印刷装置
【課題】熱転写型の印刷装置において、マルチパネル印刷における複数の画像に対応させてOP層を印刷する場合に、OP層同士の継ぎ目が視認されるのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置は、インクシート41に設けられた染料層44及びOP層45のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の分割画像15に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置である。この印刷装置は、複数の分割画像15に対応する各OP層45を、当該OP層45の表面に複数の凹凸48を施したマットOPとして継ぎ目49の前後で重ねてペーパー31に熱転写するサーマルヘッド27を備える。
【解決手段】印刷装置は、インクシート41に設けられた染料層44及びOP層45のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の分割画像15に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置である。この印刷装置は、複数の分割画像15に対応する各OP層45を、当該OP層45の表面に複数の凹凸48を施したマットOPとして継ぎ目49の前後で重ねてペーパー31に熱転写するサーマルヘッド27を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものであり、特に、インクシートの染料層のパネルサイズを超える画像を分割して印刷する熱転写型の印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置においては、インクシートに設けられたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)などの染料層の染料を、ペーパーなどの被印刷物に重ねて熱転写することによって、当該被印刷物にカラー画像を印刷するものがある。このような印刷装置においては様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、印刷物の耐候性や耐指紋性を向上させるべく、カラー画像が印刷された領域上に、OP(オーバーコート)層を熱転写(印刷)する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、染料層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う技術が開示されている。この技術によれば、従来の印刷装置が被印刷物に印刷できた最大サイズ(パネルサイズ)を超える画像を印刷することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−82610号公報
【特許文献2】特開2010−58342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、マルチパネル印刷を行う印刷装置において、分割単位となる複数の画像に対応させてOP層を被印刷物に熱転写すると、OP層同士の継ぎ目において光が乱反射し、当該継ぎ目が視認されてしまうものとなっている。また、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、OP層同士の継ぎ目が視認されないようにするものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、熱転写型の印刷装置において、マルチパネル印刷における複数の画像に対応させてOP層を印刷する場合に、OP層同士の継ぎ目が視認されるのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷装置は、インクシートに設けられた染料層及びOP層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置である。この印刷装置は、前記マルチパネル印刷における前記複数の画像に対応する各前記OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとして継ぎ目の前後で重ねて被印刷物に熱転写する転写部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マルチパネル印刷における複数の画像に対応する各OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとしてペーパーに熱転写する。OP層表面に施された複数の凹凸においては、OP層同士の継ぎ目と同様に光が乱反射する。したがって、当該継ぎ目が目立たなくなり、OP層同士の継ぎ目が視認されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図5】実施の形態2に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図6】実施の形態3に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図7】実施の形態3に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図8】実施の形態4に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図9】実施の形態4に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態5に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図11】実施の形態6に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図12】前提印刷装置の構成を示す図である。
【図13】インクシートの構成を示す図である。
【図14】染料層の染料が熱転写される様子を示す断面図である。
【図15】OP層が熱転写される様子を示す断面図である。
【図16】マルチパネル印刷の動作を示す図である。
【図17】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図18】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図19】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図20】OP層の継ぎ目が視認されることを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
まず、本実施の形態1に係る熱転写型の印刷装置について説明する前に、前提となる印刷装置(以下、「前提印刷装置」と呼ぶ)について説明する。
【0012】
図12は、前提印刷装置の構成を示す図である。この図12に示されるように、この前提印刷装置には、帯形状のペーパー31(被印刷物)を中空ロール状に巻回したペーパーロール32と、ペーパー31に熱転写すべき染料等が設けられた帯形状のインクシート41とが取り付けられている。また、同図12に示されるように、前提印刷装置は、ペーパーロール32から引き出されたペーパー31を搬送する搬送機構100と、搬送機構100により搬送されるペーパー31にインクシート41の染料等を熱転写するサーマルヘッド27とを備えている。
【0013】
搬送機構100は、ガイドローラー11と、互いに対向するグリップローラー12及びピンチローラー13と、サーマルヘッド27と対向するプラテンローラー14とを備えている。ペーパーロール32から引き出されたペーパー31は、ガイドローラー11と当接した後、グリップローラー12とピンチローラー13との間、プラテンローラー14とサーマルヘッド27との間に順に通されている。このうちグリップローラー12は、ペーパー31を介してピンチローラー13と圧接しており、この状態で、グリップローラー12が、モータ(図12では図示しない)の駆動力を受けて軸方向の周りに回転すると、ペーパー31がその帯方向に搬送される。
【0014】
供給用インクボビン42から引き出されたインクシート41は、ペーパー31と重ねられた状態で、プラテンローラー14及びサーマルヘッド27により挟持された後、巻取り用インクボビン43に巻かれる。インクシート41が、巻取り用インクボビン43に次々と巻き取られていくことにより、供給用インクボビン42から巻取り用インクボビン43に向かって移動する。
【0015】
図13は、一般的なインクシート41の構造を示す平面図である。この図13に示されるように、インクシート41には、イエロー、マゼンタ、シアン染料からなるパネル状(四角形状)の染料層44Y1,44M1,44C1と、ペーパー31表面を保護するためのパネル状のOP(オーバーコート)層45OP1とが、巻取り用インクボビン43から供給用インクボビン42に向かって順に設けられている。そして、染料層44Y1,44M1,44C1及びOP層45OP1の後続に、これらと同じ染料層44Y2,44M2,44C2及びOP層45OP2,…が繰り返し設けられている。
【0016】
以下、染料層44Y1,44M1,44C1,44Y2,…をそれぞれ区別する必要がない場合には、それぞれを「染料層44」と記し、OP層45OP1,45OP2,…をそれぞれ区別する必要がない場合には、それぞれを「OP層45」と記す。
【0017】
図14は、インクシート41に設けられた染料層44が、サーマルヘッド27によってペーパー31に熱転写される様子を示す断面図である。インクシート41は、上述した染料層44が主面に設けられたインクシート基材46を有しており、ペーパー31は、受容層33とペーパー基材34とを有している。
【0018】
サーマルヘッド27がインクシート基材46と接触された状態で加熱されると、染料層44の一部の染料が、相変化(溶融または昇華)して受容層33に熱転写・定着される。この熱転写が、ペーパー31及びインクシート41が搬送されている状態で行われることにより、染料層44の染料と同じ色の画像が、染料層44のパネルサイズを超えないサイズでペーパー31に印刷される。以下、この印刷においてサーマルヘッド27が、ペーパーを印刷していく方向を「印刷方向」と呼ぶこともある。
【0019】
熱転写の対象となる染料層44は、巻取り用インクボビン43から供給用インクボビン42に向かう方向にシフトしていく。例えば、図13に示されるインクシート41が用いられる場合には、イエロー、マゼンタ、シアンの染料層の順に熱転写されることにより、イエロー、マゼンタ、シアンの画像が順にペーパー31に印刷される。前提印刷装置は、この3色の画像を、ペーパー31の同一領域に重ねて印刷することから、パネルサイズを超えないカラー画像をペーパー31に写真印刷すること可能となっている。
【0020】
図15は、インクシート41に設けられたOP層45が、サーマルヘッド27によってペーパー31に熱転写される様子を示す断面図である。インクシート基材46上にはOP層45が設けられ、OP層45上には接着剤からなる接着層47が設けられている。サーマルヘッド27がインクシート基材46と接触された状態で加熱されると、接着層47の接着力が強くなり、OP層45がペーパー31に接着(熱転写)される。そして、ペーパー31に接着されたOP層45がインクシート基材46から剥離する。なお、このOP層45の転写厚は、例えば2μm程度が望ましい。
【0021】
このOP層45の熱転写は、カラー画像が印刷された領域において行われ、当該領域がOP層45により覆われて保護される。したがって、ペーパー31の印刷面の対候性や対指紋性が向上する。なお、OP層45の種類としては、図15に示したパネルサイズ単位で熱転写されるもの以外に、図14に示した染料層44のように相変化してドット単位で熱転写可能なものもある。
【0022】
さて、印刷したい画像(原画像)のサイズが、長尺である場合、インクシート41の1画面分のサイズ(染料層44のパネルサイズ)を超える場合がある。このような場合には、当該原画像のサイズと同じパネルサイズのインクシート41を新規に作成すればよいが、一方でインクシートシリンダーの金型費用などのイニシャルコストや、インクシート41の品種が多くなることにより管理コストが増加する。しかし、もし、既存のインクシート41を使用して、これら費用を抑制することができれば、コスト面で非常に有利である。この前提印刷装置においては、既存のインクシート41を使用して、そのパネルサイズを超える画像を印刷することか可能となっている。
【0023】
図16は、前提印刷装置が、既存のインクシート41を使用して、当該インクシート41のパネルサイズを超える原画像を印刷する方法を説明する図である。
【0024】
この前提印刷装置は、インクシート41に設けられた染料層44及びOP層45のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の分割画像15に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う。つまり、前提印刷装置は、原画像を、それぞれが1画面のサイズ(1パネルサイズ)を超えない、第1分割画像151、第2分割画像152、…、第N分割画像15NにN分割し、各々をペーパー31の帯方向に順に印刷する。この際、分割画像15同士が隙間なく接するように、搬送機構100によるペーパー31の送り量が調整される。
【0025】
具体的には、図13に示される染料層44Y1,44M1,44C1とOP層45OP1とをこの順で使用して、ペーパー31に第1分割画像151を印刷する。その後、染料層44Y2,44M2,44C2とOP層45OP2とをこの順で使用して、第1分割画像151の印刷方向後端部から続けて第2分割画像152を印刷する。前提印刷装置は、原画像全体を印刷するまでこの印刷を繰り返す。その後、前提印刷装置は、ペーパー31を排出しカットする。
【0026】
以上のようなマルチパネル印刷を行う前提印刷装置においては、印刷方向に最大Lmmの長さで印刷可能な既存のインクシート41を用いて、印刷方向にN×Lmmの長さを有する原画像をペーパー31に印刷することができる。なお、特許文献1には、このような印刷の一例として、原画像サイズの半分に相当するパネルサイズの第1分割画像151をまず印刷してから、同パネルサイズの第2分割画像152を第1分割画像151に接触させて印刷する方法が開示されている。
【0027】
次に、上記マルチパネル印刷における複数の分割画像15に対応させて、OP層45を熱転写した際の継ぎ目について説明する。
【0028】
図17〜図19は、上記マルチパネル印刷において熱転写された第n分割画像15n(n=1,…,N−1)のOP層45OPn後端部と、その後に熱転写される第(n+1)分割画像15n+1のOP層45OPn+1先端部との継ぎ目を示す断面図である。OP層45同士の継ぎ目としては、OP層45OPnの後端部及びOP層45OPn+1の先端部が隣接して形成される場合(図17)、OP層45OPnの後端部の上にOP層45OPn+1の先端部が重ねられて形成される場合(図18)、OP層45OPnの後端部及びOP層45OPn+1の先端部が互いに離間する場合(図19)が想定される。
【0029】
図20は、図18の示される継ぎ目における光の経路を示す図である。なお、この図において、矢印は、光の進行方向を示す。この図20に示されるように、OP層45OPnと、OP層45OPn+1との継ぎ目において、それらの端部が互いに重なって形成される段差において光が乱反射する。そのため、ペーパー31を平面視した場合に、その段差に対応する継ぎ目がはっきりと視認されてしまうことになる。このような問題は、図18に示される継ぎ目だけでなく、図17及び図19に示される継ぎ目においても生じる。
【0030】
そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、OP層45同士の継ぎ目が視認されるのを抑制することを目的としている。以下、このような印刷装置について説明する。なお、以下においては、上述の前提印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、前提印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る熱転写型の印刷装置の構成を示すブロック図である。この印刷装置は、モータ制御部21と、モータ22と、メモリコントローラ23と、メモリ24と、ホストPC25と、サーマルヘッドコントローラ26と、サーマルヘッド27と、これらを統括的に制御するCPU28とを備える。メモリコントローラ23、ホストPC25、サーマルヘッドコントローラ26及びCPU28は、制御バス110を介してデータ等を互いに入出力可能となっている。
【0032】
CPU28はモータ制御部21を制御し、モータ制御部21は、CPU28の制御に応じてモータ22を駆動する。駆動されたモータ22の駆動力は、上述のグリップローラー12に伝達され、グリップローラー12がその軸方向の周りに回転する。なお、上述の搬送機構100は、モータ制御部21及びモータ22を備えたものとなっている。
【0033】
メモリコントローラ23は、図1の矢印F1に示されるように、ホストPC25から入力された画像データをメモリ24に記憶する。このメモリコントローラ23は、例えばCPU28の制御により、メモリ24に記憶された画像データをサーマルヘッドコントローラ26に出力する。CPU28はサーマルヘッドコントローラ26を制御し、サーマルヘッドコントローラ26は、図1の矢印F2に示されるように、メモリコントローラ23からの画像データに基づいて、サーマルヘッド27を制御する。サーマルヘッド27は、メモリコントローラ23からの制御により、インクシート41の染料層44等をペーパー31に転写する。
【0034】
図2及び図3は、本実施の形態に係る印刷装置により熱転写されたOP層45を示す図である。図2の上側には、図2の下側の図の点線部分を拡大した断面図が示されている。これらの図に示されるように、本実施の形態に係る転写部たるサーマルヘッド27は、マルチパネル印刷における複数の分割画像15n,15n+1に対応する各OP層OP45n,OP45n+1を、当該OP層OP45n,OP45n+1の表面に複数の四角形状の凹部を施したマットOPとしてペーパー31に熱転写する。なお、ここでは、OP層45の表面に複数の四角形状の凹部を施すとしているが、これに限ったものではなく、OP層45の表面に複数の四角形状の凸部を施すものであってもよい。そこで、以下の説明には、凹部及び凸部を区別しない場合には、凹凸48と記す。
【0035】
次に、昇華型プリンターの分野においてマットOPと呼ばれる、凹凸48が施されたOP層45を形成する方法について説明する。
【0036】
サーマルヘッド27は、OP層45転写の際の熱エネルギーをOP層45の位置ごとに変動させることにより、OP層45の転写濃度(転写後の厚さ)を変化させる。具体的には、サーマルヘッド27は、凹部を形成する位置において転写時の熱エネルギーを低くし、凸部を形成する位置において転写時の熱エネルギーを高くする。なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。
【0037】
本実施の形態に係るサーマルヘッドは、OP層45(マットOP)を、継ぎ目49の前後で重ねてペーパー31に熱転写する。なお、OP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において、OP層45の配列方向と垂直方向に延びる直線形状となっている。
【0038】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、マルチパネル印刷における複数の画像に対応する各OP層45を、当該OP層45の表面に複数の凹凸48を施したマットOPとしてペーパー31に熱転写する。OP層45表面に施された複数の凹凸48においては、OP層45同士の継ぎ目49と同様に光が乱反射する。したがって、継ぎ目49が目立たなくなり、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのを抑制することができる。
【0039】
<実施の形態2>
図4及び図5は、上記図2及び図3と同様に、本実施の形態2に係る熱転写型の印刷装置により熱転写されたOP層45を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図4及び図5に示されるように、本実施の形態に係るOP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において直線形状を有している。そして、本実施の形態においては、サーマルヘッド27により施される複数の凹凸48が、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状を含んでいる。具体的には、複数の凹凸48は、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状の凹凸と、継ぎ目49と垂直な直線形状の凹凸とを有している。
【0041】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、複数の凹凸48の形状が、OP層45同士の継ぎ目49の形状と相関が高いマットパターンとなっていることから、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0042】
<実施の形態3>
図6及び図7は、上記図2及び図3と同様に、本実施の形態3に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
図6及び図7に示されるように、本実施の形態に係るOP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において直線形状を有している。そして、本実施の形態においては、サーマルヘッド27により施される複数の凹凸48が、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状を含んでいる。具体的には、複数の凹凸48のそれぞれが、平面視においてH字形状を有しており、そのうちの二辺が、OP層45同士の継ぎ目49と平行となっている。
【0044】
そして、サーマルヘッド27により施される直線形状の凹凸が、平面視においてOP層45同士の継ぎ目49と揃っている。本実施の形態では、凹凸を成す凹部と凸部との境目が、OP層45の継ぎ目49を成す端部の先端と揃っている。なお、一般的な昇華型プリンターでは、ペーパー31をグリップローラー12とピンチローラー13とで搬送することで、1パルス約80μmという高精度の紙搬送が可能となっていることから、直線形状の凹凸と、OP層45同士の継ぎ目49とを揃えることは可能である。
【0045】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、複数の凹凸48が、OP層45同士の継ぎ目49と揃うマットパターンを有することから、継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0046】
<実施の形態4>
図8は、本実施の形態4に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。なお、この図8においては、上述の凹凸48の図示は省略している。また、図8に示される例では、三角形、長方形、楕円のそれぞれの内部において画像の濃度が高くなっている。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
一般的に、ペーパー31に印刷された印刷画像の低濃度部分では、印刷面の反射輝度が高くなることが知られている。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、図8に示されるように、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷画像の濃度が比較的低い部分に形成することが可能となっている。以下、このような本実施の形態に係る印刷装置について説明する。
【0048】
図9は、本実施の形態に係る熱転写型の印刷装置の構成を示すブロック図である。この印刷装置は、実施の形態1に係る印刷装置に、画像濃度分析部29を加えたものとなっている。この画像濃度分析部29は、ペーパー31のうちOP層45同士の継ぎ目49が形成され得る領域に印刷された画像の濃度を分析する。つまり、画像濃度分析部29は、OP層45OPnが転写可能な領域と、OP層45OPn+1が転写可能な領域とがオーバーラップするオーバーラップ領域(図8に示される二つの点線に挟まれる領域)に印刷された画像の濃度を分析する。なお、この画像濃度分析部29は、例えば、ペーパー31に印刷された画像を取得するカメラと、当該画像を分析するCPU28とから構成される。
【0049】
本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、画像濃度分析部29で分析された印刷画像の濃度が低い部分において、OP層45OPnの後端と、OP層45OPn+1の先端とが重なり合うように熱転写する。つまり、この印刷装置は、画像濃度分析部29で分析された濃度に基づいて、平面視における、OP層45同士の継ぎ目49の形状を変更する。
【0050】
なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。また、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が短い場合には、継ぎ目49の形状を直線形状からほとんど変化させることができなくなり、その結果として、継ぎ目49が印刷画像の濃度の高い部分上に形成されてしまう可能性が高くなる。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が十分に長くなっている。
【0051】
本実施の形態に係る印刷装置の以上の動作により、OP層45同士の継ぎ目49が、図8に示されるように、濃度が高い三角形、長方形、楕円と重ならないように形成される。このような本実施の形態に係る印刷装置によれば、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷された画像の濃度が低い部分上に形成することができるため、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0052】
<実施の形態5>
図10は、図8と同様に、本実施の形態5に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。ただし、この図においては、理解を容易にするため、継ぎ目49の印刷方向の幅を少し拡大している。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図10に示されるように、本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、ペーパー31のうちOP層45同士の継ぎ目49が形成される領域35に印刷すべき画像の濃度を低くする。したがって、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷画像の濃度が低い部分上に形成することができるため、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0054】
<実施の形態6>
図11は、図8と同様に、本実施の形態5に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
一般的に、横長のペーパー31(被印刷物)においては、副走査方向(横幅方向)に対し直交するように画像が配置され、一方印刷物を観察する観察者も横幅方向に対して直交するように観察する。すなわち、観察者の視線は、画像の配置方向またはその垂直方向(印刷方向またはその垂直方向)に注意深くなると考えられる。したがって、OP層45同士の継ぎ目49を画像の配置方向に対して傾斜させれば、観察者は継ぎ目49を視認しにくくなると考えられる。
【0056】
そこで、図11に示されるように、本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、上記オーバーラップ領域の対角線上に継ぎ目49を形成するように、当該対角線上に、OP層45OPnの後端部と、OP層45OPn+1の先端部とを配設する。つまり、この印刷装置は、OP層45同士の継ぎ目49の形状を、平面視においてOP層45の配列方向(印刷方向)と垂直方向から傾けられた方向に延びる直線形状にする。
【0057】
なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。また、上述のオーバー領域の印刷方向の幅が短い場合には、継ぎ目49の直線方向、印刷方向と垂直方向とのなす角を十分に大きくすることができない。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が十分に長くなっている。
【0058】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、OP層45同士の継ぎ目49を、画像の配置方向または水平方向から傾けることから、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
15 分割画像、27 サーマルヘッド、29 画像濃度分析部、31 ペーパー、41 インクシート、44 染料層、45 OP層、48 凹凸、49 継ぎ目。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものであり、特に、インクシートの染料層のパネルサイズを超える画像を分割して印刷する熱転写型の印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置においては、インクシートに設けられたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)などの染料層の染料を、ペーパーなどの被印刷物に重ねて熱転写することによって、当該被印刷物にカラー画像を印刷するものがある。このような印刷装置においては様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、印刷物の耐候性や耐指紋性を向上させるべく、カラー画像が印刷された領域上に、OP(オーバーコート)層を熱転写(印刷)する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、染料層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う技術が開示されている。この技術によれば、従来の印刷装置が被印刷物に印刷できた最大サイズ(パネルサイズ)を超える画像を印刷することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−82610号公報
【特許文献2】特開2010−58342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、マルチパネル印刷を行う印刷装置において、分割単位となる複数の画像に対応させてOP層を被印刷物に熱転写すると、OP層同士の継ぎ目において光が乱反射し、当該継ぎ目が視認されてしまうものとなっている。また、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、OP層同士の継ぎ目が視認されないようにするものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、熱転写型の印刷装置において、マルチパネル印刷における複数の画像に対応させてOP層を印刷する場合に、OP層同士の継ぎ目が視認されるのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷装置は、インクシートに設けられた染料層及びOP層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置である。この印刷装置は、前記マルチパネル印刷における前記複数の画像に対応する各前記OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとして継ぎ目の前後で重ねて被印刷物に熱転写する転写部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マルチパネル印刷における複数の画像に対応する各OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとしてペーパーに熱転写する。OP層表面に施された複数の凹凸においては、OP層同士の継ぎ目と同様に光が乱反射する。したがって、当該継ぎ目が目立たなくなり、OP層同士の継ぎ目が視認されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図4】実施の形態2に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図5】実施の形態2に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図6】実施の形態3に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図7】実施の形態3に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図8】実施の形態4に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図9】実施の形態4に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態5に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図11】実施の形態6に係る印刷装置により熱転写されたOP層を示す図である。
【図12】前提印刷装置の構成を示す図である。
【図13】インクシートの構成を示す図である。
【図14】染料層の染料が熱転写される様子を示す断面図である。
【図15】OP層が熱転写される様子を示す断面図である。
【図16】マルチパネル印刷の動作を示す図である。
【図17】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図18】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図19】マルチパネル印刷におけるOP層の継ぎ目を示す断面図である。
【図20】OP層の継ぎ目が視認されることを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
まず、本実施の形態1に係る熱転写型の印刷装置について説明する前に、前提となる印刷装置(以下、「前提印刷装置」と呼ぶ)について説明する。
【0012】
図12は、前提印刷装置の構成を示す図である。この図12に示されるように、この前提印刷装置には、帯形状のペーパー31(被印刷物)を中空ロール状に巻回したペーパーロール32と、ペーパー31に熱転写すべき染料等が設けられた帯形状のインクシート41とが取り付けられている。また、同図12に示されるように、前提印刷装置は、ペーパーロール32から引き出されたペーパー31を搬送する搬送機構100と、搬送機構100により搬送されるペーパー31にインクシート41の染料等を熱転写するサーマルヘッド27とを備えている。
【0013】
搬送機構100は、ガイドローラー11と、互いに対向するグリップローラー12及びピンチローラー13と、サーマルヘッド27と対向するプラテンローラー14とを備えている。ペーパーロール32から引き出されたペーパー31は、ガイドローラー11と当接した後、グリップローラー12とピンチローラー13との間、プラテンローラー14とサーマルヘッド27との間に順に通されている。このうちグリップローラー12は、ペーパー31を介してピンチローラー13と圧接しており、この状態で、グリップローラー12が、モータ(図12では図示しない)の駆動力を受けて軸方向の周りに回転すると、ペーパー31がその帯方向に搬送される。
【0014】
供給用インクボビン42から引き出されたインクシート41は、ペーパー31と重ねられた状態で、プラテンローラー14及びサーマルヘッド27により挟持された後、巻取り用インクボビン43に巻かれる。インクシート41が、巻取り用インクボビン43に次々と巻き取られていくことにより、供給用インクボビン42から巻取り用インクボビン43に向かって移動する。
【0015】
図13は、一般的なインクシート41の構造を示す平面図である。この図13に示されるように、インクシート41には、イエロー、マゼンタ、シアン染料からなるパネル状(四角形状)の染料層44Y1,44M1,44C1と、ペーパー31表面を保護するためのパネル状のOP(オーバーコート)層45OP1とが、巻取り用インクボビン43から供給用インクボビン42に向かって順に設けられている。そして、染料層44Y1,44M1,44C1及びOP層45OP1の後続に、これらと同じ染料層44Y2,44M2,44C2及びOP層45OP2,…が繰り返し設けられている。
【0016】
以下、染料層44Y1,44M1,44C1,44Y2,…をそれぞれ区別する必要がない場合には、それぞれを「染料層44」と記し、OP層45OP1,45OP2,…をそれぞれ区別する必要がない場合には、それぞれを「OP層45」と記す。
【0017】
図14は、インクシート41に設けられた染料層44が、サーマルヘッド27によってペーパー31に熱転写される様子を示す断面図である。インクシート41は、上述した染料層44が主面に設けられたインクシート基材46を有しており、ペーパー31は、受容層33とペーパー基材34とを有している。
【0018】
サーマルヘッド27がインクシート基材46と接触された状態で加熱されると、染料層44の一部の染料が、相変化(溶融または昇華)して受容層33に熱転写・定着される。この熱転写が、ペーパー31及びインクシート41が搬送されている状態で行われることにより、染料層44の染料と同じ色の画像が、染料層44のパネルサイズを超えないサイズでペーパー31に印刷される。以下、この印刷においてサーマルヘッド27が、ペーパーを印刷していく方向を「印刷方向」と呼ぶこともある。
【0019】
熱転写の対象となる染料層44は、巻取り用インクボビン43から供給用インクボビン42に向かう方向にシフトしていく。例えば、図13に示されるインクシート41が用いられる場合には、イエロー、マゼンタ、シアンの染料層の順に熱転写されることにより、イエロー、マゼンタ、シアンの画像が順にペーパー31に印刷される。前提印刷装置は、この3色の画像を、ペーパー31の同一領域に重ねて印刷することから、パネルサイズを超えないカラー画像をペーパー31に写真印刷すること可能となっている。
【0020】
図15は、インクシート41に設けられたOP層45が、サーマルヘッド27によってペーパー31に熱転写される様子を示す断面図である。インクシート基材46上にはOP層45が設けられ、OP層45上には接着剤からなる接着層47が設けられている。サーマルヘッド27がインクシート基材46と接触された状態で加熱されると、接着層47の接着力が強くなり、OP層45がペーパー31に接着(熱転写)される。そして、ペーパー31に接着されたOP層45がインクシート基材46から剥離する。なお、このOP層45の転写厚は、例えば2μm程度が望ましい。
【0021】
このOP層45の熱転写は、カラー画像が印刷された領域において行われ、当該領域がOP層45により覆われて保護される。したがって、ペーパー31の印刷面の対候性や対指紋性が向上する。なお、OP層45の種類としては、図15に示したパネルサイズ単位で熱転写されるもの以外に、図14に示した染料層44のように相変化してドット単位で熱転写可能なものもある。
【0022】
さて、印刷したい画像(原画像)のサイズが、長尺である場合、インクシート41の1画面分のサイズ(染料層44のパネルサイズ)を超える場合がある。このような場合には、当該原画像のサイズと同じパネルサイズのインクシート41を新規に作成すればよいが、一方でインクシートシリンダーの金型費用などのイニシャルコストや、インクシート41の品種が多くなることにより管理コストが増加する。しかし、もし、既存のインクシート41を使用して、これら費用を抑制することができれば、コスト面で非常に有利である。この前提印刷装置においては、既存のインクシート41を使用して、そのパネルサイズを超える画像を印刷することか可能となっている。
【0023】
図16は、前提印刷装置が、既存のインクシート41を使用して、当該インクシート41のパネルサイズを超える原画像を印刷する方法を説明する図である。
【0024】
この前提印刷装置は、インクシート41に設けられた染料層44及びOP層45のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の分割画像15に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う。つまり、前提印刷装置は、原画像を、それぞれが1画面のサイズ(1パネルサイズ)を超えない、第1分割画像151、第2分割画像152、…、第N分割画像15NにN分割し、各々をペーパー31の帯方向に順に印刷する。この際、分割画像15同士が隙間なく接するように、搬送機構100によるペーパー31の送り量が調整される。
【0025】
具体的には、図13に示される染料層44Y1,44M1,44C1とOP層45OP1とをこの順で使用して、ペーパー31に第1分割画像151を印刷する。その後、染料層44Y2,44M2,44C2とOP層45OP2とをこの順で使用して、第1分割画像151の印刷方向後端部から続けて第2分割画像152を印刷する。前提印刷装置は、原画像全体を印刷するまでこの印刷を繰り返す。その後、前提印刷装置は、ペーパー31を排出しカットする。
【0026】
以上のようなマルチパネル印刷を行う前提印刷装置においては、印刷方向に最大Lmmの長さで印刷可能な既存のインクシート41を用いて、印刷方向にN×Lmmの長さを有する原画像をペーパー31に印刷することができる。なお、特許文献1には、このような印刷の一例として、原画像サイズの半分に相当するパネルサイズの第1分割画像151をまず印刷してから、同パネルサイズの第2分割画像152を第1分割画像151に接触させて印刷する方法が開示されている。
【0027】
次に、上記マルチパネル印刷における複数の分割画像15に対応させて、OP層45を熱転写した際の継ぎ目について説明する。
【0028】
図17〜図19は、上記マルチパネル印刷において熱転写された第n分割画像15n(n=1,…,N−1)のOP層45OPn後端部と、その後に熱転写される第(n+1)分割画像15n+1のOP層45OPn+1先端部との継ぎ目を示す断面図である。OP層45同士の継ぎ目としては、OP層45OPnの後端部及びOP層45OPn+1の先端部が隣接して形成される場合(図17)、OP層45OPnの後端部の上にOP層45OPn+1の先端部が重ねられて形成される場合(図18)、OP層45OPnの後端部及びOP層45OPn+1の先端部が互いに離間する場合(図19)が想定される。
【0029】
図20は、図18の示される継ぎ目における光の経路を示す図である。なお、この図において、矢印は、光の進行方向を示す。この図20に示されるように、OP層45OPnと、OP層45OPn+1との継ぎ目において、それらの端部が互いに重なって形成される段差において光が乱反射する。そのため、ペーパー31を平面視した場合に、その段差に対応する継ぎ目がはっきりと視認されてしまうことになる。このような問題は、図18に示される継ぎ目だけでなく、図17及び図19に示される継ぎ目においても生じる。
【0030】
そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、OP層45同士の継ぎ目が視認されるのを抑制することを目的としている。以下、このような印刷装置について説明する。なお、以下においては、上述の前提印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、前提印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る熱転写型の印刷装置の構成を示すブロック図である。この印刷装置は、モータ制御部21と、モータ22と、メモリコントローラ23と、メモリ24と、ホストPC25と、サーマルヘッドコントローラ26と、サーマルヘッド27と、これらを統括的に制御するCPU28とを備える。メモリコントローラ23、ホストPC25、サーマルヘッドコントローラ26及びCPU28は、制御バス110を介してデータ等を互いに入出力可能となっている。
【0032】
CPU28はモータ制御部21を制御し、モータ制御部21は、CPU28の制御に応じてモータ22を駆動する。駆動されたモータ22の駆動力は、上述のグリップローラー12に伝達され、グリップローラー12がその軸方向の周りに回転する。なお、上述の搬送機構100は、モータ制御部21及びモータ22を備えたものとなっている。
【0033】
メモリコントローラ23は、図1の矢印F1に示されるように、ホストPC25から入力された画像データをメモリ24に記憶する。このメモリコントローラ23は、例えばCPU28の制御により、メモリ24に記憶された画像データをサーマルヘッドコントローラ26に出力する。CPU28はサーマルヘッドコントローラ26を制御し、サーマルヘッドコントローラ26は、図1の矢印F2に示されるように、メモリコントローラ23からの画像データに基づいて、サーマルヘッド27を制御する。サーマルヘッド27は、メモリコントローラ23からの制御により、インクシート41の染料層44等をペーパー31に転写する。
【0034】
図2及び図3は、本実施の形態に係る印刷装置により熱転写されたOP層45を示す図である。図2の上側には、図2の下側の図の点線部分を拡大した断面図が示されている。これらの図に示されるように、本実施の形態に係る転写部たるサーマルヘッド27は、マルチパネル印刷における複数の分割画像15n,15n+1に対応する各OP層OP45n,OP45n+1を、当該OP層OP45n,OP45n+1の表面に複数の四角形状の凹部を施したマットOPとしてペーパー31に熱転写する。なお、ここでは、OP層45の表面に複数の四角形状の凹部を施すとしているが、これに限ったものではなく、OP層45の表面に複数の四角形状の凸部を施すものであってもよい。そこで、以下の説明には、凹部及び凸部を区別しない場合には、凹凸48と記す。
【0035】
次に、昇華型プリンターの分野においてマットOPと呼ばれる、凹凸48が施されたOP層45を形成する方法について説明する。
【0036】
サーマルヘッド27は、OP層45転写の際の熱エネルギーをOP層45の位置ごとに変動させることにより、OP層45の転写濃度(転写後の厚さ)を変化させる。具体的には、サーマルヘッド27は、凹部を形成する位置において転写時の熱エネルギーを低くし、凸部を形成する位置において転写時の熱エネルギーを高くする。なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。
【0037】
本実施の形態に係るサーマルヘッドは、OP層45(マットOP)を、継ぎ目49の前後で重ねてペーパー31に熱転写する。なお、OP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において、OP層45の配列方向と垂直方向に延びる直線形状となっている。
【0038】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、マルチパネル印刷における複数の画像に対応する各OP層45を、当該OP層45の表面に複数の凹凸48を施したマットOPとしてペーパー31に熱転写する。OP層45表面に施された複数の凹凸48においては、OP層45同士の継ぎ目49と同様に光が乱反射する。したがって、継ぎ目49が目立たなくなり、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのを抑制することができる。
【0039】
<実施の形態2>
図4及び図5は、上記図2及び図3と同様に、本実施の形態2に係る熱転写型の印刷装置により熱転写されたOP層45を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図4及び図5に示されるように、本実施の形態に係るOP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において直線形状を有している。そして、本実施の形態においては、サーマルヘッド27により施される複数の凹凸48が、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状を含んでいる。具体的には、複数の凹凸48は、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状の凹凸と、継ぎ目49と垂直な直線形状の凹凸とを有している。
【0041】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、複数の凹凸48の形状が、OP層45同士の継ぎ目49の形状と相関が高いマットパターンとなっていることから、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0042】
<実施の形態3>
図6及び図7は、上記図2及び図3と同様に、本実施の形態3に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
図6及び図7に示されるように、本実施の形態に係るOP層45同士の継ぎ目49の形状は、平面視において直線形状を有している。そして、本実施の形態においては、サーマルヘッド27により施される複数の凹凸48が、平面視において継ぎ目49と平行な直線形状を含んでいる。具体的には、複数の凹凸48のそれぞれが、平面視においてH字形状を有しており、そのうちの二辺が、OP層45同士の継ぎ目49と平行となっている。
【0044】
そして、サーマルヘッド27により施される直線形状の凹凸が、平面視においてOP層45同士の継ぎ目49と揃っている。本実施の形態では、凹凸を成す凹部と凸部との境目が、OP層45の継ぎ目49を成す端部の先端と揃っている。なお、一般的な昇華型プリンターでは、ペーパー31をグリップローラー12とピンチローラー13とで搬送することで、1パルス約80μmという高精度の紙搬送が可能となっていることから、直線形状の凹凸と、OP層45同士の継ぎ目49とを揃えることは可能である。
【0045】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、複数の凹凸48が、OP層45同士の継ぎ目49と揃うマットパターンを有することから、継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0046】
<実施の形態4>
図8は、本実施の形態4に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。なお、この図8においては、上述の凹凸48の図示は省略している。また、図8に示される例では、三角形、長方形、楕円のそれぞれの内部において画像の濃度が高くなっている。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
一般的に、ペーパー31に印刷された印刷画像の低濃度部分では、印刷面の反射輝度が高くなることが知られている。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、図8に示されるように、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷画像の濃度が比較的低い部分に形成することが可能となっている。以下、このような本実施の形態に係る印刷装置について説明する。
【0048】
図9は、本実施の形態に係る熱転写型の印刷装置の構成を示すブロック図である。この印刷装置は、実施の形態1に係る印刷装置に、画像濃度分析部29を加えたものとなっている。この画像濃度分析部29は、ペーパー31のうちOP層45同士の継ぎ目49が形成され得る領域に印刷された画像の濃度を分析する。つまり、画像濃度分析部29は、OP層45OPnが転写可能な領域と、OP層45OPn+1が転写可能な領域とがオーバーラップするオーバーラップ領域(図8に示される二つの点線に挟まれる領域)に印刷された画像の濃度を分析する。なお、この画像濃度分析部29は、例えば、ペーパー31に印刷された画像を取得するカメラと、当該画像を分析するCPU28とから構成される。
【0049】
本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、画像濃度分析部29で分析された印刷画像の濃度が低い部分において、OP層45OPnの後端と、OP層45OPn+1の先端とが重なり合うように熱転写する。つまり、この印刷装置は、画像濃度分析部29で分析された濃度に基づいて、平面視における、OP層45同士の継ぎ目49の形状を変更する。
【0050】
なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。また、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が短い場合には、継ぎ目49の形状を直線形状からほとんど変化させることができなくなり、その結果として、継ぎ目49が印刷画像の濃度の高い部分上に形成されてしまう可能性が高くなる。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が十分に長くなっている。
【0051】
本実施の形態に係る印刷装置の以上の動作により、OP層45同士の継ぎ目49が、図8に示されるように、濃度が高い三角形、長方形、楕円と重ならないように形成される。このような本実施の形態に係る印刷装置によれば、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷された画像の濃度が低い部分上に形成することができるため、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0052】
<実施の形態5>
図10は、図8と同様に、本実施の形態5に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。ただし、この図においては、理解を容易にするため、継ぎ目49の印刷方向の幅を少し拡大している。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図10に示されるように、本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、ペーパー31のうちOP層45同士の継ぎ目49が形成される領域35に印刷すべき画像の濃度を低くする。したがって、OP層45同士の継ぎ目49を、印刷画像の濃度が低い部分上に形成することができるため、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【0054】
<実施の形態6>
図11は、図8と同様に、本実施の形態5に係る熱転写型の印刷装置によりOP層45が熱転写されたペーパー31を示す図である。以下、本実施の形態に係る印刷装置において、実施の形態1に係る印刷装置と同様の構成要素については同じ符号を付すものとし、当該印刷装置と異なる部分を中心に説明する。
【0055】
一般的に、横長のペーパー31(被印刷物)においては、副走査方向(横幅方向)に対し直交するように画像が配置され、一方印刷物を観察する観察者も横幅方向に対して直交するように観察する。すなわち、観察者の視線は、画像の配置方向またはその垂直方向(印刷方向またはその垂直方向)に注意深くなると考えられる。したがって、OP層45同士の継ぎ目49を画像の配置方向に対して傾斜させれば、観察者は継ぎ目49を視認しにくくなると考えられる。
【0056】
そこで、図11に示されるように、本実施の形態に係る印刷装置は、CPU28(制御部)の制御により、上記オーバーラップ領域の対角線上に継ぎ目49を形成するように、当該対角線上に、OP層45OPnの後端部と、OP層45OPn+1の先端部とを配設する。つまり、この印刷装置は、OP層45同士の継ぎ目49の形状を、平面視においてOP層45の配列方向(印刷方向)と垂直方向から傾けられた方向に延びる直線形状にする。
【0057】
なお、OP層45としては、図14に示した染料層44のようにドット単位で熱転写可能なものを用いる。また、上述のオーバー領域の印刷方向の幅が短い場合には、継ぎ目49の直線方向、印刷方向と垂直方向とのなす角を十分に大きくすることができない。そこで、本実施の形態に係る印刷装置においては、上述のオーバーラップ領域の印刷方向の幅が十分に長くなっている。
【0058】
以上のような本実施の形態に係る印刷装置によれば、OP層45同士の継ぎ目49を、画像の配置方向または水平方向から傾けることから、OP層45同士の継ぎ目49が視認されるのをより抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
15 分割画像、27 サーマルヘッド、29 画像濃度分析部、31 ペーパー、41 インクシート、44 染料層、45 OP層、48 凹凸、49 継ぎ目。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクシートに設けられた染料層及びOP層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置であって、
前記マルチパネル印刷における前記複数の画像に対応する各前記OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとして継ぎ目の前後で重ねて被印刷物に熱転写する転写部を備える、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記OP層同士の継ぎ目の形状は、平面視において直線形状を有しており、
前記転写部により施される前記複数の凹凸が、平面視において前記継ぎ目と平行な直線形状の凹凸を含む、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記転写部により施される直線形状の前記凹凸が、平面視において前記OP層同士の継ぎ目と揃っている、印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記被印刷物のうち前記OP層同士の継ぎ目が形成され得る領域に印刷された画像の濃度を分析する画像濃度分析部をさらに備え、
前記画像濃度分析部で分析された濃度に基づいて、平面視における前記継ぎ目の形状を変更する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記被印刷物のうち前記OP層同士の継ぎ目が形成される領域に印刷すべき画像の濃度を低くする、印刷装置。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記OP層同士の継ぎ目の形状を、平面視において当該OP層の配列方向と垂直方向から傾けられた方向に延びる直線形状にする、印刷装置。
【請求項1】
インクシートに設けられた染料層及びOP層のパネルサイズを超える画像を、当該パネルサイズを超えない複数の画像に分割して印刷するマルチパネル印刷を行う熱転写型の印刷装置であって、
前記マルチパネル印刷における前記複数の画像に対応する各前記OP層を、当該OP層の表面に複数の凹凸を施したマットOPとして継ぎ目の前後で重ねて被印刷物に熱転写する転写部を備える、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記OP層同士の継ぎ目の形状は、平面視において直線形状を有しており、
前記転写部により施される前記複数の凹凸が、平面視において前記継ぎ目と平行な直線形状の凹凸を含む、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記転写部により施される直線形状の前記凹凸が、平面視において前記OP層同士の継ぎ目と揃っている、印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記被印刷物のうち前記OP層同士の継ぎ目が形成され得る領域に印刷された画像の濃度を分析する画像濃度分析部をさらに備え、
前記画像濃度分析部で分析された濃度に基づいて、平面視における前記継ぎ目の形状を変更する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記被印刷物のうち前記OP層同士の継ぎ目が形成される領域に印刷すべき画像の濃度を低くする、印刷装置。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記OP層同士の継ぎ目の形状を、平面視において当該OP層の配列方向と垂直方向から傾けられた方向に延びる直線形状にする、印刷装置。
【図1】
【図9】
【図12】
【図13】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図9】
【図12】
【図13】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−76402(P2012−76402A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225390(P2010−225390)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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