説明

厚紙玩具及びその型紙シート

【課題】複雑な立体形状を実現することができる型厚紙玩具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る厚紙玩具は、厚紙によって構成され、口部分を開閉する動物の形状を模した立体形状から平面形状に可変である本体部11と、厚紙によって構成され、本体部11を収納する収納口120が設けられた収納部12とを有する厚紙玩具1である。この厚紙玩具1は、本体部11は、動物の外形を模した形状を有し、内部に空洞を有する外形厚紙211,212と、動物の口部分を模した形状を有し、外形厚紙211,212に開閉可能に開口された口状開口部213,214と、外形厚紙211,212の空洞に取付けられ、口状開口部213,214が開閉する方向に弾性を伝達する輪ゴム215とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙玩具及びその型紙シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の紙製の玩具が作成され、例えば、立体絵本、いわゆるポップアップ絵本がよく知られている。この立体絵本では、雑誌の一部に動物のイラストや文字等の立体造形物が平面状に折り畳まれた状態で挟み込まれている。読者がこの立体造形物が挟み込まれたページを開くことによって、立体造形物が立体的に飛び出し、立体的な効果を演出している。このような立体絵本の一例が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−209114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の紙玩具では、雑誌等の平面的な物品に挟み込まれているため、飛び出して形成される立体形状に限界があり、複雑な立体形状を実現することが困難であるという問題があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、複雑な立体形状を実現することができる紙玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る厚紙玩具は、厚紙によって構成され、口部分を開閉する動物の形状を模した立体形状から平面形状に可変である本体部と、厚紙によって構成され、前記本体部を収納する収納口が設けられた収納部とを有する厚紙玩具であって、前記本体部は、前記動物の外形を模した形状を有し、内部に空洞を有する外形部と、前記動物の口部分を模した形状を有し、前記外形部に開閉可能に開口された口状開口部と、前記外形部の空洞に取付けられ、前記口状開口部が開閉する方向に弾性を伝達する弾性部とを備え、前記本体部が前記収納部に収納された場合には、前記外形部は、前記空洞が潰れたような平面形状を有し、前記口状開口部は、当該外形部が平面形状になることによって開き、当該開いた状態で前記収納口の近傍に配設され、前記弾性部は、前記外形部が平面形状になることによって弾性を有し、前記本体部が前記収納部から取り出された場合には、前記外形部は、前記弾性部の弾性によって立体形状に戻り、前記口状開口部は、前記外形部が立体形状になることによって閉じるものである。
【0005】
さらに、本発明に係る厚紙玩具は、前記本体部は、前記動物の舌部分を模した形状を有し、前記外形部の空洞に固着された舌状部を備え、前記収納部は、前記収納口の周辺に配設された切欠き部を備え、前記本体部が前記収納部に収納された場合には、前記舌状部は、前記外形部が平面形状を有した状態で前記切欠き部から露出し、前記本体部が前記収納部から取り出される場合には、前記本体部は、前記舌状部が引っ張られることによって取り出される。
【0006】
他方、本発明に係る厚紙玩具は、厚紙によって構成され、口部分を開閉する動物の形状を模した立体形状を有する厚紙玩具であって、前記動物の外形を模した形状を有し、内部に空洞を有する外形部と、前記動物の顎部分を模した形状を有する顎部と、当該顎部に対向した状態で前記外形部に回動可能に固着された対向顎部と、前記対向顎部が前記顎部に向かって回動する方向に前記対向顎部を引っ張る弾性部とを備え、前記外形部は、前記空洞が潰されたような平面形状を有し、前記弾性部は、当該外形部が平面状になることによって、前記対向顎部を引っ張った状態を解除し、前記対向顎部は、前記顎部から離間することによって前記顎部に対して開くものである。
【0007】
さらに、本発明に係る厚紙玩具は、厚紙によって構成され、所定の立体形状を模した形状を有する厚紙玩具であって、所定の外形面と、前記所定の外形面に回動可能に固着されるとともに隣接面が互いに離間し、前記所定の外形面とともに前記所定の立体形状を構成する複数の外形面と、前記前記外形面と前記複数の外形面とによって囲まれた内側において、前記所定の外形面に平行に配設された所定の内面と、当該所定の内面に回動可能に固着されるとともに隣接面が互いに離間し、それぞれの外縁が対応した前記複数の外形面の内面に固着された前記複数の内面と、前記複数の外縁に沿って取付けられ、前記複数の内面を前記所定の内面に向かって弾性を伝達する弾性部とを備え、前記所定の外形面が押さえられた場合には、前記複数の外形面は、前記所定の外形面を中心に広がることによって平面形状を有し、前記複数の内面は、当該複数の外形面が広がるのに応じて前記所定の内面を中心に広がり、前記弾性部は、前記複数の内面が広がることによって外側に向かって引っ張られ、前記所定の外形面が押さえられた状態が解除された場合には、前記弾性部は、前記複数の内面を前記所定の内面に向かって弾性を伝達し、前記複数の内面は、前記弾性部による弾性によって前記所定の内面を中心に内側に向かって萎み、前記複数の外形面は、前記複数の内面が萎むことによって、前記所定の外形面を中心に萎んで前記立体形状に戻るものである。
【0008】
また、本発明に係る厚紙玩具は、厚紙によって構成され、所定の立体形状から平面形状に可変である本体部と、厚紙によって構成され、前記本体部を収納する収納部とを有する厚紙玩具であって、前記本体部は、前記立体形状の外形を模した形状を有し、内側に配設された空洞と、折り畳まれる折り畳み部分とを有する外形部と、前記外形部の空洞に取付けられ、前記折り畳み部分が折り畳まれる方向に弾性を伝達する弾性部とを備え、前記本体部が前記収納部に収納された場合には、前記外形部は、前記折り畳み部分が折り畳まれることによって、前記空洞が潰れたような平面形状を有し、前記弾性部は、前記折り畳み部分が折り畳まれることによって弾性を有し、前記本体部が前記収納部から取り出された場合には、前記外形部は、前記折り畳み部分が前記弾性部の弾性によって戻ることによって立体形状に戻るものである。
【0009】
またさらに、本発明に係る厚紙玩具は、前記収納部は、前記本体部が収納される収納口の周辺に配設された切欠き部を備え、前記本体部が前記収納部に収納された場合には、前記本体部の一部は、前記外形部が平面形状を有した状態で前記切欠き部から露出し、前記本体部が前記収納部から取り出される場合には、前記本体部は、前記露出した本体部の一部が引っ張られることによって取り出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑な立体形状を実現することができる厚紙玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
発明の実施の形態1.
本実施形態1では、平面状に折り畳まれた所定の立体造形物が封筒に収納され、この封筒から取り出されると、平面形状から立体形状に変わる厚紙玩具について説明する。
まず、図1,2を用いて、本発明に係る厚紙玩具の全体構成について説明する。図1,2は、本発明に係る厚紙玩具の全体構成を示す斜視図である。図1,2に示すように、この厚紙玩具1は、厚紙から構成された本体部11、収納部12を有する。
【0012】
図1,2に示すように、本体部11は、収納部12から取り出された状態で立体形状を有する。詳細には、この本体部11の立体形状は、立体的に動作可能な所定の動物を模した形状であり、何らかの動作を行う機構を有する対象物を模した形状である。例えば、本体部11の立体形状は、実在の動物や植物を模した立体形状、お化け・怪物や漫画に登場するキャラクター・イラスト等の架空の動物を模した立体形状とすることができる。
このような本体部11の内部は、後述するように、平面状に折り畳まれるようにほぼ中空である。換言すれば、本体部11は、所定の動物を模したように形状となるように、厚紙を用いて形作られている。つまり、本体部11の内部は空洞であり、その外形のみが厚紙を用いた所定の動物の外形を有する。
【0013】
図1,2に示すように、本体部11は、収納部12に収納された状態で平面形状を有し、詳細には、その内部の空洞が潰れることによって所定の動物を平面状に潰したような形状を有する。このとき、本体部11は、この模した動物の関節等の動作機構に沿って平面状に潰れている。従って、本体部11の形状が平面形状から立体形状に変化するとき、あたかも動物が動作するかのように形状を変化させる。
収納部12は、封筒等の平面状の形状を有し、紙等のような平面状の物品を収納する。物品が収納される収納部12の収納口付近には、切欠き部120が設けられている。
【0014】
続いて、図3を用いて、本発明に係る本体部11の詳細な構成について説明する。図3は、本発明に係る厚紙玩具1の内部構成を示す斜視図である。ここで、図1,2を参照しながら説明する。
図1,2に示された本体部11は、骸骨を基にして作成された怪物を模した立体形状を有する。具体的には、本体部11は、外形厚紙211,212、口状開口部213,214、輪ゴム215、舌状厚紙216を有する。
外形厚紙211,212は、本体部11の外観を形作る外観形成部の一例であり、骸骨に模した外観が形作られている。外形厚紙211,212はともに、一部が切り取られた六角形状の形状を有し、その中心と各頂点とを結ぶ部分に折り目が作成されている。
【0015】
口状開口部213,214は、本体部11によって構成された骸骨の口となる部分である。より具体的には、口状開口部213,214は、略六角形状の形状を有する外形厚紙211,212から切り取られた部分である。具体的には、口状開口部213,214は、外形厚紙211,212の一辺と中心とを結ぶ三角形状の形状を有する。
輪ゴム215は、弾性を有する弾性手段の一例であり、ばね等の弾性を有すものであればよい。
舌状厚紙216は、本体部11によって構成されている骸骨の舌となる部分であり、矩形状の小片である。
【0016】
このような各部材を貼り合せることによって、骸骨を模した形状の本体部11が構成される。
具体的には、外形厚紙211,212は、それぞれの外縁が重ね合わせられ、口状開口部213,214の外縁以外の外縁において貼り合せられている。外形厚紙211,212の外縁のみが貼り合せられ、その内側は貼り合せられていない。これによって、外形厚紙211,212によって形作られた外形の内部は中空となる。すなわち、外形厚紙211,212の内部に空洞が設けられている。
輪ゴム215は、互いに貼り合せられた外形厚紙211,212の内側面に取付けられる。詳細には、輪ゴム215は、口状開口部213,214を挟んで両側に取付けられ、口状開口部213,214を挟む外形厚紙211,212に弾性力に伝達可能となる。
【0017】
外形厚紙211,212の中心と各頂点とを結ぶ直線に沿って折り目が形成され、それぞれの外縁のみが貼り付けられている。これによって、外形厚紙211,212は、折り目に沿って外側に膨らみ、口状開口部213,214が上下に重なって閉じる。口状開口部213,214が閉じた状態で、外形厚紙211,212が両側(左右)から押さえられたとする。口状開口部213,214の外縁が貼り合せられていないので、口状開口部213,214が開き、立体的に膨らんでいた外形厚紙211,212は、平面状に潰れる。換言すれば、外形厚紙211,212は、両側から押さえられることによって、お互いに近づいて平面状になる。
輪ゴム215は、口状開口部213,214を挟んで取付けられているので、外形厚紙211,212が押さえられる方向に直角の方向に引張可能に取付けられている。そのため、輪ゴム215は、外形厚紙211,212が平面状につぶれた状態で、外形厚紙211,212を引っ張っている。
【0018】
舌状厚紙216の一端は、外形厚紙211,212の中心付近に貼り付けられ、その他端は貼り付けられていない。この貼り付けられていない舌状厚紙216の端部は、口状開口部213,214の位置に配置されている。舌状厚紙216は、外形厚紙211,212に沿って貼り付けられ、輪ゴム215の弾性力が働く方向とは垂直に貼り付けられている。舌状厚紙216は、外形厚紙211,212が押さえられると、貼り付けられていない端部が口状開口部213,214から突出する。これによって、本体部11によって構成された骸骨は、口の部分から舌を出したような状態となる。
【0019】
さらに続いて、図4を用いて、本発明に係る厚紙玩具1の使用形態について説明する。図4は、本発明に係る厚紙玩具1の使用形態を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、使用者は、本体部11の外形厚紙211,212を両側から押さえ、本体部11を平面状にして、この平面状の本体部11を収納部12に収納する。このとき、平面状の本体部11は、収納部12が構成する平面状の形状に沿って収納され、本体部11の外形厚紙211,212は、収納部12によって両側から押された状態で収納される。従って、本体部11は、骸骨が口から舌を出したような状態で収納部12に収納され、口状開口部213,214から舌状厚紙216が突出している。この突出した舌状厚紙216は、図4(b)に示すように、収納部12の収納口付近に配置され、詳細には切欠き部120から露出している。
【0020】
図4(c)に示すように、使用者は、収納部12の口状開口部120から舌状厚紙216が露出しているので、露出した舌状厚紙216を視認し、この舌状厚紙216を指で摘んで取り出す。本体部11が収納部12から取り出されると、収納部12内で両側から押さえられていた本体部11は、輪ゴム215の弾性力によって平面形状から立体形状となる。これによって、本体部11の口状開口部213,214が閉じるので、舌状厚紙216を摘む使用者の指は、口状開口部213,214の間に挟まり、骸骨によって噛まれたような状態となる。
【0021】
次に、図5を用いて、本発明に係る厚紙玩具1の型紙シートについて説明する。図5は、本発明に係る厚紙玩具1の型紙シートの一例を示す平面図である。
図5に示すように、型紙シート210には、本体部11、収納部12の展開図が印刷されている。具体的には、本体部11の外形厚紙211,212が切り開かれた状態で印刷され、収納部12もまた切り開かれた状態で印刷されている。これらとともに、舌状厚紙216が個別で印刷されている。このように印刷された型紙シート210には、のりしろ211、山折線212、谷折線213等が印刷されている。
【0022】
以上のように、本発明に係る厚紙玩具1では、骸骨を模した本体部11は、立体形状から平面形状になるとき、口を閉じた骸骨から口から舌を出した骸骨になる。これによって、骸骨が口を開閉するような複雑な立体形状を実現することができる。さらに、本発明に係る厚紙玩具1では、本体部11は、平面状の収納部12から取り出されると、口を閉じた骸骨のような立体形状で出現する。特に、使用者は、舌状厚紙216を摘んで取り出すので、骸骨が使用者の指を噛み付いたような状態となる。これによって、使用者を楽しませることができる。
【0023】
発明の実施の形態2.
実施形態1では、本体部11と収納部12とが組み合わせた厚紙玩具1について説明したが、本実施形態2では、単体で立体的に形状を変える厚紙玩具について説明する。より具体的には、本実施形態2では、押さえられると口が開閉するようなワニのような厚紙玩具について説明する。
【0024】
まず、図6,7を用いて、本実施形態2の厚紙玩具の全体構成について説明する。図6,7は、本実施形態2の厚紙玩具の一構成例を示す斜視模式図である。図6に示すように、厚紙玩具30は、ワニを模したような立体形状を有し、具体的には、胴体厚紙311、上顎厚紙312、下顎厚紙313、舌状厚紙314を有する。
【0025】
上顎厚紙312は、胴体厚紙311に回動可能に固着され、詳細には、胴体厚紙311の背面部に折り目が入れられた状態で固着されている。
下顎厚紙313もまた、胴体厚紙311の腹部に固着されているが、上顎厚紙312と異なり、胴体厚紙311の腹部に対して固定されている。
舌状厚紙314は、実施形態1における舌状厚紙216と同様である。
【0026】
このような厚紙玩具30では、下顎厚紙313が胴体厚紙311に固定されているのに対して、上顎厚紙312の先端が胴体厚紙311との固着部分を軸として上方に持ち上がる。また、上顎厚紙312は、厚紙玩具30が設置された状態で設置面に平行に配置されている。舌状厚紙314は、この状態で上顎厚紙312と下顎厚紙313の間から露出している。すなわち、厚紙玩具30は、ワニが口を開け、口から舌を出したような状態となる。
【0027】
続いて、図8を用いて、本実施形態2の厚紙玩具30について詳細に説明する。図8は、本実施形態2の厚紙玩具30の一構成例を示す斜視模式図である。
図8(a)に示すように、舌状厚紙314は、上顎厚紙312の内側に固着され、詳細には、上顎厚紙312の内側に突出した突出部分に固着されている。この上顎厚紙312の突出部分は、上顎厚紙312が厚紙玩具30の設置面に平行な状態で、この設置面に向かって下方に突出している。従って、この突出部分は、上顎厚紙312の上部に垂設され、この上部と直角に配設されている。
【0028】
より具体的には、舌状厚紙314は、その主面が上顎厚紙312の内面と鋭角の状態で固着されている。従って、舌状厚紙314は、上顎厚紙312とともに、胴体厚紙311に対して回動可能に固着されている。舌状厚紙314は、上顎厚紙312の先端が持ち上がるのに応じて、上顎厚紙312と下顎厚紙313との間から露出するとともに、その先端部分は、上顎厚紙312との固着部分を軸に持ち上がる。
【0029】
図8(a)に示すように、厚紙玩具30は、上記の各厚紙に加えて、輪ゴム315を有する。輪ゴム315は、舌状厚紙314の固着部分付近において舌状厚紙314の上面に引っ掛けられ、舌状厚紙314の両端から後方へと延びている。
輪ゴム315は、図8(b)に示すように、胴体厚紙311の腹部に引っ掛けられ、この状態で延びた状態を保っている。輪ゴム315は、この弾性力によって舌状厚紙314を下方に押し、舌状厚紙314に固着された上顎厚紙312を下方へと押している。この下方に押された上顎厚紙312は、その下方に設けられた下顎厚紙313によって支えられている。
【0030】
このように、通常は、厚紙玩具30は、上顎厚紙312と下顎厚紙313とが閉じたい状態を維持している。胴体厚紙311が外形を形作った状態で、腹部には空洞が形成されている。胴体厚紙311が上方から押さえられると、この腹部の空洞が潰れるので、胴体厚紙311は平面状の形状となる。輪ゴム315は、胴体厚紙311の空洞が潰れることによって引張状態から開放され、その弾性によって押さえられた上顎厚紙312は、この状態から開放される。
舌状厚紙314が上顎厚紙312の突出部分に固着され、この突出部分は、胴体厚紙311の空洞が潰れることによって、厚紙玩具30が置かれた設置面に押し付けられる。この上顎厚紙312の突出部分は下方の下顎厚紙313から押されるので、下方を向いていた突出部分は設置面に平行となって前方を向く。これによって、上顎厚紙312の先端が下顎厚紙312から持ち上げられ、舌状厚紙314が露出する。
【0031】
次に、図9を用いて、本発明に係る厚紙玩具30の型紙シートについて説明する。図9は、本発明に係る厚紙玩具30の型紙シートの一例を示す平面図である。
図9に示すように、型紙シート320には、胴体厚紙311、上顎厚紙312、下顎厚紙313、舌状厚紙314の展開図が印刷されている。具体的には、胴体厚紙311、上顎厚紙312、下顎厚紙313、舌状厚紙314の各厚紙が切り開かれた状態で印刷されている。このように印刷された型紙シート320には、のりしろ321、山折線322、谷折線323等が印刷されている。
このように、厚紙玩具30では、複雑な立体形状を実現することができ、胴体が押さえられると上顎を開け、放すと上顎を閉めるワニを実現することができる。
【0032】
発明の実施の形態3.
実施形態2では、押さえられると口が開閉するようなワニのような厚紙玩具30について説明したが、本実施形態3では、押すと潰れるが、放すと元の立体形状となる厚紙玩具について説明する。
まず、図10を用いて、本実施形態3における厚紙玩具の全体構成について説明する。図10は、本実施形態3の厚紙玩具の一構成例を示す斜視模式図である。図10に示すように、厚紙玩具40は、正十二面体状の概観形状を有し、所定の面が押されることによって平面状に潰れたような形状となる。
【0033】
続いて、図11を用いて、本実施形態3の厚紙玩具40について詳細に説明する。図11は、本実施形態3の厚紙玩具40の一構成例を示す斜視模式図である。
図11に示すように、厚紙玩具40は、外形厚紙41、内側厚紙42、輪ゴム43を有する。図11に示すように、外形厚紙41は、1つの基本となる五角形状厚紙の各辺に5つの五角形状厚紙が固着された形状を有する。ここで、基本となる五角形状厚紙と5つの五角形状厚紙のみが5箇所で固着され、これらの箇所以外においては隣接する五角形状厚紙は互いに固着されていない。この固着された5箇所は、この固着部分を軸として回動可能であり、より具体的には、この固着部分で折り曲げ可能となっている。
【0034】
内側厚紙42もまた、外形厚紙41と同様の形状を有する。輪ゴム43は、内側厚紙42の5つの五角形状厚紙に取付けられ、詳細にはその外縁を囲むように引っ掛けられている。内側厚紙42は、輪ゴム43が嵌められた状態で外形厚紙41の内側に固着され、詳細には、両厚紙41,42の基本となる五角形状厚紙が対向した状態では位置され、他の5つの五角形状厚紙がそれぞれ固着される。
【0035】
このように内側厚紙42が外形厚紙41内側に固着された立体的な部品は、厚紙玩具40の半分を構成している。そのため、この部品と同じ部品がこれとは別に一体作製される。作製された一組の部品は、双方の内側厚紙42の基本となる五角形状厚紙同士が固着される。
【0036】
厚紙玩具40では、内側厚紙42が輪ゴム43の弾性によってすぼむように5つの五角形状厚紙が内側に寄せられ、これに応じて外形厚紙41もまた内側に寄せられる。外形厚紙41の5つの五角形所厚紙が隣接した変同士が接触することによって、十二面体状の外形が構成される。厚紙玩具40は、両厚紙41,42の基本となる五角形状厚紙に平行な面で外部から押されると、両厚紙41,42の各五角形状厚紙は広がり、両厚紙41,42が平面状に当接することによって平面状に形状が変化する。厚紙玩具40は、押さえられた状態から開放されると、内側厚紙42が輪ゴム43の弾性のよって内側にすぼみ、それに応じて外形厚紙41もまた内側にすぼむ。これによって、厚紙玩具40は、元の形に戻る。
【0037】
次に、図12を用いて、本発明に係る厚紙玩具40の型紙シートについて説明する。図12は、本発明に係る厚紙玩具40の型紙シートの一例を示す平面図である。
図12に示すように、型紙シート440には、一組の外形厚紙41、内側厚紙42の展開図が印刷されている。具体的には、外形厚紙41が切り開かれた状態で印刷され、内側厚紙42もまた切り開かれた状態で印刷されている。このように印刷された型紙シート440には、のりしろ441、山折線442等が印刷されている。
このように、本発明に係る厚紙玩具40では、複雑な立体形状を実現することができ、押すと潰れ、放すと元に戻る正十二面体を構成することができる。
【0038】
その他の発明の実施の形態.
本実施形態1〜3を適宜組み合わせることもできる。例えば、実施形態1の収納部12に、実施形態3の厚紙玩具40を平面形状にして収納し、取り出したときに立体形状となるように構成することもできる。
また例えば、動物を模した形状を有する本体部に、折り畳み部分を設け、この折り畳み部分で折り畳むことによって立体形状から平面形状となるように構成することができる。この場合には、輪ゴムは、折り畳み部分の内側に取付けられ、折り畳み部分が折り畳まれる方向に弾性を有する。このように構成することによって、本体部が折り畳まれて平面形状になると、輪ゴムは折り畳み部分を引っ張られている。本体部が平面形状で収納部に収納された後、この収納部から取り出されると、輪ゴムの弾性によって本体部が平面形状から元の立体形状となる。またこのとき、実施の形態1のように、本体部の一部が収納部の収納口から露出していてもよいし、この露出部分を本体部の特徴的な部分としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る厚紙玩具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る厚紙玩具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る厚紙玩具の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る厚紙玩具の使用形態の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る厚紙玩具の型紙シートの一例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る厚紙玩具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る厚紙玩具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る厚紙玩具の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る厚紙玩具の型紙シートの一例を示す平面図である。
【図10】本発明に係る厚紙玩具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る厚紙玩具の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る厚紙玩具の型紙シートの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…厚紙玩具、11…本体部、12…収納部、120…切欠き部、
211,212…外形厚紙、213,214…口状開口部、215…輪ゴム、
216…舌状厚紙、
210…型紙シート、211…のりしろ、212…山折線、213…谷折線
30…厚紙玩具、311…胴体厚紙、312…上顎厚紙、313…下顎厚紙、
314…舌状厚紙、315…輪ゴム、
320…型紙シート、321…のりしろ、322…山折線、323…谷折線
40…厚紙玩具、41…外形厚紙、42…内側厚紙、43…輪ゴム、
440…型紙シート、441…のりしろ、442…山折線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙によって構成され、口部分を開閉する動物の形状を模した立体形状から平面形状に可変である本体部と、
厚紙によって構成され、前記本体部を収納する収納口が設けられた収納部とを有する厚紙玩具であって、
前記本体部は、
前記動物の外形を模した形状を有し、内部に空洞を有する外形部と、
前記動物の口部分を模した形状を有し、前記外形部に開閉可能に開口された口状開口部と、
前記外形部の空洞に取付けられ、前記口状開口部が開閉する方向に弾性を伝達する弾性部とを備え、
前記本体部が前記収納部に収納された場合には、
前記外形部は、前記空洞が潰れたような平面形状を有し、
前記口状開口部は、当該外形部が平面形状になることによって開き、当該開いた状態で前記収納口の近傍に配設され、
前記弾性部は、前記外形部が平面形状になることによって弾性を有し、
前記本体部が前記収納部から取り出された場合には、
前記外形部は、前記弾性部の弾性によって立体形状に戻り、
前記口状開口部は、前記外形部が立体形状になることによって閉じる厚紙玩具。
【請求項2】
前記本体部は、前記動物の舌部分を模した形状を有し、前記外形部の空洞に固着された舌状部を、さらに備え、
前記収納部は、前記収納口の周辺に配設された切欠き部を、さらに備え、
前記本体部が前記収納部に収納された場合には、
前記舌状部は、前記外形部が平面形状を有した状態で前記切欠き部から露出し、
前記本体部が前記収納部から取り出される場合には、
前記本体部は、前記舌状部が引っ張られることによって取り出されることを特徴とする請求項1記載の厚紙玩具。
【請求項3】
厚紙によって構成され、口部分を開閉する動物の形状を模した立体形状を有する厚紙玩具であって、
前記動物の外形を模した形状を有し、内部に空洞を有する外形部と、
前記動物の顎部分を模した形状を有する顎部と、
当該顎部に対向した状態で前記外形部に回動可能に固着された対向顎部と、
前記対向顎部が前記顎部に向かって回動する方向に前記対向顎部を引っ張る弾性部とを備え、
前記外形部は、前記空洞が潰されたような平面形状を有し、
前記弾性部は、当該外形部が平面状になることによって、前記対向顎部を引っ張った状態を解除し、
前記対向顎部は、前記顎部から離間することによって前記顎部に対して開く厚紙玩具。
【請求項4】
厚紙によって構成され、所定の立体形状を模した形状を有する厚紙玩具であって、
所定の外形面と、
前記所定の外形面に回動可能に固着されるとともに隣接面が互いに離間し、前記所定の外形面とともに前記所定の立体形状を構成する複数の外形面と、
前記前記外形面と前記複数の外形面とによって囲まれた内側において、前記所定の外形面に平行に配設された所定の内面と、
当該所定の内面に回動可能に固着されるとともに隣接面が互いに離間し、それぞれの外縁が対応した前記複数の外形面の内面に固着された前記複数の内面と、
前記複数の外縁に沿って取付けられ、前記複数の内面を前記所定の内面に向かって弾性を伝達する弾性部とを備え、
前記所定の外形面が押さえられた場合には、
前記複数の外形面は、前記所定の外形面を中心に広がることによって平面形状を有し、
前記複数の内面は、当該複数の外形面が広がるのに応じて前記所定の内面を中心に広がり、
前記弾性部は、前記複数の内面が広がることによって外側に向かって引っ張られ、
前記所定の外形面が押さえられた状態が解除された場合には、
前記弾性部は、前記複数の内面を前記所定の内面に向かって弾性を伝達し、
前記複数の内面は、前記弾性部による弾性によって前記所定の内面を中心に内側に向かって萎み、
前記複数の外形面は、前記複数の内面が萎むことによって、前記所定の外形面を中心に萎んで前記立体形状に戻る厚紙玩具。
【請求項5】
厚紙によって構成され、所定の立体形状から平面形状に可変である本体部と、
厚紙によって構成され、前記本体部を収納する収納部とを有する厚紙玩具であって、
前記本体部は、
前記立体形状の外形を模した形状を有し、内側に配設された空洞と、折り畳まれる折り畳み部分とを有する外形部と、
前記外形部の空洞に取付けられ、前記折り畳み部分が折り畳まれる方向に弾性を伝達する弾性部とを備え、
前記本体部が前記収納部に収納された場合には、
前記外形部は、前記折り畳み部分が折り畳まれることによって、前記空洞が潰れたような平面形状を有し、
前記弾性部は、前記折り畳み部分が折り畳まれることによって弾性を有し、
前記本体部が前記収納部から取り出された場合には、
前記外形部は、前記折り畳み部分が前記弾性部の弾性によって戻ることによって立体形状に戻る厚紙玩具。
【請求項6】
前記収納部は、前記本体部が収納される収納口の周辺に配設された切欠き部を、さらに備え、
前記本体部が前記収納部に収納された場合には、
前記本体部の一部は、前記外形部が平面形状を有した状態で前記切欠き部から露出し、
前記本体部が前記収納部から取り出される場合には、
前記本体部は、前記露出した本体部の一部が引っ張られることによって取り出されることを特徴とする請求項5記載の厚紙玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−275288(P2007−275288A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105377(P2006−105377)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506092721)有限会社ワイズ・マーケティング (2)
【Fターム(参考)】