説明

印字用紙巻取り芯管およびその保持装置

【課題】ラベルやタグあるいは台紙なしラベルなど各種帯状の印字用紙をロール状に巻き取って一緒に巻取り軸17から簡単に取り外すことができ、巻取り軸17への装着も容易な印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供すること。
【解決手段】印字用紙巻取り芯管18を巻取り軸17に対して再使用可能に着脱可能とすることに着目し、円筒形を呈し、片持ち式の巻取り軸17にこれを着脱可能に取り付けて巻取り軸17とともに回転可能であるとともに、印字用紙を巻き付ける巻付け表面22と、巻取り軸17の軸方向に延びて巻取り軸17に対してその一方の開口端部23Aから当該印字用紙巻取り芯管18を着脱可能に挿通する中央貫通孔23と、巻取り軸17の自由端部17Aに設けた起伏可能なロック片21が係脱可能であるとともに、中央貫通孔23の他方の開口端部23Bに位置してその半径方向に延びる半径方向孔24と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印字用紙巻取り芯管およびその保持装置にかかるもので、とくに帯状の印字用紙をロール状に巻き取って、巻取り作業以降の貼付け作業ないし取付け作業に便利な印字用紙巻取り芯管およびその保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラベルやタグあるいは台紙なしラベルなど各種の印字用紙について、その印字発行および巻取り作業のパターンとして、たとえば、印字用紙に印字するプリンターを商品その他の被貼付け体に近い場所に準備するか、あるいは携帯するかして、印字用紙を印字発行した直後に貼付け作業を行う場合がある。
しかしながら、この作業パターンでは、上記プリンターと被貼付け体とが互いに近接した位置になければならないこと、あるいは携帯式プリンター以外の固定型ないし卓上型などのタイプのプリンターでは、被貼付け体から遠い位置に置かれた場合には、印字用紙の印字発行後の貼付け作業に手間取ることなどの問題がある。
【0003】
したがって、これら固定型ないし卓上型などのタイプのプリンターを用いる場合には、必要な枚数の印字用紙をまとめて印字発行するとともに、巻取り芯管に印字用紙の複数枚をロール状に巻き取った上で、このロール状の印字用紙を貼付け作業場所まで運んで、一枚ずつ貼り付けることとなる。
巻取り芯管は、一般的には紙管からなるもので、これを巻取り機の巻取り軸に空回りしないように嵌め込んでセットし、巻取り芯管に帯状の印字用紙の下流側端部を固定しておき、印字発行されてくる印字用紙をロール状に巻き取る。
この巻取り作業後、巻取り軸から巻取り芯管とともにロール状の印字用紙を取り外し、貼付け場所において商品その他の被貼付け体に一枚ずつ貼り付けることになる。
しかしながら、この作業パターンでは、巻取り作業のそのたびに巻取り芯管を巻取り機の巻取り軸にしっかりと嵌め込んで用意する必要があるとともに、巻取り後も巻取り軸からロール状の印字用紙とともに巻取り芯管を力を入れて引き抜く作業も以外と手間がかかるという問題がある。
また、この巻取り芯管は使い捨てとする場合が多く、省資源の観点からも問題がある。
【0004】
さらに、巻取り作業にあたって、巻取り芯管に帯状の印字用紙を互いに中心線を合わせて取り付ける操作が以外と面倒で、もし中心線が適正に合わせられて取り付けられなければ印字用紙が蛇行しつつ巻き取られてしまって、印字用紙にしわが発生したり、その後の貼付け操作に支障が生ずる場合があるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−252501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ラベルやタグあるいは台紙なしラベルなど各種帯状の印字用紙をロール状に巻き取ることができる印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、ロール状に巻き取った印字用紙を一緒に巻取り軸から簡単に取り外すことができるとともに、巻取り軸への装着も容易な印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、ロール状に巻き取った印字用紙を巻取り芯管ごと巻取り軸から取り外し、再利用可能とした印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、巻取り軸に対して挿脱が簡単であるとともに、巻取り軸との一体回転可能状態および巻取り軸からの離脱可能状態を簡単に切り替えることができる印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、帯状の印字用紙を取り付ける際に、印字用紙と芯管とを互いの中心線を合わせやすくしてロール状に適正に巻き取ることができるようにした印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、印字用紙巻取り芯管を巻取り軸に対して再使用可能に着脱可能とすることに着目したもので、第一の発明は、帯状の印字用紙をロール状に巻き取るための印字用紙巻取り芯管であって、当該印字用紙巻取り芯管は、円筒形を呈し、片持ち式の巻取り軸にこれを着脱可能に取り付けてこの巻取り軸とともに回転可能であるとともに、上記印字用紙を巻き付ける巻付け表面と、上記巻取り軸の軸方向に延びて上記巻取り軸に対してその一方の開口端部から当該印字用紙巻取り芯管を着脱可能に挿通する中央貫通孔と、上記巻取り軸の自由端部に設けた起伏可能なロック片が係脱可能であるとともに、上記中央貫通孔の他方の開口端部に位置してその半径方向に延びる半径方向孔と、を有することを特徴とする印字用紙巻取り芯管である。
【0012】
上記巻付け表面には、当該印字用紙巻取り芯管の長さ方向における本体中心位置にそれぞれの突条中心位置を合わせて上記印字用紙の幅方向に延びるとともにその長さがわずかづつ異なっている互いに平行な複数本の幅セット突条を突出形成していることができる。
【0013】
上記幅セット突条は、わずかずつ長さが異なるその複数本の突条組の少なくとも二組以上を上記巻付け表面の周方向に形成してあることができる。
【0014】
上記印字用紙が台紙なしラベル以外の一般的なラベル(台紙付きラベル)やタグなどの場合には、上記印字用紙の下流側先端部を上記巻付け表面に固定可能な用紙端部取付け具を着脱可能としていることができる。上記印字用紙が台紙なしラベルの場合には、用紙端部取付具を用いる必要はない。
【0015】
第二の発明は、帯状の印字用紙をロール状に巻き取るため印字用紙巻取り芯管の保持装置であって、上記印字用紙の用紙巻取り部に片持ち式に取り付けた巻取り軸と、この巻取り軸の自由端部に設けた起伏可能なロック片と、を有し、このロック片は、上記巻取り軸の半径方向および上記巻取り軸の軸方向にそれぞれ起伏可能であり、上記印字用紙巻取り芯管は、円筒形を呈し、上記巻取り軸の駆動により回転可能であるとともに、上記印字用紙を巻き付ける巻付け表面と、上記巻取り軸の軸方向に延びて上記巻取り軸に対してその一方の開口端部から上記印字用紙巻取り芯管を着脱可能に挿通する中央貫通孔と、上記ロック片が係脱可能であるとともに、上記中央貫通孔の他方の開口端部に位置して上記印字用紙巻取り芯管の半径方向に延びる半径方向孔と、を有し、上記巻取り軸は、上記印字用紙巻取り芯管を着脱可能に取り付けて上記印字用紙巻取り芯管とともに回転可能であることを特徴とする印字用紙巻取り芯管の保持装置である。
【0016】
上記ロック片が上記印字用紙巻取り芯管の上記半径方向孔に係合して、上記印字用紙巻取り芯管が上記巻取り軸と一体回転可能となり、上記ロック片が上記印字用紙巻取り芯管の上記中央貫通孔に平行に位置して、上記印字用紙巻取り芯管が上記巻取り軸に対して着脱可能となることができる。
【0017】
上記印字用紙巻取り芯管の上記半径方向孔には、上記ロック片を上記巻取り軸の上記半径方向から上記軸方向に回動させることができる押圧壁部を形成していることができる。
【0018】
上記印字用紙巻取り芯管の上記中央貫通孔には、上記巻取り軸の肩部と係合して、上記印字用紙巻取り芯管の上記巻取り軸に対する位置決めを行うことができる係合壁部を形成していることができる。
【0019】
上記ロック片を上記巻取り軸の上記半径方向において起立状態に仮保持可能とするとともに、上記ロック片を上記巻取り軸の上記軸方向に伏臥状態に仮保持可能とする起伏付勢部材を、上記巻取り軸と上記ロック片との間に設けていることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による印字用紙巻取り芯管およびその保持装置においては、円筒形の印字用紙巻取り芯管が巻取り軸の軸方向に延びて巻取り軸に対して一方の開口端部から印字用紙巻取り芯管を着脱可能に挿通する中央貫通孔と、巻取り軸の自由端部に設けた起伏可能なロック片が係脱可能であるとともに中央貫通孔の他方の開口端部に位置して印字用紙巻取り芯管の半径方向に延びる半径方向孔と、を有し、これを巻取り軸に着脱可能に取り付けて巻取り軸とともに回転可能としたので、巻取り軸に対して挿脱が簡単であるとともに、巻取り軸との一体回転可能状態および巻取り軸からの離脱可能状態を簡単に切り替えることができる。
したがって、従来のような紙管を巻取り軸に圧入あるいは力を入れて引き抜く必要がなく、印字用紙巻取り芯管を繰り返し再利用することができ、コストの節減および省資源を期待することができる。また、複数枚の印字用紙を容易かつ簡単な操作でロール状に巻き取ることができるため、印字用紙に印字するプリンターの設置場所を自由に選定することができる。
【0021】
とくに第一の発明の印字用紙巻取り芯管によれば、印字用紙巻取り芯管が中央貫通孔および半径方向孔を有するので、中央貫通孔に巻取り軸を挿通するとともに半径方向孔にロック片を係合させれば、印字用紙巻取り芯管と巻取り軸とを一体化して回転させ、帯状の印字用紙をロール状に巻き取ることができる。
【0022】
とくに第二の発明の印字用紙巻取り芯管の保持装置によれば、ロック片が巻取り軸に対して起伏可能となっているので、ロック片の起伏姿勢に応じて印字用紙巻取り芯管を巻取り軸に対して、一体化して回転し巻き取り可能とする形態と、別体化して巻取り軸から印字用紙巻取り芯管を着脱可能とする形態と、に容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】プリンター1、ならびに本発明の実施例による印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を備えた印字用紙巻取り機2の側面図である。
【図2】同、プリンター1および印字用紙巻取り機2の平面図である。
【図3】同、印字用紙巻取り機2のプリンター1側から見た正面図である。
【図4】同、印字用紙巻取り機2の斜視図である。
【図5】同、印字用紙巻取り芯管18をその軸方向において、図4中巻取り機本体9方向に見た側面図である。
【図6】同、巻付け表面22の展開図(図中矢印が台紙なしラベル3の移送方向下流側)である。
【図7】同、巻取り軸17および印字用紙巻取り芯管18の要部断面図であって、図7(1)は、巻取り軸17に印字用紙巻取り芯管18を挿通固定した状態の要部断面図、図7(2)は、巻取り軸17から印字用紙巻取り芯管18を引き抜く状態の断面図である。
【図8】同、巻取り軸17の自由端部17Aにおけるロック片21の取付け構造を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、印字用紙巻取り芯管を巻取り軸に対して簡単に一体回転および着脱可能としたので、ロール状の印字用紙を巻取り軸から印字用紙巻取り芯管ごと簡単な操作で取り外して、貼付け作業を行うことができる印字用紙巻取り芯管およびその保持装置を実現した。
【実施例】
【0025】
つぎに本発明の実施例による印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を図1ないし図8にもとづき説明する。
図1は、プリンター1、ならびに印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を備えた印字用紙巻取り機2の側面図、図2は、プリンター1および印字用紙巻取り機2の平面図である。
プリンター1は、印字用紙たとえば台紙なしラベル3を装填して、任意の方式により必要な情報を印字するもので、ケーブル4により印字用紙巻取り機2と電気的に接続し、台紙なしラベル3の印字発行および印字用紙巻取り機2による巻取り動作のタイミングを適正に制御可能としている。
台紙なしラベル3は、図1にその一部を拡大して示すように、たとえば感熱発色材を塗布したラベル基材5の表面に剥離剤層6を有し、その裏面に貼付け用の粘着剤層7を有するが、その裏面に仮着する台紙を備えていない構成を有し、省資源タイプの印字用紙である。
【0026】
図3は、印字用紙巻取り機2のプリンター1側から見た正面図、図4は、印字用紙巻取り機2の斜視図であって、印字用紙巻取り機2は、基台8に巻取り機本体9を起立させ、巻取り機本体9に、片持ち式に用紙ガイド部10および用紙巻取り部11を設けるとともに、用紙ガイド部10および用紙巻取り部11の間に用紙張力調整部12を取り付けている。
【0027】
巻取り機本体9は、電源スイッチ13および駆動モーター14を有し、電源スイッチ13をオンすることにより駆動モーター14を回転駆動する。
【0028】
用紙ガイド部10は、そのガイド軸15にガイドローラー16を固定してあって、巻取り機本体9に対してガイドローラー16が自由回転し、プリンター1から印字発行されてくる台紙なしラベル3の裏面側をガイドして、用紙張力調整部12に受け渡し可能となっている。
なお、ガイドローラー16は台紙なしラベル3の裏面側の粘着剤層7が接触するため、後述する用紙巻取り部11の印字用紙巻取り芯管18と同様に、一般的にはプラスチック製であり、粘着剤に対する剥離性を有していることが望ましい。
【0029】
用紙巻取り部11は、片持ち式の巻取り軸17(図3、図7)と、この巻取り軸17に着脱可能とする印字用紙巻取り芯管18と、この印字用紙巻取り芯管18に着脱可能とする用紙端部取付け具19と、を有し、巻取り軸17に印字用紙巻取り芯管18の保持装置20を設けている。
巻取り軸17は、プリンター1による台紙なしラベル3の印字発行量に合わせて駆動モーター14によりこれを間歇的に回転駆動し、印字用紙巻取り芯管18を間歇的に回転駆動する。
巻取り軸17の自由端部17Aには、巻取り軸17の半径方向および巻取り軸17の軸方向にそれぞれ起伏可能であるロック片21(図7および図8において後述)を取り付けている。
【0030】
印字用紙巻取り芯管18は、帯状の台紙なしラベル3をロール状に巻き取るためのもので、円筒形を呈し、巻取り軸17にこれを着脱可能に取り付けて巻取り軸17の駆動により巻取り軸17とともに一体回転可能である。
図5は、印字用紙巻取り芯管18をその軸方向において、図4中巻取り機本体9方向に見た側面図であって、印字用紙巻取り芯管18は、台紙なしラベル3を巻き付ける円周面である巻付け表面22と、その軸方向を貫く中央貫通孔23と、中央貫通孔23に連通する半径方向孔24と、を有する。
【0031】
中央貫通孔23は、巻取り軸17の軸方向に延びて巻取り軸17に対して一方の開口端部23A(図7)から印字用紙巻取り芯管18を着脱可能に挿通可能である。
半径方向孔24は、中央貫通孔23の他方の開口端部23B(図7)に位置して印字用紙巻取り芯管18の半径方向に延びるもので、巻取り軸17の自由端部17Aに設けた起伏可能な上記ロック片21が係脱可能である。
【0032】
用紙端部取付け具19は、印字用紙巻取り芯管18の外周面の軸方向に一対で形成した取付け溝25に装脱する軸方向に長いほぼU字形の金属線材であって、台紙なしラベル3以外の、台紙付きの一般的なラベルあるいは粘着剤層を形成していないタグなどの印字用紙を印字用紙巻取り芯管18に巻き取る際に、その下流側先端部を取付け溝25との間に挟むことにより巻付け表面22に固定可能である。
【0033】
図6は、巻付け表面22の展開図(図中矢印が台紙なしラベル3の移送方向下流側)であって、巻付け表面22には、印字用紙巻取り芯管18の長さ方向における本体中心位置18Aにそれぞれの突条中心位置26Aを合わせて台紙なしラベル3の幅方向に延びるとともにその長さがわずかづつ異なっている互いに平行な複数本の幅セット突条26を形成している。
幅セット突条26は、その頂点が印字用紙巻取り芯管18の外周径方向に突出し、台紙なしラベル3の粘着剤層7への接触面積をできるだけ少なくして、台紙なしラベル3の巻付け表面22への貼付け強度を所定レベルに低下させるようにしている。
ただし、図6に示すように、それぞれ長さがわずかずつ異なる幅セット突条26の突条組を何組か(最低でも二組、図中の例では、四組)周方向に形成して、印字用紙巻取り芯管18と台紙なしラベル3との相対位置にかかわらず、巻付け表面22の周面の任意の位置で台紙なしラベル3の幅を合わせて巻付け表面22に貼り合わせることができるようにする。
なお、上記軸方向に延びる幅セット突条26とは別に、幅セット突条26に直交する(印字用紙巻取り芯管18の外周方向に延びる)互いに平行な補助突条27を複数本形成して、台紙なしラベル3の巻付け表面22への貼付け強度をさらに低下させるようにすることができる。
また用紙ガイド部10のガイドローラー16の外周面にも、幅セット突条26および補助突条27と同様の突条模様を形成し、台紙なしラベル3との接触抵抗を低下させている。
【0034】
図7は、巻取り軸17および印字用紙巻取り芯管18の要部断面図であって、図7(1)は、巻取り軸17に印字用紙巻取り芯管18を挿通固定した状態の要部断面図、図7(2)は、巻取り軸17から印字用紙巻取り芯管18を引き抜く状態の断面図、図8は、巻取り軸17の自由端部17Aにおけるロック片21の取付け構造を示す断面説明図である。
とくに図8に示すように、ロック片21は、巻取り軸17の自由端部17Aに設けた起伏軸28のまわりに、巻取り軸17の半径方向および巻取り軸17の軸方向にそれぞれ起伏可能である。
すなわち、ロック片21は、その基部に円周方向90度の角度間隔をもって伏臥用係合溝29および起立用係合溝30を形成してあり、巻取り軸17とロック片21との間に起伏付勢部材(係合スチールボール31、付勢用スプリング32)を設けている。
この伏臥用係合溝29あるいは起立用係合溝30に係合スチールボール31が付勢用スプリング32に付勢されつつ選択的に係合して、ロック片21を巻取り軸17の半径方向において起立状態に仮保持可能とするとともに、ロック片21を巻取り軸17の軸方向に伏臥状態に仮保持可能とする。
【0035】
図7に示すように、ロック片21が印字用紙巻取り芯管18の半径方向孔24に係合して、印字用紙巻取り芯管18が巻取り軸17と一体回転可能となり、ロック片21が印字用紙巻取り芯管18の中央貫通孔23に平行に位置して、印字用紙巻取り芯管18が巻取り軸17に対して着脱可能となる。
ただし、印字用紙巻取り芯管18には、その半径方向孔24の奥部に位置する内壁面に、ロック片21に臨んでロック片21を巻取り軸17の半径方向から軸方向に回動させることができる押圧壁部33を突出形成している。
【0036】
印字用紙巻取り芯管18には、その中央貫通孔23の他方の開口端部23B付近の内壁面に、巻取り軸17の肩部17Bと係合して、印字用紙巻取り芯管18の巻取り軸17に対する位置決めを行うことができる係合壁部34を突出形成している。
【0037】
本発明による印字用紙巻取り芯管18の保持装置20は、上述のような巻取り軸17およびロック片21と、係合スチールボール31や付勢用スプリング32などの起伏付勢部材と、押圧壁部33や係合壁部34と、などからこれを構成している。
【0038】
前記用紙張力調整部12は、とくに図1ないし図4に示すように、基台8および巻取り機本体9に固定した揺動軸35と、揺動軸35に揺動可能に取り付けた揺動枠36と、揺動枠36の用紙ガイド部10側の中央に設けたピニオン37と、このピニオン37に上流側および下流側で係合する一対のラック38と、を有し、それぞれのラック38の下部に幅規制片39(図3)を取り付けている。
【0039】
したがって、ピニオン37を回転操作することにより、一対のラック38すなわち幅規制片39を台紙なしラベル3の幅方向に移動調整可能とし、用紙ガイド部10から移送されてくる台紙なしラベル3をその幅方向で規制可能としている。
【0040】
なお、揺動枠36の巻取り機本体9に対する揺動姿勢(揺動角度)を任意の手法により検出して、プリンターによる台紙なしラベル3の印字発行速度に対して、印字用紙巻取り機2による台紙なしラベル3の巻取り速度を調整して、台紙なしラベル3に過剰な張力がかからないようにしている。
すなわち、揺動枠36が最大起立状態になったときに、この姿勢を検出して巻取り機本体9の駆動モーター14を停止し、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作を停止し、この停止期間中におけるプリンター1からの台紙なしラベル3の印字発行により、台紙なしラベル3が用紙ガイド部10と用紙巻取り部11との間に延びてきたときに揺動枠36がその自重により揺動軸35のまわりに下方に揺動して、その最小伏臥状態になったときに、この姿勢を検出して駆動モーター14の回転駆動を再開し、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作を再開するようになっている。
【0041】
こうした構成のプリンター1および印字用紙巻取り機2において、とくに図7(1)に示すように、たとえば、ロック片21が起立状態のままの場合には、ロック片21が半径方向孔24に沿って係合するように印字用紙巻取り芯管18を巻取り軸17に差し込むことができる。あるいはロック片21が伏臥状態の場合には、そのまま印字用紙巻取り芯管18を巻取り軸17に差し込むとともに、伏臥状態のロック片21を付勢用スプリング32の付勢力に抗して半径方向孔24内に係合するように起立させる。いずれの場合にも、印字用紙巻取り芯管18と巻取り軸17とを一体回転可能とすることになる。
【0042】
プリンター1からの台紙なしラベル3を用紙ガイド部10のガイドローラー16の上面に案内し、用紙張力調整部12におけるピニオン37によりラック38すなわち幅規制片39を調整して台紙なしラベル3を幅規制片39の間を通し、用紙巻取り部11における印字用紙巻取り芯管18の巻付け表面22に貼り付ける。
この貼付け操作の際に、巻付け表面22の幅セット突条26に台紙なしラベル3の幅を合わせるようにすれば、台紙なしラベル3を移送方向に沿って巻付け表面22に直角に貼り付けることができ、巻取り動作にともなう台紙なしラベル3の蛇行を防止することができる。
【0043】
印字用紙巻取り機2の電源スイッチ13をオンして台紙なしラベル3の巻取り動作を開始させ、プリンター1からの台紙なしラベル3の印字発行長さに応じて用紙張力調整部12による張力を調整しながら用紙巻取り部11の印字用紙巻取り芯管18に台紙なしラベル3をロール状に巻き取ってゆく。
【0044】
印字用紙巻取り芯管18への台紙なしラベル3の巻取り動作が完了したのち、印字用紙巻取り芯管18ごと台紙なしラベル3を巻取り軸17から引き抜くことができる。
すなわち、とくに図7(2)に示すように、印字用紙巻取り芯管18ごと台紙なしラベル3を巻取り軸17から引き抜けば、印字用紙巻取り芯管18の押圧壁部33が付勢用スプリング32の付勢力に抗してロック片21を伏臥状態に移行させるので、そのまま印字用紙巻取り芯管18および台紙なしラベル3を用紙巻取り部11から簡単に取り外すことができる。
【0045】
印字用紙巻取り芯管18にロール状に巻き取った台紙なしラベル3を必要な被貼付け体に貼り付けることができ、台紙なしラベル3を貼り付け終われば、印字用紙巻取り芯管18を再び巻取り軸17に差し込んで、ロック片21を半径方向孔24内に起立状態とすることにより、つぎの巻取り動作を開始することができる。
【0046】
かくして、巻取り軸17への取付けおよび取外し操作が面倒な従来の紙管に代わって印字用紙巻取り芯管18を用いることにより、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作完了後の、引抜き操作を簡便なものとすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 プリンター(図1、図2)
2 印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を備えた印字用紙巻取り機(図1〜図4)
3 台紙なしラベル(印字用紙)
4 ケーブル
5 ラベル基材
6 剥離剤層
7 粘着剤層
8 基台
9 巻取り機本体
10 用紙ガイド部
11 用紙巻取り部
12 用紙張力調整部
13 電源スイッチ
14 駆動モーター
15 ガイド軸
16 ガイドローラー
17 巻取り軸
17A 巻取り軸17の自由端部(図8)
17B 巻取り軸17の肩部(図7)
18 印字用紙巻取り芯管(実施例、図4〜図7)
18A 印字用紙巻取り芯管18の本体中心位置(図6)
19 用紙端部取付け具
20 印字用紙巻取り芯管18の保持装置(実施例、図4〜図8)
21 ロック片
22 印字用紙巻取り芯管18の巻付け表面
23 印字用紙巻取り芯管18の中央貫通孔
23A 中央貫通孔23の一方の開口端部
23B 中央貫通孔23の他方の開口端部
24 印字用紙巻取り芯管18の半径方向孔
25 印字用紙巻取り芯管18の取付け溝
26 巻付け表面における幅セット突条
26A 幅セット突条26の突条中心位置(図6)
27 補助突条
28 起伏軸(図8)
29 伏臥用係合溝
30 起立用係合溝
31 係合スチールボール(起伏付勢部材)
32 付勢用スプリング(起伏付勢部材)
33 印字用紙巻取り芯管18における押圧壁部(図7)
34 印字用紙巻取り芯管18における係合壁部(図7)
35 揺動軸
36 揺動枠
37 ピニオン
38 一対のラック
39 幅規制片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の印字用紙をロール状に巻き取るための印字用紙巻取り芯管であって、
当該印字用紙巻取り芯管は、円筒形を呈し、片持ち式の巻取り軸にこれを着脱可能に取り付けてこの巻取り軸とともに回転可能であるとともに、
前記印字用紙を巻き付ける巻付け表面と、
前記巻取り軸の軸方向に延びて前記巻取り軸に対してその一方の開口端部から当該印字用紙巻取り芯管を着脱可能に挿通する中央貫通孔と、
前記巻取り軸の自由端部に設けた起伏可能なロック片が係脱可能であるとともに、前記中央貫通孔の他方の開口端部に位置してその半径方向に延びる半径方向孔と、
を有することを特徴とする印字用紙巻取り芯管。
【請求項2】
前記巻付け表面には、
当該印字用紙巻取り芯管の長さ方向における本体中心位置にそれぞれの突条中心位置を合わせて前記印字用紙の幅方向に延びるとともにその長さがわずかづつ異なっている互いに平行な複数本の幅セット突条を突出形成していることを特徴とする請求項1記載の印字用紙巻取り芯管。
【請求項3】
前記幅セット突条は、わずかずつ長さが異なるその複数本の突条組の少なくとも二組以上を前記巻付け表面の周方向に形成してあることを特徴とする請求項2記載の印字用紙巻取り芯管。
【請求項4】
前記印字用紙の下流側先端部を前記巻付け表面に固定可能な用紙端部取付け具を着脱可能としていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の印字用紙巻取り芯管。
【請求項5】
帯状の印字用紙をロール状に巻き取るため印字用紙巻取り芯管の保持装置であって、
前記印字用紙の用紙巻取り部に片持ち式に取り付けた巻取り軸と、
この巻取り軸の自由端部に設けた起伏可能なロック片と、
を有し、
このロック片は、前記巻取り軸の半径方向および前記巻取り軸の軸方向にそれぞれ起伏可能であり、
前記印字用紙巻取り芯管は、
円筒形を呈し、前記巻取り軸の駆動により回転可能であるとともに、
前記印字用紙を巻き付ける巻付け表面と、
前記巻取り軸の軸方向に延びて前記巻取り軸に対してその一方の開口端部から前記印字用紙巻取り芯管を着脱可能に挿通する中央貫通孔と、
前記ロック片が係脱可能であるとともに、前記中央貫通孔の他方の開口端部に位置して前記印字用紙巻取り芯管の半径方向に延びる半径方向孔と、を有し、
前記巻取り軸は、前記印字用紙巻取り芯管を着脱可能に取り付けて前記印字用紙巻取り芯管とともに回転可能であることを特徴とする印字用紙巻取り芯管の保持装置。
【請求項6】
前記ロック片が前記印字用紙巻取り芯管の前記半径方向孔に係合して、前記印字用紙巻取り芯管が前記巻取り軸と一体回転可能となり、
前記ロック片が前記印字用紙巻取り芯管の前記中央貫通孔に平行に位置して、前記印字用紙巻取り芯管が前記巻取り軸に対して着脱可能となることを特徴とする請求項5記載の印字用紙巻取り芯管の保持装置。
【請求項7】
前記印字用紙巻取り芯管の前記半径方向孔には、
前記ロック片を前記巻取り軸の前記半径方向から前記軸方向に回動させることができる押圧壁部を形成していることを特徴とする請求項5または6記載の印字用紙巻取り芯管の保持装置。
【請求項8】
前記印字用紙巻取り芯管の前記中央貫通孔には、
前記巻取り軸の肩部と係合して、前記印字用紙巻取り芯管の前記巻取り軸に対する位置決めを行うことができる係合壁部を形成していることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の印字用紙巻取り芯管の保持装置。
【請求項9】
前記ロック片を前記巻取り軸の前記半径方向において起立状態に仮保持可能とするとともに、前記ロック片を前記巻取り軸の前記軸方向に伏臥状態に仮保持可能とする起伏付勢部材を、前記巻取り軸と前記ロック片との間に設けていることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の印字用紙巻取り芯管の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66904(P2012−66904A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212507(P2010−212507)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】