説明

原子内包シリコンクラスター、及び、その製造方法

【課題】新規エレクトロニクス材料として期待されるシリコンクラスターは、従来、金属原子を内包するシリコンクラスターの合成が報告されていた。しかし、金属イオンの生成効率が極めて低いために、シリコンクラスターを大量生産することができなかった。
【解決手段】ガス原子とシリコンを反応させることによりガス原子内包シリコンクラスターを合成した。金属イオンに比べガスイオンは、生成が容易で、イオン生成効率も高い。シリコンクラスターの大量生産が可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス原子を内包したシリコンクラスター材料、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004-99349号公報
【非特許文献1】S.M.Beck, J.Chem.Phys. 87 (1987) 4233
【非特許文献2】M.Ohara et al., Chem. Phys. Lett. 371 (2003) 490
【非特許文献3】K.Jackson et al., Chem. Phys. Lett. 254 (1996) 249
【0003】
近年、カーボンフラーレンやカーボンナノチューブなど、炭素原子からなるナノクラスターが、優れた物性を示す新規材料として盛んに研究されている。炭素と同じIV族の元素であるシリコンは、現在の半導体産業にとって最も重要なデバイス材料であり、バルクシリコンについてはこれまで多くの研究資産が蓄積されている。一方、シリコン原子からなるナノクラスター、すなわち、シリコンクラスターは、バルクシリコンにない優れた物性とシリコンプロセスとの高い整合性が期待され、新規な半導体素子、3次元電子素子、発光素子など新規デバイスを実現する材料として研究が進められている。
【0004】
1987年、S.M.Beckらは、反応室中にSiH4/Heガスを導入し、金属ターゲットに対しレーザ光を照射するレーザーアブレーション法を用いて、シリコンクラスターMSi(M=W, Co, Cr, Mo, Cu, n=15, 16)を合成した(非特許文献1)。
その後、金山らは、反応室中にSiH4/Heガスと金属蒸気を導入し、電子ビームを照射してSiイオンと金属イオンを発生させ、四重極イオントラップ法を用いて、金属原子内包シリコンクラスターMSin (M=W, Nb, Ta, Re, Ir, Mo, Hf, n=10, 12, 14, 16)を合成した(特許文献1)。
さらに、2003年に、茅らは、金属ロッドとSiロッドに対しレーザ光を照射するレーザーアブレーション法を用いて金属とSiを気化し、発生した蒸気を高圧のHeガス中で冷却し、金属原子内包シリコンクラスターMSin (M=Ti, Hf, Mo, W, n=15, 16)を合成した(非特許文献2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シミュレーションによれば、シリコンクラスターは、Si以外の原子を内包することにより、安定に存在できるようになると言われている(非特許文献3)。一方、これまでシミュレーション、合成実験の報告のあった原子内包シリコンクラスターは、すべて金属原子を内包するシリコンクラスターであった。すなわち、実際にシリコンクラスターの合成に成功し、シリコンクラスターを安定に生成できることを実証できた原子は金属原子だけであった。
報告された金属原子内包シリコンクラスターは、特殊なトラップ装置(特許文献1)やレーザーアブレーション法(非特許文献1、2)により合成されており、装置構成が複雑であった。また、金属原子はイオン化効率が悪く、シリコンクラスターを大量に合成することができないという問題があった。エレクトロニクス分野で優れた新規材料として期待されるシリコンクラスターを工業利用可能なレベルで大量に生産するには、より簡単な構成の装置を用い高い生成効率で合成可能な製造方法の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、不活性ガス原子を内包する原子内包シリコンクラスターである。
【0007】
本発明(2)は、化学式がX@Sin(X=He, Ne, Ar, n=12〜18)で表現される前記発明(1)の原子内包シリコンクラスターである。
【0008】
本発明(3)は、プラズマ中で不活性ガスイオンとシリコンイオンを反応させることにより、不活性ガス原子を内包するシリコンクラスターを生成する原子内包シリコンクラスターの製造方法である。
【0009】
本発明(4)は、真空容器中に不活性ガスを導入し、高周波誘導により前記不活性ガスを励起して不活性ガスプラズマを生成し、同時に前記真空容器中でシリコンイオンを生成して前記不活性ガスプラズマ中に導入することにより前記不活性ガスイオンと前記シリコンイオンを反応させることを特徴とする前記発明(3)の原子内包シリコンクラスターの製造方法である。
【0010】
本発明(5)は、少なくとも、真空容器と、前記真空容器中に不活性ガスを導入するガス導入管と、前記不活性ガスをイオン化するプラズマ生成手段と、前記真空容器中にシリコンプラズマを供給するシリコンプラズマ生成手段とからなる原子内包シリコンクラスターの製造装置である。
【発明の効果】
【0011】
1.金属原子を内包する場合だけでなく、ガス原子を内包する場合にも、シリコンクラスターが、原子内包シリコンクラスターとして安定に生成され得ることが実証された。
2.ガス原子は、金属原子と比べ、イオン化が容易で、イオン生成効率が高い。ガス原子を内包することで、簡単な構成の装置でシリコンクラスターを製造でき、大量生産が可能になった。
3.シリコンクラスターに内包するガス原子として不活性ガスを用いることにより、合成作業の安全性が高くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の最良形態について説明する。
【0013】
(ガス原子内包シリコンクラスター)
本発明の原子内包シリコンクラスターは、ガス原子を内包したクラスターであることを特徴とする。ガス原子内包クラスターについては、炭素クラスターにおいて、いくつか合成に成功したとの報告例がある。しかし、ガス原子内包シリコンクラスターについて言及した論文はこれまで提出されておらず、また、実際に合成に成功したとの報告例もこれまで出されていなかった。
発明者らは、電子ビームによりSiプラズマを生成し、同時に、誘導結合Arプラズマを生成して、SiイオンとArイオンを反応させることにより、初めて、Ar内包シリコンクラスターの合成に成功した。原子を内包することでシリコンクラスターは安定に生成されると言われているが、内包原子は従来報告されてきた金属原子だけでなく、ガス原子とした場合でも、シリコンクラスターを安定に生成できることが確認できた。
内包原子として、金属原子を用いるよりも、ガス原子を用いるほうが、装置構成が簡単で、イオン生成効率が高い。一般的な金属原子は、常温では固体であるため、イオン化するためには、加熱や電子ビーム、イオンビームの照射により気化する必要がある。そのためイオン生成装置が複雑で、また、イオン生成効率も低い。それに対し、ガス原子は、イオン化が容易で、イオン生成効率も高い。
内包するガス元素としては、特に、不活性ガスを用いるのが、安全性が高く取扱いが容易で、イオン化し易いという点で好ましい。また、不活性ガスプラズマ中では、SiイオンやSiラジカルのライフタイムが長くなり、シリコンクラスターの生成量が増えるという効果もある。発明者らは、He、Ne、Ar、Krを用いてシリコンクラスターの合成を試みた。He、Ne、Arについては原子内包シリコンクラスターの生成が確認できたが、Krについては、内包が確認できなかった。Krは、原子の粒径が比較的大きいためにクラスターに内包できなかったと考えられる。
【0014】
ここで、「クラスター」とは、せいぜい100個程度の複数の原子や分子が結合してできる集合体を意味する。1個の集合体の大きさは、ナノメートルオーダーであるため、ナノクラスターとも言われている。原子や分子が、球状に結合したクラスターを「フラーレン」と呼び、筒状に集まったクラスターを「ナノチューブ」と呼ぶ。
ガス原子を内包することによるクラスターの物性への影響については、カーボンフラーレンにおいていくつか報告があり、特に、不活性ガスのHe、Ar、Kr、Xeでも、フラーレンの物性を変化させ得ることが報告されている。従って、不活性ガスを内包するシリコンクラスターにおいても、シリコンクラスターの物性を変化させ、新たに優れた物性のシリコンクラスター材料が得られることが十分予測できる。
【0015】
(ガス原子内包シリコンクラスターの製造装置)
図1(a)は、本発明に係るガス原子内包シリコンクラスターの製造装置の具体例の概略図である。図1(a)に示す製造装置は、真空容器1、真空ポンプ2、Siプラズマ源3、不活性ガス導入管4、グリッド電極板5、高周波誘導コイル6、堆積基板7から構成される。
プラズマの生成、シリコンクラスターの合成は、以下に述べる手順で行う。最初に、真空容器1を真空ポンプ2により減圧する。背景真空度は約10-3Pa以下とするのが好ましい。次に、不活性ガス、例えば、Arガスを不活性ガス導入管4から真空容器1中に導入し、高周波誘導コイル6に高周波電流を流し、Arガスを励起してArの正イオンと電子からなるプラズマ8を生成する。高周波誘導コイル7に電力を供給する電源は、高周波電源10、マッチングボックス11、ブロッキングコンデンサ12から構成される。高周波電源10は周波数13.56MHzの高周波電力を供給する電源で、高周波電力は0〜300Wの範囲で制御可能である。次に、Siプラズマ源3を作動させ、Siの正イオンをプラズマ中に導入する。高周波誘導コイル6とSiプラズマ源3の間には、グリッド電極板5が配置されている。グリッド電極板5の電位は接地電位とする。これにより、プラズマ8の電位を制御でき、同時に、プラズマ8のSiプラズマ源3への流入を防止できる。
図1(b)は、図1(a)に示すSiプラズマ源3の詳細図であり、Siプラズマを生成する原理の説明図である。Siプラズマ源3は、るつぼ15、電子ビーム加速電源17、フィラメント加熱電源18、電子ビーム生成フィラメント19、電磁コイルなどの磁界印加手段から構成される。るつぼ15の中にSi固体原料16を入れる。まず、フィラメント加熱電源18により電子ビーム生成フィラメント19に電流を供給し、フィラメント19から電子を発生させる。図では、フィラメント加熱電源18として交流電源を用いているが、直流電源を用いることも可能である。電子ビーム加速電源17により、電子ビーム生成フィラメント19とるつぼ15の間に約4kVの加速電圧を印加する。同時に、磁界BEBを印加する。フィラメント19から発生した電子は、加速電圧により加速され、磁界により進行方向を曲げられて、るつぼ15の中のSi固体原料16に照射される。電子の衝突によりSi固体原料16は、加熱され蒸発するとともに、電離して、Siイオン20と電子21からなるプラズマになる。Siイオンの生成は、電子のエミッション電流IEBを測定して制御した。
図1(a)において、高周波誘導コイル6に囲まれた位置に、ステンレス製の堆積基板7をステンレス製の棒により支持して配置する。プラズマ8にSiイオン20が流入し、プラズマ8中のArイオンとSiイオンが反応し、堆積基板7に反応生成物が堆積する。プラズマ8の状態を測定するために、高周波誘導コイル6の近傍にプラズマ測定用プローブ9が配置されている。
実施例において説明するように、Ar内包シリコンクラスターの存在が、堆積基板上の反応生成物の中に確認された。ガス原子として、Ar以外に、He、Neについてもクラスター合成実験を行い、いずれの場合も、ガス原子内包シリコンクラスターの生成が確認できた。
【0016】
(製造装置の他の構成例)
図1(a)に示す概略図では、ガスプラズマを高周波誘導により生成しているが、高周波誘導に限らず、直流放電、電子ビーム照射、マイクロ波放電を用いてもガスプラズマの生成、シリコンクラスターの合成が可能である。
また、Siイオンの生成は、図1(b)で説明した電子ビーム照射だけでなく、例えば、不活性ガスイオンを静電場により加速してSi原料に衝突させてイオン化してもよい。さらに、シランガスを不活性ガスと同時に真空容器に導入し、例えば、高周波誘導によりイオン化してもよい。
【0017】
(金属原子内包シリコンクラスターの製造装置)
図1(a)に示すガス原子内包シリコンクラスターの製造装置に金属ターゲット電極を取り付ける簡単な改造を行うことにより、金属原子を内包するシリコンクラスターを製造することができる。図2(a)は、金属原子内包シリコンクラスターの製造装置の具体例の概略図である。図1(a)に示す装置に対し、新たに、タングステン(W)製のターゲット電極板13が取り付けられており、バイアス電圧印加電源14により負の電圧が印加される。バイアス電圧は、例えば、-500Vとする。
図2(b)は、図2(a)に示す製造装置においてWプラズマを生成する原理の説明図である。高周波誘導で生成したプラズマ8中のArの正イオン22は、ターゲット電極板13に印加されたバイアス電圧により加速され、ターゲット電極板13に衝突する。ターゲット電極板13を構成するW原子は、Arイオン22の衝突により、電離してWイオン23になる。生成したWイオン23とプラズマ8中のSiイオン20は反応して、W内包シリコンクラスターとなり、堆積基板7上に堆積する。堆積した生成物を質量分析した結果、W内包シリコンクラスターの存在が確認された。
W以外の金属材料を用いて作製したターゲット電極板を使用することにより、異なる種類の金属内包シリコンクラスターを合成することが可能である。例えば、Nb, Ta, Re, Ir, Mo, Hf ,Co, Cr, Cu, Tiを内包する金属内包シリコンクラスターの合成が可能である。
不活性ガスプラズマ中で、金属原子をイオン化するので、金属イオンや金属ラジカルのライフタイムが長くなる。そのため、従来の金属内包シリコンクラスターの製造方法と比較して、シリコンクラスターの生成効率が高くなる。
【実施例】
【0018】
(プラズマパラメータの測定)
図1(a)に示すガス原子内包シリコンクラスターの製造装置を用いて、Siプラズマの生成、Si-Arプラズマの生成、及び、クラスターの合成を行った。プロセス条件としては、高周波電力PRF、Arガス圧力PAr、Siプラズマ源のエミッション電流IEBを制御した。プラズマパラメータとしては、電子密度neと電子温度Teをプラズマ測定プローブにより測定した。
図3(a)は、高周波電力を投入せず、また、Arガスを導入せずに、Siプラズマ源のみ作動させて生成したSiプラズマの電子密度neと電子温度Teのエミッション電流IEB依存性のグラフである。エミッション電流IEBを50mA以上にすることにより、電子密度が108(cm-3)オーダーのSiプラズマを生成できることが確認できた。
図3(b)は、Siプラズマ源を作動させ、エミッション電流IEBを100mAに設定し、同時に、Arガスを導入し、高周波電力を投入して生成したSi-Arプラズマの電子密度neと電子温度Teの高周波電力PRF依存性のグラフである。Arガスの圧力PArは、0.1Paとした。高周波電力PRFが0Wの時の電子密度はSiプラズマによるものである。高周波電力PRFを増加させることにより電子密度が増加しているが、これは、Arプラズマ生成によるものであり、例えば、400Wの高周波電力投入によりSiのみのプラズマに対し、約1桁の電子密度の増加が観測された。
【0019】
(質量スペクトル)
図4(a)、(b)は、それぞれ、Siプラズマ、及び、Si-Arプラズマにより合成した生成物の質量分析データである。質量分析は、レーザ脱離飛行時間型質量分析装置(LDTOF-MS)を用い、ネガティブモードで計測した。
図4(a)は、Siのみのプラズマで合成した生成物の質量分析結果である。プロセス条件は、IEB=100mA, PAr=0Pa, PRF=0W, 合成時間=10分であった。黒丸で示すピークが、Si、及びSiクラスターに対応する質量ピークである。Si10までは質量ピークは緩やかに低下するが、Si10を超えると質量ピークは急激に低下し、Si17までのピークが観測できることがわかる。これは、原子を内包していない大きなシリコンクラスターは安定に存在できないことを意味している。
図4(b)は、Si-Arプラズマで合成した生成物の質量分析結果である。プロセス条件は、IEB=100mA, PAr=0.1Pa, PRF=300W, 合成時間=10分であった。質量数が0〜300の領域で、図4(a)に示すスペクトルにおける質量ピークと同様のピークが観測される。さらに、質量数が300〜600の領域で、Siの質量数28の整数倍のピークに対し、Arの質量数に対応する40だけずれた位置に黒四角で示す新たなピークが観測される。これらのピークは、Siプラズマに対しArプラズマを重畳させた時のみ観測され、SiクラスターにArが作用した新たな物質が生成したものと考えられる。ArSin(n=12〜18)に対応する質量数に顕著なピークが観察され、特に、ArSin(n=15,16)に対応する質量数に大きなピークが観測された。また、Arガス圧力を、0.05Pa-0.3Paの範囲に設定した場合に、これらの新規物質に対応する質量ピークが観測された。
【0020】
(XPSによる組成分析)
図5(a)及び(b)は、それぞれ、Siプラズマ、及び、Si-Arプラズマにより合成した生成物のXPS分析データである。
図5(a)は、Siのみのプラズマで合成した生成物のXPS分析データである。プロセス条件は、IEB=100mA, PAr=0Pa, PRF=0W, 合成時間=10分であった。図5(a)に示すデータにおいて、Siの存在を示すピークが観測される。また、CとOの存在を示すピークも観測されるが、これらは、空気中から混入した不純物によるものと考えられる。
図5(b)は、Si-Arプラズマで合成した生成物のXPS分析データである。プロセス条件は、IEB=100mA, PAr=0.1Pa, PRF=300W, 合成時間=10分であった。図5(b)に示すデータにおいて、Arの存在を示すピークが新たに確認された。
XPSによる組成分析データにおいて、Siクラスター以外にArの存在が確認されたことから、ArとSiクラスターからなる新規物質が生成されたことがわかる。また、レーザー脱離飛行時間型の質量分析において、Arが解離せずにSiクラスターに取り込まれた物質が観測されていることから、新規物質におけるArがSiクラスターの外に存在するものとは考えにくい。これらは、生成された新規物質が、Ar内包シリコンクラスターであることを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明に係るガス原子内包シリコンクラスターの製造装置の具体例の概略図、及び、Siプラズマ生成原理の説明図である。
【図2】(a)及び(b)は、それぞれ、金属原子内包シリコンクラスターの製造装置の具体例の概略図、及び、Wプラズマ生成原理の説明図である。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれ、Siプラズマ、及び、Si-Arプラズマにおける電子密度と電子温度のデータである。
【図4】(a)及び(b)は、それぞれ、Siプラズマ、及び、Si-Arプラズマにより合成した生成物の質量分析データである。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ、Siプラズマ、及び、Si-Arプラズマにより合成した生成物のXPS分析データである。
【符号の説明】
【0022】
1 真空容器
2 真空ポンプ
3 Siプラズマ源
4 不活性ガス導入管
5 グリッド電極板
6 高周波誘導コイル
7 堆積基板
8 プラズマ
9 プラズマ測定用プローブ
10 高周波電源
11 マッチングボックス
12 ブロッキングコンデンサ
13 Wターゲット電極板
14 バイアス電圧印加電源
15 るつぼ
16 Si固体原料
17 電子ビーム加速電源
18 フィラメント加熱電源
19 電子ビーム生成フィラメント
20 Siイオン
21 電子
22 Arイオン
23 Wイオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガス原子を内包する原子内包シリコンクラスター。
【請求項2】
化学式がX@Sin(X=He, Ne, Ar, n=12〜18)で表現される請求項1記載の原子内包シリコンクラスター。
【請求項3】
プラズマ中で不活性ガスイオンとシリコンイオンを反応させることにより、不活性ガス原子を内包するシリコンクラスターを生成する原子内包シリコンクラスターの製造方法。
【請求項4】
真空容器中に不活性ガスを導入し、高周波誘導により前記不活性ガスを励起して不活性ガスプラズマを生成し、同時に前記真空容器中でシリコンイオンを生成して前記不活性ガスプラズマ中に導入することにより前記不活性ガスイオンと前記シリコンイオンを反応させることを特徴とする請求項3記載の原子内包シリコンクラスターの製造方法。
【請求項5】
少なくとも、真空容器と、前記真空容器中に不活性ガスを導入するガス導入管と、前記不活性ガスをイオン化するプラズマ生成手段と、前記真空容器中にシリコンプラズマを供給するシリコンプラズマ生成手段とからなる原子内包シリコンクラスターの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate