説明

印刷装置

【課題】機械の停止時間によるロスを低減し、処理サイクルタイムの低減を図ることが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、印刷装置は、印刷位置を通して中間転写媒体28を搬送する第1搬送機構14と、印刷位置において中間転写媒体に情報を印刷する印刷ユニット20と、情報が印刷された中間転写媒体を、転写位置を通して搬送する第2搬送機構16と、転写位置において、中間転写媒体に印刷された情報を印刷媒体に転写する転写ユニット40と、転写後、第2搬送機構による中間転写媒体の搬送を所定の冷却時間だけ停止し、冷却時間の間、第1搬送機構により中間転写媒体を搬送し、印刷ユニットにより中間転写媒体に一画面分の情報を印刷する制御装置51と、印刷位置と転写位置との間で、中間転写媒体の弛みを吸収するテンショナ38であって、1画面分の情報印刷を行う際の中間転写媒体の搬送量に相当する移動ストロークを有するテンショナと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、中間転写媒体を用いて紙葉類などに印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類など表面の平滑性が良くない印刷媒体にも印刷できる印刷方法のひとつに中間転写フィルムを用いた印刷方法がある。一般に、中間転写フィルムは、基材上に受像層などの薄膜層が塗布され、印刷部にて中間転写フィルムの受像層に、インクリボンとサーマルヘッドで画像が形成される。その後、転写部にてヒートローラとバックアップローラとの間に中間転写フィルムおよび印刷媒体を挟み込んで圧力と熱を与え、形成された画像を薄膜層と一緒に印刷媒体表面に転写する。次いで、剥離部にて、薄膜層が転写された印刷媒体から中間転写フィルムの基材をそれぞれ別の方向へ搬送することにより剥離する。
【0003】
剥離時、中間転写フィルムの薄膜層および基材の温度が高いと、薄膜層が基材から剥離するときの剥離力が強いため、剥離不良や印刷媒体破損が生じることがある。そのため、温度が十分下がってから剥離を行うことが必要となる。このことから、剥離用の剥離シャフトをヒートローラから転写長以上に離して搬送方向下流に配置し、転写が終了した印刷媒体を中間転写フィルムと重ねあわせた状態で所定時間停止させ冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−159987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した印刷装置において、転写後の冷却待ち時間が印刷サイクルタイムのボトルネックとなる。すなわち、転写後の冷却待ち時間において、中間転写フィルムへの印刷動作を行うことができない。また、冷却待ち時間を十分にとらなければ、中間転写フィルム剥離時の転写性能が著しく低下してしまう。冷却待ち時間は、機体内部温度により可変長で約10秒程度(最大で約15秒程度)が想定されるが、この冷却待ち時間が製品全体のサイクルタイムのボトルネックとなり、サイクルタイムが長くなる。
【0006】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その課題は、機械の停止時間によるロスを低減し、処理サイクルタイムの低減を図ることが可能な印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、印刷装置は、印刷位置を通して中間転写媒体を搬送する第1搬送機構と、前記印刷位置において前記中間転写媒体に情報を印刷する印刷ユニットと、前記情報が印刷された中間転写媒体を、転写位置を通して搬送する第2搬送機構と、前記中間転写媒体を加熱および加圧するヒートローラを有し、前記転写位置において、前記中間転写媒体に印刷された情報を印刷媒体に転写する転写ユニットと、前記転写ユニットにより転写された後、前記第2搬送機構による中間転写媒体の搬送を所定の冷却時間だけ停止し、冷却時間の間、前記第1搬送機構により前記中間転写媒体を搬送し、前記印刷ユニットにより前記中間転写媒体に一画面分の情報を印刷する制御装置と、前記印刷位置と転写位置との間で、前記中間転写媒体が掛け渡され、前記中間転写媒体の弛みを吸収するテンショナであって、前記1画面分の情報印刷を行う際の前記中間転写媒体の搬送量に相当する移動ストロークを有するテンショナと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態に係る通帳類印刷装置を概略的に示す側面図。
【図2】図2は、前記印刷装置における転写印刷装置を概略的に示す斜視図。
【図3】図3は、前記転写印刷装置における印刷工程、転写工程を比較例の工程と比較して示す図。
【図4】図4は、前記転写印刷装置および比較例の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について、詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る通帳類印刷装置全体を概略的に示している。
図1に示すように、紙葉類として、例えば、通帳の頁に情報を印刷する通帳類印刷装置は、所定の搬送路に沿って通帳を搬送する通帳搬送機構6、通帳類挿入部1、ページめくり部2、IC-RW部3、転写印刷装置4、検査部5、通帳類折畳み部7、通帳類集積部8を備えている。
【0010】
通帳類挿入部1には複数の折畳まれた通帳が挿入され、1通帳ずつ装置に取り込まれる。取り込まれた通帳は搬送機構6によりページめくり部2に送られ、この頁めくり部2により通帳の頁をめくり、印刷媒体となる頁が出される。これにより、通帳に埋め込まれたICの読み書きが可能となる。続いて、IC-RW部3により、通帳のICから情報を読取り、また、ICへの情報の書込みが行われる。IC読み書きが正常に終了した通帳は、転写印刷装置4に搬送され、この転写印刷装置により、IC-RW部3で読取られたデータを元に作成された画像を通帳の印刷頁に転写する。画像が転写された通帳は、搬送路を通り検査部5に送られ、印刷画像の検査が行われる。検査に合格した通帳は、通帳類折畳み部7にて折畳まれた後、通帳類集積部8に集積される。
【0011】
次に、転写印刷装置4について詳細に説明する。図2は、転写印刷装置4の側面図、図3および図4は、転写印刷装置の印刷転写動作を比較例と比較して示す図である。
図2に示すように、転写印刷装置4は、中間転写媒体としての中間転写フィルム28を、印刷位置を通る所定の搬送路に沿って搬送する第1搬送機構14と、転写位置を通る所定の搬送路に沿って中間転写フィルム28を搬送し、転写後に、中間転写フィルムを巻き取る第2搬送機構16と、中間転写フィルム28の受像層に所望の情報を印刷する印刷ユニット20と、中間転写フィルムに印刷された所望情報を印刷媒体としての通帳10の印刷頁Pの表面に重ね合わせ、圧力と熱によって印刷情報を印刷頁Pの表面に転写する転写ユニット40と、印刷媒体を転写位置へ搬送する媒体搬送機構54と、転写後、剥離位置において、印刷媒体から中間転写フィルムを剥離する剥離部材36と、を備えている。更に、転写印刷装置4は、第1搬送機構14と第2搬送機構16との間で、搬送する中間転写フィルム28の弛みを吸収するテンショナ38を備えている。
【0012】
中間転写フィルム28は、例えば、PETフィルムからなる帯状の基材と、この基材表面に順に塗布された剥離層、および受像層兼接着層とを有している。剥離層は、例えば、フェノキシ系樹脂で形成され、受像層兼接着層は、例えば、ポリエステル系樹脂で形成されている。また、中間転写フィルム28には、ホログラム層や紫外線によって発光する蛍光発色層などの機能層を設けて、転写対象への転写と同時にこれらの機能層も転写することが可能である。
【0013】
図2に示すように、第1搬送機構14は、中間転写フィルム28が巻き付けられた送り出しロール30、送り出しロール30から送り出された中間転写フィルム28を所定の搬送路に沿って走行させるプラテンローラ27、駆動ローラ32、この駆動ローラ32を駆動する図示しないステッピングモータ、およびモータの駆動力を減速して駆動ローラに伝える減速機構を有している。更に、第1搬送機構14は、送り出しロール30とプラテンローラ27との間に設けられ、中間転写フィルム28上の形成位置マークを検知する第1位置センサ33、および、駆動ローラ32の下流側で搬送路に設けられ、中間転写フィルム28に形成された転写位置マークを検知する第2位置センサ(透過センサ)50を備えている。
【0014】
第2搬送機構16は、ガイドローラ35、剥離ローラ36、転写後の中間転写フィルム28を巻き取る巻取りロール34、この巻取りロールを回転させる図示しない駆動モータを備えている。巻取りロール34を駆動することにより、第1搬送機構14により送られてきた中間転写フィルム28は、ガイドローラ35、転写位置、剥離ローラ36を通って搬送された後、巻取りロール34に巻き取られる。ガイドローラ35と剥離ローラ36との間において、中間転写フィルム28は、転写位置を通してほぼ水平に案内、走行される。第1搬送機構14のステッピングモータおよび第2搬送機構16の駆動モータは、制御装置51に接続され、この制御装置51により駆動動作が制御される。
【0015】
図2に示すように、印刷ユニット20は、プラテンローラ27に隣接対向して設けられたサーマルヘッド22と、プラテンローラとサーマルヘッドとの間を通してインクリボン21を送るリボン搬送機構23と、インクリボンの送り量を検知する送り量センサ25と、を備えている。リボン搬送機構23は、インクリボン21が巻回された供給リール24と、印刷後のインクリボンを巻き取る巻取りリール26とを有している。
【0016】
印刷ユニット20では、サーマルヘッド22とプラテンローラ27との間に、インクリボン21と中間転写フィルム28とを重ねて挟み込み、サーマルヘッド22によってインクリボン21のインクを加熱溶融することにより、文字や画像等の印刷情報の鏡像を中間転写フィルム28の受像層に印刷する。印刷される情報は、反転画像であるという特徴がある。
【0017】
印刷情報は、黒などの単色印刷でも、Y、M、C、黒の4色重ねあわせによるカラー印刷でも良く、必要に応じてインクリボン21を単色や複数色繰り返し塗布したものにすれば良い。また、文字印刷のために溶融黒インク、カラー印刷のためにY、M、Cの昇華染料が繰り返し塗布されていても良い。複数色の重ね合わせ印刷の場合は、中間転写フィルム28がサーマルヘッド22を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ印刷が行われる。
【0018】
印刷ユニット20は、転写する印刷情報に加えて「転写位置マーク」を中間転写フィルム28に印刷する機能を有している。この転写位置マークは、転写時、第2位置センサ50によって検知され、転写の位置合わせに用いる。
【0019】
図2に示すように、印刷媒体としての通帳10を転写位置へ搬送する媒体搬送機構54は、転写位置を含む水平な搬送路に沿って配置された複数の図示しないガイド板と、通帳を挟んで搬送する複数の搬送ローラ12、14と、搬送ローラを駆動する図示しない駆動機構と、を備えている。
【0020】
図2に示すように、転写ユニット40は、ガイドローラ35と剥離ローラ36との間で、水平なフィルム搬送路の一方側に設けられた金属性のヒートローラ42と、フィルム搬送路を挟んでヒートローラ42に対向して配設されたバックアップローラ44と、フィルム搬送路側を除いて、ヒートローラ42を覆った断熱カバー52と、を備えている。ヒートローラ42は、その内部にヒータが内蔵されているとともに、外周部の一部は、平坦に切除されている。転写の開始位置と終了位置は、ヒートローラ42の切除された平坦カット面の両側エッジ部分により規定される。断熱カバー52は、ヒートローラ42の熱で印刷装置内が高温になるのを防止する機能と、ヒートローラ42自体を保温する機能とを有している。
【0021】
ヒートローラ42は、図示しないDCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な速度で回転される。バックアップローラ44は自由に回転可能に支持され、図示しないコイルばねにより、ヒートローラ42に向かって付勢されている。
【0022】
転写ユニット40では、印刷ユニット20で印刷情報が付与された中間転写フィルム28の受像層が通帳10の印刷頁P表面と接触するように、中間転写フィルム28と印刷頁Pとを重ね合わせ、ヒートローラ42とバックアップローラ44との間に挟持する。そして、ヒートローラ42およびバックアップローラ44により中間転写フィルム28および印刷頁Pを加圧および加熱し、受像層の印刷情報を印刷頁Pの表面に転写する。この時、中間転写フィルム28と印刷頁Pとの位置合わせは次のように行われる。
【0023】
1)中間転写フィルム28の該当転写エリアに印刷完了後、中間転写フィルム28はヒートローラ42方向に送られ、印刷ユニット20にて新たに形成された印刷インクによる「転写位置マーク」を経路途中の第2位置センサ50によって検出することにより、ヒートローラ42に対して決められた転写位置に中間転写フィルム28が搬送される。
【0024】
2)一方、通帳10は、転写される印刷頁Pがページめくり部2によって開かれた状態で転写ユニット40に取り込まれ、媒体搬送機構54により、ヒートローラ42に対して決められた転写位置に搬送される。
【0025】
互いに位置決めが行われた中間転写フィルム28と印刷頁Pは、ヒートローラ42とバックアップローラ44との間に挟まれ、ヒートローラ42の回転に合わせて、加圧、加熱される。ヒートローラ42はDCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な速度で駆動され、また、回転自由なバックアップローラ44との間に、コイルバネで発生された圧力がかかるようになっている。
【0026】
図2に示すように、テンショナ38は、駆動ローラ32とガイドローラ35との間に、所定のストロークで移動自在に支持されたテンションローラを備えている。このテンションローラは、例えば、その回転軸が、鉛直方向に延びるガイドレール37に沿って昇降自在にガイドされている。また、テンショナ38は、テンションローラを上方に向かって付勢する図示しない付勢部材を備えている。中間転写フィルム28は、駆動ローラ32からでた後、テンションローラに掛け渡され、更に、ガイドローラ35へ掛けられている。テンションローラは付勢部材によって上方へ付勢されていることから、中間転写フィルム28を押し上げ、中間転写フィルムに所望のテンションを与えている。このように、テンショナ38の役割は、転写時・印刷時に中間転写フィルム28に一定のテンションを加えることで、印刷、転写動作を実現するものである。
【0027】
テンションローラの移動ストロークは、後述するように、印刷ユニット20により中間転写フィルム28に1画面分の情報印刷を行う際の中間転写フィルム28の搬送量に相当するストロークと同等かそれよりも長く設定されている。すなわち、テンショナ38は、熱転写動作と情報画像印刷動作とを平行(同時)に行った場合でも、その間、中間転写フィルム28の弛みを吸収できるように、一定のストロークが設けてある。
【0028】
上記のように構成された転写印刷装置4の動作について説明する。
図3および図4は、転写印刷装置の動作と、比較例に係る印刷転写動作とを比較して示している。図2ないし図4に示すように、印刷ユニット20により、中間転写フィルム28に印刷情報を印刷する。中間転写フィルム28は、同一印刷面に複数回異なる色のカラーリボンを印刷することで、1つの通帳類印刷画像を作成している。つまり、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクを有するインクリボンの場合、C→M→Y→Kと順番に中間転写フィルム28がサーマルヘッド22を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ印刷が行われる。印刷される情報は、反転画像である。同一画面に重ね印刷することで、1つの画像を構成している。なお、印刷色は上記4色に加えて、蛍光顔料を含んだインクや接着性を高める機能性インクなどを付与してもよい。セキュリティ性を高めるために、転写フィルムにホログラム層を加えることも可能である。
【0029】
転写ユニット40に到達した通帳10は、中間転写フィルム28への印刷が完了するのを待った後、転写位置に搬送され、また、中間転写フィルム28は、印刷された情報が通帳10の印刷頁Pと重なる位置まで第2搬送機構16により搬送される。
【0030】
次いで、制御装置51は、ヒートローラ42を回転させながら、第2搬送機構16により中間転写フィルム28と印刷頁Pとを搬送し、同時に、ヒートローラ42により中間転写フィルム28および印刷頁Pを加圧および加熱することにより、中間転写フィルム28から印刷頁Pへ印刷情報を転写する。
【0031】
転写動作後、制御装置51は、一定時間(冷却時間)、例えば、10秒程度、第2搬送機構16による中間転写フィルム28および印刷頁Pの搬送を停止し、中間転写フィルム28および印刷頁Pを冷却する。冷却時間経過後、第2搬送機構16により中間転写フィルム28を巻取り、同時に、剥離ローラ36により中間転写フィルム28を通帳10の印刷頁から剥離する。これにより、中間転写フィルム28から印刷頁Pに印刷画像を転写する。転写動作後に一定の冷却時間を設けることで、通帳10に対する中間転写フィルム28の剥離性が向上し、高い転写性能を保つことができる。印刷情報の転写が完了した通帳10は、中間転写フィルム28を剥離した後、媒体搬送機構54により、印刷頁Pが開かれた状態のままの状態で検査部5へ搬送される。
【0032】
また、上述した冷却時間を待つ間、制御装置51は、第1搬送機構14を駆動し、中間転写フィルム28を一画面分搬送する。そして、印刷ユニット20は、中間転写フィルム28に次の転写用の一画面分の情報を印刷する。ここでも、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクを有するインクリボンの場合、C→M→Y→Kと順番に中間転写フィルム28がサーマルヘッド22を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ印刷が行われる。
【0033】
このように、冷却時間だけ、第2搬送機構16を停止した状態で、第1搬送機構14により中間転写フィルム28を一画面分送り出すことにより、駆動ローラ32とガイドローラ35との間に、一画面分に相当する長さ(送り量)の中間転写フィルム28が送り出される。これに伴いテンショナ38のテンションローラが上昇して中間転写フィルム28を押し上げ、弛みを吸収し、所定のテンションを保持する。テンションローラは、少なくとも中間転写フィルム28の一画面分の送り量に相当する移動ストロークを有していることから、中間転写フィルム28に弛みを生じることなく、所定のテンションを与えることができる。
【0034】
冷却時間経過後、第2搬送機構16により中間転写フィルム28を搬送および巻取り、上述した印刷動作と平行して中間転写フィルムを搬送する。これにより、駆動ローラ32とガイドローラ35との間に介在する中間転写フィルム28の送り出し量が減少し、これに伴い、テンショナ38のテンションローラは、中間転写フィルム28のテンションを維持しながら、中間転写フィルム28と共に下降する。
以上の動作を繰り返し行うことにより、順次、通帳の印刷頁に画像を転写し印刷する。
【0035】
上述した印刷転写動作は、概略的に以下のシーケンスで動作する。
C印刷→M印刷→Y印刷→通帳転写位置搬送→K印刷・転写(平行動作)→通帳冷却(10秒程度)待ち・(C印刷→M印刷→Y印刷)(平行動作)→剥離→検査部へ通帳排出→通帳転写位置搬送→K印刷・転写(平行動作)→・・・(繰り返し)
これに対して、図3および図4に示すように、比較例に係る印刷転写動作のシーケンスは、例えば、
C印刷→M印刷→Y印刷→通帳転写位置搬送→K印刷・転写(平行動作)→通帳冷却(10秒程度)待ち→剥離→検査部へ通帳排出→C印刷→・・・(繰り返し)
となる。
【0036】
上記のように構成された本実施形態に係る転写印刷装置によれば、上記比較例との比較からも分かるように、通帳および中間転写ファイルを冷却する冷却時間に次の転写画像の印刷を平行して行うことにより、装置全体のサイクルタイムを低減し、効率の向上を図ることができる。また、テンショナの稼動範囲、すなわち、移動ストロークを中間転写フィルム1画面分の送り量に相当するストローク以上とすることにより、中間転写フィルムの弛みを吸収し、中間転写フィルムに所定のテンションを維持することができ、上述した冷却時間と平行する印刷動作を実現することができる。
以上のことから、機械の停止時間によるロスを低減し、処理サイクルタイムの低減を図ることが可能な転写印刷装置を提供することができる。
【0037】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、処理する印刷媒体は、通帳、単票に限らず、ラベルシート、カード等、種々の媒体に適用することができる。テンショナは、テンションローラに限らず、テンションロッド、テンションアーム等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0038】
4…転写印刷装置、10…通帳、12…中間転写フィルム、14…第1搬送機構、
16…第2搬送機構、20…印刷ユニット、21…インクリボン、
22…サーマルヘッド、28…中間転写フィルム、32…駆動ローラ、
34…巻取りリール、38…テンショナ、40…転写ユニット、
42…ヒートローラ、44…バックアップローラ、52…制御装置、P…印刷頁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷位置を通して中間転写媒体を搬送する第1搬送機構と、
前記印刷位置において前記中間転写媒体に情報を印刷する印刷ユニットと、
前記情報が印刷された中間転写媒体を、転写位置を通して搬送する第2搬送機構と、
前記中間転写媒体を加熱および加圧するヒートローラを有し、前記転写位置において、前記中間転写媒体に印刷された情報を印刷媒体に転写する転写ユニットと、
前記転写ユニットにより転写された後、前記第2搬送機構による中間転写媒体の搬送を所定の冷却時間だけ停止し、冷却時間の間、前記第1搬送機構により前記中間転写媒体を搬送し、前記印刷ユニットにより前記中間転写媒体に一画面分の情報を印刷する制御装置と、
前記印刷位置と転写位置との間で、前記中間転写媒体が掛け渡され、前記中間転写媒体の弛みを吸収するテンショナであって、前記1画面分の情報印刷を行う際の前記中間転写媒体の送り量に相当する移動ストロークを有するテンショナと、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記第1搬送機構は、前記中間転写媒体が巻回された供給リールと、前記供給リールから前記中間転写媒体を引き出して搬送する駆動ローラと、を備え、
前記第2搬送機構は、前記転写後の中間転写媒体を前記印刷媒体から剥離する剥離部材と、前記剥離された中間転写媒体を巻き取る巻取りリールと、この巻取りリールを駆動する駆動部と、を備えている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記テンショナは、前記駆動ローラと前記ヒートローラとの間で、少なくとも前記移動ストロークだけ昇降自在に支持されたテンションローラを備えている請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記中間転写媒体は、帯状の基材と、この基材表面に順に塗布された剥離層、および受像とを有し、前記受像層に情報が印刷される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記転写ユニットは、前記ヒートローラとの間に、前記中間転写媒体および印刷媒体を互いに重ねた状態で挟持し加圧するバックアップローラを備えている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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