説明

印刷装置

【課題】早期に紙粉量を計測可能とする技術の提供。
【解決手段】印刷装置であって、金属刃により印刷用紙を切断する切断手段と、回転軸を中心に回転する回転翼と、前記回転軸の軸受けに正電圧を印加する電圧印加手段と、前記回転翼を駆動させる駆動モーターの駆動電流の増加量に応じた量を、前記印刷用紙の紙粉の量として計測する紙粉量計測手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属刃により印刷用紙を切断する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転翼によって送風される送風量を風量測定装置によって計測し、当該風量測定装置が計測した送風量が所定値となった場合に、ほこりの清掃を促す通知を行う技術が開示されている(特許文献1、参照)。ほこりが回転翼に付着すると送風量が低下し、当該送風量が低下したことをもって、ほこりを清掃すべきことを判断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−180869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送風量が低下する程度に回転翼にほこりが付着する段階では、すでに筐体内部に大量のほこりが堆積し、回路基板においてショート等の不具合を生じさせるという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、早期に紙粉量を計測可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の印刷装置において、切断手段は、金属刃により印刷用紙を切断する。金属刃と印刷用紙との摩擦により金属刃の自由電子が印刷用紙に移動することにより印刷用紙が負に帯電するとともに、金属刃により印刷用紙が分断され負に帯電した紙粉が生じる。電圧印加手段は、回転翼の回転軸の軸受けに正電圧を印加する。これにより、負に帯電した紙粉を、軸受けを介して正電圧が印加された回転翼に吸着させることができる。紙粉量計測手段は、回転翼を駆動させる駆動モーターの駆動電流の増加量に応じた量を、印刷用紙の紙粉の量として計測する。
【0006】
このように、正電圧を印加することにより紙粉が吸着しやすい状態とされた回転翼を駆動させる駆動モーターの駆動電流の増加量に応じた印刷用紙の紙粉の量を計測することにより、紙粉が他の回路基板等に大量に付着するよりも早い段階で紙粉の量を計測することができる。従って、紙粉が他の回路基板等に付着してショート等の不具合を生じさせるよりも前に、紙粉の量に応じた通知等を行わせることができる。
【0007】
さらに、紙粉量計測手段は、回転翼を駆動させる駆動モーターに供給する駆動電流の増加量に応じた紙粉の量を計測するため、回転翼の送風量や回転速度を計測する装置を個別に備えさせなくてもよい。なお、紙粉が付着した回転翼は質量も空気抵抗も大きくなるため、回転翼および駆動モーターの回数速度が低下し、結果として定速回転状態での駆動電流が増加することとなる。また、駆動電流の増加量は、駆動モーターに直列に接続された測定用抵抗に流れる電流の電流値に基づいて特定されもよい。さらに、測定用抵抗に流れる電流の電流値は、測定用抵抗の両端にかかる電圧の電圧値と、測定用抵抗の抵抗値とに基づいて特定されてもよい。
【0008】
また、電圧印加手段は、印刷用紙の紙粉の量が所定閾値以上となった場合に、軸受けに対する正電圧の印加を停止させてもよい。これにより、回転翼における紙粉の吸着を抑制し、回転翼の回転速度の低下を抑制できる。従って、回転翼による冷却性能を確保できる。
【0009】
また、紙粉量計測手段は、複数の時刻における駆動電流の電流値の増加量の累積値に応じた量を、印刷用紙の紙粉の量として計測してもよい。複数の時刻における電流値の増加量を累積した累積値に基づいて印刷用紙の紙粉の量として計測することにより、電流値の増加量が微少量である場合でも、ノイズの影響を抑制できる。
【0010】
なお、請求項に記載された各手段の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各手段の機能は、それぞれが物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明は方法としても、コンピュータープログラムとしても、そのプログラムの記録媒体としても成立する。むろん、そのコンピュータープログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンターのブロック図である。
【図2】プリンターの内部構成図である。
【図3】紙粉量計測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。
(1)第1実施形態:
(1−1)構成:
(1−2)動作:
(2)変形例:
【0013】
(1)第1実施形態:
(1−1)構成:
図1は、第1実施形態にかかる印刷装置としてのプリンター1のブロック図である。プリンター1は、マイコン10とファン部20と間欠スイッチ30と電源回路40と電流測定用抵抗50とオートカッター60と紙搬送部70と印刷部80とを備える。マイコン10は、CPU(不図示)とRAM(不図示)とROMとフラッシュメモリー10a等を備え、ROM等に記録されたプログラムデータに基づいて紙粉量計測プログラムPを実行する。また、マイコン10は電流測定用抵抗50の両端にかかる電圧(以下、監視電圧)の電圧値をデジタル信号に変換するA/Dポート10bを備える。ファン部20は、回転翼21と軸受け22と駆動モーター23とを備える。回転翼21は、円柱状の回転軸21aを有する。回転翼21は、回転軸21aの径方向外側に放射状に突出する翼部を備える。回転軸21aには駆動モーター23が発生させた駆動力が伝達され、回転翼21は回転軸21aを中心として回転する。これにより、回転軸21aの長さ方向の気流を生成する。軸受け22は回転翼21を摺動可能に軸受けする。
【0014】
軸受け22は間欠スイッチ30を介して電源回路40と接続される。電源回路40は、正の一定電圧(例えば42V)の直流電源を生成する。間欠スイッチ30は、マイコン10からのスイッチ信号Sに基づいて、一定のスイッチング周期における導通期間の長さ、すなわち導通期間のスイッチング周期に対する比であるデューティー比を調整する。これにより、電源回路40の電源電圧が軸受け22に印加される期間と、電源回路40の電源電圧が軸受け22に印加されない期間との比が調整される。スイッチング周期よりも十分に長い期間で見れば、電源回路40の電源電圧にデューティー比を乗じた正電圧が軸受け22に印加されることとなる。また、軸受け22を介して回転翼21に正電圧が印加される。なお、回転翼21は導電体によって形成されることが理想であるが、軸受け22に印加した電圧によって回転翼21表面が所定値以上の正電圧を帯びる程度の導電性を有すればよい。例えば、回転翼21の電位が所定電位以上となるように、軸受け22に電源回路40の電源電圧が入力される導通期間のデューティー比を設定してもよい。間欠スイッチ30と電源回路40とは電圧印加手段に相当する。
【0015】
駆動モーター23は電流測定用抵抗50を介して電源回路40と接続される。駆動モーター23と電流測定用抵抗50と電源回路40とは直列に接続され、駆動モーター23の駆動電流が電流測定用抵抗50にも流れる。従って、電流測定用抵抗50の両端には駆動モーター23の駆動電流に電流測定用抵抗50の抵抗値を乗じた電圧値の監視電圧が生じる。この監視電圧は、マイコン10のA/Dポート10bに入力され、A/Dポート10bが監視電圧の電圧値を示すデジタル信号を生成する。なお、電流測定用抵抗50の抵抗値は一定である。
【0016】
オートカッター60は、固定刃61と駆動刃62と駆動部63とを備える。駆動部63は、駆動刃62を刃の尖端方向およびその反対方向に往復動させるアクチュエーターである。固定刃61は、尖端方向に移動する駆動刃62を待ち受ける。これにより、固定刃61と駆動刃62との間において印刷用紙を切断(剪断)できる。固定刃61と駆動刃62とはそれぞれ金属で形成された金属刃であり、自由電子を内包する。従って、印刷用紙を切断する際における印刷用紙と固定刃61と駆動刃62との摩擦により、固定刃61と駆動刃62との自由電子が印刷用紙に移動し、印刷用紙が負に帯電する。また、印刷用紙を切断する際に印刷用紙が細かく分断されることにより、印刷用紙の紙粉が生じる。オートカッター60は切断手段に相当する。
【0017】
紙搬送部70は、印刷用紙を搬送するモーター(不図示)やローラー(不図示)を備える。印刷部80は、搬送された印刷用紙に対してインクを付着させる印刷ヘッドHと、当該印刷ヘッドHにインクを供給するインク供給部(不図示)と、印刷ヘッドHを搭載したキャリッジを印刷用紙の搬送方向の直交方向に往復動させるキャリッジ駆動部(不図示)を備える。
【0018】
図2は、プリンター1の内部構成を示す模式図である。紙搬送部70は印刷用紙をロールRから巻き出して搬送し、印刷部80における印刷ヘッドHによって印刷可能な位置まで印刷用紙を供給する。印刷ヘッドHにて印刷された印刷用紙はさらに上方へ搬送され、先端部分が筐体B上部に設けられた排紙口Oから筐体Bの外側に排出される。筐体B上部に備えられたオートカッター60が印刷用紙を切断することにより、筐体Bの外側に排出された印刷用紙の先端部分が分断される。また、マイコン10と間欠スイッチ30と電源回路40と電流測定用抵抗50、および、ファン部20とオートカッター60と紙搬送部70と印刷部80を制御等するための各種回路は、筐体B底部に備えられた主基板MBに実装されている。この主基板MBを冷却するように回転翼21が備えられる。すなわち、筐体Bに設けられた通気口F1,F2と回転翼21と主基板MBとが、回転軸21aの長さ方向と平行な一直線上に並ぶように配置されている。回転翼21が回転することにより通気口F1,F2と主基板MBとを通過する気流を生じさせ、通気口F1,F2を介して、主基板MBに対して筐体Bの冷たい外気を送り込み、主基板MBにて加熱された空気を筐体B外へと排気することができる。本実施形態では、回転翼21から見て主基板MBとは反対側の通気口F1を介して空気を筐体B外へと排気する方向の気流を生じさせる。これにより、オートカッター60にて生じた印刷用紙の紙粉を主基板MBへと吹き付けることなく、筐体B外へと排出できる。
【0019】
図1に示すようにマイコン10が実行する紙粉量計測プログラムPは、紙粉量計測モジュールM1と通知モジュールM2とファン制御モジュールM3とを含む。
紙粉量計測モジュールM1は、回転翼21の駆動モーター23の駆動電流の増加量に応じた量を、印刷用紙の紙粉の量として計測する機能をマイコン10に実行させる。すなわち、紙粉量計測モジュールM1の機能によりマイコン10は、A/Dポート10bが生成したデジタル信号に基づいて監視電圧の電圧値Vを取得する。マイコン10のフラッシュメモリー10aは電流測定用抵抗50の抵抗値Rを記録しており、マイコン10は電圧値Vを抵抗値Rで除算することにより駆動モーター23の駆動電流の電流値Iを算出する。さらに、マイコン10のフラッシュメモリー10aは駆動モーター23の駆動電流の電流値Iの基準値Isを記録しており、マイコン10は駆動モーター23の駆動電流の基準値Isからの増加量ΔI=(I−Is)を算出する。なお、駆動電流の電流値Iの基準値Isは、例えば出荷前においてオートカッター60が一度も印刷用紙を切断していない状態における駆動電流の電流値Iとされる。
【0020】
さらに、紙粉量計測モジュールM1の機能によりマイコン10は、駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIに応じた量を、印刷用紙の紙粉の量として計測する。すなわち、紙粉量計測モジュールM1の機能によりマイコン10は、フラッシュメモリー10aに記録されたテーブルTを参照することにより、増加量ΔIに対応付けられた印刷用紙の紙粉の量pを取得する。ここで、駆動電流の増加量ΔIが大きければ大きいほど、筐体B内における印刷用紙の紙粉の量pが多く、増加量ΔIと紙粉の量pとの対応関係は一意に定まる。以下その理由を説明する。
【0021】
筐体B内における印刷用紙の紙粉の量が多いほど回転翼21に多くの紙粉が接近し、軸受け22を介して正電圧が印加された回転翼21に対して負に帯電した紙粉が吸着する量が多くなる。すなわち、筐体B内における印刷用紙の紙粉の量が多いほど、紙粉が吸着した回転翼21が重く、空気抵抗が大きくなり、定速回転状態における回転翼21および駆動モーター23の回転速度の低下量が大きくなる。回転翼21の回転速度の低下量が大きくなるほど、回転翼21を回転させる駆動モーター23の駆動電流が増加する。従って、筐体B内における印刷用紙の紙粉の量pが多くなるほど、駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIが大きくなる。従って、駆動電流の増加量ΔIと紙粉の量pとの対応関係は一意に定まり、紙粉の量pは駆動電流の増加量ΔIについての単調増加関数で表される。
【0022】
例えば、筐体B内における印刷用紙の紙粉の量pを複数の値に変化させるごとに、駆動電流の増加量ΔIを計測することにより、印刷用紙の紙粉の量pと駆動電流の増加量ΔIとの対応関係を規定したテーブルTを作成できる。なお、必ずしも駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIに基づいて紙粉の量pを特定しなくてもよく、駆動電流の増加量ΔIをそのまま紙粉の量pの指標値としてもよい。さらに、基準値Isは定数であるため、駆動電流の増加量ΔI=(I−Is)を求めることなく、駆動電流の電流値Iをそのまま紙粉の量pの指標値としてもよい。また、抵抗値Rは定数であるため、駆動電流の電流値Iを求めることなく、監視電圧の電圧値Vをそのまま紙粉の量pの指標値としてもよい。
【0023】
通知モジュールM2は、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt1以上となった場合に通知を行わせる機能をマイコン10に実行させる。すなわち、マイコン10のフラッシュメモリー10aは所定の閾値Pt1を記録しており、印刷用紙の紙粉の量pが閾値Pt1以上となった場合に、印刷用紙の紙粉を清掃すべき通知を出力させる。例えば、プリンター1は、表示部やスピーカー等を含むユーザーI/F部(不図示)を備えており、マイコン10は、当該ユーザーI/F部に通知を行わせる。
【0024】
ファン制御モジュールM3は、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt2以上となった場合に、軸受け22に対する正電圧の印加を停止させる機能をマイコン10に実行させる。すなわち、マイコン10のフラッシュメモリー10aは所定の閾値Pt2を記録しており、マイコン10は印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt2以上となった場合に、軸受け22に電源回路40の電源電圧を入力させる導通期間のデューティー比を0と指定するスイッチ信号Sを間欠スイッチ30に出力する。一方、ファン制御モジュールM3の機能によりマイコン10は、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt2以上よりも小さい場合には、導通期間のデューティー比を0よりも大きい値に指定するスイッチ信号Sを間欠スイッチ30に出力し、軸受け22に正電圧を印加させる。なお、本実施形態では、通知モジュールM2の機能によりマイコン10が通知を行わせるか否かを判定するための閾値Pt1と、ファン制御モジュールM3の機能によりマイコン10が電圧の印加を停止させる否かを判定するための閾値Pt2とは、同一値であるとする。むろん、これらの閾値Pt1,Pt2は互いに異なる値であってもよい。
【0025】
以上説明したように、正電圧を印加することにより紙粉が吸着しやすい状態とされた回転翼21の駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIに応じた印刷用紙の紙粉の量pを計測することにより、紙粉が主基板MBに大量に付着するよりも早い段階で紙粉の量pを計測することができる。従って、紙粉が他の主基板MBに付着してショート等の不具合を生じさせるよりも前に、紙粉の量pに応じた通知等を行わせることができる。さらに、紙粉量計測モジュールM1の機能によりマイコン10は、回転翼21を駆動させる駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIに基づいて印刷用紙の紙粉の量pを計測する。これにより、回転翼21の送風量や回転速度を計測する装置を個別に備えさせなくてもよい。ファン制御モジュールM3の機能によりマイコン10は、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt2以上となった場合に、軸受け22に対する正電圧の印加を停止さる。これにより、回転翼21における紙粉の過度の吸着を抑制し、回転翼の回転速度の低下を抑制できる。従って、回転翼21による主基板MBの冷却性能を確保できる。
【0026】
(1−2)動作:
図3は、紙粉量計測処理のフローチャートである。ステップS100においてマイコン10は、所定の計測周期が経過したか否かを判定する。計測周期が経過していなければ、計測周期が経過するまで待機する。一方、計測周期が経過していれば、ステップS110においてマイコン10は、電流測定用抵抗50における監視電圧の電圧値Vを取得し、当該電圧値Vに基づいて、駆動モーター23の駆動電流の基準値Isからの増加量ΔIを算出する。ステップS120において、マイコン10は、テーブルTを参照して、駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIに対応づけられた値を印刷用紙の紙粉の量pの計測値とする。
【0027】
次に、ステップS130においてマイコン10は、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt1(=Pt2)以上であるか否かを判定する。印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt1(=Pt2)以上である場合、マイコン10は、ステップS140において印刷用紙の紙粉を清掃すべき通知を行わせ、さらにステップS150において軸受け22に対する電圧の印加を停止させる。一方、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値Pt1(=Pt2)以上でない場合、ステップS100にリターンして、次に計測周期が経過するまで待機する。
【0028】
以上のように、正電圧が印加された回転翼21は、負に帯電した印刷用紙の紙粉が主基板MBよりも吸着しやすいため、主基板MBにおける紙粉の付着量が少ない段階で、印刷用紙の紙粉を清掃すべき通知を行わせること(ステップS140)ができる。すなわち、主基板MBに付着した紙粉がショート等の問題を生じさせるよりも前に、印刷用紙の紙粉を清掃すべき通知を行わせることができる。
【0029】
(2)変形例:
前記実施形態においては、計測周期ごとに駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔI=(I−Is)を算出し、当該増加量ΔIに対応する紙粉の量pを特定したが、駆動電流の増加量ΔIは微少量であるため、増加量ΔIに基づく紙粉の量pはノイズの影響を受けやすい。そこで、複数の時刻における駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIを累積した累積値に基づいて紙粉の量pを特定してもよい。例えば、マイコン10は、現在まで連続するN回(Nは2以上の整数)の計測周期において駆動電流の増加量ΔIを計測し、フラッシュメモリー10aに記録しておく。そして、マイコン10は、N回の増加量ΔIの累積値を算出し、当該累積値が所定の閾値以上となった場合に、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値以上となったとして、印刷用紙の紙粉を清掃すべき通知を行わせる。このようにすることにより、ノイズの影響を受けにくくすることができる。また、ノイズの影響を受けにくくなる増加量ΔIが得られるまで回転翼21に紙粉を付着させなくても済むため、回転翼21に付着する紙粉の量を抑制しファン部20による冷却機能を確保できる。なお、駆動モーター23の駆動電流の増加量ΔIの累積値に限らず、駆動モーター23の駆動電流の電流値Iの累積値や監視電圧の電圧値Vの累積値に基づいて印刷用紙の紙粉の量pを計測してもよい。
【0030】
また、軸受け22に電源回路40の電源電圧が入力される導通期間のデューティー比を、印刷用紙の紙粉の量pに応じて連続的に調整してもよい。すなわち、紙粉の量pが大きいほど、デューティー比を小さくするようにしてもよい。これにより、紙粉の量pが多いほど回転翼21に紙粉が吸着しにくくすることができ、回転翼21の回転速度の低下を抑制できる。
【0031】
本発明が適用可能な印刷装置は、印刷用紙を切断する切断手段を備える印刷装置であればよく、印刷部の印刷方式、印刷用紙の供給方式は特に限定されない。また、印刷用紙の紙粉の量pを計測すればよく、清掃すべき通知を行わせることなく、または、清掃すべき通知とともに、印刷用紙の紙粉の量pを表示したり印刷したりしてもよい。さらに、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値以上となった場合に、マイコン10は印刷部80に印刷を禁止させてもよい。また、清掃手段を備えるプリンター1において、印刷用紙の紙粉の量pが所定閾値以上となった場合に、清掃手段に清掃を行わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…プリンター、10…マイコン、10a…フラッシュメモリー、10b…A/Dポート、20…ファン部、21…回転翼、21a…回転軸、23…駆動モーター、30…間欠スイッチ、40…電源回路、50…電流測定用抵抗、60…オートカッター、61…固定刃、62…駆動刃、63…駆動部、70…紙搬送部、80…印刷部、H…印刷ヘッド、O…排紙口、R…ロール、S…スイッチ信号、B…筐体、T…テーブル、P…紙粉量計測プログラム、M1…紙粉量計測モジュール、M2…通知モジュール、M3…電圧制御モジュール、MB…主基板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属刃により印刷用紙を切断する切断手段と、
回転軸を中心に回転する回転翼と、
前記回転軸の軸受けに正電圧を印加する電圧印加手段と、
前記回転翼を駆動させる駆動モーターの駆動電流の増加量に応じた量を、前記印刷用紙の紙粉の量として計測する紙粉量計測手段と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記電圧印加手段は、前記印刷用紙の紙粉の量が所定閾値以上となった場合に、前記軸受けに対する前記正電圧の印加を停止させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記紙粉量計測手段は、複数の時刻における前記駆動電流の電流値の増加量の累積値に応じた量を、前記印刷用紙の紙粉の量として計測する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−213960(P2012−213960A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81671(P2011−81671)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】