説明

印字装置

【課題】帯状包材をチューブ状にして内容液を充填して成る紙容器に印字する印字領域を増加する印字装置を提供する。
【解決手段】充填機において帯状包材4に対応して印字装置15が配置される。印字装置15は一対のプーリー16a、16bとこの一対のプーリー16a、16bを周回するベルト18を備え、ベルト18に印字部19が配置される。下方のプーリー16bにインク供給ローラー21を備える。プーリー16aは下方のプーリー16bを中心にして回動し、上方のプーリー16aを電動機20で駆動してベルト18を回転しながら印字部19を帯状包材4に押付けて印字17することができる。上方のプーリー16aが帯状包材4に安定して印字できるように、帯状包材4の裏側に上方のプーリー16aの圧力を保持するための圧胴24が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器成形用の帯状包材若しくは紙容器に印字を行う印字装置に関し、詳しくは、紙容器成形工程で製造番号等の印字領域を拡大する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙材にデザイン等を印刷する印刷機の構造に関する従来技術がある(参考、特許文献1)。図5に示すように、印刷機40はフレキソ印刷機であり、インクパン41とインク供給ローラー42とアニロックスローラー43と版胴45で構成され、アニロックローラー43にドクターブレード44を備え、版胴45には図示しないフレキソ版45aが両面粘着性のクッションテープ等を用いて巻き付け装着される。
【0003】
インクパン41内のインクは、インク供給ローラー42によって、アニロックスローラー43の表面に形成された微小のセル43a(網目状の凹部)に供給され、表面の過剰インクをドクターブレード44で掻き取った後に、版胴45に装着したフレキソ版45aを介して紙材Pに転移する。紙材Pは版胴45と版胴45に対向して備える圧胴46とに挟まれて連続的にデザイン等が印刷されて上方Qに移動する。
【0004】
このフレキソ印刷技術による印字装置51が図6に示されている。印字装置51は上方Rに移動する帯状包材P1に沿って配置され、帯状包材P1は図示しない充填機によって内溶液が充填されて直方体形状の紙容器56が連続形成される。より詳しくは、充填機に掛かる前の段階で帯状包材P1に紙容器56用のデザイン等が予め印刷され、充填機においては帯状包材P1に新たに印字するための印字装置51が設けられ、この印字装置51によって各紙容器56に製造番号等の情報を印字することができる。印字装置51は電動機54で回転される一個のドラム式のプーリー52と図示しないインク供給ローラーとから成り、このプーリー52の表面52aに文字や数字等の印字部53が配置される。プーリー52の幅L1、直径L3とするとプーリー52の円周の長さL2=L3xπであり、印字領域55はプーリー52と同じ幅L1とプーリー52の一回転する長さL2とで形成される矩形領域である。
【0005】
印字領域55は、図7に示すように、紙容器56の直方体形状を構成する六面(T1〜T6)の任意の面に製造番号等の情報を表示する形成できる。この紙容器56に飲料等を入れてスポーツや屋外活動時に手軽に持運んで使用できるので利便性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2006−247872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、より詳しい各種情報を紙容器に表示する必要があるため、さらに広い印字領域を設ける必要であった。この場合、紙容器のデザイン等の制約から幅を変えずに長さを長くして印字領域を拡大する必要があるが、充填機装置内の利用できる空間に制約があるので印字領域の長さを拡大するためにプーリーの直径を大きくすることができない。
【0008】
そこで、本発明はかかる従来技術の問題に鑑みなされたものであって、帯状包材を縦線シールでチューブ状にして内容液を充填し、このチューブ状の両端部を横線シールで密封且つ切断して成る紙容器を製造する充填機に配置されて、前記帯状包材の表面又は紙容器に印字する印字装置において、プーリーの直径を大きくすることなく矩形の印字領域の幅を変えずに印字領域を増加する印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、帯状包材を縦線シールでチューブ状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成し、この原型容器の一対の横線シールの両端部を折り曲げて頂面と底面を形成して成る紙容器を製造する充填機に配置される印字装置である。そして、印字装置は一対のプーリーと、この一対のプーリーを周回し帯状包材若しくは紙容器に印字する印字部を備えるベルトと、このベルトを駆動する駆動部と、から成ることを特徴としている。
【0010】
この発明の好ましい態様において、一対のプーリーのどちらか一方のプーリーは他方のプーリーの軸周りに回動し、この回動するプーリーはベルトを介して帯状包材若しくは紙容器に印字部を押付けるプーリーである。そして、他方のプーリーにインク供給ローラーを備える。
【0011】
この発明の他の好ましい態様において、駆動部は一対のプーリーのどちらか一方のプーリーを回転する電動機である。
【発明の効果】
【0012】
印字装置は一対のプーリーと、この一対のプーリーを周回し帯状包材若しくは紙容器に印字する印字部を備えるベルトと、このベルトを駆動する駆動部と、を備えるので、印字領域はベルトによって格段に拡大することができる。このため、ベルトに印字するための文字、数字、記号等の印字部を配置することで、帯状包材を縦線シールでチューブ状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成して紙容器を製造する充填機において、帯状包材若しくは紙容器に対して広い印字領域を得ることができる。
【0013】
この発明の好ましい態様においては、一対のプーリーのどちらか一方のプーリーは他方のプーリーの軸周りに回動しベルトを介して帯状包材若しくは紙容器に印字部を押付けるプーリーであるので、印字を確実に安定して実施できる。さらに、他方のプーリーの位置は固定で常に変わらない状態を保てるので、他方のプーリーに備えるインク供給ローラーによる印字部へのインク供給が安定するので印字品質が向上できる。
【0014】
この発明の他の好ましい態様においては、駆動部は一対のプーリーのどちらか一方のプーリーを回転する電動機をON/OFF制御して帯状包材若しくは紙容器の所定の印字領域に容易且つ確実に印字できるので操作性と印字品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における、充填機2の包材繰出部3から帯状包材4を繰り出しチューブ状包材6にして液体食品が充填して成る紙容器1を製造する過程で帯状包材4に印字装置15が配置された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、図1のA−A斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における、図2のB−B側面図で、(a)は印字を開始していない印字装置15の状態、(b)は印字を実施している状態の印字装置15の状態を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態における、印字装置15で印字された状態を示す紙容器1の斜視図である。
【図5】従来例における印字装置40の構成を示す側面図である。
【図6】従来例における、紙材Pに印字するための印字装置51が配置された状態を示す斜視図である。
【図7】従来例における、紙容器56の印字領域55を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
<印字装置の構成>
【0017】
実施例の印字装置が設置される紙容器充填機の概略を説明する。図1に示すように、牛乳、清涼飲料水等の液体食品が充填されて成る紙容器1を製造する充填機2は無菌室に設置され、紙容器1を形成する包材として帯状包材4が用いられる。充填機2の包材繰出部3に装着されたリール状の帯状包材4は容器の頂部1aと成る側を先頭にして連続的に繰り出される。帯状包材4は図示しない複数のローラーによって案内され、下方に向けて搬送されながら図示しないフォーミングリング等によって徐々に湾曲してチューブ状に形成され、図示されない縦線シール装置によって縦線シール5が施されてチューブ状包材6になる。チューブ状包材6が下方に搬送される間に、充填用パイプ7を介して液体食品がチューブ状包材6に上方から充填される。
【0018】
チューブ状包材6は、図示されない横線シール装置によって所定の間隔ごとにチューブ状包材6の外側から熱圧着で横線シール9を形成して原型容器10が逐次連結形成される。各原型容器10はこの横線シール9で切断され、図示されない成形装置によって一対の横線シール9の両端部9aを折り曲げて頂面1aと底面1bを形成して直方体形状の紙容器1が完成する。なお、帯状包材4には容器成型を容易とするため図示しない折り目が予め形成されている。
【0019】
帯状包材4の構成は、紙容器1の外側から内側にかけて順に、外側層、紙基材、バリヤー層、接着層、最内層から成り、外側層、接着層、内側層はポリエチレン、エチレン共重合体等の樹脂で形成され、外側層、内側層は低密度ポリエチレン樹脂、バリヤー層はアルミ箔等によって形成される。外側層の外側表面には紙容器としてのデザイン等が印刷される。
【0020】
帯状包材4をチューブ状包材6に形成するため徐々に湾曲し始める以前の位置で、紙容器表面に既に印刷されたデザイン等とは別途に、帯状包材4の表側に印字を追加するための印字装置15が帯状包材4の端部近傍に配置される。印字の内容は充填に関わる製造日付、製造工場、製造番号等である。
【0021】
図2に示すように、印字装置15は一対のプーリー16a、16bと、一対のプーリー16a、16bを周回するベルト18と、下方のプーリー16bに摺動するインク供給ローラー21と、プーリー16aを駆動する電動機20とで構成され、印字装置15はベルト18が帯状包材4に平行に隣接するように配置される。ベルト18には印字するための文字、数字、記号等の印字部19が配置され、この印字部19はベルト18と別体で形成されてベルト18に接着するか、ベルト18そのものと一体的に形成される。上方のプーリー16aを介してベルト18は回転し、プーリー16aはベルト18における印字部19の周回速度と帯状包材4の上方Rに流れる速度が等速度になるように電動機20によって駆動制御される。下方のプーリー16bに備えるインク供給ローラー21には、図示しない方法で連続的にインクが供給される。なお、上方のプーリー16aに対応して帯状包材4の裏側に圧胴24を備える。
【0022】
いま、一対のプーリー16a、16b間の長さL1、各プーリー16a、16bの直径D、ベルト18の幅W、ベルト18の周長Lとすると、L=πxD+2xL1となるので、印字17できる印字領域22は幅Wと長さL(ベルト18の周長Lと同じ長さ)から成る矩形領域である。従って、ベルト18を用いないで一個の同直径のプーリーによって印字する場合に比べると、L−πxD=2xL1の長さだけ印字領域を増加することができる。
【0023】
図3(a)、(b)に示すように、印字装置15は図示しない回動装置によって、電動機20を備える上方のプーリー16aを下方のプーリー16bの軸周りに回動Kする。回動Kによってベルト18と帯状包材4の隙間Hが無くなり、上方Rに流れる帯状包材4に印字部19を押付けて印字することができる。なお、印字する際には、図示しない回動装置と電動機20の制御によってベルト18の印字部19を帯状包材4の所定の位置に周期的な間欠動作で押し付けて確実に所定位置への印字が実施される。
【0024】
帯状包材4に安定して印字できるように圧胴24は帯状包材4の裏側で上方のプーリー16aの圧力を水平面で保持する。圧胴24は印字しない状態では帯状包材4に僅かに触れるか若しくは帯状包材4と少し隙間を保持する状態である。なお、下方のプーリー16bにインクを常時供給するためのインク供給ローラー21を備えるが、下方のプーリー16bとインク供給ローラー21は上方のプーリー16aの回動に拘わらず位置は一定である。
【0025】
図4に示すように、紙容器1は直方体形状で、頂面1a、底面1b、側面S1、S2、S3、S4の六面を有しており、印字領域22は側面S1における底面T2近傍における縦線シール5の右側に沿って幅W、長さLの領域である。なお、印字装置15の設置位置を帯状包材4に沿って横移動することで印字領域22を任意の所望領域に容易に移動できる。必要であれば、側面S1〜4から頂面T1又は底面T2亘って印字領域を連続的に確保することもできる。
【0026】
<印字装置の作用>
一個のプーリーで印字する場合には印字領域に限界があるが、この印字装置15は一対のプーリー16とこの一対のプーリー16を周回するベルト18を備え、ベルト18に印字するための文字、数字、記号等の印字部19を配置するので、プーリー間の長さの二倍(2xL1)の長さに相当する領域まで印字領域を容易に増やすことができる。なお、印字領域22は印字17が可能な最大領域であり、実際に使用される領域はそれぞれの紙容器1に必要な印字情報によって決められる。
【0027】
この印字装置15であれば、一対のプーリー16a、16bの直径Dを小さくして、一対のプーリー16a、16b間の長さL1を長くすることでも印字領域22を増加することができるので、印字装置15の設置スペースに余裕がない場合でも帯状包材4に沿って取付け容易である。
【0028】
図1において、帯状包材4に印字するかわりに、液体食品を充填して成型された状態の紙容器1に直接印字することもできる。この場合、がコンベヤー等で搬送される際の載置の向きに合わせて使用可能な面を選ぶ必要がある。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、電動機20はプーリー16aの代わりにプーリー16bを駆動することもできる。印字装置15はブリックと称される直方体形状の紙容器以外に6角柱状の紙容器、プリズマと称される頂面および底面が4角形で胴体部が8角形の柱状紙容器、或いはウェッジと称される底面は4角形で頂部は横線シールを形成したままのクサビ形の紙容器等々色んな形状の紙容器に対して応用できる。さらに、所定数の紙容器をダンボール箱等の包装箱に詰め込む場合には、その包装箱に対応する印字装置としても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、液体食品容器用の包装充填装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
4 帯状包材
15 印字装置
16a プーリー
16b プーリー
17 印字
18 ベルト
19 印字部
20 電動機
24 圧胴
21 インク供給ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包材を縦線シールでチューブ状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成し、この原型容器の一対の前記横線シールの両端部を折り曲げて頂面と底面を形成して成る紙容器を製造する充填機に配置される印字装置であって、
前記印字装置は一対のプーリーと、この一対のプーリーを周回し前記帯状包材若しくは紙容器に印字する印字部を備えるベルトと、このベルトを駆動する駆動部と、から成ることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記一対のプーリーのどちらか一方のプーリーは他方のプーリーの軸周りに回動し前記ベルトを介して前記帯状包材若しくは紙容器に前記印字部を押付けるプーリーで、他方のプーリーにインク供給ローラーを備える、請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記駆動部は前記一対のプーリーのどちらか一方のプーリーを回転する電動機である、請求項1又は請求項2に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−37186(P2011−37186A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188164(P2009−188164)
【出願日】平成21年8月16日(2009.8.16)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】