説明

即効性インシュリン製剤

【課題】作用発現が有意に短縮された即効性のインシュリン製剤を提供する。
【解決手段】本発明は、インシュリンと、カルボキシル官能基を有する多糖類との複合体であって、前記多糖類は、少なくとも1つのフェニルアラニン誘導体(Pheと記す)により官能化された多糖類より選択され、とりわけ前記フェニルアラニン誘導体は、フェニルアラニン及びそのアルカリカチオン塩、フェニルアラニノール、フェニルアラニンアミド、エチルベンジルアミンから成る群より選択されるか、又はフェニルアラニンエステルより選択され、そして前記インシュリンは、ヒトインシュリン又は同等のものである。本発明はまた、特に注射液の形態にある、少なくとも1種の本発明に従う複合体を含有する医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即効性のヒト組換え体インシュリン製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
1980年代初頭の遺伝子工学によるインシュリンの製造以来、糖尿病患者は、治療のためヒトインシュリンから恩恵を受けてきた。この製造物は、非ヒトインシュリン、特にブタインシュリンの使用に関連した免疫学的危険性が解消されるため、その治療を大きく改善してきた。
【0003】
糖尿病患者の健康を改善するために解決されるべき問題の1つが、彼らに食事の開始時間を予測させることなく、食事開始時にインシュリン注射を行うために、食事開始により生ずる生理学的反応と動態的に類似する低血糖反応を与えるインシュリン製剤を彼らに与えることである。
【0004】
今や、そのような製剤の提供は、かような疾病の最も可能性の高い管理に不可欠であると受け入れられている。
【0005】
遺伝子工学は、即効性インシュリン類似体の開発に伴う反応を提供してきた。これらインシュリンは、皮下注射後の血液中に、より急速に分布されるように、1種又は2種のアミノ酸で変性されている。これらのインシュリンリスプロ(Lispro)(リリー(Lilly))、ノボログ(Novolog)(ノボ(Novo))及びアピドラ(Apidra)(アベンチス(Aventis))は、食事開始により生ずる生理学的反応と動態的に類似する低血糖反応を有する安定なインシュリン溶液である。結果として、これら即効性インシュリン類似体を用いて治療された患者は、彼らの食事時間を予測する必要がなく、食事開始時にインシュリン注射を行うことができるようになった。
【0006】
即効性インシュリン類似体の原理は、100IU/mLの濃度にてヘキサマーを形成して、市販品中のインシュリンの安定性を確実にする一方で、同時に、即効性を得るために、注射後にこれらヘキサマーのモノマーへの非常に急速な解離を促進することである。
【0007】
市販形態に配合されたヒトインシュリンは、使用濃度(100IU/mL)にて、亜鉛及びフェノール又はクレゾールのような他の賦形剤の存在中においては、モノマー及びダイマー形態において活性であるが、ヘキサマーの形態においては凝集してしまうため、食事開始により生ずる生理学的反応と動態的に近似する低血糖反応が得られなかった。ヒトインシュリンは、モノマー形態においては、凝集し、そしてその後に繊維状化する非常に高い傾向にあり、それによってその活性を失うため、4℃にて2年間まで安定であるヘキサマー形態に製造される。さらには、この凝集形態においては、ヒトインシュリンは、患者に対して免疫学的危険性を与えてしまう。
【0008】
ダイマーへのヘキサマーの解離及びモノマーへのダイマーの解離は、即効性インシュリン類似体と比較した場合、ほぼ20分も作用が遅い(非特許文献1)。
【0009】
即効性インシュリン類似体の欠点は、ヒトインシュリンの主要構造の変性である。身体内におけるインシュリンの役割が、その低血糖活性に限定されないことが既知であるため、この変性は、非常に多数の細胞株上に存在するインシュリン受容体との種々の相互作用をもたらしてしまう。この分野において多くの研究が行われてきたが、これらインシュリン類似体がヒトインシュリンの生理学的特性を全て有しているかどうかは、現在のところ決定されていない。
【0010】
さらには、血液中へインシュリン類似体の通過の動態、及び血糖低下のその動態は最適ではなく、且つ健康患者の動態に取り組むためにより短い作用時間を有する製剤が実際に必要である。
【0011】
バイオデル社(Biodel)は、特許文献1に記載されるとおり、EDTA及びクエン酸を含有するヒトインシュリン製剤によって、かかる問題に対する解決法を提案した。亜鉛原子と錯体形成する能力によるEDTA、及びカチオン部分との相互作用によるクエン酸は、インシュリンのヘキサマー形態を不安定化し、このことが作用時間を短くするものと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第2008/39365
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Brange J.他,Advanced Drug Delivery Review,35,1999,307−335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、そのような製剤は幾つかの欠点を有している。
【0015】
第一に、クエン酸を含有する溶液の注射は、注射部位に痛みを引き起こし、このことはバイオデル,ビジネスワイヤー(Biodel,Business Wire)により行われた種々の臨床実験中に実際に報告されている(2008年9月8日)。
【0016】
さらには、亜鉛原子に特異的ではないEDTAのようなキレート剤の使用は、副作用を引き起こしてしまう。
【0017】
即効性インシュリンの使用は、I型及びII型の糖尿病患者について、1日に3回行われるため、生成物投与に関わる痛みが患者には受け入れられず、且つ賦形剤による副作用の危険性を何としても回避しなければならない。
【0018】
これは現実であり、ヒトインシュリン又は類似体であるかにかかわらず、注射されたインシュリンの作用発現を有意に短縮させ得る製剤として不満足である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、100IU/mLの溶液として6.0ないし7.8の、好ましくは6.5ないし7.5のpHのヒトインシュリン製剤であって、前記製剤は、投与後に、市販のヒトインシュリン製品と比較して、血液中へのインシュリンの通過及び/又は血糖値の低下を促進し得る製剤をとりわけ製造し得るため、上記概説した種々の問題を解決し得る。
【0020】
本発明はまた、即効性インシュリン類似体製剤の作用発現を有意に短縮させ得る。
【0021】
本発明は、部分的に置換されたカルボキシル官能基を有する多糖類とのインシュリンの複合体を形成することから成る。
【0022】
かかる複合体の形成はさらに、インシュリン水溶液と多糖類水溶液とを単に混合することによって行われ得る。
【0023】
本発明はまた、インシュリンと、部分的に置換されたカルボキシル官能基を有する多糖類との複合体にも関する。
【0024】
一の態様において、インシュリンは、ヒトインシュリンである。
【0025】
用語「ヒトインシュリン」とは、ペプチド配列が、対立遺伝子変異及びホモログを包含する、ヒトインシュリンの配列である、合成又は組換え体により得られたインシュリンを意味する。
【0026】
一の態様において、本発明は、ヒトインシュリンと、部分的に置換されたカルボキシル官能基を有する多糖類との複合体に関する。
【0027】
本発明はまた、投与後に、市販のヒトインシュリン製品と比較して、血液中へのインシュリンの通過及び/又は血糖値の低下を促進し得るヒトインシュリン製剤を製造するための、かかる複合体の使用にも関する。
【0028】
600μM(100IU/mL)の濃度の市販の「通常の」ヒトインシュリン製剤は、30ないし60分の作用発現及び2ないし4時間の最低血糖値到達時間(glycemic nadir)を有している。
【0029】
600μM(100IU/mL)の濃度の市販の即効性インシュリン類似体製剤は、10ないし15分の作用発現、及び60ないし90分の最低血糖値到達時間を有している。
【0030】
本発明はさらに特に、「即効性」ヒトインシュリン製剤の製造のための、本発明に従う複合体の使用にも関する。
【0031】
本発明は、作用発現が30分未満、好ましくは20分未満、及びより好ましくは15分未満である、およそ600μM(100IU/mL)の濃度のヒトインシュリン製剤を製造するための、本発明に従う複合体の使用に関する。
【0032】
本発明は、最低血糖値到達時間が120分未満、好ましくは105分未満、及びより好ましくは90分未満である、およそ600μM(100IU/mL)の濃度のヒトインシュリン製剤を製造するための、本発明に従う複合体の使用に関する。
【0033】
一の態様において、インシュリンは、インシュリン類似体である。用語「インシュリン類似体(insulin analog)」とは、ヒトインシュリンの一次配列と比較して、一次配列が少なくとも1つの変性を含む組換え体インシュリンを意味する。
【0034】
一の態様において、インシュリン類似体は、インシュリン リスプロ(insulin Lispro)(ヒューマログ(Humalog:登録商標))、インシュリン アスパルト(insulin Aspart)(ノボログ(Novolog:登録商標)、ノボラピッド(Novorapid:登録商標))及びインシュリン グルリジン(insulin glulisine)(アピドラ(Apidra:登録商標))から成る群より選択される。
【0035】
一の態様において、本発明は、インシュリン類似体と、カルボキシル官能基を有する多糖類との複合体に関する。
【0036】
一の態様において、本発明は、インシュリン リスプロ(ヒューマログ:登録商標))、インシュリン アスパルト(ノボログ:登録商標、ノボラピッド:登録商標)及びインシュリン グルリジン(アピドラ:登録商標)から成る群より選択されるインシュリン類似体と、カルボキシル官能基を有する多糖類との複合体に関する。
【0037】
本発明はまた、投与後に、インシュリン類似体製剤よりもずっと迅速にインシュリンの血漿濃度及び/又はブドウ糖の低下を行い得る、インシュリン類似体製剤を製造するための、かかる複合体の使用にも関する。
【0038】
600μM(100IU/mL)の濃度の市販の即効性インシュリン類似体製剤は、10ないし15分の作用発現及び60ないし90分の最低血糖値到達時間を有する。
【0039】
本発明はさらに特に、即効性インシュリン類似体製剤の製造のための、本発明に従う複合体の使用に関する。
【0040】
本発明は、作用発現が15分未満、及び好ましくは10分未満である、およそ600μM(100IU/mL)の濃度のインシュリン類似体製剤を製造するための、本発明に従う複合体の使用に関する。
【0041】
本発明は、最低血糖値到達時間が90分未満、好ましくは80分未満である、およそ600μM(100IU/mL)の濃度のインシュリン類似体製剤を製造するための、本発明に従う複合体の使用に関する。
【0042】
一の態様において、カルボキシル官能基を有する多糖類は、大部分が(1,6)型のグリコシド結合から成る官能化された多糖類より選択され、一の態様においては、大部分が(1,6)型のグリコシド結合から成る多糖類は、カルボキシル官能基を有する官能化されたデキストランである。
【0043】
前記多糖類は、少なくとも1種のフェニルアラニン誘導体(Pheと記す)によって官能化された多糖類より選択され、
前記フェニルアラニン誘導体は、酸官能基とのカップリングにより前記多糖類にグラフトしているか又は結合しており、前記酸官能基は、官能基Fを介して前記多糖類に結合したリンカーアームRにより生じた酸官能基であり、前記官能基Fは、リンカーアームRと、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリング由来のものであり、
Fは、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート又はエーテル官能基であり、
Rは、枝分れ状及び/又は不飽和であっても、O、N及び/又はSのような1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、少なくとも1つのカルボキシル官能基を有する1ないし18個の炭素原子を有する鎖であり、
Pheは、フェニルアラニンアミンと、基Rにより生じた少なくとも1つの酸及び/又はカルボキシル官能基を有する前記多糖類により生じた酸との間のカップリングから生じた、L体又はD体のフェニルアラニン誘導体の残基である。
【0044】
本発明に従うと、官能化された多糖類は、下記一般式I:
【化1】

(式中、
多糖類は、デキストランであり、
Fは、リンカーアームRと、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリング由来のものであって、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート又はエーテル官能基であり、
Rは、枝分れ状及び/又は不飽和であっても、O、N及び/又はSのような1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、少なくとも1つのカルボキシル官能基を有する1ないし18個の炭素原子を有する鎖であり、
Pheは、フェニルアラニン誘導体のアミンと、基Rにより生じた少なくとも1つの酸及び/又はカルボキシル官能基を有する前記多糖類により生じた酸との間のカップリングから生じた、L体又はD体のフェニルアラニン誘導体の残基であり、
nは、Pheにより置換されたRのモル分率を表すものであって、0.3ないし0.9であり、好ましくは0.4ないし0.8であり、そしてより好ましくは0.4ないし0.6であり、
iは、糖単位当りに生じた基F−R−[Phe]の平均モル分率を表すものであって、0.5ないし2.5であり、好ましくは0.8ないし1.6であり、好ましくは1.0ないし1.4であり、そして好ましくは1.0ないし1.2であり、
RがPheにより置換されていない場合、基Rの酸(群)は、カチオン、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンのカルボン酸塩である)
に対応し得る。
【0045】
一の態様において、Pheにより置換されたRのモル分率を表すnは、0.3ないし0.9であり、好ましくは0.4ないし0.8であり、そしてより好ましくは0.4ないし0.6である。
【0046】
多糖類は、100糖単位当り、少なくとも平均60個の置換されたか又は未置換のカルボキシレート単位を有する。
【0047】
一の態様において、Fは、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテルである。
【0048】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、基Rが下記基:
【化2】

及びそのアルカリ金属カチオン塩
より選択される。
【0049】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、フェニルアラニン誘導体が、フェニルアラニン及びそのアルカリ金属カチオン塩、フェニルアラニノール、フェニルアラニンアミド及びエチルベンジルアミンから成る群より選択される、
【0050】
一の態様において、本発明に従う多糖類は、フェニルアラニン誘導体が、式II:
【化3】

(式中、Eは、直鎖状又は枝分れ状の炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す)
で表されるフェニルアラニンエステルより選択される。
【0051】
多糖類は、10ないし3000の重合度を有し得る。
【0052】
一の態様において、多糖類は、10ないし400の重合度を有する。
【0053】
別の態様において、多糖類は、10ないし200の重合度を有する。
【0054】
別の態様において、多糖類は、30ないし50の重合度を有する。
【0055】
一の態様において、多糖類は、9ないし50kD、及び好ましくは10ないし40kDの分子量を有する。
【0056】
一の態様において、インシュリンは、欧州薬局方(European Pharmacopea)に記載されるヒト組換え体インシュリンである。
【0057】
一の態様において、インシュリンは、インシュリン リスプロ(ヒューマログ:登録商標))、インシュリン アスパルト(ノボログ:登録商標、ノボラピッド:登録商標)及びインシュリン グルリジン(アピドラ:登録商標)から成る群より選択されるインシュリン類似体である。
【0058】
一の態様において、ポリマー/インシュリンモル比は0.2ないし5である。
【0059】
一の態様において、前記モル比は、0.2ないし3である。
【0060】
一の態様において、前記モル比は、0.6ないし2.5である。
【0061】
一の態様において、前記モル比は、0.8ないし2である。
【0062】
一の態様において、前記モル比は、0.8ないし1.4である。
【0063】
一の態様において、前記モル比は、1である。
【0064】
一の態様において、前記モル比は、2である。
【0065】
一の態様において、ポリマー/インシュリン質量比は、0.4ないし10である。
【0066】
一の態様において、前記質量比は、0.4ないし6である。
【0067】
一の態様において、前記質量比は、1.2ないし5である。
【0068】
一の態様において、前記質量比は、1.6ないし4である。
【0069】
一の態様において、前記質量比は、1.6ないし2.8である。
【0070】
好ましくは、本組成物は、注射液の形態にある。
【0071】
一の態様において、溶液のインシュリン濃度は、600μM、即ち100IU/mLである。
【0072】
一の態様において、600μMのインシュリン濃度は、特に小児用途のために、簡単な希釈によって低下され得る。
【0073】
本発明はまた、乾燥及び/又は凍結乾燥により得られることを特徴とする、本発明に従う医薬組成物にも関する。
【0074】
局所的及び全身的な放出の場合には、考えられる投与様式は、静脈内、皮下、皮内又は筋肉内である。
【0075】
経皮、経口、経鼻、膣内、眼、口腔及び肺投与がまた考えられる。
【0076】
本発明はまた、注入又は可搬型のインシュリンポンプ用の100IU/mLの濃度を有するヒトインシュリンの溶液の製剤のための、本発明に従う複合体の使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に従うポリマー1とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例5に対応する矩形でプロットされた曲線)及び市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)の作用発現を示すグラフである。
【図2】本発明に従うポリマー2とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例6に対応する矩形でプロットされた曲線)及び市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)の作用発現を示すグラフである。
【図3】本発明に従うポリマー3とヒトインシュリンとの複合体(実施例7に対応する矩形でプロットされた曲線)及び市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)の作用発現を示すグラフである。
【図4】本発明に従うポリマー3とインシュリン類似体との複合体製剤(実施例8に対応する矩形でプロットされた曲線)及び市販のインシュリン類似体製剤(実施例1に対応する三角形でプロットされた曲線)の作用発現を示すグラフである。
【図5】本発明に従うポリマー1とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例9に対応する矩形でプロットされた曲線)及び市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)の作用発現を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
実施例1:100IU/mLの即効性インシュリン類似体溶液
かかる溶液は、米国においてノボログ(登録商標)の名称の下で、及び欧州においてノボラピッド(登録商標)の名称の下で、ノボ(Novo)社より販売されているアスパルトインシュリンの市販溶液である。かかる製品は、即効性インシュリン類似体である。
【0079】
実施例2:100IU/mLのヒトインシュリン溶液
かかる溶液は、アクトラピッド(Actrapid)の名称の下で販売されているノボ社からの市販溶液である。かかる製品はヒトインシュリンである。
【0080】
実施例3:200IU/mLのヒトインシュリン溶液の製造
水60.4gを、ヘキサマー当り2つのZn2+を有するヒトインシュリンの884.7mgに添加し、そしてその後、0.1NのHClの8mLを添加することによって、pHを5.7ないし3に調節した。0.1NのNaOHの10mLを添加することによって、溶液をpH7に中和した。その後、水43.08mLを用いて200IU/mLに濃度を調節した。かかる溶液の最終的なpHは7.02であった。該溶液を、最後に0.22μmメンブランで濾過した。
【0081】
実施例4:賦形剤の製造
200mM pH7のホスフェート緩衝液の製造
目盛り付きフラスコ内で、NaHPOの1.2g(10mmol)を水50mLに溶解することによって、リン酸ナトリウム溶液Aを製造した。
【0082】
目盛り付きフラスコ内で、NaHPOの1.42g(10mmol)を水50mLに溶解することによって、リン酸二ナトリウム溶液Bを製造した。
【0083】
溶液Aの3mLを溶液Bの7mLと混合することによって、200mM pH7のホスフェート緩衝液を得た。
【0084】
130mM m−クレゾール溶液の製造
目盛り付きフランスコ内で、m−クレゾールの0.281g(2.6mmol)を水20mLに溶解することによって、m−クレゾール溶液を得た。
【0085】
0.8mM Tween20溶液の製造
目盛り付きフラスコ内で、Tween20の98mg(80μmol)を水100mLに溶解することによって、Tween20溶液を得た。
【0086】
1.5M グリセロール溶液の製造
目盛り付きフラスコ内で、グリセロールの13.82g(150mmol)を水100mLに溶解することによって、グリセロール溶液を得た。
【0087】
多糖類溶液の製造
本発明に従う2種の多糖類を用いた。
ポリマー1は、特許出願仏国第07/02316号に記載される方法に従い、10kg/molの質量平均分子量、即ち39の重合度を有するデキストラン(ファルマコスモス(Pharmacosmos))から得られた、L−フェニルアラニンのナトリウム塩で変性されたナトリウムデキストランメチルカルボキシレートである。フェニルアラニンで変性されていてもよいナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち式I中のiは、1.06であった。フェニルアラニンで変性されたナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち式I中のnは0.43であった。
【0088】
50mL試験管内で、ポリマー1(水分含量10%)の2.79gを水25.3mLに溶解させることによって、ポリマー1の溶液を得た(ポリマー1の濃度は99.2mg/mL)。
【0089】
ポリマー2は、L−フェニルアラニンエチルエステルヒドロクロリドを用いて、特許出願仏国第07/02316号中のポリマー1について記載されるのと同様の方法に従い、40kg/molの質量平均分子量、即ち154の重合度を有するデキストラン(ファルマコスモス)から得られたL−フェニルアラニンのエチルエステルにより変性された、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートである。フェニルアラニンで変性されていてもよいナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち、式I中のiは、1.00であった。L−フェニルアラニンエチルエステルで変性されたナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち式I中のnは、0.36であった。
【0090】
50mL試験管内で、ポリマー2(水分含量=10%)を水16.83mLに溶解させることによって、ポリマー2の溶液を得た(ポリマー2の濃度は71.0mg/mL)。
【0091】
ポリマー3は、特許出願仏国第07/02316号に記載される方法に従い、10kg/molの質量平均分子量、即ち39の重合度を有するデキストラン(ファルマコスモス)から得られたL−フェニルアラニンのナトリウム塩により変性された、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートである。フェニルアラニンで変性されていてもよいナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち、式I中のiは1.06であった。ヘフェニルアラニンで変性されたナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち、式I中のnは0.54であった。
【0092】
50mL試験管内で、ポリマー3(水分含量=10%)の1.5gを水42.7mLに溶解させることによって、ポリマー3の溶液を得た(ポリマー3の濃度は31.6mg/mL)。
【0093】
ポリマー4は、特許出願仏国第07/02316号に記載される方法に従い、10kg/molの質量平均分子量、即ち39の重合度を有するデキストラン(ファルマコスモス)から得られたL−フェニルアラニンのナトリウム塩により変性された、ナトリウムデキストランメチルカルボキシレートである。フェニルアラニンで変性されていてもよいナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち、式I中のiは1.69であった。フェニルアラニンで変性されていてもよいナトリウムメチルカルボキシレートの平均モル分率、即ち、式I中のnは0.64であった。
【0094】
50mL試験管内で、ポリマー4(水分含量=10%)の2.0gを水56.9mLに溶解することによって、ポリマー4の溶液を得た(ポリマー3の濃度は31.6mg/mL)。
【0095】
実施例5:ポリマー1の存在中での100IU/mLのヒトインシュリン溶液の製造
1.0の[ポリマー1]/[インシュリン]モル比を有する、最終容量50mLの製剤について、下記表で特定される量で、及び次の順序で、種々の試薬を一緒に混合した。
200IU/mLヒトインシュリン 25mL
99.2mg/mLポリマー1 3.61mL
1Mホスフェート緩衝液pH7 500μL
0.78mM Tween20 516μL
1.5Mグリセロール 621μL
130mM m−クレゾール 11.15mL
水(希釈容量−水酸化ナトリウム容量) 8.55mL
【0096】
最終pHは7±0.3であった。
かかる清澄な溶液を0.22μmメンブランに通して濾過し、その後、+4℃に置いた。
【0097】
実施例6:ポリマー2の存在中での100IU/mLのヒトインシュリン溶液の製造
0.5の[ポリマー2]/[インシュリン]モル比を有する、最終容量50mLの製剤について、下記表で特定される量で、及び次の順序で、種々の試薬を一緒に混合した。
200IU/mLヒトインシュリン 10mL
71.0mg/mLポリマー2 9.66mL
1Mホスフェート緩衝液pH7 500μL
0.78mM Tween20 400μL
1.5Mグリセロール 5.67μL
130mM m−クレゾール 11.16mL
水(希釈容量−水酸化ナトリウム容量) 12.6mL
【0098】
最終pHは7±0.3であった。
かかる清澄な溶液を0.22μmメンブランに通して濾過し、そしてその後、+4℃に置いた。
【0099】
実施例7:ポリマー3の存在中での100IU/mLヒトインシュリン溶液の製造
1.0の[ポリマー3]/[インシュリン]モル比を有する、50mLの最終容量の製剤について、下記表で特定される量で、及び次の順序で、種々の試薬を一緒に混合した。
500IU/mLヒトインシュリン 10mL
31.6mg/mLポリマー3 11.9mL
1Mホスフェート緩衝液pH7 500μL
1.5Mグリセロール 5.67mL
130mM m−クレゾール 11.16mL
1mM Tween20 0.4mL
水(希釈容量−水酸化ナトリウム容量) 10.4mL
【0100】
最終pHは7±0.3であった。
かかる清澄な溶液を0.22μmメンブランに通して濾過し、そしてその後、+4℃に置いた。
【0101】
実施例8:ポリマー3の存在中での100IU/mLインシュリン類似体溶液の製造
1.0の[ポリマー3]/[インシュリン類似体]モル比を有する、最終容量10mLの製剤について、下記表で特定される量で、及び次の順序で、種々の試薬を一緒に混合した。
市販製品ノボログ溶液 10mL
凍結乾燥されたポリマー3 376mg
Tween20 98μg
【0102】
最終pHは7±0.3であった。
かかる清澄な溶液を0.22μmmンブランに通して濾過し、そしてその後、+4℃に置いた。
【0103】
実施例9:ポリマー1の存在中での100IU/mLヒトインシュリン溶液の製造
2.0の[ポリマー1]/[インシュリン]モル比を有する最終容量50mLの製剤について、下記表で特定される量で、及び次の順序で、種々の試薬を一緒に混合した。
200IU/mLヒトインシュリン 25mL
99.2mg/mLポリマー1 7.22mL
1Mホスフェート緩衝液pH7 500μL
0.78mM Tween20 516μL
1.5Mグリセロール 621μL
130mM m−クレゾール 11.15mL
水(希釈容量−水酸化ナトリウム容量) 4.94mL
【0104】
最終pHは7±0.3であった。
かかる清澄な溶液を0.22μmメンブランに通して濾過し、そしてその後、+4℃に置いた。
【0105】
実施例10:ポリマー3の存在中での100IU/mLヒトインシュリン溶液の製造
実施例7に記載のポリマー3を有するヒトインシュリン製剤の変更例をホスフェート無しに製造した。かかる溶液は、その他は同様の組成であり、そしてpHも7±0.3であった。
【0106】
実施例11:ポリマー3の存在中での100IU/mLヒトインシュリン溶液の製造
実施例7に記載のポリマー3を有するヒトインシュリン製剤の変更例を、ホスフェート及びTween無しに製造した。かかる溶液は、その他は同様の組成であり、そしてpHも7±0.3であった。
【0107】
実施例12:ポリマー4の存在中での100IU/mLヒトインシュリン溶液の製造
ポリマー3溶液の代わりにポリマー4溶液を用いて、実施例7に記載のヒトインシュリン製剤の変更例を製造した。かかる溶液は、その他は同様の組成であり、そしてpHも7±0.3であった。
【0108】
実施例13:溶液の注射可能性
全てのこれら溶液は、通常のインシュリン注射系を用いて注射可能であった。実施例1、2、5及び6に記載の溶液は、31ゲージ(gauge)の測定針付きの、ノボペン(Novopen)という名称の下で販売されているノボインシュリンペンを用いたように、31ゲージの測定針を有するインシュリンシリンジを用いて全く容易に注射された。
【0109】
実施例14:インシュリン溶液の薬物力学を測定するためのプロトコル
予め頸静脈にカテーテル挿入した、体重およそ50kgの6頭の国産ブタを、実験開始前の2、3時間、絶食させた。基礎グルコース濃度を決定するために、インシュリンの注射を行うに先立つ時間で、3種の血液試料を採取した。
【0110】
31ゲージの測定針付きのノボペンインシュリンペンを用いて、0.125IU/kgの投与量のインシュリン注射を、動物の耳の下、首皮下に行った。
【0111】
血液試料はその後、10分間毎に3時間以上、そしてその後、30分毎に5時間まで採取した。各々の試料を採取した後、希釈ヘパリン溶液を用いてカテーテルを洗浄した。
【0112】
一滴の血液を採取して、グルコメーター(glucometer)を用いて血糖値を決定した。
【0113】
グルコースの薬物力学曲線をその後プロットした。
【0114】
実施例15:インシュリン溶液についての薬物力学の結果
【表1】

【0115】
実施例5に記載されるヒトインシュリン製剤を用いて得られた結果を、図1の曲線により表した。該曲線は、本発明に従うポリマー1とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例5に対応する矩形でプロットされた曲線)が、市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)よりも、より短い作用発現を得ることを可能にしたことを示している。
【0116】
実施例6に記載されたヒトインシュリン製剤を用いて得られた結果を、図2の曲線により表した。該曲線は、本発明に従うポリマー2とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例6に対応する矩形でプロットされた曲線)が、市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)よりも、より短い作用発現を得ることを可能にしたことを示している。
【0117】
実施例7に記載されたヒトインシュリン製剤を用いて得られた結果を、図3の曲線により表した。該曲線は、本発明に従うポリマー3とヒトインシュリンとの複合体(実施例7に対応する矩形でプロットされた曲線)が、市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)よりも、より短い作用発現を得ることを可能にしたことを示している。
【0118】
実施例8に記載されるインシュリン類似体製剤を用いて得られた結果を、図4の曲線により表した。本発明に従うポリマー3とインシュリン類似体との複合体製剤(実施例8に対応する矩形でプロットされた曲線)が、市販のインシュリン類似体製剤(実施例1に対応する三角形でプロットされた曲線)よりも、より短い作用発現を得ることを可能にしたことを示している。
【0119】
実施例9に記載されるヒトインシュリン製剤を用いて得られた結果を、図5の曲線により表した。本発明に従うポリマー1とヒトインシュリンとの複合体製剤(実施例9に対応する矩形でプロットされた曲線)が、市販のヒトインシュリン製剤(実施例2に対応する三角形でプロットされた曲線)よりも、より短い作用発現を得ることを可能にしたことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インシュリンと、カルボキシル基を有する多糖類との複合体であって、
前記多糖類は、少なくとも1種のフェニルアラニン誘導体(Pheと記す)によって官能化された多糖類より選択され、
前記フェニルアラニン誘導体は、酸官能基とのカップリングにより前記多糖類にグラフトしているか又は結合しており、前記酸官能基は、官能基Fを介して前記多糖類に結合したリンカーアームRにより生じた酸官能基であり、前記官能基Fは、リンカーアームRと、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリング由来のものであり、
Fは、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート又はエーテル官能基であり、
Rは、枝分れ状及び/又は不飽和であっても、O、N及び/又はSのような1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、少なくとも1つのカルボキシル官能基を有する1ないし18個の炭素原子を有する鎖であり、
Pheは、フェニルアラニンアミンと、基Rにより生じた少なくとも1つの酸及び/又はカルボキシル官能基を有する前記多糖類により生じた酸との間のカップリングから生じた、L体又はD体のフェニルアラニン誘導体の残基である、
前記複合体。
【請求項2】
前記多糖類は、式I:
【化1】

(式中、
多糖類は、デキストランであり、
Fは、リンカーアームRと、前記多糖類の−OH官能基との間のカップリング由来のものであって、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート又はエーテル官能基であり、
Rは、枝分れ状及び/又は不飽和であっても、O、N及び/又はSのような1つ以上のヘテロ原子を有していてもよく、少なくとも1つのカルボキシル官能基を有する1ないし18個の炭素原子を有する鎖であり、
Pheは、フェニルアラニン誘導体のアミンと、基Rにより生じた少なくとも1つの酸及び/又はカルボキシル官能基を有する前記多糖類により生じた酸との間のカップリングから生じた、L体又はD体のフェニルアラニン誘導体の残基であり、
nは、Pheにより置換されたRのモル分率を表すものであって、0.3ないし0.9であり、好ましくは0.4ないし0.8であり、そしてより好ましくは0.4ないし0.6であり、
iは、糖単位当りに生じた基F−R−[Phe]の平均モル分率を表すものであって、0.5ないし2.5であり、好ましくは0.8ないし1.6であり、好ましくは1.0ないし1.4であり、そして好ましくは1.0ないし1.2であり、
RがPheにより置換されていない場合、基Rの酸(群)は、カチオン、好ましくは、Na又はKのようなアルカリ金属カチオンのカルボン酸塩である)
で表される多糖類より選択される、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
Fは、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテルである、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
基Rは、下記基:
【化2】

及びそのアルカリ金属カチオン塩
より選択される、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項5】
前記フェニルアラニン誘導体は、フェニルアラニン及びそのアルカリ金属カチオン塩、フェニルアラニノール、フェニルアラニンアミド及びエチルベンジルアミンから成る群より選択される、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項6】
前記フェニルアラニン誘導体は、式II:
【化3】

(式中、Eは、直鎖状又は枝分れ状の炭素原子数1ないし6のアルキル基であり得る基を表す)
で表されるフェニルアラニンエステルより選択される、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項7】
前記インシュリンは、ヒト組換え体インシュリンである、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項8】
前記インシュリンは、インシュリン類似体である、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項9】
前記インシュリン類似体は、インシュリン リスプロ(insulin Lispro)(ヒューマログ(Humalog:登録商標))、インシュリン アスパルト(insulin Aspart)(ノボログ(Novolog:登録商標)、ノボラピッド(Novorapid:登録商標))及びインシュリン グルリジン(insulin glulisine)(アピドラ(Apidra:登録商標))から成る群より選択される、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
ポリマー/インシュリンのモル比は、0.2ないし5である、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項11】
ポリマー/インシュリンのモル比は、0.2ないし3であり、好ましくは0.6ないし2.5であり、そしてより好ましくは0.8ないし2である、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項12】
前記モル比は、1である、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項13】
前記モル比は、2である、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項14】
ポリマー/インシュリン質量比は、0.4ないし10である、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項15】
ポリマー/インシュリン質量比は、0.4ないし6であり、好ましくは1.2ないし5であり、そしてより好ましくは1.6ないし2.8である、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の複合体。
【請求項16】
少なくとも1種の本発明の複合体を含有する医薬組成物。
【請求項17】
注射液の形態にある、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶液のインシュリン濃度は、600μmol/mL、即ち100IU/mLである、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
作用発現が、30分未満、好ましくは20分未満及びより好ましくは15分未満である、およそ600μM(100IU/mL)のインシュリン濃度のヒトインシュリン製剤の製造のための、請求項1ないし7及び10ないし15のうちいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項20】
最低血糖値到達時間(glycemic nadir)が120分未満であり、好ましくは105分未満であり、そしてより好ましくは90分未満である、およそ600μmol/L(100IU/mL)のインシュリン濃度のヒトインシュリン製剤の製造のための、請求項1ないし7及び10ないし15のうちいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項21】
作用発現が、15分未満、及び好ましくは10分未満である、およそ600μM(100IU/mL)のインシュリン濃度のインシュリン類似体製剤の製造のための、請求項1ないし6及び8ないし15のうちいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項22】
最低血糖値到達時間が90分未満であり、及び好ましくは80分未満である、およそ600μmol/L(100IU/mL)のインシュリン濃度のインシュリン類似体製剤の製造のための、請求項1ないし7及び10ないし15のうちいずれか1項に記載の複合体の使用。
【請求項23】
注入ポンプ用の100IU/mLのインシュリン製剤の製造のための、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の複合体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−521980(P2012−521980A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501407(P2012−501407)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000711
【国際公開番号】WO2010/122385
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(508090088)
【Fターム(参考)】