において、仕分け時期は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して両面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後であり、制御手段は、1つのクラスに対する印刷終了後に両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる片面印刷を実行することを特徴としている。
【0010】
請求項6の発明は、請求項2または3記載の印刷装置において、制御手段が、最小で片面印刷に用いるサイズの1/2の印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴としている。
【0011】
請求項7の発明は、請求項2または3記載の印刷装置において、制御手段が最小で片面印刷に用いる製版画像面積の1/2の印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴としている。
【0012】
請求項8の発明は、請求項4または5記載の印刷装置において、制御手段が、最小で片面印刷に用いるサイズと表面又は片面印刷に用いる製版画像面積の用紙搬送方向への面積幅のサイズの印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴としている。
【0013】
請求項9の発明は、請求項4または5記載の印刷装置において、制御手段が、新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙する給紙部のうち、両面印刷時とは異なる種類の印刷用紙を給紙する給紙部を選択し、当該給紙部を作動することを特徴としている。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1ないし9の何れかに記載の印刷装置において、仕分け時期に給紙する印刷用紙のサイズが印刷時よりも小さい場合に、印刷終了後に作動する警告手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷に用いるサイズと異なるサイズの印刷用紙をそれぞれ備えて給紙可能な複数の給紙部を選択して、マスタに製版する製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なるサイズの用紙を仕分け時期に給紙するので、この異なるサイズの印刷用紙に対して版付けが行われて排紙されることになり、版付け用紙を仕切り部材としても機能させることができる。このため、従来のように、仕分け専用の装置を使用しなくても仕分けを行えるので、装置の大型化を押えながら低コストで仕分けを行えるとともに、仕分けのために印刷動作を停止する必要も無くなり印刷時間を短縮することができる。仕分けに用いる印刷用紙は、印刷時とは異なるサイズの用紙なので、仕切り箇所を明確にすることができ、印刷された用紙の仕分けを容易に行える。また、仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷終了後に給紙されて版付けに用いられるので、仕分けのために新規な印刷用紙Pを用いる場合よりも印刷用紙Pの無駄がなくなり、環境に配慮した装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1において、符号1は印刷装置としての反転再給紙方式の両面印刷装置を示す。この両面印刷装置1は、特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と関連した構成を有しているので、各部位の説明をできるだけ省略する。
【0017】
両面印刷装置1は、印刷部2、製版部3、複数の給紙部401,402,403、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8を有する反転再給紙部9、切替部材10、制御手段30等を有している。
【0018】
装置本体42のほぼ中央に配置された印刷部2は、印刷ドラムとなる版胴11と押圧手段としてのプレスローラ12とを有している。版胴11は装置本体42に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴11はその外周面に開閉自在なクランパ13を有しており、両面印刷時において版胴11の外周面には製版部3で製版されたマスタ(以下「製版済マスタ」という)14が巻装される。
【0019】
製版部3により製版された製版済マスタ14はその先端部をクランパ19によりクランプされて巻装されるように構成されている。製版済マスタ14には、図4に示すように、表面印刷用の第1の画像201(以下、「表面画像201」という)と、裏面印刷用の第2の画像202(以下、「裏面画像202」という)が印刷ドラム11の回転方向に順に並んで形成されている。孔版印刷では、マスタ64から印刷用紙Pに直接転写されるので、製版済マスタ14上の画像は鏡像になる。図4は、製版済マスタ14を印刷ドラム11に巻き付けた状態を展開してフィルム面側から見た図である。表面画像201と裏面画像202の間には未製版部分が形成されている。製版済マスタ14は、版胴11上において、表面画像201が図1に示す表面領域に、裏面画像202が同裏面領域に、未製版部分204が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。版胴11の外周面近傍には、版胴11の位置を検知する図示しないロータリエンコーダが設けられている。
【0020】
版胴11の下方に印圧部材となるプレスローラ12が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ12は、図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ12はその周面が版胴11より離間する図1に示す離間位置と、その周面が版胴11上の分割製版済みマスタ14に圧接する圧接位置とを選択的に占めるように版胴11に対して接離自在とされている。プレスローラ12の周面近傍には、プレスローラ12の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ16が配設されている。
【0021】
プレスローラ12の右方近傍には反転再給紙部9から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ12の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材17が配設されており、プレスローラ12の下方には補助トレイ8上に貯留された用紙Pをプレスローラ12の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ18が配設されている。プレスローラ12の左下方には上面に補助トレイ8を有する再給紙搬送ユニット19が配設されており、これには再給紙位置決め部材20が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット19の上方には、補助トレイ8の上面に沿って移動自在な用紙受け板21が配設されている。これら補助トレイ8、再給紙案内部材17、再給紙レジストローラ18、再給紙位置決め部材20、再給紙搬送ユニット19及び用紙受け板21によって反転再給紙部9が構成されている。
【0022】
版胴11とプレスローラ12との接触位置の左方であって、用紙Pの搬送経路上には切替部材10が配設されている。切替部材10はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体42に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴11とプレスローラ12との間を通過した用紙Pは、切替部材10が第1の位置を占めているときに排紙部6へと案内され、切替部材10が第2の位置を占めているときに補助トレイ8へと案内される。
【0023】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ22をロール状に巻成したマスタロールを保持するマスタ保持部材23、プラテンローラ24、サーマルヘッド25、マスタ切断手段26、マスタストック部27、テンションローラ対28、反転ローラ対29等を有する周知の構成であり、製版部3では製版済マスタ14が作成される。
【0024】
製版部3の下方には第1〜第3の複数の給紙部401〜403が配置されている。第1給紙部401は、印刷用紙Pが積載される第1給紙トレイ46と、第1給紙トレイ46上の印刷用紙Pを給紙する第1給紙ローラ49を有している。給紙部402は、印刷用紙Pが積載される第2給紙トレイ47と第2給紙トレイ47上の印刷用紙Pを給紙する第2給紙ローラ50を有し、給紙部403は、印刷用紙Pが積載される第3給紙トレイ48と第3給紙トレイ48上の印刷用紙Pを給紙する第2給紙ローラ51を有している。
【0025】
本実施形態において両面印刷装置1は最大A3サイズの用紙Pを印刷可能に構成されており、第1給紙トレイ46には両面印刷が可能であるB5サイズ以下及びB5サイズ及びA4サイズの用紙Pが収納され、第2給紙トレイ47には両面印刷が不可であるB4サイズ及びA3サイズの用紙Pが収納される。第3給紙トレイ48には全てのサイズの用紙Pが積載可能であり、各給紙トレイ46,47,48には収納及び積載された用紙Pのサイズを検知する用紙サイズ検知センサ群S1,S2,S3がそれぞれ設けられている。各給紙トレイと印刷ドラム11の間には搬送経路が形成されていて、これら搬送経路には搬送ローラ対52とレジストローラ対53が配置されていている。
【0026】
印刷部2の左上方に配設された排版部5は、上排版部材、下排版部材、排版ボックス、圧縮板等を有する周知の構成であり、使用済みの分割製版済みマスタ14を版胴11の外周面より剥離して排版ボックスの内部に廃棄する周知の構成とされている。
【0027】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪31、排紙搬送ユニット32、排紙トレイ33、剥離ファン34等を有している。剥離爪31は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴11の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴11の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット32は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ33は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。剥離ファン34は剥離爪31の上方に配設されており、版胴11の外周面に向けて送風を行うことにより表面印刷工程を終えて切替部材10によって版胴11の外周面上から剥離される用紙P、及び裏面印刷工程を終えて剥離爪31によって版胴11の外周面上から剥離される用紙Pの先端をそれぞれ送風によって浮き上がらせる。
【0028】
装置本体42の上部には、画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、コンタクトガラス54、コンタクトガラス54に対して接離自在に設けられた圧板55、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー56,57及び蛍光灯58、走査された画像を集束するレンズ59、集束された画像を処理する画像センサ60等を有しており、その上部には自動原稿読取装置であるADFユニット61が設けられている。ADFユニット61は複数枚の原稿を載置可能な原稿トレイ62を有しており、原稿トレイ62には原稿の有無を検知する原稿センサ63が設けられている。
【0029】
図2は、両面印刷装置1の操作パネルを示している。同図において操作パネル15には、製版スタートキー35、印刷スタートキー36、ストップキー37、テンキー38、7セグメントLEDからなる表示装置39、LCDからなる表示装置40、両面印刷を行う際に押下される両面印刷キー41等の周知の構成の他、仕分けモード設定キー64、用紙種類選択キー65、警告手段となる警告灯66、クラス印刷設定キー67が配設されている。仕分けモード設定キー64は、排紙トレイ33に排紙された印刷用紙Pを仕分けるときに操作するものであり、このキーが押下されることで、仕分けモードが設定される。用紙種類選択キー65は、給紙トレイ48に積載された印刷用紙Pの種類を設定するものである。クラス印刷設定キー67は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して印刷動作を実行するクラス印刷を実行するときに操作するもので、このキーが押下されることで、クラス印刷モードが設定される。本形態において、警告灯66は、仕分け時期に給紙する印刷用紙Pのサイズが印刷時よりも小さい場合に、印刷終了後に制御手段30からの信号に基づき作動するように構成されている。
【0030】
図3は、両面印刷装置1に用いられる制御手段30のブロック図である。同図において制御手段30は、CPU43,ROM44,RAM45等を有する周知のコンピュータで構成されていて、図示しないロータリエンコーダ及び操作パネル15からの動作信号及び各センサからの検知信号に基づいて印刷部2、製版部3、各給紙部、排版部5、排紙部6、画像読取部7、反転再給紙部9、切替部材10の作動をそれぞれ制御する。ROM44には両面印刷装置1の動作プログラムが記憶されていると共に、RAM45には各種数値や情報等が一時的に記憶され、CPU43はRAM45に記憶された数値や情報等及びROM44から呼び出された動作プログラムに基づいて両面印刷装置1の動作制御を行う。
【0031】
次に制御手段30による制御の形態を順番に説明する。本形態において、制御手段30は、片面印刷と両面印刷の動作を制御するとともに、マスタに製版する製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なるサイズの印刷用紙Pを仕分け時期に給紙するように給紙部を選択し、選択した給紙部の動作を制御する機能を備えている。
【0032】
具体的には、本形態において、仕分け時期の1つの例は、片面印刷開始前や印刷終了後に新たにマスタを製版して片面印刷を行うときであり、制御手段30は、新たに製版したマスタの版付け時に、片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙Pを給紙して、両面印刷を実行するように、各部の動作を制御する。また、本形態において、仕分け時期の別な例は、両面印刷開始前や両面印刷終了後に新たにマスタを製版して両面印刷を行うときであり、制御手段30は、新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙Pを給紙して、片面印刷を実行するように、各部の動作を制御する。
【0033】
本形態において、片面印刷に用いる原稿はA3サイズとし、両面原稿に用いる原稿はA4原稿とする。また、給紙部401にはA4サイズの横置きの印刷用紙Pがセットされ、給紙部402にはA3サイズの印刷用紙Pが横長にセットされ、給紙部403にはA4縦置きで給紙部401にセットした印刷用紙Pとは異なる種類の印刷用紙Pがセットされているものとする。そして、給紙部403に異なる種類の印刷用紙Pがセットされていることは、用紙種類設定キー65で既に設定されているものとする。印刷用紙Pのサイズは用紙サイズ検知センサS1〜S3で検知するようにしたが、操作パネル15上に用紙サイズ設定キーと給紙トレイ設定キーを設け、オペレータが手動で用紙サイズと給紙トレイの関係を設定するようにしてもよい。
【0034】
次に両面印刷装置1における片面印刷と両面印刷の通常の動作を説明し、その後、仕分け動作について説明するものとする。
【0035】
本形態において片面印刷とは、製版部3により1版分の長さ内に片面印刷用の画像が製版されたマスタ14を版胴12の外周面に巻装し、版胴12に対して接離自在なプレスローラ12で印刷用紙Pを版胴11に押圧してその片面に印刷するものである。
【0036】
本形態において、両面印刷とは、製版部3により1版分の長さ内に第1の画像と第2の画像が並べて製版されたマスタ14を版胴11の外周面に巻装し、プレスローラ12で印刷用紙Pを版胴11に押圧してその表面に印刷し、表面印刷された印刷用紙Pを反転再給紙部9から給紙してその裏面に印刷を行うものである。
【0037】
(通常の片面印刷)
画像読取部7あるいはADF61に原稿がセットされ、両面印刷キー41が押下されずに製版スタートキー35が押下されることにより片面印刷モードが設定される。片面印刷モードが設定されると、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、製版済マスタ14が版胴外周面に巻装される。このとき、給紙部402からは版付けのための印刷用紙Pが1枚給紙されて版付け動作が行われ、片面印刷待機状態となる。本形態では、マスタ22に製版する製版サイズに合わせて使用する印刷用紙Pのサイズが自動的に選択される。すなわち、該当する印刷用紙Pが積載されている給紙部が用紙サイズ検知センサS1〜S3の検知信号から、どの給紙部にどのサイズの印刷用紙Pが積載されているかを制御手段30が判断する。ここでは、給紙部402が選択されることになる。
【0038】
テンキー38で印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されると、製版サイズに合わせて使用する印刷用紙Pが収納された給紙部402から印刷用紙Pが連続的に給送されて片面印刷動作が行われる。ここでは、版胴11が印刷速度で回転するとともに、その回転タイミングに合わせてレジストローラ対53によって印刷用紙Pが印圧部に向かって給紙され、プレスローラ12の上昇により版胴外周面に押圧される。そして、製版済マスタ14の製版画像が転写される。転写された印刷用紙Pは切換爪10によって排紙搬送ユニット32へ案内され、排紙搬送ユニット32によって排紙トレイ33に排紙される。このような片面印刷の動作は、設定された印刷枚数に達するまで継続され、設定された印刷枚数に達すると片面印刷動作が完了して両面印刷装置1は再び片面印刷待機状態となる。
【0039】
(通常の両面印刷)
画像読取部7に原稿がセットされ両面印刷キー41が押下された後に製版スタートキー35が押下されることにより両面印刷モードが設定され、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に製版済マスタ14が巻装される。また、給紙部401からは版付けのための印刷用紙Pが1枚給紙されて版付け動作が行われて、両面待機状態となる。
【0040】
製版サイズに合わせて使用する印刷用紙Pが収納された給紙部401から印刷用紙Pが1枚給送されて両面印刷動作が行われる。ここでは、版胴11が印刷速度で回転するとともに、その回転タイミングに合わせてレジストローラ対53によって印刷用紙Pが印圧部に向かって1枚給紙され、プレスローラ12の上昇により表面領域の分だけ版胴外周面に押圧される。そして、製版済マスタ14の製版画像(表面画面)が印刷用紙Pの表面に転写される。転写された印刷用紙Pは切換爪10によって再給紙トレイ8に案内される。そして、印圧部において版胴11の裏面領域とタイミングが合うように反転再給紙部9から給紙され、印刷されていない裏面に対して第2の画像が転写される。転写された印刷用紙Pは切換爪10の切り替わりによって排紙搬送ユニット32へ案内され、排紙搬送ユニット32によって排紙トレイ33に排紙される。このような両面印刷の動作は、設定された印刷枚数に達するまで継続され、設定された印刷枚数に達すると両面印刷動作が完了して両面印刷装置1は再び両面印刷待機状態となる。
【0041】
(片面印刷時の仕分け)
通常の片面印刷時において版付けをする場合、印刷時に用いるサイズと同サイズの印刷用紙P(A3サイズ)を用いた。しかし、ADFユニット61の原稿トレイ62上に複数枚の原稿が載置され、製版動作と印刷動作とを連続して行う場合には排紙トレイ33に排紙された印刷用紙を原稿に対応させて仕分けするのが好ましい。このような場合、従来は仕分け装置を用いて排紙トレイ33上での印刷用紙Pの位置を原稿に合わせてずらすことで仕切りを行っていたが、本形態では、版付けに用いた印刷用紙Pを仕切り用紙P1として用いるようにした。そして、この仕切り用紙Pのサイズは、片面印刷に用いる印刷用紙Pのサイズとは異なる印刷用紙Pを用いるとともに、版付け時の動作を両面印刷動作にする。
【0042】
このような仕分け動作を実行するには、操作パネル15の仕分けモード設定キー64をオペレータが押下する。すると制御手段30の仕分けモードプログラムが起動して以下に説明する仕分け動作が実行される。図5に示すフローチャートを用いて片面印刷時の仕分け動作について説明するが、通常の片面印刷と同じ動作をする部分は、通常の片面印刷の欄で既に説明しているので重複する部分は適宜省略する。
【0043】
仕分けモード設定キー64により仕分けモードが設定され、製版スタートキー35が押下されると、片面印刷仕分けモードが作動する。ここではステップST1において原稿が読み込まれる。原稿サイズをA3とすると、ステップST2において製版部3が作動してA3原稿に対応した製版動作が行われ、版胴11に製版済マスタ14が巻装される。次に版付け動作に移るが、ここでは版付けに用いる印刷用紙をA3ではなくA4にするために、ステップST3において給紙部切換動作が実行される。具体的にはA4の印刷用紙Pがセットされている給紙部401が制御手段30によって選択されてステップST4に進む。ステップST4では版付け動作を実行するが、ここでは片面印刷ではなく、両面印刷作動が実行されるので、給紙部401から1枚給紙されたA4サイズの印刷用紙Pの両面に版付け印刷されて、片面印刷待機状態となる。つまり、図6に示すように、片面原稿に対して1枚の印刷用紙Pの両面に版付け印刷動作を実行する。そして、ステップST5において片面印刷を実行すべく、給紙部401から給紙部402への給紙部切換が実行される。
【0044】
テンキー38で印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることによりステップST6において通常の片面印刷と同様な印刷が行われ、ステップST7において設定した印刷枚数が終了するまで片面印刷が行われる。この間に排紙トレイ33には印刷された印刷用紙Pが次々に排紙されて積載される。
【0045】
このように版付け時に印刷時とは異なるサイズの印刷用紙Pを用いて両面印刷を行うと、図7に示すように、両面印刷されたA4サイズの印刷用紙Pの上にA3サイズの片面印刷された印刷用紙Pが積載されることになる。
【0046】
ステップST7において設定した印刷枚数が終了すると、ステップST8に進んで次の原稿の有無が判断される。ここではADF61の原稿センサ63からの検知信号の有無で原稿の有無を判断し、原稿無しの場合には印刷は終了するので、排紙トレイ33上の印刷用紙Pは図7に示す状態となる。原稿有りの場合にはステップST1に戻りステップST8までの動作を原稿がなくなるので繰り返す。
【0047】
ここでは2枚目の原稿があったものとして説明すると、図8に示すように、1枚目の原稿に対する印刷終了後に2枚目の原稿に対して版付けした印刷用紙Pが、1枚目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PAと2枚目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PBとを仕切る仕切り用紙P1として機能することになる。
【0048】
このため、従来のように、仕分け専用の装置を使用しなくても排紙トレイ33上での仕分けを行えるので、装置の大型化を招くことなく低コストで仕分けを行える。また仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷時とは異なるサイズの印刷用紙なので、仕切り箇所を明確にすることができ、印刷された用紙の仕分けを容易に行える。また、仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷終了後に給紙されて版付けに用いられるので、仕分けのために新規な印刷用紙Pを用いる場合よりも印刷用紙Pの無駄がなくなり、環境に配慮した装置となる。つまり、製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なる用紙サイズを版付け時に使用することで、版付けと同時に仕分けを行なうことができる。
【0049】
(片面クラス印刷時の仕分け)
この形態は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して片面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後と製版後の版付け時期を仕分け時期としている。そして、制御手段30は、1つのクラスに対する印刷終了後に片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙Pを給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる両面印刷を実行する。
【0050】
このようなクラス印刷時の仕分け動作を実行するには、操作パネル15のクラス印刷設定キー67を押下するとともに仕分けモード設定キー64をオペレータが押下することで制御手段30のクラス印刷モードプログラムと仕分けモードプログラムが起動して以下に説明する片面クラス印刷時の仕分け動作が実行される。図9に示すフローチャートを用いて片面印刷時の仕分け動作について説明する。
【0051】
クラス印刷設定キー67によりクラス印刷が設定されると、クラス設定と各クラスにおける印刷枚数のセットが可能となり、テンキー38によって設定する。仕分けモード設定キー64により仕分けモードが設定され、製版スタートキー35が押下されると、この片面クラス印刷仕分けモードが作動する。なお、図9のステップST11〜ステップST17までは、図5のステップST1〜ステップST7とほぼ同様の内容である。
【0052】
ステップST11では原稿が読み込まれ、ステップST12において製版部3が作動して原稿サイズ(A3サイズ)に対応した製版動作が行われ、版胴11に製版済マスタ14が巻装される。次に版付け動作に移るが、ここでは版付けに用いる印刷用紙としてA4にするために、ステップST13において給紙部切換動作が実行され、A4サイズの印刷用紙Pがセットされている給紙部401が制御手段30によって選択される。ステップST14では版付け動作を実行するが、ここでは片面印刷ではなく、両面印刷作動を実行されるので、給紙部401から1枚給紙されたA4サイズの印刷用紙Pの両面に版付け印刷されて、片面印刷待機状態となる。つまり、図7に示すように、両面原稿に対して1枚の印刷用紙Pの片面に印刷動作を実行する。そして、ステップST15において、両面印刷を実行すべく、給紙部401から給紙部402への給紙部切換が実行される。
【0053】
ステップST16では印刷スタートキー36が押下されることにより通常の片面印刷と同様なクラス印刷が行われ、ステップST17において、設定した印刷枚数が終了するまで片面印刷が行われる。この間に排紙トレイ33には印刷された印刷用紙Pが次々に排紙されて積載される。
【0054】
このように版付け時に印刷時とは異なるサイズの印刷用紙Pを用いて両面印刷を行うと、図7に示すように、両面印刷されたA4サイズの印刷用紙Pの上にA3サイズの片面印刷された印刷用紙Pが積載される。
【0055】
ステップST17において設定した印刷枚数が終了すると、ステップST18に進んで、最初に設定したクラス印刷が全て終了したか否かが判断される。ここで設定したクラス分の印刷が終了している場合には、排紙トレイ33上の印刷用紙Pは図7に示す状態となる。
【0056】
一方、全クラスの印刷が終了していなければ、ステップST11からステップST18の動作が継続されることになる。ここでは2クラス分の設定されているものとして説明すると、図8に示すように、1クラスの原稿に対する印刷終了後に2クラス目の原稿に対して版付けした印刷用紙Pが、1クラスの原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PAと2クラス目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PBとの仕切る仕切り用紙P1として機能することになる。
【0057】
このため、従来のように、仕分け専用の装置を使用しなくても排紙トレイ33上での仕分けを行えるので、装置の大型化を招くことなく低コストで仕分けを行える。また仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷時とは異なるサイズの印刷用紙なので、仕切り箇所を明確にすることができ、印刷された用紙の仕分けを容易に行える。また、仕分けに用いる印刷用紙は、印刷終了後に給紙されて版付けに用いられるので、仕分けのために新規な印刷用紙を用いる場合よりも印刷用紙の無駄がなくなり、環境に配慮した装置となる。つまり、製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なる用紙サイズを版付け時に使用することで、版付けと同時に仕分けを行なうことができる。
【0058】
(両面印刷時の仕分け)
この形態は、両面印刷時に仕分けを行うものであり、両面印刷前や両面印刷終了後に新たにマスタを製版して両面印刷を行うときを仕分け時期としている。制御手段30は、新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙Pを給紙して、片面印刷を実行する。
【0059】
このような仕分け動作を実行するには、操作パネル15の両面印刷キー41と仕分けモード設定キー64をオペレータが押下する。すると制御手段30の両面印刷プログラムと仕分けモードプログラムが起動して以下に説明する仕分け動作が実行される。図10に示すフローチャートを用いて両面印刷時の仕分け動作について説明するが、通常の両面印刷と同じ動作をする部分は、通常の両面印刷の欄で既に説明しているので重複する部分は適宜省略する。
【0060】
両面印刷キー41と仕分けモード設定キー64の操作により両面印刷仕分けモードが設定され、製版スタートキー35が押下されると、両面印刷仕分けモードが作動する。ここではステップST21において原稿が読み込まれる。原稿サイズをA4サイズとすると、ステップST22において製版部3が作動してA4サイズの原稿に対応した製版動作が行われ、版胴11に製版済マスタ14が巻装される。次に版付け動作に移るが、ここでは版付けに用いる印刷用紙をA4サイズではなくA3サイズにするために、ステップST33において給紙部切換動作が実行される。具体的にはA3の印刷用紙Pがセットされている給紙部402が制御手段30によって選択されてステップST24に進む。ステップST24では版付け動作を実行するが、ここでは両面印刷ではなく、片面印刷動作が実行されるので、給紙部402から1枚給紙されたA3サイズの印刷用紙Pの片面に版付け印刷されて、両面印刷待機状態となる。つまり、図11に示すように、両面原稿に対して1枚の印刷用紙Pの片面に版付け印刷動作を実行する。そして、ステップST25において両面印刷を実行すべく、給紙部402から給紙部401への給紙部切換が実行される。
【0061】
テンキー38で印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることによりステップST26において通常の両面印刷と同様な印刷が行われ、ステップST27において設定した印刷枚数が終了するまで両面印刷が行われる。この間に排紙トレイ33には両面印刷された印刷用紙Pが次々に排紙されて積載される。
【0062】
このように版付け時に印刷時とは異なるサイズの印刷用紙Pを用いて両面印刷を行うと、図12に示すように、片面印刷されたA3サイズの印刷用紙Pの上にA4サイズの両面印刷された印刷用紙Pが積載されることになる。
【0063】
ステップST27において設定した印刷枚数が終了すると、ステップST28に進んで次の両面原稿の有無が判断される。ここではADF61の原稿センサ63からの検知信号の有無で原稿の有無を判断し、原稿無しの場合には印刷は終了するので、排紙トレイ33上の印刷用紙Pは図12に示す状態となる。原稿有りの場合にはステップST21に戻りステップST28までの動作を原稿がなくなるので繰り返す。
【0064】
ここでは2回目の両面原稿があったものとして説明すると、図13に示すように、1回目の原稿に対する印刷終了後に2回目の原稿に対して版付けした印刷用紙Pが、1回目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PAと2回目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PBとを仕切る仕切り用紙P1として機能することになる。
【0065】
このため、従来のように、仕分け専用の装置を使用しなくても排紙トレイ33上での仕分けを行えるので、装置の大型化を招くことなく低コストで仕分けを行える。また仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷時とは異なるサイズの印刷用紙なので、仕切り箇所を明確にすることができ、印刷された用紙の仕分けを容易に行える。また、仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷終了後に給紙されて版付けに用いられるので、仕分けのために新規な印刷用紙Pを用いる場合よりも印刷用紙Pの無駄がなくなり、環境に配慮した装置となる。つまり、製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なる用紙サイズを版付け時に使用することで、版付けと同時に仕分けを行なうことができる。
【0066】
(両面クラス印刷時の仕分け)
この形態は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して両面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後と製版後の版付け時期を仕分け時期としている。そして、制御手段30は、1つのクラスに対する印刷終了後に両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙Pを給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる片面印刷を実行する。
【0067】
このようなクラス印刷時の仕分け動作を実行するには、操作パネル15の両面印刷キー41とクラス印刷設定キー67と、仕分けモード設定キー64をオペレータが押下することで制御手段30の両面印刷におけるクラス印刷モードプログラムと仕分けモードプログラムが起動して以下に説明する両面クラス印刷時の仕分け動作が実行される。図14に示すフローチャートを用いて両面クラス印刷時の仕分け動作について説明する。
【0068】
両面印刷キー41とクラス印刷設定キー67によりクラス印刷が設定されると、クラス設定と各クラスにおける印刷枚数のセットが可能となり、テンキー38によって設定する。仕分けモード設定キー64により仕分けモードが設定され、製版スタートキー35が押下されると、この両面クラス印刷仕分けモードが作動する。なお、図14のステップST31〜ステップST37までは、図10のステップST21〜ステップST27とほぼ同様の内容である。
【0069】
ステップST31では原稿が読み込まれ、ステップST32において製版部3が作動して原稿サイズ(A4サイズ)に対応した両面製版動作が行われ、版胴11に製版済マスタ14が巻装される。次に版付け動作に移るが、ここでは版付けに用いる印刷用紙としてA3にするために、ステップST33において給紙部切換動作が実行され、A3サイズの印刷用紙Pがセットされている給紙部402が制御手段30によって選択される。ステップST34では版付け動作を実行するが、ここでは両面印刷ではなく、片面印刷作動を実行されるので、給紙部402から1枚給紙されたA3サイズの印刷用紙Pの片面に版付け印刷されて、両面印刷待機状態となる。つまり、図11に示すように、両面原稿に対して1枚の印刷用紙Pの片面に印刷動作を実行する。そして、ステップST35において、両面印刷を実行すべく、給紙部402から給紙部401への給紙部切換が実行される。
【0070】
ステップST36では印刷スタートキー36が押下されることにより通常の両面印刷と同様なクラス印刷が行われ、ステップST37において、設定した印刷枚数が終了するまで両面印刷が行われる。この間に排紙トレイ33には印刷された印刷用紙Pが次々に排紙されて積載される。
【0071】
このように版付け時に印刷時とは異なるサイズの印刷用紙Pを用いて両面印刷を行うと、図12に示すように、片面印刷されたA3サイズの印刷用紙Pの上にA4サイズの両面印刷された印刷用紙Pが積載される。
【0072】
ステップST37において設定した印刷枚数が終了すると、ステップST38に進んで最初に設定したクラス印刷が全て終了したか否かが判断される。ここで設定したクラス分の印刷が終了している場合には、排紙トレイ33上の印刷用紙Pは図12に示す状態となる。
【0073】
一方、全クラスの印刷が終了していなければ、ステップST31からST38の動作が継続されることになる。ここでは2クラス分の設定されているものとして説明すると、図13に示すように、1クラスの原稿に対する両面印刷終了後に2クラス目の原稿に対して版付けした印刷用紙Pが、1クラスの原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PAと2クラス目の原稿に対して印刷が行われた印刷用紙群PBとの仕切る仕切り用紙P1として機能することになる。
【0074】
このため、従来のように、仕分け専用の装置を使用しなくても排紙トレイ33上での仕分けを行えるので、装置の大型化を招くことなく低コストで仕分けを行える。また仕分けに用いる印刷用紙Pは、印刷時とは異なるサイズの印刷用紙なので、仕切り箇所を明確にすることができ、印刷された用紙の仕分けを容易に行える。また、仕分けに用いる印刷用紙は、印刷終了後に給紙されて版付けに用いられるので、仕分けのために新規な印刷用紙を用いる場合よりも印刷用紙の無駄がなくなり、環境に配慮した装置となる。つまり、製版サイズに合わせて使用する用紙サイズと異なる用紙サイズを版付け時に使用することで、版付けと同時に仕分けを行なうことができる。
【0075】
前記の各形態において、片面印刷時に両面印刷をして仕分けを行うので、版付け用紙(仕分け用紙P1)としては、最小で片面印刷に用いる印刷用紙Pの1/2のサイズのものを使用する必要があるので、本形態では、A4サイズの印刷用紙Pがセットされている給紙部401を制御手段30が選択するようにしている。このため、両面印刷による版付け動作を行っても、版胴11に巻かれている製版済マスタ14の製版画像(インキ)が、プレスローラ12に転写することを抑制することができ、プレスローラ12に付着したインキの印刷用紙Pへの再転写を低減することができる。
片面印刷時の仕分け用紙としては、最小でも画像(製版)面積の1/2のものを使用することで、版胴11に巻かれている製版済マスタ14の製版画像(インキ)が、プレスローラ12に転写することを抑えることができ、プレスローラ12に付着したインキの印刷用紙Pへの再転写を低減することができる。
両面印刷時の仕分け用紙としては、版付け時に片面印刷をするため、最小でも片面印刷に用いるサイズと表面又は片面印刷に用いる製版画像面積の用紙搬送方向への面積幅のサイズのものを使用することで、版胴11に巻かれている製版済マスタ14の製版画像(インキ)が、プレスローラ12に転写することを抑えることができ、プレスローラ12に付着したインキの印刷用紙Pへの再転写を低減することができる。
両面印刷時における仕分けをする場合、前記の形態ではA3サイズの印刷用紙Pがセットされている給紙部402を制御手段30が選択して給紙動作するように制御しているが、例えば給紙部403に対して、印刷に用いる印刷用紙Pとは異なる種類、例えば材質や厚さの異なるA3サイズの印刷用紙P2をセットし、操作パネル15に設けた用紙種類選択キー65で用紙種類を設定し、制御手段30が、両面印刷時の仕切りモードの場合には給紙部403を選択するようにすれば、仕切り用紙P1が通常の印刷用紙Pと異なることになるので、オペレータが排紙トレイ33上に積載されている印刷用紙Pに手で触れた時に、感触により仕分け位置を把握することができ、作業性がより良くなる。
【0076】
上述の形態において、片面印刷時の印刷用紙PをA3サイズとし、仕切り用紙P1(版付け用紙)をA4サイズとしたので、図7,図8に示すように、仕切り用紙P1の上に印刷用紙群PAや印刷用紙群PBが積載されてしまうと、仕切り用紙P1が隠れてしまい視覚的に見えなくなってしまう。
【0077】
このような場合、制御手段30が、仕切りモードが設定されていて、印刷用紙サイズと仕切り用紙P1(版付け用紙)とのサイズを比較して仕切り用紙P1のサイズが印刷用紙Pのサイズよりも小さいと判断するように構成し、仕切り用紙P1が小さい場合には警告灯66を作動するようにすればよい。
【0078】
このような制御を行うことで、オペレータに仕切り用紙P1が小さいことを意識させることができ、仕切り用紙P1の取り忘れを防止することができる。警告手段としては、警告灯66に限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、操作パネル15の表示装置40に警告内容を表示するようにしてもよく、この場合には表示手段40が警告手段として機能することになる。
【0079】
本形態において、クラス印刷は、版替えをする複数の製版済マスタ14に対する印刷枚数を予め個別に設定するものとして説明したが、版替えをしないで1枚の製版済マスタ14に対して所定の印刷枚数毎に仕切るようなクラス印刷もある。このような場合には、仕切り時期は、版付け時期ではなく、各クラスの印刷終了後となるので、各クラスに対する印刷が終了したときに、当該クラス印刷で用いた印刷用紙Pと異なるサイズの印刷用紙Pがセットされている給紙部を制御手段30が選択し、当該給紙部から印刷用紙Pを給紙するように給紙部の動作を制御することで対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明にかかる印刷装置の一形態である両面印刷装置の概略構成図である。
【図2】印刷装置の操作部の一形態を示す拡大図である。
【図3】本発明にかかる制御系のブロック図である。
【図4】マスタに第1の画像と第2の画像が製版された状態を示す概要平面図である。
【図5】片面印刷時の仕切りモード動作内容を説明するフローチャートである。
【図6】片面印刷時に両面印刷による版付けを行う場合を説明する模式図である。
【図7】片面印刷時に仕切り動作が行われた時の排紙トレイの状態を示す拡大図である。
【図8】片面クラス印刷時に仕切り動作が行われた時の排紙トレイの状態を示す拡大図である。 である。
【図9】片面クラス印刷時の仕切り動作内容を説明するフローチャートである。
【図10】両面印刷時の仕切りモード動作内容を説明するフローチャートである。
【図11】両面印刷時に片面印刷による版付けを行う場合を説明する模式図である。
【図12】両面印刷時に仕切り動作が行われた時の排紙トレイの状態を示す拡大図である。
【図13】両面クラス印刷時に仕切り動作が行われた時の排紙トレイの状態を示す拡大図である。
【図14】両面クラス印刷時の仕切り動作内容を説明するフローチャートである。
【図15】警告内容が表示された表紙装置の拡大図である。
【符号の説明】
【0081】
1 印刷装置
3 製版部
9 反転再給紙部
11 印刷ドラム
14 製版されたマスタ
12 押圧部材
30 制御手段
201 第1の画像
202 第2の画像
40,60 警告手段
401,402,403 複数の給紙部
P 印刷用紙
P1 仕切り用紙(版付け用紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製版部により1版分の長さ内に片面印刷用の画像が製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で印刷用紙を前記印刷ドラムに押圧してその片面に印刷する片面印刷と、前記製版部により1版分の長さ内に第1の画像と第2の画像が並べて製版されたマスタを前記印刷ドラムの外周面に巻装し、前記押圧部材で印刷用紙を前記印刷ドラムに押圧してその表面に印刷し、表面印刷された印刷用紙を反転再給紙部から給紙してその裏面に印刷を行う両面印刷とが可能な印刷装置において、
異なるサイズの印刷用紙をそれぞれ備えて給紙可能な複数の給紙部と、
前記片面印刷と両面印刷の動作を制御するとともに、前記マスタに製版する製版サイズに合わせて使用する用紙サイズとは異なるサイズの用紙を仕分け時期に給紙するように、前記給紙部を選択し、選択した給紙部の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記仕分け時期は、片面印刷終了後に新たにマスタを製版して片面印刷を行うときであり、
前記制御手段は、前記新たに製版したマスタの版付け時に、片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、両面印刷を実行することを実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の印刷装置において、
前記仕分け時期は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して片面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後であり、
前記制御手段は、1つのクラスに対する印刷終了後に片面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる両面印刷を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1記載の印刷装置において、
前記仕分け時期は、両面印刷終了後に新たにマスタを製版して両面印刷を行うときであり、
前記制御手段は、前記新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、片面印刷を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1記載の印刷装置において、
前記仕分け時期は、複数の製版マスタに対して印刷枚数を予め設定して両面印刷を実行するクラス印刷が設定されている場合で、1つのクラスに対する印刷枚数の印刷終了後であり、
前記制御手段は、1つのクラスに対する印刷終了後に両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙して、該印刷用紙に新たに製版されるマスタによる片面印刷を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項2または3記載の印刷装置において、
前記制御手段は、最小で片面印刷に用いるサイズの1/2の印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項2または3記載の印刷装置において、
前記制御手段は、最小で片面印刷に用いる製版画像面積の1/2の印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項4または5記載の印刷装置において、
前記制御手段は、最小で片面印刷に用いるサイズと表面又は片面印刷に用いる製版画像面積の用紙搬送方向への面積幅のサイズの印刷用紙を備えた給紙部を仕分け時期に選択して作動することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項4または5記載の印刷装置において、
前記制御手段は、前記新たに製版したマスタの版付け時に、両面印刷に用いるサイズとは異なるサイズの印刷用紙を給紙する給紙部のうち、両面印刷時とは異なる種類の印刷用紙を給紙する給紙部を選択して、当該給紙部を作動することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れかに記載の印刷装置において、
前記仕分け時期に給紙する印刷用紙のサイズが印刷時よりも小さい場合に、印刷終了後に作動する警告手段を有することを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−143057(P2009−143057A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321100(P2007−321100)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)